今後のリンク構築に求められること

大きな話題となっていたペンギンアップデート2.0も意外と地味な着地をした様子ですが、Googleのアルゴリズムがどれだけ進化するにせよ、リンク構築の重要さと難しさは当面変わることはありません。今回はSEO Bookがこれからのリンク構築の在り方について深く語った記事を。 — SEO Japan

常識では考えられないリンクに関する被害妄想がまん延している。「不自然なリンクの通知」が飛び交うにつれ、もともと神経質なSEO業界は、最近、新たな境地に足を踏み入れている

リンクの一部(サイトの規模が大きいため、数百本に達する)が、グーグルのアルゴリズムにおいて、サイトにダメージを与えているのか気になって仕方ない。外部サイトへのリンクを「rel=”nofollow”」に変えようかと思っている。出来れば変えたくないんだけど … 」

跪き、リンクスパムを行ったことを認め、許しを請おうとするサイトのオーナー達が続出している。しかし、謝罪しても、サイトをSERPに戻してもらえないケースが多い。復帰を認められるものの、ランキングとトラフィックは回復しないサイトが存在する。その一方で、同じようなリンクを持っている多くのサイトが、ペナルティを免れている。

これは、グーグルに決定権を与えるデメリットだと私は思う。

リンクの削除

サイトのオーナーが、リンクに問題があることをグーグルから告げられると、フォーラムに姿を現し、状況を説明するため、効果が数倍に増す。

グーグルは、わざわざ「不自然なリンク通知」と言う茶番をなぜ演じているのだろうか?

グーグルがあるサイトへ向かうリンクに問題がある点に気づいたなら、ウェブマスターにリンクを削除するよう促すレポートを送るのではなく、単純に削除する、あるいは、価値を軽減すればいいのではないだろうか。そして、リンクの価値を考慮しない点をウェブマスターに伝えることも出来るはずである。

グーグルの戦略はPRであり、リンクの買い手と売り手の間に爆弾を落とすための取り組みだと仮定する人もいる。なぜ、そんなことをするのだろうか?リンクはリンクでも、グーグルは、自分達が気に食わないリンクを見極めることに苦労していると思われる。

そこで、グーグルは助けを得る。

再掲載リクエスト付きのリンクの否認ツールの提供は、賢明な策だと言えるだろう。リンクを買ったことをサイトのオーナーに認めさせ、リンクを買っている場所を指摘させる、もしくは、コストをかけずに質の低いリンクのデータベースを構築することが出来るなら、これ以上優れた労働力をアウトソースするシステムは他には考えられない。

サイトを運営しており、大量のリンクを削除する必要がある場合、その作業は容易ではない。大変であり、時間がかかり、また、最終的にその努力は無駄に終わる。

多くのサイトのオーナーがリンク否認リクエストに群がり、リンクの削除に対する費用を要請する事態に発展した。リンクのオーナーを確認し、リンクを見つけ、削除し、サイトをアップデートするには、時間と労力が必要とされるため、気持ちは分かる。

明らかに辟易しているディレクトリのオーナーは次のように正直な気持ちを吐露している:

脅迫?脅迫しているのはグーグルだ。料金を払って掲載してもらったディレクトリが脅迫しているわけではない。大事なことを言っておこう。削除してもらいたいなら、私は削除料金を要求する。この作業に価値がないと思うなら、付きまとうのは止めて、これ以上eメールで無料でリンクを削除して欲しいと頼まないでくれ。

リンクを探し、削除して、削除されたことを確認し、eメールを送信して確認する。5分間で終わる。そのためには29ドル支払ってもらう。それが嫌ならeメールを送らないでくれ。一分たりとも無料で働かなければいけない義務はない。29ドルと言う料金設定が脅迫に近いと指摘するeメールが送られてきたことがある。そのため、29ドルではなく – 新たに109ドルを要求することに決めた – これが脅迫だ。

念の為に言っておくが、グーグルのランキングを操作することを理解して、料金を支払ってディレクトリにリンクを掲載してもらい、今度は、自分のグーグルのランキングを再び操作するために、料金を支払ってディレクトリから抜け出す。自分で決定を下した点を忘れないでもらいたい。誰かのせいにして不満を言うのは筋違いだ。自分の失敗の後始末は自分一人でつけてくれ。

なるほど。

いずれにせよ、当該のリンクが実際にサイトにダメージを与えているなら – 議論の余地はあるが – 次の展開は誰にでも読めるはずである。サイトのオーナー達は、ディレクトリに対して、大量に、そして、迅速に競合者のリンクを投稿することになる。

それでは、ネガティブSEOについてマット・カッツ氏に語ってもらおう….


回復する保証はない

多くのサイトは、どんなことをしても、グーグルのペナルティから回復することが出来ないだろう。

どれだけ懺悔しても、印が消えることは永遠にないと考えられる。グーグルは、アドワーズで過去の行動を考慮に入れている。そのため、同じような印が自然な結果でも永遠に残ると考えても、決して飛躍し過ぎているとは言えないはずだ。

サイトが現在推進している取り組みではなく、過去に推進した取り組みが要因になっている。
なぜグーグルは過去の取り組みを恨んでいるのだろうか?恐らく、何年も前に、アフィリエイトがかつてドメインをかき回し、葬っていたやり方を問題視しているのではないだろうか…

これが、一部の回復したサイトが、以前よりもランクが落ちている理由なのかもしれない。永遠にマイナスの印を背負っていかなければならない可能性がある。

しかし、実際にサイトがSERPに復帰した際に、ランキングとトラフィックが落下していたとしても、それが質の低いリンクや過去の行動と全く関係がないこともあり得る。ランク付けにはその他にも多くの要素がある。また、グーグルのアルゴリズムのアップデートは、じっとしているわけではないため、原因を突き止めるのは容易ではない。

SEO業界が妄想に走っているのはこのためだ。

ブランドは逃げられるのか?

マット・カッツ氏は、大きなブランドもペナルティーの対象だと明言している。Interflora UKの件を覚えているだろうか?

グーグルは確かに大きなブランドにも罰を与えているのかもしれないが、無名のサイトに対して課される罰とは全く異なる罰が与えられているようだ。ユーザーが期待するサイトがSERPに存在しない場合、グーグルの立場が危うくなるため、大きなブランドは、容易に復帰することが出来る。

BBCが – 楽しそうに – 説明したこのレポートが典型的な例である:

私はBBCのサイトを代表する立場にある。土曜日、BBCは「検知された不自然なリンクの通知」を受けた。BBCのサイトは巨大であり、また、個々にサブセクションが乱立し、大勢のオーサーやエージェントが関与している。そのため、当該の「不自然なリンク」が存在する場所のヒントを教えてもらえると有難い。

私がBBCのウェブマスターだったら、通知を無視するだろう。グーグルはBBCのサイトのランクを落とすことはない。なぜなら、自分達のイメージが悪くなるからだ。BBCに向けられたリンクの一部を問題視しているなら、グーグル自身が問題を解決するべきである。

辛抱して、前に進め

アグレッシブなリンクスキームに関わったなら、ゲームの仕組みを理解していたはずである。関連性を人為的に押し上げることを望み、そして、リンク構築を行った結果、SERPでのランクの上昇を勝ち取ったのだ。

これは、被リンクを考慮するグーグル、つまり検索エンジンが“デザイン”した仕組みを操作していることになる。グーグルは意図的に多くのリンクが向けられたサイトを少ないサイトよりも上位にランク付けする。

サイトのオーナーは、あまりアグレッシブな手法を利用しない競合者を傍目に、この成果を存分に味わった。この取り組みの短所は – どんな取り組みにも弱点は付きもの – 関連性において、グーグルに人為的な後押しを見つけられたら、ドメインを葬られるリスクがある点である。

これもゲームの一部である。

抗議を行うウェブマスターもいるが、グーグルは全く関心を持っていない。そのため、最初からこのリスクを考慮しておく必要がある。

戦略的な面で、主に2つの視点でこの“ゲーム”を見ることが出来る:

モグラたたき: 負けを見越してアグレッシブなリンク構築を行う。叩かれたら、それはこの試みを行う代償だと考える。様々なドメインを運営し、異なるリンクグラフを用意する。常に一部が生き残り、ゲームに切れ目なく参加することを願う。一部のドメインが打撃を受けたら、我慢する。復活させる試みを行うものの、うまくいかなかったら諦めて前に進む。

グーグルを無視する: グーグルの存在を無視してサイトを運営すれば、グーグルからペナルティを課される可能性は低い。ただし、成功の保証はない。いずれにせよ、ペナルティと低いランキングは、結果においては同等の意味合いを持つ。

一歩離れて状況を見てみよう。グーグルのランキングにビジネスを依存している場合、これも立派なリスクである。背負う価値のあるリスクではないと指摘しているわけではない。あくまでも、ビジネスにとって負う価値のあるリスクかどうかは、当事者にしか分からない。

モグラたたき戦略が自分のビジネスに向かず、グーグルの逆鱗に触れるリスクを減らしたいなら、トラフィックを得る手段を多様化して、トラフィックのソースが一つなくなっても、ビジネス全体を失わないように工夫する価値はある。長期的にビジネスを運営するつもりなら、ブランドを確立し、トラフィックを多様化し、そして、自然なSEOのトラフィックをボーナスとして対処する方針を検討してもらいたい。そうすることで、グーグルへの依存度が大幅に減るため、グーグルが何をするにせよ、あまり心配しなくて済む。

2つの戦略を同時に用いるサイトもある。これはリスク管理の手法として理解できる。大半のサイトのオーナーは中間に位置し、最善の結果を期待する。

前進するリンク構築

グーグルの恐れ、不安、そして、疑いをベースとした戦略により、怯える、または、混乱する、あるいは、その双方に該当する数多くのサイトのオーナーが続出するだろう。

何が許容されているのだろうか?

問題は、現在許容されている行為が、来週には許されない可能性がある点である。サイトのオーナーが、あるリンク戦略を採用したら後戻りするのは不可能に近く、また、数年後に何が禁止されているのか誰も分からない。

当然ながら、リンク戦略の目的が“ランキングを高める”ことなら、グーグルはサイトのオーナーに「リンク戦略」を考えてもらいたくないはずである。この点に関しては、グーグルの方針は変わっていない。

リスクの低いアプローチを望むなら、グーグルのトラフィックをおまけとして考えた方が得策だ。ウェブマスターワールドを設立したブレット・タブキ氏は、「検索エンジンは存在しないものだと思え」、または同じようなメッセージが綴られたステッカーをモニターに貼っていた。SEOを超えた戦略的な思考を促されるため、今こそこのステッカーが役に立つのではないだろうか。グーグルからサイトが消えても、ビジネスを引き続き運営することは出来るだろうか?その答えがNoなら、戦略を考え直すべきである。

妥協案は考えられるだろうか?

時の試練に耐えられる可能性があり、グーグルの気まぐれな行動にも負けない戦略を組み込んだ、リンク構築に対するアプローチを幾つか紹介する。全てのアプローチにおいて、リンクの価値の一部がランクの高さであれ、SEO以外の理由でリンクを獲得する点が鍵を握る。

1. パブリッシャー

オーディエンスにとって関連する、有益なコンテンツを配信する。

あるトピックに関する情報を掲載したページを投稿するだけでは不十分であり、情報の実用性を証明する必要がある – 要するに、他の人達が情報を有益であると見なし、参照し、アクセスし、そして、話題にしている必要がある。資金をリンクの購入に費やす代わりに、コンテンツの作成、そして、オーディエンスへの宣伝に資金をつぎ込もう。 するとリンクが自然に集まる可能性が高くなる。受動的にリンクを獲得するのだ。

このタイプのリンクが集まってくる分には、リンクグラフは自然に見え、要な特徴にはならないため、問題視されないだろう。その他のシグナルがこの特徴を打ち消し、インパクトを抑えてくれる。

固有で、質の高い情報を基にしたブランドを構築し、複数のチャンネルを介して売り込むことで、リンクが集まり、その結果、グーグルのランキングが引き上げられる傾向が見られる。何よりもハイレベルな実用性を証明するべきである。

このモデルの問題点は、その他のサイトに容易に実用性を盗まれてしまう点だ。これは大きな問題であり、質の高いコンテンツへの投資を躊躇させている。この問題を回避する方法として、一部のコンテンツを客寄せ目的で使って、残りを有料線にする手が考えられる。十分な量のコンテンツをオーディエンス、そして、グーグルに公開し、そして、残りを見たい人に登録を求めるのだ。

コンテンツの全てをクローラーに与える見返りについては慎重に考える必要がある。「コンテンツ」ではなく「実用性」を与えることを重視してもらいたい。

2. 差別化

リンクの獲得に関しては、先発者利益が大きい。

新しい分野が開拓され、誰よりも早く、または、早い段階でその分野に進出すると、比較的に簡単に信頼できるリンクグラフを構築することが出来る。分野が拡大し、新たな層のアクティビティが活発化し、- ブロガー、メディア、そして、その他の情報のキュレイターがコンテンツの作成を始める。あらゆるニッチに共通することだが、スタート地点では、話題になる人数が限られるため、早く行動を起こすと全てのリンクを手に入れることが出来る。

分野が成熟していくと、マイク・グレハン氏が巧みに表現しているように「汚れたリンクが増加」する。

ウェブの新しいリンクは既に多くのリンクを持つサイトに向かう傾向があり、基本的にこの構想は新しいページや知名度の低いページとって不利である。検索エンジンが、人気の高いページを毎回上位にランク付けすると、このページを発見し、リンクを張るユーザーが増えていく。

早い段階でこのように全てのリンクを獲得したサイトは、結果の上位に掲載されるため、時間の経過とともに更にリンクの本数を増やしていく。今の行動を続けていればよい。何か常識を超えた行動に出なければ、後に参加したサイトが古株のサイトに打ち勝つことは難しい。常識を超えた行動とは、本質的に、新しいニッチへのシフト変更を意味する。

競争の激しい分野に遅れて参加しているなら、差別化について本気で知恵を絞りだす必要がある。その他のサイトとは異なり、何を提供することが出来るのだろうか?このような分野では卓越したコンテンツが要求される – 取り上げる価値のあるコンテンツが求められているのだ。

当該の分野は新たな方向に向かって動いているだろうか?もしそうなら、この方向に狙いを定め、誰よりも早く動きだすことが出来るだろうか?ニッチの現在の場所ではなく、今後向かう場所を察知し、予めその場所に向かうのだ。

「ありきたり」のコンテンツは、リンクを張ってもらえず、興味を持ってもらえず、上位にランク付けしてもらえず、話題に上げてもらえない – 当然だ。ウェブは、コンテンツには不足していない。ウェブには無数のコンテンツが存在し、グーグル等の企業が対処可能な10本のリンクに縮小し、大儲けしている。

3. ブランド

ブランドはグーグルから身を守る究極の戦略である。

ブランドだからと言って、グーグルのペナルティから逃れられるわけではない。実際に、ブランドもペナルティを科されている。しかし、科される量刑に差がある。ブランドの規模が大きければ大きいほど、量刑が少ない、もしくは短い。なぜなら、ウォルマートやアメリカ政府がどれだけグーグルをスパムしても、グーグルはこのようなサイトを表示せざるを得ないのだ。この2つのサイトがアグレッシブなSEOの戦略を採用している、または、その必要があるわけではないが、確実にグーグルに掲載してもらえる。

大きなブランドである必要はない。ただし、固有のブランド名に関してある程度の量の検索が行われている必要はある。当該のニッチで十分に知られているなら、- つまりタイプインの検索が十分に行われているなら、グーグルはブランドをSERPに表示させなければならない。さもなければ質の低い検索結果だと思われてしまう。

だからと言って、低俗な行動を取っても許されるわけではない。しかし、タイプインのトラフィックが多ければ多いほど、グーグルにかかるプレッシャーは大きくなり、上位に格付けしてもらいやすくなる。

ブランドネームに向かうリンクは、フッターの「オンラインで激安価格の薬を購入」等のリンクと比べ、無理やりリンクをを張っているようには見えない。リンクを張る側はブランドの名前を知っており、- 自然に – 名前を使ってリンクを張り、名指しで話題に取り上げている。

サイトが包括的であればあるほど、弱くなる。なぜなら、包括的なキーワードの用語に合わせている場合、当該のスペースを自分のものにするのが難しくなるためだ。常に若干 – あるいは大いに – 無理やりリンクが張られているように映ってしまう。

キーワードが掲載されたリンクを得ても構わないが、固有のブランドを確立する取り組みも忘れずに行ってもらいたい。そうすることで、当然ながらリンクグラフは自然に見えるようになる。質の低いリンクが数本あったところで、多くの自然なブランドリンクが作り出す良いシグナルを踏みにじる結果にはならないだろう。

4. エンゲージメント

ウェブは“場所”である。

この場所には大勢の人々が存在する。そして、人と人の間には関係が存在する。ウェブ上の人と人の間の関係は、リンクとして表現されることが多い。フェイスブックのリンクかもしれないし、ツイッターのリンクかもしれない。コメントのリンクやブログのリンクの可能性もあるが、リンクであることに変わりはない。クロール可能かどうか、no-followかどうかに関わらず、リンクは関係を表す。

グーグルが生き残るためには、この関係を理解しなければならない。

だからこそ、- ネガティブSEOを除く – 全てのリンクは価値を持つ。実際の関係のシグナルが多ければ多いほど、客観的に見て関連性が高いため、より上位にランク付けされる*べき*である。

そのため、関係とエンゲージメント(交流)を育む方法を探してもらいたい。ゲスト投稿かもしれないし、別のサイトにコメントを投稿する行為かもしれない。フォーラムに寄稿することだって出来る。インタビューを実施する手もある。インタビューを受ける側に回っても良い。会社との関係を構築することも可能だ。チャリティーへの貢献かもしれない。カンファレンスの参加なのかもしれない。影響力を持つ人物への接触がこの方法に該当する可能性もある。

全てに共通するのは、ネットワーク作りである。

そして、ネットワーク作りを行うと、副産物としてリンクが付いてくる。

しかし、気をつけてもらいたい点がある:

長い – 400ワード以上 – の固有の記事を提供する必要がある。リンクを張ってもらい、読者に没頭してもらい、コンテンツファームではなく、オーディエンスが実際にアクセスするサイトに掲載する必要がある。

実用的かどうか」自分自身に問いかけてもらいたい。

5. ニーズを満たす

このポイントは、差別化に似ているものの、若干焦点が絞られていると言える。

ある分野でオーディエンスが抱えている問題について考えてみよう。解決するのは困難な問題だ。「how to」、「ヒント」、「アドバイス」等々。

難問を解決すると、とりわけ本来ならば料金を支払わなければならない場合、オーディエンスは、義務感を持つようになる。この義務感をリンクの獲得に結びつけることが出来るなら、都合がよい。例えば、「この記事/動画が役に立ったとしても、料金を支払う必要はありません。その代わりに、リンクを張る/ツイッターでフォローしてもらえると嬉しいです」等のメッセージを送る手が考えられる。ここまであからさまに訴える必要はないが、時には露骨なアピールが求められることもある。こうすることでエンゲージメントは促され、ネットワークが作られ、リンクは構築されていく。

リンクに結びつくコール・トゥ・アクションを盛り込む方法を考案してもらいたい。

最後に

ちなみにシーザーズパレスはグーグルを拒否したようだ :)


この記事は、SEO Bookに掲載された「Link Madness」を翻訳した内容です。

SEO Bookらしい記事でしたが、大局的にSEOやリンク構築を理解するために考える要素が色々詰まった充実の内容だったと思います。月曜朝一にしては濃すぎましたが時間がある時にじっくり読み直したい記事でした。 — SEO Japan [G+]

SEOはいつ死ぬのか?


「SEOは死んだ」

と言われて久しい。
調べてみたところ、この表現が初めて日本語のWebサイトに登場したのはでは2008年らしい。
らしいというのは、Google検索の期間指定で調査しただけのデータだからだ。

最初にこの表現が使われたきっかけは、2007年にパーソナライズド検索が導入だったようだ。
順位が絶対のものでなくなったということから、こんな表現が使われたらしい。

興味があったので、このキーワードを含む

  • 日本語のWebページ
    “SEOは死んだ” -site:web-tan.forum.impressrd.jp
    “SEOは終わった” -”SEO japan “
  • 英語圏のWebページ
    “seo is dead”

と検索してみたのが下の表である。
※2013年に関しては6月8日現在まで
(Web担当者フォーラムとSEO Japanは関連記事として最近の記事のタイトルが、ページの下に表示されるため除外した)

「SEOは死んだ」「SEOは終わった」「seo is dead」の1999年から2013年までのページ数の推移

これを調べてみて実感したことが二つあった。

  • 日本はITのトレンドがアメリカに比べて数年遅れる、といった現象があるらしいがこんなところからも伺える。
    グローバル化と言われ続けているが、やっぱり日本は遅いようだ。
  • 英語圏ではSEO is Deadということが盛んに言われ始めたのは2008年であって、それからずっとずっとずーーーっと言われ続けていることがわかる。
    アルゴリズム変更があるたびに、

    「ああ、もうだめだぁ、SEOはもう終わりだぁ。」

    と騒ぐ人がいるってことだ。
    結局SEOは終わらなくて、そんな騒ぎが繰り返されながら今日に至っているわけである。

後者について思うことが今回のテーマだ。

渡辺隆弘氏は「Googleの検索ランキングアルゴリズムは本当にブラックボックスなのか」の中で、

「同じ歴史が繰り返されている」ことがよくわかるようになり、事細かなスパムフィルタリングやリンク評価の変化関係の話が「くだらない」と思えるようになるはずです

と書いているが、まさしくそんな感じだ。

私としてはアルゴリズム変更って結構どうでもよくって「ああ、またあったのね」って思うぐらいのことだ。

ご覧のとおりなかなかスパムはなくならないし・・・、ソーシャルメディアの隆盛があっても、SEOの重要性はほとんど揺らいでいないし・・・、
というわけでSEOはしばらく死なないように感じていた。

妻とこのことで話をしたことがあって、

「で、結局SEOって仕事って一生食っていけるの?」

と聞かれたのだ。
その時、ちょっと真剣に考えてみたのだ。

そうしたら答えに困ってしまって、

「まあ、当面は食えるんだろうけど、10年後、5年後とかはわからないね」

って答えたのである。

ほとんどの産業は生まれて、盛んになって、斜陽になって、やがて死ぬ。

昭和の初期の頃は石炭産業が隆盛を極めていた。
石炭は当時黒ダイヤなどとも呼ばれ、産業の基幹を支える決定的に重要な鉱物であった。
まさに花形産業だったのだ。
しかし、エネルギー革命によって石油にとってかわられ石炭産業は急速に衰退した。

SEOもこれと同じだと思うのである。
特にITは移り変わりの早い産業だ。
ある日突然とまでは言わないにしても、ごく短期間で今までメジャーであったサービスが廃れることがある。

モノであれば、今までの設備を廃棄してすぐに買い替えることはできないため、新しい技術に刷新されるまである程度時間を要する。
しかし、ITのサービスは切り替えコストがかからないので、ごく短期間に刷新が行われる。

SEOは検索エンジンというWebサービスが存在するから、存在するWebの販促手法である。
検索エンジンがなくなってしまう、あるいはキーワード検索という手法がなくなったらSEOは消滅してしまう。

ではそれはいつなのだろう?

