プログラミングなしで業務自動化を実現するTonkeanが約26億円調達

新型コロナウイルスによる危機でリモートワークを強いられ、ワークフローに困難が生じている会社が増えている。こうした中、多数のスタートアップが業務プロセスの効率化を助けるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を提供するビジネスに乗り出している。

Tonkeanは業務自動化プラットフォームを専門とするサンフランシスコのスタートアップで、まとまった額のシリーズAラウンドを成功させたという幸運に恵まれている。

同社はTechCrunchに対し「Lightspeed Venture Partnersがリードする2400万ドル(26億円)のラウンドを完了した」と述べた。これを機にLightspeedのパートナー、Raviraj Jain(ラビラジ・ジャイン)氏がTonkeanの取締役に就任している。同社はこれまでに3100万ドル(34億円)を調達している。

同社のプロダクトは顧客が自由にカスタマイズできる業務のオートメーションとデータ、ソフトウェアの管理プラットフォームだ。システムは多様なデータソースと統合でき、運用の柔軟性が高い。 カスタマイズによりタスクを適切な担当者に振り分け、フォローアップを自動化し、システム間でデータを移動するなどが容易にできるようになる。Tonkeanのソフトウェアは、広汎なカスタマイズを可能にしているが、その焦点は、チームのワークフローから繰り返しの多い定形業務をできるかぎり自動化すること、人間の作業を必要とするタスクの前処理を行うことにあるようだ。

Tonkeanの共同創業者でCEOのSagi Eliyahu(サギ・エリヤフ)氏はTechCrunchの取材に対し、「エンタープライズソフトウェアの将来は多様な業務への適応性とパーソナル化だ」と語った。

同社のテクノロジーは「人間をループ内に含む業務のロボット化」と要約されるという。重点はプログラミングせず、コードを書かずにプラットフォーム上にタスクを構築してコンピュータに自動的に実行させるオートメーション化だ。業務プロセスの作成には一見して明らかなドラッグ・アンド・ドロップが用いられ、誰でも容易にワークフローを構築できるのがセールスポイントだ。ユーザーは他のユーザーがアップロードした業務テンプレートを利用して同種の業務を簡単に自動化することができる。

RPAは最近非常にホットな分野だ。この分野の有力企業、Automation AnywhereUIPathなどがとてつもない会社評価額を得ている。 ただし業界大手が大型クライアントの獲得に力を入れているのに対してTonkeanは業務ワークフローの自動化に焦点を絞っている。今のような未知の要素を抱えた世界ではこのアプローチが成功への近道かもしれない。

画像:Andrey Suslov / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

WordPress用ブサイト構築プラットホーム開発のElementorが約15億円調達

WordPressは今やあまりにもありふれているから、このプラットホームを使ってツールやサービスを構築しているスタートアップの大きなエコシステムがあることをつい忘れがちだ。そんなサービスのひとつがElementorで、ここはWordPress上に自分のウェブサイトを作りコンテンツを公開したいと思ってる人たちを助けるグラフィカルなウェブサイト構築プラットホームだ。このツールを使って作られたサイトはすでに400万を超えている。そして今でも半年に100万の新しいサイトが作られている。

同社はイスラエルのテルアビブで2016年に創業した企業で、Lightspeed Venture Partnersが仕切るラウンドで初めての本格的な資金調達を行い、1500万ドル(約16億3400万円)を獲得した 。

LightspeedのパートナーであるTal Morgenstern(タル・モルゲンシュテルン)氏は「Elementorの成長は、コミュニティとオープンソースソフトウェアの力を示す好例だ。創業者はウェブのプロとしての自分たちの問題解決からスタートし、その結果として全世界的でとても複雑なファンベースができてしまった。彼らはElementorを使って、ゼロから自分の本格的なプロダクトを作り上げている。どの数字を見ても、例外的に強力な市場適性を示しており、Elementorの旅の次の章でチームとパートナーできることは最高にハッピーだ」とコメントしている。

Elementorは、デザイナー向けにビジュアルエディターから出来合いのテンプレート集、そして決済やポップアップ、テーマ、WooCommerceによるeコマースサイト作りなどなど、標準的なユースケースのためのウィジェット集まですべてを用意する。多くは無料だが有料ツールもある。それらは1つのサイトなら年間49ドルから、1000サイトまでが年間199ドルだ。

ElementorのCEOであるYoni Luksenberg(ヨニ・ルクセンベルグ)氏は「Elementorの献身的なチームと素晴らしいコミュニティのおかげで、偉大な目標を達成できた。とてもリアルなニーズに応えてきたので3000億ドル市場で大きなシェアを獲得でき、しかも成長が今も続いている。今回の資金調達で、すべてのウェブクリエイターがプロフェッショナルなウェブサイトを容易に作れるという目標に向かう歩みを加速したい」。

同社によると、新たな資金はオペレーションとグローバルなコミュニティの加速に用いたい。2020年には、500回のミートアップを計画している。そしてチームの人数を今の1.5倍する計画を立てている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オープンソースプロダクトをより使いやすくするツール開発のGrafana Labsが26億円超を調達

オープンソースのデータ可視化・グラフ化ソフトウェアであるGrafana(グラファナ)の商用利用をサポートするGrafana Labsが、シリーズAで2400万ドル(約26億円)の巨額を調達した。Lightspeed Venture Partnersがラウンドをリードし、Lead Edge Capitalが参加した。

CEOで共同創業者のRaj Dutt(ラジ・ダット)氏によると、同社はオープンソースのGrafanaツールに商用のレイヤーを提供するスタートアップとしてスタートしたが、今ではオープンソースのモニタリングツールであるLokiなど、そのほかのプロジェクトもサポートしている。LokiはPrometheusに似ているが、Grafana Labsの自作ソフトウェアだ。

同社はこれらのサービスを動員してデータソースに接続し、データをモニタしている。ダット氏は「Grafanaは、データがどこにあってもそれらに接続する。独自のデータベースであっても、オンプレミスのデータベースであっても、あるいはクラウド上のデータベースでもだ。Grafanaが同時に接続できるデータソースは42種類以上ある」と説明する。

でも同社は、それ以上のものに成長した。同社によるとそのプロダクトセットは「さまざまなプロダクトを単一の提供物へと統一している。それは、世界初のユーザーが自由に編成できるオープンソースの観測プラットホームであり、Grafanaを主軸としてメトリックスやログ、トレースなどのデータを一元的に扱える」。

実は、モニタリングとロギングの伝統的なツールであるElasticやNew Relic、Splunkなども、今年はそんな一元的な方向へ進もうとしている。メトリックスやロギング、トレーシングなどを一体化したデータ分析や可視化のことを観測ないし観測性(Observability)という言葉で呼んでいる。

Grafana Labsはオープンソースプロジェクトの商用部門で、その上に構築した2つのプロダクトがある。まずGrafana Enterpriseにはエンタープライズにフォーカスしたデータコネクターと、強化された認証とセキュリティ、そしてオープンソースよりも充実したエンタープライズクラスのサポートがある。

GrafanaのSaaSバージョンもあり、それは完全な管理を伴い、オープンソースのダウンロードやインストール、管理、アップデート、パッチなどに伴う面倒がない。面倒はすべて月額料金でSaaS側が見てくれる。

ダット氏によると、最初の5年間では外部資金を400万ドルを導入しただけだが、社員数100人、顧客数500社にまで成長できた。彼の自慢はキャッシュフローが現状でとんとんであることだ。

そして近年Grafana Labsは、そろそろ大きな資金を得て成長を加速すべき段階だ、資金がなくてできなかったこともできる、と決意した。ダット氏は「オープンソースのコミュニティとそのマインドシェアにより、企業価値創成の善循環ができている。それは、持続可能なビジネスを築けた、ということだ。今後はその循環を加速していきたいので、思い切った資金調達を行なった」と語る。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Lightspeed 、3.6億ドルの中国ファンド組成中――同社として4回目かつ最大規模

今日(米国時間12/17)、アメリカのSEC(証券取引委員会)に提出された書類によれば、シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル、Lightspeed Venture Partnersの中国ファンドで上海を本拠とするLightspeed China Partnersが目標額3億6000万ドルのファンドを組成中だ。これはLightspeed Chinaにとって4回目のフラグシップ・ファンドとなる。

目標額が達成できれば、今回のファンドはLightspeed Chinaの過去最大のファンドになる。PitchBookの記事によれば、Lightspeed Chinaが組成したこれまでのファンドは、最初が2013年の1億6800万ドルで、直近が2億6000万ドルだった。

Lightspeed Chinaの責任者はJames Mi〔宓群〕(写真)で、評価額数十億ドルの中国企業多数に投資してきた。以前はGoogleの事業開発部門の責任者としてBaiduへの投資を指揮した。Miは2008年にLightspeedに加わり、2011年に中国事業を立ち上げている。ベテラン投資家のHenry Han〔韓彦〕もLightspeed Chinaの共同創業パートナーとしてSECへの書類の共同提出者となっている。

Lightspeed Chinaはeコマースの新星、Pingduoduo〔拼多多〕や金融検索エンジンのRong360〔融360〕の投資家でもある。両社は中国を代表するユニコーン企業であり、2017年にはアメリカで上場を果たしている。Lightspeed Chinaはインターネット、モバイル、エンタープライズ・コンピューティングの分野でシード資金など早期段階のスタートアップへの投資に注力している。

今年に入って、Lightspeed Venture Partnersは新記録となる18億ドル規模の大型ファンドへの出資確約を取り付けている。今月エンタープライズ、コンシューマー向け投資チームに新たに5人のパートナーを迎え入れた。これには Slackのグロース部門の前責任者、Twitterのグローバル事業開発部門担当の前バイスプレジデントらが含まれる。

Lightspeedにコメントを求めているがまだ回答は得られていない。

〔日本版〕原文の”David Mi”は”James Mi”に訂正。

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滑川海彦@Facebook Google+

匿名アプリのWhisper、取締役が相次いで辞任

Whisperを覚えているだろうか? 匿名のチャットアプリだ。話を聞かなくなってからしばらくたつが、今も存在しており最近になって著名な取締役がこぞって辞任した。

Los Angeles Timesによると、SequoiaのRoelof Botha、LightspeedのJeremy Liew、および投資家のJohn Hadlが最近取締役の職を退いた。取締役会オブザーバーだったShastaのSean Flynnも辞任した。

この動きは、同社のファウンダーらが会社の支配を取り戻そうとする企ての一環かもしれない。

かつてWhisperは、現在は閉鎖されたSecretやYik Yakなどの匿名アプリとともに隆盛を極め、2014年には評価額が2億ドルに達したが、それ以来現在3000万人いるユーザーを有償メンバーにして利益を上げることに苦闘している。

モバイル市場予測会社のSensorTowerは、昨期のWhisperアプリの全世界ダウンロード数を2016年第2四半期の55%減と推定している。

Sequoiaは、WhisperのシリーズBラウンドの筆頭投資家であり、通常は投資パートナーの名前を誇らしく公表しているが、現在ウェブサイトにWhisperの名前は見当たらない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook