また日本から大型ICO、今度は金融向け独自チェーン開発でQUOINが11月6日に開始

仮想通貨取引所を運営するQUOINEは、11月6日より同社が発行する仮想通貨「QASH」を仮想通貨建てで販売し資金調達するICO(Initial Coin Offering)を実施する(発表資料)。1QASHあたり0.001ETHで販売し最大5億QASHを発行する。最大枚数を販売した場合の調達額は約174億円相当(記事執筆時点のETH時価で換算)と大型のICOとなる。

調達した資金は、同社が今後開発する仮想通貨取引所および機関投資家向けプラットフォームLIQUIDの開発、後述するQASHブロックチェーンの開発、それに流動性確保のために複数の仮想通貨取引所に置くデポジット(前払い金)に充てる。またICOで販売するQASHは、ICO終了後はただちにQUOINEほか複数の仮想通貨取引所に上場し、取引可能となる予定だ。「上場の日程は12月1日にしたいが、11月にビットコインの再度の分岐が発生する可能性があり、その対策でICOの時期が伸び縮みする可能性がある」とのことだ。

同社CEOの栢森加里矢氏は「自分達の取引所に上場するだけでなく、すでに提携を発表している香港の大手仮想通貨取引所Bitfinexのほか、複数の仮想通貨取引所にQASHを上場する予定だ」と話している。

同社が発表文で強調するのは「金融庁登録の仮想通貨交換業者として世界で初めて法令を遵守した形でICOを実施する」という点である。栢森氏によれば「今回ICOで発行するデジタルトークンQASHを取引所QUOINEに上場することに関して、法律事務所立ち会いのもと金融庁に説明し、口頭で了解をもらった」とのことだ。今までの日本のICOの法的解釈は、デジタルトークン販売の時点では仮想通貨扱いではなく、販売したデジタルトークンが仮想通貨取引所に上場されて広く一般に売買できるようになった時点で「仮想通貨」になる。また日本の取引所に上場するにあたっては金融庁がそれを認める必要がある。QUOINEが強調する今回のICOのポイントは、日本の仮想通貨取引所に仮想通貨として上場することで金融庁も了解している、ということになる。ただし口頭での了解ということなので、第三者が確認できるエビデンスがある訳ではない。

同社のICOホワイトペーパーから開発ロードマップの図を引用した。ICOの終了後、QUOINEの取引エンジンを中核として資金流動性や機関投資家向け各種サービスを提供する新プラットフォームLIQUIDを構築する(なお、米BlockstreamもLiquidと呼ぶ製品を提供しているが両者の関係はない)。

LIQUIDの狙いは、機関投資家が仮想通貨分野に参入してきたときに、それに耐えられる流動性とサービスを提供することだ。「今後、投資銀行やヘッジファンドのような機関投資家が仮想通貨に参入する。そこで求められるのは、現状の仮想通貨取引所では処理できない大きな単位の取引や、資金移動やレバレッジなど機関投資家向けのサービスだ。そこで、複数の仮想通貨取引所を束ねて流動性を提供し、サービスを提供する」(栢森氏)。

QASHは、当初はERC20トークン(Ethereum上で発行するデジタルトークンの仕様で、多数の仮想通貨発行に使われた実績がある)として発行する。今後開発する「QASHブロックチェーン」が立ち上がった後は、そちらに移行する予定だ。金融機関向けシステムに実績があるウルシステムズがQASHブロックチェーンの開発に参加する。なおウルシステムズの持ち株会社ULSグループは、2016年9月にQUOINE株を引き受け資本提携を結んでいる。

ところでQASHブロックチェーンとは何なのだろうか? 栢森氏は「大手銀行ではなくFinTechスタートアップを主な利用層とする、金融向けのパブリックブロックチェーンだ」と説明する。

背景として、今の金融サービスのニーズと、既存のブロックチェーン技術との相性は良くないと栢森氏は考えている。例えば最大の仮想通貨でありパブリックブロックチェーンであるビットコインは、金融機関から見ると誰が責任を負うのかが見えにくい。またマイナーが中国に偏っていることにカントリーリスクがあると考える人もいる。金融分野向けというとRippleやR3の名前が思い浮かぶが、彼らは大手銀行向けのプライベートなインフラ技術を提供しようとしている。「大手銀行向けのビジネスは時間とコストがかかる。一方、金融サービスと親和性があるパブリックブロックチェーンはエアポケット。まだ誰も手を付けていない」と栢森氏は説明する。

栢森氏の説明によれば、QASHブロックチェーンは、金融機関が求める処理性能、AML/KYC(アンチマネーロンダリング/本人確認)の機能を備え、またノードが特定の地域に偏らないようにする管理機能を設ける方向だ。具体的な開発はQASHのICO終了後に始まる。QASHブロックチェーンは2019年2Qにローンチする計画である。

YCはブロックチェーンを使って、誰もがスタートアップ投資に参加できるようになることを検討している

ICO(initial coin offerings)が、仮想通貨(cryptocurrency)ネットワークを通じて広範囲の投資家たちから資金を調達するための、新しいルートとして浮上している。そして現在、世界最大にして最も有名なアクセラレーターが仮想通貨ネットワークとブロックチェーンを使って、より多くの人びとが支援に参加しやすくすることを検討している。

Disruptの壇上で、アクセラレーターY Combinatorの代表であるSam Altmanは「私たちは、Y Combinatorのような企業が、ブロックチェーンを使って投資へのアクセスを、どう民主化できるのかに興味があります」と語った。「私たちはそれがどのようなものかをしっかりと見極める必要があるのです」。

とある情報源によれば、YCは実際にはそれよりも少し先に進んでいるということだ。デジタル通貨の世界へと飛び込むベンチャーグループの数が増えていることを受けて、同グループも投資家の母集団を拡大するために、仮想通貨を利用する方法を積極的に検討している。情報筋によると、まだ法的事項やその他の詳細が検討されている段階ということだ。

サンフランシスコで開催されたTechCrunch Disruptカンファレンスで、Altmanは現在のハイテク業界におけるICOの役割についての、さまざまな図を描いてみせた。その全てがバラ色というわけではない。

AltmanはICOの働きについて、まだ解決されていない課題が沢山あることを強調した。その中には透明性合法性、そして効率性などに関わるものも含まれている。これらを非常に強い誇大宣伝の流れが相殺しようとしている。

「現在のICOは間違いなくバブルだと思います」と彼は言う。「しかしそこに何かが横たわっているために、スマートな人たちが魅了されているのです」。

そして彼はまた、政府がICOの運用に、より積極的に関与すべき理由を説明した。

「ICOを馬鹿げた屑のようなものだと思っているか、と聞かれたら、はい、もちろんと答えます」と彼は続けた。「しかしそこには、わずかながら重要なものはありますし、そしてブロックチェーンはさらに重要です…ICOは規制を受ける必要があるのです」。

Altmanの主導の下にほぼ指数関数的成長をしているにもかかわらず、YCはさらに大きな運用規模を目指す大いなる野心を抱いている。そんな彼らにとって、はるかに広い支援者たちに、YCを開放する可能性がある新たな投資形式を利用するという考えは、特に大きな変化だと考えられる必要はない。

同時に、それは初めて「認定」されていない投資家たちと一緒に働くことを意味する。すなわち富裕層の一般投資家たちが相手ということだ。これがAltmanにアピールするものの1つだ。

これまでY Combinatorは、世界で最も選り抜きの成功したスタートアップ企業たちと協力してきただけではなく、最も成功したベンチャーキャピタルや初期投資家たちとも協業してきた。そこにはSequoia Capital、SV Angel、そしてYuri Milner of DSTなどの名が含まれている。

一方YCは、アクセラレーター活動を継続的に強化し続けている。その中心的なYCプログラムに加えて、YCは、後期ステージ向けのY Continuity Fundを通じて、スタートアップを成熟させることにも焦点を当て始めた。また10週間にわたるオンラインのスタートアップスクールも運営している。そこでは一度に3000のスタートアップとの接触を保っている、とAltmanは語った。

それでもなお、Altmanはさらに多くのスタートアップを支援するという野心を持っており、スタートアップたちへのアクセスを広げたいと考えている。ステージ上で、昨年野心として口にしていたYCのサイズを倍にする計画はあるのか、と問われたAltmanは、微笑んでこう答えた「昨年の私たちはもっと野心的でしたね…ともあれ、もっと多くのスタートアップを興し、本当に彼らを支援する方法を見つけることができると考えています」。

ICOの魅力を、Altmanはこう付け加えた「人びとは、友人たちが本当にリッチになるのを見ていて、それが彼らを欲求不満にし、自分もリッチになりたいという気持ちにさせるのです」。

「シリコンバレーで私を悩ませている傾向の1つは」と彼は続けた「多くの人びとにとって、富を生み出すことがますます不可能になってきているということです。そして富の偏在が甚だしい現状は、とても悪いことだと考えています。もし新しいテクノロジーが、この富の偏在の民主化を、現実的に可能にできるのならば、それは本当に素晴らしいことだと思います」。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

テックビューロがジャフコらから16億円調達、「VCとICOは共存する」

テックビューロが、シリーズBラウンドで約16億円の資金を調達した。調達方法は第三者割当、引受先はジャフコが運用する投資事業組合が約15億円、インフォテリアが約1億円。調達した資金は同社の仮想通貨取引所Zaif、プライベートブロックチェーン技術mijinをはじめ事業の整備拡充に充てる。同社の今までの累計調達額は約25.4億円となる。

ご存じのようにジャフコは日本最大のベンチャーキャピタル(VC)で審査基準も厳しい。出資にあたり交渉や調査には数カ月をかけ、ジャフコ社長の豊貴伸一氏自身が検討に参加したとのことだ。また今回出資するインフォテリアは2016年4月に実施した資金調達にも参加しており、ブロックチェーン関係事業でのシナジーを狙う。

テックビューロでは調達した資金の使途として、下記の各項目を挙げている。

  • 経営基盤の拡充、人員増強
  • Zaif取引所のインフラとサービスの拡充
  • プライベートブロックチェーン技術mijinによるクラウド型BaaSサービスCloudChainの整備
  • mijinライセンスとCloudChainの販売体制を世界で拡充
  • 米国拠点の拡大、欧州、アジア拠点の設置。スイス、シンガポール、マレーシアなどを検討している。
  • 新規事業投資とM&A

リストの1番目には経営基盤、2番目に仮想通貨取引所Zaifの拡充が挙がっている。2017年4月から施行された仮想通貨法(改正資金決済法)の元では仮想通貨取引所Zaifの運営は金融庁の監督下に置かれることになるが、それに伴い財務基盤の強化が求められ、監査などの支出も増える模様だ。資金調達の背景の一つには取引所としての規制対応がある。

プライベートブロックチェーン技術mijinによるクラウド型BaaSサービスCloudChainは、商用クラウドサービスとしてmijinの機能を提供するものである。

COMSAは「自前」で資金を集める

調達資金の使途のリストに挙げられていないが、COMSAについて述べておく必要があるだろう(関連記事)。同社のプロダクト(Zaif、mijin)や経験をフル活用したシステムであり、直接の使途ではないが今回の資金調達とも深く関係する事案だからだ。

COMSAは同社が発表したICO(Initial Coin Offering、仮想通貨技術を応用したトークンの発行と販売による資金調達手段)プラットフォームである。COMSA自体のシステム開発やCOMSA対応のサービス拡張運営は、今回の資金調達とは別にCOMSA自体のICOにより調達するとしている。「会社はOSで、COMSAはアプリケーションのようなもの」とテックビューロ代表取締役の朝山貴生氏は説明する。テックビューロという会社組織とCOMSAでは資金も別々に管理することになる。

同社は9月5日、ICOプラットフォームCOMSAのプレセールに対して個人投資家の千葉功太郎氏が100万ドル相当のビットコインを直接投資したことを発表している。また、3社の機関投資家が出資することを表明している。第三者割当増資により調達した資金とは別勘定でCOMSAにも資金が蓄積されつつある。

「ICOはVCと競合しない、むしろ共存発展できる」

ICOはまだ世の中での理解が十分に進んでいない段階といえる。朝山氏は「ICOのメリットはネットワーク効果、そしてトークンエコノミーの効率の良さだ」と話す。ICOには仮想通貨を使い国境を越えて手軽に参加でき、機関投資家だけでなく個人でも参加が容易だ。ICOの参加者は、ICOで立ち上がったプロジェクトの初期利用者でもある。資金と顧客ネットワークの両方をロケットスタートで早い段階に揃えられることができる。これがICOの価値だ。

ICOが十分に発達するならVCは不人気になる、といった論調も一部にあるが、「VCとICOは、世間で思われているように競合するものではない。むしろ協働、共存できる」と朝山氏は説明する。実際、日本最大手のVCであるジャフコがCOMSAを推進するテックビューロに投資し、個人投資家の千葉功太郎氏がCOMSAに出資していることがその証拠だという訳だ。審査が厳しいVCが出資した株式会社の社会的信用は、ICO参加者にとってもプラスに働くといえる。

ICOの効率性は悪用される場合もある。人気が過熱し、詐欺的な案件も増えている。プロダクトがローンチされないままのICOプロジェクトも多い。プロジェクトの成功確率が低いことは必ずしも悪いことばかりではなく、冒険的なプロジェクトに挑戦できる可能性があるということでもあり、スタートアップの成功確率が小さいという話とも似ている。ただし、ICOの場合はプロダクトがない構想段階なのに数億円といった資金を手にできる場合があり、特にモラルハザードを起こしやすい構造がある。

ICOをめぐり、世界各国で最近多くの動きがあった。7月25日に米SEC(証券取引委員会)は、2016年のThe DAOを「有価証券にあたり規制対象となる」と位置づけ、類似するICOは規制する方向性を示した。シンガポールとカナダの規制当局も同様の方針を打ち出している。9月4日、中国の中央銀行である中国人民銀行は中国国内のICOを「大部分は詐欺」と断じて一律停止、過去の案件も調査のうえ場合によっては返金を命じるとの厳しい措置を打ち出した。同じ日、ロシア連邦中央銀行も、仮想通貨とICOは「高リスク」と警告する文書を公開している。ICO過熱への警戒から、各国の規制当局が動いている形だ。もっとも規制強化の話ばかりではなく、エストニアでは8月22日に政府公認のICO計画を公表している。

COMSAに話を戻すと、テックビューロは「実業」がある案件に絞ることで成功事例を作っていく立場だと説明している。COMSAではICO協議会を設置してICO案件を審査し、特に初期段階では成功確率が高い案件を主に実施する考えだ。米SEC基準で有価証券に相当しないトークン(例えばサービス利用時に利用料を割り引いてくれるトークンなど)を設計していく。

前述した海外での規制強化は、詐欺的な案件や有価証券に準じる性格のトークンを対象としたものだ。そうではない健全なICOには「むしろ良い動きだ」と朝山氏は説明している。

テックビューロは今までトークンエコノミーというキーワードで多くの試みをしてきた。トークン発行サービスZaica、タレントの卵を応援するトレーディングカード的なICOであるBitGirls、それにZaifの優良利用者に配布したZaifトークンなどだ。COMSAは、これらの試みから得られた知見を投入したプロジェクトといえる。

シリーズBを終えた同社の今後の活動により、ICOやトークンエコノミーの分野で経験と知見、そして成功事例が蓄積されていくことを期待したい。

中国、ICOを全面禁止――「金融詐欺、ネズミ講」と強く非難

ICO(Initial Coin Offering)に対する風向きが変わった。少なくとも中国ではそうだ。アメリカでもSEC〔証券取引委員会〕がICOのリスクを公式に警告しているが、最近急増してきた暗号通貨によるクラドファンディングを中国の当局は法規を改正して全面的に排除すると決めたようだ。

今日(米国時間9/4)、中国人民銀行を筆頭とする省庁を横断する委員会は次のように公告した[中国語原文]。これによればICOによる資金調達は「経済および金融の秩序を著しく乱す活動」として直ちに禁止された。

中国における金融ニュースメディア、Caixin〔財新〕 [中国語版]の記事によれば、同委員会は60箇所の暗号通貨取引所のリストを作っており、これらの証券取引所に対して監督当局は調査を行うと同時にその報告の提出が求められているという。これと同時に中国では新規のICOは凍結された。

ICOは新たな暗号通貨トークンを生成し投資家に売却することにより資金調達を行う手法で、多くの場合Ethereumが利用されている。効果として現実の株式を発行することに類似するため、金融監督当局がこのような活動を規制するかどうかに注目が集まっていた。

中国の委員会はICOの大部分は「金融詐欺であり、ネズミ講(pyramid scheme)である」と警告していた。このような見解はシンガポールのMAS〔シンガポール金融管理局〕も取っていたところだ。

「ICOは匿名取引を本質とするため、資金洗浄、テロリストの資金調達に利用されるリスクが高い。これによって巨額の資金が短期間に調達されている」とシンガポールの国営銀行であるMASは8月1日の声明で述べている。

ICOに関与している点で調査の対象となるか暗号通貨取引所がどことどこになるか、正確にはまだ不明だが。 ICOageICO.infoという中国の2大ICOトークンの取引所はサービスを中止した。また新規のICOの受付も停止している。両取引所ともこの運営停止は「自発的なもの」としている。

今年に入ってICOは世界各地で飛躍的に増加した。ゴールドマン・サックスのレポートによれば、2017年上半期に暗号トークンの売却により調達された総額は伝統的なベンチャーキャピタルによるアーリーステージの投資額を上回ったという。

今年のICOによる資金調達は16億ドルを超えたとされる。2017年にはいって、2社のbitcoinによる時価総額が10億ドル以上となっている。ただしその両社とも現在市場になんらのプロダクトも提供していないため、時価総額の意義は不明だ。

中国は世界でもっとも活発なbitcoinコミュニティーを擁しており、ICOブームでも資金調達側、投資家側の双方で中心的な役割を果たしてきた。

国営通信の新華社は7月に「中国企業は2017年上半期に10万5000人の投資家から3億8300万ドルを調達した」と報じている。

SEC〔アメリカ証券取引委員会〕はICOに対して声明を発表しているものの、まだ決定的な行動を取っていない。そこで世界の関心は中国に集まることになる。ICOを規制、監督するメカニズムはどのようなものがあり得るか、そもそも多様なICOを規制下に置くことが可能なのかが注目される。また暗号通貨市場における中国の重要な位置に照らして、この取締によりICO対し、また暗号通貨市場全般に対してどんな影響が生まれるのかもも興味ある点だ。

ベテランの暗号通貨専門家は今回の取締を2013年に中国当局が暗号通貨取引を禁じた事件と比較している。これにより元を通貨として暗号通貨を売買することが不可能になり、暗号通貨は大幅に下落した。しかしその後、元による預け入れが復活し、bitcoinは新高値を記録した。一部の取引所では5000ドルにも達しているという。

画像: crystal51/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

わりかんアプリ提供「paymo」のAnyPay、9月からICOコンサルティング事業に参入

わりかんアプリの「paymo」やオンライン決済サービス「AnyPay」を提供するAnyPay。同社は8月28日、ICO(Initial Coin Offering:仮想通貨による資金調達)のコンサルティング事業へ参入することを明らかにした。9月にも事業を開始する。

最近テック系メディアを中心に、その名前を聞くことが増えたICO。海外では、2017年に入って調達額が急増、200億円近くを調達する企業も出ているという。直近ではエストニアが政府主導でのICOを計画しているということでも話題になったばかり。

一方で日本の状況を見てみると、テックビューロが日本の仮想通貨法をベースにしたICOプラットフォーム「COMSA」を発表するなどしているが、ICOを実施している、もしくは実施予定の企業はまだまだ少ない。米国のThe DAOの事例などもあり、法規制などを考慮した設計も必要になる。

AnyPayは、日本は既存の金融システムが優秀であり、また新しいモノについて懐疑的なところがある。さらに過去にマウントゴックス社の事件などもあって投機目的以外でまだまだ仮想通貨に対してネガティブな考えもあると分析。その上でICOは実施企業にとって資金調達のコストが低く、調達規模の自由度が高く、グローバルである。また投資家にとっては、高いキャピタルゲインを得られる可能性があるとメリットを説明する。

今回のICOコンサルティング事業では、通常の資金調達に必要な検討事項に加えて、ICOで必要な法律や会計観点でのサポート、トークン発行・組成、国内外へのPRなどをAnyPayが国内外の有識者や取引所と組んで行う。これに先駆けて、仮想通貨発行事業者と連携して、仮想通貨の発行システムも開発しているという。料金についてはプランにより異なるが、「ICOでの調達額の何パーセント」といった設計もあり得るとしている。

ICO実施の支援を行う対象は、スタートアップや未上場の中小企業など、資金調達需要の高い企業を優先する。また将来的には著名人などのプロジェクトについても対応していくことを検討中だ。ターゲットとするエリアは設定せず、グローバルに展開するという。

AnyPay代表取締役社長の木村新司氏

AnyPayでは今回の事業を展開する理由として、これまでFinTech領域の事業を展開してきたこと、またAnyPay、代表取締役社長の木村新司氏個人それぞれでFinTechや仮想通貨領域への投資を行ってきたこと、またそこで培ったリレーションがあるからだと説明する。

実際にICOを実施してトークンを発行しても、それが流通する取引所がないと流動性が生まれず、トークンの価値にならない。そういった点についてパートナーと協力することで補完できる、ということも強みだと木村氏は語る。例えば日本の取引所であるbitFlyerも木村氏の投資先の1社だ。

また仮想通貨では、詐欺の可能性が疑われる、いわゆる「詐欺コイン」の存在もあるが、社内のコンサルタントチームで(ICOする)事業内容を精査することで、これを防ぐとしている。

案件についての詳細は非公開だったが、すでに計画中の企業もいるとのこと。AnyPayではこの事業を通じて、年内にも2社程度のICOを支援する予定だ。なお、自社のICOについては、現状予定がないとしている。

フィスコが10億円、ほかVC2社が仮想通貨とCOMSAのICOトークンへ直接投資を開始

テックビューロがICOソリューション「COMSA」(コムサ)を発表したことはTechCrunch Japanで8月3日にお伝えしたとおりだが、このCOMSAが作り出そうとしている「ネットワーク」にリアルマネー(法定通貨)を投資する事業会社とVCがでてきた。

COMSA発表から1週間が経過した今日8月10日、金融情報提供サービスを運営するフィスコのほか、テックビューロの既存投資家であるVCの日本テクノロジーベンチャーパートナーズ、IoT関連スタートアップに投資しているアクセラレーターのABBALabの3社が、COMSA上で流通するICOトークン(CMS:単位はCOMSA)をはじめ、ビットコイン(BTC)やNEMプロジェクトの通貨である「XEM」への直接投資を開始したことを発表した

ビットコイン、NEM、COMSA、ICOトークンへ投資

「直接投資」を噛み砕いていえば、ビットコインやNEMの仮想通貨を日本円で買っていくということだ。買うのは既存の仮想通貨だけでない。10月2日に予定されているCOMSAのトークンセールで出てくる「COMSA」という新しいトークンについても投資予定だし、COMSAというICOプラットフォームで今後でてくるICO案件で発行されるトークンについても投資を予定している。ただ、ICOによるトークンは有価証券ではないので、投資家ではなくトークン購入者というほうが現実に近いのかもしれない。

既存仮想通貨やCOMSA、COMSAを使って今後でてくるICO案件それぞれの投資金額や比率は明らかにされていない。ただ、フィスコは全体で10億円規模となる仮想通貨専門の投資ファンド「FISCO Crypto Currency Fund(仮称)」を組成するとしている。

フィスコは株式、為替、金利などの金融情報を投資家向けに提供していて、すでに仮想通貨に関する情報提供も開始しているが、仮想通貨やICO市場を既存金融市場と比べたとき「合理的な市場は形成されていない」(フィスコ代表取締役狩野仁志氏、発表文からの引用)という。

確かに現在、仮想通貨に関する情報といえば、単に誤った情報というだけでなく、根拠のない断言やあからさまな嘘、煽りも横行している状況だ。世界のICOについて言えば、トークンセールの実施主体が発行するホワイトペーパーと、そのICOによって利益を得る関係者たちの証言だけが頼りということもある。今後、もしICOが資金調達手段として既存の資本市場を補完する存在になっていくのだとしたら、信頼できる情報に対するニーズが高まることは十分に予想されるところだ。

しかし、フィスコのような情報提供者が直接投資をするプレイヤーとなることに矛盾はないのだろうか? この点について前出のフィスコ狩野氏は、情報の透明性を高めることで「合理的な金融市場形成に寄与する」という同社の使命に言及しつつ、次のようにコメントしている。

「私たちがXEMをはじめとする将来有望な仮想通貨やICOトークンへ積極的に投資することで、他の投資家に対する超過利潤を得ることに何のためらいもありません。自らがプレイヤーとなり、そのパフォーマンスを実現し、市場に示していくことは、私たちがその使命を遂行する上でもっとも効率的かつ効果的な方法論であろうと考えています。今後の私たちの投資パフォーマンスに是非ご期待頂ければと思っています」

音楽にたとえると、IPOはクラシック、ICOはロック

ICOという新しい仕組みについて日本テクノロジーベンチャーパートナーズの村口和孝氏のコメントが興味深い。かなり長いコメントだが、あまりに面白いので以下に全文を引用しよう(改段落はTechCrunch Japan編集部による)。村口氏は日本の独立系VCの草分け的存在として、日本のVCの間では最も尊敬されている人物の1人だ。

「NTVPではこれまでDeNAなど日本のスタートアップ企業に対して株式を使って、投資を長期で実現して、発展を支援してきました。音楽でいえばクラシック音楽です。20世紀の株式による資本を増加する方法であるVC投資とIPOに対し、ICOは、ロックの登場です」

「ICOは21世紀のフィンテック時代における、事業実現に向けての新しい実に有効な資本調達手段だと考えています。NTVPはこれまでの株式のガバナンスを有効な支援方法とする方法に対し、ICOではトークン市場での会社発展エコシステムにトークンホルダーとしてVCとして事業発展に関与します。そこでは、NTVPは、トークンをいかに保有し、いかにトークン発行会社のICOで実現しようとしている事業ビジョンの実現を支援するかが、ICOに関与するVCとしての役割になるでしょう。もちろん、NTVPでは、従来のIPOを狙うスタートアップ企業に対するクラシック株式投資も継続しますし、それがすべてICOのエレキギターによるロックに置き換わる訳ではありません」

「21世紀はIPOクラシックとICOロックと2つのエコシステムが互いに協調しながら経済社会のフロンティア領域において、新しい経済のスターを生み出す2つのエンジンになる日が近いと考えています。ロックが最初不良の音楽とみなされたように、社会が受け入れるには十年くらいかかるかもしれませんが、ICOからエルビスプレスリーやビートルズ、さらにはマイケルジャクソンが誕生する日も近いとNTVPでは考えています」

ICOとは何なのかということについては、『FinTechの法律』(日経BP、2016)などの共著書がある増島雅和弁護士(森・濱田松本法律事務所)が7月に発表したスライドが現状のサマリーとして参考になるので、以下、一読をオススメしたい。増島氏はテックビューロのリーガルアドバイザーも務めている。

テックビューロが開発を進めるCOMSAは、複数のブロックチェーン間のゲートウェイとなるプラットフォームだ。テックビューロ創業者で代表取締役の朝山貴生氏はTechCrunch Japanの取材のなかで、その狙いを「プライベートチェーンとパブリックチェーンの境目をなくすのが目標」と語る。

ここでパブリックチェーンと言っているのは、NEM、Ethereum、Bitcoinのブロックチェーンのこと。プライベートチェーンといってるのは個々の企業が使用するmijinのブロックチェーンのことだ。境目をなくすと言うときカギとなるのは異なるチェーン上の価値を交換可能とする「ペッグ」という手法だ。

「COMSA CORE」と呼ぶクラウド上の9台のサーバーで稼働するmijinノードで稼働するブロックチェーンがパブリックブロックチェーン同士をペッグし、「COMSA HUB」というmijinのプラグインがそれらパブリックブロックチェーンと内部勘定のプライベートなブロックチェーンをペッグする。

