僻地での緊急通話ネットワーク構築にランドクルーザーを利用する研究が進行中

2016-05-13-landcruiser-network

〔この記事の執筆者はStefan Etienne

オーストラリアの奥地は人がほとんど住んでおらず、地形も気候も非常に厳しい。こういう場所でコミュニケーション手段を確保するのは非常に困難な課題となる。アデレードのFlinders大学の上級講師、Paul Gardner-Stephenはトヨタ・オーストラリア、Saatchi & Saatchiと共同でこの課題の解決に取り組んでいる。

このチームは文字通り「移動する無線局ネットワーク」を構築しようとしている。ベースになるのはオーストラリアで非常に数が多いトヨタ・ランドクルーザーだ。この四輪駆動車のフロントウィンドウに黄色いパイプ状のデバイスを取り付けることでピア・ツー・ピアのWi-Fiネットワークが作られる。

このデバイスの無線の有効距離は約25キロ(15.5マイル)ある。

デバイスはWi-Fi、UHF、DTN〔Delay Tolerant Network=遅延耐性ネットワーク〕のテクノロジーを利用しており、緊急メッセージにジオタグ情報を付与し、自動車から自動車へと中継して拡散する。アウトバック〔オーストラリア奥地〕を出た情報は必要な機関に伝達される

このネットワーク方式はオーストラリア奥地だけでなく世界各地で自然災害時にも有効だ。また何らかの理由で僻地で孤立してしまった個人やグループが外界に救援を求めるためにも役立ちそうだ。(水に乏しい世界の砂漠のハイウェイで地獄のカーチェイスが行われるさまは状態はこのあたりに詳しい)。

現在、10台のランドクルーザーをベースに過酷な状況での信頼性の向上などの努力が続けられ、ビジネスへの応用の可能性も探られている。

人口密度が極度に低い地域でコミュニケーションを確保するために、その地域でもっとも販売台数が多い堅牢な車両でネットワークを組むというのは非常に賢明なアイディアだろう。

〔日本版〕最後のリンク「地獄のカーチェイス」のリンク先は『マッドマックス 怒りのデスロード』予告編。日本語版はこちら。作品の舞台設定はオーストラリア奥地だが、実際の撮影はナミビアの砂漠で行われたという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ToyotaとLexusのほぼ全車種が2017年までに自動緊急ブレーキを標準で搭載

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先週、政府の道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration, NHTSA)と、保険業界を代表する道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety, IIHS)が合同で、20社の自動車メーカーと三機関(これら二機関+合衆国運輸省)が、自動緊急ブレーキ(automatic emergency braking, AEB)を2022年までに標準装備に含めることで合意した、と発表したToyotaはこれら20社に含まれるが、今週、AEBに関して独自の先進的な姿勢を示した。ToyotaとLexusのほとんどの車種が、2017年までに標準でAEBを装備する、というのだ。2017年は、来年である。

すでに多くの車種がLexus Safety System+とToyota Safety Senseパッケージの一環としてAEBを提供しているが、それらは、水素燃料電池車Toyota Miraiを除き、標準装備ではなく有料のオプションだった。しかし来年の末(まつ)までには、Subaruとの共同開発車Toyota 86とLexus GS、およびToyota 4Runnerを除く全車種に、AEBが追加料金なしで搭載される。なお、ニューヨーク国際オートショーで披露されたPrius Primeは、なぜかSafety Senseが標準装備ではなくオプションになる。

AEBは、Toyotaの一連の安全装備の一環で、LexusとToyotaの25の車種に搭載される。両系列ともに衝突回避システムがあり、衝突の可能性を事前に検知して、運転者の反応が遅ければ自動的にブレーキを操作する。そのほかに、車線逸脱警告や自動ハイビーム機能などもある。

Hondaには同社独自のHonda Sensingと呼ばれるシステムがあり、AEBはCivic Sedanの全モデルに1000ドルのオプションとして提供されている。Toyotaは、そのHondaを大きく跳び越えてしまった、と言えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Toyotaが“自動運転車”ではなく“完全無事故車”の研究開発に$50Mを投じ、研究主幹にDARPAのGill Pratt博士を招聘

