NSAのスパイ疑惑は、米国クラウドビジネスの信用を失墜させる。EC副委員長が警告

NSAのスパイ疑惑は、アメリカのクラウドコンピューティング・ビジネスを支える信用を失墜させる、とNielie Kroes欧州委員会副委員長が今日(米国時間7/4)のスピーチで警告した。さらにKroesは、クラウドビジネスへの波及効果を避けるために、ヨーロッパに住み事業を展開している個人や企業のデータへの監視とアクセスの範囲と実態を「明瞭かつ透明」にするよう再度アメリカに要求した。

ヨーロッパ人の信用を失うことは、アメリカのクラウド事業に「数十億ユーロ規模」の影響を与えるだろう、と彼女は付け加えた。

Koresが話したのはエストニアで行われた記者会見中で、クラウド購買のEU共通仕様合意のために開かれた欧州クラウドパートナーシップ運営委員会の後に行われた。

スピーチの一部を下に引用した。この中で彼女は、クラウドコンピューティング・ビジネスは広範囲に影響を与える米国政府監視プログラムの中でも特にリスクが大きく、それはこのビジネスが顧客の〈預けているデータが安全に保管されているという〉信用の上に成り立っているからだと語った。

Kroesは次のように語った。

もし企業や政府が自分はスパイにあっていると考えるなら、彼らがクラウドを信用する理由は減り、その結果機会を逃がすのはクラウド事業者である。

もし、データが自分の意志に反して共有されていることを疑いあるいは知っているなら、誰が企業秘密や他の重要データを金を払って他人に預けるたろうか。表玄関であれ裏口からであれ、賢明な人間はそもそも情報が公開されることなど望まない。顧客は合理的に行動するので、事業者は膨大な機会を失うことになるだろう。

ここで機会を失うのは主としてアメリカの事業者だ。なぜなら主として彼らがクラウドサービスのリーダーだからだ。ここから最近の疑惑に関する新たな関心事が想起される。具体的には、米国政府によるヨーロッパのパートナー、同盟国の監視に関わる疑惑だ。

もしヨーロッパのクラウド利用者が米国政府やその保証を信じられなければ、米国クラウド事業者を信じることもないだろう。それが私の予測だ。そしてもし私が正しければ、米国企業への影響は数十億ドル規模になる。

もし私が米国のクラウド事業者なら、たった今自国政府に対して強く不満を感じているだろう。私には何の思惑もない。私は、開かれた市場、自由の価値、そして新しいデジタル革新の機会に全力を注いでいる。

彼女は、国家安全保障局(NSA)が行っているとされる大規模監視プログラムで、米国企業がデータ採取の手先として利用されていることを挙げ、プライバシーの保障能力は競争上の強みであり、クラウドを提供する米国以外のスタートアップや企業にとって心の糧になると示唆した。

「プライバシーに力を入れている企業は今すぐ名乗り出て実践すべきだ。それが賢い企業というものだ。2013年こそがその年だ。これには優れたプライバシー保護を提供するサービスへの関心を活用すべきヨーロッパ企業も含まれている。

Kroesは、「場合によって」権力が「オンラインに保管されているデータをある程度アクセスする」ことには正当性があるとを認め、子供の保護とテロリズムを「好例」として挙げた。ただしそのようなアクセスは「法律の透明な規則」に基づくべきであり、それは「規則の例外」であることを強調した。政府によるデジタルデータの定期的監視は、スパイ行為をルール化することで、これを根本から覆えそうとしている。そして、日々定期的にスパイを強要される米国企業を傷つける危険をはらんでいる。

「クラウドセキュリティーへの懸念は、市場のオープン化よりもセキュリティの保証を優先させるよう、欧州の為政者たちを容易に動かす ― そして影響は米国企業に及ぶ」と彼女は付け加えた。

「クラウドには大きな可能性がある。しかし可能性は不信な空気の中では意味を持たない。ヨーロッパのクラウド利用者とアメリカのクラウド事業者や為政者たちは慎重に考える必要がある」

しかし、Kroesの発言と同じ日に、フランスにも独自のPRISM風データ収集プログラムがあるというニュースが浮上した。一方英国は以前諜報機関GCHQを通じて同様の組織的データ収集に熱中していると指摘さている。このため、NSAに後押しされた米国企業への反発も、その恩恵を受けるヨーロッパのクラウド企業はKroesが言うほど多くはないかもしれない。

[画像提供:DJ-Dwayne via Flickr

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(翻訳:Nob Takahashi)


新たなスパイ疑惑:NSAはメールとネット利用の記録を2年間保持していた

The CrunchGov Essentialは、今日の重大問題におけるテクノロジーの影響を要約する。以下の特集は、ウェブの最優良コンテンツ通じて伝えられた、最も思慮に富む、常軌を逸した、あるいは想像をかきたてる話題だ。朝刊ニュースレターの購読はこちらから。

The Essential — かつてSnowdenは、情報漏洩者は「射たれるべき」と思っていた/ネイト・シルバーが評論家について/Facebookのスパイ対策プロトコル/Funny Or Die: NSAの求人広告ビデオ

特集 ― 新たなスパイ疑惑:NSAはメールとネット利用の情報を2年間保持していた

「オバマ政権は2年以上に渡り、NSAにアメリカ人のメールやインターネット利用に関する膨大な量のデータを集め続けることを許可していた」とThe Guardianは報じた。入手された文書によって、2001年に承認されたメールおよびインターネット利用行動に関するデータ収集の最高機密プログラムが暴露された。具体的には、NSAが集めているのはどのウェブサイトを訪れたか、ユーザーが誰と連絡しているかなどの「メタデータ」であり、これらの通信やウェブサイトのコンテンツではない。

「誰に電話をしたかだけからでも多くのことがわかるが、今やわれわれの生活の大部分にインターネットが介在しており、IP[インターネットプロトコル]ログは人間の脳のリアルタイムマップと言える。何について読んでいるか、何に興味をもっているか、どのパーソナル広告に反応しているか(特定の広告にリンクしたメールから)、どのネット議論に参加しているか、どんな頻度で。」とCato InstituteのJulian Sanchezが説明した。

さらにNSAは、アメリカ人から外国人に宛てられた通常メールやその他電子的コミュニケーションの “to”、”from”、”bcc” なども収集していた。

当局はThe Guardianに、この2年間のデータ収集方針は2011年に中止されたと言っているが、Glenn GreewaldとSpencer Ackermanは懐疑的だ。「例えば、2012年12月にNSAは受発信いずれかが米国内にある通信を分析する新しいプログラムを立ち上げ、監視データの量が倍増した」。

NSAはメッセージの内容を収集しておらず、情報は通信会社内で通常共有されていることから憲法上の権利は侵害していない、と調査官らは信じている。

「この種の料金記録や通話記録のように内容を含まない情報は、憲法修正第4条の対象ではない。なぜなら、人々はいつ誰に電話したかに関するプライバシーを合理的に予測していないからだ」とJames Colen副司法長官が6月18日の上院諜報委員会の証人喚問で語った。
彼の修正第4条の解釈に大多数のアメリカ人が同意すると私には思えないが・・・私が間違っているのかもしれない。

The Essential:6項目

Edward Snowdenは、情報漏洩者は「ボールを射たれればいい」と思っていた [Ars Technica]

  • Ars Technicaサイトの2009年のコメント人は、皮肉にもかつてEdward Snowdenが情報漏洩者を嫌っていたことを発掘した
  • 「そういう連中はボールを射たれればいい。やつらは戦争を始めようとしているのか?なんてこった。まるでWilileaksだ」と彼は書いている。さらに彼は、New York Timesがイスラエルと米国がイランに関して秘密交渉していると報じたことにも触れていた。
  • 彼はその後4年間で考えを変えたのだと私は思う。

Facebook、超機密データでGoogleを追う [CNET]

  • 報道によると、Facebookは英国および米国の諜報機関が行っていると言われるインターネット回線の直接モニターに耐性のある、超暗号化データ通信方式を制定しようとしている。
  • “Forward Secrecy”は暗号化標準の一つで、ユニークな解読キーを各ユーザーに割り当てる。Googleは何年も前からこの方法を実施している。
  • このプロセスはコストが高く、CNETによると15%費用が増すという。

上院議員、NSAの活動に制限を提案[Naked Security]

  • Batmanのエキストラで米国上院議員のパトリック・レイヒーは、NSAのスパイ行動力を制限する議案を提出した。
  • 「2013年FISA(外国諜報活動偵察法)説明責任およびプライバシー保護法案は、データ収集が承認された捜査に関連があり、海外グループまたは勢力につながりがあることを政府が説明することを要求している」

ネイト・シルバー、評論家について語る

Aspen Ideas Festivalの講演で、New York Timesの選挙予言者、ネイト・シルバーは、政治評論家に対して容赦がなかった。「評論家は、要するに役立たずだと思う」とKatie Couricに語った。

Funny Or Die:のぞきで給料をもらいたい人はNSAに入ろう

1日の終りはスマイルで

Kickstarterのパイオニア怠惰な熱狂者、Kristen Bellは、長年の男友達、Dax Shephardにプロポーズした。最高裁が「結婚防衛法」違憲の判決を下した直後のことだった(彼氏の答えは「イエス」)

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(翻訳:Nob Takahashi)


エドワード・スノーデンが亡命をもくろむエクアドルは、ジャーナリストにとって理想郷ではない

NSAの通報者、Edward Snowdenは、米国の準敵国を巡るこのツアーでエクアドルの青い空に向かっている。エクアドルは、Wikileaksのファウンダー、Julian Assangeをはじめ世界的情報漏洩者にとって安全な隠れ場だが、この国はジャーナリストにとっては理想郷ではない。Freedom Houseによる報道の自由評価で「部分的に自由」のレーティングを受けた同国に関するレポートにはこう書かれている。

「ジャーナリストやメディア企業に対する攻撃が後をたたない。2011年、国の報道の自由監視組織であるFundamediosは、当局および一般市民による150件近くのメディア攻撃(物理的、言語的、および法的)を報告している。

ラファエル・コレア大統領は、メディアを「インクを使う暗殺者」と呼んでいると報じられている。警察の暴動に対するコレア大統領の対応を批判した少なくとも一人のジャーナリストは、同国のあまり優しくない名誉毀損法によって懲役3年を求刑され、マイアミに逃亡しなければならなかった。

コレア大統領は批判に反論して、「われわれは言論の自由の名の下に日々繰り返される嫌がらせや犯罪を容認するわけにはいかない」と言っている。(「国境なき記者団」はエクアドルのメディア問題に対して、心地良い響きの「まあまあ」のレーティングを与えている)。

コレア氏は、他の自由諸国がAssangeの投獄に期待を寄せる中、エクアドルが彼をロンドン大使館で保護していることにも言及できる。Wikileaks騒動の一部始終は米国とエクアドルの間に冷やかな関係を呼んだ。漏洩した外交電文によると、米国大使はコレア氏が腐敗した役人を昇進させたと主張し、その結果エクアドルは同大使を追放し、米国もエクアドルの駐米大使を追放した

このため、誰もがエクアドルは純粋な信念に基づく理由でAssangeを保護しているとは信じていない。「報道の自由についてコレア氏が言っていることと現実との間には巨大なギャップがある」と、報道の自由監視グループFundamediousの責任者、César Ricaurteは言った。「もしAssangeがエクアドル人だったら、彼は今頃牢屋の中だろう」。

エクアドルがこれをPR活動として行っているのであれ、報道の自由に対する入り組んだスタンスをとっているのであれ、漏洩者たちは新たな安全な隠れ場を手に入れたようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


NSAの通報者スノーデン、香港からロシアへの旅を経てエクアドルに亡命を申請

ここ数週間、国家安全保障局(NSA)の監視プログラムPRISMをはじめとする数々の政府行動を暴露した通報者、Edward Snowdenは、香港を離れ現在乗り継ぎのためモスクワにいる。Snowdenに法的支援を続けているWikileaksによると、彼は「亡命のために安全な経路でエクアドル共和国に向かっており、外交官およびWikileaksの法律顧問に付き添われている」。

初期の報道で示唆されていたその民主的国家はベネズエラで、モスクワは彼の旅の第一通過点にすぎなかった。しかし、どうやらWikileaksのファウンダー、Julian Assangeにも亡命を提案したエクアドルは今回も興味を示しているようだ。先週、Snowdenはアイスランドに向かうつもりであると言われていた。

アップデート(太平洋時刻 9:58am)確かにSnowdenは、エクアドルへの亡命を申請したようだ。つい先ほど同国の外務大臣がこれをツイートした。

[エクアドル政府は、Edward J. #Snowdenからの亡命申請を受け取った]

Wikileaksもプレスリリースを更新した:「彼は亡命のために安全な経路でエクアドル共和国に向かっており、外交官およびWikileaksの法律顧問に付き添われている」。本稿もこれを反映して更新した。

[エクアドル大使は今もここモスクワ空港にいる。エクアドルがEdward Snowdenの最終目的地のようだ]

われわれが調べた限り、モスクワからエクアドルの首都キトに向かう直行便はないので、Snowdenは民間機を利用し、何ヶ所かで乗り継ぐ必要があるだろう(距離は標準的ジェット旅客機の航行距離をはるかに越えている)。キューバは可能性の高い候補地であり、今日、もしSnowdenがベネズエラに向かうならと議論された時にも選択肢に挙がっていた。米国は Snowdenのパスポートを無効化しており、これはエクアドルへの入国には問題ないものの、彼の旅程を複雑化する可能性はある。

Snowdenは合法的に香港を離れることができさと、今日香港政府は発表した。これは米国からの逮捕請求が「香港法の要求を完全に満たしていなかった」ためだ。香港は米国に対して追加情報を要求したが、未だにそれを受け取っていないため「Snowdenが香港外へ移動することを制限する法的根拠」がなかった。

なお、香港は米国に対して、自国のコンピューターシステムが米国機関によってハックされたとする先の報道について説明を要求していることも注目される。

Snowdenはアエロフロート機で香港からモスクワに向かい、数時間前に着陸したが、最新報道によると、彼はそこからキューバを経て最終的にベネズエラに向かうと見られている。もし彼がモスクワのシェレメチェボ空港に乗り継ぎのために滞在しているのであれば、たとえ米国が要求してもロシアが彼を拘留できる可能性は低い。ABCのKirit Radia記者は、Snowdenの同乗客から話を聞き、彼の乗った便は「外交官車両」に出迎えられたが、どこの国のものかは不明だったと伝えている

[ロシアのインターファクスによると、ベネズエラの外交官が、モスクワ空港の駐機場でSnowdenを車に乗せた。すぐに連れ去った。#NSA]

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Edward Snowdenはスパイ容疑で告発–身柄引き渡しはどうなる?

Washington Postによると、合衆国政府はNSAの秘密行動をリークしたEdward Snowdenに鉄槌を下し、彼を最高の重罪…スパイ行為…で告発した。彼は今香港に身を隠し、彼と同じくリークに使命感を燃やすWikileaksのJulian Assangeの支援の下(もと)に、亡命先を探している*。〔*: 関連記事(未訳)。〕

皮肉にも、The PostUSA Todayの記事によると、Snowdenに重い政治犯罪を課してしまうと、いわゆる‘犯罪人引き渡し’が困難になる。The Postは、こう説明している:

“しかし、条約には政治犯に関する例外があり、そしてスパイ行為は従来より政治犯と見なされてきた。Snowdenの香港の弁護団は、この、合衆国との犯人引き渡し条約に訴えるものと思われるが、そこには、被疑者は“政治的な性格の”犯罪で刑事裁判に科せられるべく引き渡されることはない、と述べられている。”

引き渡しの過程が数か月かかることもありえる:

“検察は60日以内に、これまた政府認定のもとに、彼を起訴しなければならない。そしてその後Snowdenの身柄を香港から引き取り、合衆国の裁判にかけることになる。しかし、この件をめぐる法的抗争はおそらく香港の最高裁の関与を招き、数か月を要することもありえる。”

この厳しい嫌疑により、SnowdenがWililieaksのソースBradley Manning と同じ目に遭うのではないか、とのおそれもある。Manningは長期に亘る独房への幽閉により、自殺を考えることもあった、といわれる。

Charlie Roseとのインタビューでオバマ大統領は、Snowdenの処罰について語ることを拒否した

余談だが、今Googleで”bradley”を検索すると、まだManningが候補のかなり上位にいる(下図)。〔下図で、最上位は人気男優Bradley Cooper。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


米国政府、NSAは法的承認なく国内通話を傍聴可能とする報道を否定

昨日(米国時間6/15)の、NSAが議会に対する秘密の説明会で、同局アナリストは「本人の判断のみ」で国内通話を傍聴できると発表したとするCNETの報道は、テクノロジーおよび政治ブログ界で大きく話題になった。しかし今日国家情報長官(ODDI)は、この記事を「事実に反する」とする声明を発表した。

CNETの記事は、Jerrold Nadler下院議員のコメントに基づいており、記者によると、同議員はNSAから「通話の内容は『アナリストのみの判断』でアクセスできる」と言われた。もしこれが真実なら、アナリストの勘だけで国内通話の傍聴が可能というのは、かなり危険な発想だ。

ODNIによると、「一人のアナリストが適切な法的承認を得ずに国内通話を盗聴できるという説明は事実に反しており、議会に対してもそうは伝えてもいない」。ODNIによると、下院議員らは、外国諜報活動偵察法(FISA)702条の適用に関して説明を受けただけで、これは正当な海外情報収集目的で滞在している外国人を対象としている。

ODNIが以前説明したように、この法令はアメリカ人を対象として使用することができない。しかし、多くの評論家が指摘するように、これらのプログラムの適用範囲から考えると、国内通話および他の通信手段も網にかかる可能性は高い。さらに政府は、調査対象がアメリカ人または合法的市民ではないという判断には、わずか51%以上の確信があればよいとしている。

以前、国家情報長官、James R. Clapperは、NSAのPRISMプログラムに関する最近の暴露報道には「多数の誤り」が見られ、データの発掘および「いかなる米国市民、あるいは在米人を意図的に標的とする」ためにPRISMを利用することはできないことも主張している。

元の記事を報じた後、CNETは記事の見出しを「NSA、令状なしで米国内通話の傍聴可能と認める」から「NSAのスパイ活動範囲、米国内通話内容にも拡大」へと変更し、Nadler議員を主たる引用元とした。記事の主旨は変わっていない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


NSAはプライベートデータにアクセスしたがそれは”直接アクセス”ではなかった–NYTの報道より

混乱という名の霧が徐々に晴れて、NSAの監視計画PRISMを取り巻く事実が少しずつ分かってきた。The New York TimeのClaire Cain Miller記者の記事によると、ユーザに対する政府のスパイ行為を手伝ったとされるテク企業は、たしかにサーバへの直接アクセスができるバックドアを提供してはいない。

しかし記事によると、政府と自分たち…Microsoft、AOL、Apple、Facebook、Yahoo、Paltalkなどの企業…にとって、“政府の適法的な要求に応じて外国人ユーザの個人データをより効率的かつよりセキュアに共有する”ことが、より容易にできるべく便宜を図った、とされている。

場合によっては、そのためにコンピュータシステムに変更を加えた企業もある。たとえばGoogleとFacebookは、政府機関のデータ要求に対応するための“セキュアなポータル”を作ることを議論したらしい。要求されたデータをそこにアップロードしておき、政府機関にはそこからデータを取り出してもらうのだ。それはスパイ小説に出てくるdead dropを思わせるが、しかしそれ的な部屋は通信企業のスィッチングセンターにはかなり前からあったという。

記事はさらに、ある政府機関が特殊なソフトウェアを企業のサーバにインストールした例を挙げている。企業名は明らかでないが、そこから数週間に亘ってデータを政府職員のラップトップにダウンロードしたそうだ。

どんどん増加〜更新されていくサーバ上のデータを、リアルタイムで監視するケースもあったようだ。

企業は、何も知らないと言い張っているが、彼らのその主張と、この記事に述べられていることは、言うまでもなく大きく隔たっている。The New York Timesは、この対政府作業を担当させられた社員には箝口令が敷かれているのだ、と主張している。でもGoogleやFacebookのような企業の内部で、どうやって隠しおおせることができたのか、それが不思議だ。

〔関連記事: 企業はNSAのために隔離システムを作った(未訳)。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GoogleのPageに続きFacebookのZuckerbergもPRIZMへの関与を否定

Mark ZuckerbergがさきほどFacebook上で、FacebookがPRISMに関与したという非難に対し、個人として応答した。その中で彼は、同社のサーバへの“直接的アクセス”を政府に与えたことは一度もない、と言明している。

数時間前にはGoogleがやはり、PRISMをめぐるあれやこれやに対して応答した。この、PRISMと呼ばれる、NSAとFBIによる国家レベルのハッカー行為、いやクラッカー行為により、合衆国の情報技術系大企業Facebook、Google、Microsoft、Appleなどのサーバがアクセスされ、ユーザ情報が盗視された、と言われている。

Zuckの応答はLarry Pageのそれと、あまり変わらない:

PRISMに関するひどい報道に対して、個人的に応答したい。

Facebookは合衆国やそのほかの政府に弊社のサーバへの直接的なアクセスを与えるいかなる計画にも、加担したことはない。弊社は、Verizonが受け取ったとされているような、大量の情報やメタデータを求める、何らかの政府機関からの包括的要求や裁判所命令を受け取ったことは、一度もない。もし受け取っていたら、断固拒否したであろう。PRISMについても、昨日までは一度も聞いたことがない。

政府がFacebookにデータを求めるときには、弊社はその要求を慎重に精査し、正しい手順に従っていることと、すべての関連法に照らして要求が適法であることを確認し、法が正当に要求している情報である場合のみそれらを提供する。ユーザの情報の安全と保安のためには弊社は今後とも断固たる態度をとり続ける所存である。

すべての政府は、公共の安全のためのすべての施策に関し、透明性を確保すべきである。それが、市民の自由を守り、われわれが末永く望む安全で自由な社会を作るための、唯一の方法である。

このポストは私がこの記事を書いてる時点(日本時間6/8 7:00amごろ)で56000あまりのLikeを集めている。

なお、Pageの声明文とZuckerbergのそれは、とてもよく似ている。下に引用したツイート中にあるリンクのDocを、チェックしてみよう:

この計画に関わったとされるすべての企業が関与を否定している。それらは、Facebook、Google、Microsoft、Apple、Yahoo、Dropbox、PalTalk、そしてAOLだ。8社中5社は、いかなる政府機関にもサーバへの“直接的アクセス”を与えたことはない、と言っている。半数以上が、“PRISMという名を聞いたことがない”、という。PageとZuckerbergの両人は共に、“昨日初めて知った”と言っている。

各社の声明があまりにも似ていることを、陰謀説の根拠とする者もいる。それは必然的なドミノ効果だ、と見る向きもある。事実はいまだに闇の中だが、一社が関与を否定したら他もそれに従わざるを得ない。

〔訳注: 私はFacebookアカウントをアメリカのオレゴン州あたりからハックされ、Facebookを(パスワード変更後)完全脱会したけど、その完全脱会の“完全性”にもいまだに完全な信頼はおけない。Facebookは、こんな退屈な声明文ではなく、ログとその分析結果を公開したらどうだろう。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、「政府のPRISM監視計画には情報もバックドアも提供していない」と全面否定

アメリカ政府によるPRISM監視計画に基づくユーザー情報へのアクセス要求を受けたと報じられた企業はそろって計画への参加をを否定する短い声明を発表している。もちろんGoogleも同様の声明を発表した。同時に、CEOのラリー・ペイジと最高法務責任者のデビッド・ドラモンドによる詳しいコメントを公表した。

この中でペイジとドラモンドは「Googleはアメリカ政府にユーザー情報への直接アクセスを許可したこともデータセンターへの『裏口』を提供したこともない。またGoogleは昨日までPRISMなる計画の存在さえ聞いたことがなかった」と主張している。

またコメントには「Verizonが受けたとされるような何百万もの通話情報を開示するに至るような広汎な情報提供要請をGoogleが受けたことはない。今週マスコミが報じるまでそうした計画が存在することも知らなかった。そのような計画が存在したことを知って大いに驚いている」と述べられている。

もちろん一番重要な一節は「Googleは今後とも政府にユーザー情報への無制限なアクセスを提供するつもりはない。Googleが政府にそのような無制限のアクセスを与えているというマスコミ報道は全くの誤りである」という部分だろう。

ペイジとドラモンドは「Googleは情報開示を求める法的要求を拒絶することに一度ならず成功してきた。今回の事件は政府の情報収集にはさらに透明性の高いアプローチが必要だというわれわれの以前からの信念を強めるものとなった」と書いている。そのアプローチの具体的な内容までは説明されていないが、「現在の法的プロセスに蔓延している秘密主義はわれわれが尊重してきた自由を危険にさらすものだ」と指摘している。

〔日本版〕Facebookのマーク・ザッカーバーグも同様の趣旨のコメントを発表した。”

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、「政府のPRISM監視計画には情報もバックドアも提供していない」と全面否定

アメリカ政府によるPRISM監視計画に基づくユーザー情報へのアクセス要求を受けたと報じられた企業はそろって計画への参加をを否定する短い声明を発表している。もちろんGoogleも同様の声明を発表した。同時に、CEOのラリー・ペイジと最高法務責任者のデビッド・ドラモンドによる詳しいコメントを公表した。

この中でペイジとドラモンドは「Googleはアメリカ政府にユーザー情報への直接アクセスを許可したこともデータセンターへの『裏口』を提供したこともない。またGoogleは昨日までPRISMなる計画の存在さえ聞いたことがなかった」と主張している。

またコメントには「Verizonが受けたとされるような何百万もの通話情報を開示するに至るような広汎な情報提供要請をGoogleが受けたことはない。今週マスコミが報じるまでそうした計画が存在することも知らなかった。そのような計画が存在したことを知って大いに驚いている」と述べられている。

もちろん一番重要な一節は「Googleは今後とも政府にユーザー情報への無制限なアクセスを提供するつもりはない。Googleが政府にそのような無制限のアクセスを与えているというマスコミ報道は全くの誤りである」という部分だろう。

ペイジとドラモンドは「Googleは情報開示を求める法的要求を拒絶することに一度ならず成功してきた。今回の事件は政府の情報収集にはさらに透明性の高いアプローチが必要だというわれわれの以前からの信念を強めるものとなった」と書いている。そのアプローチの具体的な内容までは説明されていないが、「現在の法的プロセスに蔓延している秘密主義はわれわれが尊重してきた自由を危険にさらすものだ」と指摘している。

〔日本版〕Facebookのマーク・ザッカーバーグも同様の趣旨のコメントを発表した。”

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+