カーネギーメロン大のロボット探査車MoonRangerが2022年に月面の水氷探索に初挑戦、拠点設置に備える

カーネギーメロン大学とスピンオフ宇宙スタートアップのAstroboticは、月面の水を探すためのロボット探査車を開発している。この小さなロボットは、重要な予備設計のレビューに合格し、2022年に行われるその着任ミッションに一歩近づいている。MoonRangerと名付けられた探査車は、将来の人間による月探査を支えるにに十分な量の氷が埋まっているかを調査する最初のロボット調査官となることを目指している。

VIPERの目標は、月の地表近くに存在する水氷を探すことで、それにより2024年に予定されている人間の月着陸に備える。これはNASAと国際的な宇宙コミュニティのパートナーたちとの共同プロジェクトで、私たちの大きな自然衛星の上に、人間が常駐する恒久的な研究所を作る。

MoonRangerは、スケジュールどおりに進めば最初の探査機になるかもしれないが、2022年12月の月面着陸を目指すゴルフカートサイズのロボット探査車である「VIPER」と呼ばれるNASA独自の水氷探査機との競争になるだろう。VIPERの目的は、2024年に計画された月面着陸のための準備で、月の地表近くに存在する水氷を探すことだ。これをきっかけにNASAと国際宇宙コミュニティのパートナーたちは、共同プロジェクトで、大きな自然衛星である月面に科学と研究の拠点を恒久的に設置しようとしている。

VIPERと同様に、MoonRangerも月の南極点を目指しており、NASAのミッションのための一種の先遣隊となるだろう。理想的には、NASAの商用月面運送サービス(CLPS)プログラムの一環としてMasten Space Systemsの月着陸船XL-1で送り込まれるMoonRangerは、一定量の水氷の存在を確認し、そのやや後に到着するVIPERがドリルなどを使って本格的な調査を行う。

MoonRangerはVIPERよりもはるかに小さく、スーツケース程度の大きさだが、これまでの宇宙探査車の中では前代未聞の速度で移動する能力がある。カーネギーメロン大学のロボット探査車は、1日で1000mの距離を探査することが可能だ。小さいため、リレー方式で地球に通信を送る。MoonRangerはまずMastenの着陸船に送信し、その着陸船が持つさらに高出力のアレイアンテナを使って地上の科学者たちに中継を行う。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトが人工衛星をクラウドにつなぐAzure Orbitalを発表

米国時間9月23日に開幕したMicrosoft(マイクロソフト)のIgnite(バーチャル)カンファレンスで、同社はAzure Orbitalを発表した。このサービスは衛星運用のプラットフォームで、衛星の運用者は詳細なデータをAzureクラウドで処理するだけでなく、同社の豊富な地上衛星施設を利用することができる。

マイクロソフトはこのサービスを衛星利用情報データ処理の中心に位置づけている。すでにAmergint、Kratos、KSAT、KubOS、Viasat、US Electrodynamics、Viasatと提携しており、各社がこのサービスを再販売する。

画像クレジット:Microsoft

Azure Networkingのプロダクト責任者であるYves Pitsch(イヴ・ピッチ)氏はブログ記事で「マイクロソフトはカスタマーによる衛星利用情報の収集、転送、処理に対してサポートを与えるために好適な位置を占めている。マイクロソフトのインテリジェントクラウドは最先端のテクノロジーにより、60カ所以上のクラウドリージョンが利用可能となっている。高度のデータ分析やAI利用処理を世界最速で最も信頼性の高いクラウドネットワークに統合できる。セキュリティとイノベーションがマイクロソフトのサービスの革新だ」と述べている。

画像クレジット:Microsoft

衛星運用者はマイクロソフトのクラウド上で衛星データを処理できるだけでなく、同社が提供するあらゆる地上衛星施設のサービスを利用できる。これにはマイクロソフトが所有、運用する地上基地(周波数帯域はXバンド、Sバンド、UHF)を利用して衛星からデータを得る能力が含まれる。データはリアルタイムでAzureクラウドに転送され、保存、分析、AI利用などが可能となる。

AWSは既に地上基地を利用した同様のサービスを提供(AWSリリース)している。GSaaS(地上基地サービス)プロダクトでは世界各地に設置された衛星コミュニケーションアンテナを利用でき、そこで得たデータは直接AWSクラウドに転送される。さらにAWSではさらに一歩進んで、宇宙及び衛星利用ソリューションを扱う専用事業部を設置している。

関連記事:AWSが航空宇宙と人工衛星の専門部門を立ち上げ、元空軍少将がリーダーに

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

NASAがBlue Origin宇宙船ミッションで月と火星用の精密自動着陸システムをテスト

米航空宇宙局(NASA)は、Blue Originの再利用可能な準軌道ロケット「New Shepard」(ニューシェパード)のミッションで、月や火星の厳しい地形で使用するために設計された新しい精密着陸システムを初めてテストする予定だ。安全で正確な着陸、統合された機能の進化を目指すSPLICEシステムは、多数のレーザーと光学式カメラ、コンピューターで構成されており、センサーが収集したすべてのデータを高度なアルゴリズムを用いて処理し、潜在的な危険を特定し、飛行中に着陸パラメータを調整して安全な接地を確保する。

SPLICEは、4つの主要なサブシステムのうち3つ実戦テストをNew Shepardのミッションで実施する。AmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創業したBlue Originは、通常は宇宙との端まで旅をした後、第1段階のブースターを地球に戻すが、今回のSPLICEのテストではNASAの自動着陸技術が月や火星の地表に接近するときと同じように、船上で動作することになる。テスト要素は地形相対航法、ドップラーレーダー、SPLICEの降下・着陸コンピュータが含まる。4つ目の主要なシステムであるLidar(ライダー、光による検知と測距)ベースのハザード検出は、将来の計画飛行でテストされる。

現在NASAは、火星に向かうPerseverance(パァーサァヴィアラァンス)ローバーを含む、ほかの惑星の地表にあるロボット探査機のためにすでに自動着陸を使用している。しかし、安全な着陸を確実にするには、障害物のない広大な土地で潜在的な危険がない着陸地点を選ぶことが重要だ。既存のシステムは、いくつかの調整が可能だが制限も多い。

SPLICEは、より正確な着陸を可能にするように設計されており、より近くの危険に対応できるようになっている。これにより、月や火星についての知識や理解を深めるられると期待される。

前述したLiDARシステムは、今回のSPLICEテストの重要な新要素だ。LiDARが火星や月の地形でどの程度の性能を発揮するのか詳細にはわかっていない。それでもNASAは、表面マッピングや特徴検出のためのレーダーベースの方法よりもはるかに優れた精度を提供すると確信している。

関連記事:Blue Originの有人月面探査船開発オールスターチームが宇宙空間および月面で要求されるテストに成功

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(翻訳:TechCrunch Japan)

国際宇宙ステーションへのSpaceXの旅を競うリアリティ番組が制作中、勝者にはDragon Crew宇宙船の座席が贈られる

米オンラインメディアのDeadlineが「2023年の国際宇宙ステーション(ISS)への旅を大賞にするリアリティTVコンテスト番組が制作中」(Deadline記事)と報じている。「Space Hero」(スペースヒーロー)と呼ばれるこの番組の背後にある制作会社は、2023年に国際宇宙ステーションへの旅をするために設定されたSpaceXのDragon Crew宇宙船の座席を予約しているそうだ。そのレポートによると「宇宙探査への深い愛を共有するあらゆる背景を持つ日常の人々」の間での競争で勝者となった人にその座席を報酬にする予定だという。

Deadlineによると、この競争は肉体的な課題だけでなく、パズルや問題解決の課題、感情的に挑戦的なシナリオなどを含む、一種の宇宙飛行士の訓練プログラムになるという。これは、プロデューサーが現在計画しているライブエピソードにつながるもので、最終的に誰が勝つかについての全世界の視聴者の投票をフィーチャーしたものになるだろう。この番組には、勝者のISSへの旅の記録も含まれており、打ち上げや10日間の宇宙ステーション滞在、帰還と着陸を含む。

これらすべてのピースをまとめるために、制作チームは民間の宇宙旅行サービスプロバイダーであり、ミッションオペレーターでもあるAxiom SpaceやNASAと協力しており、この予定されている番組にSTEM教育の要素に関して何ができるかを協議しているとのことだ。

Deadlineによると、孤島や密林、荒野などの僻地を舞台にした生き残りリアリティ番組「Survivor」(サバイバー)の生みの親でリアリティ業界の巨人であるMark Burnett(マーク・バーネット)氏は、以前にも宇宙への旅を主な構成要素とするリアリティ番組の制作を何度も試みたことがあるという。そのような試みの1つである「Space Race」(スペースレース)というNBCベースの番組は、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏との提携でVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)に焦点を当てて制作されたが、2015年に同社の致命的なテスト事故を受けて終了している。

また、宇宙ステーションをロケ地にした映画の制作も計画されており、Tom Cruise(トム・クルーズ)が主演を務めている。NASAは、低地球軌道と国際宇宙ステーションの商業化の増加を歓迎すると繰り返し述べてきた。また、米国を拠点とする宇宙飛行士ロケットのために、SpaceXのような民間のパートナーを探している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXが世界規模の衛星インターネットサービス構築に向けさらに60基のStarlink衛星を打ち上げ、本日は中止

【更新】米国東部夏時間9月17日午前2時19分(日本時間9月18日午前3時19分)の打ち上げは中止された。天候条件を考慮して、バックアップ日に明日を再度試みるかどうかを検討中だ。バックアップ日は、米国東部夏時間9月18日午後1時57分(日本時間9月19日午前2時57分)。

SpaceXは、Starlink(スターリンク)衛星の最新のバッチを米国時間8月17日に打ち上げる予定だった。目標のリフトオフ時間は米国東部夏時間午前2時19分(日本時間9月18日午前3時19分)に設定。このミッションはフロリダ州のケネディ宇宙センターから離陸する予定だった。なお、米国東部夏時間9月18日の午後1時57分(日本時間9月19日午前2時57分)には、天候やその他の問題が打ち上げの試みを妨げる場合に備えて、バックアップの機会が設けてあった。

今回の打ち上げにより、軌道上で運用中のSpaceXのStarlink衛星群に追加される。同社は、高速で低遅延な消費者向けインターネットサービスのプライベートベータテストを実施しており、今年後半のオープンベータサービス開始のための打ち上げに向けて準備を急ピッチで進めているため。すでに現在500機以上のStarlink衛星が世界中を周回している。目標は、これまで利用できなかった場所でインターネット接続サービスを提供することと、過去に不安定な接続や遅い接続に頼らざるを得なかった顧客にもサービスを提供できるような拡張性のある、最終的には地球規模のサービスを作ることだ。

今回の打ち上げには、これまでに2回飛行したFalcon 9(ファルコン9)の第1段ブースターが使用される、その中には、SpaceX社が人類初の宇宙飛行士を乗せた画期的なミッションだったDemo-2 Crew Dragonでも使われたものだ。同社はまた、将来の打ち上げに向けてブースターの回収を試みている。Falcon 9の上部にある貨物を保護する2つのフェアリングハーフのうちの1つは、以前にもStarlink衛星の打ち上げ時に2回使用されている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Firehawk Aerospaceは安全で低コストなハイブリッドエンジン用燃料でロケット革命を目指す

SpaceX(スペースエックス)をはじめとする商用ロケット打ち上げ市場の各企業は、宇宙の経済に変革をもたらし、小型衛星起業家の時代を切り拓いたものの、実際に使われているロケットエンジンの技術は、50年前にNASAが初めて宇宙に進出したときからそう進歩していない。

CEOのWill Edwards (ウィル・エドワーズ)氏と会長兼最高科学責任者であるRon Jones(ロン・ジョーンズ)氏が創設した新しいスタートアップFirehawk Aerospace(ファイヤーホーク・エアロスペース)は、安定した費用対効果の高いハイブリッドロケット燃料でそれを変えようとしている。彼らは、これまでのハイブリッド燃料用エンジンの製造にともなう困難や制約を、積層造形法(工業規模の3Dプリンター)で克服したいと考えている。

固体燃料と液体酸化剤を組み合わせるハイブリッドロケットは、それ自体がそう新しいものではないが、パフォーマンス指標や最大推力の面で、常に大きな制約に悩まされてきた。長期にわたってロケット燃料と航空宇宙構造物の研究に携わり、先端複合材料エンジニアでもあるジョーンズ氏は、以前からエンジン技術に興味を抱き、その利点を活かしつつ、さらに安全性とコストにも配慮しながら過去のハイブリッドエンジンの設計における制約を克服する方法を考えてきた。

ジョーンズ氏は高校から大学を通して物理学と工学が大好きだったが、結局、海軍に入隊して飛行士となり、その後ようやく航空宇宙産業に落ち着くことができた。その一方で、彼は黎明期のインターネットを活用し、ロケット工学への情熱を深めていた。特にハイブリッドエンジン技術を研究したり、世界の専門家たちと意見交換を行っていた。

「最終的に、私は2つのコンセプトを合体させることを思いつきました」とジョーンズ氏はインタビューで話した。「1つは、燃料が間違っていたという点。これまで使われていた燃料は、弾性が高すぎます。圧力をかけると、燃料はその影響を受けてしまいます。薄くなるに従って強度が低下し、基本的にバラバラになってしまい燃料の多くが無駄になります。そこで私は、構造的に非常に強いポリマーに切り替えました。もう1つは、型に入れて成形するやり方は利口ではないという点です。私はそれを、積層造形法に変更しました」。

材料を少しずつ時間をかけて重ねることで構造を作り上げていく積層造形法であれば、液状の燃料を型に流し込んで固めるモールド方式では不可能だったことができる。例えば、内部構造を非常に細かく意図したとおりに作ることも可能だ。家庭用の3Dプリンターを見たことがある人なら、大きなモデルを作るときに内部を格子状にして強度を高め、表面を支える技法をご存知だろう。それが、固形ロケット燃料のペレットの潜在能力を解き放つ鍵となった。

「積層造形法を使うことで、私はこれまで誰もやらなかったことができるようになりました。それこそが、モールド方式では不可能だった高度に設計された内部構造を構築する方法です」と彼はいう。「その内部構造を採用したことで、ロケットエンジンの性能が大幅に向上しました。信頼性だけでなく安全性も大きく高まりました。それは、私が目指していた最も重要な特性です」。

Firehawkは現在、ロケット燃料の3Dプリントに関連した5つの特許を取得し、すでに32基のエンジンを使った燃焼試験を推力200ポンド(約90kg)と500ポンド(約230kg)の2種類で実施し、設計の有効性を実証している。また同スタートアップは、推力5000ポンド(約2.3トン)のエンジンにも取り組んでいる。これは、Rocket Lab(ロケット・ラボ)のElectron(エレクトロン)ロケット第2段の推力とほぼ同じだ。2020年末に、燃焼試験に建設中の施設でテストを開始する予定だ。

前述のとおり、現在すでに運用を行っているロケット打ち上げ企業は、ずっと旧式の、それでもいまだに効率的なロケット技術を採用している。ならば、新種のハイブリッドエンジンなど使う必要がどこにあるのか?いろいろあるが、特に注目すべき理由は効率性と安全性だ。

Firehawkの燃料は、保管も輸送も取り扱いもずっと安全にできる。燃料と酸化剤を別々にしている限り、偶発的な発火事故の心配がないからだ。また毒性もない。この燃料は「環境に優しい」排気しか出さないとFirehawkは話している。大型ロケット用の既存のロケット燃料を安全に取り扱うには、大量の特殊な手順や安全策を講じる必要がある。作業員の訓練も欠かせないため、その分、時間と費用がかさむ。

しかもFirehawkでは、特注設計のエンジンを4カ月から6カ月で提供できるという。既存技術に基づいて新しいロケットエンジンを開発しようとすれば、通常は5年から7年はかかる。この時間的節約で、大きなコストを数億ドル(数百億円)単位でさらに減らすことができる。つまり、世代ごとの研究開発初期費用を回収しようとロケットの運用寿命を延ばす必要がなくなり、より新しくより優れたロケットの試作を、より短期間で繰り返せるようになるということだ。

この燃料は、長期間の保管と輸送に耐えられる。また、飛行中の停止と再点火も可能だ。これらが意味するのは、長期にわたる複雑なミッションも、これまでに比べてずっと低予算で遂行できるようになるということだ。当然のことながら、この可能性が民間企業と政府機関の両方の顧客の強い関心に火を点けたとCEOのエドワーズ氏は述べていた。

2020年の初め、Firehawk Aerospaceは200万ドル(約2億1000万円)のシードラウンドをクローズした。これにはVictorum Capital、Achieve Capital、Harlow Capital Managementが参加している。現在は人員増強を目指し、特に未来のロケット推進技術の仕事に高い関心を持つ意欲あるエンジニアを求めている。さらに、複数の潜在パートナーとの提携話を進めつつ、この技術の商品化に関するいくつもの申し出にも対応しているとのことだ。

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画像クレジット:Firehawk Aerospace

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(翻訳:金井哲夫)

Blue Originの有人月面探査船開発オールスターチームが重要なテストに成功

Blue OriginとパートナーであるLockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)、DraperはNASAの有人月探査船を開発するメンバーに選定されている。Blue Originが主導するこの「オールスターチーム」は2024年までにHLS(Human Landing System )と呼ばれる月面に宇宙飛行士を送り届け地球に帰還させるシステムを開発中だ。

Blue Originはオールスターチームを代表して「宇宙空間および月面で利用されるすべての機器に要求される基準に関するテストに成功した」と発表した(Blue Originリリース)。

これは、数千のアイテムがNASAのチェックリストをクリアした極めて重要なマイルストーンだ。有人月面探査の実現に向けて大きな一歩を踏み出したことになる。NASAはナショナルチームが提案した多数の個別要素について設計、性能基準などを承認しているが、今後はシステム全体のレビューに入る。

ただしBlue Originとそのパートナーはゼロから設計を始めたわけではない。Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創立した宇宙企業であるBlue Originにとって、この分野で長い経験を持つロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、Draperをパートナーにしたことの利点がここにあるわけだ。この月探査システムは既存システムの進化形であり、ロッキード・マーティンはNASAの再利用可能宇宙船開発であるアルテミス計画に参加しており、Orion計画においても宇宙飛行士を月に往復させるシステムの開発の一端を担っている。

HLSはBlue Originが開発する月着陸船、ロッキード・マーティンによる月面から上昇するためのシステム、ノースロップ・グラマンによる月面着陸の最終段階を制御する軌道遷移システムによって構成される。

関連記事:Blue Origin主導の開発チームが有人月着陸船の原寸大エンジニアリングモックをNASAに納入

カテゴリー:宇宙

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画像クレジット:Blue Origin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

英国王立天文学会が金星の大気に生命の存在を示す気体を検知

英国時間9月14日に開かれた英国王立天文学会の記者会見で、革命的な科学的発見が発表された。彼らは金星の大気中に、生命の存在を示唆する物質であるホスフィンを検知した。ホスフィンは、生命の痕跡として知られる気体であり、なんらかの生命が存在する場所にしか存在しない(Sci-News.com記事)。しかも、少なくとも地球上では、その気体が誤検出された既知の例はない。つまり、生命の存在結果ではないホスフィンが誤って検出されることはないのだ。

今回の発見は、報道機関や観測筋がどう話をひねろうとも、地球外生命体が確実に存在する証にはならない。この発見に参加した学者たちはみな同様に認めているが、ホスフィンの作用に関する我々の認識、特に地球外環境での知識が限られているために生じたケースである可能性も指摘している。2019年、ホスフィンは嫌気生物によってのみ生成されるとの判断が科学者たちによって示されたが、彼らの研究はこの地球上に存在するホスフィンに限定されていることは明らかだ。それをそのまま、銀河系全体に潜在する事例に当てはめることはできない。また、実際に地球外生命体が直接観察、確認されない限り、それが確かに存在するとはいい切れない。さらに、検出された気体が本当にホスフィンなのかを検証する必要もある。例えば二酸化硫黄と間違えている恐れも、わずかながら存在する。ただ、科学者たちはその観測結果をいくつもの観測所で確認しているため、それが実際にホスフィンであるとの強い確証を得ている。

とはいえ、どれだけの量のホスフィンがあれば検出可能なのか、さらに重要なこととして、この発見が我々の銀河系の中で局所的に検出されたという点を考えれば、これが地球外に生命が存在する可能性を示す最も有望な証拠であることは確かだ。この金星の大気中に生命が存在している可能性があるということは、これまで多くの人が考えてきたよりも生命とはずっと一般的なものであり、銀河系全体に広がっていることを示す強力な指標となり得る。

従来の認識では、金星は生命の存在はとうてい期待できない場所とされてきた。地表温度は摂氏約480度にも達する。しかし大気圏上部なら、(金星に浮かぶ雲の中に見られる紫外線を吸収するスポットの説明としてこれまで有力だった群生する藻類ではなく)嫌気性微生物の生息を支える条件が期待できる。

もし、金星上空の雲の中に生息する微生物の存在を確認しようとするならば、いくつもの難題に直面することになる。技術的な問題ばかりではない。倫理的な心配もある。惑星上空の雲の成分を採取するとき、そこに暮らす現地特有の生物の生活環境をかき乱し、悪影響を与えてしまう恐れがあるからだ。科学者たちは、地球外環境を地球の微生物で汚染してしまわないよう、細心の注意を払っている。多くの議論を重ね、きわめて慎重な採取方法または観察方法を導き出すことも重要になるだろう。

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タグ:金星 英国王立天文学会

画像クレジット:SCIEPRO / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

イーロン・マスク氏が「StarshipのSN8プロトタイプはノーズコーンを搭載し高度約18kmの帰還飛行を試みる」と発言

イーロン・マスク氏は、テキサス州ボカチカの施設で開発中のSpaceXのロケットであるStarshipの将来のテストについていくつかの詳細を明らかにした。最近SpaceXは、2つの以前のStarshipのプロトタイプ、SN5とSN6の短い、150m(500フィート弱)のテスト飛行を完了している。マスク氏によると現在「約1週間」での製造が予定されているSN8は、フラップ(下げ翼)とノーズコーン(先端部分)を備えており、最終的にははるかに高い高度での試験打ち上げを目指している」という。

SpaceXが過去数週間に実施した、いわゆる「ショートホップ」テストに利用したプロトタイプは、フルサイズだが実際のドーム型のノーズコーンの代わりに同じ重さの重りが取り付けられていた。もちろん、最終的な宇宙船Starshipの上部にノーズコーンが備わり、積載されたペイロードを保護する。SN5とSN6は穀物サイロとよく比較されるが、ノーズコーンの両側には飛行制御に役立つ大きな制御フラップがない。マスク氏によると、SN8には両方が搭載される。

今回の試作機もこれまでと同じ初期テストと、その前段階のテストを受けることになっており、これには地上噴射やその他の地上での点検が含まれ、その後に別の地上噴射(Static Fire)を発生させ、最終的には6万フィート(約18km)の高度まで飛行した後、地上に戻って制御された着陸を試みる。
SpaceXは、マスク氏の初期の予測に比べて、Starshipの開発のペースが遅れている。

SpaceXは、マスク氏の最も初期の楽観的な予測と比べてStarshipの開発では遅れをとっている。しかし、同氏はスケジュールに関して過度に楽観的な予測をしていることで知られており、過去に何度も自分に言い聞かせていた。

ロケット開発は困難を極めることが知られているので、今回の初の高高度飛行の試みも失敗に終わる可能性もある。特にSpaceXは、迅速な反復を重視した開発プログラムが特徴で、さまざまなプロタイプの世代から得たさまざまな教訓を取り入れ、同時開発のプロトタイプを作りながら以前の失敗から学ぶことができる。そして、マスク氏の狂ったようなスケジュールには追い付いていないかもしれないが、同社の計画は非常に早く進んでいる。

画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ロケット打ち上げスタートアップAstraの最初の打ち上げは第一段階の燃焼失敗、あと2回のテスト飛行で軌道上を目指す

米国カリフォルニア州アラメダを拠点とするロケット打ち上げスタートアップのAstra(アストラ)は、天候やその他の問題のために何度も計画を遅延した後、米国時間9月12日にアラスカを拠点とする施設から最初の軌道上テストミッションを打ち上げる機会をようやく得た。

米国太平洋標準時午前8時19分(日本時間8月13日午前0時19分)に行われたAstraの「Rocket 3.1」試験機の打ち上げは成功したが、軌道に乗るずっと前の第1段階のエンジン燃焼中に飛行は終了した。

Astraはこのフライトで、軌道に到達することをいきなり目指していたわけではない。同社は、今回を含む3回以内のテストフライトで軌道に到達することを目標としており、今回の最初のミッションの前には「主な目標は第一段階での良好な燃焼に達すること」だと述べていた。実施には第一段階の燃焼までは到達しなかったが、同社は取得したデータの最初の評価を踏まえ「ロケットは非常によく機能した」とブログに書いている。

ミッションは早期に終了したように見えるもののためにそれが上昇すると、ロケットの不要な前後のふらつきのビットのために、アストラは言った、車両の自動安全システムによってエンジンの停止を引き起こした。これは、アストラが安全な故障を確実にするために取った手順が設計通りに機能していることを意味するので、実際には良いニュースでもあります。上のビデオでは、ロケットのエンジンのライトが飛行中に消え、しばらくして地上に衝突して火の玉が発生しているのがわかります。
Astraによると「ロケットが上昇する際に、意図せずに前後に揺れが生じ、自動安全システムによってエンジンが停止したため、ミッションは早期に終了した」という。一方で、同社の安全装置が設計どおりに動作することを証明したという点ではは良いニュースでもある。上のビデオを見ると、飛行中にロケットのエンジンの光が消え、しばらくして地上に衝突した火の玉が見える。

SpaceXを含め、まったく新しいロケットの最初の飛行のほとんどが計画どおりには進まないことは珍しいことではない。SpaceXの創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏がTwitterでAstraチームに激励の言葉をかけている。同様に、Rocket LabのPeter Beck(ピーター・ベック)氏も支持を表明した。

なお、Astraが困難な状況下で活動していることは言うまでもない。新型コロナウイルスの感染蔓延のために、1週間ほど前にアラスカに配備された発射システムをで6人のチームで動かす必要があった。

Astraは今回の打ち上げで多くの貴重なデータを得られ、もちろんそれを次の打ち上げの精度を高めるために使える。同社は、3回のテスト飛行の2回目に向けて「今後数週間かけて」データを確認・解析をっすめるようだ。Rocket 3.2はすでに完成しており、次のトライを待っている。

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ポーラとANAが宇宙でも使える化粧品を共同開発、2023年の商品化を目指す

ポーラとANAが宇宙でも使える化粧品を共同開発、2023年の商品化を目指す

ポーラ・オルビスホールディングスANAホールディングスは9月11日、「宇宙ライフを美しく快適に」をコンセプトとして製品を共同開発するプロジェクト「CosmoSkin」を発表した。プロジェクト第1弾として宇宙でも使える化粧品の共同開発を開始し、まずは2023年の商品化を目指す。

CosmoSkinは、宇宙を意味する「Cosmos」と、肌を意味する「Skin」を組み合わせた言葉。ポーラ・オルビスグループは、肌の知見や製剤技術を活かし宇宙ライフに適した化粧品の研究開発を実施、ANAホールディングスは地上よりも宇宙環境に近いといわれている航空機内を実証実験の場として提供する。

ポーラとANAが宇宙でも使える化粧品を共同開発、2023年の商品化を目指す

ポーラ・オルビスグループでは、同社グループが目指す将来像に有用なヒントを得ること、またイノベーションの活性化を目的として宇宙に関する取り組みを行っている。2018年に、化粧品の既存の枠を超えた新価値創出を狙い研究戦略・知財戦略を策定し、研究成果のグループ最適配分の役割を担う「マルチプルインテリジェンスリサーチセンター」(MIRC)を発足させたことを機に、宇宙への取り組みを開始したという。

ANAホールディングスでは、新たな収益事業のひとつとして宇宙事業を検討する部門横断型プロジェクトを2018年1月に立ち上げ。宇宙旅行をはじめ宇宙輸送や衛星データ活用など新しいビジネスモデルの検討を進めている。

また、2019年の宇宙ビジネスアイデアコンテスト「S-Booster」において、ポーラ・オルビスグループの「美肌ウェルネスツーリズム」がANAホールディングス賞を受賞し、現在共同で事業化検討しているという。この連携をきっかけに、今回の共同開発プロジェクト「CosmoSkin」を開始した。

近い将来、民間宇宙旅行が可能になるとされることから、両社協力のもと、宇宙ライフを美しく快適にするための化粧品づくりを目指すという。さらには、宇宙という極限状態を想定しながら製品開発を進めることで、地上も含めた新たな豊かな生活につなげられるとしている。

例えば、極度に乾燥し水が貴重な船内環境に対応には、従来にない機能性が求められ、重力の小さい環境ではこれまでとは全く違った使用方法が求められる。これらが化粧品に革新を生む可能性を考えているという。

また限られた船内空間での微小重力生活では、全身に様々な変化が起こるとともに、メンタルウェルネスの維持などが課題となる。これらを解決するための技術は、高齢化社会や、コロナ禍の行動が制約されるニューノーマルにおいても、健康の維持・増進に役立つものとしている。

また、快適で楽しい宇宙ライフのための技術は、地上でのメンタルヘルス向上にも貢献するという。資源が極端に限られる・ゴミを最小限に減らすといった制約に合わせて技術を進化させると、そのまま地上における資源の有効活用・再利用などのサステナビリティ向上に活用することが期待できるとしている。

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NASAが「月の石」採取を民間企業に依頼、地球への持ち帰りは不要

NASA(米国航空宇宙局)は月面表土の標本を民間企業から購入したがっている。米国時間9月10日のブログに、Jim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官が書いた。これは2024年までに再び人類を月に送り、現地で永続的な人間による研究を可能にするというNASAの大きな野望の一環だ。NASAは月面の「任意の場所」から少量の石と土を採取し、採取のプロセスと集めた標本の写真を撮影する提案をするよう、民間宇宙企業に依頼した。

この提案書は、民間企業に標本の採取だけを求めていて、標本を調査のために地球に持ち帰る必要はない。必要なのは、集めた標本をNASAに、月面の「現場」で手渡すことであり、はるばる地球まで送り届けるよりもはるかに難易度が低い。採取方法の詳細はNASAが「後日」発表する。

いくつかの規則と仕様に注意が必要だ。NASAは標本の採取を2024年までに行うこと、および所有権の移譲を求めている。また、これは米国の民間宇宙会社だけではなく全世界の企業が対象で、NASAが2社以上を採用する可能性もある。支払いに関して、選ばれた企業は契約金額の10%を選出時に受け取り、収集機器の打ち上げ時にさらに10%、標本が収集され、手渡された時に残りの80%が支払われる。

地球外資源収集に取り組んでいる企業はいくつかあるので、この募集には興味深い応募者がでてくるかもしれない。ちなみにこれは、月面着陸船に実験装置を輸送するNASAの商業月面輸送サービス・プログラム(CLPS)とは別プロジェクトだが、CLPSのために開発中の着陸船や月面探査ロボットを使って月の表土を集めようと考えている企業やスタートアップもあるにちがいない。

画像クレジット:iSpace

関連記事:NASAが商業月面輸送パートナー各社に新規貨物輸送の入札を募集

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAが商業月面輸送パートナー各社に新規貨物輸送の入札を募集

NASA(航空宇宙局)は、同局の商業宇宙パートナーによる月への貨物輸送を増やしたいと思っている。同局は2022年中に月に届ける必要のある科学技術貨物打ち上げの入札募集を行った(NASAリリース)。これは2024年に計画されているNASAのアルテミス有人月面着陸ミッションに向けた準備の一環でもある。

以前NASAは、月面への「ラストワンマイル」を担当する月面着陸機の提供という特殊なサービスを提供する承認済みメーカー集団を作るために、商業月面輸送サービス(CLPS)プログラムを立ち上げた。現在参加メーカーは14社を数え、Astrobotic(アストロボティック)、Blue Origin(ブルー・オリジン)、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)、SpaceX(スペースX)、Firefly(ファイアフライ)らが名を連ねる。各社は指定された貨物を月面に運ぶための契約に入札する資格を持つ。

NASAはこのCLPSプログラムの下ですでに2組の貨物輸送を契約しており、2021年6月に予定されているAstroboticのPeregrine Mission One、同年10月のIntuitive Machines IM-1、2022年12月のMastern社のMission Oneおよび2023年中に予定されているAstroboticのVIPERミッションという計4回の打ち上げが計画されている。

このラウンドの新規貨物には、月面表土付着検査装置、X線撮像装置、電場相互作用による防塵装置、および月面標本を地球に持ち帰って詳細に検査するための最新月面吸引装置など、さまざまな科学機器が含まれている。

CLPSに参加しているNASAの民間パートナー各社は、新たな10種類の実験・演示装置輸送の入札に参加することが可能で、2022年中に輸送することが目標だ。NASAはこのコンテストの勝者を2020年中に選ぶ予定だ。

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カテゴリー:宇宙

タグ:NASA

画像クレジット:Intuitive Machines

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAや米空軍も支援する宇宙産業向けアクセラレータープログラムのデモデイは日本時間9月10日午前3時ライブ開催

Techstars Starburst Space Acceleratorの2020年クラスは、米国太平洋標準時9月9日水曜日の午前10時32さ(日本時間9月10日午前3時)に公式デモデーで卒業する。今年のクラスには、商業空間に直接または間接的に関連する課題に対して革新的な新しいソリューションを構築している10社が参加している。

Techstars Starburstは、NASAのJPL、米国空軍、ロッキード・マーチン、マキサー・テクノロジーズ、SAIC、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ・ノースアメリカ、エアロスペース・コーポレーションなど、民間企業と公的機関の両方から多くから強力な支援を受けているプログラムだ。マネージングディレクターのMatt Kozlov(マット・コズロフ)氏がこのプログラムを率いており、例年は宇宙産業の多くの重要拠点があるロサンゼルスで開催していたが、今年は新型コロナウイルスの感染蔓延が続いているため、デモデイはオンラインで開催される。

商業、軍事、一般市民宇宙の各分野の著名なパートナーが、利害関係者の観点からこれほど幅広く参加しているプログラムはほとんどなく、この点がさまざまな興味深いスタートアップを引きつける主な理由だ。昨年は、TechCrunch Battlefieldの参加者でもある軌道上給油会社のOrbit Fab超小型イメージング衛星会社のPixxel衛星推進会社のMorpheusなどの優秀な企業が参加していた。

今年のクラスについては、以下で参加企業10社をチェックできる。デモデイのプレゼンテーションは明日9月9日午前10時、午後1時(日本時間9月10日午前3時、午前6時)から始まるので、彼らが何をしているかの詳細をライブでチェックしてほしい。

Bifrost
合成データAPIにより、AIチームが独自のカスタムデータセットを最大99%高速に生成することが可能。
founders@bifrost.ai

Holos Inc.
カリキュラムデザイナーが没入型の学習体験を簡単に作成・展開できるようにするバーチャルリアリティコンテンツ管理システムを開発。
founders@holos.io

Infinite Composites Technologies
宇宙で最も効率的なガス貯蔵システムを開発。
founders@infinitecomposites.com

Lux Semiconductors
次世代のシステムオンフォイルエレクトロニクスを開発。
founders@luxsemiconductors.com

Natural Intelligence Systems, Inc.
次世代パターンベースのAI/MLシステムの開発。
leadership@naturalintelligence.ai

Prewitt Ridge
困難なディープテックプロジェクトを構築するチームのためのエンジニアリングコラボレーションソフトウェアを開発。
founders@prewittridge.com

SATIM
衛星レーダーに基づく情報を意思決定者に提供する。
founders@satim.pl

Urban Sky
成層圏マイクロバルーンを開発し、新鮮で高解像度の地球観測データを取得。
founders@urbansky.space

vRotors
リアルタイムの遠隔ロボット制御
founders@vrotors.com

WeavAir
空気に関する先見の技術を持つ。
founders@weavair.com

画像クレジット:Techstars Starburst Space Accelerator(YouTube動画のキャプチャ)

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(翻訳:TechCrunch Japan)

欧州の打ち上げ会社Arianespaceが衛星ライドシェアに成功、民間企業を含む計53基を宇宙空間に運ぶ

小型衛星打上げ業界は加熱しており、現在多くの小型打上げ事業者が、活発な軌道上のロケットを持つ次の企業を目指している。既存の大型ロケット事業者であるArianespace(アリアンスペース)もこの争いに参加しており、同社のライドシェアサービスが小型衛星会社にどのように機能するかを示すために、初のデモンストレーション打ち上げを実施した。これは同社とって1年以上ぶりの打ち上げになるが、2020年初頭に予定されていたいくつかの打ち上げが新型コロナウイルスの感染蔓延や、打ち上げ施設のあるフランス領ギアナでの緩和措置のために中止または延期されていた。

Arianespaceは米国時間9月2日の米国東部標準時午後9時51分(日本時間9月3日午前11時51分)にギアナ宇宙センターから、合計53機の衛星を搭載した同社のVegaロケットを地球低軌道上のさまざまなな目的地に向けて打ち上げた。今回は欧州宇宙機関(ESA)と欧州委員会(EC)によって一部資金提供された概念実証ミッションだったが、民間企業の顧客のために26基の衛星も運んだ。IoT接続のスタートアップであるSwarmは12基の小型衛星、通信衛星のスタートアップのKeplerは3番目の衛星を打ち上げた。ほかの、リモートセンシング技術を開発中のSatellogicとメタン排出量の追跡を行うGHGSatも、ペイロードにそれぞれ衛星を搭載していた。

前述のようにこのミッションは、ArianespaceのVegaロケットが小型衛星のライドシェアの顧客のニーズに応えられることを示すことが目的だ。小型衛星のライドシェアモデルは、複数の顧客に打上げ費用を分散できるため、小型衛星事業者に人気がある。小型衛星は、政府や防衛省に代わって運ぶことを目的とした大型の非同期衛星に比べて非常に軽量であり、小型衛星のオペレータでも打ち上げ予算を捻出できるメリットがある。

SpaceXは昨年、小型衛星会社向けにセルフブッキング型のライドシェアモデルを導入した。また、Rocket Labは同じ市場に特化したサービスを提供しており、打ち上げコストを大幅に削減し、小型衛星を目的地まで直接運べる小型ロケットを使っている。しかし、市場はより多くの打ち上げ業者を受け入れる準備ができているようで、Arianespaceにとっても、この需要の高まりに対応しながら、提供するサービスを多様化し、新たな収益をもたらすだろう。

画像クレジット:Arianespace

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Rocket Labが密かに打ち上げた初の人工衛星「First Light」とは?

Rocket Labの14回目のミッション「I Can’t’t Believe It’s Not Optical」には、実は密航者が乗っていた。Rocket Labのニュージーランドの打ち上げ子会社は、有料顧客のペイロードの隣に、初の完全に機能する衛星を静かに搭載していたのだ。First Light(ファーストライト)はその名のとおり、軌道へのアクセスがいかにして軌道に乗らなくても良いかを示すための技術デモのようなもので、CEOであり創設者であるPeter Beck(ピーター・ベック)氏は「お尻の痛みようなもの」と表現した。

ロケットラボは、昨年初めに人工衛星プラットフォームのPhotonを発表し、3月には宇宙船メーカーのSinclair Interplanetaryを買収。もはや、同社がいつボタンを押すかという問題だったのだ。

ベック氏が米国時間9月3日の生放送で説明したように、First Lightが軌道上での展開に成功したことで同社は「宇宙へのアクセス」は多くの点で、固有のリスクにもかかわらず解決済みの問題であると感じている。次の最大の問題点は「アイデアを出してから軌道に乗るまでが本当に苦痛だ」とのこと。

「プロジェクトがアイデアから軌道に乗るまでの期間が1年半もあれば、それだけで喜びもひとしおだ」と同氏。特にスタートアップにとっては1年半の準備期間を確保できないかもしれないが、現場のイノベーションについて行くには遅すぎる。「我々にはそれを解決する必要があります」と続ける。

PhotonとFirst Lightは、最新の衛星のための柔軟なプラットフォームを提供するというRocket Labの新しいビジネスの提案であり、Electronロケットやそのほかのサービスと密接に連携する。打ち上げ業者だけではなく、プロセス全体を通してパートナーとして行動することは、もちろんRocket Labにとってはより多くの仕事と費用がかかるが、うまくいけば、顧客にとってもより早くより安くなる可能性がある。

また、ほかの新しいバージョンのPhotonも登場する予定で、月の裏側や惑星間移動がElectron(エレクトロン)の打ち上げのターゲットになる。NASAのCAPSTONE(月面ゲートウェイ宇宙ステーションの軌道安定性を検証する月面周回衛星)はPhotonをベースにしており、後のNASAの有人宇宙飛行計画であるArtemis(アルテミス)ミッションのための道を切り開く。

画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXがStarship宇宙船プロトタイプの短期試験飛行を成功、初の軌道上打ち上げへ向け前進

SpaceXは、Starship宇宙船試作機の2回目の「ホップ」飛行を1カ月足らずで実施した。具体的には、米国テキサス州ボカチカの開発サイトから150m(500フィート弱)の試験飛行だ。今回使用されたプロトタイプはSN6で、SpaceXが8月の初めに同様のテストを完了するために使用したSN5よりも新しいモデルとなる。

ホップ飛行は、StarshipとそのRaptorエンジン(液体メタン/LOXの液体燃料ロケットエンジン)のテストプログラムの重要な部分となる。これらのプロトタイプには1つのエンジンしかないが、最終的な製品版には6つのエンジンが搭載され、そのうち3つは地球の大気圏内を飛行、残りの3つは宇宙空間で使用される予定だ。

SpaceXは、このうち2回の飛行を制御された直立着陸を連続して達成したことで、宇宙船の開発プログラムにとって非常に良い兆しを見せた。以前のバージョンでは、燃料を搭載した状態をシミュレーションする際に、負荷がかかると加圧に失敗することがあったからだ。

ノーズコーンや最終的な着陸脚などの要素は含まれていないものの、これらのショートホップはSpaceXがRaptorエンジンの性能や、実物大のプロトタイプ宇宙船の性能に関するデータを収集するのに役立つだろう。また、これらのデータはすべて、民間航空機と同じくらいの高さを飛行することを目的としたはるかに高い軌道下大気圏飛行や、最終的には初の軌道上Starshipの打ち上げなど、その後のテストにも反映される予定だ。現在のところ、早ければ来年に行われる確率が高い。

SpaceXはStarshipの開発計画を急速に進めており、テキサス州のブラウンズビル近郊のボカチカビーチのサイトで何世代ものプロトタイプを一度に作成しており、迅速なテストと設計の改善を目指している。目標は来年中にStarshipの最初の運用ミッションを飛行させることだが、ロケットの開発サイクルの中にあることを考えれば、これが実現したとしたら、信じられないほど素晴らしいことになるだろう。

画像クレジット:NASA Spaceflight

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXはStarlinkネット衛星サービスのプライベートベータを検証中、低遅延と100Mbps以上の速度を確保

SpaceXは、同社エンジニアであるKate Tice(ケイト・タイス)氏を介して、Starlink(スターリンク)インターネット衛星サービスのベータテストのいくつかの詳細を紹介した。同氏によるとSpaceXのサービスは、「最速のマルチプレイヤー」ネットワーク接続されたオンラインゲームをプレイするのに十分な低遅延を実証しており、100Mbpsを超えるダウンロード速度を示しているとのことだ。複数のHDビデオストリームを同時にストリーミングするのに十分な速度で、余分な帯域幅があるとも付け加えた。

従来の衛星、または限られたセルラーベースのサービスに依存している農村部で、既存の接続を使用して時間を過ごしたことがある人は誰でも、これらのパラメータが既存のほとんどのオプションの能力をはるかに超えていることを知っているだろう。Starlinkの目標は、低地球軌道のコンステレーションで、既存のネットワーク機能を提供する静止衛星よりもはるかに地球に近いところで信号を送信できるという利点を持つ、既存のサービスを飛び越えることにある。

タイス氏はまた、これまでのところプライベートベータ版の性能は良好であったが、同社はアップデートによって時間の経過とともに、より多くの機能とより大きな機能が解放されることを期待していると述べている。彼女はまた、SpaceX社が最近Starlink衛星間リンクを完成させたことにも触れた。このリンクは、衛星間通信では最速の速度で、光レーザーを介して数百GBのデータを衛星間で転送することができる。これはStarlink衛星が地球を周回している間の接続を維持するために、各衛星間のハンドオフに依存するネットワークの中核的な機能だ。

現在のプライベートベータは基本的にSpaceXの従業員に限定されており、初めてオンラインになるときにネットワークを微調整するのを助けるために設計されているが、同氏はStarlinkのパブリックベータは今年後半に開始する予定だと述べた。SpaceXは、参加を希望する人にStarlinkのウェブサイトからサインアップするように求めており、今年の初めには、同ウェブサイトからの情報公開により、パブリックベータ版がどのように運用されるかの詳細が明らかにされる見込みだ。画像クレジット:

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXが12回目のStarlinkネット衛星の打ち上げに成功

SpaceXは、自社のブロードバンド・インターネット衛星を地球低軌道に運ぶStarlink衛星の打ち上げの数をさらに12機に増やそうとしている。過去数回の打ち上げでは、クライアントのペイロードのためのスペースを少し確保していたが、今回の打ち上げでは60機の衛星を搭載することになった。打ち上げは米国南西部のフロリダにあるケネディ宇宙センターから米国東部標準時9月3日午前8時46分(日本時間同日午後9時46分)に離陸するように設定されている。もちろん、明日の朝に何らかの理由で変更される必要がある場合は、バックアップの機会も用意されていた。

このミッションでは、数カ月前の6月に米国宇宙軍に代わってGPS III衛星を届けたミッションのために、以前に一度だけ飛行したFalcon 9ブースターを使用する。SpaceXはまた、ドローン着陸船「Of Course I Still Love You」の海上着陸でブースターの回収も試みる。

いくつかのインターネット速度テストサイトによると、サービスはすでに一部の個人によって利用されており、SpaceXのStarlink専用ウェブサイトからのリークは、より広範なパブリックベータテストが迫っていることを示している。同社によると、サービスは今年後半までに米国とカナダの一部で利用できるようになり、2021年には拡張が予定されているとのことだ。

上記のウェブキャストは、打ち上げ時刻の約15分前である米国東部標準時9月3日午前8時31分(日本時間同日午後9時31分)ごろに配信されたライブ中継のアーカイブだ。

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXが高速ブロードバンドインターネット衛星群Starlinkの60機打ち上げに成功

SpaceXは、Starlinkインターネット衛星群の最新打ち上げに成功した。これらの衛星はSpaceXのブロードバンド・インターネット・サービスのバックボーンを形成するもので、これまで品質の高い一貫したサービスが利用できなかった顧客や地域に、低遅延で高速な接続を提供することを目的としている。

打ち上げは米国南西部フロリダ州のケネディ宇宙センターで、東部標準時8月3日午前8時46分(日本時間同日午後9時46分)に同社の打ち上げ施設から実施された。打ち上げに使用されたFalcon 9ロケットには、数カ月前の6月に一度だけ飛行した第1段ブースターが含まれていた。SpaceXはまた、ドローン着陸船「Of Course I Still Love You」の海上への制御された着陸で、Falcon 9ブースターを再び回収することに成功した。

同社はまた、打ち上げ中に衛星を保護するために使用されたフェアリングを回収することも計画している。このフェアリングには2つの部分が含まれており、1回の打ち上げあたりのコストは合計で約600万ドル(約6億3700万円)となる。

最近SpaceXは、Starlinkのミッションにおいて他社とペイロードを共有して飛ばしており、利用可能な貨物スペースのわずかな量をPlanetなどの顧客に提供していた。しかし本日の打ち上げは、SpaceXの衛星のみを搭載した以前のStarlinkミッションの形に戻った。今回Starlinkとしては12回目となり、今年だけで10回目の打ち上げとなった。

SpaceXはまた、同社のStarlinkサービスが現在プライベートベータテスト中で、パブリックベータテストが今年後半に予定されていることを明らかにした。同社は来年には有料サービスの提供をより広く開始したいと表明している。

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:TechCrunch Japan)