SpaceXとSpace Adventuresが提携し2021年にも宇宙旅行を提供

SpaceX(スペースエックス)は宇宙船Dragonで提供する宇宙旅行で新たなパートナーを得た。Anousheh Ansari(アニューシャ・アンサリ)氏やGuy Laliberté(ギー・ラリベルテ)氏、Mark Shuttleworth(マーク・シャトルワース)氏といったすでに民間人を宇宙に送り出した宇宙旅行会社のSpace Adventures(スペース・アドベンチャーズ)だ。

Space Adventuresは有料の商業宇宙ミッションとして、国際宇宙ステーション(ISS)への8つのミッションで7人の顧客にサービスを提供。顧客を目的地に連れて行くのにロシアのソユーズロケットの有料座席を使用した。これは実際に商業宇宙旅行を提供するのに特異な形態だ。つまり、SpaceXは宇宙船Dragonでの人の輸送やフライト計画ができるようになったらすぐに客を乗せて飛ぶことが予想される。

これは特段驚くことではない。SpaceXはNASAとのコマーシャル・クルー・プログラムを通じて有人飛行に向けたDragonの認証に取り組んできた。このプログラムには宇宙飛行士を輸送する有人飛行に対応したバージョンの宇宙船Crew Dragonのテストや開発が含まれる。ISSへのデモミッションで実際にNASAの宇宙飛行士を初めて乗せるまであと数カ月しかない。

SpaceXとNASAは、同社の有人宇宙旅行サービスにおいて、NASAが複数いる顧客の1つにすぎないということをどう位置付けるかについて協議してきた。というのもプログラムの目的は、NASAが収入を生む商業飛行サービスの多くいるクライアントの1社になることで、宇宙飛行士の輸送のコストを下げることにあるからだ。

SpaceXのCEOで創業者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は以前、1回につき最大4人搭乗することが可能なCrew Dragonに宇宙旅行客を乗せて飛ぶことについて議論した。彼はCrew Dragonが実用化されたときに適用できるかもしれないモデルとして、ソユーズ以前の例を持ち出した。マスク氏とSpaceXはすでに、今後完成する宇宙船Starshipに日本の億万長者である前澤友作氏を乗せて2023年に月を周回する旅行を計画している。

Space AdventuresのCrew Dragonを使った民間人を対象にした宇宙旅行は2021年後半か2022年に開始される見込みで(すべて順調にいけばSpaceXがNASAの宇宙飛行士向けのサービスを開始するのと同じ時期か、それより少し後になると思われる)、フロリダのケープ・カナベラルにあるSpaceX打ち上げサイトから宇宙に向かう。Space Adventuresが以前飛ばしたソユーズのミッションのように、実際にはISSには行かない。しかし宇宙旅行の間、これまでに行われた民間人向けのどの宇宙旅行よりも遠くを飛び、すばらしい地球の眺めを目にすることができる。価格についての言及はないが、高額になることが予想される。高度がずいぶん低いVirgin Galactic社の旅行チケットよりもかなり高くなりそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi

Rocket LabがNASAゲートウェイ計画の試験衛星を月軌道に打ち上げる

ロケット打ち上げスタートアップRocket Lab(ロケット・ラブ)は、NASACAPSTONE(キャプストン)実験のためのCubeSatを、同局の委託で打ち上げる契約を勝ち取った。最終目標は、CAPSTONE CubeSatをシスルナ(地球と月の間の)軌道に載せることにある。この軌道には、NASAが月を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」が載る計画になっている。2021年の打ち上げが予定されている。

CAPSTONEは、バージニア州ワロップス飛行施設にあるRocket Labの新しい発射台Launch Complex 2(LC2)から打ち上げられる。Rocket Labは、この発射台を2019年12月に正式オープンし、同社のElectronロケットを使った最初のミッションを2020年の後半からスタートさせる。

この打ち上げは、バージニアの飛行施設から打ち上げられる2つめの月ミッションであることを含め、いくつもの意味で重要性が高い。これにはRocket LabのPhoton(フォトン)プラットフォームが使われる。自社で開発製造を行った人工衛星で、幅広いペイロードに対応できる。今回、Photonは、重量わずか25kg程度のCAPSTONE CubeSatを地球軌道から月まで運ぶことになる。目的地に到達すると、CAPSTONEは搭載されている小型エンジンに点火して、目標のシスルナ軌道に自らを載せる。

Rocket LabはPhotonを2019年に発表したが、当時はその目的のひとつに、小型衛星を長距離運搬することを挙げていた。それには月も含まれる。この能力は、2024年までに再び人類を月面に送り込み、月面とその軌道に恒久的な有人拠点を建設し、有人火星ミッションへの足がかりにつなげるというアルテミス計画に着手するNASAに売り込みをかける上で、きわめて重要なものだ。

CAPSTONEは、この計画でNASAが建設と運用を目指す月軌道ゲートウェイのための「先駆者」として大切な役割を果たす。

「CAPSTONEは、ゲートウェイの軌道として計画されている7日間で周回する独特なシスルナ軌道を調査するための、迅速でリスク許容度の高い実証実験です」と、NASAの有人月探査計画ディレクターMarshall Smith(マーシャル・スミス)氏は広報資料の中で述べている。今回のニュースに関しては「私たちはこの先行データにのみ依存するわけではありませんが、同じ月軌道を利用する目前のミッションでの、ナビゲーションの不確実性を低減できると考えています」と説明している。

Rocket Labによる打ち上げは、トータルで995万ドル(約10億9000万円)という固定料金になっているとNASAは話している。NASAでは、契約を交わしているAdvanced SpaceとTyvak Nano-Satellite Systemsにも、2021年に予定されている打ち上げの前までに、CAPSTONE宇宙船の建造を始めてもらいたいと考えている。

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(翻訳:金井哲夫)

Made In Spaceは周回軌道上でのソーラーパネル建造にBlue Canyon Technologiesの協力を取り付ける

周回軌道上での装置建造を手掛けるスタートアップであるMade In Spaceは、NASAとの契約によるArchinaut One(アーキノート・ワン)のデモミッションに協力してくれる企業として、米国コロラド州にあるBlue Canyon Technologies(BCT)に白羽の矢を立てた。同ミッションは今のところ2022年に実行されることになっている。Made In Spaceが、軌道上で2つの10m大のソーラーパネルを組み立るというもの。組み立てられたパネルは、その後ESPAクラスの衛星に電源を供給するために、実際に使用される。軌道上での組み立てをしない場合に比べて最大5倍の電力を供給できるとされる。

BCTは、ノースロップ・グラマンと共同で宇宙船プラットフォームを開発する。Made In Spaceは、それを使ってArchinaut Oneの製造プラットフォームを輸送する。同プラットフォームでは、軌道上で構造物を建造できるよう、積層造形とロボットアセンブリを組み合わせて採用している。BCTは、2008年にコロラドで設立された会社で、すでにさまざまなプロジェクトのために宇宙船を開発してきた実績がある。例えば、JPLが初めて実運用に成功したCubeSatプロジェクトであるAsteria(アステリア)宇宙望遠鏡などもその1つだ。

筆者は、Made in Spaceのプロジェクトについて、BCTのシステムエンジニアであるBrian Crum(ブライアン・クラム)氏に話を聞いた。同氏によれば、これまでの同社の仕事を代表するようなものになるという。同社は主に、興味深いデモミッションや画期的な宇宙技術の初めて運用に集中してきた。それは、宇宙での作業方法について途方もない可能性を開くことになったというのだ。

「私たちが専門的に開発している宇宙船の大きさと、価格帯を考えると、そうしたデモンストレーションのミッションは、実際に運用可能なコンセプトにつながるものとして、本当に役立ちます」と、クラム氏は述べた。「私たちは、コンセプトを実証するための優れたソリューションの一部であり、それに真剣に取り組んでいます。私たちは、いろいろなことを試してみたいという人々から、多くの興味深いアイデアを受け取ります。これも、間違いなくその1つです」。

BCTは現在、60機以上の宇宙船を実際に建造中であり、この1年間で規模が2倍に拡大した。さらに同社は、本社機能と生産設備を合わせて8万エーカー(約324平方km)以上にもなる新しい施設を開設する計画を持っていて、今年後半にも運用を開始する予定となっている。このような成長は、もちろんビジネスの伸展によるもの。クラム氏によれば、政府や民間産業を問わず、さまざまな方面で実験と技術デモがブームのようになっている結果だという。

「間違いなく、リスクを追い求めているような人が増えています」と、同氏は言う。「簡単に言えば、宇宙船への需要が高まっているため、私たちは成長しているのです。こうしたプログラムをサポートするため、優れた人材を採用し続けています。それによって、プログラムの数も大幅に増加しています。また、私たちの規模が大きくなるにつれて、宇宙船のサイズも大きくなり、より複雑になっています。つまり、少し難度が増しています。エンジニアリングにもさらに力を入れていく必要があるのです」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

NASAは国家の敵からの攻撃をどのように防御しているのか

NASAのジェット推進研究所(JPL)は、10億ドル(約1100億円)規模の宇宙船を設計、建造、そして運用している。そうした事業自体が攻撃対象となる。情報セキュリティの世界でAdvanced Persistent Threats(APT、持続的標的型攻撃)と呼ばれる攻撃を仕掛ける者たちは、境界の外をうろつき、宇宙船の操作に利用される地上中継局に接続している地球上ネットワーク、すなわち「地上データシステム」へのアクセスの機会を常に狙い続けている。

おそらく敵の目的は、秘密のデータ独自技術を盗み出すことだが、10億ドル規模のミッションが妨害されるリスクも存在している。過去数年間、APTが何カ月もシステムに侵入していた例を含む、複数のセキュリティ侵害事案を受けて、JPLはサイバーセキュリティへの多大な投資を開始した。

私はNASAのサイバーセキュリティに関するキー研究者であるArun Viswanathan(アルン・ヴィスワナタン)氏にその仕事についての話を聞いた。その内容は「現代の情報セキュリティを代表する内容」と「JPL特有の懸念事項」といった魅力的なものだった。とはいえ、重要なメッセージは前者のカテゴリの中にしっかりと含まれている。それは、情報セキュリティは、事後対応的ではなく、予防的なものでなければならないということだ。

JPLの各ミッションは、いずれも半分独立したスタートアップ企業に似ているが、技術的な制約はシリコンバレーのスタートアップたちとは非常に異なるものになりがちだ。例えば、ミッションのためのソフトウェアは通常、自社開発で革新的なものだ。なぜなら彼らのソフトウェア要件が、非常に厳しいためだ。たとえば、ソフトウェアの不正によって、宇宙探査機のCPUが100%占有されてしまうことは絶対に許されない。

成功したミッションは非常に長く続く可能性があるので、JPLは、数十年前の古くて誰も保守していないシステムを、多数保持している。彼らはそのセキュリティソリューションを、そうした古いソフトウェアの限界を踏まえて設計しなければならないのだ。ほとんどの企業とは異なり、それは一般に公開されていて、100人単位で施設見学者を受け入れている。さらには、他の宇宙機関などの、システムに特権的なアクセスをすることができる多くのパートナーがいる。

それらは、一方では国家への攻撃者からの格好の標的になっているのだ。そして言うまでもなく、それらは興味深い脅威モデルだ。

ヴィスワナタン氏は、2つの主要プロジェクトに主に焦点を合わせてきた。1つは、JPLの地上データシステム(すべての異種ネットワーク、ホスト、プロセス、アプリケーション、ファイルサーバー、ファイアウォールなど)のモデルと、その上の推論エンジンの作成だ。このモデルの内容は、プログラムを使って照会できる。

なお、興味深い技術的なサイドトピックがある。このプロジェクトで使われるクエリ言語はDatalogる。これは最近の復活を遂げた由緒あるPrologの、チューリング完全ではない派生物だ。

話を元に戻そう。このモデルができる前は、「この地上データシステムのセキュリティリスクは何ですか?」という問に自信を持って答えることができる人はいなかった。何十年もの歴史がある他の組織と同様に、その知識は大部分が、文書と人間の頭脳の中に閉じ込められていた。

このモデルがあることで「JPLのカフェテリアにいる誰かが、ミッションクリティカルなサーバーにアクセスすることは可能か?」といったアドホックな問い合わせが可能になる。そして、推論エンジンは経路を検索し、サービスと構成情報を一覧化する。同様に、研究者は、攻撃者の目標から逆算して、攻撃者がその目標に到達すると考えられる「攻撃ツリー」経路を構築し、それらをモデルにマッピングして、攻撃の緩和策を策定することができる。

彼のもう1つの主要なプロジェクトは、JPLの「サイバー状況認識力」を高めることだ。言い換えるなら、リアルタイムでデータを収集および分析できるようにシステムを装備して、攻撃やその他の異常な動作を検出するということだ。たとえば、CPU使用率の急上昇は、サーバーが侵害によって暗号通貨マイニングに使用されている可能性を示しているのかもしれない。

昔物事がうまく行っていなかった頃は、セキュリティは事後対応型だった。誰かが問題に遭遇しマシンにアクセスできなかった場合に、彼らは問い合わせをしてはくるものの、それはあくまでもその当事者が観察可能な範囲で行われているだけだった。最近では、多くのログインの失敗を重ねてやっと成功するといった形で示される、ブルートフォース攻撃などの単純なものから、通常の利用パラメーター以外による操作コマンドを機械学習ベースで検出するより複雑なものまで、悪意のある異常なパターンを監視することができる。

もちろん、攻撃ではなく単なる異常の場合もある。逆に、この新しい観測可能性は、システムの非効率性、メモリリークなどを、事後的にではなく予防的に特定するためにも役立つ。

もし読者が、Digital Oceanダッシュボードとそのサーバー分析のパノラマを見慣れている場合には、これらはみな非常に基本的なものに見えるだろう。しかし、既存の一様ではないレガシーシムテムを、大規模な観測性向上のためにリエンジニアリングすることは、まったく別の話なのだ。境界線とインターフェイスを見るだけでは十分ではない。特に特権アクセスを持つパートナーの観点から、境界内のすべての動作を観察する必要があるのだ。なぜならそこが侵害された場合には、そのアクセスが悪用される可能性があるからだ 。これはJPLに対する、悪名高い 2018年の攻撃の根本原因だった。

JPLの脅威モデルはとても独特だが、ヴィスワナタン氏の仕事は、私たちのサイバー戦争に対する、勇敢な新しい世界をみせてくれる。宇宙機関であれ、大企業であれ、成長しているスタートアップであれ、現代は情報セキュリティに積極的に取り組む必要がある。攻撃者の気持ちになって考えながら、異常な動作を継続的に監視することが重要だ。何か悪いことが起こったことがわかった後に反応するだけでは不十分なのだ。侵害につぐ侵害のニュースに巻き込まれる前に、読者の組織がこうしたことを簡単に学ぶことができるように祈る。

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(翻訳:sako)

SpaceXの最初の有人宇宙飛行は早ければ5月にも実施へ

SpaceXのCrew Dragonは有人宇宙飛行の実現にごく近いところまで来ている。先月にIFAと呼ばれる飛行中に乗員を脱出させるテストに成功し、主要なテストをすべてクリアした。SpaceXと発注者のNASA.はDemo-2と呼ばれる有人飛行のテストに進む予定だ。

我々が得た情報では、SpaceXは今年の5月7日にこの有人宇宙飛行テストを予定しているという。この日時は仮のものだが、ニュースを最初に報じたArs TechnicaのEric Berger(エリック・バーガー)氏によれば、スケジュールは遅くなることも早まることもあり得るという。

これ以前にもSpaceXの宇宙船が実際の飛行に極めて近づいていることをわれわれはつかんでいた。先週のGAO(米国会計検査院)のレポートは商用有人宇宙飛行プログラムの進捗状況について詳しく説明しており、Crew Dragonカプセルの有人飛行テスト、Demo-2ミッションは「当初予定されたいたより3ヶ月早く完了するだろう」と述べていた。

Demo-2はその名のとおりCrew Dragonにとって昨年3月に行われたDemo-1に続く2回目の実証ミッションだ。昨年のミッションでは、Crew DragonカプセルはFalcon 9で打ち上げられ、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングして物資を補給した後、大西洋上に安全に着水した。ただしこのミッションではカプセルは無人で地上から遠隔操縦された。

Demo-2ではNASA の宇宙飛行士、Doug Hurley(ダグ・ハーリー)氏とBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏の2人が乗り込むことになっている。2人にとってはこれが3回目の宇宙飛行となる。Demo-2の飛行内容はCrew DragonでISSを往復することで、Demo-1とほぼ同内容だが、今回は有人飛行であることが大きな違いだ。NASAのJim Bridenstine(ジム・ブラデンスタイン)長官は最近、「宇宙滞在の期間を当初計画していた2週間よりも延長するかもしれない」と発表している。これは現在ロシアのソユーズを利用して行なっているISS乗員のローテーションをCrew Dragonで実施しようとするものだ。

宇宙計画では計画の変更は付き物だが、予想外の事態が起きないかぎり上に述べたようなスケジュールでDemo-2は実施されるものと思われる。

画像:SpaceX

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXがNASAの有人宇宙飛行専門家を雇用、宇宙船クルードラゴンはDemo-2ミッション準備完了

SpaceXは同社初の有人宇宙飛行の準備中であり、宇宙船クルードラゴンの有人デモンストレーション・ミッションは5月7日に仮設定されている(現時点で日付は流動的)。火曜日(米国時間2/11)同社は、完成した宇宙船クルードラゴンのビデオを披露した。Bob Bhenken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏の両宇宙飛行士が搭乗する。また、CNBCは、SpaceXがNASAの有人探査部門の副責任者であるWilliam Gerstenmaier(ウィリアム・ガーステンマイヤー)氏を雇用したことを明らかにした。

Gerstenmaier氏はNASAで14年間この業務についていおり、40年にわたるNASAでの任務中スペースシャトル・プログラムと国際宇宙ステーションを担当していた。人間を宇宙に飛ばすことに関して、世界にこれ以上の人物が存在する可能性は低い。有人宇宙飛行プログラムを間近に控えるSpaceXにとって、鍵となる人事だ。

今年予定しているDemo-2ミッションでは初めて宇宙飛行士が搭乗し、SpaceXにとって国際宇宙ステーションとの乗務員輸送の定期提供者になるための次の一歩となる。現在NASAは宇宙飛行士の国際宇宙ステーションとの往復輸送をロシアのRoscosmos(ロスコスモス)が運行するソユーズに依存している。2011年にスペースシャトルプログラムが終了して以来行われている運用だ。

SpaceXは、今年中にBehnken、Hurley両宇宙飛行士をISSに運ぶ予定の宇宙船クルードラゴンの短編ビデオも公開した。この宇宙カプセルはテスト用の特別なチャンバーで、正式飛行前の検証プロセスの重要な部分を占める電磁妨害テストを受ける。今週Ars Technicaが報じたところによると、Demo-2ミッションの準備はほぼ完了しており、4月から6月のどこか実行される予定で、現在は5月7日が予定日になっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAの2021年予算要求は有人月面着陸に約3625億円、月面資源開発に約472億円

米国時間2月10日、トランプ政権は2021年度予算要求を発表し、NASAの申請は予想通り12%増加した。これでNASAの総予算額は252億ドル(約2兆7677億円)となり、その半分近い123億ドル(約1兆3510億円)は、月面着陸の復活と最終目標である火星の有人探査に充てられる。

行政予算管理局が米国時間2月10日月曜日に発表した本予算要求の中で、33億ドル(約3625億円)が宇宙飛行士を月の公転軌道から月面に送るために使用される有人月面着陸システムの開発目的に使われる。これは、一連の計画が「維持可能な探求」の安全で信頼性の高いシステムを開発するために、「競争、産業革新、および堅牢な政府見通し」に依存していることを表している。

予算には、Space Launch System(SLS、宇宙打ち上げシステム)および宇宙船オリオンを継続開発するための40億ドル(約4393億円)も追加されている。この組み合わせは宇宙飛行士の地球から月への移動手段になる。予算案は、NASAがこの資金を使って「システムを完成し定期飛行計画を確立」することを具体的に求めている。

他には、1.75億ドル(約192億円)が月面で宇宙飛行士が使用する宇宙服に、2.12億ドル(約233億円)が移動に利用されるローバー(月面探査車)に充てられる。2.54億ドル(約280億円)が割り当てられている商用月面着陸サービス(CLPS)では、NASAが民間パートナーの要求を受けて、2024年の有人月面着陸に先立ち実験器具や貨物を月面に送り込む。

「月面イノベーション計画」には4.3億ドル(約472億円)の資金が用意されており、月面資源を活用した発電、宇宙飛行士の住居、探査ツールなどを利用したテクノロジー開発および実演に使われる。これらの技術はロボット、有人両方の月面探査に使用され、最終的に火星探査でも同様の利用に生かされることが提案書にかかれている。

5.29億ドル(約581億円)の「火星ロボット探査」予算には、火星の土壌を地球に持ち帰る初めてのミッションや、火星表面近くの氷をマッピングし最終的に有人探査に利用するミッションが計画されている。

他に本予算要求は、低地球軌道における米国の存在感を引き続き確立するとともに宇宙飛行士の訓練にも利用される「新宇宙ステーション」の開発支援も含まれている。本予算は超音速機X-59の飛行デモにも資金提供する。NASAが2022年の初飛行を目指して開発している同機は、将来の商用超音速旅客機の青写真となることが期待されている。

予算の削減が提案されている科学ミッションもあり、学校現場のSTEM教育を支援するOffice of STEM Engagementもそのひとつだ。STEM事業が窮地に追い込まれたのこれが初めてではないが、これまでのところ削減措置は免れている。

NASAは今回の予算要求および政権の計画における意味について米国時間2月11日の午後に概略説明を行う。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米トランプ大統領はNASAの2021年度予算を約3300億円増額提案へ

米国のドナルド・トランプ大統領は、会計年度の2021年に、NASAの予算として256億ドル(約2兆8000億円)を要求するつもりであると、米国時間2月7日にWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じた。これはNASAの会計年度2020年の予算の226億ドルよりも30億ドル(約3300億円)近い増額となる。この増えた資金の大部分は、新たな有人月面着陸船の開発に充てられると言われる。

これは、この数十年間にNASAの予算について提案された最大の増額となるもの。そして、米国時間2月4日の一般教書演説で表明された、NASAの活動に対するトランプ大統領の新たなコミットメントを反映したものと考えられる。トランプ氏は議会に対して、「アルテミスプログラムに十分な資金を注ぎ込んで、月に到達する次の男性と最初の女性が、アメリカ人の宇宙飛行士になることを確実にする」ことを求めた。

NASAの長官、ジム・ブリデンスティーン(Jim Bridenstine)氏は、2024年までに最初のアメリカ人女性と次のアメリカ人男性を月面に派遣する、という目標を頻繁に繰り返してきた。これは現状のアルテミス(Artemis)計画に沿った目標だ。ブリデンスティーン氏は以前に、2024年までに再び月に到着するのにかかる費用を、200億から300億ドル(約22000億円〜33000億円)の間と見積もっていると表明していた。しかし長官は昨年の暮に、下院歳出小委員会によって、NASAの会見年度2020年の最終段階での16億ドル(約1750億円)の追加予算の要求について糾弾されていた。

WSJはまた、2021年の予算計画の一環として、NASAは月着陸船への入札を募るつもりだと報告している。これは以前の、アルテミス計画用の打ち上げ機に対しての取り組みと同様のもの。NASAは、すでに認定されたベンダーリストにある多くの商業パートナーと協力して、ロボットの無人月着陸船ミッションに取り組んでいる。2021年から、月面に実験装置や物資を届けるためのものだ。

NASAは、アルテミス計画用の有人着陸システムに関して、業界からコメントを募るため、昨年7月に広く告知している。また続く8月にはそれを改定し、20199月には公式な提案の要請を公開した。NASAの宇宙飛行士を乗せる有人着陸船については、2社が選ばれることになっている。NASAによれば、2024年の着陸に向けて1社が着陸機を完成させている間に、もう1社は2025年のミッションの準備をする。そうした賞を競い合う会社としては、ボーイングのような伝統的な会社だけでなく、SpaceXやBlue Originなど、新規参入の会社も含まれているという。

トランプ政権としては米国時間2月10日に予算を提出する予定となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

NASAがアルテミス計画に向けて月面探査車のコンセプトを募集中

NASAは、将来の月面探査車をどのようなものにするかについて業界からの意見を求めている。その対象は、必ずしもこれまで宇宙事業に参入している企業とは限らない。自動車メーカーやIT企業なども含まれる。これは再び人間を、それも史上初の女性、そして米国人の男性を月面に送り込もうというAltemis(アルテミス)計画の一環だ。

画像クレジット:NASA

この問いかけには、2つの正式なRFI(Requests for Information、情報提供要請)が含まれている。1つは自動探査用に設計されたロボローバー(惑星探査車)についてのアイデア。もう1つは人間が乗るのに適したLTV(月面用車両)の開発につながる可能性のあるコンセプトとアイデアだ。後者は、加圧防護スーツを着たままの宇宙飛行士が乗車して、月面を走り回ることを想定したもの。必然的に屋根のないオープンなデザインの車体が求められる。

こうした車両に対するNASAの目標は、宇宙飛行士が着陸地点の付近以外の場所も探検できるようにすること。ちなみに、今後は月の南極近辺に着陸することになる。そこから、アクセス可能な地域を拡大して、実験やデータ収集ができるようにするわけだ。ロボット型の車両の目的も同様のものだが、さらに人間では行くのが難しいような場所にも到達できるのが理想だ。

RFIの説明によれば、NASAは、あらゆるタイプの車両の生産に関連する業界のプレーヤーからの専門知識を求めているという。たとえば、全地形対応車、電動車、あるいはその他の地上の乗り物だ。そこには、自動運転車の会社、革新的なモビリティ技術を持つスタートアップなども含まれる。

NASAは、さらなる情報を求めている企業のために、仮想の産業フォーラムを開催して質問に答える予定を組んでいる。質問の締め切りは、LTVローバーのRFIについては2月26日、ロボローバーのRFIについては、もう少し猶予がある3月6日に設定されている。

NASAでは、2018年にも商用のロボット月着陸船について、同様のRFIを発行した。それは、2019年2月に月面への商用輸送サービスの契約プログラムを発表するのに先立つものだった。それを考えると、今回のRFIも、最終的に将来のNASAの月面探査ミッションで使われる探査車に関する、何らかの商用パートナープログラムにつながる可能性がある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

クリスティーナ・コック氏が女性宇宙滞在記録を更新して地球に帰還

宇宙飛行士のChristina Koch(クリスティーナ・コック)氏は、ESAのLuca Parmitano(ルカ・パルミターノ)氏、ロシアのAlexander Skvortsov(アレクサンドル・スクボルツォフ)氏とともに、国際宇宙ステーション(ISS)から地上へと帰還した。米国東部標準時2月6日午前0時50分(日本時間2月6日午後2時56分)にISSにドッキングしたソユーズ宇宙船に搭乗し、予定どおりカザフスタンに米国東部標準時午前4時12分ごろ(アルマトイ時間同日午後3時12分、日本時間2月6日午後6時12分)に無事着陸した。

コック氏が米国人宇宙飛行士としてISSに328日連続で滞在し、世界で2番目に長い滞在期間となったことは意義深いものだ。これは340日間宇宙で過ごしたScott Kelley(スコット・ケリー)氏に次いで2番目に長い。また米国人女性のPeggy Whitson(ペギー・ウィットソン)氏の289日間を抜いて、公式には女性として世界最長の宇宙滞在となった。

NASAが指摘しているように、コック氏の宇宙滞在には5248回の地球の周回が含まれており、またISSが軌道上を移動した距離に換算すると、その総距離は1億3900万マイル(約2.2億km)であった。同氏はISS船外でもかなりの時間を過ごし、同僚の宇宙飛行士のJessica Meir(ジェシカ・メイア)氏とともに、女性だけによる史上初の宇宙遊泳となった、3回の女性だけによる宇宙遊泳を含む6回の宇宙遊泳を達成した。

コック氏と帰還した宇宙飛行士は全員、着陸時には健康なようだったが、定められた標準的な健康診断を受けることになる。ただし彼女の科学ミッションはこれで終わりではなく、同氏はNASAのArtemis(アルテミス)計画を含む、月や火星を含む太陽系での宇宙開拓への道を開く、長期宇宙滞在に関するNASAの研究に参加している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAは北米の大気質を1時間ごとに計測するセンサー衛星を2022年に打ち上げ

NASAは、米国時間2月3日、Maxar 1300クラスの衛星に載せて、大気質予報の改善に寄与する観測機器を打ち上げる予定であることを発表した。Maxar 1300は、もともとインテルサット(Intelsat)の顧客に商用衛星用の通信機能を提供することを主な目的とする衛星だ。NASAの新しい大気質測定ツールは「TEMPO」と呼ばれる。これは、Tropospheric Emissions: Monitoring of Pollution(対流圏排出:汚染監視)の頭文字を取ったもの。オゾン、二酸化窒素、エアロゾルといったガスについて、北米の大気中の濃度を1時間ごとに測定できる。それによって相対的に大気質を把握し、情報を公開する。気象監視機関や、その他の組織は、そのデータを利用することで、より正確な大気質に関する最新の情報を、天気予報に組み入れて一般に提供できるようになる。

ただし、TEMPOツールの打ち上げは、Intelsat 40eと呼ばれるMaxar衛星が静止軌道に投入されることになっている2022年になる予定だ。NASAが、商用の通信衛星に科学的な観測機器を託すことは珍しくはない。そうすることで大型の静止衛星に同乗でき、カバーしたい領域を余裕でおさえることができる。もちろん、専用の衛星を打ち上げるのに比べて、絶大なコスト削減も可能となる。

NASA用にTEMPO機器を開発したのは、Ball Aerospace(ボールエアロスペース)だ。予定されている打ち上げの前までには、パロアルトにあるMaxarの衛星製造施設に輸送され、Intelsat 40eに組み込まれることになる。同じ衛星には、European Space Agency(欧州宇宙機関)の観測ツールや、韓国のGeostationary Environment Monitoring Spectrometer(静止環境監視分光計)なども積み込まれる予定だ。それらの組み合わせによって、北半球全体の大気質を、より包括的、かつ詳細に観測できるようになる。

NASAはすでにAQI(Air Quality Index、大気質指標)情報の改善に貢献しており、EPAが毎日発表するAQIの精度を最大38%向上させているという。この数字は、衛星からの3時間ごとのデータをAQIの算出に組み入れて、昨年8月に行われたテストの結果によるもの。このような測定の品質と精度を向上させ続けることは、地球上に住む生物であるわれわれにとって非常に大きな意味を持っている。人類が環境に及ぼす影響や航空機による汚染のせいで、大気質は悪化の一途をたどっているのだから。

TechCrunchでは2020年に初の宇宙専用イベント「TechCrunch Sessions:Space」を6月25日にロサンゼルスで開催する予定。チケットも発売中だ

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ロボットが軌道上で部品から宇宙船を組み立てるMaxarとNASAの実験

NASAは宇宙船の軌道上における給油と、特別製のロボットによる新たな部位の組み立てのデモンストレーションをMaxarに1億4200万ドル(約154億円)で発注した。

space infrastructure dexterous robot(宇宙のインフラストラクチャとなる器用なロボット)の(ほぼ)頭字語をとりSPIDERと呼ばれるこのプロジェクトは、NASAのRestore-Lミッションの一環として、軌道上でのタスクの自動化をデモンストレーションする。それは人工衛星の構成変更や修理、新しい部位のスクラッチからの製造などのタスクといったものとなる。

Restore-Lの宇宙船が最初にやることは、衛星と同期して捕捉して接続し、軌道上で給油を行い、衛星を新しい軌道へリリースすることだ。その後、宇宙船はMaxar製のロボットアームを使ってマルチパネルアンテナのリフレクターを組み立てるテストを行う。

最後に、別のハードウェアであるTethers UnlimitedのMakerSatが長さ10〜20メートルのビームを押し出し、それを親衛星が調べ、離したりくっつけたりしてその丈夫さをデモする。

NASAのJim Reuter(ジム・ロイター)氏はプレスリリースで「大きく強力な部位をいくつも打ち上げ、そのあと、それらを宇宙で組み立てて宇宙船を作る技術を実証して、宇宙技術におけるアメリカの世界的な優位性を維持したい。この技術のデモンストレーションは、宇宙内ロボティクスという新しい技術分野を開くだろう」と述べている。

ミッションの明確なタイムラインはないが、着手は2020年代を予定している。それは来週のElectronで飛ばせるような小さな実験ではなく大きくて高価なものであり、大型ロケットのペイロードをすべて占領するほどのプロジェクトだ。

デモンストレーションにすぎないとはいえ、Maxarは今後、いろいろな人工衛星上で宇宙内組み立てが日常的に行われるようになると考えている。同社は以前、地上デモを行なったが、もちろんそれが本物の代わりになるわけではない。

Maxarは半ばロボットアーム専業の企業で、NASAにも過去に6基納めている。現在、火星上空にあるThe one on InsightとThe Mars 2020 Roverだ。しかし、どうもNASAのネーミングには花がないね。

TechCrunchは3月にUC BerkeleyでロボティクスとAIのセッションを行い、そのステージにMaxarの宇宙ロボティクスのトップをお招きしたい。宇宙ロボットに関して、詳しい話が聞けるだろう。

SPIDERは、低地球軌道で衛星に給油を行う@NASAのRestore-LプロジェクトのためにMaxarが作っている宇宙船バスに統合される。SPIDERは、軌道上における宇宙船部位のロボットによる組み立てと構成変えを可能にする。詳しくは: pic.twitter.com/XfPquzmsKiを。

— Maxar Technologies (@Maxar) January 31, 2020

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボーイングはNASAのStarlinerミッションの再実行に備えて約447億円を確保

ボーイングは米国時間の1月29日、第4四半期の業績を発表した。その中には、Commercial Crew(商業乗員輸送)ミッションを再度実行する場合の費用をまかなうための4億1000万ドル(約447億円)の留保が含まれていた。昨年の12月のミッションが計画通りに遂行できなかったことを受け、NASAがもう1度無人打ち上げが必要だと判断した場合に対応するためだ。

この税引前の費用は、その四半期の全体的な営業利益の0.5%の減少に相当するとされる。ボーイングは、この資金を実際に支出するかどうかは、NASAの決断しだいだとしている。つまり、実際に宇宙飛行士が搭乗して飛行する前に、Commercial Crewに関する契約条件を満たすため、ボーイングはやり直しの飛行を実施する必要があるとNASAが判断するかどうかにかかっているわけだ。

「NASA​​は、もう1回無人打ち上げが必要かどうかを判断するため、2019年12月のミッション中に受信したデータを評価している」と、ボーイングの四半期報告書には記されている。

前回の打ち上げでは、完全に自動でISS(国際宇宙ステーション)にドッキングする予定だったがが、搭載されたミッションタイマーの誤作動によって、Starliner(スターライナー)カプセルは予期せず過剰な燃料を燃焼させ、最終的にISSへ計画通り到着することができなかった。やむなく、NASAとボーイングはカプセルを早期に着陸させることにして、ドッキングのデモを除く他のテストを完了させた。

Ars Technicaの最近の記事によれば、NASAはそのミッション中に、スラスターの性能についても懸念を抱いていたという。しかし、NASAもボーイングも、これまでのところ、実際に乗員をStarlinerに乗せる前に、もう1回の無人飛行が必要かどうかを判断するのは時期尚早だと言い続けてきた。

Commercial Crewプログラムへの参加者でもあるSpaceXは、昨年3月に「Demo-1」と呼ばれる無人のISSドッキングミッションを遂行した。自動ドッキングも、宇宙船を地球に帰還させることも計画通りに成功した。SpaceXも、昨年の静止噴射テストの際に、Crew Dragonが破壊されるなど、それなりに失敗を経験してきたが、今月初めに飛行中の中止テストが成功したことで、重要な乗員飛行のデモの前に必要となるすべての材料を揃えることができたようだ。乗員飛行は、早ければこの春にも実現したいとしている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

日本時間1月18日22時、SpaceXが有人飛行直前の最終テストを実施

SpaceXとNASAは、目前に控えたSpaceXの商用有人宇宙船Cew Dragonの非常に重要な打ち上げテストの準備を進めている。これは、SpaceXが国際宇宙ステーションまで実際に人間を乗せて飛行する前に、必ずパシしなければならないデモンストレーションミッション 最後の大きな山場となる。米国東部時間午前8時(日本時間の午後10時)、打ち上げウィンドウが開く。SpaceXは時間内に、宇宙船Crew Dragonと打ち上げ機(ロケット)Falcon9の、いわゆる「インフライトアボート」(飛行中止)テストを行い、実際の有人飛行時に不測の事態が発生したときに、乗員を守る安全装置の働きを実証する。

今回のミッションでは、Falcon9の先端にCrew Dragonカプセルを搭載して打ち上げる。このFalcon9には、これまで3回のミッションで打ち上げに使用し、再生したブースターステージが使用されている。しかし、今回がこのFalcon9にとって最後のフライトとなる。管制着陸は行わず、ロケットはそのまま廃棄する計画だからだ。打ち上げは、意図的に早めに切り上げられる。テストはロケットが「マックスQ(最大動圧点)」、つまり飛行中に大気圏内の動圧が最大値に達した直後である打ち上げからおよそ84秒まで行われる。

この時点でロケットは、地表からおよそ19kmの高度、フロリダのケープカナベラル空軍基地の打ち上げ台から3kmの距離にいる。ここに到達すると、SpaceXに備えられた打ち上げ時脱出システムが自動的に作動する。これは、人間が乗った宇宙船をFalcon9から切り離し、乗員の安全が保たれる十分な距離まで高速移動させるというものだ。打ち上げからおよそ5分後、Crew Dragonはパラシュートシステムを展開し、その約10分後に、海岸から3〜3.5km沖合の大西洋上に着水する。

その後、Crew Dragonカプセルは海から回収され、ケープカナベラルに戻され、SpaceXで検査が行われる。この宇宙船には乗員のダミーが乗せられており、内部に備え付けられた複数のセンサーで、テスト中のキャビンがどのような状態だったかがわかるようになっている。調査チームはそれをもとに、早期にミッションが中止される非常事態において、脱出プロセスが予定通りに進行し、搭乗した宇宙飛行士たちの安全が守られることを証明したいと考えている。

このインフライトアボートシステムの他にも、SpaceXとNASAは、今回のテストで有人飛行に備えたいくつもの試験を行う。2020年後半に打ち上げを予定している初の有人ミッションに登場するBob Behnken(ボブ・ベンケン)宇宙飛行士とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)宇宙飛行士が、実際のミッションを疑似体験するための予行演習も行われる。2人は宇宙服を着て、発射塔のCrew DragonとFalcon9に乗り込むための通路を歩くことになっていると、NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官はTwitterに投稿していた。

ジム・ブライデンスタイン「準備完了! 明日のSpaceXのインフライトアボートテストでCrew Dragonに乗ることはないが、宇宙飛行士のボブ・ベンケンとダグ・ハーリーは商用クルーミッションのリハーサルを行う。アメリカの国土からアメリカ人宇宙飛行士が飛び立つ日は近い!」

上記のとおり、今回のテストではロケットの回収は一切行わない。SpaceX有人ミッション管理ディレクターBenji Reed(ベンジ・リード)氏は、1月17日の記者会見で、Falcon9の第2段で、ある種の「点火」事象の発生を予期していると話していた。地上から見えるほど大きくなる可能性があるという。SpaceXのスタッフは、できる限り多くの破片を回収できるよう待機する。破片を研究に役立てるつもりだが、テストによる環境への悪影響を最小限にする狙いもある。

当初、このテストは、6カ月ほど前に実施される計画だったのだが、使用するはずのSpaceXのCrew Dragonカプセルがエンジンテストの際に予期せぬ事故で失われてしまった。SpaceXとNASAはその爆発事故を調査し、原因を解明し、同じ問題が二度と発生しないという自信を持つに至った。本日のテストで使われるCrew Dragonは、実際の有人飛行で使う予定だったもの。宇宙飛行士を乗せるための新しいカプセルは、現在、建造中だ。

SpaceXの打ち上げウィンドウは、米国東部時間1月18日の午前8時に開く。4時間開いている予定だが、リード氏によれば、必要に応じて延長できるという。NASAの商用有人プログラム・マネージャーのKathy Leuders(キャシー・ルーダー)氏は、打ち上げの条件だけでなく、回収の条件も非常に重要であり、どちらもこのテストの目的にとって最適でなければならないため、その両方の要因から正確な打ち上げ時間を決めることになると1月17日に話していた。特定の軌道に載せることが目的ではないため、時間ぴったりに打ち上げる必要はない。飛ばすか、止めるかの判断は、比較的柔軟に行える。もしもの場合のために、SpaceXでは1月19日と1月20日を予備日に設定している。

我々は、1月18日の朝(日本時間では1月18日、土曜日の夜)に始まるテストの様子をライブストリームとライブ取材でお伝えする。ストリーミングは打ち上げウィンドウが開く15分前(日本時間午後9時45分)から開始する予定なので、ぜひご覧いただきたい。

米国版TechCrunchのサイトでご覧ください)

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(翻訳:金井哲夫)

NASAの惑星ハンティング衛星が生命存在の可能性がある新しい地球サイズの惑星を発見

NASATransiting Exoplanet Survey Satellite(トランジット系惑星探索衛星:TESS)は、地球サイズで生命が存在する可能性のある新たな惑星を発見した。この惑星は、地表に液状の水をたたえられる条件を満たす距離で恒星の軌道を巡っている。

パサデナにあるNASAのジェット推進研究所(JPL)の声明によれば、科学者たちはNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡を使用して「TOI 700 d」と呼ばれるこの惑星を確認した。

この新しい惑星は、TRAPPIST-1(トラスピット1)星系を初め、NASAのケプラー宇宙望遠鏡で発見されたその他の領域のいくつかの地球サイズの惑星の仲間に加わることとなったと、JPLでは話している。

「TESSは、近隣の恒星系を周回する地球サイズの惑星を探すために、特別に設計され打ち上げられました」と、ワシントンD.C.のNASA本部に所属する天体物理学部門長のPaul Hertz(ポール・ハーツ)氏は声明の中で述べている。「近隣の恒星を巡る惑星は、宇宙と地上の大型望遠鏡を使うことでもっとも容易に追跡できます。TOI 700 dの発見は、TESSにとって非常に重要な科学的成果となりました。スピッツァーでこの惑星のサイズと生命居住可能領域の状態を確認できたことも、この1月に科学観測の運用を終えようとしているスピッツァーの新たな功績です」

TESSは、空のひとつのセクターを27日間にわたって観測する。それにより、恒星の手前を横切る惑星の影による明るさの変化を追跡調査できる。

JPLによれば、TOI 700は小型のM型主系列星(いわゆる赤色矮星)で、地球から100光年以上離れた南天のかじき座の中にあると科学者たちが断定した。

緑の部分が生命居住可能領域

TESSが調査したこの恒星は、質量が太陽の40パーセントほどで、表面温度は太陽よりも低く、太陽の半分の摂氏5500度ほどだ。惑星は3つある。この恒星は、現在考えられているよりも大きく高温だと思われていたが、これはTESSのデータベースの分類ミスによるもので、太陽によく似た恒星であるとのレッテルが貼られていたのだ(この誤りは、高校生のアルトン・スペンサー君を含む研究者チームによって指摘された)。

「この恒星のパラメーターを集めてみたところ、サイズは小さくなり、いちばん外側の惑星は地球とほぼ同じサイズで、生命居住可能領域にあることが判明しました」と、シカゴ大学大学院生のエミリー・ギルバート氏。「さらに、11カ月間にわたる恒星フレアのデータから、TOI 700 dの生命の居住可能性が高まり、大気と地表の状態が簡単にモデリングできるようになりました」

JPLによれば、最も内側を回る惑星は、地球とまったく同じサイズで、10日間で軌道を1周するという。中間の軌道を回る惑星は、地球の2.6倍(地球と海王星の間のサイズ)で、公転周期は16日。

生命居住可能領域に位置するのは、いちばん外側を回る惑星だ。地球よりも20パーセントほど大きい。37日間で軌道を1周し、地球が太陽から受けるエネルギー量のおよそ86パーセントを、その恒星から受けている。

どの惑星も自転と公転が同期している。つまり、1回の公転につき1回だけ自転する。TOI 700 dも同期自転しているため、雲の形成や風のパターンなどは地球とは劇的に異なると考えられている。

現在のところ科学者たちは、惑星のサイズと恒星のタイプを使ったコンピューターによるモデリングに依存して、惑星の成り立ちや想像しうる地形を予測している。

あるシミュレーションは、地表全体が海に覆われ、二酸化炭素濃度が高い大気に包まれた世界を描き出した。これは原初の火星がそうであったとされている環境とよく似ている。このモデルでは、大気は恒星に面した側では分厚い雲の層に覆われている。その一方、別の可能性として、地球から雲と海を完全になくしたような世界も予測されている。そこでは、夜の側から吹き付ける風が、恒星に真っ直ぐ面している一地点に収斂するという。

研究者たちは、スペクトル線と呼ばれる信号を利用している。これは、惑星の大気を通過する恒星の光から観測されるもので、惑星表面の姿を示してくれる。

恒星の光が惑星の大気を通過するとき、二酸化炭素や窒素といった分子と干渉して特徴的なスペクトルを示す。それがスペクトル線だ。

「いつか、TOI 700 dの本当のスペクトル線が観測できるようになれば、私たちは元に戻って、シミュレーションで得られた最も近いスペクトルと照合して、モデルにそれを反映できます」と、ゴダード宇宙飛行センターUniversities Space Research Association(大学宇宙研究協会)客員研究助手でモデリングチームのリーダーGabrielle Engelmann-Suissa(ゲイブリエル・エンゲルマンスイサ)氏は言う。「この惑星に関する発見は何もかもが、地球のものとはまったく違うのですから、興奮します」

TESSは、マサチューセッツ州ケンブリッジのMITが主導、運営し、NASAのゴダード宇宙飛行センターが管理するNASA Astrophysics Explorer(天体物理学探検)ミッションのひとつだ。声明によれば、その他のパートナーとして、バージニア州フォールズチャーチのノースロップ・グラマン、カリフォルニア州シリコンバレーのNASAエイムズ研究センター、マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード・スミソニアン天体物理学センター、MITリンカーン研究所、バルティモアの宇宙望遠鏡科学研究所が名を連ねている。

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(翻訳:金井哲夫)

ボーイングのStarliner乗員カプセルが軌道に乗り損ねてISSとドッキングできず

【抄訳】
Boeing(ボーイング)の乗員輸送宇宙船Starliner CST-100は、米国時間12月20日に初めての国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げを大成功させたが、しかしロケットと打ち上げ機は期待通り動作したにも関わらず、Starliner宇宙船自体は、打ち上げ後、自分のミッションを開始する際に思わぬ障害にぶつかった。

Starlinerのカプセルは、二段目のロケットULA Centaurからの切り離しに成功し、宇宙の軌道外ターゲットに到達したが、Starlinerが自らのエンジンに点火して目的の軌道へと進もうとした際、必要な噴射が起こらなかった。ボーイングによると、同機は太陽電池を安定して充電できる位置の確保はできており、地上チームが、宇宙船を必要な位置に到達させるために次にどのような操作をすればよいかを検討しているという。

NASAの管理官Jim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は、東部時間午前8時45分のツイートで、そのエラーに関する中身のある最初の最新情報を投稿した。それによると、何らかの出来事により宇宙船Starlinerが「そうではなかったのに、自分は軌道投入噴射をしていると思った」という。

[Jim Bridenstine: Mission Elapsed Time(MET、ミッション経過時間)が異常を起こし、そのせいで宇宙船は自分が軌道投入噴射をしていると信じたが、しかしそうではなかった。次の情報は東部時間午前9時にご報告する。]

ミッション用の時計は何らかのバグかエラーに遭遇して、Starlinerのシステムに実際のミッションの段階ではなく、違う段階にあると伝えた。その結果、宇宙船は予定外に燃料で噴射し、計画されていた軌道投入点を通り過ぎてしまった。その後、Starlinerは二目の噴射を行い安定した軌道をとるが、状況では計画どおりに国際宇宙ステーションへ到着することはできない。

【後略】

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAが有人宇宙飛行再開に向け12月20日にテスト機を打ち上げへ

NASAとボーイング、ボーイングとロッキード・マーティンの合弁宇宙事業であるULAは12月20日に、米国の有人宇宙飛行再開に向けた重要な打ち上げを予定している。OFT(軌道飛行テスト、Orbital Flight Test)はボーイング製のCST-100 Starlinerと呼ばれる乗員カプセルをULAのAtlas Vロケットで打ち上げ、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングさせる。これは有人宇宙飛行に向けた最後のテストの1つだ。

今週のミッションの目的

気象条件その他が許せば、現地時間で12月20日にULAのAtlas VがボーイングのCST-100カプセルを打ち上げる。このテストは簡単にいえば、来るべき有人飛行テストCFT(Crew Flight Test)のためのドレスリハーサルだ。OFTはもちろん極めて重要な打ち上げだが、ボーイングのStarlinerカプセルが実際の有人飛行を行うにあたっては、パラシュートシステムの信頼性テストをクリアしなければならない。また今回の打ち上げで得られたデータがすべて予期どおりであることを確認する必要がある。

【略】

今回のミッションではStarlinerカプセルはAtlas Vロケットの先端に取り付けられて高度180kmまで上昇し、そこでロケットから切り離され、カプセル自身のエンジンでISSに向かう。ISSの宇宙飛行士がカプセルをモニターし、ロボットアームでドッキングの最後の段階を助ける。ミッションとしては二次的重要性だが、カプセルには270kgの補給物資、装置が搭載されている。ペイロードがISSに移された後、カプセルはドッキングを解かれ、地球に帰還する。

ローンチ・ウィンドウ

打ち上げは米国東部時間12月20日午前6時36分(日本時間12月20日午後8時36分)にケープカナベラル空軍基地のSLC-41から発射される。天気予報は「80%程度可能」ということだ。

ローンチ・ウィンドウと呼ばれる打ち上げ可能な時間は予定時刻のみに限られており、この時刻になんらかの支障が起きれば21日ないし23日の予備日に切り替えられる。予定どおりに打ち上げられた場合、カプセルは翌日朝にISSにドッキングする。切り離しは28日に予定されている。帰還も今回のミッションでは重要な部分だ。

近づく有人飛行再開

すべてが計画どおり順調に進めばStarliner CST-100カプセルは有人宇宙飛行に向けて大きく前進する。上で述べたようにパラシュート・システムは安全規定をクリアするためにさらにテストが必要だが、各種のシステムの安全性が確認されれば、最初の有人飛行であるCFTミッションは「2020年の早い時期」に行われる予定だ。

米国時間12月18日に、ULAは移動式発射台をロールアウトし、Atlas Vロケットを発射予定地点に運んだ。NASA、ボーイング、ULAのエンジニアは発射のための最終調整に入っている。発射準備は2週間前からスタートしており、実際の発射を除くすべての手順がリハーサルされた

TechCrunchでも発射のもようをライブで中継する予定だ。またその結果についても情報を得しだい記事を公開する。

【Japan編集部追記】CST-100カプセルの着陸はニューメキシコ州ホワイトサンズ空軍基地をはじめ、米国本土西部の5カ所が候補となっており、9月に着陸テストが実施されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

NASAが「ロボットホテル」を次期SpaceX補給ミッションで国際宇宙ステーションに送り込む

NASA(航空宇宙局)は、同局が「ロボットホテル」と呼ぶものを次期補給ミッションで国際宇宙ステーション(ISS)に送り込む。SpaceXのロケットであるFalcon 9を今週打ち上げる。ロボットホテルは正式には「Robotic Tool Stowage」(ロボッティック・ツール・ストレージ)と呼ばれ、略称は「RiTS」。NASAは何よりも略称が大好きだ。

ロボットをどこまで擬人化したいかによっては「ホテル」より「ガレージ」の方が適切な命名かもしれない。このユニットは実質的に、ロボットが使われていない時の駐車スペースであり、放射線被爆や微小隕石などとの衝突からロボットを保護することが目的だ。

ホテルの最初の宿泊客はRobotic External Leak Locators(もちろん略称はRELL)という2台のロボットだ。ISSの外殻構造に漏れがないかを船外から確認するという重大な任務を負っている。従来は使用していないときはISS内で保管されていたが、宇宙ステーションの船内スペースは貴重なので、これを節約できることは宇宙飛行士や送り込まれる実験機器を送り込む研究者たちにとっては常に朗報だろう。

さらに、RELLは船外に出て任務に付く際には校正作業が必要で、丸々12時間を要する。新しい保管場所はすでに船外なので、ステーションのロボットアーム「Dextre」(デクスター)がロボットを掴んで作業させるのもずっと簡単迅速になる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAの2台目の浮遊支援ロボットが作業を開始

近頃、国際宇宙ステーション(ISS)に搭乗しているのは宇宙飛行士だけではない。NASAは今年初めにBumbleと呼ばれる浮遊型のロボットを導入し、今回新たにHoneyと呼ばれる新しい仲間が加わった。どちらも宇宙ステーションの宇宙飛行士のために作業する立方体形状のロボット・チームメイトことAstrobee(アストロビー)の一員で、実験だけでなく日々の活動にも役立つように設計されている。

この2つのロボットはすべての点で似ているが、Honeyは黄色の配色を特徴とし、Bumbleは識別のために青色になっている。Honeyは作業前にテストが必要だが、Bumbleと似ていることから時間はかからないはずだ。BumbleはすでにISSでの日本実験棟である「きぼう」モジュール内部をマッピングしており、Honeyはソフトウェアアップデートを通じてそのデータを受け取っているので、ゼロから作業を始める必要はない。

このペアのロボットは、Queenと呼ばれる第3のロボットが7月にISSに運ばれ、Honeyの後で稼働した後に、トリオのロボット編成となる。宇宙で活躍する自律ロボットの用途はこれだけではないが、これらのロボットは人間の宇宙飛行士と協力し、空間を共有し、無重力環境でも動作するように設計されている。

NASAは最終的に、このようなロボットが宇宙飛行士の仕事をより効率化し支援を提供したり、現在の仕事の一部を管理したりするするだけでなく、無人状態でも宇宙船やISSのメンテナンスを任せられることを期待している。Astrobeeとその後継ロボットは、月周辺やさらに遠方により永続的な人間のプレゼンスを確立するための、鍵となるかもしれない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAのスペースパレット構想は、月面にローバーを安価かつ簡単に着陸させる

月面に永続的な構造物を建造するということは、何度も月面着陸を繰り返すことが必要だということを意味している。そこでNASAの研究者たちは、そうした着陸を、できる限り信頼性高く安価に実現したいと考えている。この「パレット式着陸船」ロボットのコンセプトは、月着陸船と同時に月面に最大300kgまでのローバーや貨物を着陸させるための極めて単純な方法だ。

米国時間11月25日に発表された技術論文で詳述されているように、この着陸船はスペースパレット(荷台)の一種だ。将来のミッションで基本ユニットとして使用できる強力で基本的なフレームワークである。これはまだコンセプト段階であり、実際の名前が付いていないため、とりあえずこの記事の中では「スペースパレット」と呼ぶことにする。

関連記事:NASAが月の南極の地表下で結氷水を探すVIPER探査車を2022年に打ち上げ

これは、「コストとスケジュールを最小限に抑え」つつ、ローバーをただ安全に月面に運ぶことだけを目的としたVIPERミッションの関連研究で生み出された、デザイン的進化である。普段なら(少なくとも理屈の上では)コストをパフォーマンスに優先させることは滅多にないのだが、論文の序文にはこう書かれている。

この着陸船のデザインは、従来のようなリスク、質量、および性能のトレードパラメータが、コストよりも低く評価される最小レベルの要件セットに基づいている。言い換えれば、チームは「より良い」または「最高に良い」にこだわって「とりあえず十分」を諦めることはしなかったのだ。

もちろん月着陸船の話をしているときには、「とりあえず十分」という表現を使っても、ぞんざいな仕事を意味しているということはあり得ない。それは単に5%強い引っ張り強度を持つが50倍高価な素材を調達することが、価値あるトレードオフとは判断されなかったといった程度の意味なのだ。まったく同じ理由で私達は通常の貨物パレットに黒檀やニレを使用したりはしない。代わりに、地上でテストされた、いわば堅い松の板に相当する宇宙飛行素材を使っている(チームは内容に少し推定が混ざっていることを認めているが、これは何よりもまず現実的なアプローチであることを強調している)。

このスペースパレットは、Falcon 9ロケットの上に載るDragonなどの商用打上ロケットを使って、宇宙に送り出される。打上ロケットはパレットとその積載物のローバーを、月に向かう軌道へと投入する。数日後、スペースパレットは必要な着陸操作を遂行する。姿勢制御、着陸場所選定、減速、そしてローバーのソーラーパネルを太陽に向けた形でソフトタッチダウンを行うのだ。

着陸したあとは、ローバーは(パレットから降りて)数時間のうちに目的に向かってまっしぐらに進んでいく。着陸船そのものはいくつかの月面写真を撮影し、地球上にいるチームのために周囲の情報を送り出したあと、8時間程後には永久にシャットダウンする。

「そのとおり、残念ながらスペースパレットは月の夜を生き延びる能力は持たされていない」と研究者は指摘する。月面に存在するものはどれも強力な資源となるが、月の数週間におよぶ寒くて空気のない夜を着陸機が乗り切れるような、電力と熱のインフラを提供するには費用がかかる。

それでも、この船には、後から他の人に役立つ可能性のある、控えめで自律動作できる科学実験装置やハードウェアを装備しておくことはできる。おそらくナビゲーション用のパッシブビーコンや、近隣の隕石衝突を検知するための間欠的地震センサーなどだ。

搭載される可能性のある科学機器や、このスペースパレットがコンセプト段階よりも先に進めない場合の代替策について、私はもう少し質問してみた。しかし、仮に先に進めなかったとしても、チームは論文の中で「これらの技術や他の派生技術は、他の着陸船の設計やミッションに拡張可能であることに注意しておくことが重要だ」と書いている。

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(翻訳:sako)