その日は近いのではないか?というような気がしている。

どのようなサービスがSEOを消滅させるのだろうか。

私はこんなことを思っているのだ。

  1. amazon.comによる小売業の寡占化
    まあ、楽天でもいいのだが、特定のショッピングサイトが巨大化し他のECサイトを駆逐したらサイト内検索だけでよいことになる。
    これは夢物語でもなんでもない。
    amazon.comの利便性、価格は他の小売業を大きく圧倒している。

    家電量販店は価格競争力の強さで個人経営の電気店をぼぼ駆逐してしまった。

    安売りができる理由は仕入れの量による。
    amazon.comは急速に売上を伸ばしており、2012年の日本国内の売上は前年比18.6%増の78億ドルにも達している。

    家電量販店は現在amazon.comからの挑戦を受ける守勢の立場に回りつつある。

    「ショールーミング」という言葉がある。
    ネット通販で買うことを前提に、店には商品の実物を見るためだけに来店する現象だ。店は店ではなく、ショールームとなりつつある。

    amazonアプリには、商品のバーコードを読み込ませると、即座に同じ商品の価格を表示させる機能がある。これこそまさにショールーミングの最たるものだ。

    ショールーミングによってリアル店舗が消滅すると、ますますamazonは売上を増やし、さらに価格競争力を増す。
    一般の小売店舗が通販で生き残れる場所は著しく狭まる。

    日用品までインターネットで買う時代になってきている。
    小売店舗が消滅する日はあんがい早く来るかもしれない。
    5年後とかには一般の小売店がほとんどなくなり、ECのショップの販促手法としてのSEOは無意味になっている可能性もある。

  2. セマンティック技術の進化

    セマンティック技術とは、単に文字としてのキーワードではなく、意味に基づいて分類整理する技術のことだ。
    Googleは現在セマンティック検索を急速に推し進めている。
    ショッピングやレシピといった特定の分野では既に実用化されている。

    レシピ検索ではカロリー数とか、必要な材料などで絞り込むことができるし、
    ショッピングでは商品カテゴリ、メーカー、商品名、価格などで絞り込むことができる。

    様々な分野においてセマンティック技術が進展していくと、必要とする情報を、キーワードで検索して、ヒットした文章を読むという回りくどいことをしなくても済むようになる。
    マウスやタッチといったよりユーザーフレンドリーなインターフェースだけで、必要とする情報に直接たどり着けるようになる。

    現在は定型化できない情報であっても、様々な視点から分類整理が進む可能性がある。

    SFじみているのだが小説であれば、

    ストーリーを覆う雰囲気を色で例えたり、
    主人公と現在の自分のリアルに置かれている立場との距離を3次元的にグラフィカルに示したり、
    (現代のサラリーマンを主人公にした小説であれば非常に近く、江戸時代の下級武士であれば年代はやや遠く立場は近いとか、スペースオペラに出てくる英雄はとても遠いとか・・・)
    登場人物の抱く葛藤の種類を分析して、読者の感情とマッチングさせたり、
    などなど・・・

    こんなことは技術の進展があれば近い将来できそうな気がする。

  3. 文脈解析の進化

    Google音声検索といった技術は文脈解析技術によっている。
    答えを返すのは、答えが含まれているであろうページを返すのではなく答えそのものを返す。
    Google Glassの開発によってこの技術は重要度を大きく増した状況にある。
    Googleがこれに注力することで、一足飛びに進化するかも知れない。

この3つのうちいずれかが現実になったら、SEOは死ぬかも知れない。

過去の歴史を振り返ってみると、花形産業に従事している人はその産業が没落するなどとほとんど考えていなかった。
繊維工業しかり、石炭産業しかり、造船、鉄鋼・・・。

産業はすべからく没落するのだ。

SEOも没落する。
ブラックハットSEOだけではなく、ホワイトハットも含めて全てだ。
そうして、SEOは上記の産業とも異なり消滅してしまうはずだ。

その日はもうそこに来ているかも知れない。

GoogleのSEO責任者が語るSEO業界の3つの誤り

マット・カッツが最近積極的に行っているSEO関連のビデオ映像シリーズでちょっと面白い内容があったのでご紹介。 — SEO Japan

cutts-google-seo-misconceptionsグーグルの検索スパム対策を統括するマット・カッツ氏が、「SEO業界の誤り」と題した動画を新たにリリースした。この5分間の動画では、カッツ氏は次の3つのトピックを取り上げている。

(1) SEOの関係者はデータの更新とアルゴリズムのアップデートを混同している。

(2) パンダ & ペンギンアルゴリズムの意図は、短期的にグーグルにより多くの利益をもたらすことではない。

(3) SEOは、リンク構築に余りにも多くの時間と労力をつぎ込み、検索エンジンについてばかり考えている。

以下に当該の動画を掲載する。その下に概要を紹介する:

アルゴリズムのアップデートとデータの更新:

マット・カッツ氏は、SEOの関係者は、よくデータの更新とアルゴリズムのアップデートを混合しており、これは大きな間違いだと指摘している。この点に関しては、少なくとも一度はこのサイトでも取り上げた(日本語)ことがある。要するに、アルゴリズムのアップデートとは、検索結果のランク付け、インデックス、そして、フィルターの仕組みを変更する取り組みであり、一方、データの更新とは、アルゴリズムを動かすデータをアップデートする取り組みである。例えば、先日、ペンギンアップデート(日本語)が行われたが、これはアルゴリズムのアップデートであった。アルゴリズムが動く仕組みに変更が加えられていたからだ。その前のペンギン 2(日本語)は基本的に単なるデータの更新であった。

パンダ & ペンギンアップデートは利益を得るための取り組みではない:

SEO業界の中には、パンダアップデートやペンギンアップデート等のアルゴリズムのアップデートは、グーグルが短期間で収益を増やすために導入されていると考えている人達が大勢いる。

カッツ氏は、過去の業績レポートを持ち出し、グーグルの収益が今後の四半期で伸びない理由として挙げられている点を紹介している。要するに、パンダはグーグルの収益に対して、短期的にマイナスの影響を与える可能性があるのだ。これは、パンダが、主にアドセンスを介して収益化を行う質の低いコンテンツサイトを追放することを目標にしているためだ。

そして、マット・カッツ氏は、長期的な目標は、検索エンジンのユーザーを満足させ、再びグーグルに戻って来てもらい、検索を行ってもらうことだと説明している。ユーザーがデータを得て、去るための手段をグーグルは提供している。カッツ氏は、グーグルが短期的に収益を増やすことを目標に据えているわけではないと何度も強調している。

これは明らかにPRだが、カッツ氏自身は、この主張を心の底から正しいと感じているように思える。

SEOはリンク構築 & 検索エンジンばかりに気を取られている:

マット・カッツ氏は、最後にSEOの関係者が労力を必要以上に注いでいる取り組みを話題に挙げていた。SEO業界は、リンク構築、そして、ユーザーではなく検索エンジンを重視し過ぎているようだ。同氏は、ソーシャルメディアやその他の分野にもっと力を入れて、サイトの認知度を高めるべきだと指摘している。

その後、カッツ氏は、優れたサイトは、通常、デザインとユーザーエクスペリエンスを優先していると述べている。こうすることで、ユーザーは満足し、その他のユーザーに薦めるようになる。例えば、クレイグズリストは素晴らしいサイトだが、ユーザーエクスペリエンスの質は高くないと加えていた。つまり、多くのスタートアップサイトが、ユーザーエクスペリエンスにおいてクレイグズリストを打ち負かし、一部のニッチにおいて同サイトから覇権を奪っているようだ。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Google’s Matt Cutts On SEO Industry Misconceptions: Updates, Revenue Goals & Link Building Obsession」を翻訳した内容です。

本音と建前が混じった内容と思う人もいるかもしれませんが、まぁ、SEOに関していっていることはその通りではあるとは思います。どんなSEOをするにもまずはGoogleの公式意見は大事ということで、ここに書かれていることを理解しつつ、その裏にあることまで考えた上でSEOに取り組みたいですね。 — SEO Japan [G+]

イベント 「ウェブマスター1年生のための『ホワイトハットSEO』」 に参加しました

先日 こちらのブログ記事 でもご紹介しましたが、Google サーチ クオリティ チームでは「ウェブマスター 1 年生のための『ホワイトハットSEO』(主催:CSS Nite 実行委員会、クリーク・アンド・リバー社)」に参加しました。今回はそのイベントの様子をご紹介します。



当日は 100 名以上の方にご参加頂き、熱気あふれる時間となりました。Google サーチ クオリティ チームは、新しくウェブマスターになった方に向けて 3 つのセッションを行いました。

「Google 検索の基本的な考え方」というセッションでは Google 検索がどのような方向を目指して開発されているか、そしてその上で Google 検索と相性の良いサイト運営とはどのようなものとなるかについてご紹介しました。

その次の「Google のウェブマスター向けリソース(情報源)の紹介」では、新ウェブマスターの方にまずはご利用いただきたい Google 公式の情報源、ツールを 5 つご紹介しました。
  1. 検索の仕組みサイト で Google 検索を知る
  2. ウェブマスター ツール でサイトが Google にどのように見えているか確認する
  3. ウェブマスター ヘルプ フォーラムで質問する
  4. ウェブマスター セントラル ブログで最新情報をチェックする
  5. Google+ 上でウェブマスターと交流する、ウェブマスター ハングアウト を見る
「Live Webmaster Hangout (Live Q&A Session)」では、サーチ クオリティ チームでよく頂くご質問についてご紹介、回答させていただきました。
質問例:
質問:日本のサーチ クオリティ チームはどのような仕事をしているの?海外のコンテンツの翻訳だけ?
回答:Global のサーチ クオリティ チームと常に連携しながら合同で情報発信を行っているのと同時に、日本独自の情報発信も行っています。(具体例:ウェブマスター ヘルプ フォーラムでの「Google 社員によるウェブマスターの豆知識」シリーズ、Google+ 上での ウェブマスター ハングアウト 、など)

質問:スマートフォン向けサイトを作成しようと思っているけど、Google からの情報は何かある?
回答:Google Developers Site 内の「携帯端末に最適化されたウェブサイトの構築方法」に最新の情報を掲載しています。また、ウェブマスター セントラル ブログでも関連記事を掲載ていますし、先日は「携帯端末向けのサイトの構築」というテーマでウェブマスターハングアウトを実施しました。
Google サーチ クオリティ チームによるセッションの後、Web 担当者 Forum 編集長の安田英久氏、楽天株式会社 楽天市場事業 サーチエンジンマーケティング グループの近谷康氏と共にトーク セッションも行いました。トーク セッションの中では、よく言われている SEO に関する噂やテクニックについて、Google 検索と相性の良いサイト作りという観点からの回答をさせていただいたり、他のスピーカーの方と共に検索エンジン最適化(SEO)を行う際のポイントについてお話をしました。トーク セッションは大変盛り上がり(例えば 検索エンジン最適化(SEO)についてのヘルプ記事 には SEO 業者に施策を委託する際の Tips が参加者の方々の想像よりも詳しく含まれていたようです :) )、予定時間を延長しての実施となりました。



今回のイベントを通してわたしたちが新ウェブマスターの方にお伝えしたかったメッセージをここで改めてご紹介したいと思います。
  1. ユーザーに魅力あるコンテンツを作ることが何より重要。
  2. まずは ウェブマスター ツール に登録を。
  3. 日本のみなさまに向けた公式の情報発信を強化しています。噂に惑わされず公式情報の確認を。


今後も、Google サーチ クオリティ チームではイベントを通してみなさまと直接お話する機会を持つことができればと思っています(オンライン上では ウェブマスター ヘルプ フォーラムでいつでもお待ちしております!)。イベント参加予定の情報は Google+ Webmaster Japan コミュニティ でいち早くお届けしていきますので、ぜひコミュニティにご参加ください。


Googleは世界を壊滅状態に追い込むか?

骨太のGoogle論が魅力のSEO Bookが、米国で最近出版され話題になっている本「Who Owns the Future?」をベースにGoogleと世界の関係について書き下ろした熱い記事を。検索エンジンからメール、各種サービスまで、私含め多くの人々が様々な恩恵を受けておりそれなしには生活できない存在になっているGoogleですが、Googleをはじめとするネット技術の革新と普及により失われていったものも数多くあります。「IT技術が人の仕事を奪う」という話は日本でも昔からいわれてきた議論ですが、その現状と未来について改めて考えさせられる内容です。 — SEO Japan

当初は、目立たない存在であった。

街の郊外に一店あるのみであった。大きな、一体型の店舗であった。この店は、主に輸入された製品や委託された製品等、大量の安価な品物を売りさばいた。従業員の給与、そして、納入業者の利鞘は限界まで抑えられていた。

そして、この小売店は数を増やしていった。

規模を拡大するにつれ、この店は大通りの空洞化を招いた。大通りの店舗と巨大な店舗との力の差は歴然としていた。巨大な店舗が市場に与える影響には、歯が立たなかった。巨大店舗が持つ莫大なデータを分析することで得られる独自の情報には、太刀打ち出来なかったのだ。

ご想像通り、この巨大な店とは、ウォルマートである。

好き嫌いは別にして、ウォルマートは、人々が求めるものを与えた。しかし、そのために、アメリカの中流階級に大きな打撃を与えた。多くの小売店が廃業に追い込まれ、メインストリートの店が姿を消していった。中流階級に安定した収入を与えていた、小規模な家族経営の小売店が消えていった。

どこに行ってしまったのだろうか?

数を減らしたのは、小規模な個人営業の小売店や町工場のメーカーだけではない。この効果はその他の分野にも波及していった。このような中小企業が利用していた地域の会計士、弁護士、広告会社、金融会社、そして、中流階級の経済を調整していたサービスプロバイダーに対する需要が減った。

その結果、やはり彼らも姿を消すことになった。

ウォルマートで仕事を見つけた人もいるだろう。無職になった人もいるはずだ。事業を閉鎖し、早く退職した人もいる。仕事を変えた人もいれば、顧客が多い土地への引っ越しを余儀なくされた人もいるのではないだろうか。

それがインターネットとどのような関係があるのだろうか?

インターネットでも同じ現象が起きているのだ。

零細企業を経営しており、インターネット版の大通りと言える場所に事業を展開している、または、零細企業のビジネスのオーナーに収益が左右されるなら、この記事を読み進めていってもらいたい。

テクノロジーはミドルクラスを壊滅状態に追い込むのか?

ジャラン・ラニエ氏が綴った本「Who Owns The Future」をたった今読み終えた。この本を読むと、インターネットを利用しているなら – そして、少しでも中流階級に該当するなら、自分達の現在および未来について切実な疑問が脳裏をよぎるはずだ。

次の指摘について考えてもらいたい。

写真用品会社のコダックは、全盛期に14万人もの従業員を抱え、280億ドルの価値があると言われていた。コダックは初めてデジタルカメラを販売した企業でもある。しかし、コダックは破産した。そして、現在、デジタル写真の分野において頭角を現しているのがインスタグラムである。フェイスブックに10億ドルで売却された際、このサービスを運営しているのは、たった13名であった。

インスタグラムにとっては最高の状況だが、コダック、そして、コダックの元従業員にとっては、最悪の結果であった。しかし、進化には代償が付きものだと主張する人もいるだろう。コダックのビジネスモデルは廃れ、テクノロジーに飲み込まれてしまったのだ。

これは真実である。そして、進歩である。あらゆる行動が結果をもたらすと言う主張も的を射ている。ラニエ氏によると、革新的なテクロノジーが現れ、大きなテクノロジー企業が価値の多くを保有する場合、中流階級を破壊する結果をもたらす可能性があるようだ。

ラニエ氏は、テクノロジーの進歩は、奪う仕事の数ほど新たな仕事を生むわけではなく、また、仕事を失う人の中では、ミドルクラスに属する人達が増えつつあると指摘している。

(多分)政治とは無関係

この記事では政治を巻き込みたくない。ただし、全ての変化には、本質的に政治が絡んでいる。それでも、政治的な側面には触れないつもりだ。この問題は、政治の範囲を超えている。テクノロジーがもたらす空想的なアイデアやメリットには異論はなく、また、技術革新を反対する時間もない。

しかし、テクノロジーによってもたらされる富と力においてシフトチェンジが行われた結果、そして、インターネットの価値連鎖の中にいる人達が、労力に対して十分な価値を得ているかどうかは、熟慮に値する。

資本主義の本質とは異なり、価値が全体に流れなくなると、一部の人達しか利益を得られなくなる。以前よりも家の中で過ごす子供達は長生きしているだろうか?同じ仕事量をこなすため、以前よりも長い時間働いているだろうか?価値連鎖は壊れてしまったのだろうか?修復するには何をすればいいのだろうか?とラニエ氏は問いかけている。

インスタグラムは本当に10億ドルに値するのか

ラニエ氏は、インスタグラムは10億ドルに値しないと指摘している。なぜなら、非常に優秀なスタッフが素晴らしい仕事をしているためだ。

インスタグラムの価値はネットワーク効果によって算定されたものだ。

インスタグラムを利用する大勢のユーザーがインスタグラムのネットワークの価値となっている。このユーザーベースがなければ、インスタグラムは単なる写真アプリに過ぎない。

最終的に誰が得をするのだろうか?ネットワークに価値を与えるユーザー達ではない。上でネットワークをまとめるほんの一握りの人達 – 「サイレンサーバー」を所有する人達だ:

権力は、ラニエ氏が「サイレンサーバー」と呼ぶ – ユーザー達が無償で提供し、また、一部の飛び抜けた裕福な人達によって、金銭的なメリットとして、許可なく利用されている、生活に関する情報を保有する巨大な企業のレポジトリに存在する。

価値は、ネットワークを構成する全ての人達によって作られるものの、その多くはデジタル処理ツールと言う形で価値のひとかけらを受けるだけである。メリットを得るためには、自分でサイレンサーバーを所有するか、あるいは、サイレンサーバーとの距離を縮める必要がある。

同様に、グーグルの価値の大半もユーザーのネットワークによって生み出されている。グーグルのユーザーは、単純にグーグルを利用することで価値を与え、その結果、グーグルにコンスタントにデータを提供しているのだ。これがグーグルの価値を高める仕組みである。提供するサービスにおいてはグーグルとビングの間に大きな差があるわけではないが、オーディエンスのサイズの差によって、価値に大きな違いが生じする。Orkutよりもフェイスブックの価値が高い理由も同じである。

価値を与えているのはユーザー

グーグルはユーザーからデータを得ている。ウェブパブリッシャーは、無償でグーグルに作品を提供し、グーグルのネットワークに価値を与えている。その後、グーグルは収集した情報のそばに広告を掲載するために、スポンサーに広告料金を請求する。

なぜパブリッシャーはこんなことをするのだろうか?

パブリッシャーは、トラフィックを得られると期待し、このトラフィックからメリットを享受するため、作品をグーグルに提供している。一部のパブリッシャーは実際に収益を得ており、住宅、食べ物、洋服等、現実世界の経費を賄っている。しかし、大半のインターネットパブリッシャーは、この非公式の取引から収益を得ていない。一部のパブリッシャーは大儲けしている。インターネットパブリッシングにおいて、ロングテールは非常に長い。富と権力の大半は、ヘッドに集中している。

同様に、グーグルのユーザーは、個人情報をグーグルに贈呈している。

グーグルを利用する度に、ユーザーはグーグルに価値のある個人情報を提供している。検索クエリ、閲覧パターン、eメールでのやり取り、連絡先のネットワーク。この情報をまとめて、パターンの分析を行い、パッケージに詰めて、その後、グーグルは広告スポンサーに販売する。

グーグルはユーザーにどんな見返りを与えているのだろうか?

ウェブサービスだ。

価値をフェアに取引していると言えるのだろうか?

ラニエ氏はフェアではないと指摘している。グーグル等の企業が籍を置くエコシステム – ミドルクラスの仕事量、そして、支出の選択肢 – そのものを破壊する可能性があるほど、不釣り合いな価値の交換が行われている。パブリッシャーが妥当な生活費を稼ぐことが出来ないなら、配信される作品の質は下がる、あるいは、作品自体が姿を消すことになるだろう。

オフラインを含め、その他の方法で収益を得ることは可能である。しかし、ウェブが既に多くのオフラインのビジネスに影響を与えている点を忘れないでもらいたい。音楽業界は、10年前と比べてみても、かつての盛況ぶりが嘘のように衰えている。音楽業界での中流階級の仕事は大幅に減っている。小規模な小売店は、オンラインストアに負けている。そのため、小売店の仕事の数も激減している。報道業界はほとんど収益を上げていない。出版社にも同じことが言える。オンラインアグリゲータが価値連鎖を断ち切ったため、上述した業界は苦戦を強いられているのだ。

次に、こういった業界を支える業界を考慮してほしい。 そして、健康、図書館、学習等、近いうちに影響を受ける業界についても考えてもらいたい。ミドリクラスを主に採用している会社は廃業、縮小、あるいは、価値の多くをインターネットに奪われてしまう。

当然ながら、中流階級の生活を破壊することがグーグルの目的ではない。私は反グーグルを訴えているわけではなく、単純に行動と結果に注目しているだけである。テクノロジー、特に、大きなウェブ企業はどのような影響をもたらしているのだろうか?その多くは、密かな、私有の場所にユーザーを出来るだけ閉じ込めておく行為に取りつかれているように見える。

グーグルの目的は、世界中の情報をインデックスし、公開することである。素晴らしい目標だ。便利であり、無料で利用することが出来る。しかし、ラニエ氏は、中流階級の骨抜きは再コンテキスト化の副作用であり、その結果、情報の価値が低下すると主張している。情報は無料の方が好ましいかもしれないが、情報を作成する人達は報酬を貰えないことになる。報酬を得ている人達の多くは、組織が弱く、事業の運営を維持するために、作品の質を落とすことを厭わない可能性がある。既に吟味されていなプレスリリースをメジャーなニュースサイトが配信している。今後の展開が気になる。

「共有」- つまり「贈呈」- を促すメッセージが至る所で見られるが、共有は大きなテクノロジー企業自体には及んでいないようだ。

クリックごとに料金を請求している。

robots.txt

グーグル、または検索エンジン全般を嫌いなら、検索エンジンをrobots.txtを使ってブロックするべきだと言う意見がある。これは、都会が嫌いなら、山の中に引っ越せと言っているようなものだ。実際に引っ越すことは可能だが、都会をもう少し住みやすい場所に変え、活気を与え、その中で成功したいのが本音である。

グーグルは便利なツールを提供している。私はiPhoneを利用するようにグーグルを利用している。取引の内容を理解しているし、情報を提供する代わりに利便性を手に入れている。しかし、この取引は、基本的にグーグルによって決められたものだ。ラニエ氏は、個人、そして、零細企業だけでなく、大きな情報サービス自体にもメリットを与える解決策を提案している。

循環するマネー

テクノロジーの改善は、成功をもたらし、強固な中流階級を生み出した。しかし、現在のテクノロジーの改善においては、商品化されているものが情報そのものであり、これが違いをもたらしている。 情報に対するインターフェースとして動作するソフトウェアによる管理が進む世界では、情報を商品化すると、その他の全ても商品化されることになる。

情報を作る人達が報酬を得られない場合、質が下がる、もしくは、量が減少する現象が起きるだろう。現実の世界で購入するものが減り、その結果、グーグルやフェイスブックの広告スポンサーにとって、アピールするオーディエンスが少なくなることを意味する。

ある社会的な概念から全てが始まった。21世紀の代わり目にグーグルのセルゲイ・ブリン氏によって、全ての情報サービスを提供し、その一方で広告から報酬を得ることで、情報を無料で公開しつつ、資本を流通させることが出来ると言う考えが生まれたのであった。しかし、通常の経済の決まりごとを守っていないと言う問題点が存在する。また、非常に範囲が狭いため、参加することで自滅する資本主義とも言える。勝者が全てを獲得する資本主義であり、これでは長続きするはずがない。

確かに長期的に維持することは出来ないだろう。一人の勝者が全てを得るシステムでは、富と力を頂上にいる一部が握りしめ、その他の人達はロングテールに群がる。グーグルは、AP、AFP、そして、その他の欧州の報道機関等の大型のパブリッシャーと手を組んでいるが、この契約は小規模なパブリッシャーには適用されていない。スポーツの世界にも同じことが言える。トップの選手はとんでもない大金を得ているものの、少しレベルが下がると、スズメの涙ほどの収入しか貰えず、家賃さえ支払うことが出来ない。

それでも、テクノロジーによって新たな仕事の機会が生まれているのではないだろうか?コダックを解雇された人達は、別の職を探せばいいのではないだろうか?

高度なテクノロジーのイノベーションが立て続けに起きているものの、過去の技術の進歩ほど多くの仕事が生まれているわけではない。フェイスブック等の象徴的なベンチャー企業は、例えば、ゼネラルモーターズのような大企業と比べ、採用する人数が圧倒的に少ない。 要するに、物々交換と評判で構成される非公式な経済に一般人の生産力の大半を導き、その一方で、抽出した富を自分達で独占しているのだ。デジタルネットワーク上で行われる全てのアクティビティは鞘取りの対象となり、ある意味、リスクはコンピュータの利用が少ない人達に向かう。

このような環境で力を発揮することが出来る人達は、グーグル等、ビッグデータを保有する企業に雇用される可能性がある。あるいは、起業および適応する能力を持ち、データを持つ企業 – ウォルマート、グーグル、フェイスブック、あるいは、大きな金融企業 – に貢献する、または利用することが出来る可能性がある。しかし、ラニエ氏は、このような企業が生まれた仕組みで社会を維持するためには、単純に仕事の数が少なすぎると指摘している。

ラニエ氏は、この状況は、あまりに多くの人々から、あまにりも早く生活の権利を奪ってしまうと主張している。この現象が起きると、ネットワークを保有する成功を収めたオーナーを含む、あらゆる人々にとばっちりが及ぶ。必要とされる情報の活性化を可能にする価値への見返りを渋ることで、貧窮していくのだ。ごく一部の人しか利益を得られない状況では、購入意欲が鈍るのは致し方ない。

検索エンジンであれ、ソーシャルネットワークであれ、保険会社であれ、あるいは、投資信託であれ、ネットワークは情報を使って、力を集中させている。ラニエ氏は、こういった企業は同じ仕組みで動いており、全て似た者同士だと指摘している。このような企業はネットワーク効果を利用して、ビッグデータを掘り出し、分析を行い、その結果、小規模な競合者、そして、その周りに存在する経済を犠牲にして、成長していく。

意図が何かは関係ない。テクノロジーは中流階級の繁栄を妨げる可能性があり、この現象が起きると、最終的に全体が損をすることになる。

どのような解決策が考えられるのか?

数日前、グーグルのスパム対策を統括するマット・カッツ氏が、動画で今後のグーグルの変更についてサイトのオーナーに情報を提供していた

グーグルは、ペンギン 2.0と呼ばれるウェブスパムの変更を行うと発表した。ペンギン 2.0は、アドバトリアル、記事広告に“目を光らせる”と言われており、このタイプの配信形式に対して“強硬な措置”を取るようだ。また、リンクスパムの効果を弱めるため、“上流に上る”とグーグルは指摘している。 

当然、グーグルがこのような動画をリリースすると、ウェブマスターのコミュニティは激震する。グーグルは変更を加え、この変更によって、ウェブマスター達は得をする、または、ピンチに追い込まれることになる。

この点に関して最も興味深いのは、力の関係だと私は思う。グーグルの検索結果で上位にランク付けしてもらいたいなら、交渉する余地はない。グーグルの命令に従わなければ、大負けするためだ。グーグルの言いなりになったものの、負けを見ることもある。富と力はパブリッシャーに分配されるのだろうか?

その答えはノーだ。

最近、グーグルは、リンクネットワークを再び葬った

その後、カッツ氏はさらに同様のネットワークを追うと警告している。富と力はリンクの買い手や売り手にもたらされるのだろうか?

答えはやはりノーである。

検索エンジンの価値を下げると感じたサイトを削除、または、低く評価する方針自体は間違えていない。グーグルは検索の仕組みを確立した。しかし、検索は、トピックが外れたジャンクを使って結果を容易に操作されるようになった12年前に終わっている。この問題の解決策の利益がグーグルに流れこむようになったのだ。

グーグルのような企業に余りにも多くの富が流れこむことで、グーグル自身の経済の大半を破壊してしまうのではないかと言う疑問が存在する。グーグルは、単なるプレイヤーではなく、非常に影響力が強いため、中心として計画を立てている。 マット・カッツ氏は製品の品質管理を行っているが、顧客はパブリッシャーではなく、スポンサーである。

また、グーグルの動画が指摘していない点に注目してもらいたい。カッツ氏が登場する動画は、ビジネスがより大きな成功を収める方法を紹介するものではない。グーグルがより大きな成功を収めるために、グーグルの望み通りにパブリッシャーを動かそうとする魂胆が丸見えである。意見が合う、合わないは問題ではない。なぜならグーグルに逆らうことは出来ないためだ。

これが取引である。

ウォルマートの懸念材料が町の小さな子売り店ではないように、グーグルの懸念は、ウェブマスターではない。グーグルが重視しているのは、企業の目標を達成し、株主に対する価値を強化することである。影響はグーグルやウォルマートのせいではない – グーグル、そして、ウォルマート自体が影響なのだ。

グーグルが目標を達成しようとする影響は、パブリッシングの価値をえぐり出し、その結果、多くの中流階級の価値をくり抜く。グーグルの自動運転する自動車のプロジェクトは、- グーグルが焦点を絞る傾向が見られる – テクノロジーの観点では確かに魅力的に映るが、少なくとも公の場では、このテクノロジーの導入によって影響を受ける人達、具体的に名前を上げると、タクシードライバーや配送業者のドライバーの身に何が起きるのかを全く考えない人達にとっては、さらに魅力的に映るのかもしれない。通常、移民がこの層に当たる。貧しいものの、将来性が豊かな人達だ。

この社会的な影響はグーグルには気にならないようだ。

それでは誰が懸念を持つべきなのだろうか?

やはりグーグルが重視するべき問題である。なぜなら、長期的な視点でみると、グーグルにプラスに働くためだ:

現在、ギターメーカーはグーグルを介して広告を行っている。しかし、ギターのデザインが3Dプリンターで行えるようになり、ギターのデザインが“無料”になったら、誰も広告を買わなくなる。しかし、グーグルにとって、無料で提供するこの情報は生命線である。この情報をグーグルのサーバーは整理している。長期的な視点で考えると、現在のグーグルのビジネスモデルには落とし穴があると言わざるを得ない。

ラニエ氏は、マイクロペイメントを介して、全ての関係者に報酬を分配し、ウェブパブリッシャーに価値に対する見返りを与えるべきだと主張している。コードであれ、写真であれ、音楽であれ、あるいは、記事であれ、自分が所有する作品を保有している限り、支払いは継続される。

例えば、ブログで記事を作成し、誰かが記事の一部を引用した場合、小額の支払いを受ける。引用される回数が増えれば増えるほど、適切な存在と見られるようになり、その結果、より多くの報酬を受け取るようになる。検索エンジンにページをインデックスされると、見返りが与えられる。誰かがページを閲覧すると、マイクロペイメントを受け取る。同様に、誰かの作品を見たら、料金を支払う。検索を行う場合、グーグルのコードを利用することになるため、グーグルに対価を支払う。支払いは、一つ一つを見ればごく僅かだが、塵も積もれば山となる。

このシステムを作る上では大きな技術的な問題が存在するが、ヘッドからテールに金銭を流す効果は見込める。他人が作った無料のコンテンツで帝国を築くのは難しくなるだろう。つまり、コンテンツの作者にお金を返すのだ。

また、こうすることで海賊版の問題も解決される。コンテンツのプロデューサーは、より多くの人々にコピーしてもらい、リミックシしてもらい、再配信してもらいたいはずだ。それだけ支払われる金額が増えるためだ。また、ラニエ氏が提案する双方向のリンクメカニズムを導入することで、所有権とクレジットを記録し、誰がコンテンツを利用しているのかを把握することが可能になる。

情報は無料ではなくなる。しかし、広義において、手頃な価格で得ることが出来る。また、製作に対する見返りを与えるメカニズム、そして、最も適切な情報に最も多くの見返りを与えるメカニズムも存在する。インターネットへの貢献度が高ければ高いほど、コンテンツを利用する人が多ければ多いほど、より多くの収益を得られる。僅かな金額の支払いだが、徐々に増加し、継続的に行われる。

興味深い疑問

今回紹介した疑問が気になったのなら、ジャレン・ラニエ氏が執筆した「Who Owns The Future」を読んでもらいたい。時折、まとまりのない主張が続き – 良い意味で – 脱線することもあるが – 良い意味で – それでも、とても知的で、思慮深い人物である点は十分に伝わってくるはずだ。ラニエ氏は、とても重大で、適切な質問を投げ掛けている。そして、その答えは粗く、異議、主張、議論の対象となるべきであり、そして、詳しく説明してもらいたい。

大きなテクノロジー会社が、世界を変えるような難問に立ち向かうためには、全ての知力、富、そして、力を、奪い去るよりも早いペースで、エコシステムを豊かにするために活用する必要がある。


この記事は、SEO Bookに掲載された「GoogleMart」を翻訳した内容です。

軽く感想を書くのもおこがましい重くハードなテーマですが、今日世界で台頭してきた世界を代表する巨大ネット企業、従来企業と比較して時価総額や売り上げと比較して雇用の数が少ないのは確かです。さらに彼らが提供する世界や技術革新で仕事を奪われた、今後奪われるであろう人々の行先は?Googleクラスの存在になればそこまで考える責任も、社会的にもまた自らが成長し続けるためにも、また出てくるのでしょうか。

ウェブマーケティングの世界一つとっても、かつて人が行っていた作業の多くがプログラムやツールに置き換わられていますよね。企業にとっては効率的であり経済的であり今日の世界で勝ち残るためには必要なことではありますが、そこで仕事を奪われてしまう人も一定数いるのもまた事実です。以前、日本の無駄な仕事の仕方や仕組みについて雑談していた時に、「日本はこんな狭い国に億を超える人が住んでいるんだから、無駄な仕事を適度に作らないと皆が生きていけないんだ」と話した人がいてナルホドと思ったことを思い出しました。日本もグローバル競争の中で既に一億総中流の幻想は完全に消え去っているわけですが、さて今後も進化し続けるであろうIT、ネット社会の行く末は私たちのどれだけに幸せな未来を提供してくれるのでしょうか? — SEO Japan [G+]

titleタグのつけ方の戦略


今回のテーマは非常に重要である。
SEOを実施する上において最大のポイントの一つと言える。
なんで今まで書いてこなかったのだろう・・・。

というわけで今回のテーマは、

titleタグの設定方法

である。
まず、その前にtitleタグがなぜ重要なのかを書いておく。

titleタグは検索エンジンから見たときに最も評価が高いポイントである。
そうして、検索結果に太い文字で表示される。

本でいえばtitleは本のタイトルに相当する。

図書館や書店で本を探す時に、いちいち本を開いて内容を確認する人はいないはずだ。
まずは背表紙に書かれたタイトルをざっと見て絞り込んで、絞り込まれた候補だけを手に取って中身を確認するはずである。

本のタイトルは重要で、内容にいくらいいことが書いてあっても、的外れであったり、興味をひかれなかったりすると候補にあがってこないわけだ。

たとえばあなたが

料理が得意な主婦だとして、
タラバガニが好きなお客をもてなすために、
タラバガニのレシピ本を探している。

として、どの本を手に取るだろうか?
クックパッドを見たほうがいいじゃんという突っ込みはなしということで・・・。ちなみに私自身はクックパッドが大好きで毎週末お世話になっている。とてもありがたい・・・。)

  1. 初めて作る簡単レシピ100選
  2. 今日のおかず100選
  3. お客をもてなす豪華料理100選
  4. 海の幸で作るゴチソウ100選
  5. 豪華カニ料理厳選100選
  6. 豪華タラバガニ料理厳選100選

下に行けば行くほど、ニーズに近くなっていることがわかると思う。
この場合の観点は3つだ。

  • 誰が作るのか?
  • 何のために作るのか?
  • 食材は何を使うのか?

この3つの観点において、自分のニーズに合うか合わないかを判断しているのである。
ニーズが絞り込まれており、かつ、ニーズに合致するタイトルが望ましいのだ。

この場合であれば、ある程度料理はできる人向けで、ご馳走を作るためで、タラバガニを使う料理といったこの3つの条件を満たすか否かを判断できることが重要である。

さて、検索エンジンの話に戻ろう。

検索結果の中に表示されるページの中のどれをクリックすると自分の求める情報があるか?
それを判断する基準は検索結果に表示される文字しかない。

titleタグは検索結果に表示され、かつ太字で表示される。だから最重要のポイントであるわけなのだ。

いくらコンテンツ自体の内容がよかったとしても、

読者ターゲット・コンテンツを読んでえられるメリットがあいまいであったり、
内容とずれていたりしたら、

本来ページを読んでほしいと想定しているユーザーを集めることはできない。
だから、読んでほしい人を想定してtitleタグは吟味しなくてはならない。

そうして、もう一つ重要な観点がある。

titleタグは検索順位に決定的に大きな影響を与える

ことである。
どの本を手に取るかという例を挙げたが、検索エンジンも同じような判断をしている。
検索キーワードが含まれているtitleタグをつける必要がある。

いくらタラバガニのいいレシピが載っているコンテンツであったとしても、titleに「タラバガニ」「レシピ」という二つのキーワードが入っていない限り、「タラバガニ レシピ」という検索キーワードで検索上位に上がってくることはほぼない。
Googleはtitleタグだけではなくて、内容も判断して順位付けを行っている。
しかし、現状のGoogleのコンテンツの解析能力ではtitle内に検索キーワードがない場合に、検索順位が上がってくることはまずないのだ。

そして、ページへユーザーを集めたいと思うのであれば、キーワードが検索される回数を意識しなくてはならない。

いくら検索上位に表示されたとしても、めったに検索されないキーワードであったとすれば、検索結果に露出しないのだ。
できる限り検索されうるキーワードを用いる必要がある。検索に用いられる代表的なキーワードがわからなければキーワードツールを用いることで、検索数の目安を調べることができる。

Yahoo!とGoogleは検索エンジンそのものは同一だが、検索傾向は全く異なる。
下の表を見ると、検索数が異なることがよくわかるだろう。両方を調査する必要がある。。

マッチタイプは「完全一致」にしないと正確ではないので注意。
この違いは、キーワードのマッチタイプをご覧いただきたい。

「タラバガニ」は主に4つの表記で書かれるケースがある。

タラバガニの表記別の検索数

これで見ると、表記によって全く検索数が異なることがわかるだろう。

そして、もう一つ重要なことがある。
「検索結果同一」と書いてある欄だ。
「タラバガニ」と「たらばがに」の二つのキーワードは、どちらで検索しても検索結果が同じになる。

「たらばがに」と検索すると、

ひらがなでたらばがにと検索した場合でも、カタカナで検索した場合と同じになる

このように「タラバガニ」と検索した検索結果と同じになるのである。
Googleはこの二つのキーワードが同一であると認識しているわけだ。

しかし、「たらば蟹」「タラバ蟹」この二つは同一であると認識されておらず、違う検索結果になる。

ここから言えることは、「たらばがに」をターゲットにすると、

もしかして: タラバガニ

が表示されてしまい、検索結果に表示されにくくなるケースが出てくるかも知れない。
まあ、そこまで気を使う必要はないのかもしれないが、なるべく一般的な表記にしたほうが無難だということである。

最後の観点として競合について触れておこう。
昔はSEOにおいてKEI(Keyword Effectiveness Index:キーワード有効性指標)という言葉がよく登場した。

KEI = 検索回数の 2乗 ÷ 検索結果数

算出式はこうである。
キーワードの有効性は、検索数(有用度)だけではなく競合との兼ね合いで考えるべきものである、という考え方は確かに正しい。
いくら有用度が高くても、競合が多ければ上位表示できないからそのキーワードは狙っても仕方がないということだ。

でもこの考え方には必ずしもとらわれる必要はない。

こう考えればいいと私は考えている。
まずは競合の状況をチェックする。そのために対象キーワードで検索をしてみる。
検索1ページ目に表示される競合サイトを見てどう思うか?

「これくらいのコンテンツなら書けるわ」

と思えば、真っ向勝負すればいい。
結局のところいくら競合が多数存在しようとも、最上位周辺に位置するページが弱ければ、上位表示は難しくない。
町内のオセロ大会だったら、いくら出場者が多くても入賞するのは難しくないだろうし、国別予選を勝ち上がってきた選手が集う世界大会というレベルだったら入賞は困難だ。それと一緒である。競合の数というのは目安にしかすぎないのだ。

検索上位に位置する競合を見て書けないと思えば、同じキーワードでの競争を回避したほうが無難かも知れない。

最後になるが、

検索キーワードは他のページとできる限りかぶらないようにすることも重要だ。
検索キーワードが同じだと、自サイトのページは検索結果に1ページしか表示されない。

極端な話、全ページtitleタグが同じだと、たとえ100ページあったとしても、一つの検索キーワードでしか表示されないこともありうる(まあありえないが)のである。


最後にtitleタグの設定方法をまとめておこう。
  1. 「誰にとって」「どのように役立つか」を明確にする
  2. titleタグ内に検索キーワードが含まれるようにする
  3. 検索キーワードは検索数を意識する
  4. 検索キーワードは競合の強さを見る必要がある
  5. 検索キーワードは他のページとかぶらないようにする

合わせて読んでおきたい参考記事も掲載しておこう


関連記事としてこちらも興味があればご覧いただきたい。

構造化データを活用しよう! – 2 つのアップデート

Google がウェブサイトのコンテンツを構造的に把握できれば、より的確な、しかも人目を引くコンテンツとして Google ユーザーに提示することができます。たとえば、あるページの商品リスティングやイベント、レシピ、レビューなどが構造化されたデータだとわかると、Google のアルゴリズムは「リッチ スニペット」を追加して検索結果を拡張します。さらにそうしたデータは、 ナレッジグラフ のパネルや Google Now カードに表示されることもありますので、コンテンツについて広く知らせることができます。

今回、構造化データが今までよりもっと簡単に利用できるようになる 2 つのアップデートを紹介します。1 つ目は、データ ハイライターでの 7 種類の新たな構造化データのサポート開始、2 つ目は、新しいツール、構造化データ マークアップ支援ツールの提供開始です。


データ ハイライターが商品、お店やサービス、レビューなどにも対応

データ ハイライター は、ウェブサイトに掲載される構造化データのパターンを簡単なマウス操作で(サイトの HTML を編集しなくても)Google に伝えることができるツールとして、2012 年 12 月(日本語では 2013 年 2 月) に公開されました。 公開時には イベント に関する構造化データのみをサポートしていましたが今回、サイト上のその他の構造化データについてもデータ ハイライターで扱えるようになりました。具体的には、商品地域のお店やサービス記事ソフトウェア アプリケーション映画レストランテレビ番組のエピソード に関する構造化データです。

データ ハイライターを使用するには、ウェブマスター ツール にアクセスしてサイトを選択し、左側の [最適化] をクリックして [データ ハイライター] をクリックします。サイト内の構造化データを含むページ(たとえば、商品ページやイベントの詳細ページなど)の URL を入力し、主要なフィールドをマウス操作で「タグ付け」していきます。




1 つのページに対して行う場合、タグ付けにかかる時間は約 5 分、形式が共通した複数のページに対して行う場合は約 15 分です。タグ付け作業が終わったら、Google で構造化データが正しく認識されているかどうかを確認し、問題がなければ Google に「公開」します。その後しばらくしてサイトが再クロールされると、価格、レビュー、評価などの情報が Google の検索結果とともに表示されるようになります。


構造化データ マークアップ支援ツールの提供開始

データ ハイライターは、サイトの構造化データについて HTML を編集することなく簡単に Google に伝えることができる便利な手段です。しかし、構造化データを含むコンテンツがすべての検索エンジンで正しく認識されるようにするには、結局はウェブページに構造化データ マークアップを直接埋め込む方が望ましいとも言えます。ウェブページの作成者がこの作業を行う際に役立つよう、Google は新しく 構造化データ マークアップ支援ツール の提供を開始します。

このツールもデータ ハイライターと同様に、まずウェブページ(URL または HTML ソース)を指定してから、目的のデータ タイプの主要なプロパティをマウス操作で「タグ付け」します。タグ付けが終わると、microdata 形式のマークアップが追加されたサンプル HTML コードが構造化データ マークアップ支援ツールによって生成されます。このコードをダウンロードして、ウェブサイトに構造化データを実装する際の参考用として使用できます。


Structured Data Markup Helper


構造化データ マークアップ支援ツールは、データ ハイライターがサポートしているすべてのデータ タイプに加えて、Gmail に構造化データを埋め込む(英語) ための数種類のデータ タイプに対応しています。スキーマの詳しいドキュメントについては、schema.org (英語)をご覧ください。

Google では構造化データの機能の拡張を進めています。この 2 つのツールによって、すべてのウェブサイトがこれらの機能を気軽に利用できるようになることを願っています。ご不明な点やご意見・ご感想などありましたら、ウェブマスター ヘルプフォーラム に投稿してください。


Posted by Justin Boyan, Product Manager
Original version: Getting started with structured data

GoogleはWavii買収でウェブ検索の未来を買ったのか?

Googleリーダーの終了も残り一か月、乗り換え先の検討&決定はできているでしょうか?とりあえずFeedlyが無難なようですが、その一方で次世代ニュースリーダー争いもまた活発になるということで、Google・Yahoo!共に新種のニュースエンジンを最近買収しています。今回は特にGoogleが買収したWaviiを元にGoogle検索の未来について考えてみた記事をSEO by the Seaから。 — SEO Japan

グーグルは、4月に3000万ドルと少しを投入し、Waviiと言う会社を買収した。当時、ウェブのニュースをまとめるSummlyを買収したヤフー!に対抗して、グーグルはWaviiを買収したと言う噂が出回っていた。

Part of the announcement on the wavii domain about the acquisition by Google.

Waviiもまた、ウェブ上でニュースを取得 & まとめるアプリである。事実、Waviiがデビューした際、キーワードよりもトピックに的を絞った、パーソナライズされたニュースアグリゲータとして注目を浴びていた。しかし、先程紹介したテッククランチの記事を読む限り、このアプリは、グーグルに買収されたことを受けてサービスを閉鎖しており、ニュースアグリゲーションサービスを提供するのではなく、グーグルニュース、ナレッジベース、そして、グーグルグラスの原動力として陰で支えているようだ。

それでは、Waviiは、どのようなテクノロジーを利用しているのだろうか?

オーレン・エチオーニ氏が2011年にNatureに寄稿した記事で、グーグル、ビング、ウルフハラムアルファ、そして、検索の未来の限界(pdf)を指摘した際、Waviiが単なるアグリゲータではないと示唆していた。検索の未来とは何を意味しているのだろうか?次の動画で概要の説明が行われている:

動画内のグーグルとグーグルのナレッジベースの比較、そして、次の発言には刺激を受けた:

次世代の検索エンジンを作ることが目標だ。

グーグルが買収した際にWaviiが保有していた特許を調べた結果、ウェブからの公開情報の抽出(pdf)がWaviiに付与されていたことが分かった。

この特許、そして、申請中の補足の特許を以下に挙げる:

ウェブからの公開情報の抽出(付与された特許)
ウェブからの公開情報の抽出(続きの特許。新たに項目が加えられている)

発明: マイケル J. カファレラ、マイケル・バンコ、オーレン・エチオーニ
付与先: ワシントン大学 センター・フォー・コマーシャリゼーション
米国特許番号: 7,877,343
付与日: 2011年1月25日

概要

公開情報抽出を実装するため、新たな抽出のパラダイムを策定した。このシステムでは、単一のデータドリブンのパスをコーパスの上に作り、人間によるインプットを必要とせずに、大量の関連する一連のタプルを抽出する。訓練データを使って、セルフスーパーバイズド・ラーナーは、パーサーと経験則を用いて、基準を判断する。この基準は、コーパスから抽出された候補のタプルの信頼性を評価するため、抽出識別子(あるいはその他のランキングモデル)によって用いられる。この時、経験則がコーパスに対して適用される。

識別子は、信頼できる可能性が十分に高いタプルを維持する。また、冗長ベースの評価システムが、維持するタプルに対して、当該のタプルが、タプルを構成する複数のオブジェクトの間の関係である可能性を示唆する確率を割り当てる。維持されたプルは、情報に対して問い合せを行うことが可能な抽出グラフを形成する。

ここでは、特許を詳しく分析するのではなく、この公開情報抽出システムの仕組みを深く理解することが可能なリソースを幾つか提供する。

一つ目のリソースは動画である:

ウェブスケールでの公開情報抽出
(長い動画だが、視聴する価値はある)

以下の文書およびページにも詳細な情報が掲載されている:

  • 公開情報抽出
  • 公開情報抽出: 第二世代(PDF)著: オーレン・エチオーニ、アンソニー・フェーサー、ジャラナ・クリステンセン、スティーブン・ソダーランド、マウサム・オリー
  • 公開情報抽出ソフトウェア
  • 情報抽出に対する公開情報学習(PDF)著: マウサム・オリー、マイケル・シュミッツ、ロバート・バート、スティーブン・ソダーランド、オーレン・エチオーニ

教訓

Waviiは、グーグルが買収する前に提供していたニュースアグリゲータアプリをグーグルにもたらすわけではない。グーグルの検索エンジンに導入される公開情報抽出のアプローチは、ウェブ上のテキストを読むことを目的としており、所定のテンプレートや管理を必要としない。

抽出のアプローチは、名詞、そして、名詞と名詞の関係を作り出す動詞を用いて、名詞の関係を特定し、関係の質を評価する。そして、「識別子」がそれぞれの関係の信頼性を識別し、信頼できる関係のみを維持する。

関係内の用語(“タプル”と考えられる)は、逆索引に保存され、クエリに対して用いられる。以下に、ウェブのクロール中に特定された、このインデックスの一部となる可能性がある関係の例を挙げていく:

( , acquired, ) ( , graduated from, ) ( , is author of, ) ( , is based in, ) ( , studied, ) (

, studied at, ) ( , was developed by, ) ( , was formed in, ) ( , was founded by, ) ( , worked with, )

この限られた量のデータを用いた公開情報抽出の一例が、Revminerであり、シアトルのレストランに関する情報を検索するために用いることが出来る。

A snapshot of the search on the revminer site, with a search for margaritas.

Waviiと共にグーグルが買収したシステムが、コンテキストに基づき推測されるクエリを用いて、グーグルのナレッジベースとグーグルナウを改善するポテンシャルは高い。公開情報抽出は、未完成だが、未来の検索において重要な役割を果たす可能性があるのではないだろうか。


この記事は、SEO by the Seaに掲載された「With Wavii, Did Google Acquire the Future of Web Search?」を翻訳した内容です。

内容は分かるような分からないような感じでしたが 汗、ともかくアプリではなく特許まで持っていた独自の検索技術を買った、ということは理解できました。それに30億円の価値があるかどうかは正直よく分かりませんが。。。こうした買収の積み重ねでGoogle検索が進化していくのであればユーザーにとってはまた喜ばしいことなのでしょう。 — SEO Japan [G+]

Googleがウェブサイトを品質評価でランク付けする仕組み

今週は出張中につき記事少な目になっています。さて久々の記事は、Googleがウェブサイトを評価する際、どのような品質基準を元に行っているのか、というトリックに頼らないSEOを中長期的に実践していくには知っておきたい知識をSEO by the SeaがまとめてくれたSEO担当者なら見逃せない記事を。 — SEO Japan

今週、グーグルに新たに特許が付与された。この特許は、ウェブサイトの一連のサンプルに対する人間による評価、そして、当該のサイトからのウェブサイトのシグナルを基に、ウェブサイトに対して、品質の評価が与えられる仕組みを描写している。

当該の特許は、このアプローチには次のようなメリットが存在すると指摘している:

  • 検索エンジンに対する満足度を高める
  • 質の評価が一定の基準よりも高いサイトを返す
  • 品質を基に検索結果に表示されるサイトのランク付けを行う
  • ユーザーが先にサイトを閲覧することなく、質の高いサイトを特定することが出来る

この特許の申請は2008年に行われた。質のシグナルの利用に関しては、パンダアップデートにおいてグーグルが実施した取り組みに類似する。ウェブスパムのペナルティと言うよりも、検索の品質の“改善”を意識したアップデートであった。

この特許は、請求および記述のセクションで、適応されるサイトのタイプとしてブログを挙げている。ブログ検索のランキングシグナルについての討論が行われたSMX セッションを参考にすると、発明者の一人、クリストファー C. ペノック氏は、グーグルブログ検索のシニアソフトウェアエンジニアであったようだ。

このアプローチでは、サイトのページ(全てのページ)の質を人間のユーザーの評価者に評価させ、1-5のスコアを与え(5が最高)、そして、サイト全体のスコアを集める手法が採用されている。そして、この評価は、次のようなウェブサイトの要素によって加算される:

  • サイトの主張や情報のオリジナリティ
  • オリジナルのコンテンツとコピーしたコンテンツの量
  • ウェブページ上のグラマーおよびスペリングの精度
  • 不愉快なコンテンツや不適切なコンテンツが提示されているか
  • ウェブサイトに空白、または、不完全なページが存在するか
  • サイトの品質に影響を与えるその他の要素

上述したシグナルは、2011年5月に投稿されたグーグルのウェブマスターセントラルブログの記事、「良質なサイトを作るためのアドバイス」で挙げられていたシグナルによく似ている。この記事は、「グーグルが質の高いサイトを探し仕組み」を – グーグルのスタッフが“サイトの品質を評価するアルゴリズムを作成する”際に問いかけるであろう23の疑問を提示することで説明している。

この特許は、グーグルのパンダアップデートのからくりを解説しているわけではないが、コンセプト自体は似ている。グーグルはブログの記事で次のように指摘している:

もちろん、Google が実際にアルゴリズムで使用しているランキング シグナルは公開できません。検索結果が操作されるような事態を防ぐためです。代わりに以下の項目をご覧頂くことで、Google がこの件をどうとらえているのか、ご理解頂けるのではないかと思います。

この特許(そして、その他の数多くの特許)において、グーグルの視点で、質の高いサイトを検索結果に表示する問題を見てもらう上で、これが最高のアプローチだと言えるだろう。それでは当該の特許を紹介する:

ウェブサイトの品質シグナルの生成
発明: クリストファー C. ペノック、ジェレミー・ハイルトン、コリーナ・コルテス
付与先: グーグル
米国特許番号: 8,442,984
付与日: 2013年5月14日
申請日: 2008年3月31日

概要

ウェブサイトの品質の評価を明らかにするシステムとメソッド。ウェブサイトの評価が行われ、評価およびウェブサイトのシグナルの関係が特定され、モデルが作られ、モデルを未評価のウェブサイトのウェブサイトのシグナルに適応することで、モデル化された評価が未評価のウェブサイトに割り当てられる。

その他の人間の評価者によるアクション

人間の評価者は、ページを確認する際、1-5のスコアを与える以外のアクションも行う。

サイト上のURLが、スパムやポルノ等の好ましくないコンテンツを提示する、あるいは、ページが読み込まれない場合、サイトをスキップするアクションもその一つである。このようなサイトは「無効」と評価される。評価者により「無効」と分類されると、一部のサイトが評価プロセスから除外される可能性がある。個人的に好ましくないページをネガティブにランク付けする、評価者のバイアスが存在するためだ。

また、評価者はウェブサイトに対するビューイングアピールを選択する。

ブロードアピール – 国内または国際のニュースの出来事に関連するウェブサイト等、幅広い層のオーディエンスをターゲットにするサイト。

ニッチアピール – 電磁力をテーマとしたサイト等、限られた範囲のオーディエンスにアピールするサイト。

ビューイングアピールは、検索のリクエストに対して提示するサイトのランク付け、または、除外の要素として用いられる可能性がある(この特許は、“ビューイングアピール”がポジティブまたはネガティブなランキングシグナルかどうかは明言していない)。

品質スコアをブログに適用する

この特許の請求項には、対象となるサイトのタイプとしてブログを挙げているが、複数の項目を除けば、あらゆるタイプのウェブサイトに適用される。

品質のシグナルがブログ以外のサイトに提供される仕組みを説明する、よく似た特許がグーグルによって申請されている可能性はある。

グーグルは、クリック率、ブログの購読率、そして、ページランクのスコアをブログに関連づけられるウェブサイトのシグナルとして具体的に挙げている。

クリック率 - ここでは2つのクリック率が用いられる – サイトのURLが、一般的なSERPに表示された際にクリックされた頻度、もう一つは、サイトのURLがブログ検索でクリックされた回数である。この点について、特許は次のように説明している:

クリック率は、ブログの人気指数であり、品質指数となるポテンシャルを持つ。

クリック数そのものではなく、クリック率は、検索結果に表示された回数に対して、ページが獲得したクリックの回数の比率と規定されている可能性がある。 この比率は、ページの結果内のポジションに応じて変動すると見られる。結果ページの上位は、下位よりもクリックされる回数が多いためだ。

ブログの購読率 – 面白いことに、グーグルリーダーが、情報源の一つとして挙げられている。ただし、その他のソースからもこのような情報を得る可能性があると指摘している。この情報の重要性については、次のように説明している:

ブログの購読率は、読者数の基準であり、ブログの品質を示す。読者数が多ければ多いほど、ブログの質が高いと言える。

ページランクのスコア – ブログに対してページンランクのスコアが用いられる可能性があり、これはウェブ上のその他のタイプのページをランク付けする際の品質の評価とほぼ同じ役割を持つと思われる。

教訓

この特許は、人間の評価およびウェブサイトのシグナルが、検索結果でページをランク付けする際の判断材料となる、品質の評価に対するモデルを作るために利用される可能性があると指摘している。この際、機械学習アプローチを用いて、実際に評価されたページのサンプルを基にページに対する評価の作成が行われるようだ。

また、ページが再び評価される、または、再び分類される点を指摘していたセクションは、特に興味深いと私は感じた。

定期的にページの再評価が行われるようだ。パンダアップデートにおいて、実際にこの取り組みが行われているように思える。

さらに、ページやサイトの再評価が、ウェブサイトのシグナルの所定の変更によって行われると言う、別のアプローチにはさらに興味をそそられた:

例えば、ウェブサイトに与えられたページランクのスコアが、所定の率(10%等)と差がある場合、ウェブサイトのシグナルとウェブサイトの品質の評価の関係を示すモデルをアップデートすると推測される。

パンダアップデートでは、グーグルは、データが“更新”される際に、警告を送っていた。これは、影響を受けたサイトは、定期的なアップデートによって再び分類の対象になることを意味していた。また、3月には、グーグルは、パンダップデートが継続的に行われると明言していた。

パンダは、この特許で描かれている、ページに対する品質の評価を特定するためのプロセスと同じようなプロセスで動いているのだろうか?グーグルは、ページランクのような品質シグナルにおける特定の改善のレベルによってパンダを発動し、サイトに対してアップデートを行う可能性はあるのだろうか?

この推測が正しいと仮定すると、パンダ等のアップデートによりネガティブな影響を受けたサイトは、品質の評価の改善を目指して再び評価を行ってもらうには、ページランク等の品質のシグナルが、特定の基準を超えるようにサイトを改善しなければいけないことになる。 


この記事は、SEO by the Seaに掲載された「How Google May Rank Web Sites Based on Quality Ratings」を翻訳した内容です。

前半の品質という点については、特許申請自体は2008年ですし、今日のSEOにおいては(昔から?)ある種理解すべき当然のルールと認識されているような内容ですが、こうやって特許として書かれると改めて重要度を認識しますね。後半はその品質チェックのプロセスについて説明されていましたが、記事にもあるようにパンダアップデートのような定期的に更新が行われるアルゴリズムをサイト評価に的確に適用していこうというGoogleの意識が感じられる内容でした。しかし品質シグナルをある程度改善しなければ発動されないということは、何かしらのペナルティを受けた場合は「ある程度」改善しないと適応されないということでもあるのでしょうか。。。「ある程度」の基準がまた難しいわけですが。

グーグルリーダーと関連したような技術も出てきましたが、当初の目論みは結局フル活用しないまま、グーグルリーダーは終わりを迎えるようですね。。。とはいえ、グーグル+等で同種のデータは取っていけると思いますが。常に進化し続けるGoogle、サイトも負けずに進化していきたいものです。 — SEO Japan [G+]

Googleタグマネージャを用いたイベントトラッキングやeコマーストラッキングの設定方法

Google タグマネージャは複数の煩雑なタグ管理を容易に行うためのツールです。使い慣れないとなかなか便利さを実感しにくいツールではありますが、慣れてしまえば色々な場面で利用できます。特に専任の技術担当がいない商用サイトにおいては、非常に有用なツールだと思います。

基本的なツールの使い方については、Googleタグマネージャ 初期設定の手順、使い方まとめで紹介しておりますので、そちらをご覧下さい。本記事では、データレイヤー変数を使用したタグマネージャのより応用的な使い方をご紹介いたします。

今回紹介するのは、次の2つの例です。

  1. タグマネージャを使用してGoogleアナリティクスのeコマーストラッキングを設定する方法
  2. カスタムHTMLタグを使い、リファラによる検索順位の取得を行う方法

特に後者のイベントタグを使用した例では、運用中のWebサイト自体には何ら手を加えず新しい機能を導入しています。

サイトの制作を制作会社に外注している場合など、通常はタグの設置を制作会社に依頼する必要があると思います。タグマネージャを利用すれば運用側でタグを自由に追加できるため、このような煩雑なやり取りも不要になります。

こうした点でも、タグマネージャの便利さを実感できるのではないでしょうか。

それでは、具体的な利用方法を見てみましょう。

タグマネージャを使用してGoogleアナリティクスのeコマーストラッキングを設定する方法

Googleアナリティクスのeコマーストラッキング機能は、受注時の受注した商品や売り上げの情報を集計して、アナリティクス上で分析することのできる機能です。

今回は、Googleタグマネージャを使用して、eコマーストラッキング機能を設定してみます。タグマネージャのタグがWebサイトの各ページに挿入されていることを前提としますので、タグマネージャの導入がまだの場合は、こちらの記事をご覧下さい。

必要な作業は次の3つです。

コンバージョンページに購入情報を含むJavaScriptを設置する

それぞれの顧客が購入した商品の情報は、ECサイトのシステム上で管理されているはずです。この購入した商品の情報をGoogleアナリティクスで集計・分析するには、購入情報をGoogleアナリティクスへデータを渡す必要があります。

タグマネージャを利用しない通常の場合、アナリティクスの_gaqオブジェクトを利用するのが一般的です。_addTrans, _addItem, _trackTrans の3つのメソッドで、受注した情報を送信します。

一方タグマネージャを使用する場合、一般的な方法では_gaqオブジェクトを使用することができません。サンクスページで決済時の購入商品情報をデータレイヤー変数として渡す必要があります。

データレイヤー変数については、末尾に簡単な解説を設けましたので興味のある方はご覧ください。ここでは設置方法のみを紹介しておきます。

以下2つのタグの設置が必要です。

1. タグマネージャタグより前に、以下のタグを挿入します。

このタグをタグマネージャタグより前に設置することで、タグマネージャからデータレイヤー変数を参照することが可能になります。

<script>
  // dataLayer(TagManagerとのデータ交換用)
  dataLayer = [];
</script>

2. 以下のような購入情報を含むタグを設置します。

<script type=”text/javascript”>
//<![EDATA[
  // 受注番号
  var transactionId = "0001";
  var cartProducts = [];
  // — 購入商品 —
  cartProducts.push({
    ”id”: transactionId, // 受注ID
    ”sku”: “product00000001″, // 商品番号
    ”name”: “サンプル商品”, // 商品名
    ”category”: “サンプルカテゴリ”, // 商品カテゴリ
    ”price”: “10000″, // 単価
    ”quantity”: “2′”// 数量
  });
  // — / 購入商品 —-
  // TagManagerへデータを転送
  dataLayer.push({
    ”transactionId”: transactionId,
    ”transactionTotal”: “20000″, // 合計
    ”transactionTax”: “0″, // 税金
    ”transactionShipping”: “0″, // 送料
    ”transactionProducts”: cartProducts, // 商品情報
    ”event”: “trackTrans” // イベント名
  });
//]]>
</script>

こちらはサンプルなので固定値を入力していますが、商品名や金額などの値を含む箇所は、購入した商品の情報に合わせて動的に出力できるようにします。

パッケージやオープンソースのECシステムを利用して構築した場合、購入した商品の情報は、完了ページで参照できるようになっているはずです。システムの構築を外部に委託している場合、この作業はシステム制作業者に依頼するとよいでしょう。

データレイヤー変数の名前は、公式ドキュメントに推奨されるデータレイヤー変数名が例示されているので、この命名規則に合わせて設定します。個々の値の意味について詳しく知りたい場合は、Google アナリティクスの公式ドキュメントを参照してください。

Google アナリティクスのeコマース設定を有効にする

アナリティクスでeコマースの設定を有効にしていなければ、eコマーストラッキング機能が使用できないので設定しておきましょう。すでにeコマース機能を利用している場合は不要なので、読み飛ばしてください。

アナリティクスにログイン後、ページ右上のアナリティクス設定に移動し、プロパティを選択します。次いでプロファイルを選択して移動、タブの中からプロファイル設定をクリックします。「eコマースの設定」という欄がありますので、ここで「はい、eコマースサイトです」を選択して「適用」をクリックします。

アナリティクス eコマースの設定

アナリティクス側の設定はこれで完了です。

Google タグマネージャ上でeコマーストラッキング用のタグを作成し、サンクスページに配信する

今度はタグマネージャ側での設定です。

ここではタグの登録と(配信)ルールの設定を行い、バージョンを作成します。このバージョンを公開することで、実際にWebサイトへタグを配信することができます。

タグマネージャでは、Google アナリティクスのトラッキングコードなど予め用意されたタグ以外、サードパーティ製のトラッキングコードや、オリジナルのタグなどもタグマネージャ上から配信できます。ただしGoogle アナリティクスのトラッキングコードに関しては、既にタグマネージャ上で用意されているため、わざわざカスタムHTMLタグを使用する必要も特にありません。

今回も、タグマネージャ上に用意されているGoogle アナリティクスのタグを使用します。

ログイン後、タグマネージャタグに一致するコンテナを選択して、コンテナのサマリーを開きます。eコマーストラッキング用のタグを作成する必要があるので、「新しいタグの作成」をクリックします。

タグ名を適当に入力し、タグの種類は「Google アナリティクス」を選択します。Google アナリティクスのウェブプロパティIDを入力します。アナリティクスのウェブプロパティID は、トラッキングタグを複数導入する場合など、何度か必要なので、定数文字列のマクロ変数として登録しておくと後々便利です。

eコマーストラッキングを行う場合、「トラッキング タイプ」は「トランザクション」を選択します。

配信のルールについてはサンクスページに挿入したタグで、’event’ : ‘trackTrans’ というイベント名を設定しましたので、ルールは「{{event}} 含む trackTrans」としておきましょう。

「trackTransイベント」ルールの追加

eコマースタグの追加

ここまで入力して、タグを保存します。次にバージョンを作成します。実際のWebサイトで公開する前に、まずはデバッグモードにして、タグが正しく配信されるかどうか見てみましょう。

eコマースタグのプレビュー

図のように、配信:イベント「trackTrans」となっていれば正しく配信されています。正しく配信されていることを確認したら、バージョンを公開しましょう。

トラッキングデータを確認する

実際に正しく測定できているかは、Google アナリティクスのレポートを確認してみましょう。受注データが集計されていれば成功です。お疲れさまでした。

なお、eコマーストラッキングによるデータの反映は、少々タイムラグがあるので気長に待ってみましょう。

カスタムHTMLタグを使い、リファラによる検索順位の取得を行う方法

次は、例として海外SEO情報ブログで紹介されているリファラを使った検索順位の取得を、Googleタグマネージャ上のタグ発行のみで設置してみたいと思います。

必要な作業は次の2つです。

カスタム HTML タグで、Googleからのランディング時のリファラ解析用のタグを配信する

参照元記事では _gaq オブジェクトを使用してタグマネージャのランディングを計測していますが、今回はタグマネージャを使用しますので、リファラ解析用タグをそのまま用いることはできません。先のeコマーストラッキングの例と同じく、データレイヤー変数を用いてイベントを発生させることになります。

Google タグマネージャにログインし、コンテナを選択します。ドラフトコンテナを選び、新しいタグの作成をクリックします。「タグの種類」は「カスタム HTML タグ」を選択します。次いで以下のコードを貼り付けましょう。

<script type=”text/javascript”>
//<![EDATA[
  var myString, r, rank, kw, keyWord, p;
  if (document.referrer.match(/google.(com|co.jp)/gi) && document.referrer.match(/cd/gi)) {
    myString = document.referrer;
    r = myString.match(/cd=(.*?)&/);
    rank = parseInt(r[1]);
    kw = myString.match(/q=(.*?)&/);
    if (kw[1].length > 0) {
      keyWord = decodeURI(kw[1]);
    } else {
      keyWord = “(not provided)”;
    }
    p = document.location.pathname;
    dataLayer.push({
      ”event” : “trackEvent”,
      ”eventCategory” : “RankTracker”,
      ”eventAction” : keyWord,
      ”eventLabel” : p,
      ”eventValue” : rank
    });
  }
//]]>
</script>

タグを配信するルールは特に気にならない限り、すべてのページで問題ありません。以上が設定できたら、タグを保存します。順位計測用のタグはこれでOKです。

イベントトラッキング用のアナリティクスタグを発行してイベントを計測する

先ほどのタグで抽出した順位の情報を、Google アナリティクスのイベントとして計測させるために必要な作業です。

新しいタグを作成し、「タグの種類」として アナリティクスを選択します。「トラッキング タイプ」は「イベント」を選択します。

先ほどのdataLayer.push内の設定値に対応するよう、マクロでデータレイヤー変数を設定していきましょう。このとき、マクロ名は自由に決めて構いませんが、データレイヤー変数はdataLayer.pushで送信した名前に合わせて入力しましょう。(逆に変更すると紛らわしくなる可能性もあるので、よくわからなければとりあえず同じ名前を使用しておくのがよいでしょう。)

新しいマクロの作成

配信ルールも dataLayer.push() で送信したオブジェクトの名前に合わせる必要があります。ここでは “event” : “trackEvent” というイベント名を設定しているので、これに合わせて {{event}} 等しい trackEvent としておくとよいでしょう。

「trackEvent」ルールの追加

最終的には、以下のようになります。

順位トラッキング集計用タグの追加

この配信ルールを有効にしたら「保存」 をクリックします。

動作確認

後は先ほどと同様に、バージョンを作成し、プレビューモードで確認してみましょう。

Googleから適当なキーワードを入力して検索結果に表示させ、流入してみたときに、カスタム HTML タグとアナリティクスタグが配信されていればうまくいっています。

Chromeの場合はリファラの関係上、このトラッキング自体が有効にならないようなので、配信されていることを確認したい場合、IEやFirefox、Operaなどを使って確認するとよいでしょう。

問題なければバージョンを公開すると、検索順位が取得できるようになります。

ここまでの流れで分かるように、今回の追加は、Webサイト内のHTMLを直接書き換えることは一切していません。それでいてWebサイト全体にタグを配信できるのですから、少しはタグマネージャが便利であると感じていただけるのではないでしょうか?

その他、Googleタグマネージャの挙動について補足

タグマネージャにはいくつか分かりづらい点がありますので、この場を借りて補足をしたいと思います。少々技術的な話になりますので、分からなければ読み飛ばしていただいて全く問題ありません。

データレイヤー変数について

通常、タグマネージャ上のタグは名前空間が分離されているため、ドキュメント内のスクリプトの変数にアクセスすることはできません。これを解消する方法として、タグマネージャ側から参照できるグローバル変数がデータレイヤー変数です。データレイヤー変数を使用することで、名前空間を無駄に汚さずデータのやり取りを可能にしてくれます。

データレイヤー変数は、タグマネージャ側ではマクロを利用して内容を参照します。マクロは事前に登録しておき、 {{(マクロ名)}} の形で、タグマネージャ内に挿入するスクリプトや変数フィールドに挿入します。

タグマネージャで配信するスクリプト内にマクロを挿入しておくと、dataLayer.pushで挿入した内容を参照できるようになります。

なおデータレイヤー変数名は標準でdataLayerという名前ですが、名前を変更することも可能です。ただし、サイト内で同名の変数を使用しているなどの場合を除き、通常変更する必要はないでしょう。

タグマネージャの “配信” とは

タグマネージャからロードされるスクリプトを見てみると分かりますが、1つのアカウントで配信されるタグはルールによらずすべて同一のタグが配信されています。

設定したルール自体がJavaScriptのコードになっており、タグマネージャの配信条件に合わせてスクリプトの実行をコントロールしていることが分かります。タグマネージャからロードされるJavaScriptを見ると、配信ルールの名前なども含まれているのが分かります。

1度タグマネージャのスクリプトをロードしてしまえば、その後はキャッシュされたスクリプトを利用でき、読み込み時間を短縮できます。

なお、タグマネージャに挿入したスクリプトは、自動的にMinifierで圧縮されるので、挿入タグの大きさ次第でWebページに直接タグを挿入するよりも転送速度の向上が期待できます。特に多くのタグを使用する場合や、タグ自体が長い場合は有効だと思います。

まとめ

今回の記事では、タグマネージャの少しだけ応用的な使い方を2つほど紹介しました。この他にも、例えばjQueryのプラグインをタグマネージャで配信し、サイトのメンテナンス情報をWebサイトに表示させるといった応用も可能です。

まだまだ日本ではタグ マネージャに関する情報が少なく、利用しがたいところもありますが、使いこなせるようになると色々な応用が効くツールですので、ぜひ積極的に使ってみることをオススメします。

ヴォラーレ株式会社 若松

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どこからスパムになるか


今回のテーマであるが、

どこからがスパムになるか

である。
SEO初心者からよく質問されることである。
その逆にSEOをやり過ぎてわけがわからなくなってしまったり、ペナルティを受けるという経験をした人からも同じような質問を受ける。

  • ページ内のキーワード比率がどれくらいになったらスパムになるか?
  • アンカー内のキーワードはどれだけバラエティを必要とするのか?
  • ページの類似度がどれくらいだと複製ページとみなされてしまうのか?
  • 文字数が何文字以上ないと評価されないのか?

といった質問だ。とてもよくありがちであり、答えもとても簡単だ。

「明確な基準はない」

というだけである。

しかし、こう考えればいい。

「検索エンジンがなかったとしても、そんな作り方をしたか?」
「人間が見たときに不自然ではないか?」

二つの観点で考えれば非常にわかりやすい。
この観点はスパムを判別する場合に役に立つ。

この観点から考えると、上記の4つの質問には明確な答えがないことがわかると思う。
だから、明確な基準がないのである。

さて、ではGoogleはスパムをどうやって判定しているのだろう?

キーワード比率がもしスパムの要因だとするならば、どうやってGoogleは比率を元に、

「このページはスパム」
「このページはスパムではない」

と決めているのか?

我々には正確なところを知ることはできないが、スパムメールの判別に近い原理だと考えられる。
実際にスパムメールの判別で使われている技術は使われているはずだ。

スパムメールを判別する最も原始的な方法は、キーワードによるものだ。
私も昔はこんな方法で会社の公開アドレスに来るメールを自動的にゴミ箱に捨てていた。

例えば、

「Viagra」
「出会い」
「人妻」

こんなキーワードがあるメールは、無条件でゴミ箱行きといった受信ルールを設定することである。
ところが、この方法には2つの問題がある。

  1. 設定キーワードが含まれないスパムメールは抜けてしまう
  2. 設定キーワードが含まれている普通のメールがゴミ箱に行ってしまう

特に後者は問題が大きい。
重要なメールを見落としてしまう可能性があるからだ。

「恩師との出会い」

といった文章があった場合、これもゴミ箱行きとなってしまう。

だからこんな単純な原理ではスパム除去は実現できない。

キーワード比率が何パーセントを超えたらスパムになる。
という考え方は、上記のスパムメールの判別とまるで同じである。
この原理ではあまりに雑で、使い物にならない。

検索キーワードの比率が5%を超えたらスパム確定などという都市伝説もあったが、そんな簡単な原理であるわけがないのだ。

メールの例で考えてみよう。
メールのスパム判別は「ベイズ推定」という手法で行われている。

どういうことかというと、こんな感じである。

全国民から10人がランダムで選ばれて、100メートル走でどの人が勝ちそうか?を予想するといった場合。

  • 年齢
  • 性別
  • 身長
  • 体重
  • 過去に経験したスポーツ
  • 視力
    中略
  • 最終学歴
  • 趣味
  • 好きなファッションブランド
  • 右利き・左利き
  • 出身地

数百に及ぶ情報があらかじめ与えられているとする。
人間が予想する場合は、

20歳の人は80歳の人より
60Kgの人は100kgの人より
陸上経験者はスポーツ経験なしより

それぞれ早いだろう。
といった予想をすることで、当てずっぽうよりははるかに高い確率で当てることができる。

情報の中には、上記の3つのような役立つ情報もあれば、ほとんど役に立たない情報も含まれている。

さて、人間はある程度予想を立てることができるが、コンピューターは全く何が有利なのかを最初は知らない。

しかし、何回もレースを繰り返して行くと、だんだんどの要因が勝率に影響するのか、判別できるようになってくる。
何万回、何十万回と繰り返すと、かなりの確率で当てることができるようになるだろう。

例えば(実際のデータではない)平均と比べてみて

過去のスポーツで陸上経験者は30%有利
年齢は17歳が最も高く、16歳はそれより1%・68歳は85%不利とか
出身地は福井県が3%有利
好きなファッションブランドではアディダスが5%有利
・・・

といったような膨大な統計結果が得られる。
データが積み重なると様々なデータを総合して、かなり高い精度で予想ができるようになる。

これがベイズ推定の大まかな原理である。
検索エンジンも同じ原理での推定をしているであろう。

文章の中のキーワードの比率だけではない。

その全体の中に出現する他のキーワードの出現頻度とか、キーワード間の距離とか、タイトルとか、被リンクページ内のキーワード出現比率とか、アンカーのキーワードとか、文章内での出現位置とか、文字の装飾の有無・種類とか、単語数とか、リンク先のコンテンツの他のページとの重複度とか、・・・

ありとあらゆる分析可能なデータを取得し、総合的にスパムとはどのようなものなのか?
をベイズ推定(などといったほうがよいだろう)を使って推測していると考えられる。

だから、何々がどれくらいだったらスパムになるのか。なんて単純なものではない。

どこからがスパムになるのか?

という質問は愚問で、考えても仕方がないとしか言いようがないのだ。


ベイズ推定はサンプルを多くすれば、高い精度を得ることができる。
Googleはほぼ無限とも言えるほどの文書のサンプルを持ち、分析結果を貯えている。

非常に高い精度でスパムを認識できているはずだ。

しかし、あくまで確率を高めることができるだけであって、この手法では完全にスパムを判別することができない。
メールのスパムフィルターは典型的にそうだが、

間違ってスパムではないと認識することは相対的には大きな問題ではない。
正常なメールをスパムだと認識してしまうことが大きな問題だ。

スパムフィルターはどの値からをスパムとするかの値を変えることができる。

Googleは高い確率でスパムを認識できているはずである。
しかし、誤って価値あるページをスパムと判定してしまうと、利便性の大きな低下、Webマスターからの不信感が大きくなる。
この値をあえて、安全圏のところで止めているのだと私は考えている。

Googleはその気になったらいつでもスパムを根絶やしにすることができる、と思っておいたほうがいいかもしれない。

Google+: モバイル サイトでのコンテンツおすすめ機能

サイト内の優れた記事を見つけやすいようにすると、ユーザーに喜ばれるだけでなく、サイトにより親しんでもらったり、より活発な利用をしてもらうことにつながります。Google では、適切なコンテンツを適切なタイミングでモバイル サイトからおすすめできるよう、Google+ と Google 検索の機能の統合を進めています。

たとえば Forbes のサイト訪問者は、作者情報 シグナルやさまざまな Google+ アクティビティ(+1 や共有など)に基づいて Forbes サイト内の他のおすすめ記事を簡単に見つけることができます。おすすめコンテンツの関連性を高めるため、おすすめコンテンツは訪問者がその時に閲覧しているページに基づいて決定されます。また、おすすめコンテンツの情報は、詳しく知りたいユーザーがタップした場合のみ画面下部に表示されるため、ブラウジングを妨げることはありません。仕組みは次のようになっています:




おすすめコンテンツはサイトの訪問者が Google にログインしているかどうかに関係なく表示できますが、Google にログインしている訪問者には、訪問者が設定しているサークル内の友人等が +1 したコンテンツや共有したコンテンツが表示されます。


これらのおすすめコンテンツの追加や設定を簡単に行うための方法も用意されています。モバイル サイトに JavaScript を 1 行追加するだけで、ウェブ エディタを使わずに、Google+ ページ ダッシュボードの [サイト向け] セクションで変更を加えることができます。


この最新の機能を試してみるには、お気に入りの iOS 搭載端末や Android 搭載端末で Forbes サイト内のいずれかの 記事ページ にアクセスしてみてください。この機能については、デベロッパー ドキュメント(https://developers.google.com/+/features/recommendations)でも詳しくご紹介しています。

Google では、Google+ のコンテンツおすすめ機能と Google+ ログイン機能についてより多くの方に使って頂くための改善を計画しており、先日開催した Google I/O では Google+ ログイン機能を利用している 50 社以上の企業の中からいくつかの事例について詳しくお話を伺うことができました。

「Google+ ログインは、当社の Android アプリで最も利用されているソーシャル ログイン機能です。ソーシャル ログイン経由のユーザーの 41% が Google+ ログイン経由です。」
- Tom Grinstead、Guardian News プロダクト マネージャー
「Google+ ログインの統合による最初の成果には大変満足しています。当社の分析では、ウェブ、Android、さらには iOS でも、Google からの膨大なログインがその他の一般的なソーシャル ネットワークを圧倒していることは明らかです。この成功により、他のログイン ソースを廃止して、この新しく成長著しいチャネルをさらに活用していくことを検討しています。」
- Haisoo Shin、Fancy エンジニアリング ディレクター

Googleペンギンアップデート2.0の負け組リスト

噂されていたGoogleのペンギンアップデートが更新されましたが、意外に大きな変動がなかったというのが日米通しての第一印象でしょうか。とはいえ、検索結果全体の2.3%に影響を与えたといわれる今回のアップデート、それなりに変動は来ているということで膨大な検索データからその傾向を追った記事を早速。 — SEO Japan

angry-penguin-200pxグーグルの4度目のペンギンアップデート – グーグル自身はペンギン 2.0と呼んでいる(日本語) – が昨夜発動された。1日も経過しないうちに検索のビジビリティに関して“負け組”の烙印を押されたサイトが明らかになってきた。

基本的に、ポルノサイト、ゲームサイト、そして、Dish.com、サルベーションアーミー、CheapOair、さらには、エデュケーション・テスティング・サービス(ETS – 子供の頃誰しも一度は受けたことがある一般的なテストを作る会社)等の大きなブランドがビジビリティを落としていた。

SEOソフトウェア会社のサーチメトリクスが、早速、最新のペンギンアップデートの影響を大きく受けたサイトのリストの第一弾を発表した。いつもと同じように、サーチメトリクスは「SEOビジビリティ」を基準として用いており、グーグルの検索結果で広範なキーワードに対して、ウェブページが表示される(または表示されない)度合いに注目している。

それでは、ペンギン 2.0の負け組のリストを以下に掲載する。このリストには、とりわけ大きな影響を受けた25のサイトが含まれている:

penguin-losers-searchmetrics

25のサイトのうち8つはポルノサイト、4つはゲーム関連のサイトが占めている。ゲームのサイトのうち3つはトップ10入りしている(リストの下の方に掲載されているポルノサイトと上の方に掲載されているサイトを併せると実際のインパクトが見えてくる)。

また、Dish.com、サルベーションアーミー、ETS、ChepOair等の有名なブランドも負け組に含まれていた。REEDS Jewelersは1946年創業の老舗宝石店であり、18の州に店舗を持つ。さらに、オンラインニュースサイトとして評価の高い、DailyDot.comもビジビリティを失ったようだ。

右端のカラムには、サーチメトリクスが記録するキーワードに対して、各サイトが失った「SEOのビジビリティ」が記されている。ただし、リストアップされたウェブサイトが大幅にトラフィックを失ったとは限らない。なぜなら、記録されていないキーワードで高いビジビリティを維持している可能性があるためだ。しかし、ここ2、3年の間に提供したペンギンアップデートとパンダアップデートに関するレポートを参考にすると、サーチメトリクス、そして、その他の複数のSEOソフト会社が発表したリストは、基本的に精度が高いと言えるだろう。

サーチメトリクスの設立者、マーカス・トバー氏はブログの中で、最新のペンギンアップデートは思っていたよりも規模が小さかったと指摘している。

私の予想は外れた。今回のペンギンアップデートはパンダ1のように大きなインパクトをもたらすと私は考えていたが、そうではなかった。初回の分析では、薄っぺらいリンク、そして、特に信頼されていないリンクを持つ貧弱なサイトが問題に直面しているように思える。また、SEOを重視していなかったため、一部の小規模なビジネスのサイトもペンギンの攻撃を受けたようだ。

また、同氏から送られてきたeメールによると、ペンギンの影響は、米国よりもドイツで遥かに大きく、また、ドイツでペンギンの攻撃を受けた一部のウェブサイトの詳細を別の記事(ドイツ語)で明らかにしているようだ。

(ライセンス契約の下、Shutterstock.comのストックイメージを利用)

この記事は、Search Engine Landに掲載された「Penguin 2.0 Losers: Porn Sites, Game Sites, & Big Brands Like Dish.com & The Salvation Army」を翻訳した内容です。

アダルトやゲーム関連のサイト、一部のブランドサイトが被害にあったようですが、一体どんなアルゴリズムが適用されたのですかね?最初のアップデートの時のようにジャンル問わず適応された傾向的なものがわかってこれば対応の仕方もあるというものですが、、、。記事の分析にもあるように、リンクの質が低いサイトが落ちた傾向はあるかも、ということですが、それであればもっと広範囲のジャンル、そして日本でももっと被害に遭ったサイトがあってもいいのですけどね。謎は深まるばかりの今回のアップデートですが、今後さらなる追加情報が出てくるのか、一時的な先行騒ぎで終わってしまうのか、しばらくは注目していきたいと思います。 — SEO Japan [G+]

SEOでEコマースの収益を2倍に増やした具体例

世の中はペンギン2.0(4?)で大騒ぎですが(でもないか)、今回は久々にSEOの効果的な導入事例に関する記事を。海外のEコマースの例ですが、日本でも、特に大型サイトを運営しているマーケッターにはほぼそのまま参考にできる内容だと思います。 — SEO Japan

2012年、私はノルウェーで最大規模のeコマースサイトのSEOを担当させてもらった。この投稿では、単純であり、簡単であるものの、型破りなアプローチを採用し、収益を2倍(ほぼ3倍)に増やすことに成功した経緯を紹介する。誰でも同じ取り組みを実施することが出来るはずだ。

この偉業達成では、相互的な関係にある2つのポイントが鍵となっていた:

  1. ユーザーの意図を解明し、ニーズを満たす
  2. 必要なことを全て実施する能力(と予算)

簡単だと思うかもしれないが、何層もの部門に明確に区切られている会社では、これが意外と思うようにうまくいかない。

パート 1: SEOのアクティビティを管理する

このサクセスストーリーの半分は、戦略および実装に関して私が採用したアプローチがもたらしたと言っても過言ではない。競争は激化し、また、ルールが変わり続ける中で、廃れないSEO戦略を策定することが出来るか否かが分かれ道となる。

A. 状況を厳格に評価する

ここ1年の間に、グーグルは大きな変更をアルゴリズムに加えた。マップと共にローカルビジネスの検索がSERPに導入された – モバイルデバイスを利用するユーザーが増え、GPSと場所のデータが結果に影響を与えるようになった。人物に対する検索結果が、フェイスブック、リンクトイン、そして、ツイッター等の有名なソーシャルネットワークサイトによって埋め尽くされるケースが増えた。しかし、このように新たな展開が行われ、その結果、競争がさらに激化しているにも関わらず、SEOの予算は昔と変わらない。

結果を残すため、私は発想を変える必要があった。クライアントのサイトは既に多くのトラフィックを獲得しているものの、ウェブ分析データを調べることなく、ビジターをカウントしたところで、たいした意味はない。そのため、トラフィックを増やすだけでは十分ではないと私は宣言した。適切なタイプのビジター – つまり製品を購入してくれるビジターを獲得する必要があったのだ。

そこで、一歩下がり、次の重大な問いに答えて、戦略を調整する作業を行った:

  • グーグルはどこに向かっているのか?
  • 今後の数ヶ月、または、数年間で、ウェブ検索はどのような状況になるのか?
  • 何が失敗、または、成功に導くのだろうか?/li>

B. 活用可能なトレンドを特定する

上の問いに答え – 利用可能なデータを徹底的に調査し、パターンを分析し、クライアントの現在のSEOの取り組みを調べた結果、幾つかの重要な結論が導かれた:

1. 関連性があるだけではもはや不十分

グーグルのユーザーは答えを求めている。検索結果に答えが見たらない場合、ユーザーは別の場所に向かう。グーグルは「最高のアンサーエンジン」になることを目指しているため、キーワードに“関連する”コンテンツを提供しているだけでは満足しない。検索エンジンのユーザーの問いに答えていない場合、上位のランキングを長く維持することは出来ない。

2. アイデンティティは重要

グーグルはユーザーのアイデンティティと興味を特定したがっている。また、誰がコンテンツを作成しているのか、そして、コンテンツのオーサー(作者)がどれだけ信頼に値し、どれだけ認められているかを理解しようと試みている。

3. その他大勢と一線を画して注目を浴びる

リッチスニペットおよびオーサーシップは、SERPに影響を与える。いずれ競争は激化し、このツールを利用する人達から注目を得ることは難しくなるだろう – 例えライバルよりも上位にランク付けされていてもだ。

4. オンラインはグローバルであり、ローカルではない

オンラインで購入可能な製品およびサービスは、ローカルの検索結果に表示される可能性は低い。従来のSEOキャンペーンは、今でも必要とされている。

5. パーソナルシグナルは重要

グーグルは、検索クエリに対する答えを提示する際に、ジオロケーションとGPSデータを考慮し、ロケーションに合わせて結果を調整する。ユーザーの声、そして、ソーシャル検索の重要性はさらに高まっている。

C. 戦略を策定する

上述したポイントに基づき、私は戦略を構築した。高度なSEOツールを投入し、複雑な評価を慌てて行うのではなく、「鮮度を失わない」(少なくとも1年間から2年間は利用可能な)戦略を策定することにした。

それでは上述したポイントの共通点は何だろうか?ウェブが変化すると廃れてしまう戦略を策定するには、何をすればいいのだろうか?

単純にウェブ検索を行うユーザーの意図を探し出し、この意図を基に戦略を構築すればいいのだ。

「ドリルを買う人達は機器を必要としているのではなく、を欲しがっている」と言うマーケティングの古い決まり文句がある。この明言をSEOに応用する方法を理解することが鍵になるだろう。

マット・カッツ氏は、ユーザーに焦点を絞るべきだと指摘している。ウェブマスターは、同氏の言葉を重く受け止めるべきである。人間の脳が考えるプロセスをモデル化するグーグルの試みによって、技術的なSEOおよび手っ取り早い調整から、ユーザーの意図を理解する取り組みへの方針転換が求められている。

D. ユーザーの意図を解明する

以前、人間の心理、SEO、そして、ビジネスの仕組みが交わるSEOノミクスを記事の中で取り上げたことがある。プロのSEOコンサルタントは、このアプローチを採用して、典型的な顧客の頭の中に侵入し、必要性および願望を理解し、その後、この情報をSEO戦略に織り込んで価値を与える。まずは、以下の質問に答えて、ユーザーの意図を解明する取り組みを始めてもらいたい:

  • 顧客は何を求めているのか?
  • 顧客はどのような困難に直面しているのか?
  • この困難によってどのような影響を受けているのか?
  • どのような解決策を求めているのか?
  • どれほど解決策を求めているのか?
  • 解決策を得るために幾ら支払うか?

分析データに以上の問いに対する答えが隠れている。ウェブ分析は、単なるトラフィックカウンターではない。隠れたニーズ、意図、そして、期待を解明し、顧客候補をウェブサイトに導く効果がある。キーワードから、ビジターがどのような問題に直面し、問題を解決するために何を求めているのかに関する情報を得られるのだ。検索エンジンのユーザーは、答え、あるいは、さらに詳しい情報を求めていることが多い。援助やレビューを求めていることもある。

また、ウェブ分析は、ウェブサイトに到達した後のビジターの行動を明らかにする。どのような行動を起こすのか、どのルートを辿るのか、どのコンテンツに関心を示すのか。優秀なSEOは、分析データを使って、何が売れるのか、ビジターは何を求めているのか、そして、サイトでどのような行動を取るのかを推測する。

分析データから得られるこのような情報によって、消費者の意図を判断する材料を手に入れることが出来る。この判断材料は、素晴らしいオンサイトのユーザーエクスペリエンスを提供するための指針としての役割を持つ。さらに、ユーザーが持つ問題を解決し、製品またはサービスを購入してもらうよに説得する上でも役に立つ。理想的な顧客候補の考えを理解することが出来たなら、行動を起こす準備は整ったと言えるだろう。

E. 考えて、行動して、計測して、また、行動する

大きな、時間のかかるプロセスではなく、小さな、焦点を絞った、反復的なプロセスを構築するべきである。加えた変更が効果的だった場合、変化をさらに大きな規模で実施する。思ったほど効果が高くなかった場合、規模を縮小 – またはその取り組みを中止する。この方針は、革新的でもなければ、刺激的でもないが、2012年のSEOにおいて成功する大きな要素の一つであった。この戦略を採用したことで得られた見解を挙げていく:

  • オンラインでは次々に変化が起きている。速やかに変化に適応しなければならない。戦略は重要だが、戦略の焦点、そして、変化に速やかに対応する自由が確保されていると、eコマースサイトでの展開をスピードアップすることが可能になる。
  • 行動を起こす前に、適切な取り組みを行っているのかどうかを確かめるべきである。時間を割いて、一歩下がり、評価する行為は、自信の無さを反映しているわけではない。むしろ、強さの証明である。
  • 計測不可能な取り組みに資金を投じるべきではない。重要な要素は計測することが出来る。全てを計測しよう – ただし、見直す対象のリストには、行動に移すことが可能なデータのみ記録するべきである。
  • 戦略および収益の目標に焦点を絞る。「あったら良い」程度のアイテムを削除するべきである – 気を散らす、または、混乱させる可能性があるためだ。

Generic search

結果: 検索トラフィック全体が113.29%増加した

パート 2: クライアントの管理

小規模な会社がクライアントである場合、このプロセスは比較的シンプルであり、容易である。しかし、クライアントの事業の規模が拡大するにつれ、問題の規模も大きくなっていく。コミュニケーションを取り、SEOを分かってもらい、戦略を承認してもらい、仕事をやり遂げるまでに放っておいてもらいたい点を納得させる必要がある人は増えていく一方だ。

この取り組みを適切に実施しない限り、内部の小競り合いや駆け引き、数名の上司への報告、そして、予算の確保に多大な時間を費やすことになるだろう。当然ながら、このような状況に遭遇すると、SEO戦略を実装する取り組みに費やす時間が短くなり、低調なパフォーマンスに終わってしまう。

すると、全員に責任をなすりつけられてしまう。

以下に私がこの問題を回避した方法を紹介する。一連のアプローチに従ってもらいたい。

A. 信頼を勝ち取る

大規模な起業のマーケティングマネージャーにとって、SEOは単なるツールの一つに過ぎない。経営者やCEOに至っては、SEOコンサルタントとしての役割を認識していない可能性がある。適切なスタッフと話しをする地位を確保するのは難しい。

しかし、本来の価値を実証することが出来れば、状況を変えられるはずだ。

そのためには – シンプルで、分かりやすい説明に固執する必要がある。「グーグルはオンラインの収益のXX%に貢献している」と説明すれば、大きな効果が期待できる。オンラインの収益の50%をもたらしている点を指摘しなければ、経営陣にとってグーグルはどうでもいい存在である。

この点を理解してもらえば、SEO担当者に対する見方は変わってくる。存在が認められ、頼りにされる。これはSEOコンサルタントはインハウスのSEO担当者にとって、願ってもない状況である。

B. データをシンプルに説明する

取締役会議では、私はデータを分かりやすいプレゼン資料にまとめている。SEOをよく知らない人が投資に関する決定、そして、SEOのキャンペーンに関する決定を下しているなら、速やかに & 効果的に理解することが可能な簡素化した情報を当該のキーパーソンに提供しなければならない – 必要な予算を確保するためだ。

最も重要な収益面のデータを抽出し(SEOの用語やランキングのデートは不要)、1ページの文書として提示しよう。因みに私はデザイナーの力を借りて、eコマースのマネージャーがオフィスに掲示することが可能なインフォグラフィックを作成した。こうすることで全てのスタッフに理解してもらえた。一目瞭然だったのだ。

C. 正当化は逆効果

大半のクライアントは、根拠でも、主張でもなく、結論を求めている。

信頼を築き上げ – 今度は、信頼してもらえるように、クライアントを信頼しよう。信頼されていない場合、見通しは暗い。そのため、信頼を得られるまで努力を続けてもらいたい。クライアントのビジネスを成功に導くのではなく – クライアントを説得し、予算を死守することに時間を費やさなければならなくなる。

D. 協力する

「早く進む必要があるなら一人で行くべきだ。遠いくに進みたいなら、一緒に行くべきである」

SEOマニアになるのではなく、「事業発展」の考え方を採用するべきである。顧客との距離を縮められるように努力してもらいたい。様々なプロセスに従業員を関与させよう。会社にとって、SEOが重要である点を全スタッフに理解してもらうことが目標である。部門の統括者に対して、それぞれの売り上げにおいて結果を出し、成長をもたらす上で協力する意思があることを伝えておこう。

トラフィックではなく、収益として成果を報告するようになると、主張を理解してもらえる人が増えていった – 「1000万人のユニークビジター」は「200万ドルの収益」ほど重要ではない。何にもましてお金が物を言う世界である。

E. 取り組みを始める前に不明な点をハッキリさせる

理由を問うべきだ。何度も尋ねるべきである。理由を理解せずに行動を起こすべきではない。理由がハッキリしてから、最適な方法を考えるプロセスに移ろう。

ウェブ分析と会社の目標が一致している必要がある。適切なデータを計測しよう。行動に移すことが出来る点を立証するべきである。グーグルアナリティクス(あるいはその他の分析ツール)でダッシュボードを作成し、全てのスタッフと共有しよう。スクリーンを購入し、誰でも見ることが出来る場所に設置する手もある。

  • 現在、グーグルからどれだけの収益を得ているのか?
  • 目標に達しているか?

このスクリーンは、スタッフのモチベーションを高め、SEOの収益への影響を強調する。グーグルが収益の60%を占めているクライアントがあり、この点をビジュアルで明らかにする取り組みは、絶大な効果を発揮した。

Q1 2013 revenue

教訓

  1. キーワードリサーチ、そして、分析は共に重要だが、検索用語の裏にあるユーザーの意図を理解する必要がある。検索エンジンではなく、ユーザーのためにサイトを最適化しなければならない。
  2. SEOのツールボックス、そして、ツールの組み合わせは、今でも重要な役割を担っている。知る必要がある情報をたった1つのツールで全て得ることは不可能である。私はグーグルのキーワードツール、マーケットサムライ、サーチメトリクス、SEOmoz プロ、Mozcast、スクリーミングフロッグ SEO スパイダー、オープンサイトエクスプローラ、そして、マイクロソフトのエクセルを併用している。プロジェクト管理およびコラボレーションには、Jiraを利用している。
  3. クライアントに取り組みを簡単に説明することが出来るように、シンプルにデータをまとめるべきである。クライアントに戦略を支持してもらい、早い段階で信頼を勝ち取ることは、とりわけ大規模な企業と仕事をする際は、成功を左右する要因となる。
  4. 継続的な改善を心掛ける。エキスパートの声に耳を傾け、地道にプロセスに磨きをかけていこう。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「How to Double Your Revenue With SEO」を翻訳した内容です。

様々な分野を網羅した充実の内容でした。多少レベル高めな気もしますが、これ位のレベルで戦えないと収益2倍3倍は難しい?!これを読んで二の足を踏んでしまった方もできるところから始めていきましょう。 — SEO Japan [G+]

あなたがCEOとして成長するために必要なこと

テック業界No.1レベルの成功を収めているVC、アンドリーセン・ホロウィッツのベン・ホロウィッツが語るCEO論。最近では、Google VenturesとGoogle Glass関連製品向けファンドを作るなど改めて話題のVCが語るCEO/経営者の在り方とは。 — SEO Japan

She got a big booty so I call her Big Booty.
- 2 Chainz, Birthday Song

ある日、友人が私に、CEOは先天性なのか後天性なのかと尋ねてきた。私は、“それはJolly Rancher(キャンディ)が育てられたのか作られたのかと尋ねるようなものだよ。CEOはとても不自然な職業なんだ”と答えた。そう言った後に彼の驚いた顔を見て、それは私が思っていたほど当たり前のことではなかったのかもしれないと気が付いた。

しばらく考えた後、私は、大部分の人が実際には逆の仮定をしているということに気が付いた―CEOは後天性ではなく先天性であると。私は、他のベンチャーキャピタリストとボードメンバーが創設者を素早く評価し、“CEOとして資質のある人”ではないという結論を出すのをよく耳にする。私には、彼らがどのようにしてこれらのことをそんなにも早く把握するのか分からない。創設者がCEOのスキルを身に付けるには通常何年もかかるし、私にとっては、彼女がそれをやり遂げるかどうかを知るのは通常非常に難しいことなのだ。

運動競技においては、短距離走者は比較的素早く学習することが可能だ。なぜなら、それは自然の動きを用いて洗練するからだ。一方、ボクシングのようなことは、熟練するのにもっと多くの時間がかかる。なぜなら、それらは不自然な動きをたくさん必要とするからだ。例えば、ボクシングで後ろに進む時には、もしあなたが自然な方法で後ろに下がっている間に―前足を先に動かす―パンチを受けると、完全にノックアウトされる可能性があるため、後ろ足を先に動かすことが非常に重要だ。この不自然な動きを自然に感じるように学習することは、ものすごい量の練習を必要とする。もしあなたが最も自然に感じることをCEOとしてすれば、あなたもノックアウトされることになるかもしれない。

CEOであることは、たくさんの不自然な動きを要する。人類学的な立場からすると、人々に好かれるようなことをするのは自然である。それはあなたが生き残るチャンスを強化する。しかし、優れたCEOになるためには、また、長期的に愛されるためには、短期的には人々に嫌われることをたくさんしなければならないのだ。それは不自然なことである。

実際、最も基本的なCEOの基礎的要素でさえ、最初は不自然に感じるだろう。もしあなたの相棒があなたにおかしな話をすれば、彼女のパフォーマンスを評価するのはかなり変に感じることになるだろう。こんな風に言うのは全く不自然だ:“う~ん、私はその話は最悪だと思ったよ。可能性はあるが、話はつまらないし、あなたは完全にオチで失敗した。もう一度やり直して明日また私に見せるように。”そうすることは、かなり奇妙であるが、人々のパフォーマンスを評価し、継続してフィードバックを与えることは、まさにCEOがすべきことだ。もしCEOがそうしなければ、レビューを書いたり、販売区域を奪ったり、政治を動かしたり、給与を設定したり、人々を解雇したりというようなもっと複雑な動きが不可能になるか、下手くそに取り扱われることになる。

フィードバックを与えることは、マネージメントの不自然なスキルを築く不自然な原子の積み木なのだ。しかし、どうやってその不自然さをマスターするのだろうか?

The Shit Sandwich(シット・サンドイッチ)

フィードバック初心者のための時に効果的で人気のあるテクニックは、経験豊富なマネージャーたちがThe Shit Sandwich(シット・サンドイッチ)と呼んでいるものだ。このテクニックは、古典的なマネージメントの教科書The One Minute Manegerの中で見事に説明されている。基本的な考え方は、あなたが褒めることから始めて(1枚目のパン)、その後に難しいメッセージを与え(シットの部分)、あなたがどれくらい彼らの力を評価しているかに気付かせる(2枚目のパン)ことで締めくくれば、人々がはるかに多くそのフィードバックに心を開くというものだ。あなたは前もって自分が相手を高く評価していることをはっきりさせるので、シット・サンドイッチには、人物よりもその行動に対するフィードバックに焦点を合わせるというポジティブな副作用もある。これはフィードバックを与える際の重要なコンセプトだ。

シット・サンドイッチは準社員にもよく機能するが、以下のような課題がある:

  • 過度に型通りになる傾向がある。あなたは、正しい結果が得られるように事前に計画をしてそのサンドイッチの脚本を書かなければならないため、そのプロセスは従業員にとっては型にはまった一方的な判断のように感じることがある。
  • それを何度かすると、信ぴょう性を失う。従業員はこう考えるようになる:“なんだ、また彼女は私に文句を言っているよ。次に何が来るか分かっている、批判(シット)だな。”
  • より多くのシニアエグゼクティブがシット・サンドイッチにすぐに気が付くと、それは素早くネガティブな影響を及ぼす。

キャリアの始めの頃、私が、慎重に作り上げたシット・サンドイッチを上層部の社員に伝えることを試みたところ、彼女は私を小さな子供のように見てこう言った:“Ben、褒め言葉はいらないから、私が何を間違ったのかだけ教えて。”その時私は、自分は間違いなく生まれついてのCEOではないなと思った。

重要なこと

フィードバックを与えることのエリートになるためには、あなたはシット・サンドイッチのような基本テクニック以上に自分を高めなければならない。あなたは、自分自身のパーソナリティと価値に合ったスタイルを開発しなければならないのだ。ここに、効果的になるためのカギがある:

  • オーセンティックであること。自分が与えるフィードバックを信じ、受け手の感情を操作するようなことは言わないことが重要だ。おじけづいているのをごまかすことはできない。
  • 適切な理由づけ。あなたが相手に失敗して欲しいと思っているのではなく、成功して欲しいと思っているからフィードバックを与えるというのが重要だ。もしあなたが誰かに本当に成功して欲しいと思うのなら、相手にそれを感じさせること。相手にあなたの気持ちを感じさせるのだ。もし相手があなたの気持ちを感じ、あなたがその人の味方なら、その人はあなたの話に耳を貸すだろう。
  • 個人的にならない。誰かを解雇することに決めたなら、その人を解雇すること。その人に解雇される準備をさせないこと。成功する準備をさせないこと。もし彼女がそのフィードバックを受け取らないなら、それは異なる話だ。
  • 同僚の目の前で人を嘲らない。グループの中である種のフィードバックを与えるのは構わないが、決して同僚の前で恥をかかせてはならない。もしあなたがそんなことをすれば、a)従業員に酷い恥をかかせることになり、b)あなたは従業員に心から憎まれ、あなたのフィードバックが他の人に与える影響は小さくなる。
  • フィードバックは全ての人に当てはまるものではない。全ての人は一人一人異なる。フィードバックに対して神経質な従業員もいれば、顔の面が厚い人や、時には頭蓋骨の厚い人もいる。文体的に、あなたの口調は、あなたのムードではなく従業員のパーソナリティに合わせるべきである。
  • 直接的に、でも意地悪ではなく。鈍くならないこと。もしあなたが誰かのプレゼンテーションを最悪だと思うなら、こう言わないこと:“かなりいいけど、もう一つの道筋を使って結論を簡潔にすることができたかな”。厳しいように聞こえるかもしれないが、こう言った方がずっといい:“私はついて行けなかったし、あなたの言いたいことが理解できなかった。理由はこうだ。”水で薄まったフィードバックは、全くフィードバックがないよりも悪い。なぜなら、それは人の目をごまかし受け手を混乱させるからだ。しかし、相手を叩きのめしたり、自分が優れていることを示そうとしたりしないこと。そうすることは、あなたの目的にそぐわない。なぜなら、適切に行わる時には、フィードバックは独り芝居ではなく対話だからだ。

フィードバックは、一人芝居ではなく対話である

CEOはあなたで、あなたは自分が好まないことや同意しないことについて誰かに伝えているかもしれないが、だからと言ってあなたが正しいとは限らない。あなたの従業員は、自分の機能についてあなたよりもよく知っているべきだ。彼女はあなたよりもたくさんのデータを持っているべきだ。あなたは間違っているかもしれない。

その結果、あなたの目的は、自分のフィードバックが閉ざされた議論ではなく開かれたものにすることであるべきだ。人々があなたの判断に食ってかかったり議論することを奨励するのだ。文化的観点から言って、あなたには、高い水準の徹底的な話し合いが必要だ。あなたは、ハイクオリティな思考を得るために膨大なプレッシャーをかけながらも、自分が間違っている時にそれが分かるようなオープンさが必要だ。

頻度の高いフィードバック

重要なことをマスターしたら、あなたは自分がマスターしたことを常に練習するべきである。CEOとして、あなたは全てのことについて意見を持っているべきだ。あなたは、全ての予測、全ての製品プラン、全てのプレゼンテーション、全てのコメントについて意見を持っているべきだ。人々にあなたが考えていることを知らせるのだ。もしあなたが誰かのコメントを気に入っているのなら、そのフィードバックを相手に伝えるのだ。もしあなたが異なる意見を持っているなら、そのフィードバックを相手に伝えるのだ。自分が考えていることを言うのだ。自分自身を表現するのだ。

これには非常に重要なポジティブな効果が2つある:

  • フィードバックが、あなたの会社の中で個人的なことにならない。もしCEOがコンスタントにフィードバックを与えれば、CEOが関与する全ての人がそれに慣れるようになる。誰もこんな風には考えない:“おっと、彼女はそのコメントで本当は何を言いたかったのか?彼女は私のことを嫌いなのだろうか?”みんなが自然と、暗示的でランダムなパフォーマンスの評価ではなく、問題に焦点を合わせる。
  • 人々が悪いニュースについて議論することに慣れる。もし人々がお互いに間違ってやっていることについて話すことに慣れれば、会社が間違ってやっていることについて話すのもとても簡単になる。質の高い企業文化はデータネットワーキングのルーティングプロトコルからヒントを得る:悪いニュースは素早く出回り、良いニュースはゆっくりと出回る。質の低い企業文化は、“誰も私に悪いニュースを持ってくるな”という、オズの魔法使いの東の邪悪な魔女の特性を帯びる。

CEOを作るということ

CEOになることは、幅広いより高度なスキルを要する―私はこのブログの中でその多くについて書いてきた―が、上級レベルに達して自分が生まれながらにしてCEOであるかのように感じるために重要なことは、不自然さをマスターすることだ。

もしあなたが創設CEOで、これらのことをする時に決まりが悪かったり不適任であるように感じ、自分の会社が100または1000人規模になった時に自分にはそれができるわけがないと思うのなら、あなたも仲間だ。それはまさに私が感じていたことなのだ。そして、私が出会った全てのCEOが同じように感じていた。こうやってあなたは作られるのだ。


この記事は、ben’s blogに掲載された「Making Yourself a CEO」を翻訳した内容です。

スタートアップ起業家や会社経営者はもちろん、部下を持っている人であれば誰でも考えさせられ参考になる点も多い記事だったのではないでしょうか。もちろん人間であれば無理に人に嫌われたくはないと思いますが、嫌われてしまうようなことをしなければいけないのも経営者・上司の役割。それをいかに円滑に行い、事業や部下を正しい方向に導けるかが腕の見せ所。この記事のあるヒントを参考に最強のチームを目指していきたいものです。

しかしフィードバックを常に出し続けるということが、コメントに対して変に暗示的な
意味を与えないという指摘はナルホドと思いました。これを逆に利用している人もいそうですが、本質的には前者の方がより正しく間違えのないコミュニケーションの形であり、それが機能した時のチームは強い気がします。 — SEO Japan [G+]

グロースハッカーになるためのたった一つの冴えたやり方

米国にQuoraという専門家が答えてくれるQ&Aサービスがあり(日本も最近同種のサービスが出ましたね)、私もたまに見ることがあるのですが、特にネット関係では、「え、こんな有名人が無料で詳しく答えてる!しかも他のインタビューやブログで聞いたことのない発言で参考になる!」と思うようなことが良くあります。今回は、そんなQuoraで定期的に発言しているアンドリュー・チェンが自らの答えをより掘り下げて書き下ろしたスタートアップの成功に欠かせないグロースハッカーチームの育て方に関する記事を。 — SEO Japan

元々あったQuoraでの回答:

私は、グロースチーム(グロースハッカーのチーム)が成長するために日々していることを2つに分類する:1)プランニング/モデリング、2)グロース(成長)テスト。

何はともあれ、まずあなたには優れた製品が必要である
もし人々があなたの製品を使っていないのだとしたら、あなたは成長の最適化にあまりに多くの時間を費やすことで時間を無駄にしていると、言わせてもらう。あなたには、満足したユーザーベースが必要であり、あなたの仕事はそれを拡大することだ。

その警告を頭に入れて、活動のプランニングから始めよう:

プランニングとモデル構築
物事をプランニング/モデリングするという側面は、“なぜ成長が起こるのか?”を理解することが全てだ。全ての製品は一つ一つ異なる。

  • あなたは、人々がSEOを介してあなたを見つけ、ユーザーへと転換し、Eメールを介して保持されることを知るかもしれない。
  • あなたは、人々がウェブを介してあなたのサイトにやって来て、モバイルへと異花受粉し、それがあなたの成長のカギであるということを知るかもしれない。
  • あなたは、彼らに特定の数の人をフォローさせる必要があるということを知るかもしれない。
  • あなたは、彼らがサービスを使いだす前に一定数のリンクをまずブックマークさせる必要があることを知るかもしれない。

これらは全て製品固有のことであるため、私はこの回答の中で特定のアドバイスをすることはできないが、これは自分の製品がなぜ成長するのかを理解する基盤である。あなたは、ユーザーがどのようにサイトにやって来るかという流れを見ることによって、ユーザーと話すことによって、似たような製品を理解することによって、そのモデルを思い付くことができる。あなたは、目的を達成しているユーザーと達成していないユーザーを見分けることができる。

良いモデルを手にしたら、成長の良いまたは悪いプロジェクトの結果を評価する中でより具体的な基準を作ることができる。あなたのメンタルモデルは、最初は完璧である必要はない―目的はただ始めることだ。あなたが自分のプロジェクトを上手く実行する時、成長が進めば、あなたの自信も育つ。(もしくは、1つのメトリックを著しく改善し続けているが全体の登録数が増えない場合は、物事を再検討しなければならない。)

より戦術的なレベルでは、次第にこのモデルはもっときめが細かくなり、あなたは、全体的な成長を高めるために変更することができる個々のことについて考え始めることができる。理想では、あなたはスプレッドシート内でこの多くをモデリングすることができるため、何が機能し何が機能しないかについてシナリオプランニングをすることが可能だ。

目的は、継続した成長をもたらす何らかのフィードバックループを作ることだ。もしかするとあなたは、広告を購入してお金を稼ぎ、さらに多くのお金を広告に再投資するかもしれないし、もしかすると、人々にコンテンツを作らせ、SEOを駆動し、それがコンテンツを作るより多くの人々をもたらすかもしれない。もしくは、もしかするとあなたは、招待ベースの何かを用意するかもしれない。重要なことは、このプロセスとその構成要素部分をモデリングすることだ。

プロジェクトの実施
自分の成長を促進するためのモデルを手にしたら、次のパートは、実際にそれらの数字を増やし正しい方向へと向かわせることができるプロジェクトのアイディアをたくさん思い付くことだ。理想では、そのコンセプトを証明する短いアイディアのA/Bテストをたくさん実施することができる。もしそれがうまくいったら、投資し続けるのだ。

このようなことのためには、ちょっとしたA/Bテストのインフラと、たくさんのクリエイティビティと、テストを世に出すための専用のエンジニアを何人か必要とする。

A/Bテストの大部分はあなたの求めるような結果が出ないため(恐らくその数字は30%未満)、毎週2,3の勝者を手に入れるためにはあなたは同時にたくさんのA/Bテストを実施しなければならない。時に、人々は各週1~2つのA/Bテストを実施して、それらが上手く機能しないと文句を言う―恐らく、彼らが各週1つか2つの勝者を手にするためには5~10倍のA/Bテストを実施する必要があるだろう。

それぞれの成長プロジェクトを実施するためには、ユーザーがどこからやって来て、何をするのかを追跡することに関していくつかの計測を開発する必要もあるかもしれない。これは、最初は大量のSQLデータベースとレポーティングになるが、後でもっと手の込んだものに移行するかもしれない。

次第に、これらの戦術的なプロジェクトの結果が、素晴らしいモデルに返ってくる―あなたは、継続して自分のプライオリティを再評価し、製品が成長を後押しすることに最も活用される場所を理解しなければならない。つまり、戦略的から戦術的へとジャンプして戻ってくるフィードバックループがあるのだ。

要約
以上のことを要約すると:

  1. 自分のユーザーが満足するしっかりとした製品を用意する
  2. 自分のサイトがどう成長するかのモデルを思い付く
  3. アイディアを試してみて、それらをA/Bテストとして採用する
  4. サイトが成長するのなら、より多くのアイディアを試す。もし成長しなければ、ステップ1のモデルが壊れているかもしれないため、それについて再度考える。

これがあなたの役に立つことを願っている。


この記事は、@andrewchenに掲載された「What does a growth team work on day-to-day?」を翻訳した内容です。

世の中には最初のアイデアと構想がいきなりヒットするような事例もあるとは思いますが、実際そんな宝くじに当たったようなケースは皆無なわけで、まずはベースの製品をテストを繰り返して改善しながら成長軌道に乗せていく、それだけなんですよね。

日本でも最近、グロースハッカーという言葉がどこかインターネット業界のカリスマ的存在として取り上げられていますが、別に彼らも特殊な存在というわけではありません。もちろんベースの知識や技術力、ネットワーク等は卓越したものがあるかもしれませんが、詰まる所は、上の当たり前のことをきっちり行えるかどうか、それを行えるのがグロースハッカーでありグロースチームということではないでしょうか。誰もがそうなれる可能性がある!ということで日々地道に頑張りましょう。 — SEO Japan [G+]

ペンギンアップデート4の展開が始まる

ご存じの方も多いと思いますが、ペンギンアップデートが実施されたようなのでご報告。 — SEO Japan

penguinグーグルのスパム対策「ペンギンアップデート」が発動された。今回で4度目である。ペンギン 4は今までのペンギンとは少し異なる。グーグルがスパムの阻止を改善するテクノロジーとして期待しているペンギン 2.0のテクノロジー(日本語)を搭載しているのだ。

グーグルの検索スパム対策を統括するマット・カッツ氏は、今週のグーグル – エピソード #199で、新たなペンギン 2.0のアップデートに関する告知を行った。同氏は、動画(日本語)で次世代のペンギンのアップデートに触れ、「数週間以内」に発動されると述べていた。

ウェブマスターおよびSEOの担当者なら、検索結果が大きく変動すると予め理解しておくべきである。カッツ氏は、具体的に英語のクエリの2.3%がこのアップデートの影響を受けると指摘していた。

その後、同氏はブログで今回のアップデートに関する詳しい情報を提供していた。カッツ氏は、「世界の別の言語への変更の展開が終わった」と述べ、米国外にもアップデートが展開されると明言している。インパクトの大きさは、「言語のウェブスパムのボリューム」に左右される。例えば、フランス語が大量のウェブスパムに汚染されているなら、グーグルフランスはより大きな影響を受けるだろう。

過去のペンギンアップデート:

ペンギンアップデートのバージョンに不慣れな人達のために、ペンギンアップデートを行われた順番で挙げていく:

しかし、2度目および3度目のペンギンアップデートは、基本的に最初のペンギンのアルゴリズムを採用しており、変化の規模は小さかった。4度目となるリリースはメジャーなアップデートであり、社内ではペンギン 2.0と呼ばれているようだ。

切れ味の鋭いペンギン 2.0、さらに多くのウェブサイトに影響を及ぼす

以前もお伝えしたように、マット・カッツ氏は、最近投稿した動画の中で、今回のペンギンアップデートはメジャーなアプデートであり、最初のアップデートよりもウェブの奥深くに浸透し、より多くのSEOおよびウェブマスターに影響を与えると明言している。以下に当該の動画を再び掲載する:

ペンギンアップデートの詳細が知りたいなら、ここをクリックしよう。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Penguin 4, With Penguin 2.0 Generation Spam-Fighting, Is Now Live」を翻訳した内容です。

2.3%の変化といえば、最初のペンギンが3%程度ですから、それなりの変化ではあるはずなのですが、イマイチまだ「これ!」というわかりやすい動きはないようで、大騒ぎしていた割には盛り上がりにかける状況のようです。今後新規情報あればまた別記事で紹介していきたいと思います。特に日本での大きな動きは今の所、余り感じられない気もしますが、「言語のウェブスパムのボリューム」が変化の影響に与える度合いが大きいのであれば、日本語はもっと動いてもいい気がするのは私だけでしょうか。。。 — SEO Japan [G+]

Googleの新しい会話型検索サービスを徹底解明

Googleが新型Chromeでリリースした会話型検索サービスその名も「カンバセーショナル・サーチ」がスゴイらしい、ということでその機能をサーチエンジンランドが徹底解説した記事を早速。 — SEO Japan

先週のグーグル I/Oカンファレンスでグーグルがデモを行った「Conversational Search」(会話型検索サービス)が、クロームブラウザのユーザーに公開された。この会話型検索サービスによって、検索エンジンを利用するアプローチが大幅に進化すると見られている。

私は検索に関する記事を17年間に渡って書き続けており、検索に革命を与えると言われてきたあらゆる検索製品、とりわけ「自然言語」や「セマンティック検索」等の用語で飾られたものの、期待を裏切った製品をこの目で見てきた。

会話型検索は、自然言語やセマンティック検索等の技術が活かされた製品である。完璧とは程遠いものの、「酸いも甘いも噛み分けた」私のような人物でさえ、思わず緊張し、好奇心を掻き立てられるポテンシャルを持つ。

グーグルは複雑なシステムを用いているものの、実際には、自然且つスムーズに稼働する。幾つか例を挙げ、最後に「内部」の仕組み、そして、コツを紹介する。

クロームの音声検索

クロームの最新版では、検索ボックスのマイクをクリックして、音声で検索を実行することが出来る。

Google Search By Voice

これは新しい機能ではなく、グーグルは2年近く前に音声検索機能を導入していた。しかし、iPhoneとアンドロイド向けのグーグル検索アプリと同じように、検索エンジンが音声で答える点が以前とは異なる:

how old is barack obama

検索結果が表示される:

how old is barack obama

時折、とりわけグーグルがナレッジグラフのデータを呼び出すことが可能な検索においては、直接の答え、または、情報「カード」(グーグルナウ(日本語)でデータを提示するアプローチ)が結果の上部に掲載される。

上の例では、「how old is Barack Obama」(バラク・オバマは何歳)と問いかけると、グーグルは答えをカードで提示し、さらにカードからオバマ大統領の年齢のカードを引き、[Balack Obama is 51 years old]と答えを音声で伝えてくれた。

会話を交わす

検索エンジンに話しかけられると、結果を音声で提供すると言う機能は、実にスタイリッシュであり、見事だとしか言いようがない。しかし、驚くのはまだ早い。なんと、代名詞や過去のクエリ内の情報を参照するその他の近道を活用し、さらに質問を投げかけて、検索による“会話”を継続することが出来る点こそが、この機能の最大の目玉である。これは通常の検索では考えられない。

例えば、上の検索を行った後に、[how tall is he](彼の身長は?)と問うと、次の答えが得られる:

how tall is he

「Barack Obama is six feet one inch tall」(バラク・オバマは6フィート1インチです)とテキストと一緒に再び音声で答えが返ってくる。しかし、私はオバマ大統領の身長を尋ねたのではなく、「彼の身長」を尋ねたのだ。グーグルは「彼」がバラク・オバマ大統領に言及している点を理解したことになる。

人間はこの点を容易に理解する。会話を交わし、会話の中で話した内容を把握し、既述した事柄 – 代名詞や前に登場した事柄を参照する近道 – を区別する。しかし、検索エンジンはこのような記憶を持たない。検索エンジンは、通常、それぞれの検索を以前の検索とは関連させることなく処理する。

「過去のクエリ」だけではない

グーグルとビングは「知的な履歴」を用意している。グーグルは2008年から過去のクエリの提供を行っている。ビングは、2011年からアダプティブ検索を提供している。この2つのサービスでは、過去に検索したクエリが事実上後続のクエリに追加されることがある。例えば、「new york」を検索し、次に「travel」(旅行)で検索をかけると、一部の検索は、ニューヨーク旅行に関する検索結果を表示させる可能性がある。

過去のクエリによる絞り込みは便利だが、会話型検索はそのさらに先を進んでいる。単純に後続のクエリに用語を加えるのではなく、言語を解析して、クエリを完全に理解することが出来るのだ。

「how old is Barack Obama」の検索を行った時、グーグルは、文字をマッチさせようと試みる2つのワードではなく、バラク・オバマが実在する人物である点を理解する必要があった。これは一年前に導入されたナレッジグラフ(日本語)がもたらした知性である。この知性は、「年齢」が、オバマに関する特定のデータに該当する可能性がある点を把握する上で貢献する。

次の検索が行われると、グーグルは、再び単純にワードをマッチさせるのではなく「he」が誰かの代名詞である点を理解しなければならなかった。その後、「he」が誰なのか考え、過去のクエリを確認し、それがオバマを参照している可能性があることに気づいた。最後にナレッジグラフに戻り、オバマ大統領の身長にマッチするデータを見つけ出した – つまり、グーグルは[tall]が身長を間接的に求めている点を理解したのだ。

実に難解なプロセスである。これは、自然言語処理であり、セマンティック検索と連動し、文の意味を正確に理解するための力である。データとページが、見えないところで全てつながっているのだ。

会話を続行

それでは会話を継続していく。次にグーグルに「who is his wife」(彼の妻は誰)と尋ねたところ次の答えが返ってきた:

obama's wife

「Barack Obama’s spouse is Michelle Obama since 1992」(バラク・オバマの配偶者は、1992年からミシェル・オバマです)。グーグルは「his」がバラク・オバマに言及し、[wife]がナレッジグラフで調べることが可能なデータのリクエストであると理解し、答えを出したのだ。

さらに会話を継続してみる。次に「how old is she」(彼女は何歳)と尋ねてみた。すると、次の答えが返ってきた:

グーグルの答えは[Michelle Obama is 49 years old](ミシェル・オバマは49歳です)であった。この答えを得るため、グーグルは最初の質問から延長された3つの先行するクエリを理解した。

残念ながら、この一連の動きを適切にとらえることが可能なソフトウェアをインストールしていないため、直接見せることは不可能だが、これから説明していくように、皆さん自身で試してもらうことは可能である。それでも、次のアニメーション画像を見て頂ければ、何となく分かってもらえるのではないだろうか。

conversational search

これは、先週グーグルI/Oで行われた会話型検索のデモの最中に撮影したスクリーンショットである。

完璧ではないが素晴らしい

会話型検索は常に適切に動くわけではない。さらに会話を続けていくと、失敗する確率が高くなる点に私は気づいた。予想に反して質問に対する答えが返ってこないときもある。事実、上の例にある4つのクエリで構成される検索で正しい結果を得るまでに数回試さなければならなかった。

グーグル I/Oでこの製品を直接試し、参加者と話をしている時、グーグルはこの点を認めていた。クロームでのサポートを正式に発表していたら(現時点では正式な発表はなく、そっとリリースされている)、バグを警告する注意書きが掲載されていただろう。

エンジニアやその他の製品のスタッフは、私が目の前でテストを行い、バグに遭遇すると顔を歪めていたが、私は正常に動く頻度の高さ – そもそも正常に動いた事実 – に感動していた。さらに改善していってもらいたいものだ。

誰 & どこに基づいて提供される答え

グーグルはユーザーの場所を把握しているため、または、個人情報の一部にアクセスすることが出来るため、一つの質問から、実際に述べた情報を越える答えを得られることがある。

天気が良い例だ。[Will it rain tomorrow?]と尋ねてみた:

newport beach weather

すると、グーグルは「No, rain is not expected tomorrow in Newport Beach. The forecast is 70 degrees and cloudy」(いいえ、ニューポートビーチでは雨が降るとは予想されていません。予想気温は華氏70度で、曇になる見込みです)と答え、天気予報を表示した。私は自分の居場所も教えたわけでも、天気予報を求めたわけでもないが、グーグルは私の場所を把握し、雨が天気に関連していると理解し、素晴らしい答えを提供してくれたのだ。

Gメールのフィールドトライアル(Gメール以外の情報も含まれているため、名称として相応しくない)を介して、個人情報へのアクセスを認めているなら、[what’s happening today](今日の予定は何?)等の検索を行うと、スケジュールが表示される:

calendar

スケジュールを音声で伝えるわけではないが、- グーグル自身のサービスを使うことに抵抗がないなら – 称賛に値すると言えるだろう。グーグルカレンダーやGメールを利用していない場合、ユーザーエクスペリエンスのレベルは格段に下がる。

「カード」以外 & 音声で答えが提供されない結果もある

答えは、オバマ大統領のクエリで紹介した情報カードから必ずしも得られるわけではない。例えば、「places to eat in San Francisco」(サンフランシスコで食事をする場所)と尋ねてみるとグーグルから次の答えが返ってきた:

restaurants

グーグルは、「There are several listinsg for restaurants near San Francisco」(サンフランシスコ近郊のレストランに対するリスティングが幾つかあります)と音声で答え、地域のレストランのレビューを表示した。レビューは音声で紹介されなかった。

同様に[Newport Beach]と語りかけると、[Here is some information about Newport Beach](ニューポートビーチに関する概要です)と答えるものの、実際の結果は音声では紹介してくれなかった:

newport beach

グーグルは、右側のナレッジグラフボックスを使ってニューポートビーチの詳しい情報を読もうともしなかった。オバマ大統領に関する音声検索では、この程度の手間は惜しまなかった。

当然だが、デスクトップでは、情報を読んでもらうことが便利だとは言い切れない。事実、音声検索は、2年前に導入された頃、とりわけオフィスで仕事をする人達にはいまいち受けが良くなかった。レスポンスを読んでもらう機能は確かに高度な技術だが、モバイルデバイスとは異なり、デスクトップでは必ずしも便利だとは言えない。

待ち遠しい音声による起動 & OK グーグル!

音声で会話型検索を起動することが出来るようになれば、利便性は改善されるかもしれない。この機能は今回のリリースには含まれていない。

音声起動検索では、コンピュータは「ホットワード」 – 恐らく先週デモが行われた「OK グーグル」を聞くと、ユーザーが検索を実行しようとしている点を把握する。

そのため、キーボードが存在しない環境で、検索を実施する必要がある場合、「OK グーグル バラク・オバマは何歳?」と話しかけると、コンピュータは自動的に検索を行ってくれる。

それでは、コンピュータは常に耳を傾けているのだろうか?グーグルによると、現在、このシステムを動かす仕組みを開発しているようだが、グーグルのホームページ、または、検索結果ページにアクセスしている際にのみ耳を傾けるブラウザのエクステンション等が採用されるのではないだろうか。 また、コンピュータが耳を傾けている時、実際にグーグルに送信されるのは、「OK グーグル」コマンドの後のクエリのみだとグーグルは明言している。

今後その仕組みが明らかになっていくだろう。会話型検索が、移動時に実行可能な取り組みを深くユーザーに理解してもらうための訓練場としてデスクトップを位置づけ、ユーティリティとしてモバイルに残るのかもしれない。

また、会話型検索サービスが、現在とは異なる方法で、先行する検索を用いて、より会話を意識したスタイルでクエリを入力するきっかけを与える可能性もある。

「会話」モードは入力では動作せず

現時点では会話型検索サービスは、クエリを入力すると動作しない。これは会話型検索がもたらす大きな違いである。

試しに、バラク・オバマ関連のクエリを音声ではなく、文字を入力して検索してみよう。次のイメージをご覧になれば分かるように、「身長」を問うクエリで白紙に戻ってしまう:

how tall is he

入力しているために会話型検索モードではなくなり、グーグルは「he」が誰に言及しているのかを特定する試みを止めるため、トム・クルーズとジョニー・デップに関する答えが代わりに表示されている。

自分で試してみる

先程も申し上げた通り、グーグルは会話型検索のリリースを正式に発表しているわけではない。しかし、実際に利用することが可能である。アンドロイドセントラルは、クロームの最新版を利用しているユーザーはこの機能を利用することが出来ると指摘している。そのためこの機能を使うためには、アップデートする必要がある。クロームの設定画面にアクセスし、次にヘルプを選択する。すると、最新版がインストールされているかどうかの確認が行われる。

Macでは、アップデートを行った結果、バージョンは27.0.1453.93になった。奇妙にもクロームブックでは、バージョン26以降にアップデートすることが出来なかった。ウィンドウズ 8のコンピュータはまだ確認していない。

参考までに伝えておくが、これはグーグルナウではない。確かに似ており、また、クローム/デスクトップ向けのグーグルナウはいずれ登場すると見られているものの、会話型検索からは、グーグルナウ(日本語)が提供する推測検索結果を得ることは出来ない。

いろいろ試してみよう。検索マーケッターにとっては、クエリが検索の意図を表現しなくなるため、とても一般的な用語でユーザーがウェブサイトを探し出す、全く新しい世界を垣間見るチャンスである。

皮肉にも、不評であったここ1~2年の「不透明なグーグル」の方針 – ログインしたユーザーが検索した用語を(広告主以外には)明かさない方針 – は、ユーザーがグーグルと“会話”するため、ユーザー自身が正確な用語の提供を差し控える状況への対応をトレーニングする格好の機会になっている。

検索エンジンのユーザーにとっては、検索の習慣を根本的に変える可能性がある大きな飛躍である。今後は、様々なタイプのトピックに対する答えを得るために昔から頼りにしてきた「親友」に対して、違和感なく話しかけることが出来るようになるだろう。

グーグルの競合者にとっては、新たに対応しなければならない難問がまた一つ増えたことになる。グーグルナウは既に検索を巧みに推測する取り組みに成功している(日本語)。現在、グーグルの会話型検索は、ユーザーにサービスを試してもらい、また、ユーザーが「今日の予定」等を検索エンジンに尋ねることが出来るように、グーグルのその他のサービスを介してより多くの個人情報を共有してもらおうと試みている段階である。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Google’s Impressive “Conversational Search” Goes Live On Chrome」を翻訳した内容です。

Google NowGoogle Glassサーチと革新的なサービスを送り出している最近のGoogleですが、またもやってくれたという感じですね。路線的にはどれも関連していると思いますが、次世代検索の幕開けといった感じですね。しかしGoogle以外のプレイヤーが黎明期の検索エンジン市場と違って余りいないのも残念というか怖いというか。MicrosoftとAppleに頑張ってもらうしかないのですが、、、さてさて。 — SEO Japan [G+]

VCの考え方:あなたのスタートアップは、機能、製品、それともビジネス?

世界各国で続いているスタートアップブームですが、多くの成功したスタートアップは時に人によっては何かの1機能にしか思えないようなことに徹底的にフォーカスして成功しています。最近でいえばTwitterしかしInstagramしかしDropboxしかり。それらのスタートアップの多くは、「こんな小さな変化はそもそも投資対象になるのか?」と初期段階で投資家からの資金調達に苦しんだ会社も多いようです。ユーザーをある程度抱えてくるとその態度も一気に変わるわけですが 汗、今回はそんなスタートアップとその成長の可能性について、その製品機能から投資家的観点で考えてみた興味深い記事を。 — SEO Japan

ジュニアVCとしての自らの発展を通して、私は、自分が起業家の友人たちと同様の質問をしていることに定期的に気が付く。

過去のピッチの亡霊たちは抜きにして、私は他人の洗練された判断と実行策から知識を拾い集める。それをこのように解釈する:ベンチャーキャピタリストは、1つの視点を基に、理想的には採算性を証明する視点を基に行動してお金をもらう。しかし、VCはどのようにして、何が自分のお金に対して何倍も返すことになるのかを、多くの場合結果の出る何年も前に、特定するのだろうか?彼らは、そのような決断をする時、何に注意を払うのだろうか?

基本中の基本のフィードバックでさえも分かりにくいように思える。

たった1つのこと

創設者は、“1つのことをやれ。それを上手くやれ。”と、たびたび言われる。Instagramは、簡単な作業―写真のモバイル共有―に焦点を絞り込んだ勝者としてよく取り上げられる。Instagramの前身、Burbnは、雑然として機能が溢れかえっている感じがした後、ロケーションチェックインやソーシャルイベントプランニング関連のその幅広い提供物と共に解体された。InstagramのCEO、Kevin Systromは、“1つのことに焦点を合わせて、それを本当にうまくやることが、あなたをはるか先へと到達させることができる”と言った。実際、10億ドルまで。

羨望の合図。人気に便乗するプレイヤーにファンディングを流し込むことの合図。ある時は、あまりに多くの動画用のInstagramがあったために、The Next Webはトップ10を選ばざるを得ないように感じた。

OK、それは簡単なことだ。1つのタスクを実行すること。

早まるな。創設者たちは、時々、自分たちが本当のビジネスを築いていないということも耳にする。それどころか、彼らはFNAC(Feature Not A Company)―ページ上のただのボタン―として拒否される。確かに、かなり多くのテクノロジー巨大企業が、それを作ることはできるが、これはどれくらい正当化できるのだろうか?New Atlantic VenturesのThanasis Delistathisは、AppleやGoogleやMicrosoftのような一流企業は、“事業科目に稼ぎ頭を作った…彼らの成長への探求は、機能を配布するためにたくさんのお金を費やす”と、賢く指摘した。

しかし、私たちが目にしてきたように、そのエコシステムは多くの勝者に結果をもたらすことができる。Spark CapitalのAndrew Parkerは、抜け目なく、Craigslistのホームページを分割して、このディレクトリがどのようにHomeAwayやOkCupidやStubHubのようなカテゴリ指向の企業に取って代わられたのかを示している。それは、ウェブ中で定期的に共有されている画像だ。しかしながら、いかにしてCraigslistが基本的なHTML/CSSとより少ない機能を用いて“独占はしていないとしても”競争し続けているかに対するParkerの驚きに、まれにコメント投稿者が注意を向けている。確かに、Parkerさえも“アダルトサービス”のセクションを探索することに興味をそそられていたようだ。

では、どうやってこの“1つのこと”を定義し特定するのか?機能とは一体何なのか?製品?そして、投資家はビジネスとは何であると考えるのか?

見方の問題

秘密はこうだ:投資家自身は、これらのアイデンティティの違いを詳しく説明しようと四苦八苦することが多い。TwitterはFacebook上の単なるステイタスバーの機能だったのでは?Foursquareの1年後、2010年にFacebook Placesはローンチした。ではFoursquareは機能としての資格があったのか?

Benchmark CapitalのBill Gurleyは、Dropboxは“難しい問題―ファイルの同期―に取り組んでそれを超簡単にした”ため、Dropboxは“大きな混乱”であると主張し、信じない人達はファイル同期は製品ではなく機能であるというSteve Jobs陣営に分類されたため、非難された。Scale Venture PartnersのRory O’Driscollは、機能のラベルは褒め言葉と取られるべきだと言ってGurleyを擁護した。“今日ソフトウェアでけん引力を得るためには、機能―原子単位の喜び―から始めなければならない。あなたは、見事に1つの問題を解決しなければならない。”Dropboxは現在のところ、40億ドル以上の値段が付けられている。

Google、Yahoo、そしてもっと最近ではMailboxが、自分たちの立場の主観的な見方を基に、背を向けられたもしくは資金供給されたその他の例だ。DisqusUserVoiceのようなスタートアップはどこで最初に調和したのだろうか?共通の要素を見つける試みは複雑だった。

議論をまとめると、機能は行為を遂行する。製品、通常は機能のパッケージが、問題を解決する。ビジネス、潜在的に製品のパッケージが、ユーザーに繰り返し発生する価値を提供する。理想では、これらのユーザーは、いくらかの測定可能な通貨(データ、時間、お金)を代わりに提供する。さもなければ、それはとりわけ持続可能なビジネスではない。今日破壊的で奇抜かもしれないことが、明日はページのボタンになるかもしれないし、それが結果的に投資家の態度を変えるということを頭に入れておくことだ。もっと言うと、アーリーステージでは投資家が完璧な会社を目にすることはほぼ皆無で、機能と製品を介したチャンスの核心を目にするのだとも議論される。

いいね。では、これはどのように資金調達することに当てはまるのか?

機会を評価する

FoundryのJason Mendelsonは、FNACに関する議論は、1つの質問に帰着すると述べた:これは投資すべき十分な大きさの機会なのか?

ベンチャーキャピタリストは、1つの主要な‘こと’―つまり、予想―に基づいて機会の規模を評価する。投資家は、マネージメントや政治やブラック・スワンに関する懸念を調査する前に、競合相手(現在と見込み)と顧客(これもまた現在と見込み)の行動を予測する。彼らの興味は、正確に狙ってから、時間と資金を可能性の高いエグジットに積むことだ。彼らは、予測に基づき、証拠に後押しされ、賭ける。

競合相手について検討する時、VCは、“再現するための課題は何か?”と尋ねるだろう。より多くの才能、財政、規模を自慢にするかもしれない現在および未来の競争相手がいるなら、どこが競争力なのか?一部の企業にとっては、これはユーザーの定着したネットワークかもしれない(Evernote、Buzzfeed、WhatsApp)し、他の企業にとっては、複雑なアルゴリズムから集められた洞察力のある情報の貯蓄かもしれない。こういった機会は難攻不落なのか?

顧客について検討する時、ベンチャーキャピタルは、“トレンドは何か?”と尋ねる。人々が顧客になるために自分自身を乗り越え、それがとても特別だからその解決策を同僚に説いているということを示すシグナルはどこにあるのか?良い例が、両面性のある市場を築くという難題と見知らぬ人の家を借りるという最初の疑問視にもかかわらず国内および海外での上昇と飛躍によって成長したAirbnbかもしれない。

実験的(少なくともこれは良いストーリーを助長する)から実用的(私はただ最も手頃で楽しく便利な滞在を求めている)への体験のシフトが、多くの人の心と財布を開かせる秘訣だ。

この“1つのこと”へ戻ると、ラベルは無視することだ。先手を打つために焦点を活用するのだ。ビジネスではなくエネルギッシュな組織を作るのだ。

画像クレジット: Thinkstock


この記事は、The Next Webに掲載された「How VCs think: Is your startup a feature, a product or a business?」を翻訳した内容です。

若干、後半尻すぼみな終わり方になってしまった気はしますが、スタートアップ起業家、事業運営者の立場からは集中することの重要さや、その価値を投資家に理解させることの難しさは感じることができた記事でした。ま、結局はアイデアだけでなくある程度ユーザー数等で結果を出さないと投資家も判断できないことって多いのでしょうけど。TwitterにしてもInstagramにしても、まさかあそこまで流行るとは当の本人たちが一番思っていなかった気がしなくもないですし。逆にそういう有象無象のスタートアップの中から原石を発見して投資できるかがVCの実力なのでしょうか。ま、起業家は未来を信じて頑張るだけですね。。。 — SEO Japan [G+]

検索の未来が変わる?!グーグルグラスの検索機能を徹底解剖

試用版のレビューがウェブで投稿され発売も時間の問題とされるGoogle Glass、今回はその検索機能の焦点を当てたサーチエンジンランドの記事を紹介します。様々な用途に使えるGoogle Glassですが、サーチマーケッター的に気になるのが検索との連動性。検索の未来を変えるかもしれない?!その機能を今から徹底解剖。次世代の検索革命を今から体感してみませんか? — SEO Japan

ok-glass-240グーグルグラスの「エクスプローラ」版には7つの音声コマンドが搭載されている。6つのうちの2つは検索に関連している – [google]と[get directions to](~へのルートを調べる)。その他の音声コマンドは、[take a photo](写真を撮影する)、[record a video](動画を録画する)、[make a call to](~に電話する)、そして、[start a Hangout with](~とハングアウトのチャットを始める)である。

また、グーグルナウを経由した予測検索機能も搭載されており、グーグルグラスは、ユーザーが求めているとグーグルが考える情報を自動的に表示する。

そのため、グーグルグラスを使ったアクティビティの多くには、検索が関係する可能性は高いと言える。因みにグーグルはこの行為を「googling」(グーグルする、または、ググる)と呼んでいる。グーグルは、「検索」の代わりに「ググる」を利用することに反対し、商標を守る試みを継続しているものの、グーグルグラスで初めて提供されるコマンドは、「検索」ではなく「google」であった。しかも、その他の音声コマンドと同じように小文字で綴られている。グーグルの法務部がこの方針を認めたことは意外であった。

グーグルグラスでの検索は、今までの検索の体験とは大きく異なる。次のように、グーグルグラス自体が大きく異なるためだ

  • グーグルグラスにウェブブラウザが用意されていないため、ナビゲートするものがない。
  • グラスでの検索は、ウェブページを探すためではなく、情報を探すために内蔵されている。

この違いは、検索の仕組みに大きなインパクトを与える。

グーグルグラスを使って15分間検索をしただけで、ナレッジグラフグーグルナウ、そして、その他の検索ツールにおけるグーグルの取り組みの価値を大いに理解することが出来た。グーグルがここ数年の間に力を入れていた検索の取り組みの多くは、グラスで真価を発揮しており、ストリートビューやおみせフォトがグラスに統合されるようになれば、さらにパワーアップするはずだ。

現在、グーグルグラスで検索を行っても、伝統的な10本の“青いリンク”もなければ、スマートフォンでの閲覧時に表示される2-3本のリンクさえも表示されない。ユニバーサル検索の結果は提示されるものの、例えば、画像の結果とニュースの結果の違いは分からない。サイトリンクもない。リンクが1本も存在しないのだ。

それでは、グラスで検索を行うと何が表示されるのだろうか?

Cards(カード)である。

それぞれの検索結果は、その他のグラスの情報と同じように、「カード」として表示される。ディスプレイは基本的に白黒だが、スニペットと結果を区別するため、フォントには差がつけられている。また、大半の結果/カードにはソースのURLが掲載されている。

グーグルグラスでの検索の仕組み

グラス経由の検索において、第一に理解しなければならないのは、キーワードが存在しないため、検索が音声で起動する点である。「okay glass」、次に「google」と話しかけ、検索スクリーンを表示させる。

glass-googling-searching-voice

私の知る限り「google」は検索を稼働させる唯一の方法である。「okay glass、search」ではなく、「google」と述べ、次に検索クエリを伝える必要がある。

幸いにも、グーグルの音声認識の性能はとても高い – しかし、完璧ではない。先日、フィラデルフィアに出張した際にある問題に遭遇した: 「Estia」と言う名前のレストランを私は探していたものの、グラスは私がS、T、Aと言っていると勘違いし、- それが何であれ、あるいは、誰であれ – 「St. A」に対する結果を提示した。もう一度、今度はより細かくフレーズを指定して試したところ、求めている情報が表示された。

その次に知ってもらいのは、グーグルグラス日記の1通目でも指摘した通り、グラスは、長時間のコンテンツを見ることを目的として開発されたわけではない点だ。グーグルのI/Oカンファレンスで、グラスの製品ディレクターを務めるスティーブ・リー氏は、グーグルグラスに適するコンテンツのタイプについて次のように述べていた:

「グーグルグラスは、映画を最初から最後まで見る行為や本を読む行為のために作られたわけではなく、私達がマイクロインタラクションと呼ぶアクティビティを考慮して開発されている。早く、簡潔なユーザーエクスペリエンスを基調としている。」

早く、簡潔なアクティビティ。つまり、大量の検索結果ページを再現するのも – そして、読むのも苦労する。検索はグラスの重要な機能の一つではあるものの、これから紹介していくように、特定のタイプの検索を考慮してグラスは作られている。

(エクスプローラはグーグルグラスの1作目であり、今後、様々な変更が加えられていくはずである。事実、グラスを手にした時、グーグルのスタッフは、エクスプローラは、一般向けの販売を行う前にテストを行い、デバイスを改善するための試作品だと説明していた。そのため、これから紹介する内容が、今後のグラスの仕組みとは異なる可能性がある点を理解してもらいたい。間違いなく改善されるはずだ。)

ナビゲーショナルクエリ

米国では「Facebook」が、4年間連続で最も多く検索されている。

グラスに「google facebook」とコマンドを送ると、合計で14枚のカードが表示される(1つの結果につき1枚のカード)。以下にFacebookに対して表示されたカードのうち最初の3枚を掲載する。

glass-facebook-1

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同じクエリをグラスベースの検索とデスクトップの検索と比べてみたところ、1-8位までは順位は変わらなかった。9位以降の6つの結果は、色々なアイテムが混ざっており、デスクトップとはかけ離れていた。グラスは、デスクトップでは30以内にランクインしていない結果/カードを幾つか表示している。また、デスクトップで関連するキーワードとして提示されるMySpaceのカード、そして、ツイッターのカード(デスクトップでは関連するクエリに含まれていない)も提供している。

このような結果は役に立たず、ナビゲーショナルクエリに関しては高い評価を与えることは出来ない。繰り返すが、これはグーグルグラスが、ウェブを閲覧することを考慮していないためである。

インフォメーショナルクエリ

グーグルグラスは情報を見ることを意図して作られており、インフォメーショナルクエリに対しては、役に立つ結果を提供すると思われる。事実、役に立つ結果を得ることに成功した。

Albert Einstein

「Albert Einstein」で検索を行うと、7つの検索結果/カードが表示された – 全てのカードには、グーグルのナレッジグラフのエントリと全く同じ情報が掲載されていた。

glass-einstein-1

1枚目のカードを見ていると、グラスはコンテンツを読み/話し始める。別のカードを見ていても、1枚目のカードを読み続ける。声はロボット調だが、Albert Einsteinに関する情報を求めるユーザーにとっては適切な対応だと言えるだろう。その他の6つのカードを一つの画像にまとめておく:

デスクトップのナレッジグラフとは異なり、グーグルグラス版の結果は、詳細を得るためのクリックすることが可能/話かけることが可能なリンクが用意されておらず、「People also search for」の結果は含まれていない。しかし、違いはこの2点だけである。

U2

アインシュタインは難易度の低い結果である。アインシュタインのナレッジグラフはテキストおよび情報で構成されているためだ。それでは、デスクトップのナレッジグラフではスクロール可能な楽曲のリスト等、テキスト以外のアイテムが用意されている結果に対して、グラスはどのように対応するのだろうか? 以下に「U2」の検索結果を掲載する:

「U2」と言ったつもりが、グラスは「you too」と勘違いしてしまった。全く同じ音に聞えるのは当然であり、グラスを責めるべきではない(U2は昔のバンド名を変えるべきではなかったのかもしれない – FeedbackやHype等)。事実、求めるクエリの検索結果を表示させるため、私は複数のアプローチを試みなければならなかった。

一時、グラスは、私がYouTubeを求めていると考えていた。

glass-youtube

私は「capital U number 2」(大文字のU、数字の2)や「letter U number 2」(文字のU、数字の2)等も試したが、どれも失敗に終わった。また「u2 rock band」も試してみたが、駄目だった。グラスは、音楽ゲームのRock Bandを私が検索していると勘違いした。

glass-rockband

このように様々なアプローチを試してみたものの、求めている結果は得られていない。

ウィズでもウィズアウトでも、グラスでは検索は不可能だと思うようになった。

まさにRunning to standstill(行き詰ってしまい)、Stuck in a moment You can’t get out of(抜け出せない)状況であった。

Vertigo(めまい)がしてきた。

その後、Beautiful day(状況が好転)した: 「band U2」が功を奏したのだ。

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再びグラスはデスクトップのナレッジグラフと全く同じ情報を提示するカードを提供した。しかし、幾つか例外が見られた。最後のカード、Awardsは、グラスではスペースが限られているために割愛され、また、デスクトップでは提供されているリスト全体を見ることは出来なかった。さらに、思った通り、グラスの結果には、デスクトップでは表示される「Songs」や「Albums」のセクションは存在しなかった。

Space Needle

さらに別のインフォメーショナルクエリの結果を試してみた – このクエリでは全く予想していなかった結果が表示された。「Space Needle」(シアトルにあるタワー)で検索を行うと、グラスは情報ではなく場所に焦点を絞ったカードを表示した。

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カードをクリックしてルートを引き出すことも、Space Needleに電話をかけることも出来るが、情報を得ることは出来なかった。同じクエリのデスクトップのナレッジグラフは、情報と場所の双方を掲載しているものの、情報に若干力を入れているように思える。

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グーグルグラスはモバイルデバイスであり、通常の検索よりもルート/場所を利用するケースが多いと考えられるため、グラスは、このタイプのクエリに対して、場所を優先するように設定しているのではないだろうか。私自身がSpace Needleがあるワシントン州にいる事実が、表示される結果に影響を与えているようには思えない。実際に「Mount Rushmore」(サウスダコタ州)をグラスで検索したところ、情報ではなく、地図がデフォルトで表示されていた。

トランザクショナルクエリ

グラスが「buy seatle mariners tickets」(シアトルマリナーズの試合のチケットを購入)等のトランザクショナルクエリに向かない点は、明白である。グーグルグラスは、ナビゲーショナルクエリと同じように、トランザクショナルクエリを処理するために開発されたわけではない。

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グラスは10枚のカードを提示してくれたが、話す、または、クリックすることが可能な結果は一つもなかった。上の画像は1枚目のカードであり、公式のマリナーズのチケット販売ページが反映されている。

グーグルグラスでグーグルナウ

グーグルナウは、グーグルグラスでもその他のモバイルデバイスと同じように動作する。メインの「ok glass」ホームスクリーンの左側には、グーグルナウ経由の情報を提供する複数のカードが用意されている。本日の太平洋時間午前11時の時点で、グラスは2枚のグーグルナウのカードを表示していた:

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天気のカードの右上の白い三角形は、クリックして「サブカード」にアクセスすることが可能である点を示しており、実際にクリックすると、グーグルナウはとてもベーシックな3日間の天気予報を提供してくれる。

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グーグルナウは、基本的には速やかに情報を提供するものの、今朝、マリナーズのカードは、試合が始まってから40分間経過してからようやく動作し始めた。2イニングまでは、昨夜の試合の結果が表示されていた

先日フィラデルフィアとサンフラシスコで車を運転している時、グーグルナウは、私が向かっているとグーグルが考えた場所の名前のカードを表示した(タップしてルートを知ることが出来る)。しかし、どちらの場合もグーグルの推測は誤っていた。

それでも、グーグルナウが提供するスポーツ関連のカードは気に入っている。先週、東海岸に滞在し、グーグル I/Oカンファレンスに参加している際に、タップ & スワイプしてマリナーズの試合結果を楽に把握することが出来た。

結論

検索を実行すると、グーグルグラスの現時点での弱点が浮き彫りになるものの、手っ取り早く、情報を得ることが出来ると言う長所もまた際立っている。検索を行うことで、グーグルグラスとは何か、そして、何を意図しているのかを再認識することが出来る。

グーグルグラスは、(写真や動画等の視覚機能を持つ)モバイル情報デバイスである。ナビゲーショナルクエリやトランザクショナルクエリを考慮して作られたわけではない。そもそもウェブブラウザ自体が存在しない。ウェブページではなく、情報を探すことを念頭に置いて開発されているのだ。また、グラスは、情報がグーグルのナレッジグラフに含まれている場合、巧みに情報を探し出す傾向が見られる(先程挙げたSpace Needleの問題は、複数のカードを提示することで容易に解決することが出来る – 場所のカードと情報のカードを提示し、ユーザーに欲しいアイテムを選ばせればよい)。また、- グーグルナウを介して求めている情報 – 推測検索の質も高い。

グーグルグラスは、ローカル検索とナビゲーションを主に意図して開発されている。次回のグーグルグラス日記でこの点を詳しく説明していく。乞うご期待。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Google Glass Diary, Part 3: How Search Works On Google Glass」を翻訳した内容です。

キーボードで文字入力するわけではありませんし、音声認識で検索する難しさというのは確かにあるのでしょうね。U2の事例がそうですが、音声検索のコツを覚えてしまえば意外と違和感ないのかもしれませんが。ナビゲーション、インフォメーションでの用途が大半なのでしょうが、いずれはトランザクションまで簡単に行えるようになるのでしょうか。この部分は検索経由というよりはグラス自体にコマース機能が搭載され、それを利用する、という形に進化していくのかもしれません。従来の(スマホ/タブレット含む)ウェブ検索を置き換える存在には当面なりそうもないですが、検索の未来を確実に感じさせてくれるレベルの機能は最初から搭載されているようですね。Google Glass、その発売が待ち遠しいばかりです。 — SEO Japan [G+]