ドイツのプロサッカーリーグがAWSと組んでファン体験の向上を目指す

ドイツのサッカーのトップリーグであるBundesliga(ブンデスリーガ)は米国時間1月24日、ゲーム中のファン体験をもっと面白くするためにAWSとパートナーして人工知能を利用すると発表した。

ブンデスリーガなどを運営する上位団体ドイツフットボールリーグ(DFL)のデジタルスポーツ担当執行副社長であるAndreas Heyden(アンドレアス・ヘイデン)氏によると、これはファンがゲームの放送を見ているだけか、それともオンラインの対話性があるかによって異なるかたちになる。

ヘイデン氏は「ファンがもっとエキサイトするようにテクノロジーを使いこなしたい。ファンの参加性(エンゲージ)が増すことによって、ファン体験のレベルを上げ、放送では適切なタイミングで適切なデータを見せ、アプリやWebでは体験を個人化したい」と語る。

それには個人化されたコンテンツを届けることも含まれる。同氏は「今の時代は一般的に、人々の注意力や関心が長続きしないから、ユーザーがアプリを開いたときの最初のメッセージは、その時のコンテキスト(状況)とその特定のユーザーに最も合ったメッセージでなければならない」と説明する。

ファンにリアルタイムで高度な統計データを見せたり、あるいは応援しているチームにとって重要な瞬間にゴールの可能性を予言してもいい。ヘイデン氏によると、それは数字でストーリーを語ることであり、事後データの報道ではないという。

同氏はさらに「テクノロジーを利用して、テクノロジーがなければ不可能だったストーリーを語りたい。人間の記者ならシュートが入る確率を当てることはできないが、AWSならできる」と続ける。

Amazon(アマゾン)のCTOであるWerner Vogels(ヴェルナー・フォーゲルス)氏によると、AWSのプラットホーム上で機械学習などの技術を利用して観戦体験の質を上げ、若いファン層を引きつけることはどんなスポーツにも有効だ。フォーゲルス氏は「次世代のファンが参加性のある熱心なファンに育つためには、ありとあらゆる手段による拡張ファン体験が必須だ」と語る。

同氏によると、テクノロジーがない時代にはそんな体験は不可能だった。「10年前には不可能だったが、今では機械学習を初めAWSが提供している先進的な技術と、それらの急ピッチな成長進化により、スポーツファンにリアルタイムで新しい体験を届けることができる」とフォーゲルス氏。

ブンデスリーガは単なるサッカーリーグではない。売上ベースでは世界第2位のプロサッカーリーグであり、スタジアムへの観客動員数では世界一だ。DFLとAWSの関係は2015年に始まり、そのときヘイデン氏がリーグのオペレーションをAWS上のクラウドへ移行した。本日の発表は、そこからの流れだ。

同氏によると、ほかのクラウド企業でなくAWSを使うことにしたのは偶然ではない。サッカーの大ファンであるフォーゲルス氏はハイデン氏の長年の知己だ。AWSはDFLに入る前から10年以上使っている。本日の発表は、そんな長い関係の延長線上にある。

関連記事:AWS is sick of waiting for your company to move to the cloud(AWSはあなたの会社がクラウドに移行しないことにしびれを切らしている、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

FargateによってAWSはコンテナをもっとクラウドネイティブにしたい(Kubernetesなどのインフラを完全抽象化)

AWSのデベロッパーカンファレンスre:Inventは、たくさんの発表があるので、同社自身の重要な新製品の、影が薄くなってしまうこともある。同社の待望のElastic Container Service for Kubernetesはかなり大きく報道されたが、より斬新なコンテナサービスであるFargateローンチは今もまだ、あまり知られていない。

今週たまたま会う機会があったAmazonのCTOでAWS担当VP(そしてEDMの熱心なファン) Werner Vogelsも、それを認める。彼曰く、“Fargateはそのほかの発表の下に埋もれてしまったようだ。しかしそれは、コンテナをもっとクラウドネイティブにするための重要なステップだと思うし、すでにかなりの数の顧客がFargateを採用している。”

Fargateは、AWSのコンテナサービス、Elastic Container Service(ECS)やElastic Kubernetes Service(EKS)のために、コンテナを動かすためのインフラストラクチャを抽象化する技術だ。ユーザーはコンテナオーケストレーションエンジンを指定するだけで、あとのことはこのサービスがやってくれる。個々のサーバーやクラスターをユーザーが管理する必要はない。むしろユーザーは単純に、ECSやEKSに、Fargateでコンテナをローンチすると告げ、そのアプリケーションのCPUとメモリの要求を定義し、あとはサービスにまかせる。

Fargateに関する長いブログ記事を今日(米国時間4/11)発表したVogelsにとってこのサービスは、デベロッパーが、インフラを気にせずに自分のアプリケーションだけに集中できるようにするというAWSのミッションの一環だ。彼曰く“クラウドの初期のころを、よく思い出す。AWSが登場するまでは、クラウドから仮想マシンを提供するサービスしかなかったんだ。多くの企業がそれを利用してビジネスを築き成功させてきたが、でも仮想マシンを動かすときには、依然としてハードウェアを管理しなければならない。[…] われわれがAWSのクラウドコンピューティングサービスの中核であるECSをかつて導入したときに起きたことの一つは、いろんなものをハードウェアから切り離してしまったことだ。[…]それによってデベロッパーの生産性は、ものすごく上がったと思うね”。

