Podheroがお気に入りのポッドキャストのマネタイズを支援するサブスクアプリを公開

Podhero(ポッドヒーロー)は、リスナーがお気に入りのポッドキャスターに支払いをする新しい手段を提供する。

Podheroを率いるのは、かつてHipChat(ヒップチャット)を起業し、2019年にはSwoot(スウォート)を起業(未訳記事)したPete Curley(ピート・カーリー)氏とGarret Heaton(ギャレット・ヒートン)氏だ。HipChatは後にAtlassian(アトラシアン)に買収され、Swootは共有によって知らなかったポッドキャストを発見するサービスを提供していた。

Mediumの投稿でカーリー氏は、Swootは「リテンションに優れ、熱心なユーザーがいた」ものの、ポッドキャスターが直面している大きな問題を認識したと記している。それは「収益化が本当に困難」ということだ。97.2%のポッドキャストが、まったく収益化できていないという。

お気に入りのポッドキャストの中で広告が流れるのを聞いたことがある人もいるだろう。しかしカーリー氏によれば、広告を入れているポッドキャストはわずか1.4%だという。一方で同氏は「サブスクリプションサービスはクリエイターが収入を得るための最も公平で予測可能な手段」であり「もしポッドキャストリスナーの半数が無料の番組に対して費用を支払えば、クリエイター側は年間37億ドル(約3960億円)を得られる。これは2019年の広告収入の6倍近い」と指摘している。

そこでPodheroは、サブスクリプション形式のポッドキャストアプリをリリースした。これは、もともとはオープンだったポッドキャストのエコシステムに対してクローズドなアプローチをとって批判されたLuminary(未訳記事)とは異なり、独占コンテンツを聞くためにリスナーに支払いをさせようとはしていない。むしろ、クリエイターを経済的に支援するPatreonのアプローチに近いものだ。

もちろん、ポッドキャスターはPatreonを通じて支援を求めることができる。しかしカーリー氏は、Patreonは多くのポッドキャスターには向いていない、その理由は追加の作業が必要であること、Patreonが8%の手数料を取ること、ボーナスコンテンツを作るプレッシャー、そして単純にポッドキャスターは金銭を求めたがらないことだと述べている。

Podheroはポッドキャスターにとっても、サブスクリプションで毎月5.99ドル(約640円)を支払うリスナーにとっても、もっと手軽に利用できることを想定している。5.99ドルのうち1ドル(約107円)をPodheroを支援する費用とし、4.99ドル(約533円)をポッドキャストで分け合うが、支援の1ドルはオプションであるとしている。

Podheroでは聴取行動に基づいて支援するポッドキャストのリストが自動で作られるが、リストと割合はいつでも自分で変更できる。そしてカーリー氏は、共有を通じてポッドキャストを発見することをまだ完全にあきらめてはいない。リスナーはポッドキャストのエピソードを紹介することができ、これも支払い金額に影響する。

Podheroは米国時間6月9日にサービスを開始し、その日のうちにすでに100万以上のポッドキャストが揃っているという。しかしポッドキャスターの大半はPodheroと連携していない。例えばTechCrunchのポッドキャストはPodheroアプリの中にあるが、我々は取引をしていない。カーリー氏は筆者宛のメールで、ポッドキャスターがPodheroとまだ取引をしていない場合、ファンから支援された金額はPodheroのプロファイルを請求するときに備えて確保しておくと述べた。

カーリー氏は「我々はどこかの時点で請求されていない分の金額をどうにかしなくてはならないかもしれないが、それは当面は心配するような問題ではない」と述べている。

トップ画像:Nicola Katie / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナウイルス蔓延の中、3月に3万人のビデオブロガーがPatreonに加入

クリエイティブな人々のビジネスは新型コロナウイルス(COVID-19)で大きな影響を受けている。そこで記録的な数のビデオブロガー、ユーチューバーがPatreonに参加し始めた。同社の発表によれば、3月の最初の3週間で3万人以上のクリエーターがこのプラットフォームと契約したという。クリエーターがパトロン(有料オーディエンス)を獲得するスピードもこれまでよりずっと早い。つまり収入の増加も早いわけだ。

世界のクリエーターは、新型コロナウイルスの流行により直接的にも間接的にも逆風にさらされてきた。ウイルスの拡大を抑えるために、ライブショーはキャンセルされ、カンファレンスやトレードショーなどのイベントも軒並み、中止ないし延期されている。クリエーターがこれまで依存していた他の収入源も弱体化している可能性がある。

悪影響を受けたクリエーターの多くがPatreonプラットフォームに加わって損失を防ごうとしている。ファンはすばやくクリエーターをフォローするようだ。

Patreonの社内資料によれば、米国、英国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、イタリア全体での3月に顧客は対前月比で36.2%もアップしている。資料によれば、 Patreonへの新規参加者の動向が大きく変化したのは3月の12日木曜日から13日金曜日だ。

これ以後、クリエーターはPatreonの創立以来最速でプラットフォームに参加し続けている。もうひとつ重要な点は、参加から10日以内に最初の「パトロン」を獲得するクリエーターの割合が増加していることだ。Patreonでは今回のブームがこれまで経験した中で最も強力なものだとしている。

現在、Patreonのプラットフォームは、180か国400万人以上のオーディエンスをパトロンとしており、コミュニティーに独占的なコンテンツを配信することで収入を生み出している。世界で15万人以上のアーティストがこのサービスを提供を受けている。クリエーターがこれまでにPatreonのプラットフォームを通じて得た収入は10億ドル以上だという。

しかしもちろんすべてがバラ色というわけにはいかない。Patreonの一部には新型コロナウイルス問題のために、サイトの閉鎖を余儀なくされるメンバーがいるため、解約数もわずかに増加しているという。だが、全体として解約率は今のところ安定しており、これによる減少は他のサービスが経験しているほど大きなものではない。

新型コロナウイルスの流行の影響により大幅な成長が見られたプラットフォームはPatreonだけではない。クラウドファンディングのGoFundMeなどのサイトも、中小企業のサポート、生活費、食料、医療費など個人のライフイベントへの支援を求めているためここ数週間で急成長している。

GoFundMeはこの数週間で2万2000以上の新型コロナウイルス関連の募金活動を処理し、病院、企業、およびその他の組織をサポートする寄付を4000万ドル以上集めたと発表している。同社はまた、パンデミックの影響を受けたコミュニティを支援するために150万ドルを寄付すると約束している。

TechCrunchではPatreonがクリエーター向けの少額融資ファンドを組成したことを報じている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

資金不足のクリエーターが資金援助してもらえるプラットフォーム、Patreon Capital設立

クリエーターがファンから金銭的援助を受けられるプラットフォームPatreon(パトレオン)は、気前よく小切手帳を開いた。このスタートアップは、新たにローンチしたPatreon Capital(パトレオン・キャピタル)でベンチャー投資家になろうなどとは、まだ考えていない。自己資本を要求しないキャッシングサービス(つまりローン)を、大きな創作活動のための資金が不足しているPatreon会員に提供する。Patreonはすでに、クリエーターへの小規模融資を12件ほど行っていると、Hot Podは伝えている。

1億6500万ドル(約182億円)の資金調達を行ったPatreonは、反発を恐れて、今あるユーザーベースの料金体系を抜本的に変更することはないだろう。そのため、前に進むための最良の選択肢が、顧客ネットワークを利用して付加的なサービスを売り込むことだ。融資部門の設立は、理に適っている。

野心的なクリエーターにとって、Patreonを通した独自の加入者ネットワークの構築は、もうひとつのサービスとなる。その一方でPatreonにとっては、自力で冒険したい誘惑に駆られるであろう成功したクリエーターををつなぎとめておく手段にもなる。クリエーターの活動は、ベンチャー規模のリターンを生み出すまでに成長することはまずないが、そんな小さな存在でもローンは返済できる。問題は、もちろん確実な返済だ。

Patreonは、新進気鋭のクリエーターに関する利用せずにはいられないほどのデータにアクセスできる。YouTubeやFacebookなら、特に悩むこともなくインフルエンサーに投資できるだろうが、返済を確保しながらプラットフォーム上で顧客をサポートできるという、スタートアップへのおもしろい提案になる理由は容易に理解できる。

Patreonがこのキャッシングサービスでどのようなリターンを期待しているのかははっきりわからないが、条件は、Patreonでの収入に対する割り戻し額の引き上げを中心に組み立てられているようだ。

 Hot Podの記事にはこうある。

Patreonは、Next Stopでの今後2年間におけるPanteonの収入から、Mutitudeがやや多めの金額を戻すことを期待して、チームに対して、シリーズの制作予算をカバーできるおよそ7万5000ドル(約830万円)のキャッシングを行った(Mutitudeがどれほどの金額を戻さなければならないか、その正確な数字はどちらの側も公表していない)。リスク軽減に関しては、もしNext Stopが2年の期限が過ぎたときにPatreonに完済できるだけの収入が得られなかった場合、別のMutitudeのショー「Join the Party」からのPatreonの収入が担保になる。

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(翻訳:金井哲夫)

急成長中のビデオブロガー収益化サービス「Patreon」が魅力的なメンバーシッププランを発表

ビデオクリエーター、ユーチューバーの収益化の切り札となりつつあるPatreonは3月19日、 一連のメンバーシップ・プランを発表した。

これには提供される機能に応じて3種類の料率が設定されている。Liteプランではビデオグラファーの収入の5%がPatreonの手数料となる。最高料率のPremiumの場合は12%だが、既存のメンバーには割引がある。

TechCrunchが数週間前にスタートさせた有料会員制ニュース、Extra Crunchの記念すべき最初の記事がPatreonに関する調査報道だった。今回の発表はExtra Crunchのメディア担当コラムニスト、Eric Peckhamの考察に沿ったものとなった。PeckhamはPatreonのビジネスモデルについて次のように述べていた。

Patreonの最大の問題は、料金体系が魅力的過ぎることだ。(PatreonのCEO) Jack Conteは、Patreonの現在の料金体系は、同社が維持可能な運営を行うのに十分な収益性がないことを認め、 「手数料の率が低すぎるのだ。われわれは何か考え出す必要がある」と述べている。Patreonの料率はビデオブロガーがファンから収益を得るサービスを提供する他のサイトよりもStripeのような単純なオンライン決済プラットフォームに近い。私が取材したベンチャーキャピタリスト(出資者もそうでない者もいる)からの批判もこの点に集中していた。

明らかにPatreonには新たな収入源が必要だ。当然だが、 同社はその準備を進めている。高い手数料率と引き換えにビデオクリエーターに新たな機能を提供するプランを開発しているという。Conte「料金にふさわしい価値を提供するプラン」と語っている。

PeckhamのExtra Crunchの記事でも、Patreonが新料金プランを発表することは予期されていた。しかし5%、8%、12%という今回発表されたプランは、やはり驚くほど低い率だ。ライバルの料率ははるかに高く30%にもなる。新プランでもPatreonの手数料はライバルのサービスと比べて非常に安い。

そうではあるがメンバーから得る手数料はそれよりはるかに収益性が高い他のサービスへの単なる足掛かりなのだろう。Extra Crunchの記事の結論も同様であり、Peckhamはこう述べている。

新しいプランが中規模のビデオグラファーの関心を集め、Patreon自身のプラットフォームにせよ、Memberfulプラットフォームを通じたものにせよ、メインストリームでトップシェアをもたらすことができるなら、同社の他のサービスはきわめて収益性の高いビジネスとなる。私の取材に対して、Jack Conteは「会員制料金プランはPatreonのビジネスにとっていわば第一幕だ。われわれはビデオクリエーターをターゲットとする多様なビジネスを準備している。単に会員になる以上の価値を生むサービスだ。今後10年でわれわれはそれを実現していく」と述べた。

PeckhamはPatreonがビデオグラファーに提供できる付加価値サービスとしてローンなどの金融機能や健康保険の販売などを挙げている。将来こうした事業を軌道に乗せる助けになるなら現在の低すぎる手数料率も十分にペイすることになる。

今やPatreonはビデオグラファーのエコシステムの中心的存在となりつつある。PeckhamはPatreonの創立過程プロダクトビジネスモデル事業戦略ライバル出口戦略など一連の記事をExtra Crunchに書いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新しいクリエーター・マーケット、Patreonが急成長――有料メンバー100万、アーティスト5万

ファンが自分の好きなアーティストに直接支払いをするというPatreonの新しいアイディアはホッケースティック型の急成長を生んでいる。PatreonがTechCrunchに述べたところによれば、この1年で月間アクティブ・ユーザー数は倍増し100万人に達した。またアクティブなアーティスト数も5万人を数えたという。

予測によれば2017年には通年換算で1億5000万ドルをアーティストに支払えるものとみられる。Patreaonの手数料は5%なので売上に換算すると750万ドルとなる計算だ。2014年から現在までの支払い額のトータルは1億ドルだ。

Patreonのアーティストはビデオグラファー、ミュージシャン、ライター、イラストレーター、アニメーター、ポッドキャスター、ゲームメーカーなど多彩だ。次に述べるように他のアートのマーケットプレイスの運営にさまざまな制限があるのに比べて、Patreonのクリエーターは比較的安定した支払いを受けることが可能となっている。

YouTubeのビデオグラファー、PewDiePie〔人種的差別的発言をしたなど〕のスキャンダルで広告主は問題のあるコンテンツに広告が掲載される危険性を警戒するようになった。YouTubeは一部のチャンネルから広告を引き上げるなどの対策を取っている。YouTubeのスター側からいえばこれは収入のダウンを意味する。 Vineはビデオ共有を中止した。Snapchatはクリエーターを無視している。広告収入を分配せずこのプラットフォームでのマネタイズを認めないこと、また Instagramの猛攻もあってSnapchatのページビューは減少している

Instagramは広告収入を分配しないが、Facebookはビデオクリップに広告を挿入する場合一部のビデオ制作者に対し収入の55%を分配するシステムを取り入れた。ただしまだ小規模だ。広告収入の分配は再生1回ごとに0.10ドルから0.0005ドルと少額であり、クリエーターの生活を支えるためには膨大な視聴回数を必要とする。

しかしPatreonのメンバーは月5ドルを好きなクリエーターに支払う。つまりクリエーターにとっては広告モデルと比較してファン1人当たり50倍から1万倍も有利だ。クリエーターはビデオクリップ、イラスト、コミックなどの作品を毎月発表する。またプレミアムを支払うファンに対してはサイトの閲覧などさまざまな特権を提供する。2016年には35人のクリエーターが15万ドル以上の収入を得たという。また2万5000ドル以上の収入があったクリエーターは数千に上る。

Patreon自身は4700万ドルのベンチャー資金を調達している。これには2016年1月にThrive Capitalがリードした3000万ドルのシリーズBラウンドが含まれる。 【略】

広告モデルでないことが幸いして、Patreonはサポートするコンテンツに関してかなりの自由がきく。ポルノグラフィー的作品も許容されているが、この表現の自由を広く認める態度は明らかに問題のあるコンテンツも掲載されることになり、批判も起きている。PatreonのビジネスはSteadyのようなライバルより優位にある。またKickstarterやIndiegogoといった大きなクラウドファンディング組織では基本的に映画作品などの一発勝負のプロジェクトが中心となるため、Patreonが脅かされることはないようだ。

結局インターネット上のコンテンツ制作におけるトレンドの変化がPatreonに対する追い風となっている。

ネット上の大規模なコンテンツ配布はアーティストとファンの関係を分断した。過激だったりニッチだったりするため、一部のクリエーターのコンテンツは映画、テレビ、ラジオ、新聞などのメインストリーム・メディアでは決して配信されない。さまざまなオンライン・ツールの進化はクリエーターがスタジオ、レーベル、出版社などの傘下に入らずにコンテンツを制作できる道を開いた。一方で熱心なファンは作品を直接購入することによってクリエーターの生活を支えたいと考えるようになった。

ファン、クリエーターの人数が増えるごとにPatreonのネットワーク効果は増大する。クリエーターが増えれば好みのジャンルのアートを発見することが容易になり、ファンが増えればクリエーターがこのプラットフォームを利用するメリットが増える。こうしたメカニズムがPatreonにキュレーションメディアとしてのパワーを与えている。5%という低額の手数料であっても規模が拡大すれば、他のチャンネルから拒否されたクリエーターとファンを結びつける安定したチャンネルとして有利なビジネスの運営が可能になるわけだ。

[画像:: Ben Adams via Patreon homepage]

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+