採用管理システム「HERP ATS」が「SmartHR」に続き「カオナビ」とAPI連携開始

採用担当だけでなく、現場社員も含めた全社で採用活動に取り組みたい企業を支援する、クラウド型の採用管理システム「HERP ATS」。複数の求人媒体と情報を自動連携して、一括管理でき、進捗確認や社員からの紹介など、フィードバックや情報集約が簡単にできる機能を備えた、全社型採用のためのプラットフォームだ。

HERP ATSを運営するHERPは6月13日、クラウド人事管理システム「カオナビ」とのAPI連携機能をリリースした。API連携により、採用担当者がHERP ATSからカオナビへ、ワンクリックで入社予定の従業員情報を同期することが可能となる。人事担当者は内定直後から、入社予定者の人材情報管理や評価運用の準備を始めることができるようになる。

カオナビは、社員の顔写真が並ぶ管理画面が特徴の人材情報管理システムだ。社員の顔・名前・経験や評価・スキル・才能などの情報をクラウド上で一元管理し、人材配置などの人事業務をサポートする。

HERPはTechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトルでファイナリストとして出場したHRテックスタートアップだ。同社では人材採用業界版のOpen APIとして「Open Recruiting API構想」を掲げており、これまでにも各種HRサービスとの連携を発表してきた。

2018年7月に第1弾として「Find Job!」「SCOUTER」とのAPI連携を発表したのを皮切りに、今年1月には「bosyu」「Findy」「YOUTRUST」との連携、2月には「doda Assist」との連携を発表。4月にはクラウド人事労務ソフト「SmartHR」とのAPI連携機能を提供開始している。

一方のカオナビも2018年8月に「人材データプラットフォーム構想」を掲げ、HRテック関連企業・サービスとの連携・協業を図っている。昨日6月12日には「カオナビ コネクテッドパートナープログラム」を発表。HERPともコラボレーションパートナーとして連携を進めていく考えだ。

HERPでは今回の連携に引き続き、採用・労務・人材マネジメントなど人事領域を包括的につなぐハブとなることを目指し、さまざまな企業・サービスとの連携・協業を積極的に拡大していくとしている。

健康管理業務をクラウドで効率化する「Carely」運営のiCareが5.2億円の資金調達

人事の健康管理業務をクラウドで効率化する「Carely」運営のiCareは6月10日、グローバル・ブレイン(SFV・GB投資事業有限責任組合)、インキュベイトファンド、Beyond Next Ventures、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、三井住友海上キャピタルからの総額5億2000万円の資金調達を実施したと発表。累計調達額は8億6000万円となった。

2011年設立のiCareのミッションは「カンパニーケアの常識を変える」。同社は健康管理業務をクラウドで効率化するCarelyを2016年3月より提供している。

Carelyを使えば、従業員の健康情報を一元管理できるほか、プランによりサービス内容は異なるが、健康診断の予約、ストレスチェックの実施、残業時間の管理などをCarelyに任せることが可能だ。従業員の健康情報を一元管理すると、不調者の状況が一目でわかり、Carelyの保健師がチャット相談することで健康改善を促進する。iCareいわく、Carelyは「人事が抱える煩雑で複雑な業務を4分の1に効率化する」。

iCareのSales/Marketing部長の中野雄介氏いわく、今年4月に施行された改正労働基準法の影響もあり、2018年度、同社のMRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)は前年度対比で2倍に成長。獲得アカウント数も2018年度当初から2.5倍へと増加した。

調達した資金をもとに、iCareは開発やマーケティング活動を加速させ、カスタマーサクセス体制を強化。「Carelyを基盤とした新規事業の研究・開発」にも踏み込む。

ベルリン発「人材獲得」プラットフォームのHeyJobsがシリーズAで13億2000万円を調達

HeyJobsは、3年前にドイツ・ベルリンで設立されたスタートアップだ。大規模な雇用主の採用規模の拡大を支援している。同社はこのたび、シリーズAラウンドで1200万ドル(約13億2000万円)を調達した。

このラウンドはNotion Capitalが主導し、これまでの投資家であるCreathor VenturesやRocket InternetのGFC、そしてブランドが新しくなったHeartcore Capitalが参加した 。

