“ソーシャル使い放題”のLINEモバイルがいよいよローンチ——本日より2万台限定で先行販売も

line_main

3月に開催したプライベートカンファレンス。「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」においてMVNO事業への参入を発表していたLINEだが、いよいよサービスが始まる。LINEは9月5日、「LINEモバイル」の詳細を発表した。正式ローンチは10月1日。これに先駆けて本日から2万台限定の先行販売を開始した。

LINEモバイルはLINEの子会社であるLINEモバイルを通じて提供されるMVNO事業。今回の発表では「LINEモバイル1.0」——つまり第1弾の取り組みであるとして——「LINEフリープラン」「コミュニケーションフリープラン」の2つの料金プランを発表した。各プランの概要は以下の通り。なおSIMカードのみでの販売に加えて、端末(8機種19バリエーション)とSIMカードとのセット販売も行う。本日9月5日午後2時より、LINEモバイルの公式サイトにて2万台限定の先行販売を開始している。

line02

  • LINEフリープラン
    月額500円(データ通信のみの金額。データ通信とSMSの場合月額620円、音声通話を加えると月額1200円)、LINEの通話およびトークが使い放題となるほか、1GBのデータ通信に対応する。
  • コミュニケーションフリープラン
    LINEに加えてTwitter、Facebookが使い放題となるプラン。データ通信とSMSの利用で月額1110円、音声通話を加えると月額1690円(いずれも3GBまでのデータ通信が可能)から。

いずれのプランでも0.5GBにつき500円からデータ通信容量の追加購入が可能。また、年齢認証やID検索に対応。支払いはLINE Payでも可能で、月額基本料の1%がLINEポイントとして付与される。LINE上の友人になっているLINEモバイルのユーザーに対してデータ容量を送りあうことも可能。フィルタリングサービスも無償で提供する。またLINE上にLINEモバイル公式アカウントを提供。トークを使ったデータ残量の問い合わせなども行う。

line_main line_price

ちなみにLINEモバイルではこのLINEやTwitter、Facebookの使い放題を「カウントフリー」と呼んでいるのだが、このカウントフリーの実現のために、LINEはNTTコミュニケーションと協力。IPやパケットの一部(テキスト、動画、画像等の内容は含まないとしている)をモニタリングすることになる。これについては、利用申込時に個別で同意を得るとしている。また今後は音楽ストリーミングサービスの使い放題プランなどを提供していく予定だ。

line01

ソラコム、シリーズBで24億円を追加資金調達して早くも「同時多発的な」世界展開へ

soracom

2015年9月にIoT向けのMVNOサービス「SORACOM Air」を発表したソラコムが今日、シリーズBとして24億円の追加資金調達したことを発表した。今回の出資ラウンドには既存投資家のWiLIVPに加えて、新たにVCや事業会社などが参加している。出資比率や、新たに加わったVC名、事業会社名、その業種は明かされていない。2015年3月に創業チームの自己資金でスタートしたソラコムは、その3カ月後の6月に約7億3000万円の資金調達をしていたので、創業1年と少しで合計約31億円と、日本のスタートアップとしては大きめの資金調達をしたことになる。

TechCrunch Japanの取材に対してソラコム共同創業者で代表の玉川憲氏は、今回の資金でグローバル展開を加速するという。

半年で2000アカウントと日本では受け入れられた

昨年9月の詳報記事でお伝えしたとおり、ソラコムはNTTドコモ回線を利用して、主にIoT向けのモバイル接続サービスを提供する「SORACOM Air」と名付けたSIMカードを提供している。分類上はMVNO事業者ということになるが、接続サービス提供に必要な各種機能をクラウド上でソフトウェアとして実装している点が新しい。IoTやM2Mで必要となるセキュアな通信サービスや認証サービスなども追加で開発、提供していて、これらをAPI経由で利用して動的な制御が可能にしている。

ちょうどAWSがサーバーやストレージ、ネットワーク機器をソフトウェアで置き換えたり抽象化していったのと同様に、SORACOMは通信キャリアやMVNOが使ってきた専用ハードウェア機器に相当する機能群をクラウド上でソフトウェアで実装したコアプロダクトを持っている。

9月のサービスローンチ以来、半年で約2000アカウント(≒2000社)の開設があり、パートナー社数は約150社となっている。「(無償利用ユーザーが多い)ウェブ系サービスと違って2000アカウントというのは、すべて有料アカウント」(玉川CEO)だそうだ。いったん機器に組み込むと止まらないことから、今のところチャーンレート(ある期間にサービス利用を停止するアカウントの比率)も低いという。

なぜヨーロッパや北米ではなく日本発スタートアップなのか?