しかしAWSやECSの上でコンテナを動かそうとすると、初期のコンテナツールでは、コンテナを実際に動かすこととは無関係な多くのことを、やらなければならなかった。“それは、クラウドの初期と同じだ”、とVogelsは語る。“仮想マシンがコンテナにとってのハードウェアになってしまっている。デベロッパーはコンテナのオーケストレーションのために、VMを相手に大量の作業をしなければならない”。

しかしAmazonの顧客が求めるのは単純に自分のコンテナを動かすことだけだ。Vogelsの言う“ハードウェアに直接触(さわ)るような管理作業”なんか、やりたくない。“それはまるで、クラウド以前の時代に戻ったみたいだ”、とVogelsは述べ、そして今日のブログ記事では、“コンテナのオーケストレーションは、あまりクラウドネイティブではない、といつも感じていた”、と言っている。

Vogelsは、インフラストラクチャを気にしなければならないならそれはクラウドネイティブではない、と考えているようだ。彼によると、AWSの最初の約束は、インフラストラクチャに関してはAWSが面倒見るからデベロッパーはビジネスにとって重要なことだけに専念すればよい、というものだった。その哲学をさらに徹底したサービスがFargateであり、Lambdaだろう。

ECSやEKSのようなクラウドサービスがあっても、クラスターはまだ完全に自動的に動くわけではなくて、つねに必要とはしない能力や容量でも、ユーザー自身が確保(プロビジョニング)しなければならない。Fargateの約束は、そのようなスケーリングを自動化し、ユーザーは実際に必要とする能力と容量だけに支払えばよい、という状態にすることだ。

Vogelsはこう言う: “顧客は、ソフトウェアを作りたいだけだし、自分のアプリケーションを作りたいだけだ。このコンテナをどの仮想マシンに置くか、なんてことで悩みたくはない。でも今は、デベロッパーがそれをやっている。Fargateがあれば、ユーザーはタスクに対するCPUのタイプを指定するだけで、スケーリングは自動的に行われる。実際に使う能力容量に対してだけ、支払えばよいのだ”。

インフラの抽象化という点では、Fargateはコンテナのためにそれをやるのだが、AWS Lambdaのようなプロダクトはもっと徹底している。それは Vogelsにとってはひとつの連続体であり、顧客の要望が生んだものだ。今のAWSはコンテナをきわめて重視しているが、彼の現実的な見方によれば、近未来がコンテナ一色に塗りつぶされてしまうわけではなくて、VMを必要とする開発ニーズも残る、VMはなくならない、という。

Lambdaのようなサーバーレスのプロダクトでは、インフラストラクチャのことをまったく考える必要がない。コンテナのことすらも。ユーザーはただ単に、やりたい処理を指定するだけだ。そしてそのコードの実行に対して支払う。しかもVogelsの視界の中では、VMとコンテナとサーバーレスは一つの連続体の各部だ。顧客は、そのどれからどれへ移行してもよい。彼によると、今ではコンテナを完全に飛び越えて、何もかもサーバーレスで行くエンタープライズも見かけるようになった、という。

〔関連記事: 昨年のre:InventにおけるFargateの発表

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSは韓国に次いでイギリスにも新たにリージョンを設ける意向、今後はインドにも

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Amazon Web Services(AWS)このところ、サービス供用地域の拡大にますます熱心だ。AmazonのCTO Werner Vogelsは今日(米国時間11/6)、2016年の終わりないし2017年の初めにイギリスリージョン(UK region)を立ち上げる、と発表した

それはEUでは3つ目のリージョンで、最初はかなり長年、ダブリンのデータセンターが、ヨーロッパのデベロッパがAWSを使って同地域内にアプリケーションをホストするための、唯一の選択肢だった。そして昨年AWSは、ドイツのフランクフルトを拠点とするリージョンを初めて立ち上げた

イギリスリージョンを発表した日の前日にAWSは、韓国リージョン(South Korea region)の計画を発表した。これはアジア太平洋地区では5つ目のリージョンだ。このほか計画中のリージョンとして、インド、中国第二、オハイオ州(2016)がある。AWSの現在稼働中のリージョンは、11ある。

イギリスと韓国に関してAmazonは、すでの顧客数がとても多いことを挙げている。“2006年にAWSを立ち上げた当初から、イギリスの指導的企業の多くがアーリーアダプターだった。弊社は今日まで継続して彼らを、アジリティの強化やITコストの低減、容易なグローバルスケーリング等の面でお手伝いしてきた”、とVogelは声明文の中で言っている。

リージョンの数に関しては、A、M、G三社の中ではM(Microsoft)のAzureが20で最大、G(Google)のCloud Platformは4つだ(合衆国内2、ベルギー、台湾)。デベロッパはエンドユーザに近いところからアプリケーションをホストした方がレイテンシが低い、と考える。またローカルデータ主権法(local data sovereignty law)のあるドイツのような国では、一部のユーザデータが国外に出ることを禁じている。


〔訳注: AWSの現状11のリージョン一覧(出典)〕

米国東部(バージニア北部)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 5*
2006 年開始

米国西部(北カリフォルニア)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 3*
2009 年開始

米国西部(オレゴン)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 3
2011 年開始

AWS GovCloud(米国)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 2
2011 年開始

サンパウロリージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 3
2011 年開始

欧州(アイルランド)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 3
2007 年開始

欧州(フランクフルト)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 2
2014 年開始

アジアパシフィック(シンガポール)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 2
2010 年開始

アジアパシフィック(東京)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 3
2011 年開始

アジアパシフィック(シドニー)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 2
2012 年開始

中国(北京)リージョン
EC2 アベイラビリティーゾーン: 2

〔アフリカと中東は現状ではヨーロッパのリージョンがカバーしている。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。