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今日(米国時間9/4)Toyotaが、同社の(ある種の…後述)自律走行車の研究開発のためにGill Pratt博士を社員として招聘したことを発表した。彼は主にDARPAやMITにおける業績で知られ、DARPAのロボットコンテストRobotics Challengeの創始者でもある。Toyotaは今後5年間で5000万ドルの研究開発費を投じるとともに、MITやStanfordともパートナーする。

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PrattはDARPAに過去5年間在籍し、今日はPalo Altoで行われたあるイベントの会場でToyotaにおける抱負を語った: “目標は事故を起こさない車を作ることだ”。

PrattのToyota研究部門における役職は、“Executive Technical Advisor”(重役級の技術顧問)となる。

まるでGoogleと肩を並べる気のようだが、でもToyotaは、自動運転車を作ることが目的ではない、と言っている。当面は。

Toyotaへの参加についてPratt博士は、こう語る:

“大学とDARPAで過去数十年間自分が研究してきた技術を、人間が置かれている状況を改善することに応用して、最大の効果を上げうる場所が同社だ、との確信を持つに至った。”

でも、ついでに、ほかのこともやってほしいね。とりあえずぼくなんかが欲しいのは、自動運転車だけど。もしもToyotaが、今路上に氾濫しているPriusに対するほどの研究開発努力を自動運転技術に投入してくれたら、うちら、文句ないけどね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ToyotaがOculus Riftを使ってわき見運転のおそろしいシミュレータを制作、おしゃべりで迷惑な友人も本物そっくり

VRや、Oculus RiftのようなVRヘッドセット(headset, ≒ヘルメット)の教具としての可能性は、すでに多くの人が認めている。デトロイトで行われた今年のNorth American International Auto ShowでToyotaが見せた運転教育用シミュレーションTeenDrive365は、新米の運転者たちに、わき見運転の危険性を教える。このシミュレータはユーザをToyota車の操縦席に座らせ、完全に没入的な(イマーシヴな)仮想環境の中に、歩行者やほかの車、建物、路上の障害物などを登場させる。

なお、ユーザが座るToyota車の操縦席は、仮想ではなく、このカンファレンスのToyotaのブースに展示されている実車だ。そしてその本物のアクセルやブレーキやステアリングホイールを操作すると、その動きがVRに伝わる。ヘッドフォンから聞こえる音はステレオだから、臨場感も抜群だ。アクセルを踏み込んだときのエンジン音や、パトカーのサイレンの音、くだらないことを話しかける迷惑な友人の話し声、などがリアルに聞こえてくる。

このシミュレータは、Toyotaの運転者教育プロジェクトTeenDrive365の一環だ。このプロジェクトには、ほかにもいろんなツールや、アドバイス、各種イベントの紹介などが含まれ、新米運転者がフェンダーを損傷したり、大きな事故に遭ったりしないように、導いてくれる。とくにこのわき見運転シミュレータは、これまでVR上でいろいろ試みられてきた運転教育用シミュレータよりもずっと充実した環境を、よりリアルに表現しているようだ。

もちろん、Oculus Riftを持ってるあなたがふつうにToyota車を買っても、その車でこのシミュレータを楽しむことはできない。でもToyotaはこれから、TeenDrive365の全国ツアーをやる気だから、10代のガキに自分の車を使わせるとどんなひどいことになるかを、とりあえずシミュレータで知ることができるだろう。同社のイベントのスケジュールは、ここにある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Toyotaの最新ミニバンなら、脇見をせずに子供たちを静かにさせられる

最も満足感の高いテクノロジー改善は、時として驚くほど単純だ。

例えば、Toyotaの2015年型 Sienna Minivanには、運転席の親が、後部座席で騒ぐ子供たちを静かにさせるためのマイクロホンが組み込まれている。

後を振り向いて(あるいはバックミラーを大きく動かして ― 私の両親がやっていたように)怒鳴る代わりに、SiennaはDriver Easy Speakという機能を提供する。ドライバーはマイクを通じて、後部座席とコミュニケーションを取ることができる。

Driver Easy Speak機能は、ダッシュボードのタッチスクリーンでオン/オフを切り換えられる。

これは、今時の車が様々なテクノロジーによって、どれだけドライバーの気を散らしているかを考えると、実に賢い機能だ。そして、Siennaに組み込まれる脇見防止機能はこれだけではない。

このミニバンには、「プルダウン対話ミラー」オプションもあり、前部座席から、振り返ることなく後部座席の会話を確認できる。

さらにSiennaには,後部座席用のデュアルビュー・エンターテイメントシステムもあり、同時に2種類の画面を表示することができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


燃料電池自動車、来年カリフォルニア州で強力に推進

私たちは2015年10月25日までにホバーボードを手に入れることはないかもしれないが、カリフォルニア州エネルギー委員会とToyotaのおかげで、同じくらい未来的なものが手に入るかもしれない。カリフォルニア州における〈機能する水素経済〉の構築だ。

その月、FirstElement Fuelは、新たに19箇所の水素燃料ステーションをカリフォルニア州に開設する。エネルギー委員からの資金供与2720万ドル、およびトヨタからの借入金720万ドルによる。さらに9箇所が、州の別プロジェクトに配布された資金によって州内に設置される。

水素燃料ステーションの数が、現在の9箇所から4倍以上に増えることによって、ようやく自動車メーカーは、充電式電気自動車に対する明確な利点をもって燃料電池自動車を販売できる。

例えばToyotaは、燃料電池自動車のコンセプト(上の写真は今年のCESより)を昨秋東京で発表し、翌年に量産することを約束した。車の大きさはカムリと同程度で、水素燃料電池による電動モーターで駆動される。高圧タンクを使用することによって、燃料補給なしで300マイル以上走行可能な水素ガスを保持できる。Teslaの最上位 Model Sよりも40マイル以上長く、しかも環境を害する排出物はない。

トヨタの先進テクノロジー国内担当マネージャー、Craig Scottは電話で、燃料電池自動車のテクノロジーは数年前から実用化されているが、一般ドライバーにとって現実的なインフラがまだ整っていなかったと話した。たとえバッテリー使用の電気自動車より走行距離が長くても、隣の水素ステーションが遠すぎれば、ステーションのある地域からなかなか離れられない。

水素インフラの拡大と同時に、それを活用できる車がToyota、Honda、Hyundaiから2015年に発売されれば、業界全体を加速できる。ステーションが設置されることによって、Toyotaは自社の水素燃料車を量産体制に移せる。他の駆動方式車を部品を流用し、「手作り」を減らすことによって、大幅なコスト削減が期待できる。

FirstElement FuelのCEO Joel Ewanickは、今日午前私に、これらの早期投資のおかげで、将来の水素ステーション展開コストが著しく削減できると言った。ポンプの数が増えれば、ステーションの建設費は今後10年で50%下がり、燃料コストも30~40%下がる可能性がある。そして5年以内に、FirstElementのステーションは利益を生み始める、なぜなら「ビジネスモデルが非常に単純だから」とEwanickは言う。

水素自動車がそこまで興味をかけ立てるのは、公害ゼロでありながら化石燃料車並みの走行距離を可能にするからだ。ただし「ゼロ」にはアスタリスクが付く。水素の製造過程によって環境への優しさに違いがあるからだ。もし、石炭から作られた電気を使って水を水素に変えるなら、あまりクリーンではない。

Ewanickによると、FirstElementが南カリフォルニア地区に設置ステーションの水素の33%は、再生可能バイオガスから作られている(州の要求の最低限)。州北部でも35%が同じ製法だ。「費用をかければ100%にすることはできる」と彼は言うが、必要なコストは彼らにもドライバーにも折り合わない。

念のために書いておくと、水素ステーションは来年の展開以降、カリフォルニアの殆どの主要都市地域で、運転して行ける距離に設置されるが、今、ガソリンを入れるのと同じように便利になるわけではない。例えば、下に貼ったのはFirstElementによるベイエリアのステーション設置予定マップだ。もし私がサンフランシスコに住んでいたら、満タンにするためにあんな遠くまで運転したくない。

カリフォルニア州は、2025年までに無公害者を150万台にするつもりで、そのための費用を注ぎ込んでいる。これまでに、同州の代替および再生可能燃料技術推進プログラムは、水素、バイオ燃料、および輸送用電気を推進するプロジェクトに4億ドル以上を投資している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook