アップルが新チップ「M1 Pro」発表、M1と比べ最大70%高速に

Apple(アップル)は米国時間10月18日、予想どおり新しいチップを発表したが、その名前はほとんどの人が予想していなかったものだった。2020年11月に発表され、様々なApple製品に搭載されてきたM1チップをさらに強化した「M1 Pro」だ。Appleは、M1 ProがオリジナルのM1よりも最大70%高速であることを約束している。

これに加えて、同社はProのさらに強力なバージョンである「M1 Max」も発表した。その詳細はこちらでご覧いただける。

M1 Proは、M1の後継とまではいかないが、基本的には既存のチップをよりパワフルにしたものだ。AppleのTim Cook(ティム・クック)CEOは、この製品を「M1ファミリーの次のチップであり、ゲームチェンジャー」と呼んでいる。

同社によると、チップの再設計を行い、チップが利用できる帯域幅を200GB/sに大幅にアップしたという。そして最大32GBのユニファイドメモリーに対応している(一部のプロユーザーにはちょっと残念かもしれない)。

この5nmチップの特徴は、より多くの、合計10個のコアを備えていることだ。そのうち8つは高性能コア、2つは高効率コアで、さらに16個のGPUコアを搭載している(初代M1の8個から増加)。このSoCには、初代M1の2倍となる合計337億個のトランジスタが搭載されている。チップにはもちろん、AIアプリのためのAppleのNeural Engineも搭載されている。

このチップは、最大2台の外部ディスプレイに対応している。

画像クレジット:Apple

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

チップ不足の影響が出始めたスマートフォン売上は6%減

Canalysが米国時間10月15日に発表した新しいレポートによると、今四半期の世界のスマートフォン販売台数は6%減少した。世界的なチップ不足が原因だ。

パンデミックはサプライチェーン全体に深刻な悪影響を及ぼしており、特にチップが大きな打撃を受けている。Canalysの主席アナリストであるBen Stanton(ベン・スタントン)氏によると、メーカーはできる限りの対応をしようとしているが、チップ不足は今のところ正真正銘の障害となっている。

「供給面では、チップセットメーカーが需要と供給のギャップを埋めるために、過剰注文を抑制するために価格を引き上げています」とスタントン氏は述べている。「しかし、それにもかかわらず、2022年に入っても不足はまだまだ解消されないでしょう」とも。

こうしたサプライチェーンの問題の結果、この四半期の市場はどうなったのだろうか?上位の常連メンバーは同じポジションを保ち、Samsung(サムスン)は前年と変わらぬ23%と安定したシェアを維持している。一方、Apple(アップル)は3ポイント増の15%となった。Xiaomi(シャオミ、小米科技)は、前年同期比横ばいの14%で3位を維持している。

画像クレジット:Canalys

特に年末商戦に向けて、メーカーはこのような事態を憂慮しているに違いない。Appleは9月末に新型iPhone 13を発売しており、今回の四半期報告には間に合わなかったが、ホリデーショッピングシーズンに合わせて発売したことは間違いない。チップ不足の問題は、その計画に水を差す可能性がある。SamsungもAppleも、モバイル機器用のチップセットを自社で製造しているとはいえ、各社ともチップ部品不足の影響を受けている。

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その結果、製造コストが上昇し続けている2021年、消費者がコストダウンを実感することはないだろうとスタントン氏はいう。その代わりに、購入インセンティブとして、携帯電話と他の機器をセットにして販売するケースが増えるのではないかと予想している。

「ユーザー側は、2021年のスマートフォンの値引きはそれほど積極的ではないと覚悟しておくべきです。しかし顧客の失望を避けるために、利益率に制約のあるスマートフォンブランドは、ウェアラブルやIoTなどの他のデバイスをバンドルして顧客に良いインセンティブを与えることを検討するでしょう」。

CNBCは14日、家電製品や消費財を製造するHisense(ハイセンスグループ)のJia Shaoqian(賈少謙)社長によると、コンシューマーチップの不足はスタントン氏の予測よりもさらに長く、おそらく2~3年は続く可能性があると報じていた。

画像クレジット:Tim Robberts / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

Google Pixel 6の相次ぐリークでカメラ・セキュリティ戦争が激化

Google 公式Pixel 6紹介ページのスクリーンショット(画像はトリミング済み)

小売業界とGoogle(グーグル)は、来たるべき同社のフラグシップモデルGoogle Pixel 6とGoogle Pixel 6 Proの情報をどちらが多くリークできるかのチキンレースを展開しているかのようだ。GoogleのPixel端末シリーズは、Android(アンドロイド)オペレーティングシステムができる限りいじられないことを望んでいる我々Android無敵艦隊にとって、伝統的な旗艦モデルだ。Pixel 5ではミッドレンジの3モデル併存で真の旗艦機種がなかったことで失望されたのをGoogleは学習したようだ。新モデルの発売数週間前に自らリークするというAppleと正反対のアプローチによって、すべての注目は新モデルデュオに向けられている。

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米国時間10月19日の発売日を前に、情報が公にされるペースが落ちる様子はない。先週末、英国の携帯ショップCarphone Warehouse(カーフォン・ウェアハウス)は2台の携帯電話の販売ページを公開した。もちろん同社はそのページをできる限り早く取り下げたが、1人のリークハンターの鷹の目がスクリーンショットを撮るより遅かった。Googleも、未発売製品の広告をさまざまなメディアで展開しており、おそらく懐疑的な人々がAppleの最近発売されたiPhone 13の「今すぐ購入」ボタンを押すのを思い止まらせようとしているのだろう。はるかに遡る8月から広告・マーケティング活動を始めているGoogleは、クパチーノ生まれの従兄弟たちに対するいくつかの優位性を強調し、激しい勢力図の中を闊歩している。

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みなさんが想像する通り、スマートフォン戦争の大部分が好戦的行動をシフトしていることを受け、リークされたページはカメラ品質を重点的に強調している。

Google Pixel 6は、Androidのトレンドである写真撮影プロセスへのコンピュータービジョンとAI機能の追加を続けている他、トップクラスのハードウェアも加えている。報道によるとPixel 6は50mpxの広角カメラと12mpxの超広角カメラを搭載している。Pixcel 6 Proは3基のカメラを備え、弟分と同じ2基に48mpxの望遠レンズが加わる。

もう1つの大きな注目点は両新機種でデビューを飾るすでに話題となっているTensor(テンサー)チップだ。

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そのマーケティングページでは、バッテリーテクノロジーに関するGoogleの宣伝にも光を当てている。適応型バッテリー性能とは、端末のバッテリーが、放電状態から50%状態までわずか30分で充電可能というもので、オペレーティングシステムには、昨今の電源からはるか遠くへ冒険する人たちのバッテリー寿命をいっそう引き伸ばすための知能が組み込まれている。同社は、ケーブル不要の高速ワイヤレス充電も力を入れて宣伝している。

主要なライバルたちがセキュリティに大きく力を入れている中、Googleもその最前線に参加し「他のどの端末よりも多いレイヤーのハードウェアセキュリティ」を謳い、セキュリティチップ、Titan M2の採用と「5年間のアップデート」による「長期にわたるセキュリティ」の確保を約束した。それがファームウェアのアップデートなのかOSアップデートなのかはまだ不明だが、Androidが、年を経て忘れられそうな端末にも責任を持つというのは明るい話題だ。

発売日が近付くにつれ、さらに多くの情報が入る予定だ。予約は来週10月19日に始まると思われる。

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nob Takahashi / facebook

「空飛ぶ」マイクロチップが風に乗り、大気汚染を調査するかもしれない

ニュースメディアのViceによると、ある研究チームが空を飛ぶデバイスとしては世界最小の可能性がある、翼の付いた砂粒ほどの大きさのマイクロチップを開発した。Natureに掲載された論文によると、このデバイスは風で運ばれるように設計されていて、疾病や大気汚染の調査など多くの用途が考えられる。また、環境汚染を防ぐために生分解性の材料で作ることもできる。

この飛行物のデザインは、コットンウッドなどの樹木の種子が綿毛で覆われ、くるくると回転する様子からヒントを得た。種子はヘリコプターのように回転するので落下が遅く、そのため風に乗って樹木から遠く離れたところまで飛んで、種の生息範囲を広げる。

米ノースウェスト大学の研究チームはこのアイデアをもとに改良し小型化した。John A. Rogers(ジョン・A・ロジャース)主任教授は「我々は生物学に勝ったと思います。同等の種子よりも遅い終端速度と安定した軌道で落下する構造を作ることができました。さらにヘリコプターのような飛行物の構造を、自然界で見られる種子よりずっと小さくすることもできたのです」と話す。

ただし空気力学が働かなくなるほどの小ささではない。ロジャース氏はViceに対し「ヘリコプターのデザインの利点は、ある長さのスケールを下回るとすべてなくなっていきます。そこで我々は可能な限り、あるいは物理学が許す限り突き詰めました。このサイズのスケールを下回ると、すべて球のようになり、落ちていきます」と語った。

このデバイスは電子部品、センサー、電源を運べる程度の大きさでもある。研究チームはアンテナなどを搭載できるバージョンをいくつかテストし、スマートフォンやデバイス間でワイヤレス通信をすることができた。空気の酸性度、水質、太陽放射などをモニターするセンサーも利用できる。

飛行物は現時点ではまだコンセプトで、環境に投入する段階にはなっていない。研究チームはデザインを変えてさらに知見を広げていく予定だ。その際に重要なのは、環境に残留しないように生分解性の材料を使うことだ。

ロジャース氏は「我々はこのデバイスを永続的にモニタリングをするための部品ではなく、一定の期間内で特定のニーズを解決するための一時的なものだと考えています。現時点で想定しているのは、1カ月間モニターし、その後デバイスが動かなくなり、溶けて消えて、新たに投入し直すようなものです」と述べた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nature

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(文:Steve Dent、翻訳:Kaori Koyama)

ロボット、チップ、完全自動運転、イーロン・マスク氏のTesla AI Dayハイライト5選

Elon Musk(イーロン・マスク)氏はTesla(テスラ)を「単なる電気自動車会社ではない」と見てもらいたいと考えている。米国時間8月19日に開催されたTesla AI Day(テスラ・AI・デー)で、イーロン・マスクCEOはテスラのことを「推論レベルとトレーニングレベルの両方でハードウェアにおける深いAI活動」を行っている企業であると説明した。この活動は、自動運転車への応用の先に待つ、Teslaが開発を進めていると報じられている人型ロボットなどに利用することができる。

Tesla AI Dayは、映画「マトリックス」のサウンドトラックから引き出された45分間にわたるインダストリアルミュージックの後に開始された。そこでは自動運転とその先を目指すことを支援するという明確な目的のもとに集められた、テスラのビジョンとAIチームに参加する最優秀のエンジニアたちが、次々に登場してさまざまなテスラの技術を解説した。

「それを実現するためには膨大な作業が必要で、そのためには才能ある人々に参加してもらい、問題を解決してもらう必要があるのです」とマスク氏はいう。

この日のイベントは「Battery Day」(バッテリー・デー)や「Autonomy Day」(オートノミー・デー)と同様に、テスラのYouTubeチャンネルでライブ配信された。超技術的な専門用語が多かったのだが、ここではその日のハイライト5選をご紹介しよう。

Tesla Bot(テスラ・ボット):リアルなヒューマノイド・ロボット

このニュースは、会場からの質問が始まる前にAI Dayの最後の情報として発表されたものだが、最も興味深いものだった。テスラのエンジニアや幹部が、コンピュータービジョンやスーパーコンピュータDojo(ドージョー)、そしてテスラチップについて語った後(いずれも本記事の中で紹介する)、ちょっとした幕間のあと、白いボディスーツに身を包み、光沢のある黒いマスクで顔が覆われた、宇宙人のゴーゴーダンサーのような人物が登場した。そして、これは単なるテスラの余興ではなく、テスラが実際に作っている人型ロボット「Tesla Bot」の紹介だったことがわかった。

画像クレジット:Tesla

テスラがその先進的な技術を自動車以外の用途に使うことを語ろうとするときに、ロボット使用人のことを語るとは思っていなかった。これは決して大げさな表現ではない。CEOのイーロン・マスク氏は、食料品の買い物などの「人間が最もやりたくない仕事」を、Tesla Botのような人型ロボットが代行する世界を目論んでいるのだ。このボットは、身長5フィート8インチ(約173cm)、体重125ポンド(約56.7kg)で、150ポンド(約68kg)の荷物を持ち上げることが可能で、時速5マイル(約8km/h)で歩くことができる。そして頭部には重要な情報を表示するスクリーンが付いている。

「もちろん友好的に、人間のために作られた世界を動き回ることを意図しています」とマスク氏はいう。「ロボットから逃げられるように、そしてほとんどの場合、制圧することもできるように、機械的そして物理的なレベルの設定を行っています」。

たしかに、誰しもマッチョなロボットにやられるのは絶対避けたいはずだ(だよね?)。

2022年にはプロトタイプが完成する予定のこのロボットは、同社のニューラルネットワークや高度なスーパーコンピューターDojoの研究成果を活用する、自動車以外のロボットとしてのユースケースとして提案されている。マスク氏は、Tesla Botが踊ることができるかどうかについては口にしなかった。

関連記事:テスラはロボット「Tesla Bot」を開発中、2022年完成予定

Dojoを訓練するチップのお披露目

画像クレジット:Tesla

テスラのディレクターであるGanesh Venkataramanan(ガネッシュ・べンカタラマン)氏が、完全に自社で設計・製造されたテスラのコンピュータチップを披露した。このチップは、テスラが自社のスーパーコンピュータ「Dojo」を駆動するために使用している。テスラのAIアーキテクチャの多くはDojoに依存している。Dojoはニューラルネットワークの訓練用コンピューターで、マスク氏によれば、膨大な量のカメラ画像データを他のコンピューティングシステムの4倍の速さで処理することができるという。Dojoで訓練されたAIソフトウェアは、テスラの顧客に対して無線を通じてアップデートが配信される。

テスラが8月19日に公開したチップは「D1」という名で、7nmの技術を利用している。べンカタラマン氏はこのチップを誇らしげに手に取りながら、GPUレベルの演算機能とCPUとの接続性、そして「現在市販されていて、ゴールドスタンダードとされている最先端のネットワークスイッチチップ」の2倍のI/O帯域幅を持っていると説明した。彼はチップの技術的な説明をしながら、テスラはあらゆるボトルネックを避けるために、使われる技術スタックを可能な限り自分の手で握っていたかったのだと語った。テスラは2020年、Samsung(サムスン)製の次世代コンピューターチップを導入したが、ここ数カ月の間、自動車業界を揺るがしている世界的なチップ不足から、なかなか抜け出せずにいる。この不足を乗り切るために、マスク氏は2021年夏の業績報告会で、代替チップに差し替えた結果、一部の車両ソフトウェアを書き換えざるを得なくなったと語っていた。

供給不足を避けることは脇においても、チップ製造を内製化することの大きな目的は、帯域幅を増やしてレイテンシーを減らし、AIのパフォーマンスを向上させることにあるのだ。

AI Dayでべンカタラマン氏は「計算とデータ転送を同時に行うことができ、私たちのカスタムISA(命令セットアーキテクチャ)は、機械学習のワークロードに完全に最適化されています」と語った。「これは純粋な機械学習マシンなのです」。

べンカタラマン氏はまた、より高い帯域幅を得るために複数のチップを統合した「トレーニングタイル」を公開した。これによって1タイルあたり9ペタフロップスの演算能力、1秒あたり36テラバイトの帯域幅という驚異的な能力が実現されている。これらのトレーニングタイルを組み合わせることで、スーパーコンピューター「Dojo」が構成されている。

完全自動運転へ、そしてその先へ

AI Dayのイベントに登壇した多くの人が、Dojoはテスラの「Full Self-Driving」(FSD)システムのためだけに使われる技術ではないと口にした(なおFSDは間違いなく高度な運転支援システムではあるものの、まだ完全な自動運転もしくは自律性を実現できるものではない)。この強力なスーパーコンピューターは、シミュレーション・アーキテクチャーなど多面的な構築が行われており、テスラはこれを普遍化して、他の自動車メーカーやハイテク企業にも開放していきたいと考えている。

「これは、テスラ車だけに限定されるものではありません」マスク氏。「FSDベータ版のフルバージョンをご覧になった方は、テスラのニューラルネットが運転を学習する速度をご理解いただけると思います。そして、これはAIの特定アプリケーションの1つですが、この先さらに役立つアプリケーションが出てくると考えています」。

マスク氏は、Dojoの運用開始は2022年を予定しており、その際にはこの技術がどれほど多くの他のユースケースに応用できるかという話ができるだろうと語った。

コンピュータビジョンの問題を解決する

AI Dayにおいてテスラは、自動運転に対する自社のビジョンベースのアプローチの支持を改めて表明した。これは同社の「Autopilot」(オートパイロット)システムを使って、地球上のどこでも同社の車が走行できることを理想とする、ニューラルネットワークを利用するアプローチだ。テスラのAI責任者であるAndrej Karpathy(アンドレイ・カーパシー)氏は、テスラのアーキテクチャを「動き回り、環境を感知し、見たものに基づいて知的かつ自律的に行動する動物を、ゼロから作り上げるようなものだ」と表現した。

テスラのAI責任者であるアンドレイ・カーパシー氏が、コンピュータビジョンによる半自動運転を実現するために、テスラがどのようにデータを管理しているかを説明している(画像クレジット:Tesla)

「私たちが作っているのは、もちろん体を構成するすべての機械部品、神経系を構成するすべての電気部品、そして目的である自動運転を果たすための頭脳、そしてこの特別な人工視覚野です」と彼はいう。

カーパシー氏は、テスラのニューラルネットワークがこれまでどのように発展してきたかを説明し、いまやクルマの「脳」の中で視覚情報を処理する最初の部分である視覚野が、どのように幅広いニューラルネットワークのアーキテクチャと連動するように設計されていて、情報がよりインテリジェントにシステムに流れ込むようになっているかを示した。

テスラがコンピュータービジョンアーキテクチャーで解決しようとしている2つの主な問題は、一時的な目隠し(交通量の多い交差点で車がAutopilotの視界を遮る場合など)と、早い段階で現れる標識やマーク(100メートル手前に車線が合流するという標識があっても、かつてのコンピューターは実際に合流車線にたどり着くまでそれを覚えておくことができなかったなど)だ。

この問題を解決するために、テスラのエンジニアは、空間反復型ネットワークビデオモジュールを採用した。このモジュールのさまざまな観点が道路のさまざまな観点を追跡し、空間ベースと時間ベースのキューを形成して、道路に関する予測を行う際にAIモデルが参照できるデータのキャッシュを生成する。

同社は1000人を超える手動データラベリングチームを編成したと語り、さらに大規模なラベリングを可能にするために、テスラがどのように特定のクリップを自動ラベリングしているかを具体的に説明した。こうした現実世界の情報をもとに、AIチームは信じられないようなシミュレーションを利用して「Autopilotがプレイヤーとなるビデオゲーム」を生み出す。シミュレーションは、ソースやラベル付けが困難なデータや、閉ループの中にあるデータに対して特に有効だ。

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テスラのFSDをとりまく状況

40分ほど待ったときに、ダブステップの音楽に加えて、テスラのFSDシステムを映したビデオループが流れた、そこには警戒していると思われるドライバーの手が軽くハンドルに触れている様子が映されていた。これは、決して完全に自律的とは言えない先進運転支援システムAutopilotの機能に関する、テスラの主張が精査された後で、ビデオに対して法的要件が課されたものに違いない。米国道路交通安全局(NHTSA)は 今週の初めにテスラが駐車中の緊急車両に衝突する事故が11件発生したことを受け、オートパイロットの予備調査を開始することを発表した。

その数日後、米国民主党の上院議員2名が連邦取引委員会(FTC)に対して、テスラのAutopilot(自動操縦)と「Full Self-Driving」(完全自動運転)機能に関するマーケティングおよび広報活動を調査するよう要請した。

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テスラは、7月にFull Self-Drivingのベータ9版を大々的にリリースし、数千人のドライバーに対して全機能を展開した。だが、テスラがこの機能を車に搭載し続けようとするならば、技術をより高い水準に引き上げる必要がある。そのときにやってきたのが「Tesla AI Day」だった。

「私たちは基本的に、ハードウェアまたはソフトウェアレベルで現実世界のAI問題を解決することに興味がある人に、テスラに参加して欲しい、またはテスラへの参加を検討して欲しいと考えています」とマスク氏は語った。

米国時間8月19日に紹介されたような詳細な技術情報に加えて、電子音楽が鳴り響く中で、Teslaの仲間入りをしたいと思わない血気盛んなAIエンジニアがいるだろうか?

一部始終はこちらから。

画像クレジット:Tesla

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(文:Rebecca Bellan、Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

AIを使ってチップ製造を大幅にスピードアップするMotivoが約13億円を調達

チップデザインは試行錯誤を繰り返す骨折りの仕事であり、世に出すまでに何年もかかる。チップ業界のベテランが興した創業5年のスタートアップMotivo(モティボ)は、AIを使ってチップデザインにかかる時間を年単位から月単位にスピードアップするためのソフトウェアを手がけている。同社は米国時間8月12日、1200万ドル(約13億円)のシリーズAを発表した。

Intel Capitalが新規投資家のStorm Ventures、Seraph Groupとともにラウンドをリードし、Inventus Capitalも参加した。その前のシードラウンドを含めMotivの累計調達額は2000万ドル(約22億円)になった。

Motivoの共同創業者でCEOのBharath Rangarajan(バラース・ランガージャン)氏はチップ業界で30年働き、いくつかの基本的なトレンドや問題を目にした。まず、チップデザインのプロセスは非常に時間がかかるものであり、有望な候補を生み出してマーケット展開するまでに数年かかる。

さらに、ますますパワフルになっているチップにより多くのエレクトロニクスを搭載するというムーアの法則にしたがって、これらのデザインは複雑さが増している。そしていざ製造段階になると、製造のために多くの無駄が生じる。ランガージャン氏は人工知能がデザインプロセスで機能するよう、そして製造サイクルで高精度を確保しながらチップをより早くマーケットに投入できるようにするために会社を興した。

「人間並みの判断力を持たせるためにAIエンジンを訓練し、問題を起こすことなくデザインに関する製造可能性のためにデザイン面で多くのことができます。反復ループを回避し、またコードや認証、タイミングもデザインできます。これらの作業は週単位や月単位、あるいは1日単位となります」と同氏は話す。

同社の最終的な目標は、ソフトウェアと知能を活用してチップデザインの過程を3年から3カ月に凝縮させることだ。まだそこには至っていないが、すでに問題に取り組み始め、チップのレイアウト、チップを動かす潜在的なRTLコード、そしてチップ上のさまざまなピースやエレクトロニクスがどのようにつながっているかを示すネットリストに着目した作業プロダクトを持っている。

差異化要因の1つは、同社がなぜ取り組むことを決めたのかを説明するためにAIを透明性あるものにしようとしていることだ。「AIの多くがブラックボックスです。自動運転車がなぜこの点で急に逸脱することにしたのかはわかりません。当社のAIは理解可能なものです。なぜAIがそのように、あるいは別のようにチップを変更するよう言っているのかを説明することができるよう、ソリューションを構築しました」とランガージャン氏は説明する。

同社は有料の顧客を抱えている。社名は明らかにできないが、おそらくこの種のソフトウェアに限定したマーケットがあり、チップ企業、特に今回のラウンドのリード投資家であるIntel Capitalがそこには含まれると知識に基づいて推測できるはずだ。Motivoの現在の従業員数は15人で、うち12人がフルタイムで働いている。今後どうなるかにもよるが、同社は来年、従業員数を2倍あるいは3倍に増やす計画だ。

特定のエンジニアリングを専門とする人材を求める企業にとって採用は常に難しいものだ。しかし、同社のチームはすでにかなり多様性に富んでいる、とランガージャン氏は話し、創業したときのように今後も引き続き多様性を促進することを明確にしている。「会社に加わる正しい人物を見つけなければなりません。あらゆる優秀な人やバックグラウンドを持つ人を求めます。実際、多様な方が良いのです。当社は、この業界で育ち、多くの経験を持っている人を獲得しました。そしてかなり多様性に富んだチームを築きました」とランガージャン氏は述べた。

現在のところ、出社を望む人は出社し、まだワクチンを接種していない小さな子どもを抱えている人など、出社を望まない人は引き続き在宅で働けるハイブリッド勤務体制を継続する計画だと同氏は話した。そうしたフレキシブルさはオフィスが完全再開した後も継続する。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Motivo資金調達チップ人工知能

画像クレジット:Monika Sakowska / EyeEm / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Intelが薄型軽量ノートPC向け第11世代Core新SKU2種と同社初の5Gモデム発表、バーチャルCOMPUTEX 2021で

Intel(インテル)は、2021年のバーチャルCOMPUTEXの基調講演で、薄型軽量ノートPC向けの第11世代Core Uシリーズ(開発コードネーム Tiger Lake-U)新SKU2種を発表した。また、MediaTekとの提携で設計された、同社初の5G製品となるM.2カード型5GモジュールもノートPC用に発表している(Intelは2019年にスマートフォン用モデム事業をAppleに売却している)。

Intelの新チップは、いずれもIntel Iris Xeグラフィックスを採用している。フラッグシップモデルは「Core i7-1195G7」で、ベースクロックは2.9GHzだが、InteのTurbo Boost Max 3.0技術を使えば、シングルコアで最大クロック5.0GHzに達する。もう1つのチップは「Core i5-1155G7」と呼ばれ、そちらのベースクロックは2.5GHz、シングルコア最大クロック4.5GHzとなっている。どちらのCPUも4コア8スレッドという点は変わらない。

インテルの新第11世代チップ比較表

「Intel 5G Solution 5000」と呼ばれるM.2拡張カード形状の5G通信モジュールは、5G NRミッドバンド、サブ6GHz帯、eSIM技術に対応している。Intelは、北米、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)、APAC(アジア太平洋地域)、日本、そしてオーストラリアのテレコム業者とパートナーシップを結んでいる。このモジュールは、2021年末までにAcer(エイサー)、ASUS(エイスース)、HPなどのメーカーが製造するノートパソコンに搭載される予定。また、OEMメーカー各社も第11世代Uシリーズチップをベースにした250種類のデザインに取り組んでおり、2021年のホリデーシーズンまでに市場に投入される予定だという。

インテルの新しい5G M.2モジュールのスペック

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:IntelチップCOMPUTEXCOMPUTEX 20215G

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)