2016年に創業し、翌年に開業したHeyJobsは、ヨーロッパの雇用主たちが現在直面している採用問題に取り組むことを目指している。その問題とは、いわゆる「ベビーブーマー」世代が定年退職に近づくにつれて、採用可能な労働力が急激に減少するという問題だ。

HeyJobsプラットフォームは、熟練した人材の採用を、より大規模に行えるようにするために、機械学習を活用している。ターゲットを絞ったマーケティングと「パーソナライズされた応募と評価フロー」を通じて、才能を仕事のプロファイルと一致させ、最良の候補者を引き出すことを約束している。

HeyJobsの共同創業者でCEOのマリウス・ルター(Marius Luther)氏は、次のように述べている。

「特定の役割(例えば「イーストロンドンの集中治療室の看護師として最も適した候補者は誰か?」と尋ねることができる)にふさわしい潜在的候補者を見つけるために、私たちは複数の機械学習アルゴリズムを展開しています。さらに私たちのテクノロジーは、候補者たちがFacebook、Instagram、求人プラットフォーム、そしてさまざまなウェブなどのチャンネルを通して、求人情報を確認できるようにしています」。

さらにルター氏によると、HeyJobsの個別評価によって高品質で採用可能な求職者のみが雇用主に提示されることが保証されているという。彼はそれを「予測可能な採用」といった表現で呼んでいる。

「典型的な当社のお客様は、大量採用の必要性を抱えた雇用主の、人材獲得チームです」と彼は説明する。「ドイツでは、最大の雇用者(従業員数による)10社のうち8社が当社のお客様です。典型的な業界は、物流(DPDやUPSなど)や小売(Vodafoneなど)、そしてホスピタリティ(h-hotel、Five Guysなど)です。しかし、私たちの本当の顧客は、より充実した生活を送れるような仕事を探している高学歴ではない求職者の方々です。具体的には、より給料が高いとか、よりよい雇用条件の職へと移りたいとか、あるいは自宅に近い仕事を探したいといった要求をお持ちの方々ですね」。

その目的を果たすためにHeyJobsは現在、United Parcel Service、PayPal、FiveGuys、Vodafone、およびSecuritasを含む、500を超える企業顧客にサービスを提供していると言う。同社は、サブスクリプションから採用ごとの成功報酬に至るまでの、さまざまなビジネスモデルを通じて収益を生み出している。

「1人あたりの採用コストは、お客様が世の中の求人掲示板に投稿する際に支払う金額や、人材紹介会社に1件毎に支払う金額に比べて、僅かなものであることが普通です」とHeyJobsのCEOは付け加えた。

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(翻訳:sako)

自由な働き方を支援する人材事業のキャスターが3.6億円を資金調達

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ(キャスタービズ)」などを展開するキャスターは5月8日、Gunosy Capital、およびSMBCベンチャーキャピタルが運営するファンドからの第三者割当増資などにより、合計約3.6億円の資金調達を行ったことを明らかにした。

キャスターは「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げ、2014年9月に創業したスタートアップだ。同社はオンラインで経理、人事、秘書、WEBサイト運用などの業務を行うCASTER BIZを2014年12月にリリース。その後、リモートワーカーの派遣サービス「在宅派遣」や、副業・時短・在宅など新しい働き方に特化した求人サイト「Reworker」、オンライン採用代行サービス「Caster Recruiting」といった、柔軟な働き方を支援する、さまざまなサービスを展開してきた。累計利用社数は1000社を超えたという。

2018年8月には、Basecampが運営していた、SNSを利用したソーシャル募集サービス「bosyu」事業を譲受。また2019年に入ってからは、「会食手配」や「会議室リサーチ」など、個人が日常業務を500円からオンラインアシスタントに依頼できる「My Assistant」や、安全なリモートワーク環境を実現するためのクラウド型デスクトップ仮想化サービス「Caster Entry」など、関連サービスも拡大している。

キャスターは、2016年8月に大和企業投資から1億円、2017年12月にWiLや既存株主を引受先とした3億円の資金調達を実施している。今回の調達で、これまでの累計資金調達額は約10億円となる。

現在、700名以上が自由な働き方を求めて契約するというキャスター。今回の資金調達により、さらに採用強化に向けた投資を行い、クライアントのニーズに応えていくとしている。また法人向けマーケティングも強化し、認知度の拡大を図るという。

パフォーマンスレビューをアップデートするLatticeが16億円超を調達

Sam Altman氏の弟、Jack Altman氏も起業家だ。

Teespringの事業開発担バイスプレジデントとしての経歴を持つJack Altman氏。彼のスタートアップで企業の目標設定を最新のアプローチで手助けするLatticeは、シリーズBラウンドで1500万ドル(16.7億円)の資金調達を実施した。 Shasta Venturesがリードしたラウンドには、Thrive Capital、Khosla Ventures、そしてY Combinatorが参加した。

兄のSam Altman氏はつい最近までY Combinatorのプレジデントを務めていた。

Reddit、Slack、Coinbase、Glossierなどの急成長している企業で使用されているLatticeは、人事担当者が社のチームに関する状況を把握するのに役立つ。 同社は2015年に設立された。Jack氏とEric Koslow氏は、多くの起業家のように、自分たちの経験を基にLatticeの構想を思いついた。

「四半期ごとの目標設定(OKR)では、それらを書き出して指導者がチェックした後、『棚に座っても何も起こらない』ということに気が付いた」とJack氏はTechCrunchに語った。

SaaSビジネスであるLatticeは、スタートアップや大企業の特有の文化、管理慣行、および従業員の関与に対するさまざまなアプローチに対応する、柔軟なプラットフォームだ。

GmailやSlackなどのプラットフォームから着想を得たこの製品は、消費者を念頭に置いて設計されている。 チームは、Latticeでは、既存のHRプラットフォームが時代遅れになっていると感じるUIやUXをを持っている、と同社は説明する。

この製品により、従業員やそのマネージャーが、エンゲージメントに関するアンケートを行うこと、フィードバックを共有すること、1対1のミーティングをセッテイングすることなどを簡易化し、結果、会社の目標設定プロセスを全面的に見直すことができる。年に1度ではなく、毎週の従業員に対するパフォーマンスレビューを推奨し、可能とする。

Latticeは現在、顧客数が1200人、従業員数が60人で、2019年第1四半期に初めてキャッシュフローがブレークイーブンに。調達した資金を基に、サンフランシスコに拠点を構えるLatticeはプロダクト開発を加速させる。

Latticeはこれまでに、 SV Angel、Marc Benioff、Slack FundとFuel Capital、Sam Altman、Elad Gil、Alexis Ohanian、Kevin Mahaffey、Daniel Gross、そしてJake Gibsonから資金を調達。同社はY Combinatorのスタートアップ・アクセラレーターを2016年に完了している。

(本稿は米国版TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

[US版TechCrunchの記事はこちら]

Google検索の求職機能で「在宅」を指定できるようになった(英語のみ)

昨年ごろからGoogleは、検索エンジンに求職機能を加えてきた。米国時間4月24日、同社はその機能を拡張して在宅の仕事を見つけやすくした。

通常そんな仕事を探そうとすると、お粗末な、そしてときには悪質かもしれないサイトに出くわすことが多い。そこで今度からは、Googleの検索で「customer support jobs,」(カスタマーサポートの仕事)などで検索するとき、LOCATIONに「work from home」(在宅)を指定して、在宅でできるリモートの仕事を探せる。

Googleによると、Working NomadsやWe Work Remotely、ZipRecruiterなど求人サイトの多くが今ではこの機能をサポートしている。これらの求人をフィルターするためにGoogleは、多くの求人サイトがGoogle Jobsに求人リストをプッシュするとき使っているSchema.orgの標準マークアップを見る。

GoogleのプロダクトマネージャーJennifer Su氏が今日の発表声明にこう書いている。「たくさんのユーザーを調べてわかったのは、在宅求人の多くにそういうラベルがついていないことだった。だからユーザーは『work from home』(在宅の仕事)のようなクエリで検索しても、リモートの就職機会を見つけることが難しい。でもこれからは、リモートワークの機会が求職者にとってもっと見つけやすくなるだろう」。

これまでもGoogleでは、求職者が通勤時間や公共交通機関タイプなどを指定できた。だから今回work-from-home(在宅)の指定が加わったのも理にかなっている。とくに最近では、そんな求職者が増えているのだから。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ワンクリックで勤務シフトを自動作成する「Shiftmation」運営が8000万円の資金調達

勤務シフト作成自動化サービス「Shiftmation」運営のアクシバースは2月13日、Archetype Ventures、Draper Nexus Venturesおよび個人投資家を引受先とするCE型新株予約権の発行により、 総額で8000万円の資金調達を実施したと発表。同社は調達した資金をもとに開発ならびにマーケティングを強化する。

Shiftmationは毎月のシフト作成を自動化するサービス。人工知能が試行錯誤を繰り返すことで最適な解を求めようとする技術を応用し、複雑な条件を満たすシフトを自動生成する。クラウド型のサービスなので、パソコンからもスマホからも利用できる。

スタッフの希望シフトはスマホから簡単に提出でき、シフトが集計されたらスケジュール生成ボタンを押す。すると複数のシフトが提案されるので、ベストなものを選ぶ。するとそのシフトはスタッフ用のカレンダーに表示される。

アクシバースいわく、複数の勤務形態に加え、様々な役割の方の出勤条件を考慮して自動作成できるため、医療機関や介護施設などの専門職の出勤バランスをとることが必要な業態で特に便利だという。

Shiftmationは「複雑なシフトの作成には、管理職の方が数日から数週間をかけるケースもあり、貴重な時間が費やされている」「シフト作成のノウハウが属人化して、異動・退職時にシフト作成の質が下がり、スタッフにとって働きづらい環境になってしまう」といった課題を解決するために開発されたソフト。初期費用は無料、月額600円からシフト自動作成の対象ユーザー数に応じた料金で利用できる。

2018年6月のβ版リリース以降、500を超えるシフトがShiftmationで自動生成され、シフト希望提出リマインド機能、複数事業所統括ダッシュボード機能、タイムカード機能(β版)などの新機能が追加されてきた。

同社は今後の展開として、これまで通りに“シフト作成の時間を短縮する”だけでなく、“シフト作成者が考慮できていなかったような要素を自動判別して提案する”ことで、より働きやすいシフトを短時間で作成できるように開発を進めていく、とコメントしていた。

クラウド人材管理ツール「カオナビ」が人材紹介会社の求職者データベースと連携した新機能を発表

人材マネジメントプラットフォーム「カオナビ」を提供するカオナビは8月23日、同社いわく日本で初めて人材紹介会社の求職者データベースと社内人事システムを直接連携した新機能「TALENT FINDER(タレントファインダー)」のサービス提供を開始した。

第一弾として、リクルートキャリアの転職スカウトサービス「リクナビ HRTech 転職スカウト」との連携を本日より順次開始すると発表している。

「TALENT FINDER」を使うと何ができるのか。クラウド人材管理ツールのカオナビ上で社内人事データに紐づく“こんな人ほしい!”ボタンをクリックすることで選定された社員の実績や能力がそのまま募集要項に反映され、提携先の求人サービスにて直接求人募集ができる。“このポジションに入る人がほしい”ボタンからは、ロールモデルにしたい社員を4名まで選定することが可能だ。

同社によると「人材を必要とする現場担当者がカオナビ上で直接求人募集ができるほか、社内で実際に活躍している社員の人事データに基づいて募集要項を作成することができるため、効果的に即戦力となる候補者を見つけることができる」といったメリットがあるという。

また、リクナビ HRTech 転職スカウトとの連携により、リクルートキャリアの求職者データベースからAIが最適な候補者をレコメンドする。TALENT FINDERを使えば企業は自社が求める人材により簡単に・短時間で出会える可能性が高まるだろう。

カオナビは、社員の実績や評価、スキル、才能などを、顔写真を切り口にした独特のインターフェイスで一元管理できるクラウドサービスだ。2012年のローンチ以降、業種・業態を問わず1100社以上の経営者や現場のマネジメント層に選ばれているという。同社は2020年までに導入企業3000社を目指している。

社員エンゲージメント分析の「BetterEngage」β版がリリース

社員エンゲージメント分析ツールの「BetterEngage」を提供する日本のBtoAは6月30日、同サービスのβ版を公開したと発表した。BetterEngageは、Slackなどのコミュニケーションツールから得たデータを解析し、従業員の「エンゲージメント」を可視化するサービスだ。