まず日本市場から会社(サービス)を立ち上げて、その後にグローバル展開する――、というと、いや、そんなやり方は間違っている、最初からグローバルを目指すべきだという反論が聞こえてきそうだ。それには一理あると思う。

ただ、玉川CEOはソラコムが日本発としてスタートしたのには必然性があったのではないかと指摘する。

photo01

ソラコム共同創業者で代表の玉川憲氏

「日本市場で受け入れられたのには、振り返ってみると2つの要素があったと思います。1つはクラウドのエンジニアコミュニティーがあったこと。もう1つはMVNOのプログラムがオープンになっていたことです。NTTドコモのレイヤ2接続はググッて出て来るぐらいオープンになっています」(玉川CEO)

玉川CEOはソラコム起業前にはAWSのエバンジェリストとして、日本でクラウドコンピューティングの開発者コミュニティーを育ててきた立役者の1人だ。その玉川氏によれば、JAWS-UG(Japan AWSユーザーグループ)のようなコミュニティーが全国にあって活発に情報交換やネットワーキングをしている地域としてはアメリカや日本が先行していて、ヨーロッパはそこまで進んでいないという。

MVNO接続についてはヨーロッパが先行している。シェンゲン協定によって国境を超えたヒトやモノの行き来が活発なヨーロッパでは、国境を超えるモバイル接続サービスが必須だからだ。そうした環境に遅れてはいるものの、日本でも日本通信が風穴を開けたところからMVNO市場が形勢され、多くのプレイヤーを巻き込んで1つの市場を作るまでになっている。その一方でアメリカにはMVNO市場はない。

「クラウド」と「MVNO」、その両方が揃っていたのは日本市場だけだ。アメリカにはMVNOがなく、ヨーロッパではクラウドは弱かった。だから、SORACOM Airのようなサービスが日本市場からスタートしたのは、振り返ってみると必然性があったのではないか、と玉川氏は話す。

しかし、北米市場でMVNOの提携交渉をキャリアと進めていくのに勝算はあるのだろうか?

「日本で下駄を履かせてもらったと感じています。北米市場を最初から攻略するのは大変だったでしょうけど、1年たった今なら通信キャリアとも交渉できると思います」

すでに完成したプロダクトがあるので、AWSのリージョンがある世界14拠点には、そのままSORACOMのコアプロダクトは持っていける。楽天やトヨタ、キヤノン、シャープといった世界的に知られた企業がソラコムのサービスを使い始めて、多くのユースケースが実績として出てきている。さらに、総計30億円強の資金調達をしていることからも「交渉力を得たと思っている」(玉川CEO)という。

同時多発的に世界展開を並行して進める

グローバル展開のターゲット市場については、「同時多発的に並行して進める」という。いま20人になった日本拠点チームは広報、マーケ、セールス、エンジニア、オペレーション、カスタマーサービス、経営チームと一通りそろっていて、「こうした自律的に活動していけるチームを拠点ごとに作っていくことになる」という。これは玉川CEOがAWSで経験したグローバル展開をなぞっている。日本企業がよくやるように現地法人に日本人を送り組むようなやり方ではなく、各地のクラウドやモバイルといった産業で活躍してきた人材を集めていく。

「テクノロジー企業でグローバル展開するとき、人材採用はしんどそうだと思っていました。どのぐらい優秀な人に入ってもらえるか? という不安です。でも最近採用を始めてみて、悲観することはないという感触を得ています。優秀な人たちは、その企業が日本企業かどうかとかなんて気にしていないんですね。テクノロジーが良いかどうかをみんな見ています。これは嬉しい誤算でした」(玉川CEO)

各地でのエバンジェリズムの重要性も玉川CEOは指摘する。

「良いものを作れば勝手に売れるとか、自然と使ってもらえるとは思っていません。放置していると広がらないのです。デベロッパーマーケティングや広報も必要です。地道なエコシステム作りには現地でのチーム作りが大事です」

「これはAWSの経験で分かっていることですが、ちゃんとエンジニアがいることも大切です。手強いお客さんのところに一緒に行って信頼感を得るとか、深いフィードバックを得られますから」

新規に各市場を開拓していくとはいえ、既存M2M市場の置き換えなど見えている需要もある。「クルマや建機管理などM2M市場は日本だけで500〜1000万回線あるのですが、ヨーロッパと北米には、それぞれその10倍くらいずつ回線があります」

グローバルプットフォーム創出を目指す

SORACOMはプラットフォームなので、グローバル展開というときには同じ製品を各市場で売るという以上の意味がある。どの事業者がどの国で契約しても同じSORACOMが使えるというグローバルモバイル通信サービスが実現するからだ。

「契約すれば、どこでも使えます。より多くの国、より広い範囲でやっていきたいので各国のキャリアに声がけしていきます」

「グローバルにビジネスをやってる日本企業の顧客の要望は、グローバルで共通して使えることです。以前だと現地でデーターセンターはどうするの? ボルトの形状も違うよね、ということがあったのが、AWSで展開しやすくなりました。同様に、いま個別で交渉や契約しているモバイル通信でグローバルで使いやすいものを提供します」

2016年中に日本以外に拠点を1つは開設して、グローバルサービスを出すというのが直近の目標だそうだ。

GoogleのNexus機専用のキャリアサービスProject Fiが招待なしでも利用できる

google-fi1

Googleのセルフォーンサービス(携帯〜モバイル)Project Fiは今や、招待がなくても一人で自由にサインアップできる。

10か月前にローンチしたこのサービスは、これまでは完全に招待制だった。今日からは、合衆国にいる人なら誰でも、面倒なことは何一つなく、単純にサービスにサインアップできる。

このサービスを広く売り込むためにGoogleは今、Nexus 5Xを定価より150ドル安の199ドルで安売りしている。その期間は向こう数か月、もちろんProject Fiのユーザーになることが条件だ。

welcome_to_mexico_updated_rates

Fiは物理的にはT-MobileとSprintのネットワークを使用し、地域によって状態の良い方を使う。基本料金は月額基本料金20ドル、プラス、データ1GBごとに10ドルだ。

使わなかったぶんのデータ料金は、返金される。

国内の電話とテキストは無制限、Wi-Fiテザリングあり、3Gのデータ利用は120か国あまり、国際テキストあり、となる。

Googleによると、すでにProject Fiのユーザーの15%あまりが、海外で使用している。

Project Fiの最大の欠点は、GoogleのNexus機(6P, 5X, Nexus 6)以外では使えないこと。ロックされてないほかの機種でも使える、という噂はあるが、それはあくまでも、“使える場合ある”、ということであり、ネットワークの切り替えはできない。

LTE対応のタブレットなら、Nexusタブレットだけでなく最新のiPadやSamsungのタブレットなどでもFiを使える。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

【詳報】ソラコムがベールを脱いだ、月額300円からのIoT向けMVNOサービスの狙いとは?

ソラコムがステルスで取り組んでいた新規プラットフォーム事業の詳細を明らかにした。ソラコムは、元AWSのエバンジェリスト玉川憲氏が2015年3月にAWSを退職して設立したスタートアップ企業で、創業直後に7億円というシードラウンドとしては大型の資金調達が注目を集めた。TechCrunch Japanは発表直前にソラコムに話を聞いてきたので詳しくお伝えしたい。

soracom02

提供を開始したSIMカードを手にするソラコム創業者で代表の玉川憲氏

ソラコムが取り組むのは、IoT向けの格安MVNOサービス「SORACOM Air」だ。これだけ書くと、何だまたもう1つ別のSIMカード提供会社か登場したのかと思うかもしれないが、2つの点で注目だ。

1つは、利用用途によっては月額利用料が300円で済むという衝撃的な安さ。これだけでもIoTや業務用スマホ・タブレットの全く新しい市場を切り開く可能性がある。

さらにもう1点、ソラコムの新プラットフォームが注目すべき理由は、基地局だけ既存キャリアのシステムを流用していて、残りをソフトウェアで実装している点だ。通信キャリアはもちろん、従来のMVNO事業者は、パケット交換、帯域制御、顧客管理、課金など、キャリア向けの専用機器を利用していた。ソラコムでは、この部分をAWSのクラウド上に展開したソフトウェアで置き換えてしまった。

これは単に運用コストの削減に繋がるだけでなく、高い柔軟性とスケーラビリティーを確保できるということだ。例えば、SIMカードを搭載したデバイス、もしくはそのデバイスを管理するサービス側からソラコムのAPIを叩いて通信速度をダイナミックに変更できたりする。これは、ちょうどAmazon EC2でインスタンスをソフトウェア的に切り替えるような話だ。暗号化通信もクラウドの豊富なコンピューティングリソースを使うことでソフトウェア的に簡単に実現できてしまう。AWSでサーバーがプログラマブルになったように、ソラコムは通信サービスをプログラマブルにしてしまうということだ。

IoTで未解決だった「通信とセキュリティー」問題を解決する

ソラコムの狙いと、今後のビジネスモデルの話は、創業者である玉川憲氏の経歴に重ねて説明すると分かりやすいかもしれない。

WP1.5view

WatchPad

玉川氏は東京大学大学院機械情報工学科修士卒で、日本IBMの基礎研究所でキャリアをスタートしている。2000年ごろ、IBMで「WatchPad」と名付けられた今で言うスマートウォッチを作っていたそうだ。製品化には至らなかったものの、Linux搭載で腕に巻きつけられる超小型コンピューターとして当事非常に大きな注目を集めた。

「2000年にIBMの基礎研でWatchPadを作っていたのですが、その頃からIoTの課題って変わってないなと思っています。1つはバッテリーが持たないこと。10年かかって2倍にもなっていませんよね。10年で100倍速くなっているコンピューターとは違います。もう1つはネット接続。近距離無線は進化しているものの、まだまだネット接続が難しいのが現状です」

「もう1つ未解決なのはセキュリティーです。デバイスで暗号化をすると小型化や低コスト化ができません」

ソラコムでは、通信とセキュリティーについての回答を用意したという。

近距離通信としてはBluetoothが普及しているし、家庭内のWPANとしてZ-WaveやThread、Weave、ZigBeeなどの規格もある。しかし、これらはスマホやハブといったアップストリームにぶら下がった端末までの接続のためのもので、ネット接続ではない。一方、Wi-Fiは小型デバイスにとっては難しい。玉川氏によれば、これまでモバイル通信は、おもにヒト向け。「IoT向けのモバイル通信を作りたい」と考えて立ち上げたのがソラコムだという。

従来のMVNOと違って専用機材ではなく、クラウド上に各機能を実装

モバイル向け通信に参入するといっても、「全国に設置した基地局だけで1兆円ぐらいのアセット。パケット交換や帯域制御、顧客管理、課金といった部分で数千億円規模の投資。さらにISPも入れて、この3つをやって初めて通信キャリアなわけですが、われわれは、そうはなれません」という。

「一方、MVNOといえば、楽天やイオン、DMMが参入しています。これは(1契約あたり)2000円で仕入れて2500円で売るというビジネスで、ブランドや販売網があればできますが、これもわれわれにはできないし、テクノロジーのビジネスでもありません。われわれがやるのは基地局だけをレイヤー2接続の契約で利用して、残りはクラウドネイティブで提供するというモデルです」

fig01

従来のMVNOの接続では、キャリアが持つ基地局からパケットが飛んでくるゲートウェイに続けて、MVNO事業者が利用者認証や課金管理、利用者ごとのポリシー適用のための機材などをそれぞれ用意する必要があった。ここはエリクソンなど専用ベンダーが提供するハードウェアの世界。ここの機能群をAWSのクラウド上にソフトウェアで実装したのがSORACOM Airで、クラウドの特徴であるスケーラビリティーの高さがメリットだ。玉川氏は「人口の10倍とか100倍のデバイスが繋がってきても対応できるような、IoTに特化したバーチャルキャリア」と、そのポテンシャルを説明する。

スケーラビリティーは上限のほうだけなく、小さい単位から即利用できるという点にも当てはまる。例えばデバイスとサービスを統合したソリューションを展開する企業が通信部分が足りていないようなケース。

「従来のMVNOだとSIMカード2000枚以上、500万円以上からと言われたような話が、SORACOM Airなら1枚から利用できる。誰でも通信キャリアになれるというモデルで、自在に値付けしてビジネスができます」

クラウド上に実装された通信管理機能には、AWSクラウドと同様にWebコンソールからでも、APIからでも操作可能で、複数SIMを一括操作するようなことができる。各端末からでもサービス側からでもAPIを通して、各SIMの通信状態の監視や休止・再開、速度変更といったことができる。

dashboard

SORACOM AirのSIMカードは20枚で1万1600円(1枚580円)など。月額基本料金は300円で、32kpbsだと1MBあたり上り0.2円、512kbpsで1MBが0.24円。上り・下りで料金が違ったり、夜間割引も適用されるなど明朗会計だ。料金設定はAmazon EC2のインスタンスサイズを選ぶようなイメージだ。将来的にはニーズに応じて料金を変動させる「スポットインスタンス」のようなことも、アイデアとしては検討しているそうだ。以下がSORACOM Airの価格表。s1.minimumとかs1.fastとか、何だか見慣れた命名規則だ。

price

SORACOM Beamで暗号化やルーティングなど高度な処理をクラウドにオフロード

IoTで未解決だった問題として、玉川氏はセキュリティーを挙げていた。これについてはクラウドで潤沢なリソースを使った「SORACOM Beam」というサービスで解決可能だという。SORACOM Beamはデバイスとサービスを繋ぐ通信経路を暗号化したり、ルーティングするサービスだ。

セキュアな通信を行うには暗号化が必要だが、小型デバイスに暗号化処理をやらせるのは重たい。ただ、もともとキャリアのパケット網はゲートウェイ部分まではセキュアなので、ソラコムにパケットが入ってきてインターネット側のシステム(サーバー)へと繋ぐ部分を暗号化すれば良いだけだ。そこで、

・HTTP→HTTPS
・MQTT→MQTTS
・TCP→SSL

という変換をソラコムのクラウド上で行うことで、重たく面倒な処理はデバイスではなくクラウドで済ませることができる。実際、車いす開発のWHILLは、バッテリーをできるだけ使わずにセキュアに見守りシステムを作ることを検討していて、こういうケースだと「TCP→SORACOM Beam→HTTP」とすることで、デバイス側の負荷をオフロードできるのだという。タイムスタンプやSIMのIDもソラコム側で分かるし、カスタムヘッダを付けてHTTPSで送ることもできる。そして、これがまた重要だと思うのだけど、こうした設定はすべて、デバイスの設定に触れることなくAPIで変更ができる。出荷したIoTデバイスに触れることなく、サービス改善や新規サービス開発が可能ということだ。

ソラコムでは今回、デバイスやソリューション、インテグレーションのサービスを提供するパートナープログラム(Soracom Partner Space)を発表している。現時点では、以下のような企業がテストしているそうだ。

・内田洋行:IoT百葉箱
・リクルートライフスタイル:無料POSレジアプリ「Airレジ」にSORACOM Air搭載、イベント会場で1カ月だけ臨時店舗運営
・フォトシンス:スマートロックのAkerunで応用、カギを開けるときには低速、ファームウェアのアップロード時には転送速度をアップ
・フレームワークス:物流システムにおける動態管理システム。トラックにスマホを搭載してGPSデータだけを利用。業務時間のみの小容量の通信
・キヤノン:事務機器でSORACOM Airの実証実験
・東急ハンズ:業務システムのバックアップ回線として利用
・Global Mobility Service:フィリピンでクルマにSORACOM Airを搭載。割賦未払いの利用者のクルマを遠隔地から停止

いろいろな実験的取り組みがベータ期間中にも出てきているが、ソラコムの新サービスは、Amazon S3が出てきたときと似ているかもしれない。S3のリリース初期には開発者だけではなく、個人利用で使ってしまうパワーユーザー層にもアピールしたものだ。SORACOM Airも1枚880円からAmazonで購入できるので、何かのアプリが出てきて個人ユーザーが使うような事例も出てきそうだ。

Amazon同様に継続的な値下げ努力とイノベーションで競合に勝つ

ステルス期間は別として、ローンチしてしまえばアイデアは自明だし、ソフトウェアの話なので誰でも実装できるのではないだろうか。競合が出てきたときに、ソラコムではどうやって戦っていくのだろうか。

「ソラコムは、モバイルとクラウドが融合した初めての形と思っています。単純な通信ではなく、暗号化したり、認証したりという付加価値があます。新機能や新サービスも開発していきます。まだ2つ3つは温めているアイデアがありますし、実際にお客さんと話している中でニーズが見えてくる面もあります」

「これはAWSが出てきたときと似てるなと思っています。AWSはクラウドです。当事は、うちもクラウドですといってプライベートクラウドみたいなのが、たくさん出てきましたよね。でも、その多くはあくまでもサーバー仮想化の話であって、AWSがやっているようなクラウドネイティブではありませんでした。ハードウェアを仮想化して、物理サーバー上に仮想マシンを複数設置しましたという程度にすぎなくて。もちろん仮想化は仮想化で価値はあるんですけど、瞬時に使えて、いつでもやめられて、いくらでもスケールできるというクラウドとは違いますよね」