COMSAでペッグさせるのは、既存仮想通貨や、新規発行するICOトークンと仮想通貨などの組み合わせがある。さらに法定通貨(円や米ドル)とペッグさせることも視野に入っている、という。法定通貨とのペッグは、直接的なやり方ではなく、法定通貨とペッグした仮想通貨(TetherやZEN)を使うことで行う。法定通貨の裏付けを持ったサービス提供主体がプライベートチェーンを運用し、これをパブリックチェーンにペッグすることで、円やドルと等価のトークンを仮想的にパブリックなNEMやEthereumのブロックチェーンで扱えるようになる。このことは、パブリックチェーン上で商取引が可能になることを意味している。テックビューロの朝山氏は「実経済の資金がさらにブロックチェーン上に乗って、潤滑油になってエコシステムが回りだす」と話している。

COMSAで扱うICO案件については、COMSA自体のICOのほか、2号案件として11月中旬に東証二部上場企業のプレミアムウォーターホールディングス、3号案件として11月下旬にCAMPFIREを予定している。取り扱うICO案件について朝山氏は「10社に9社はお断りしている状況」と話していて、引き合いが多いものの採用基準自体は厳し目にしているそうだ。

日本の仮想通貨法を武器とした資金調達のICOプラットフォーム「COMSA」をテックビューロが発表

新たな資金調達手段としてICO(Initial Coin Offering、仮想通貨発行による資金調達)に注目が集まっている。ICO情報を集めたcoinschedule.comによれば2017年1月から7月までのICOによる資金調達総額は1253Mドルと1Bドル(10億ドル、約1100億円)を越える水準にある。今はICOブームのただなかといっていい。

この盛り上がりを背景に、世界に先駆けて仮想通貨法(改正資金決済法)を成立させた日本ならではのICOソリューションが登場する。仮想通貨取引所Zaifを運営し、プライベートブロックチェーン技術mijinを開発するテックビューロが8月3日に発表した「COMSA」だ。3種類のパブリックブロックチェーンに対応する点、システム技術としてプライベートブロックチェーンを利用する点、日本の仮想通貨法による法的根拠を売り物とする。

COMSAの1号案件として、この2017年10月にCOMSA自体のICOを実施する予定。2号案件は11月中旬に東証二部上場企業のプレミアムウォーターホールディングス、3号案件は11月下旬にCAMPFIREを予定している。

COMSAの全体像は複雑だが、要点は以下のようになる。なお、これはCOMSAの完成イメージで、ICOの1号案件で調達した資金により開発していく構想だ。

  • ビットコイン、Ethereum、NEMと3種類のパブリックブロックチェーンに対応。複数の仮想通貨により資金を調達できる。
  • ICOによるトークンの発行技術として、Ethereum上のトークン技術ERC20、NEMの技術であるMosaicを利用可能
  • 仮想通貨が抱えるボラティリティ(価格変動の激しさ)を回避するため、日本円と価格が連動する仮想通貨Zenのような法定通貨とペグした仮想通貨を利用可能とする
  • システム技術としてmijinにより構築したプライベートブロックチェーンを採用。プライベートブロックチェーン内トークンとパブリックブロックチェーン上のトークンを連携させるソリューションにも対応する。またサーキットブレーカーなど緊急事態への対応策を取り入れる
  • 法的根拠が明確。日本の仮想通貨法に基づき金融庁の登録事業となる予定のZaif取引所が資金を管理する。
  • 有識者を集めたICO協議会を設置し、研究や情報発信を行う

The DAOを教訓に、上場企業が利用できるICO手法を構想

COMSAの構想からは、2016年に登場して数々の課題を残していった仮想通貨建て投資ファンドThe DAOの影響を見て取ることができる。The DAOは非中央集権型という建前のため素早いセキュリティ対策が取れないままハッキング被害を受けた。またハッキングによる被害を回復しようとしてEthereumのパブリックブロックチェーンのハードフォークによる巻き戻しという強行策を取り、その副作用として新たな仮想通貨Ethereum Classicが分岐した。さらにThe DAOには法的根拠が明確でないとの指摘があった。1年後の2017年7月25日にSEC(米証券取引委員会)が発表したレポートでは、The DAOを調査した結果「有価証券にあたり規制対象となる」と結論付けている。The DAOは事業リスクをデジタルなトークンの形にしたもので、証券法の対象となるとの指摘だ。

このような課題をCOMSAは次のように解決している。まずテックビューロがシステム、資金管理に責任を負う形とした。日本の仮想通貨法という法的根拠があり、分別管理など仮想通貨取引所に課せられている基準が適用される。またシステムはプライベートブロックチェーンとパブリックブロックチェーンを連動させる形とし、緊急時には切り離して対応可能とした。The DAO事件のようなセキュリティ上の脅威や相場操作のような事態に対処しやすいようにした。またSECの規制対象とならないよう「有価証券に相当しないトークンを発行する」(テックビューロ代表取締役の朝山貴生氏)と説明する。これは、リスクが高いプロジェクト立ち上げのための資金ではなく、継続中の事業の資金調達を主な対象と考えていることを意味する。

法的根拠に関しては、相当の調査を進めている模様だ。前述したICO協議会の委員に名前を連ねる増島雅和弁護士は、最近開催した勉強会で「有価証券の公募によるIPOは米証券法に関する規制対象となる。有価証券に該当しないようデザインした仮想通貨トークンを使わなければトークンセール/ICOの意味がない」と説明している。国境を越えて広い範囲から仮想通貨建てで資金を集めることができることがICOのメリットだが、そのメリットを享受するにはSECや各国の規制対象とならない種類のトークンにする必要がある。

以上見てきたように、COMSAは、今までよく耳にしてきた「非中央集権型のパブリックブロックチェーン上の分散型アプリケーション開発プロジェクトのための資金を調達する」といった発想とは正反対のプラットフォームといえる。運営主体は日本の一企業なので中央集権型だ。運営主体と法的根拠が明確な点で、すでに事業基盤を固めている企業が利用できる資金調達手法といえる。もっとも、スタートアップ企業の資金調達のためにCOMSAを使うことも今後はありうるとのことだ。「例えば、スタートアップ向けファンドから資金調達をした企業が、その信用を背景にICOで追加の資金調達をする使い方も考えられる」(朝山氏)としている。

 

シンガポールがアメリカに続いてICO規制に乗り出しか

米証券取引委員会(SEC)のICO規制に関する発表から1週間も経たないうちに、シンガポール当局も証券として考えられるトークンの規制を始めると発表した。

世界的な金融ハブとして知られているシンガポールは、TenX(調達額:8000万ドル)、Golem(860万ドル)、Qtum(1560万ドル)などの資金調達を経て、ICOのメッカのような存在になった。ICOという、これまでになかった資金調達方法について各国当局の対応に注目が集まる中、シンガポール金融管理局(MAS)は自国通貨の電子化に努めており、仮想通貨業界からはポジティブな声が集まっていた。

中にはシンガポールを「ICOヘイブン」のように考えている人もおり、3月のWiredの記事では、シンガポール当局は「このような電子トークンを証券とは考えていない」とまで書かれていた。

どうやらそれは違ったようで、本日(現地時間7/31)MASは、一部の(どうやら全てではないようだ)ICOを規制する旨の書簡を公開した。

6つのポイント沿ってまとめられた書簡の内容を要約すると、MASは今後シンガポールの証券先物法の対象になりそうな(つまり株式のような証券に近い)トークンの販売を規制していくということだ。さらにMASは、取引所をはじめとするICO後のトークン売買を可能にするサービスも規制対象になると記している。

シンプルな内容のようにも見えるが、何を「証券」とみなすかはMASの判断であり、その条件については現時点では明らかになっていない。

MASは妥当なアドバイスとして、シンガポールが関連したICOを考えている企業・個人は「関連法に照らして第三者機関からの法的なアドバイスを受け、必要に応じてMASとも相談するよう」促している。

ICOを行うシンガポール法人以外にも、シンガポール人やシンガポールに拠点を置く個人・法人からの出資を受けるICOも規制対象になる可能性がある。

だからといって悲観する必要はない。シンガポール当局は同国でICO人気が高まっているのを認め、規制をもってこの新たな資金調達方法に漂う法的な不透明さを払拭しようとしたのだ。今後はどのICOが証券取引として考えられるのか(そもそもそんなものが存在するのかを含め)、そして当局がそれにどう対応するかということに注目が集まる。

業界団体のACCESS(シンガポールの仮想通貨・ブロックチェーン企業から構成されている)は、既にMASの書簡を歓迎している。

「本日MASが公開した書簡の内容を喜ばしく感じています。当局は仮想通貨の多様さと共に、証券先物法の対象にならない通貨の存在も認めているのです。明確化された規制対象や仮想通貨に対するMASの新たな意見について知ることができありがたく思っています」とACCESSの広報担当者は語った。

MASは以前にも、ICOで使われることのあるビットコインやイーサリアムといった仮想通貨に関する勧告を発表したが、資金調達の手段として仮想通貨が利用され始めたことを受けて、今回の書簡を公開するに至った。

「海外の規制当局と同じように、MASも仮想通貨を規制しないというポジションをとっています。しかし最近では、ただの仮想通貨を超えたトークンの使い方が散見します。トークンが発行者の資産や所有物の所有権や担保権を表章するものとして使われている場合がその一例です」と書簡には記してある。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

タイのフィンテクスタートアップOmise、”節度を持った”ICOで2500万ドル調達

さすがにICOという言葉を聞いたことがないという人の数は減ってきただろう。今年に入ってからだけでもICOによる調達金額は5億ドル以上にのぼる。その一方で、未完成のプロダクトや、まだ真価が問われていないチームに不相応なほど巨額な資金が集められているとも言われている。

そんな中、この度ある企業が、ICOにも良識あるやり方が存在するということを証明できたかもしれない。

タイに拠点を置くフィンテックスタートアップのOmiseは、トークンの販売を通じて新たに2500万ドルを調達したと発表した。本日(現地時間6月5日)トークンの販売を終了した同社は、これまでICOを行った企業の中ではもっとも実績のあるテック企業だ。

ICO以前にもVCから2000万ドル以上を調達していたOmiseは、既存の金融システムに革新を起こすべく、調達資金を使ってOmise Goと名付けられた分散型の決済プラットフォームを開発する構えだ。銀行口座を持っていない人でも、諸々の手数料なしにネットワーク上で資金のやりとりをできるようにするというのがOmise Goの根幹にあるアイディア。P2P決済以外にも小売企業とタッグを組んで、ものやサービスを購入できるようにしたり、他の決済サービスと接続したりということも同社は考えている。

Omise Goは現在開発中で、第一弾となるサービスやプロダクトは今年の第4四半期中にはリリースされる予定だが、全てが使えるようになるのは来年の後半くらいになると同社は話す。Omise Go上では、ICOで売りに出されたERC20準拠のトークン、OMG(Omise Go独自の仮想通貨)が使われることになる。さらにOMGの所有者は、ネットワークの運営を手伝うことで収入を得られるような仕組みになる予定だ。これは昔のソフトウェアライセンスの考え方に近く、イーサリアムを開発したVitalik Buterinの意向もここには反映されている。なお、Buterinは現在「Casper」と呼ばれる、プルーフ・オブ・ステーク機能(日本版注:プルーフ・オブ・ワークの代替システムにあたり、トークンの保有割合でブロックの承認割合を決めるというもの)をイーサリアムに導入しようとしている。

OmiseのコアビジネスはStripeのようなオンライン決済サービスで、現在はタイ、日本、インドネシアの3か国で営業しているが、数年前からブロックチェーン技術に興味を持ち始めたとCEOの長谷川潤氏は語る。同社は2015年にEthereum FoundationのDevgratsプログラムに10万ドル出資し、Microsoftらとともに最初の支援企業のひとつとなった。しかも、このときはまだブロックチェーン技術を使ってOmise Goのようなビジネスを立ち上げるというアイディアは生まれていなかった(OmiseはEthereum Foundation出身者をOMG開発のために雇い、Buterinも顧問として同社に参加している)。

なお、発行されたOMGの65.1%がICOで売りに出され、5%が”エアドロップ”としてイーサリアム保有者に、残りは一部がOMGとOmiseの開発・運営資金に使われ、あとは投資家とチームメンバーに分配される予定だ。

Omise Goのチームと顧問のButerin、Lightning Network開発者のJoseph Poon

OmiseのICOは色んな意味で注目に値するものだった。まず、これまでは設立間もない若い企業が、確立されていないプロダクトと野心だけで資金を調達するために採用されることが多かったICOだが、Omiseは既に名の通った企業だ。

また、今回のICOはプロセスがきちんと管理された初めての例だった。

ICOで大きなリターンを得られるという評判が広がるうちに、ゴールドラッシュのようにいくつもの企業がICOに飛びつき、それぞれ何千万ドルという資金を調達したが、Omiseは調達額に2500万ドルという上限を設けたのだ。ここ数か月だけでも、ブラウザを開発するBraveが1分以内に3500万ドルを調達し、無名のフィンテック企業TenXが8000万ドルを、そしてICOを支える技術を開発しているBancorも1億5000万ドルを調達した。さらに、物議を醸したEOSも1年間におよぶキャンペーンを経て、ICO最高額とも言われる1億8500万ドルを調達した。

OMGのICOでは、上記の例とは対照的に上限が設定されていた。当初Omiseは調達額を2000万ドル未満におさえるつもりだったが、投資家からの需要に応えるため2500万ドルまで調達額を引き上げることに。また、最初は400万ドル分のOMGを、仮想通貨に興味を持った従来の投資家に向けて一般販売開始前に売り出そうとしていたが、これもあまりの需要に不可能だということがすぐにわかった。

長谷川氏によれば、一般販売はおろか事前販売への反応だけを考えても、やろうと思えば簡単に1億ドル調達することもできたが、Omiseは金額をおさえて「節度を持った」資金調達を行うことに決めたのだという。さらに同社は、他社のICOで見られたように潤沢な資金を持つ少数の投資家がトークンを独占するようなことがないよう対策を練っていた。

結果的に、当初予定されていた一般販売はキャンセルされ、より安定的で管理された手段をとろうということになった。そこでOmiseは、購入希望者は指定された証券会社に情報を登録しなければいけないようにし、ひとり(1社)が購入できる量にも制限を設けることにした。

「KYC(本人確認)を済ませた人に対してのみOMGを売り出し、少数のお金持ちがトークンを買い占めてしまうことがないようにした。(Braveの)Basic Attention Token(BAT)では実際に買い占めが起きていた」と長谷川氏は声明の中で述べた。