BetterEngageを利用するにはまず、SmartHRなどからエクスポートできるCSV形式の従業員データを同サービスに取り込む。BetterEngageはCSVファイルの独自フォーマットも用意しているので、必ずしも他社のHR系サービスを利用している必要はない。

その後、Slackのメッセージ履歴(JSONファイル)をエクスポートし、それを月に1回ほどの頻度でBetterEngageに取り込むことで、従業員のエンゲージメントを自動で解析できる。Slack側で設定すれば、JSONファイルのエクスポートを完全に自動化することも可能だ。

プライバシーの関係上、BetterEngageが従業員同士の”好き嫌い”などを判断することはなく、プライベートチャットの内容を解析することもない。あくまでもエンゲージメントを数値化することが目的のため、取り込まれたメッセージ履歴を人事担当者などが閲覧することもできない。

現在、BetterEngageが実用レベルで解析できるのはSlackから得たコミュニケーションデータだけだが、将来的にはこれに加えて、勤怠、パフォーマンス、同僚からの評価、従業員の経歴などのデータをAPI連携によって取得・解析していくようだ。なかでも、jinjerIEYASUなどから取得できる勤怠データの解析は、2017年10月に予定されている正式リリースまでに実装するという。

BtoA代表の石原史章氏によれば、BetterEngageのターゲットは「従業員が100人程度いて、専任の人事担当者をもつ企業」だという。正式リリース後の料金設定はまだ確定していないものの、従業員1人につき500〜800円程度の月額課金を想定している。

60人のチームから毎月5人の退職者

石原氏は、遠隔医療サービスなどを手がけるポート出身の人物。彼はそこでキュレーション・メディアのマネジメントを行っていた。しかし、総勢60人のチームであったにもかかわらず、毎月5人ほどの退職者が続出するという問題に直面したことがBtoA創業のきっかけだったという。「その経験から、部下と対面して会話をすることの重要性を知った。だからこそ、時間のかかるエンゲージメント分析を自動化し、対話にフォーカスできる環境をつくりたいと思った」(石原氏)

2015年10月に創業したBtoAは、これまでにサムライインキュベートから資金調達を実施している。石原氏はこのときの調達金額が450万円であったことを今回の取材でTechCrunch Japanに明らかにした。また、同社はY Combinatorのオンラインプログラムに参加中だ。

エンゲージメントを可視化するSlackボット「A;」、本日よりオープンβを無償公開

チームのエンゲージメントを可視化するSlackボット「A;(エー)」を開発するLaboratikは、2016年12月に開始したクローズドβテストを終了し、本日よりオープンβ版を無償公開すると発表した。同時に新機能の追加も発表している。

インターネットの普及とデバイスの小型化により現代の働き方は多様化し、時間や場所に捕らわれない働き方を実践するフリーランサーやリモートワーカーたちが増えている。

ランサーズが2017年3月に公開した「フリーランス実態調査2017」によれば、2017年における日本のフリーランス人口は1122万人(前年比5%増加)で、これは労働人口全体の17%に相当する。また、米国のフリーランス人口は5500万人で、全体の35%がフリーランサーであるという計算だ。

そんななか急速に普及が進んだのが、Slackをはじめとするコミュニケーションツール。僕たちTechCrunch Japanも毎日コミュニケーション・ツールを利用していて、離れた場所にいることも多いライター/翻訳者ネットワークを支えるツールとして欠かせない存在だ。

また、コミュニケーション・ツールだけでなく、社内の「人」に関するさまざまな業務をテクノロジーによって効率化・改善する”HRテック”にも注目が集まっている。2017年3月に開催されたTechCrunch Schoolでは、HRテックの今後について熱いディスカッションが繰り広げられた

本日からオープンβ版を無償公開したA;も、このHRテック領域のサービスの1つだ。

Slackと連携して利用するA;は、自然言語処理を介してチャット中の会話を解析し、チームのエンゲージメント(関与度や熱意)を可視化するサービス。会話のポジティブ/ネガティブ度を解析したり、メンバーのチャット上での発話数や、メンタルのバイオリズムを把握したりすることができる。

また、Slackを経由してGoogleカレンダーやGitHubなど他サービスとも連携でき、スケジュールや開発進捗を自動で記録することも可能だ。現在、A;は日本語と英語の2言語版が提供されている。

オープンβ公開と同時に発表された新機能では、チームの誰と誰がコミュニケーションが多く、どのチャンネルで議論が盛り上がっているかなどを定量化して評価する。これにより、チーム内のコミュニケーションの偏りを検知したり、誰が積極的に参加しているかを知ることができるという。

無償のクローズドβテストにはリコーサイバーエージェントKaizen Platformなど230社(5月末時点)が参加。Laboratik代表の三浦豊史氏は、「正式リリース後は、米国マーケットの水準(5〜6ドル)に合わせて社員1人あたり数ドル単位での課金を考えている。また、大手の企業とはカスタマイズしたツールを一緒に開発・導入していく可能性もある」と話す。

A;をバックエンドとして支えるのが、Laboratikが独自に開発した「GRATT(グラット)」だ。これは、複数の言語解析技術によってチャットの文脈や感情の強弱を分析する解析エンジン。

三浦氏によれば、今後Laboratikは「GRATTをA;だけでなく幅広いプラットフォームで作動する解析エンジンとして拡大していく」という。

A;のオープンβ版はここから利用可能できる。

スクーがR&Dのための新会社、仕事の「パフォーマンス」に影響する因子探る

Schoo@me代表に就任した赤根浩平氏

参加型生放送によるオンライン動画学習サービス「Schoo」を運営するスクーは4月3日、100%出資子会社となる「Schoo@me」を設立すると発表した。Schoo@meでは、「人間のパフォーマンスの最大化」を目的とした研究開発やサービス提供を行う。

schooは、オンラインで生放送の授業をストリーミングするリアルタイム動画学習サービス。3000時間以上の動画教材を通して、IT系を中心としたスキルや知識を学ぶことができる。僕たちTechCrunch Japan編集部をはじめ日本マイクロソフトサイバーエージェントヤフーメルカリなどの企業から講師を招き、受講生同士や講師との生放送中の対話を通して理解を深めることができるのが特徴だ。

そんなスクーが立ち上げたSchoo@meは、研究機関との共同研究を通して人間のパフォーマンスを左右する要素とは何かを探っていくことを目的とした会社となる。

具体的には、同社はウェアラブル端末を利用して心拍や脳波などの生体信号を測定。それによって被験者の性格や特徴などを理解したり、例えば眠気や「好き・嫌い」などの因子がパフォーマンスにどのように影響を与えるのかを探っていく。Schoo@me代表取締役に就任した赤根浩平氏は、「これまでにもアンケートを利用した研究などはあったが、それは被験者が自覚的に答えた回答を参考にしたもの。私たちの研究では、被験者が無意識にもつパフォーマンス因子を測定していく」と話す。

ちなみに、実証研究や将来的なサービスでは既存のウェアラブル端末を利用し、自社で端末を開発する予定はないという。利用する端末の詳細は公開されていない。

研究開発を進めたのちに、同社はその成果を利用して人材マネジメントツールを開発していきたいとしている。「データによって社員の適正を判断するツールが増えているとは言え、現状では人事担当者の属人的な感覚で社員をどのポジションにアサインすべきか決めている企業は多いと思う。そこで、データによって完全に裏付けされた適正診断によって社員人事をサポートできるツールを開発したい」と赤根氏は話す。

同社がこの研究に成功すれば、親会社が運営するSchooとのシナジーもありそうだ。たとえば、受講者が装着したウェアラブル端末が「授業をあまり理解していない」と判断した場合、その受講者にのみ復習用の教材を用意するといったことが可能になるという。

Schoo@meの会長には現スクー代表取締役の森健志郎氏が就任するものの、実働チームは赤根氏を含む3人だ。現在27歳の赤根氏は、2012年に早稲田大学創造理工学部を卒業後、グリーにエンジニアとして入社。2014年にスクーに入社すると、同じくエンジニアとして全文検索機能や非同期パイプライン処理などの開発に携わってきた。

同社は今秋から実証実験を開始。今後1〜2年のあいだに研究開発を進め、2019年頃には前述した人材マネジメントツールのリリースを目指すとしている。実証実験や研究開発が中心となるためにイニシャルコストが大きくかかりそうだが、「今のところ外部からの資金調達は考えていない」(赤根氏)という。