自動運転システムに対する初のリコール、Pony.aiが同社ソフトのリコール発表へ

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によれば、自律走行車両スタートアップのPony.ai(ポニー・エーアイ)はカリフォルニア州で2021年10月に発生した衝突事故を受けて3台の車両に対しリコールを今後発表する。

ロイターが最初に報じたところによると、当局は米国時間3月8日に「これは自動運転システムに対する初のリコールだ」と述べた。

NHTSA局長代行のSteven Cliff(スティーブン・クリフ)氏は声明の中で「自動車を操作するのが人間のドライバーであっても自動運転システムであっても、道路使用者を守る必要があることに変わりはありません。この自動運転システムに対する初のリコールで明らかな通り、NHTSAは自動車メーカーと開発者が安全を最優先に最新のテクノロジーを推進するよう、これからも確実に対応します」と述べた。

トヨタが支援するPony.aiは数カ月間にわたってカリフォルニア州でHyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)の電気自動車10台を人間の安全オペレーターなしでテストしていた。その際に、そのうちの1台がフリーモントで中央分離帯と道路標識に衝突した。巻き込まれた他の車両はなく、けが人もいなかったが、この事故を受けてカリフォルニア州車両管理局はPonyの無人テスト許可を一時停止し、NHTSAも正式に調査していた。

書類の中でPony.aiは、当局は同社に対しソフトウェアに安全上の問題があるとの考えを伝えてリコールを要請したと述べている。

Pony.aiによれば、事故車両のソフトウェアの問題は他に2台で発見され、すでに3台とも修正済みだという。同社はソフトウェアのコードを修正したとも述べた。

Pony.aiの広報はTechCrunchに対し「Pony.aiの自律走行車両で事故が発生したのはこの1回限りです」と述べ、これまでに実際に600万マイル(約966万km)以上を自律走行し、2021年にカリフォルニア州で30万5617マイル(約49万km)を走行したと補足した。

当局担当者はTechCrunchに対し、Ponyがテストの一時停止の原因となった問題を修正する適切な行動を完了したとカリフォルニア州車両管理局が確認するまでは、無人テスト許可は停止されると述べた。同社のカリフォルニア州における有人テストの許可は影響を受けない。

数日前の米国時間3月7日にPony.aiは、シリーズDの1回目のクローズ後に評価額が85億ドル(約9775億円)に急上昇したと発表していた。同社の米国トラック部門が事実上解体され幹部数人がライバル企業数社に移るなど米国でとてもうまくいっているという状態ではないが、中国ではトラックとロボタクシーの事業を着実に成長させている。

画像クレジット:Pony.ai

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

トヨタが支援するロボタクシースタートアップ「Pony.ai」の評価額が約9775億円に急上昇

中国と米国を拠点とするPony.aiは米国時間3月7日、シリーズDの1回目のクローズ後に評価額が85億ドル(約9775億円)に急上昇したと発表した。自律走行車両が大量に投入されるにはまだ数年かかるこの分野を投資家が追いかけ続けていることの表れだ。

2016年に創業しトヨタが支援するPonyは、中国と米国の両方でテストと運用をしている一連のロボタクシースタートアップの1つで、同様の他のスタートアップにはWeRide、Deeproute、AutoXなどがある。Ponyの前回の評価額は2020年11月の53億ドル(約6095億円)だった。

Ponyがこの1年で直面した困難の数々を考えると、今回の評価額は驚きだ。同社ではトラック部門とロボタクシー部門を統合する経営判断が不評で、その後自律走行トラック部門の主要メンバー数人が退社し、ライバル企業数社のメンバーとなった。米国の同社トラック部門はその後解散したが、中国でのトラック事業は成長を続けている。

12月には衝突事故を受けてカリフォルニア州がPonyの無人運転テストの許可を一時停止した。

テック企業に対する中国当局の監視が厳しさを増す中、PonyはJPMorgan Chaseの幹部だった人物を最高財務責任者として迎えた直後に米国での上場計画をせざるを得なかったと報じられた

ロボタクシーの開発は費用がかかることで知られるが、Ponyは資金は潤沢だと述べている。一般に、自律走行車両スタートアップにとってはトラック事業はロボタクシーに比べると早く収益化できる手段とも見られている。同社はシリーズD-1の後に10億ドル(約1150円)近い「バランスシートの流動性」を有していると述べた。

