注目すべきはPrime Airのみならず。Amazonの陸上配送に新システム登場か?!

Amazonは本気でドローンによる無人空輸システムを考慮中であるようだ。リリースされたコンセプトビデオもなかなかの出来だったように思う。しかし思わぬところから「ちょっと待った」の声がかかった。アピールしてきたのはiPhoneやAndroid端末から操作するボール型玩具を開発するSpheroだ。Amazon Prime Airに対抗して、「Amazon Ground」と名づけた配送システムを提案するビデオをリリースしている。

Spheroとはスマートフォンやタブレットからコントロールするボール型ロボットだ。光輝き、1台ないし複数のSpheroを使って遊ぶための各種アプリケーションが用意されている。上のビデオはもちろんパロディのためのものだが、Spheroの可愛らしさ(と有用さ?)はよく現れているかもしれない。今年初めにSphero 2.0がリリースされており、Amazonが、主要小売パートナーとなっている。

紹介ビデオを下に掲載しておく。

もちろん、実際にSpheroを輸送用に使うと馴れば問題は山積みだ。人によってはこんなちっぽけなものがごそごそと道路を動き回っているのを見れば、蹴り飛ばしたい衝動に駆られることもあるに違いない。いや、Spheroに悪意があるわけではない。むしろSpheroはとても可愛い。しかしボールというのは蹴られるべきものなのだ。Prime Airのパロディとして作ったビデオはとても楽しく見せてもらった。しかしやはりこうした球形ロボットは基本的に道路に出てくるべきものではないように思える。もちろん特別なチューンアップをすれば、なにがしかの用途に使える可能性はある。将来的には路上を走り回るSpheroを目にすることも、0%というわけではないのかもしれない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


無人機による配達をもっとも必要としているのはどこの誰か?–Amazonの大先輩Matternetが現状と課題を語る

先週は、eコマースの巨人Amazonが品物の配達を無人航空機で行うという事業、”Amazon Prime Air“のニュースがメディアを賑わした。AmazonのCEO Jeff Bezosはテレビの人気番組でAmazonの無人機構想を語り、視聴者をあっと言わせたが、しかし無人機を使う配達配送方式を着想したのは、彼が初めてではない。

シリコンバレーの小さなスタートアップMatternetは、数年前から無人機を使う配達技術を開発してきた。同社の協同ファウンダでCEOのAndreas Raptopoulosがこの夏行った、小型無人機による配達配送の潜在的なメリットに関するTEDの講演は、先月TEDのWebサイトに載って以降20万回以上視聴され…そしておそらくBezosにヒントを与えたのであろう。Bezosは、テレビ番組60 MinutesでAmazon Prime Airについて語ったとき、RaptopoulosがTEDの講演で使ったのと同じ言葉を使ったのだ。

ハイチにおけるMatternetの無人機配達のパイロット事業

ただしMatternetが構想している無人機による配達配送は、途上国の、まともな道路もない地域に対する食糧や医薬品など緊急必需品の送達が目的だ。ハイエンドの市場から徐々に貧乏人や貧乏国にも普及していく消費者技術製品…コンピュータ、携帯電話、自動車など…と違って、Matternetによる無人機配送は、それをまさに今、“喉から手が出るように必要としている人びと”が対象だ。そしてそんな配送網を、徐々に都市部や一般消費財にも広げていく、という普及の順序になる。

先週はMatternetのRaptopoulosと、同じく協同ファウンダのPaola Santanaが本誌TechCrunchのサンフランシスコ本社に来てくださり、同社の技術の進歩の様相や、無人機を取り巻く技術的な課題、制約や規制などについて話していただいた。ついでに、無人機配達へのAmazonの進出に対する感想も、述べていただいた。そのときのビデオがこの記事のトップにある。

そして下のビデオでは、ハイチにおける同社の無人機配達パイロット事業の一端を見ることができる。

ハイチにおけるMatternetMatternetVimeoビデオより。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


われはドローン ― 無人飛行機による配送、ついに本気の時代へ

ドローン配送の、実現上の細かい問題点など、取り敢えずおいておこう。ライフルの名手であれば、Amazonから無料で商品をゲットできるということだなどという考えも脇に置こう。配送可能距離が短すぎて、これまで配送対象地域外だったような場所はやはり対象外のままだとか、人口の密集する都会で飛ばせば、またいろいろと問題が起こりそうだという話も今のところは無視する。マーサズ・ヴィニヤードの隠れ家で受け取るのでもなければ、庭にペーパーバックを投げ入れていくような配送方式が受け入れられるわけがないとか、そういう話はまた次の機会にしよう。

あるいはもしかすると配送中のドローンが人の上に落ちてくるなんてことがあるかもしれない。「Amazonのプライム・ヘアカットだ」などと笑っていられない事態を招来することもあるかもしれない。そんな可能性も、まあ、頭から追い出しておく。まさかとは思うがFAAがBezosのアイデアを拒否するなどということがあり得るかもしれない。そういうネガティブな可能性はすべて忘れよう。「Amazonの本気」を感じてみようではないか。

取り敢えず、Amazonには豊富なマンパワーがある。カスタマーサービスの担当者たちは、1年365日24時間体制で、Kindle Fire HDXに登載した「メーデーボタン」がクリックされるのを待ち続けている。Bezosによると、このシステムの構築は数週間のうちに行ったそうだ。そして準備中はカスタマーサポート部門の長ですら、自分たちがいったい何を準備しているのかを知らなかったそうなのだ。つまり、Amazonは不可能とも思えることに向けて、従業員の能力を注力させることができる企業であるということを意味する。

また、ドローンの「知能」は大きく進化しつつある。たとえばAirwareなどの企業が無人ドローン向けのインテリジェントシステムを構築しつつある。結局のところは配送用ドローンは人力で管理し、緊急事態に備えておかなければならないだろう。しかしすべてを人力で行うなら、このドローン配送システムは実現不可能だ。ドローン側のインテリジェンスが向上することで、実現可能性がどんどん上がりつつあるのが現状だ。Centeyeのような仕組みを備えることにより、民生用ドローンも、軍事用無人攻撃機であるドローンと同様の性能をもつにいたっているのだ。もちろん搭載するのはヘルファイアミサイルなどではなく、たとえば『Diary Of A Wimpy Kid』などということになる。

さらに、Amazonにはドローン配送を実現したい熱意もある。Amazonもいわゆる「ラストワンマイル問題」を抱えていて、それに対処したいと考えているのだ。その辺りを考えればわかるように、ドローン配送システムのメイン舞台となるのはマンハッタンなどの大都会ではない。配送システムなども整備された既存マーケットではなく、新たな市場での展開を企図しているのだ。

新しい市場とはすなわち、これまでは即日配送などのシステムから見放されていた郊外のことだ。たとえば荷物を満載したトラックを配送地域付近まで送り、そこからドローンを飛ばすのだ。ミツバチの逆転版だと言えばわかりやすいだろうか。自分たちの持ってきた荷物を各家庭に届けて回り、そして巣に戻ってくるのだ。配送にかかる手間は減り、システマティックな配送システムで管理できるエリアが広がり、そして市場を広げることとなる。ブルックリンではAmazonに頼んだものは翌日にやってくる。しかし一部地域では迅速な配送を行うのに多くの費用がかかるということもある。ドローン配送は、この配送コストを大幅に下げてくれる可能性を持つ。

もちろん、ドローン配送というのが、全く新しい発明であるというわけではない。タコスを配送するTacocopterというものもあった。そうしたものをみて、ドローン配送が「ネタ」レベルだろうと考えている人もいることだろう。しかし、実現に向けて乗り出したのがBezosだ。ドローンはテクノロジーの粋を集めてますますパワフルに、そしてスマートになっていく。そしてAmazonもまたパワフルでスマートな組織だ。夢の実現に向けて、理想的な組み合わせが実現したと見ることもできるのではなかろうか。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


機体を3Dプリントで作るリモコン無人機ヘリHex AirbotがKickstarterで早くも目標額の20倍に

Hexの小型無人ヘリAirbotは、中国のハードウェアアクセラレータHaxlr8rの二度目のデモデーに登場したが、チームはついにその安価な航空機を一般市販することを決意し、Kickstarterで資金の募集を開始した。

基本的な部分では、特異な点は何もない。そのほかの消費者向け無人機と同じく、Hexの機もBluetooth 4.0のあるスマートフォンでコントロールし、飛行時間は7分、別売のカメラモジュールを取り付けて飛ばせることもできる。姿勢安定システムを内蔵しているので操縦は楽だから、この小さなおもちゃで隣人たちを驚かして、楽しむのだ。

でも、これのどこが新しいのか? 消費者製品としてのリモコン無人機を作っているところは、すでに数知れずある。フランスのParrot、人気のARドローン、インドのSocial Drones、それに Andreessen Horowitzらが投資しているAirware、などなど。だから、競争はいよいよますます激しい。それに、あなたが平均的一般市民なら、こんなもの一体何に使うのか?と思ってしまうだろう。でもHexの連中は、他社に比べてアドバンテージがいくつかある、と信じている。

まず、この無人機の機体は完全に3Dプリントなので、HexのArnie Bhaduryによると、部分変更や、新しい機体をデザインすることが、相当容易である。

Bhaduryは曰く、“今ではハードウェア製品も、ソフトウェアなみに自由なアップデートが可能なのだ。だから、ユーザ自身によるカスタム化や個人化が十分にできる”。新たな機体や部品は3Dプリントでとても安くできるだろうから、そういったアクセサリ類も、今後はこの若い会社の収益源になるだろう。

お値段にも、文句のつけようがない。いちばんベーシックなバージョンでわずかに50ドルだから、ハードウェアハッカーたちの週末のひまつぶしに最適だし、Airbotが搭載しているArduino互換ボードをいじくって遊んでもよい。いちばんお高い469ドルのバージョンでは、ビデオ撮影送信モジュールと、そのビデオをリアルタイムで見るためのゴーグルが2基付く。Kickstarterに出てからまだ1週間だが、最初の目標額1万ドルはとっくに超えて、今や20万ドルに迫る勢いだ(日本時間9/3 18:00)。締切りは10月10日だから、時間はまだたっぷりある。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


軍事専門家、安価な軍事目的ドローンの普及を危惧

現在のところ、軍事目的で利用されるドローンのほとんどは複雑で効果なものが多い。しかし安価なものが普及するようになると、テロリストや比較的貧しいグループさえも無人航空機技術を手にして、スパイ、偵察、ないしは攻撃目的に利用できるようになってしまう。これは世界規模での軍事バランスを破壊してしまうことにも成りかねない。

Project 2049 Instituteによるレポートによると、中国は独自の計画を積極的に進めているのだとのこと。計画とは即ち、より安価なドローンを提供できるようにすることで、他国への輸出を目指してのものだそうだ。他にもたとえばイランもシリアなど中東近隣諸国にシンプルなドローンを輸出している。中国の開発計画が進んでいけば、これまではUAVなど保有していない国々も、強力な武器を手にすることになってしまうことになる。

「今後5年ないし10年を経てみれば、各国の開発状況がどのようになるとしても、ともかくアメリカの軍事政策にとってやっかいな問題を引き起こすことは間違いない」と、リサーチフェローのIan EastonはTechNewsDailyに語っている。今後10年で無人航空機市場は890億ドル規模に達すると見込まれている。

もちろんあらゆる国がアメリカ、ヨーロッパ、ないし日本のようなロボット技術を持つわけではない。しかし中国などによるドローンは安価に出回ることになる。そして戦闘目的で利用する国が増加することになるだろうとのことだ。

via HLS

原文へ

(翻訳:Maeda, H)