「他社のICOとは違い、私たちは上限額の2500万ドル以上調達する気はなかった。というのも、現状の目標を達成する上で、それ以上の資金は必要ないと判断したのだ」と彼は付け加える。「必要以上の資金を調達するのは、無責任だし非生産的だと考えている」

EOSの件もあり、ICOは単に企業と投資家がお金をつかむための手段だという認識が広がっている中、Omiseがこのようなアプローチをとったのは興味深い。ICOが多大な可能性を秘めているというのは間違いないが、コンセプトとしてかなり新しいため、まだその実態はつかめていない。しかしOmiseのように責任感を持って、きちんとICOのプロセスを管理する企業が増えてくれば、疑いの目を向けている人たちも納得し、テックコミュニティはICOの真の力を発揮できるようになるかもしれない。”腐ったミカン”をそのままにしておくにはもったいないということだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

ICOファンドとは?――業界に先駆け1億ドルのファンドを設立したVCに聞いてみた

多くの投資家がイニシャルコインオファリング(ICO)に関する情報をかき集めている。テック業界で野火のように広がるこの資金調達方法に、さまざまな人が期待すると同時に、困惑や恐れを感じているのだ。

簡単に説明すると、ICOとは独自の仮想通貨の発行・販売を通じて、ユーザーから資金を集める資金調達方法だ。ユーザーは購入した通貨を将来的に販売元のスタートアップのサービスに使ったり、取引所で売却したりできる。

まだ規制環境が整っていないため、ほとんどのVCはICOへの参加に慎重な姿勢を示している。自分たちのビジネスが脅かされようとしているにもかかわらずだ(顧客が喜んで出資してくれるというのに、わざわざ投資家に株式を売り渡す人はいないだろう)。

しかし、サンフランシスコに拠点を置くあるVCはICO投資に積極的に取り組んでいる。そのVCの名はPantera Capital。以前Tiger Managementに在籍していたDan Moreheadが14年前に設立したこのVCは、ビットコインをはじめとする仮想通貨に特化したファンドを業界に先駆けて立ち上げたことでも知られている。

他社が手を出せないでいる領域に、Panteraがいち早く進出するというのは、もはや驚くべきことではない(彼らは現在1枚あたり約2500ドルの値がついているビットコインに1枚65ドルの頃から投資し始め、大きな成功をおさめた)。しかし、常に前のめりなPanteraとはいえ、今回のファンドのサイズ(今年の夏中に1億ドルの調達を予定しており、既に3500万ドルが集まった)は大きすぎるようにも感じられる。

新しいファンドの詳細を知るため、MoreheadとPanteraパートナーのPaul Veradittakit、そして最近チームに加わったJoey Krug(Augur共同ファウンダー)に話を聞いたので、以下にその様子をお伝えしたい。なお、Augurは分散型の未来予測プラットフォームで、ICOという言葉が知られるずっと前の2015年にICOで530万ドルを調達している。

昨年Thiel FellowにもノミネートされたKrugは、Panteraの新しい投資ビークルでMoreheadと共に共同チーフインベストメントオフィサーを務める予定だ。

TC:ICOの件数は今年一気に増え、特にここ数か月はかなり盛り上がっています。ICOに特化した新しいファンドの準備にはどのくらいの期間をかけましたか?

DM:ファンドの骨子をつくるのに数か月かかり、その一部としてJoeyをチームに迎えました。彼は私と一緒にファンドの運用を行い、Paulは資金調達を担当する予定です。

TC:投資家の顔ぶれはいかがでしょうか? 個人投資家と機関投資家だと、どちらの方が多いですか?

DM:大手の戦略投資家は1社のみですが、名前を伝えることはできません。残りは仮想通貨に手を出したいと考えている個人・機関投資家の両方ですね。

TC:機関投資家の中にはVCも含まれていますか?

PV:はい、含まれています。皮肉なことですが、多くのVCはファンドの規約のせいで仮想通貨へ直接投資できないことになっています。しかし、仮想通貨やICOについてもっと知るため、そして(この新しい資産に)実際に投資するために、ICOファンドに参加しているVCやベンチャーファンドはたくさんあります。

TC:AngelListはICOでの資金調達を考えているスタートアップのために、新たなプラットフォームを他社と共同でローンチしましたし、仮想通貨に投資しているファンドも存在します。ただ、これだけICOに特化したファンドというのは聞いたことがありません。そもそも似たようなファンドは存在するんですか? また、ファンドの仕組みについても教えてください。

DM:ICOに特化したファンドが他にもあるかどうかはよくわかりません。ファンドの仕組みについては、まず一般販売が始まる前にトークンを購入し、その後販売が始まってから再度追加でトークンを購入するようにしています。

PV:つまり私たちは、創業チームとホワイトペーパー(プロダクトの技術的な部分や、スタートアップが取り組もうとしている問題、その解決策などについて書かれた文書)しか揃っていないような企業のICOにできるだけ早い段階で関わることで、トークンを安く手に入れようとしているんです。逆に私たちはそのような企業に対して、マーケティングや人材採用、ビジネス開発などに関するコネクション作りの手助けをしています。

TC:今のところ規制当局はICOの動向を傍観しているようですが、そのうちこの分野にも規制がかかってくると思います。ICOで販売されるトークンは、発行主体の情報開示や事業者登録が必要な証券ではなく、サービスや製品のような存在として扱われていると理解していますが、もしこの考え方が変わった場合はどうしますか?

DM:トークンの性質はさまざまで、商品先物取引委員会(CFTC)や内国歳入庁(IRS)を含む世界中の規制団体が、既に仮想通貨に対する明確なスタンスを示しています。まだ判断を下せていない団体も存在しますが、仮想通貨の売買と同じように、既存のルールに当てはめられるのか、もしくは新たなルールを導入しなければいけないのか、ということを判断するのにはある程度の時間がかかると思います。

TC:これまでにICOファンドから投資したスタートアップの数はどのくらいですか? また、投資先を決める際の基準について教えてください。

DM:これまでの投資先はKik(ICOはこれから行われる予定)、OxFunFairOmiseCivicの5社です。Civicに関しては、以前からエクイティ投資も行っています。

JK:投資先を選ぶ基準のひとつとして、仮想通貨がサービスに欠かせないような仕組みになっているかという点を重視しています。サービスネットワークの中で使われているのがその通貨のみかどうかということです。

TC:トークンの保有割合ついては目標値を設けていますか?

DM:特に具体的な基準は設けておらず、それぞれのICOを個別にチェックしています。出来る限り保有割合を大きくしたいとは考えていますが、トークンの発行数にもよります。KikとFunFairに関しては、恐らく私たちが筆頭”トークン主”ですが、他の企業に関しては私たちより多くのトークンを購入した投資家がいます。

PV:現状、トークン市場の規模はおよそ40億ドルと言われています。Kikは従来の方法で十分な資金を調達しながらも、ビジネスモデル全体をトークンベースに変えようとしており、今は彼らにとって大きな転換期だと考えています。もしもKikの試みがうまくいけば、グロースステージにある企業でもトークンの導入が進んでいくでしょう。そして彼らがトークンを使って何億ドルという資金を調達し始めれば、市場規模は一気に拡大していくと思います。

TC:エグジットに関してですが、Panteraではまず一般販売前にトークンを購入し、スタートアップがIPOに向けてプロダクトを開発する手助けをしていくということでしたよね。最終的には最近増えてきている取引所で、値上がりしたトークンを売却するんですか?

DM:その通りです。現在(Panteraが利用する可能性のある)取引所はKrakenPoloniexBittrexを含めて10か所ほどですが、今後新たな取引所が設立され、取引価格が妥当であればそこもオプションに加えていく予定です。

TC:一度に大体どのくらいの数の企業に投資していますか?

DM:10〜20社です。

TC:何か特定のバックグラウンドを持つファウンダーに投資するようにしていますか? というのも、かなりの数の企業がトークンを導入しているため、その中から有望な企業を見つけるのは難しいですよね。

JK:私たちがこれまでに話をした何百という数の企業のうち、今は30社の動向を追っています。トークンベースのビジネスを行う上で、起業経験は必ずしも必要ではありません。起業経験があるというのは、何かしらのビジネスのやり方を知っているという意味では価値がありますが、私たちが投資しているようなビジネスでは、そこまで重要なことではないんです。

トークンベースのビジネスは、普通のビジネスとは大きく異なります。トークンは株式と違いコミュニティーが保有するものなので、意思決定やガバナンスのプロセスもかなり違うんです。

TC:学歴に関してはどうですか?

JK:全ての条件が同じであれば、恐らく大規模なオープンソースコミュニティの構築経験があるかというのが重要なポイントになると思います。

TC:いずれICOの規模が株式を対価とするベンチャー投資の規模を上回ると思いますか?

DM:長期的に見れば、VCが資金調達を仲介する必要がなくなる可能性はあると思います。ウェブブラウザを開発するBraveのICOでは、24秒で3500万ドルが集まりましたからね。

2017年第二四半期のブロックチェーン企業による資金調達の様子を見てみると、ICOへの投資総額(2億1000万ドル)がVCの投資総額(1億8000万ドル)を上回っていました。この傾向が今後強まると考えているからこそ、私たちはICOファンドを立ち上げたんです。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ICOは新しいエグジットの形――Kik CEOが語る仮想通貨の魅力

メッセージングアプリKikのCEOであるTed Livingtonが、本日(現地時間6月20日)中国の深センで行われたTechCrunchのイベントに登壇した。その中でモデレーターのJon Russelは、なぜ同社が最近資金調達手段としての人気が高まっているイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を選択したのかを彼に尋ねた。

まず、LivingtonはICOが「外部から資金を調達し、企業に資金を供給するための新しい方法」だと語った。「欧米でマネタイズに困っていた私たちにとって、仮想通貨はとても魅力的でした」

ICOの結果、「Kin」と呼ばれるビットコインのようなKik独自の仮想通貨が誕生した。Livingtonによれば、Kikのコミュニティ内にKinベースの決済システムを導入することで、「Kikは何百万人という月間アクティブユーザーが参加する、ある種の経済に変化する」という。

最近多くのスタートアップがICOの道を選んでいる一方で、Kikがこれまでに多額の資金をベンチャーキャピタルから調達しているということは特筆に値する。ユニコーン企業であるKikが追加資金を調達できなかったのかという質問に対して、Livingtonはそれを否定し、ICOは新しいエグジットの形なのだと主張した。

ICOによって株主は十分なリターンを得られるため、結果的にM&AやIPOへのプレッシャーが弱まると彼は考えているのだ。

「いつかKikを売却しなきゃいけないと考えるのが嫌なんです」と彼は言い、IPOについては「しなくてもいいといいんですけどね」と話した。

ビットコインで一山稼いだ人もいれば、ボラティリティの高さゆえに仮想通貨のことを投資対象として信用していない人もいる。Livingtonは、仮想通貨がどちらの道にも進み得ると考えているようだ。

「私は最近頻発しているICOのことをドットコムバブルのように捉えています。当時はお祭り騒ぎのような状態で、大金をつかんだ人もいれば、大金を失った人もいました。でも、その中からAmazonやGoogleが誕生したんです」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Mozilla前CEOが設立したBraveが30秒で3500万ドル調達――テック界に広がるICOの可能性

暗号通貨の売却を通じて資金を調達するイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関しては、さまざまなニュースを目にするが、昨日の出来事ほど衝撃的なものはなかった。Mozilla前CEOのBrendan Eichが立ち上げたブラウザ開発企業Braveが、ICOで3500万ドルを調達したのだ。しかも、30秒以内に。

ICOでは投資に対して暗号通貨が配布されるようになっており、投資家は従来の株式よりも多様な形で資産を保有することができる。Braveは資金調達にあたり、独自の通貨Basic Attention Token(BAT)を10億枚売却した。その総額は15万6250ETH(=3500万ドル強)。同社によれば、さらに5億万枚のBATがユーザー獲得や「BATの開発」のために発行されたが、将来的な追加販売は考えていないという。

BraveのICOは過去最高額にあたり、彼らのビジネスはブロックチェーン技術のユースケースとしてはかなり興味深い。JavaScriptの考案者で2014年の疑惑のあとにMozillaを去ったEichは、Founders Fundをはじめとする投資家からこれまで700万ドルをBraveのために調達してきた。現状のネット広告のシステムに本質的な問題があると考えている彼は、ブロックチェーン技術を使って広告システムを効率化し、広告主や出版社、ユーザーという全ての関係者がメリットを享受できるような仕組みを提唱している

北米の若者に人気のメッセージングサービスKikも、モノやサービスの購入に使える”Kin”と呼ばれる仮想通貨の構想を最近発表し、Braveの後に続こうとしている。BraveはBATを広告システム内で流通させようとしており、同社によればBATの導入によって、広告詐欺を抑制できるとともに、出版社や広告主の効率性も向上するという。さらに彼らは、将来的にマイクロペイメントや電子商品の購入にもBATが使えるよう研究を重ねている。

また、Braveは同社のブラウザのメリットとして、短い読み込み時間、強固なプライバシー管理機能を挙げているほか、ユーザーはBraveのブラウザ上でコンテンツを読むだけでお金を稼ぐことができるようになるかもしれない。

直近では、ICOで調達した資金を使って広告プラットフォームの開発を進める予定だ。

ところで、BraveのICOで気になったのは参加者の少なさだ。Coindeskによれば、実際にBATを購入した人は130人しかおらず、中にはひとりで460万ドル(=2万ETH)分のBATを購入した人もいた。全体で見ると、投資総額の約半分がたった5人の投資家によるもので、投資額上位20人が発行されたBATの3分の2を手にしたとCoindeskは報じている。

この状況は、暗号通貨を使った資金調達によって、日常的に使っているサービスの開発元や気になっている企業の所有権を誰でも得ることができるという、Ethereumの哲学に反しているように映る。もちろん、何億ドルという金額の仮想通貨を販売するためには、冒険心溢れる企業や先見性のあるVCのように、多額の資金を運用している投資家も必要だが、個人投資家が入り込める余地を残しておくというのは、ICOが一般化するにつれて重要な課題になってくるだろう。

ICOのスケジュールについては明かしていないKik以外にも、アジアのペイメント企業Omiseが2000万ドル弱規模のICOを今月行う予定で、暗号通貨を使った資金調達に規模の大きな(そしてVCからの投資を受けている)テック企業も興味を持ち始めているようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter