訪日外国人旅行者解析「inbound insight」運営のナイトレイが1.3億円の調達、今後はより幅広いサービスを提供

Inbound insightの「SNS解析」のデータの一部

Inbound insightの「SNS解析」のデータの一部

東京に住んでいると、この数年で旅行者らしき外国人を見かける機会が確実に増えたのを感じる。実際のところ訪日外国人旅行者は増加の一途にあり、2016年には過去最高の2403万人超という数字を記録した。政府は2020年の訪日外国人旅行者4000万人という数字を掲げており、インバウンド対策のニーズは高まるばかりだ。

そんな彼らの行動をSNSや各種データから解析するのが「inbound insight」だ。サービスを提供するナイトレイは2月27日、ニッセイ・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、レジェンド・パートナーズを引受先とした総額1億3000万円の資金調達を実施した。

ナイトレイ代表取締役の石川豊氏

ナイトレイ代表取締役の石川豊氏

inbound insightはSNSへの投稿(公開情報)をもとにして訪日外国人観光客の位置や移動の情報を可視化する独自のSNSデータ解析に加え、ドコモ・インサイトマーケティングやヴァル研究所などのパートナー企業、経済産業省などの官公庁が持つデータを元にした訪日外国人の統計データなどを提供している。現在、無料プランを含めて約4400社が利用中だ。

「現場で訪日外国人に大して製品やサービスを提供する企業のほか、決済や広告などを企業に提供したい人達が利用している。国ごとの旅行者の滞在傾向までを読み解くことができると、『ある国の旅行者が増加するタイミングで、どんなアクションをすべき』というところまで明確にしてソリューションを提供できるようになる。これまではインバウンドに関して、仮説を立てることができてもその裏付けや効果検証が難しかった。ナイトレイはそういったこれまで難しかった部分をお手伝いしている」(ナイトレイ代表取締役の石川豊氏)

ユーザーからの声でインバウンド解析に挑戦

ナイトレイの設立は2011年。当初から「ロケーションデータの解析で未来をつくる」というコンセプトを掲げてSNS解析サービスを手がけてきたが、ビジネス的には苦戦。「ニーズや新しさは評価されて売上こそ挙げていたが、上場や資金調達を目指せるまでではないという状況だった」(石川氏)という。そんな中でユーザーの提案でインバウンドに特化した解析サービスの提供について相談を受け、inbound insightの開発に着手した。「データフォーマット自体は既存サービスとそんなに変わるモノではなかったが、例えば英語でのSNS投稿について、ただそれだけではどの国の人か判断できないが、そこまでを解析すると言うモノにしたのが強み」(石川氏)

ナイトレイでは今回の調達をもとに、inbound insightの開発を強化するほか、カープローブや各種の位置情報や移動情報を解析するロケーションインテリジェンス事業、さらにはアプリ事業(すでに外国人観光客向けの日本情報提供アプリ「ZouZou」と、日本人向けの昼食提案アプリ「AbcLunch」をリリースしている。いずれも無料)を展開。3つの領域での事業の拡大を目指すとしている。

今後の事業展開のイメージ

今後の事業展開のイメージ

「アプリやセンシングデバイスなど、ロケーションデータはナイトレイだけで取得できない範囲にもたくさんあるので、パートナーらとそれを解析していく。ロケーションは特殊なデータ。時間と緯度経度というシンプルなものだが、どういう意味を持つかの判断が難しい。ナイトレイには、SNSを元にして『どこでどんなことが起こっているか』という情報がリアルタイムに集まっている。これを前提にしてデータを解析すると、単独のデータでは分からないことが見えてくる。1つの例だが、『駐車場に3時間車を止めていた』という1つのデータから、その周辺にゴルフ場があって、さらにその場所が盛り上がっていたというデータがあれば、『その3時間は車を止めてゴルフに行っていた』というところまで分かる」(石川氏)

ちなみに石川氏に東京オリンピック開催後——2020年以降のインバウンド需要に聞いたところ、「世界的に見れば、フランスなどの外国人旅行者は約8000万人。日本でも国として現実的に受け入れられる気がしている。またオリンピックが終わったからといって『もうその国はいいよね』となると考えるのは理論的でない。一方で為替の影響はある。円高になると日本には行きづらい。だが、口コミも含めて『日本ってすごい、また行きたい』と思う人は増えている」という回答があった。

京都発、イラストマップや古地図と現在地が連動する「Stroly」で街歩きが変わる

ポケモンGOを始めて起動した時、見慣れた街が一変した。ARでポケモンが普段の見慣れた風景に出現したのも目新しかったが、ポケストップをタップすると、今まで気にも留めなかった場所が実は歴史上の遺跡や名所だったことを発見できたことにも新鮮な驚きがあった。京都発のスタートアップStorlyは地図に新たな見方を提案するサービスを開発している。同社は本日、イラストマップや古地図とGPSによる位置情報を連動させるプラットフォーム「Stroly (ストローリー) α版」を2月21日にローンチしたことを発表した。

古地図やイラストマップは、縮尺や位置情報が正確ではないことが多いだろう。これでは地図を持って街歩くするのが難しい。Storlyでは、そうした古地図やイラストマップでもGPSによる位置情報を照らし合わせて、地図を提示することができる。サービス内でイラストマップと現代の地図とを切り替えることも可能だ。

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Storlyで見れる江戸古地図(1844)。左が古地図上の増上寺、右が現代の地図。

Strolyでは自作のイラストマップを作成することもできる。イラストの画像を取り込み、画像と実際の緯度・経度との対応付けを行って投稿するだけでいい。地図にはおすすめの店舗やスポットを「ランドマーク情報」として登録することもできる。Strolyのおすすめマップには京都の観光イラストマップや古地図が20種類以上揃っていて、気に入ったのがあればマイページに保存しておける。

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京都のスイーツを特集したイラストマップ

Strolyはもともと2005年に国際電気通信基礎技術研究所の社内ベンチャーとして始まり、2016年にMBOを経て、独立したと同社の代表取締役社長である高橋真知氏は説明する。

デジタルとアナログのいいとこ取り

高橋氏は「地図が変わると、世界の見え方が変わります。様々なテーマの地図により、その地域の良さや魅力を広めることができると考えています」とStorlyのコンセプトについて説明する。Google Mapsでは目的地までの最短距離を知るには便利なものの、地域の良さが伝わらなかったり、新しいものには出会いづらい。一方で、地域で配布している紙のイラスト地図には、その地域の情報がキュレートされているが、使い終わったら捨てられてしまうし、現在地が分かりづらいという欠点がある。デジタルとアナログの良いとこ取りができるサービスとして考えたのがStrolyと高橋氏は言う。

Storlyは自体はコンシューマーが利用できるものだが、事業としては法人向けサービスを提供する。具体的には自治体やエリアプロモーションを行いたい企業と提携して、地図の作成及び地図のデジタル化サービスや制作した地図の利用データの提供を行う。すでに京都市と協力し、観光施設や交通機関をまとめた「京歩きマップ」Stroly内で提供する実証実験を開始しているそうだ。現在はWebブラウザのみで提供しているが、今後はアプリを開発する予定という。

Strolyは京都のけいはんなオープンイノベーションセンターに入居しているスタートアップだ。周りにアプリなどを手がけるIT系スタートアップは少ないが、京都には観光資源が多く、Strolyの事業が活かせる環境にあると高橋氏は話している。ゆくゆくは、B2Cサービスの展開や海外展開を行うことも視野に入れているという。

屋内外問わずGPSで子どもの見守り ー Jiobitが300万ドルを調達

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シカゴに拠点を置くJiobitは、ワイヤレステクノロジーを使って、子どもがいつどこにいようが親が安心できるような環境を築こうとしている。同社のフラッグシップ機は、バッテリー寿命が長く、ドタバタと動き回る幼児や児童がどこにいるか確実に把握することができ、子どもが想定範囲外に出てしまったときはモバイルアプリ経由で親に通知を送ることもできる。

以前Motorola Mobilityでヴァイスプレジデントを務めていた、JiobitのCEO兼ファウンダーのJohn Renaldiは、GPSを使って子どもがいる場所を確認するプロダクトはこれまでにもあったと話す。しかし、彼自身の子どもがシカゴのミレニアムパークで迷子になり、20分間も必死に子どもを探し続けた経験から、これまでの製品のほとんどは位置情報の詰めが甘く、屋内外どちらでもうまく機能するものがないということにRenaldiは気付いた。親が子どもを連れて行くことの多い美術館やスーパー、ホテル、病院など、街中に溢れる屋内施設を考えると、これは深刻な問題だ。

小さな白い直方体のような見た目のプロダクトは、角が丸められており、子どものベルトループやジャケット、バックパックなどに簡単に取り付けられるようになっている。また柔らかいシリコン素材からできているため、敏感な子どもの肌にも優しく、重さは単三電池一本分ほどだ。使用頻度にもよるが、バッテリーは平均で2、3週間に1回充電するだけで良い。

Jiobitのモバイルアプリを使えば、子どもが予期せぬ場所へ向かったときに、親もしくは親公認の保護者に通知が送られるようになっている。さらに機械学習の技術によって、Jiobitは自動的に子どもの活動範囲を特定できるため、親は事前に「ルール」や子どもの行動範囲を指定しなくてもいい(マニュアルで設定することも可能)。そして毎日の子どもの動きがレポートとして親のもとに届くようになっている。子どもの情報が第三者に漏れてしまわないように、アプリやデバイスが送受信するデータは全て暗号化されている(JiobitによればどちらもCOPPAに準拠している)。

Jiobitはこの度、位置情報サービスに明るい投資家からシードラウンドで300万ドルを調達した。具体的には自動運転トラックを開発しているOtto(現在はUber子会社)の共同ファウンダーのLior Ronや、シカゴを拠点とするMATH Venture Partners、Inflection Equityなどがラウンドに参加していた。

Lior RonはJiobitへの投資を決めた理由のひとつとして、Renaldiの才能を挙げた。ふたりはMotorola時代の同僚で、RonはMoto 360やその他のウェアラブル・モバイルデバイスの開発を率いていた。さらに彼は、上手く設計され、じょうぶで正確なJiobitのプロダクトは、子どもを守り、親を安心させることで世界を変える力を持っていると考えている。

「みんながより良い生活を送れるように日常に溢れるものをスマート化したり、人がもっとスマートになるようにAIをつくったりするチャンスはどこにでも転がっています。次のイノベーションの波は、交通の分野であれ、医療や住宅であれ、このふたつを組合せた素晴らしいチームによって生み出されることになるでしょう。ここ最近はそんなチームに投資しています。そもそもOttoとUberの自動運転技術の開発に忙しいので、投資先は選り好みしています」と彼は話す。

Renaldiによれば、Jiobitは今回調達した資金を、人員の強化やデバイスとアプリの市場デビューへの準備にあてる予定だ。同社は今年中に事前販売をスタートさせる計画だが、具体的な日にちは明かされなかった。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Uberがバックグラウンドで乗客の位置情報の収集を開始した

FILE - In this Dec. 16, 2015 file photo a man leaves the headquarters of Uber in San Francisco. Uber and advocates for the blind have reached a lawsuit settlement in which the ride-hailing company agrees to require that existing and new drivers confirm they understand their legal obligations to transport riders with guide dogs or other service animals. The National Federation of the Blind said Saturday, April 30, 2016, that Uber will also remove a driver from the platform after a single complaint if it determines the driver knowingly denied a person with a disability a ride because the person was traveling with a service animal. (AP Photo/Eric Risberg, File)

あなたはダウンタウン高層ビルでの予約したセラピーに向かっている途中だと想像して欲しい。あなたはUberを呼び、セラピーの前に軽食でも取ろうと、目的地近くのコーヒーショップを行き先として入力する。車の中では、Instagramを眺めたり、メールをチェックしたり。車を降りて、コーヒーを買って、角を曲がればセラピストのオフィスだ。

もしアプリの最新アップデートを行っていたなら、Uberはこれらの位置情報の全てを追跡していたことになる。

アプリのアップデート(確かめたい人のために:バージョン3.222.4だ)によって、Uberはユーザーからの位置データの収集方法を変更した。以前は、ユーザーがアプリを開いている間(フォアグラウンドの間)だけ、Uberは位置情報を収集していたが、今やUberはユーザーに、その位置を常に会社と共有するように求めてくる。

Uberによれば、アプリが携帯電話のバックグラウンドで実行されている間、位置を絶えず収集することは可能ではあるものの、その機能は使用しないということだ。その代わりに、Uberは、サービスを改善するために位置データがもう少しだけ必要で、デバイスレベルの権限の都合から、一定のアクセスを求めなければならないのだと主張している。

具体的には、Uberは乗客が乗車を要求した瞬間から、運転手が乗客を降ろしてから5分後まで、その位置を追跡したいと考えている。たとえアプリが携帯電話でフォアグラウンド状態でなくてもだ。以前なら、Uberは、乗車中の乗客のバックグラウンド状態での位置や、降車後の位置を集めたりはしていなかった。

同社はこの情報を降車時と乗車時のサービスを改善するために利用する、そこはずっとUberや他の配車サービスが苦慮している点なのだ。乗客と運転手がコンタクトをとる最も多い理由は、アプリケーションが正確な場所を提供していない場合にコミュニケーションをとるためである。そしてUberはこうした乗車時の混乱を減らしたいと思っているのだ。

Uberははまた、乗客が降車後どれくらい頻繁に通りを直接横断しているのかを追跡したいと思っている、こちらは安全上の問題を示していると同社が考えているからだ。乗客は目的地に達するために道路を横切らなくても良かったはずだ、と広報担当者は説明する。降車後にユーザーを追跡することで、ドライバーが危険な場所に乗客を降ろしたかどうかを判定するのに役立つのだ。

「ETA(到着予測時刻)をより正確にし、特定の通りにおける最適なピックアップ位置を特定することで、私たちはお客さまの体験を向上させる方法を常に考えています、位置情報はUberの経験の中心であり、乗客の皆さまに、これらの目標を達成するための情報提供を求めているのです」とUber広報担当者は述べている。

バックグラウンドでの位置データの新しい収集は、乗客にとっては驚くようなものかもしれないが、Uberは昨年この変更のための基礎固めを行っている。同社は昨年の夏にプライバシーポリシーを更新して、バックグラウンドの位置情報収集を可能にしたために、プライバシーグループからの反発と、連邦取引委員会(FTC)への訴状を受けている

Uberはバックグラウンド位置データによって「新しい有益な機能を提供できる。例えばユーザーがアプリを開いた際により早く立ち上がる(現在はアプリを開いてから周辺の乗車可能な車が表示されるまでには遅れがある、これはアプリが現在地を特定しようとしているからだ)」とその時に語っている。最新のアプリのアップデートにより、Uberはついに昨年のプライバシーポリシーの変更を活かしたことになる。

Uberに対する訴状をFTCに提出した電子プライバシー情報センター(The Electronic Privacy Information Cente)は、提案されたバックグラウンド位置情報収集を「違法で欺瞞的な商取引」と呼んでいる。しかし、Uberはバックグラウンドの位置収集を開始する前にユーザーの同意を得ており、また乗客がGPSの許可を求められる際に変更点を説明するページへのリンクを示していると主張しいている。

1月にニューヨーク州検察局は、プライバシー・グループが提起した問題のいくつかを取り上げ、Uberとの和解に達した。合意事項として、Uberはユーザーの位置情報を暗号化(携帯電話から、及びUberのサーバー同士での送信時)することが求められ、同社によって保存されるGPSデータは多要素認証で保護されなければならいことになった。

しかし、乗客の中には、Uberの車を降りた後や、バックグラウンドでアプリが起動している間に、位置情報を追跡されることを不快に思う人もいるかもしれない。 Uberと余計な位置情報を共有したくない人は、携帯電話の設定で位置情報共有をオフにすることができる。その場合、続けるためにはUberが場所を知る必要がある、といった告知が表示されるものの、ピックアップのための住所は手入力で行うことができる。

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(翻訳:Sako)

仏スタートアップZenly、位置情報共有アプリでBenchmarkから2250万ドルを調達

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フランスのスタートアップZenlyが、この夏にかけてBenchmarkほか数件の投資家から2250万ドルを調達した。このラウンドについては最初にBusiness Insiderが報じ、TechCrunchでも公式な確認を得た。我々がつかんだ詳細は以下のとおりだ。

今回のラウンドのリード投資家はBenchmarkが務め、同社のPeter FentonがZenlyの取締役会に加わった。Fentonはこれまでにいくつかのソーシャルネットワーク企業に投資しており、Twitterの取締役も務めている。本ラウンドでは既存の投資家であるIdinvestとXavier Nielからも追加投資があった。Insight Venture Partnersの共同設立者Jerry Murdockも個人的に出資したという。

さらに興味深いのは、Benchmarkがこのフランス企業に直接投資した点だ。多くのアメリカのVCは米国企業に投資することを希望する。そのため、フランスのスタートアップが多額の費用をかけてアメリカに会社を移すことになる場合もある。そう考えると今回の直接投資の意義は深い。Benchmarkは時間を無駄にしたくなかったようだ。

今回のラウンドはイントロから銀行口座への入金までわずか28日間でスピーディーだった。Zenlyは昨年のシリーズAラウンドで1120万ドル(1000万ユーロ)を調達しており、口座にはまだ潤沢な資金が残っていたはずだが、Benchmarkに「ノー」とは言い難かったに違いない。

「友達が今どこに誰といるのかを可視化できれば、プロダクトとしての機会は大きく拓かれます。今後うまく達成して行ければ、歴史に残る象徴的な企業へと成長するでしょう」とFentonは語る。「Zenlyチームの技術的専門性の深さと、ソーシャルエンゲージメント全般の基礎となるマップ機能についてのビジョンは、即断するだけの説得力があるものでした」。

もしも本件ついての「エピソード1」を見逃していたら、筆者が以前に記した、この前途有望な位置情報共有アプリZenlyの長い長い紹介記事(英語)を読んでみて欲しい。これは新手のチェックインアプリでもなければ「友達は今どこ?」タイプのアプリでもない。それらをさらに超えたアプリなのだ。

Zenlyは位置情報の共有をふたたび「クール」なものにしたいと願っている。同社は基本部分の見直しに莫大な時間を費やしてきた。現行ではZenlyを使うと自分の現在位置を何人かの、あるいは何十人かの友達と簡単に共有できるようになっている。

反応は、というと、ティーンに大好評で、すでにアプリのダウンロードは200万件にのぼるという。しかもこれはまだ「始まり」だ。Zenlyは現在の基本機能に、さらに何層もの有用なデータを追加する予定だ。

たとえば、友達がどこかで集まっていたら通知を受け取り、パーティーに乗り遅れないで済む。同様にZenlyならば他のアプリに先駆けて人気スポットを知ることができる。なぜなら人々がいつそこに行くかを知っているからだ。

Zenlyが勝負するのは非常に競争の激しい分野であるため、その道のりは長くなるだろう。これまでもGoogle、Apple、Uberのようなテック企業が最良の地図サービスを作り上げようと努力を重ねてきている。マップにピンを立てるだけの機能をさらに超えたものを目指すZenlyは、独自の地図データを構築せねばならないだろう。

Zenlyの従業員は現在35名で、向こう数週間でサンフランシスコにオフィスを開設する予定だ。エンジニアリングチームの大部分はフランスに置き、オフィス2か所で運営するつもりだという。この多額の資金調達を果たしたスタートアップは、当面は資金繰りを心配せず、プロダクトに集中できることだろう。

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(翻訳:Ayako Teranishi / website

ポケモンGOが世界で推定7500万ダウンロードを達成

This photo illustration taken in Tokyo on July 13, 2016 shows the Pokemon official site through a Japanese internet website announcing the latest information for "Pokémon GO".
With Pokemon-mania sweeping the planet, Nintendo's nascent shift into mobile gaming has proved a massive hit, vindicating the Japanese videogame giant's decision to unshackle itself from a long-standing consoles-only policy. / AFP / KAZUHIRO NOGI / TO GO WITH Japan-US-IT-Nintendo-Pokemon-lifestyle,FOCUS by Harumi OZAWA
        (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)

ポケモンGOはすでに1つ公式な記録を打ち立てている。App Storeでローンチした間で最もダウンロードされたアプリになった。しかし、今後も新たな記録を次々と打ち立てていくだろう。アプリのアナリティクスを手がけるSensor Towerは、 先週末にはGoogle Playだけで推定5000万ダウンロードを達成したのも新たな記録であり、同社のデータよるとiOSとAndroidの両方では推定7500万ダウンロードに達するという。

ポケモンGOがAndroidのダウンロード数、5000万を達成した速さは、Sensor Towerがトラックしているゲームの中で最速である。このニュースの意味を理解するために、他のパフォーマンスが良いAndroidアプリと比較してみたい。次に5000万ダウンロードを早く達成したのはパズルゲームの「Color Switch」で、それに「Slither.io」が続く。だが、それぞれ77日と81日かかっていた。ポケモンGOは同じマイルストーンを達成するのにかかったのはたった19日であるから、比べものにならない。

Sensor Towerは、ピカチュウに象徴されるポケモンGOにはまだ多くのユーザーを引きつける可能性があるという。現在ポケモンGOは32の市場で利用可能だが、Google PlayとApp Storeは合わせて100の市場で展開している。Sensor Towerは、最初の2ヶ月でポケモンGOが1億ダウンロードを達成することも射程圏内だろうという。

比較すると、Tinderは今年の1月に1億ダウンロードを達成したが、デビューしたのは2012年のことだった。もちろんゲームの方がこうした数値を達成するスピードが早い傾向にあるものの、ポケモンGOをゲームと定義するか、ソーシャルな体験と定義するかは難しいところだ。

面白いことに、日本ではポケモンGOのリリースの時期に合わせて、Nianticが手がけた別の位置情報ゲーム「Ingress」のダウンロード数も上昇している。Sensor Towerは、Ingressが初めて日本のApp Storeでトップ10に入ったという。もしかしたら、ポケモンGO内でポケモンを探すより、Ingressを参照する方が確かなポケモンの位置が分かるからかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Androidの新機能Nearbyが現在地に応じて便利なウェブサイトやアプリをお知らせ

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先月のI/Oカンファレンスで、Googleは「Instant Apps」という新たなコンセプトを発表した。これは、アプリを小さなモジュールに切り分けることでダウンロードを高速化する方法で、あるアプリの必要な機能だけをダウンロードすることができる。しかし、Googleは、そもそもユーザーがどのようにしてそのようなアプリと出会うのか、ということに関してはカンファレンス内では触れていなかった。そして本日(米国時間6月9日)、Googleは、位置情報をもとに役に立ちそうなアプリを通知する「Nearby」と呼ばれるAndroidの新機能を発表し、その画を完成させようとしている。

Google自身は、NearbyがInstant Appsと一緒に使われることを想定している、とまでは言わなかったものの、そう考えるのは自然なことだ。Instant Appsはまだテスト中だが、今後Nearbyと結びついていくと考えるのは合点がいく。

まず、ユーザーは便利なアプリの通知を受け取り、ダウンロード後に起動する。そこでダウンロードを高速化するInstant Appsの技術を使わない手はない。

さらに、Nearbyを通じてGoogleは、(現在地に関連したものがあれば)おすすめのモバイルウェブサイトに関する情報提供も行っていく予定だ。おすすめサイトの通知機能は、以前Physical Webプロジェクトで行われたテストによって確立されたもので、情報提供を行うには、Nearbyと連携可能なビーコンがその場所に設置されている必要がある。

既にビーコンとNearbyを利用した「proximity-based experiences(=近接型経験)」とGoogleが呼ぶサービスは開発されており、The Broad MuseumUnited AirlinesThe University of Notre DameCVS、AirsideのMobile Passportなどで利用されている。

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実際にNearbyが使われるようになれば、オリジナルアプリを提供しているお店の近くに行くと、そのアプリの通知が届くかもしれない。また、美術館にいれば、音声ツアーのアプリに関する通知を受け取るかもしれない。飛行機に乗ろうとしているところなら、手に持っているAndoroidデバイスが、航空会社の提供する機内エンターテインメント用アプリのインストールを勧めてくるかもしれない。

さらに、Google CastやAndroid Wearを搭載した時計など、一部のデバイスも同様の機能を使い、ユーザーが近くにくると、専用アプリのインストールを促すようになる。

Nearby機能は、AppleのiOS8に搭載されていた、ロックスクリーン上におすすめアプリを表示する機能とどこか似ている。この機能も、ユーザーの現在地に応じて情報がアップデートされていた。しかしiOSの場合は、表示されたアプリが既にインストールされていればそのアプリが開くものの、まだインストールされていなければ、ダウンロードのためにApp Storeへ誘導される。

AndroidのNearbyだと、プッシュ通知が採用されているため、おすすめ情報がもう少し目立つようになっている。

嬉しいことに、本機能はオプトアウトではなくオプトインのため、Nearbyをオンにしない限りは、アプリについてもウェブサイトについても通知を受け取ることはない。

一旦オンにすると、通知をタップすれば紐づいた情報を見ることができ、もしも通知内容に興味がなければ、その他の通知のようにスワイプして消すこともできるとGoogleは語る。

また、Googleによると、Nearby機能はBluetoothと位置情報をオンにしていないと使えない。本機能は、新たなGoogle Play Servicesの一部として提供されており、Andriod 4.4(KitKat)以降に対応している。

利用可能なアプリの数が増加の一途をたどる中、目的にあったアプリをみつけること自体が最近難しくなってきている。現在Googleのアプリストア上に100万、Appleの場合は150万ものアプリが登録されている。実は、ちょうど昨日、Appleはこの問題を解決するためにApp Storeを大幅にアップデートしていた。アップデートには、ユーザー毎に既にインストールされているアプリを表示しなくなった「おすすめ」セクションや、3D Touchを使った共有機能の向上、App Storeへの検索連動型広告の導入などが含まれている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

店舗や企業の配置をマップに正しく表示するPlaceKitのSocialRadarが国際展開へ

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オンライン地図はこの数年で驚くほど精度が改善された。しかし建物の中のショップや企業の位置となるとこころもとない場合が多い。Uberやタクシーのドライバーが目的のレストランの裏口の前で客を降ろそうとするのはそのためだ。

SocialRadarの新しいPlaceKitはビジネス向けにマップ上の正確な位置データをサポートするサービスだ。この情報はきわめて精密なので、レストランの入り口や会社の受付がどちら側にあるかもわかる。

こうしたことを口で言うのは簡単だが、実際にはどうだろうか? SocialRadarはデモサイトを用意して自社の地図データをGoogleマップと並べて表示した。なるほどひと目見ればどちらのデータがより正確かわかる。

SocialRadarのCEO、Michael Chasenは大成功を収めた教育テクノロジーの企業Blackboardの共同ファウンダーであり、1997年から2012年までCEOを務めた。当時Blackboardのエンジニアは位置情報ベースの一般向けアプリの開発を試みたが、すぐにビジネスの位置を示すデータとしては既存のロケーション・サービスの情報が根本的に不正確であると気づくことになった。そこでチームはこの問題を修正するツールを独自に開発した。その最初の成果がLocationKitというツールで、これは位置情報の管理を行うSDKだった。デベロッパーはAppleとGoogleのロケーション・マネージャーの代わりにこのツールをドロップインで利用できた。

デベロッパーがユーザーのビジネスの位置を正確に地図上に表示する際にLocationKitは大いに助けとなったが、新しい PlaceKitはビジネスの位置する周囲の環境までよく理解している。

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PlaceKitの位置情報データはオフィス・ブロックも正確に表示する

Googleマップはほとんど常に検索地点の周囲の「興味ある場所」をサイドバーに表示するが、レストランにはどちらの道から入ったらよいかについてはあいまいなことが多い。 SocialRadarのデータはこの点はるかに正確で、ユーザーはレストランやショップへのアクセス経路で迷うことがない。開発チームはこのデータベースをオフィスビルにも拡張している。他の地図はそのビルを所在地としている企業名を単にまとめて表示することがほとんどだが、SocialRadarはこうしたデータもきちんと整理している。

The same area on Google Maps

上のオフィスブロックがGoogleマップではこういう表示になる

Chasenはこうした正確な位置情報の表示を可能にするテクノロジーについては多くを語ろうとしない。しかしチームは「われわれが開発した独自のアルゴリズムを利用して街路レベルの画像情報と人力による解析をうまく組み合わせる方法を発見した」という。私が理解したところによると、人力による解析作業のかなりの部分はMechanical Turkのアウトソーシングを利用しているようだ。ただしSocialRadarは開発したテクノロジーについていくつかの特許を申請している。

SocialRadarの新しい位置情報データベースはアメリカの大都市のほとんどをカバーしている。さらにChasenはフランスの首都、パリの位置情報を整理するためにこのツールをテストしているところを見せてくれた。SocialRadarではできるかぎり早い時期に位置情報サービスを外国に拡張する計画だ。その手始めはヨーロッパになるという。

現在SocialRadarはデータを大企業やモバイル広告代理店などにライセンスする計画だ。残念ながらすべてのデベロッパーが利用できるセルフサービス・タイプのプランではない。しかしChasenは将来はそうしたサービスも視野に入れていると語った。

SocialRadarのツールの有効性を目の当たりにして、大規模なサービスを提供するビジネスがこのテクノロジーを採用すれば効果的てあることは間違いなさそうだと感じたU(たとえばUberやLyft、モバイル広告ビジネスなど)。あるいはSocilaRadarをストレートに買収しようとする企業も現れるかもしれない。

画像: UNDER A CC BY 3.0 LICENSE

〔日本版〕デモサイトを開くとGoogleマップが表示される。画面上部のSocialRadar Placekit Mapsをクリックするとショップやビジネスが詳しく表示されたマップになる。Office Buildingと書かれた横の下向き三角のアイコンをクリックするとドロップダウン窓に入居しているショップやオフィスの一覧が表示される。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+