「もしソラコムが取り組む市場が良い市場だとしたら、今後は競合がたくさん入ってくるはずです。でも正しいアプローチでやれる企業は少ないと思うんです。いつでも始められて、いつでも利用をやめられて、APIが備わっていて、自動化ができてという。そういうことを質実剛健にやっていけるような企業は少ない」

「われわれも運用コストに少しだけ利益をのせて回していくのですが、Amazonみたいな薄利多売モデルで、どんどん価格を下げていきます。Amazonにいた私からすると当たり前のことですけど、ふつうはそうじゃありません。多くの企業は大きな利益を取っていくので、同じアプローチを取る会社が多いとは思っていません」

「かつてAWSがでてきて、その結果、InstagramやDropbox、Pinterest、Airbnb、Uberといったサービスが出てきたみたいに、ソラコムのようなプラットフォームによって、きっと面白いIoTが出てくるんじゃないかなと思います」

Apple、無線通信事業参入の計画を否定

5539093568_4f9d704052_o

昨日、相当数の人々が、Appleは独自のMVNO(仮想移動体通信事業者)を試験中であると報じた。他の通信事業者から設備を借りて実質的にモバイルキャリアーになる方法だ。通話もテキストもデータも料金はAppleに支払う。素敵だ。

Appleオタクたちが、こうなりそうだと考えたのはこれが初めてではなく、MVNO特許を取得していたことが2011年に報じられた。

悲しいかな、Apple広報から入手した声明によると、それは起こっていない。

当社はMVNO事業参入を計画したことも検討したこともない。

声明には何の余地もない。よって…AppleのMVNOはない。

株式市場は、この否定報道に反応して3%安となった。モバイルキャリアーになることはロマンチックなアイデアだが、おそらく時間と金の無駄だ。実際、本紙のMatthew Panzarinoは、自分でやるよりキャリアーを買収する方が賢明だという結論に達した。一方Googleは、同社のMVNOプロジェクト、Project Fiを進めている

私は、AT&T、Verizon、T-Mobileを始めとする各社は、Appleの攻撃(およびそのマスマーケティングという武器)を避けなくて済むことを大いに喜んでいると想像する。何が言いたいかというと、噂されたバーチャルネットワークは真の意味でApple製ネットワークではないにもかかわらず、Apple製品の消費者たちはおよそ何にでもAppleに金を払うことに、何の抵抗もないということだ。

Appleファンには気の毒だが、受話器を取って他をあたってもらおう。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、北米でMVNOに参入―通話とIMが月20ドル、データが1GB10ドル

2015-04-23-googlefi

何ヶ月も前から流れていた噂は事実だった。先ほど、Googleは独自のセルラー・サービスを発表した。

現在までに判明した事実

  • プロジェクト名は“Fi”
  • 当初、Nexus 6向けに開始
  • 現在は招待オンリー。希望者はこちらに申し込む
  • SprintとT-Mobileのセルラー網を利用する。
  • 契約期間の縛りなし
  • 料金は通話とテキスト・メッセージについては月20ドルで無制限、データ通信に関しては1GBごとに10ドル。月3GBプランの場合、合計50ドルとなる。
  • 前払いしたデータ料金は月末に払い戻される。3GBプランのユーザーがその月に1.5GBしか利用しなかった場合、月末に15ドルが払い戻される。
  • Googleハングアウトと完全連動
  • WiFiテザリング可能
  • 現在のカバー地域は以下のとおり(モンタナは嫌われているようだ)。

coverage

[原文へ]

滑川海彦@Facebook Google+

やはりGoogleは仮想移動体通信事業(MVNO)への進出を準備しているらしい

The Informationの記事によると、Googleは無線キャリヤ事業を開始する準備をしているという。

記事によると、GoogleとVerizonの幹部がGoogleのMVNO(仮想移動体通信事業者)への進出計画について話し合ったという。

Googleが光インターネット回線事業を拡大し、独自のNexusブランドにますます力を入れている現在、携帯電話キャリヤ事業への進出を考えないとしたらその方が無責任というものだ。

2013年にGoogleはSprintとワイヤレス・キャリヤ・サービスの構築について話し合ったと伝えられている。今回、GoogleはVerizonあるいはT-Mobileの物理的設備を利用する考えのようだ。

GoogleがMVNOになるとすれば、最終的には大手キャリヤに挑戦するのが目標だろうが、Google Fiberプロジェクトと同様、当初は地域を限って小規模に開始されるものと思われる。Googleは経験を積みながらライバルを上回るサービスに育てていくことを選びそうだ。何はともあれGoogleにチャレンジ精神が欠けているというものは誰もいない。.

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+