同社は今回の調達金額を明らかにしていないが、ラウンド全体が完了したら詳しく発表するとしている。

グローバルで1000人以上の従業員を抱えるPonyは、自律走行車両を中国の主要4都市(北京、上海、広州、深セン)、そしてカリフォルニア州のフリーモントとアーバインでテストしている。同社のロボタクシーはBaidu(百度)の自律走行車両とともに、北京郊外の実験区域で乗客への課金を開始する許可も受けた。

資金の用途についてPonyの共同創業者でCEOのJames Peng(ジェームズ・ペン)氏は発表の中で次のように述べた。「我々の技術開発とバランスシートの強みの両方がそろうことで、2022年の採用を大幅に拡大し、新しい自律走行車両のテストと運用の拠点をグローバルで多数開設し、戦略的パートナーシップを進展して、車両を急速に展開します」。

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

2021年に急成長した中国のロボタクシー(専門用語と美辞麗句が溢れるリリースから実際のところを解析)

自動運転車を手がける中国のスタートアップは、自社の自律走行車両への乗客を獲得するため、軍拡競争を繰り広げている。数週間ごとに、また1つの大手企業が新しいパイロットプログラムや小規模サービスを開始するための認可を得たというニュースが届く。

これらのプレスリリースは、規制に関する専門用語や、企業の発展を誇示するための美辞麗句が多く、わかりにくい。そこで、中国の主要なロボタクシー事業者であるAutoX(オートX、裹動智駕)、Baidu(バイドゥ、百度)、Deeproute.ai(ディープルートAI、元戎啓行)、DiDi(ディディ、滴滴出行)、Momenta(モメンタ)、Pony.ai(ポニーAI、小馬智行)、WeRide(ウィーライド、文遠知行)の2021年の進捗状況をこの投稿にまとめ、それぞれの発表から実際にどのようなことがわかるのかを解析した。

中国では多くの大手企業が以前から有人車両(保安運転手が乗車する自動運転車)や無人車両の試験運行を行っているため、この投稿では、定期的に行なわれている一般向けサービスに焦点を当てる。これらの企業は、ロボタクシーに関わるコスト、安全性、規制を調整しながら、自動運転トラック、貨物運搬車、市バスなど、より早く規模を拡大できる分野にも乗り出している。とはいえ、やはり長期的にはロボタクシー分野に重点を置いていくことに変わりはない。

中国の自動運転区域について留意すべき点

本題に入る前に、中国の自動運転車事業に特有の状況をいくつか取り上げる。

  • 中国国内の道路事情は場所により大きく異なる可能性がある。例えば、深圳郊外の工業団地で自動運転車の試験走行を行う場合、都市部にある繁華街の蛇行する道路で行うよりも道路状況はずっと楽である。
  • 自動運転車に関する規制は、それぞれの省で異なる可能性に加え、同じ都市であっても地区によって異なる場合がある。ある都市において完全無人の自動運転走行試験を行う承認を得た企業が、必ずしも他の企業より技術的に進んでいるとは限らない。単に、連携する地元の規制当局が自動運転に対して進歩的な姿勢を有しているからだという場合もある。
  • スマート交通を成長戦略として掲げている地方行政もある。当然、自動運転車を手がけるスタートアップの支援にも熱心だ。国や都市レベルの規制が制定されるよりずっと前に、当局がその管轄区域内で無人運転の試験を行うことを非公式に承認する場合もある。
  • 行政支援は、税制優遇措置、有利な土地利用の機会や安価なオフィススペースの提供などの形で現れることもある。これが、中国の主要な自動運転車のスタートアップが、深圳、広州、上海、蘇州などの十分な資金力のある都市に集中している理由の1つだ。
  • 中国の地方行政は、自動運転のような新技術の開発に拍車をかけるため、たびたび実証区を設置する。こうした取り組みにより、企業は成熟産業を規制する通常の制約を受けることなく、試験を行うことができる。
  • 今日現在、中国のどの都市も無人ロボタクシーの許可を出していない。この許可が下りればサンフランシスコで Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)が行っているように、自動運転車が保安運転手なしで一般市民を輸送することが可能になる。

AutoX

深圳に本社を置き、カリフォルニアに研究開発センターを持つAutoXは、プリンストン大学の元教授、肖健雄氏により、2016年に設立された。出資者には、Alibaba(アリババ、阿里巴巴集团)、MediaTek(メディアテック、聯發科技)、中国国営自動車メーカーSAIC(サイク、上海汽車集団)などが名を連ねる。

深圳のAutoXのロボタクシー(画像クレジット:AutoX、2021年)

事業状況

2020年8月、AutoXは上海の嘉定区で、有人運転ロボタクシーの一般向けサービスを開始した。利用者はAlibabaのナビゲーションマップ「Amap(エーマップ、高徳地図)」を通じて配車予約ができる。AutoXによると、中国の大手配車サービスプラットフォームでロボタクシーのサービスが利用可能になったのはこれが「初めて」だという。

上海郊外の嘉定区には、上海汽車集団、Volkswagon(フォルクスワーゲン)、NIO(ニーオ、上海蔚来汽車)、トヨタ自動車、Baidu、DiDi、Delphi(デルファイ)といった大手自動車メーカーやOEMがオフィスを構えている。2020年の発表によると、AutoXは100台の「自動運転車」を市内の公道で走らせる契約を上海政府と結んだ。

2021年1月、AutoXは「スマートシティ」として生まれ変わりつつある深圳の工業地帯、坪山区で無人ロボタクシーのサービスを開始した。11月には、同社はこのプログラムが168平方キロメートルの坪山区全域をカバーしたと発表した。これはマンハッタンの約3倍の広さに相当する。

ちょうど1カ月前、AutoXは深圳の公道に25台の無人自動運転車を配備し「試験走行」を実施した。中国の自動車ニュースブログは、AutoXが地元の交通規制当局の許可を得ずにこれを進めたと報じている。一方、同社はTechCrunchに対し「政府の支援」を得たと語った。当時、我々は関連部門と連絡を取ることはできなかった。

AutoXによると、同社は合わせて「数百台」のロボタクシーを路上で走行させているという。

関連記事:自動運転ユニコーンAutoXが中国初のロボタクシーのテストを深センでスタート

米国での試験走行

2021年11月現在、AutoXはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

AutoXは、ホンダFiat Chrysler(フィアット・クライスラー)と共同で、中国でのロボタクシーの開発を進めている。

Baidu Apollo Go

「Apollo Go(アポロ・ゴー)」は、2000年に設立された北京のインターネット企業である検索エンジン大手Baiduの自動運転車プロジェクトである。Baiduは  2015年末、多くの競合するスタートアップが誕生したのとほぼ同時期に、自動運転車部門を始動させた。

Baidu「Apollo Go」のロボタクシーサービス(画像クレジット:Baidu、2021年)

事業状況

2021年11月、Apollo Goは北京の中国における「初の商用自動運転車実証区」で、有料でのロボタクシーサービスの提供が認められた。

Apollo Goにとって公道での「初の商用展開」となった67台の車両では、乗車した保安運転手が監視を行った。このサービスはApollo Goのアプリから配車が可能で、毎日午前7時から午後10時まで運行が実施された。

Apollo Goは、中国の「初の商用ロボタクシー実証区」に参加できたが、対価を目的とした乗車提供はBaiduのこのサービスが初めてではなかった(ネタバレ:以下のWeRide.aiの項を参照)。とはいえ、このイベントにはかなりの象徴的な重要性があった。60平方キロメートルに及ぶこの実証区は、亦荘郊外における国家レベルの経済プロジェクトである北京経済技術開発区の区域内に位置している。このイベントで、ロボタクシー事業者が乗客のデータを活用し、サービス価格を設定する方法について規定する規制の枠組みが導入されたのだ。首都におけるこのような動きは、中国全土のモデルとなる可能性がある。

亦荘が推進しているのは、ロボタクシーだけでない。「コネクテッドカー実証区」はその他のタイプの自動運転車にも対応している。2021年、JD.com(JDドットコム、京東商城)やMeituan(メイトゥアン、美団)を含む多くの大手テック企業が、実証区での無人配送用ミニバンの試験走行を開始した。

Apollo Goの無料版は、広州、長沙、滄州の一部地域で一般公開されており、現在は上海で早期テスターを募集している

米国での試験走行

2021年11月現在、Apollo Goはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

Apollo Goのロボタクシー車両は、国営メーカーFAW(第一汽車集団)のHongqi(ホンチー、紅旗)電気自動車(EV)スタートアップのWM Motor(WMモーター、威馬汽車)、国営メーカーGAC(広州汽車集団)のEVブランド「Aion(アイオン)」、国営メーカーBAIC(北京汽車集団)のEV新ブランド「ARCFOX(アークフォックス)」から提供されている。

Deeproute.ai

深圳に拠点を置くディープルートは、設立からわずか2年の企業としてはかなりの進展を遂げている。2019年、創業者の周光氏は、自動運転車ベンチャーのRoadstar.ai(ロードスター・エーアイ、星行科技)を会社の内紛により辞したのち、ディープルートを設立した。この若い起業家は、すぐに新しい試みへの支持を集めた。2021年9月、ディープルートはAlibabaや中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利汽車)などの出資者から、シリーズBラウンドで3億ドル(約340億円)もの資金を調達した

Deeprouteのロボタクシーサービス(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

事業状況

7月、ディープルートは本社に近い深圳の繁華街、福田区の公道に、20台の有人ロボタクシーを配備した。同本社は香港、深圳両行政が設立した  技術協力区の区域内にある。

同社が4月に深圳の交通規制当局から許可を得て開始したロボタクシーサービスは、現在のところ無料で一般利用できる。TechCrunchに語ったところによると、将来的には有料化する予定だという。

2021年3月、中国国営メーカーの東風汽車集団と共同開発したディープルートのロボタクシーが、武漢で一般向けに無料乗車の提供を開始した。中国中部の都市武漢も、中国の自動運転車分野のパイオニアを目指す候補地の1つだ。

米国での試験走行

2021年11月現在、ディープルートはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

ディープルートと東風汽車は、2022年までに200台以上のロボタクシーを配備することを予定している。

DiDi

配車サービス大手のDiDiは、2019年に自動運転車の子会社を設立し、新会社のために5億ドル(約570億円)を迅速に調達している(当時業界で唯一最大の資金調達ラウンドだった)。これにもかかわらず、ロボタクシー開発の動きは予想より静かだった。

DiDiが他の問題に気を取られていたとしても、無理はない。2021年、米国で上場した直後、同社は中国の規制当局から徹底的なデータ調査を受けている。この中国配車サービス大手は12月、ニューヨーク証券取引所から上場廃止となることを発表した

DiDiのロボタクシーサービス(画像クレジット:DiDi、2020年)

事業状況

DiDiのロボタクシーは、2020年6月に上海の一部地域で乗車サービスを開始した。同社は、2020年末までにロボタクシーサービスを北京と深圳に拡大し、2021年には中国国外にもこの事業を展開すると述べていたが、その進捗状況はいまだ更新されていない。同社はまた、2030年までに配車サービスプラットフォームを通じて100万台以上の「自動運転車」を運用するという野心的な目標も掲げている

米国での試験走行

2021年11月現在、DiDiはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

2021年4月、DiDiはジーリー傘下のVolvo(ボルボ)から同社の海外向けロボタクシー車両の提供を受けると発表した

Momenta

レベル4の完全自動走行技術にのみ注力するロボタクシー事業者が多いなか、創業5年のMomentaは、自動車メーカー向けに先進運転支援システム(ADAS)の売り込みも行っている。このアプローチにより短期的な収入が得られる他、手頃なコストでアルゴリズムの学習用データを蓄積することができる。一方、同社が実際の無人運転技術に十分なリソースを投入しているかどうかについては、業界関係者から疑問の声が上がっている。

Momentaと上海汽車集団が共同開発したロボタクシー(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

それでも、蘇州に拠点を置くMomentaは、中国で最も資金提供を受けている自動運転車のスタートアップの1つとなっている。General Motors(ゼネラルモーターズ)、Daimler(ダイムラー)、Bosch(ボッシュ)、トヨタ自動車、中国国営自動車メーカー上海汽車集団から、二―オの創業者ウィリアム・リー氏が監督するファンド、Nio Capital(二―オキャピタル)まで、名だたる出資者から合わせて12億ドル(約1370億円)を調達しているのだ。

同業他社の多くが、研究開発部隊の設置や試験走行を米国で行っている一方、Momentaは国際展開の拠点としてドイツを選んだ。2021年、同社は出資者であるダイムラーの本拠地、シュトゥットガルトにオフィスを開設した。

事業状況

2021年12月、Momentaと上海汽車集団は、上海の一部地域で無料のロボタクシーサービスを開始した。利用者は毎日午前8時から午後10時まで、上海汽車集団のアプリを通じて有人運転のロボタクシーを呼び出すことができる。このプログラムでは「20台の車両を用いて将来的な商用利用のための試験と検証を行っている」とMomentaは述べている。同プログラムは、今後数カ月のうちに蘇州と深圳で展開される予定だ。

Momentaは、上海に隣接する豊かな都市、蘇州の政府から多大な支援を得ている。国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)蘇州支部と合弁事業を実施し、同市でのロボタクシー展開を「スケールアップ」させる。SASACは、100社あまりの大規模国有企業を監督する、中国の強力な政府機関である。

OEMパートナー

Momentaはロボタクシーの車両に関して上海汽車集団と協業している。両社は2022年までに中国全土に200台の車両を配備することを目標に掲げた

Pony.ai

Pony.aiは、中国で最も評判の高い自動運転車の専門家たちを輩出してきた、Baiduの自動運転車部門のベテラン2人により、2016年に設立された。広州とカリフォルニアにオフィスを構える同社は、トヨタ自動車の支援を受け、これまでに10億ドル(約1140億円)以上を調達している。

PonyのLexusのロボタクシー(画像クレジット:Pony.ai、2021年)

事業状況

Baiduと同様に、Pony.aiも2021年11月、北京のスマートカー実証区で有料のロボタクシーサービス事業を実施するための承認を得た。「PonyPilot+」と呼ばれるこのサービスは、これまで同エリア内で無料の乗車サービスを行っていた。

「PonyPilot+」は、2021年7月、上海の自動車産業の中心地である嘉定区で始動した。6月には、広州で既存のロボタクシーに加え、完全無人の自動運転車を配備している

米国での試験走行

11月、カリフォルニア州車両管理局は、フリーモントで起きた衝突事故の報告を受け、無人自動運転の試験許可を一時停止にするとPony.aiに通知した。Pony.aiが規制当局から許可を得てから6カ月後の決定だった。カリフォルニア州での同社の有人自動運転の試験許可には影響がなかった。

OEMパートナー

トヨタ自動車の「Lexus(レクサス)」、Hyundai(ヒュンダイ)の他、中国のBYD(ビーワイディー、比亚迪汽车)や「アイオン」など、複数のメーカーの車両をPony.aiのロボタクシーとして利用している。

WeRide.ai

WeRide.aiとPony.aiは多くのルーツを共有している。どちらも広州とカリフォルニアに拠点があり、創業者はBaiduの自動運転車チーム出身者だ。WeRide.aiは2017年に設立され、2021年だけで6億ドル(約686億円)以上を調達した。国営メーカーの広州汽車集団やルノー・日産・三菱アライアンスなどが出資者に名を連ねる。

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー(画像クレジット:WeRide、2021年)

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー/写真:WeRide2021年)

事業状況

2019年11月、WeRide.aiの有人運転ロボタクシーは、広州の144平方キロメートルのエリアで一般乗車を開始した。このサービスは、中国南部で最大のタクシー会社である国営の白雲タクシー会社(白雲出租汽車公司)と連携して実施している。

北京でのBaiduやポニーの有料サービスに先駆けて、WeRide.aiはサービス開始当初から、広州のタクシー料金に相当する金額を乗車料として受け取ってきた。

これは、競合同士が自社プログラムに中国で「初」という称号を得るため躍起になるという、よくある状況の例だ。このような主張そのものは有効だが、よく見極める必要がある。ある業界関係者によると「北京の方が政策を先導する上での影響力はある」が、企業にとっては有料ロボタクシーサービスを実施する場所が北京であろうと広州であろうと、その差は「それほど大きくない」という。

「北京でも広州でも、その都市が友好的な政策をとっていれば、それは良いニュースです。つまりは、ロボタクシー企業は実運用のための試験ができればいいのです」と、同関係者は語った。

WeRide.aiは、武漢でも有人運転のロボタクシーサービスを実施している。

米国での試験走行

2021年11月現在、WeRide.aiはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

WeRide.aiとその戦略的投資家である広州汽車集団が12月に発表したところによると、今後数年で「数万台」のロボタクシーを配備する予定であるという。

画像クレジット:Traffic jam during sunset / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

カリフォルニア州、衝突事故を起こしたPony.aiの自動運転テスト認可を一時停止

米国にオフィスを構える中国の自動運転スタートアップPony.ai(ポニー・エーアイ)が、人間の安全ドライバーなしでの自動運転車テストを停止した。地元の規制当局によってテストが承認されたのはわずか6カ月前である。

関連記事:トヨタ出資の自動運転Pony.aiがカリフォルニア州から無人運転テスト許可を取得

カリフォルニア州車両管理局(DMV)がTechCrunch伝えてきた声明文によれば、米国時間10月28日にフリーモントでの衝突事故が報告されたことを受けて、米国時間11月19日にはDMVがPony.aiに対して、無人運転認可を一時停止することを通知した。

Pony.aiは、この自動運転テスト認可に対して、10台のHyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)電気自動車を登録している。DMVによると、この一時停止は、Pony.aiの安全ドライバー同乗テストの認可には影響しない。

Pony.aiの衝突報告によれば、この事故は、ある晴れた朝に、無人運転車両が自動運転モードを使用して車線を変更しようとしてときに発生したという。

Pony.aiの広報担当者はTechCrunchに対して「最近、私たちの車両の1台が、カリフォルニア州フリーモントで、車線区切りと道路標識への衝突事故を起こしました。他の車両は巻き込まれていませんし、負傷者も出ませんでした」と語った。

広報担当者はさらに「私たちはすぐに調査を開始し、事故についてカリフォルニア州DMVと連絡を取り合っています」という。

これまで、他の自動運転車も衝突事故を報告しているが、そのほとんどは、安全ドライバーが車両を手動運転しているとき、または別の車両が後ろからAVに衝突したときに発生している。この事故は、車両が自動運転モードであり、かつ他の車両が関与していなかったという点が特徴的だ。

この事件は、Pony.aiの自動運転機能に疑問符を付けた。なお広報担当者によれば同スタートアップの自動運転車は「2017年以来、カリフォルニアで実際の路上を75万マイル(約120万7000キロ)以上走行することに成功した」という。

2016年にBaidu(バイドゥ、百度)からの退職者によって設立されたPony.aiは、中国とカリフォルニアの両方にR&Dチームとテスト車両群を持つAV(自動運転車両)スタートアップグループの1つだ。これまでトヨタやセコイアキャピタルのようなヘビー級の投資家を魅了し、2021年2月の時点では総額10億ドル(約1137億円)以上の資金調達を調達し、53億ドル(約6026億円)の評価額をつけている。つい最近、Baiduと並んで、北京のデモエリア内で自動運転車を商用運転することが承認された

同社はまた、ここ数カ月困難に直面している。ロイター通信によると、米国政府の標的とならないことを、中国政府に納得させることができなかったため、同社はニューヨークでのSPAC上場計画を中止した。先月、TechCrunchは、同社の自動運転トラック事業が数人の主要幹部を失い、この新しい部門が中途半端な状況に追い込まれていると報告した。競争が激化する中、Pony.aiは投資家に対して競争力のある技術と実現可能な商業的未来を持っていることをしっかり証明しなければならない。

画像クレジット:Pony.ai

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(文: Rita Liao、翻訳:sako)

中国のPony.aiが2022年にカリフォルニアでのドライバーレスロボタクシー運用を計画

中国と米国で運用しているロボタクシーのスタートアップ、Pony.ai(ポニー・エー・アイ)は、2022年に計画している商用サービスに先立ち、カリフォルニア州の公道でドライバーレス車のテストを開始した。

ドライバーレス車両によるテストは、運転席にセーフティードライバー(安全管理者)がいない無人自動車が走ることを意味しており、カリフォルニア州フリーモントの公道で毎日行われている、と同社は語った。Pony.aiは中国の広州でもドライバーレス車のテストを行っている。

また同社は、2021年の夏にカリフォルニア州アーバインで、セーフティードライバーの乗った無人車を使ったライドシェアサービスを再開する計画であることも話した。目標は、2022年に完全ドライバーレス・サービスを展開することだ。

「完全ドライバーレス化は完全自律運用への鍵であり、私たちの野心的計画にとって不可欠な起爆剤です」とPony.aiのCEOで共同ファウンダーのJames Peng(ジェームズ・ペン)氏はいう。

Pony.aicが商用サービスを運用するためには規制のハードールがいくつか残っている。ドライバーレス乗車サービスを有料で提供しようとする無人運転車企業は、カリフォルニア州運輸局(DMV)とカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)の両方から運用許可を受ける必要がある。GM傘下のCruise(クルーズ)は、CPUCから乗客輸送テストが可能なドライバーレス自動運転サービス許可を受けた最初の企業となった。DMVの最後の一歩は運用開始許可で、これまでにNuro(ニューロ)のみが取得している。

Ponyのカリフォルニア州でのドライバーレス・テストのマイルストーンは、州がPonyの6台のドライバーレス車両によるテストを約39平方マイル(101平方km)の地域で行う許可を出してから1カ月後だった。何十という会社(計55社)がセーフティードライバー付き自動運転車のテスト許可を取得しているが、ドライバーレス車両の許可受けるのは稀だ。Ponyは同州でドライバーレス・テスト許可を受けた8番目の会社で、取得企業には中国のAutoX(オートエックス)、Baidu(バイドゥー)、およびWeRide(ウィーライド)、米国のCruise、Nuro、Waymo(ウェイモ)、Zoox(ズークス)らがいる。商業的運用が可能な deployment permit(運用開始許可)を受けているのはNuroだけだ。

関連記事:GMの自動運転車子会社Cruiseがカリフォルニア州で無人運転車に客を乗せることが可能に

Pony.aiは、2016年にBaiduの開発者だったペン氏とLou Tiancheng(ルー・チャンチェン)氏が設立し、2017年にセーフティードライバー付き無人運転車のテスト許可を取得した。5月にカリフォルニア州DMVが発行したドライバーレス許可は、Ponyの州内における活動実績を踏まえて拡張された。

Pony.aiはカリフォルニア州のフリーモントとアーバインでライドシェアのテストを行ってきた。2019年、電動無人運転のクロスオーバー車、Hyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)にPonyの自動運転システムとVia(ヴィア)のライドシェアリング・プラットフォームを搭載し、公道で乗客輸送を開始した。BotRide(ボットライド)と呼ばれるそのロボタクシー・サービスはドライバーレスではなく、運転席には常時人間セーフティードライバーが乗っていた。BotRideのパイロットは2020年1月に終了した。

その後同社は公開ロボタクシー・サービスのPonyPilotをアーバイン地区で運用開始した。その後、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックのために、乗客輸送から貨物輸送に切り替えた。Pony.aiはeコマースプラットフォームのYamibuy(ヤミバイ)とも提携して、アーバインの顧客に無人ラストマイル配送サービスを提供した。その配送サービスは新型コロナパンデミックによって急増した注文に対応するための能力増強のために実施した、と当時Pony.aiは述べていた。

パンデミックが沈静化してカリフォルニア州に平常状態が戻るのに備え、Ponyは商業的ロボタクシーサービス運用の準備を進めている。その目標を達成するために、同社はすでに何社ものパートナーを集め、トヨタ自動車からの4億ドル(約440億円)を含む10億ドル(約1100億円)以上の資金を調達している。2020年11月、新たな2億6700万ドル(約290億円)の資金調達を完了した同社の企業価値は53億ドル(約5840億円)に達した。Ponyは、Bosch(ボッシュ)、Hyundai、トヨタをはじめとする自動車メーカー、部品メーカーとの提携、協業をいくつか行っている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Pony.aiロボタクシーカリフォルニア自動運転

画像クレジット:Screenshot/Pony.ai

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

トヨタ出資の自動運転Pony.aiがカリフォルニア州から無人運転テスト許可を取得

中国のロボタクシースタートアップPony.ai(ポニーエーアイ)は、カリフォルニア州の当局から自動運転車両をセーフティードライバーが乗り込むことなしに3都市で試験する許可を取得した。

全部で55社がセーフティドライバー付きでの自動運転車両のテストを行う許可を得ているが、ドライバーなしの許可を得ている企業はずっと少ない。Ponyは同州でこの手の許可を得た8番目の企業であり、その他の企業は中国企業のAutoX、Baidu、WeRide、そして米国企業のCruise、Nuro、Waymo、Zooxだ。この中でNuroだけがいわゆる運営許可を得ていて、商業展開ができる。

自動走行車両のテストを管轄するカリフォルニア州車両管理局が発行する許可は、同州でのPony.aiの既存の活動を拡大する。同社は2017年からセーフティドライバー付きでの自動走行車両テストを許可されてきた。

新たな許可の下で、Pony.aiは自動走行車両6台をドライバーなしで、フリーモント、ミルピタス、アーバインの特定の道路でテストできるようになる。許可には制限がある。車両のスピードは時速72km以下で、良好な天候と小雨の状況でのみ走行が許される。試験はまずフリーモントとミルピタスで午前10時から午後3時の間に行われる。

こうしたドライバーなしのテスト許可を得ている企業は保険の証明か500万ドル(約5億4000万円)相当の債券を提出し、またテクノロジーでつながった遠隔オペレーターを訓練するなどいくつかのルールに従わなければならない。当局によると、ドライバーなしのテスト許可取得企業は、ドライバーレス車両が関わった事故が発生した場合、10日以内に州車両管理局に報告し、テストを止めた場合は年次レポートを提出する必要もある。

2016年に元Baidu開発者のJames Peng(ジェームズ・ペン)氏とLou Tiancheng(ルー・ティエンチェン)氏によって創業されたPony.aiは比較的短い期間に多くのパートナーや投資家を獲得した。2020年11月に同社は2億6700万ドル(約290億円)の資金調達後に評価額が53億ドル(約5770億円)に達した、と述べた。中国とカリフォルニアで事業を展開する同社は、トヨタからの4億ドル(約436億円)を含め、創業以来10億ドル(約1089億円)を調達した。Pony.aiはBosch、Hyundai、トヨタを含む自動車メーカーやサプライヤーといくつかの提携やコラボレーションを抱えている。

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Pony.aiは小型車から大型トラックまであらゆるサイズの車両のためのアグノスティック・バーチャル・ドライバーと呼ぶものを構築中で、それはライドシェアとロジスティック(配達)サービスネットワークで運用される見込みだ。同社は2019年に、自社の自動テクノロジーを長距離トラックマーケットに応用するためにOEM、そしてサプライヤーと協業している、と話した。しかし同社はおそらくロボタクシーでの取り組みで最も知られている。

Pony.aiはカリフォルニア州フリーモントとアーバイン、中国の広州でライドシェアをテストしてきた。2019年にPony.aiの自動走行システムとViaの配車プラットフォームを搭載したHyundaiのクロスオーバー電動自動走行車両Konaが顧客を乗せて公道走行を開始した。BotRideという名称のロボタクシーサービスはドライバーレスではなく、常にセーフティドライバーが運転席にいた。BotRideの試験は2020年1月に完了した。

Pony.aiはその後、PonyPilotという一般向けのロボタクシーサービスをアーバイン地区で開始した。新型コロナウイルスパンデミックが世界に広がったため、Ponyはロボタクシーサービスの対象を人から荷物へとシフトさせた。2021年4月にPony.aiはeコマースプラットフォームのYamibuyと、アーバイン地区の顧客への自動走行ラストマイル配達の提供で提携したと発表した。新たな配達サービスは、新型コロナパンデミックをきっかけとするオンライン注文の急増に対処する追加の能力を提供すべく立ち上げられた、とPony.aiは当時述べていた。

カテゴリー:モビリティ
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画像クレジット:Pony.ai

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi