SpaceXが初の有人宇宙飛行に成功、歴史にその名を刻む

米国時間5月31日、SpaceXはNASAのDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベーンケン)の二人の宇宙飛行士を、Falcon 9(ファルコン9)ロケットを使用してCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船に乗せて宇宙へ運び、人類史上の新たな歴史を作った。Demo-2と呼ばれる今回の打ち上げは、Crew DragonとFalcon 9の人間評価プロセスにおける最後のデモンストレーションミッションだ。このミッションを完遂すれば、通常の人の輸送に使用できることが証明される。なお当初は先週水曜日の5月27日に打ち上げが計画されていたが悪天候のために中止され、今回に仕切り直しとなった。

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(翻訳:Hiro Yoshida@pylori1971

SpaceXの試作機が地上でのエンジンテスト中に爆発

SpaceX(スペースエックス)は米国時間5月29日、Starship(スターシップ)SN4型ロケット試作機に搭載したRaptor(ラプター)エンジンのさらなる地上燃焼テストをテキサス州ボカチカで行ったが、ロケットは爆発した。これはこのタイプの試作ロケットに搭載したRaptorエンジンの4度目の燃焼試験となるが、他の燃焼試験と違い何が悪かったのか原因不明のままだ。

燃焼テストは、SpaceXがボカチカで建造している新型宇宙船Starshipの開発の一環となる。これはFalcon 9(ファルコンナイン)ロケットやFalcon Heavy(ファルコンヘビー)ロケットの後継機として使用されることになっているが、飛行テストを何度も成功させてはいるものの、まだ開発初期段階にある。

SpaceXは、Starship試作機の短距離弾道飛行のための認可を米連邦航空局(FAA)から取得したばかりだ。目標は、このSN4型試作機のエンジンの地上燃焼テストを成功させた後に短距離飛行を行うことだったが、5月29日の試験でロケットは完全に破壊されてしまったため、どう見ても予定どおりとはいかなくなった。下のNASASpaceflight.comのストリーミング動画をご覧いただきたい。

爆発が起きたのは、テキサス州現地時間の午後1時49分。エンジンが首尾良く点火してから、およそ2分後のことだ。我々は、今回の事故の原因と怪我人の有無についてSpaceXに詳細を求めている。こうした試験を行う際には、当然のことながらSpaceXは、実験区域にスタッフやその他の人間がいないことを確認するなど、十分な安全対策を講じている。

SpaceXの試作ロケットが大惨事に見舞われたのは、これが最初ではない。これまでも試験機の性能を試す圧力テストで、2度ほど痛い目に遭っている。SpaceXが開発を進める中で、何度も機体のストレステストを行っているのはそのためだ。最終的に実際の運用に使用される宇宙船は、ずば抜けて高い安全性と信頼性で期待に応えられなければならないからだ。

SpaceXはすでに、ボカチカ近くで作られているSN5も含め、新たな試作機の建造に入っている。そのため試験場がきれいに片付けば、すぐにでも最新の機体を運び込んでテストを再開できるだろう。これはSpaceXのCommercial Crew(商用乗員輸送開発)プログラムとはまったく別の事業なので、天候にもよるが5月30日か31日にに打ち上げが予定されている歴史的な初の有人飛行テストには何ら影響しない。

画像クレジット:NASASpaceflight.com

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXが宇宙船スターシップのテスト飛行許可を米航空宇宙局から取得

SpaceX(スペースエックス)は、同社の宇宙船Starship(スターシップ)のプロトタイプによる低軌道ミッションの飛行許可を連邦航空宇宙局(FAA)から取得し、米国テキサス州ボカチカの同社施設からのテスト飛行への道を前進した。SpaceXはStarshipプロトタイプを使った低軌道短時間の限定テスト飛行の準備を懸命に進めており、米国時間5月28日も現在開発中の同宇宙船4次プロトタイプの地上燃焼テストを実施した。

FAAはSpaceXに対して、同社が言うところの「再利用可能打上げ機」ミッションの実施許可を正式に与えた。これは実質的にこのStarshipプロトタイプが、同社のボカチカ打上げ施設で離着陸可能となったことを意味している。Elon Musk(イーロン・マスク)氏率いる宇宙企業はすでに同様なテストを実施しているが、これまでは「Starhopper」(スターホッパー)の早期プロトタイプを使っていた。これは計画されているStarshipの生産モデルよりも小さくシンプルだ。目的はSpaceXがStarshipの推進に用いるRaptor(ラプター)エンジンの能力を証明することにあり、エンジンの1基を使って短期飛行テストを行うだけのため使用された。

昨年の飛行テスト以来、SpaceXはStarshipのフルスケールプロトタイプを複数開発してきたが、実際に飛ばすところまでは至っていない。事実、いくつかのStarshipプロトタイプは耐圧試験に失敗している。しかし現在テスト飛行を準備しているSN4は耐圧試験だけでなく、Raptorエンジン1基による地上燃焼試験にも合格した。

現在の計画では、このプロトタイプをStarhopperの時と同様の「短期」飛行させる予定であり、最大高度は約500フィート(150m)だ。それに成功すれば、次のバージョンには複数のRaptorエンジンを搭載して高高度のテスト打上げを行う。SpaceXは、新しいバージョンのStarshipを次々と前のテストが完了するのを待たずに製作していて、全体の開発期間を短縮しようとしている。

SpaceXはある時間とも戦っている。同社はNASAが再び月へ人間を送り込むための着陸船を開発・製造するアルテミスプログラムの契約を勝ち取った3社に入っている。NASAはこの復活の旅を2024年までに実行しようとしており、契約ではそれぞれの会社がその時期までに着陸船を用意することを要求してはいないが、最終目標であることは間違いない。たとえそれが契約している3社の中で自慢する権利を得るためだけだとしても。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Crew Dragonの最新型宇宙服は通信装置と温度調節の機能を内蔵、タッチパネル対応グローブも装備

米国時間5月27日、スペースシャトルの引退以来、初めて人間を軌道に打ち上げる米国製宇宙船に乗るのはもちろん人間だ(悪天候のため5月31日に延期)。この人たちが着る最新型宇宙服も、また歴史的なデビューを果たすことになる。本日の打ち上げ(ライブ配信)に先立ち、NASAとSpaceX(スペースエックス)はその新型宇宙服の新鮮な姿を公開した。もうすぐ、たくさん見ることになるだろうが。

この宇宙服は、NASAと、今回宇宙船に乗り込む宇宙飛行士Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏との協力のもとでSpaceXが開発した。彼らは、現代の素材と技術を使い、Crew Dragon(クルー・ドラゴン)と一体化できる着心地のいい形状を目指した。

ただし、こちらもNASAでデザイン変更が進められているのだが、何十年間も使われてきたおなじみのEVAスーツ(船外活動用宇宙服)に置き換わるものでないことは知っておくべきだろう。今回、ベンケン氏とハーレー氏が着るのは、戦闘機のパイロットが着るものと同様の与圧服だ。短時間の真空状態や高熱といった打ち上げの際に想定される危険から身を守るために飛行士の体に合わせて作られるもので、外宇宙には出られない。

 

NASA:店では売ってません。LaunchAmerica宇宙服は特注品です

このSpaceX製の宇宙服は、耐火性と耐衝撃性を備え、通信装置と温度調節の機能を内蔵する。ヘルメットには、当然ながら無線とマイクが組み込まれていて、空気と電源は、宇宙船内の各飛行士の座席に接続する1本のヘソの緒のようなケーブルで供給される。

「このスーツの開発で重視したことに、簡単に使えるという点がありました。飛行士が着座したとき、文字どおりただプラグインするだけで、後は宇宙服が勝手にやってくれるという感じです」とSpaceXのChris Tripp(クリス・トリップ)氏は、スーツを紹介したNASAの動画で話している。「これはまさに宇宙船の一部なのです。そのため私たちはこれを、スーツとシートの一体型システムと考えています」。

この10年間のエレクトロニクスとソフトウェアの進歩を考えると、宇宙飛行士にもミッションコントロールにも、進化し簡便化されたコミュニケーションが期待されてしかるべきだ。ノイズリダクションや音声検知など、私たちがビデオ通話に求めるような機能は宇宙でも大いに活躍する。

もう1つ、面白い変化があったのはグローブだ。頑丈であると同時に柔軟でなければならない。さらに導電性も必要だ。Crew Dragonの操作はタッチパネル方式だからだ。操作のたびにグローブを外さなければならないのでは煩わしい。

関連記事:タッチで操縦する宇宙船Crew Dragon、僕らはまた一歩SF映画に近づいた

「彼らとともに操作の癖を特定してゆきました。明確な操作ができるために、タッチのミスをなくすために、間違った入力を防ぐために、その人のタッチの仕方を画面に登録しておくのです」と、先日のNASAの記者会見でベンケン氏が話していた。

宇宙船に積み込まれるその他の物と同じく、宇宙服も今回初めての実地テストとなる。とは言えもちろん、あらゆる評価が事前に社内で済まされている。

「見栄えが良く、それでいて高性能なスーツを完成させるのに、3年から4年近くかかりました」とSpaceXの創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は先日のインタビューで話していた。「いつか自分もあれを着たいと、子どもたちに夢を与えたいのです。宇宙飛行士になりたい、進化した宇宙船で宇宙航空エンジニアとして働きたい、と熱い思いを抱かせたいのです。今こそ、宇宙への夢に再び火を点けるときです」

関連記事:SpaceX初の有人宇宙飛行は天候不順で延期、打ち上げは日本時間5月31日早朝に

画像クレジット:NASA

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceX初の有人宇宙船「Crew Dragon」の内部、タッチスクリーンのコンパネやカスタム成形された座席を配備

SpaceX(スペースX)は歴史的な初の宇宙飛行士打ち上げに向けて準備を進めており、NASAの宇宙飛行士のDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏とBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏を国際宇宙ステーション(ISS)に送り、その有人宇宙飛行能力を実証するミッションを行う。この打ち上げは米国東部夏時間4時33分(太平洋夏時間1時33分)に予定されているが、同社はその間にCrew Dragonとその設計の詳細を公開した(編集部注:打ち上げは延期され、東部夏時間5月30日午後3時22分、日本時間5月31日午前4時22分に変更された)。

Crew Dragonは、SpaceXの貨物カプセルであるDragonの設計に基づいており、現在これはISSへの補給サービスを提供している。同社のデザインチームはタッチスクリーンによる制御システムからカスタム成形された座席まで、21世紀における現代的な乗り物のように感じられ、優れたユーザビリティとエクスペリエンスを保証することに重点を置き、快適に過ごせるようにDragonの改造に集中した。

記事執筆時点では宇宙飛行士とクルーが打ち上げ準備をすすめている最中で、打ち上げのライブストリームはこちらから視聴できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXによる初の宇宙飛行士打ち上げをライブ中継、打ち上げは5月31日延期へ

SpaceX(スペースX)は米国時間5月27日の遅くに、フロリダのケープ・カナベラルから初の有人宇宙飛行ミッションを実施し、自社の歴史の中で大きな節目を迎えようとしている。このミッションは、NASAの宇宙飛行士のDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベーンケン)を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶ、Crew Dragon宇宙船開発プログラムの集大成となる、「Commercial Crew Demo-2」である。

打ち上げは現在、ケネディ宇宙センターから東部夏時間5月27日午後4時33分(日本時間5月28日午前5時33分)に設定されているが、気象条件にも左右される。ここ数日の天候はあまり良くなかったが、SpaceXとNASAは打ち上げを遅らせるかどうかについて、打ち上げ予定時刻の約45分前に電話で協議する。もし今日の打ち上げが実施されなかった場合、5月30日と5月31日にも予備のウィンドウがある(編集部注:新たな打ち上げ日程は、東部夏時間5月30日午後3時22分(日本時間5月31日午前4時22分)。

これはSpaceXにとって初の有人宇宙飛行となり、2011年のスペースシャトル計画の終了後、アメリカからの初の有人ロケットの打ち上げとして、歴史に名を残すことになる。NASAは2010年にCommercial Crewプログラムを開始し、宇宙飛行士の打ち上げ能力を復活させるために官民のパートナーシップを模索し、最終的にはSpaceXとBoeing(ボーイング)の2社が有人飛行に適した宇宙船の設計・開発を行うことになった。SpaceXはこのプログラムで初めて、クルーを搭乗させた打ち上げを試みる。

Demo-2ミッションは、基本的にはCrew Dragonの最終テスト段階であり、その後は同宇宙船とそれを軌道に運ぶロケットのFalcon9が、定期的な宇宙飛行士輸送のための認証をNASAによって受けることになる。つまり、ISSへの宇宙飛行士の定期的な輸送サービスの提供を開始し、その移動手段としてロシアのSoyuzにくわわることを意味する。

一方、SpaceXはすでにCrew Dragonを民間人や科学者など、他の商業目的の乗客にも提供する計画を開始している。そもそもCommercial Crewプログラムの背景にあるのは、NASAが宇宙飛行士の輸送コストを下げるために、他の有料顧客に座席を提供して打ち上げや飛行にかかる費用を相殺することにある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

スペースXが米陸軍とスターリンク衛星ネットワークのテストで契約

SpaceX(スペースエックス)は米国陸軍と新たな契約を締結し、軍はSpaceXが提供を予定している衛星ブロードバンドネットワーク、Starlink(スターリンク)をテストし、要求に合うかどうかを3年間に渡って評価する。この研究開発契約を最初に報じたSpaceNewsによると、これは米国軍部が実際の商業購買契約に先立って交わすいたって標準的な普通の契約だという。

SpaceXのStarlinkネットワークは現在まだ開発中で、2020年中に米国とカナダの一部顧客向けに提供を開始する予定だと同社はいう。同ネットワークは、低地球軌道の小型衛星を用いて全世界に低遅延の高速インターネット接続を提供することを目的としている。接続困難地域やサービスを十分受けていない地域の顧客ニーズに答えるべく設計されており、地球からずっと遠くにある静止衛星を利用した既存の衛星通信サービスよりも良好で信頼性の高いサービスになると同社は期待している。

地上局基盤の構築、およびSpaceXネットワークの既存システムへの統合にどんな投資が必要かを陸軍は見極めようとしているとSpaceNewsは報じている。大きな障壁がなければ、SpaceXのソリューションはさまざまな地域で軍が直面する多くの通信問題を解決する可能性がある。当然ながら、軍の活動場所は人口の多い地上ネットワーク基盤を利用できる地域とは限らない。

Starlinkの運用モデルが陸軍のニーズに合わない可能性はいくつかあり、例えばネットワークが依存している地上局は、軍の作戦場所からアクセス可能とは限らない。それでもStarlinkが軍の要件を一部だけでも満たし、大きな改善をもたらす可能性は十分にある。

Starlinkのサービスは、2020年中にSpaceXが数百台の衛星ネットワークを構築する間、定期的に展開される予定だ。SpaceXが軌道に乗せる衛星の数が多ければ多いほど、利用可能な地域は増え、各衛星は地球を周回しながら別の衛星へと接続を手渡ししていくので、通信が中断する可能性も低くなる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAとSpaceXによる初の商業有人宇宙飛行の準備完了

NASA(米航空宇宙局)とSpaceX(スペースエックス)は、2010年の商業乗員輸送プログラム開始以来、両社が準備を続けてきた瞬間に限りなく迫っている。SpaceXのFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットおよび宇宙船Crew Dragon(クルードラゴン)は、NASAのDoug Hurley(ダグ・ハーレー)、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)両宇宙飛行士を乗せて国際宇宙ステーションへの旅に飛び立つ準備を完了し、米国時間5月25日にNASAとSpaceXは、最終飛行準備完了確認審査を終えたことを発表した。これは、打ち上げに向けてすべての準備が整ったことを意味している。

NASAの商業乗員輸送プログラムのマネージャーであるKathy Leuders(キャシー・ロイダーズ)氏は25日の記者会見で、現時点までの打ち上げ前確認作業は、Falcon9の地上燃焼テスト、ハーレー、ベンケン両宇宙飛行士がロケットに固定される打ち上げ前最終リハーサルを含め、すべて滞りなく終了したと語った。

SpaceXとNASAにとって唯一残る大きな課題は天候であり、東部標準時間5月27日16時33分に予定されている打ち上げの実施可能性は現在約40%にすぎないが、25日の会見で当局者は,現在の気候は上向きだと話している。

SpaceXとNASAは現在から27日までの天候に細心の注意を払うことになる。そしてこれは人間宇宙飛行士が搭乗する極めて神経を使うミッションであることから、もし天候がよくなければ安全方向に舵を切って打ち上げを延期する可能性が高い。延期に備えて5月30日が予備日として用意されており、さらに5月31日も準備されている。

SpaceXの機能保証担当副社長であるHans Koenigsmann(ハンス・ケーニヒスマン)氏は、22日の地上燃焼テストには「何の障害もなかった」ことを伝え、ドレスリハーサルで本物の飛行士がCrew Dragonに乗り込むところを見たことは、この瞬間の大切さと影響力を強調するものだったと語った。これはSpaceXにとって初めての有人宇宙飛行であり、米国の地から宇宙飛行士が飛び立つのは2011年のスペースシャトルプログラム終了以来の出来事だ。

ケーニヒスマン氏から打ち上げ当日のスケジュール説明があり、ハーレー氏とベンケン氏は4時間前に服装などの準備を整え、Tesla Model Xの宇宙飛行士輸送特別仕様車で約3時間前に到着、カプセルには発射時刻の2時間半前に乗り込む。そこから後はこれまでのFalcon 9打ちあげとほぼ同じで、同氏によると唯一違うのは発射45分前に脱出システムが装着され、10分後に取り外される点で、その後は他のFalcon 9と同じように自動打ち上げシステムが制御を引き継ぐ。

打ち上げられた後、ハーレー氏とベンケン氏は軌道上で19時間過ごし、ドッキングの30分前に、軌道上昇噴射と手動飛行テスト(Crew Dragonはそれ以外完全自動制御下にある)を行う。その後ドッキングして約2時間後にハッチを開く。

ハーレー氏とベンケン氏がISS出発して帰還するスケジュールは流動的で、打ち上げ後6~16週間の間にNASAから発表される。両宇宙飛行士は再びCrew Dragonに乗り込み、宇宙服を装着してステーションを離れてから約2時間後に大西洋に着水して回収される。

これは長年の努力の結晶であり、商業乗員輸送プログラム初の有人飛行となる。成功すればSpaceXは、飛行士を宇宙ステーションと往復させる通常任務としての有人飛行を、早ければ2020年中に開始できる可能性がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Virgin Orbit初の軌道飛行テストは輸送機からの離脱直後に異常終了

米国時間5月25日、Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は同社の軌道貨物打ち上げシステム初の完全飛行テストを行った。空中打ち上げロケット LauncherOne(ランチャーワン)の輸送機として、ボーイング747を改造した「Cosmic Girl(コズミックガール)」が使われた。Virgin Orbitはこれまでにも、Cosmic GirlとLauncherOneのテストやデモンストレーションを行っているが、全体を通したシステムテストはこれが初めてだった。しかし、テストは予定よりずっと早く、LuncherOneがCosmic Girlから飛び立った直後に終わることとなった。

Cosmic Girlは太平洋標準時正午(東部標準時午後3時)直前に、カリフォルニア州のMohave Air and Space Port(モハーヴェ航空宇宙空港)を飛び立った。操縦はチーフテストパイロットのKelly Latimer(ケリー・ラティマー)氏とコパイロットのTodd Ericson(トッド・エリクソン)氏が担当した。その後飛行機は目標切り離し地点へと飛び、LauncherOneは、予定時刻の太平洋標準時午後12時50分(東部標準時午後3時50分)に輸送機から「クリーンリリース」されたが、そのわずか数分後にミッションは「終了した」とVirginは伝えた。

Cosmic Girlの乗務員をはじめ従業員の安全は確認されたと会社は報告したが、残念な結果であったことは間違いない。それでもVirgin OrbitのCEOであるDan Hart(ダン・ハート)氏とVPのWill Pomerantz(ウィル・ポメランズ)氏は、新たな打ち上げシステムの最初のミッションは往々にして計画通り進まないものであると念を押し、そもそもテストするのはそのためだと語った。

Virgin Oneの軌道飛行テストの飛行計画マップ

それでも同社は多くの有用なデータをこのミッションからから得られるに違いなく、失敗の原因究明に役立つはずだ。ひと度、問題を修正したら、次のテストに向かうことは間違いなく、その時期は思っている以上に早いかもしれない。何故ならVirginは、打ち上げロケットのパイプライン化の取り組みに非常に熱心であり、代替機の飛行準備はほぼ完了しているからだ。

「輸送機を離れた後、LauncherOneロケットはブースターエンジンの点火に成功した。これは当社にとって初めての空中点火の試みだった」とVirgin Orbitが広報を通じて5月25日のミッションについて語った。「その後第一段飛行で異常が起こり、ミッションは安全のうちに終了した。輸送機のCosmic Girlおよび乗務員全員がモハーヴェ航空宇宙空港に無事着陸し、ミッションを終えた」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国が火星軌道周回機と探査車ミッションを7月に打ち上げ

中国の現在の宇宙開発計画によると、7月に火星探査ミッションを打ち上げる予定だ。これには火星を探査するための軌道周回機と、地表探査のための遠隔操作ロボット探査車(ローバー)が含まれる。一方アメリカも、火星でのロボット探査車ミッションを計画しており、火星へと最も効率的に飛行できる今年の夏に打ち上げられる予定になっている。

これは中国の宇宙開発計画にとって最初の火星への探査車ミッションとなり、NASAの宇宙探査計画に対抗する計画のうちの1つだ。NASAはこれまでに4回の火星探査車ミッションを実施しており、5回目のミッションはPerseveranceと呼ばれる最新の探査車で、2020年に打ち上げられ2021年2月に火星へと到着する予定だ。

NASAのミッションには、野心的な岩石サンプルリターン計画も含まれており、それを持ち帰るための初となる火星からの宇宙船打ち上げも含まれている。NASAはまた、このミッションで初の大気圏用空中探査機を火星に送り込む予定だ。これは、火星上空を短時間飛行しデータを収集するヘリコプタードローンである。

中国は新たに独自の宇宙ステーションを開発し2022年までに打ち上げるなど、いくつかの宇宙探査計画を進めている。また同国は最近、新しい有人ミッション用の宇宙船の試験打ち上げを行い、これは最終的には中国の宇宙飛行士を月面に着陸させるミッションにも使用されることになる。

一方NASAは、特に月への到達と恒久的な人間の存在を確立することに関連した、宇宙での国際協力を継続するために提案された新しい規則の草案を発表した。同宇宙機関はまた、米国時間5月27日の水曜日にSpaceXのクルードラゴン宇宙船で宇宙飛行士が搭乗した初のデモンストレーション打ち上げを実施し、米国の宇宙飛行士打ち上げへの復活を目指している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

今週はSpaceX、Virgin Orbitなどの民間宇宙企業にとって重要な週となる

今週は民間宇宙企業関連で過去最大の週となりそうだ。特に重要なイベントはヴァージン・グループの宇宙企業であるVirgin Orbitのロケット空中発射とSpaceXの有人カプセル打ち上げだ。

Virgin Orbitがいよいよ実際に衛星を軌道に乗せた民間宇宙企業というエリートクラブに加入しようとしている。今週予定されているテストは実際に747旅客機を改造した母機に吊り下げたロケットを空中発射することを予定している。一方、SpaceXは有人のCrew Dragon宇宙カプセルを打ち上げる。これによって米国はスペースシャトルの退役後失われていた有人宇宙往還機能を獲得する。またFalcon 9は「有人宇宙飛行可能システム」と格付けされる。

Virgin Orbitがいよいよ最初の衛星実現を目指す

Virgin Orbit 87Virgin Orbiは当初、この5月24日に最初の衛星打上実験を行う予定だったが飛行前のチェックでセンサーに不具合が発見されて延期された。

非常に慎重なチェックが行われるのは、テストがこの上なく重大なマイルストーンを達成することになるからだ。成功すればVirgin Orbitは現役の「衛星打ち上げ企業」に認定される。この資格を主張できる企業は世界でも数えるほどしかない。

SpaceXが歴史的な有人飛行再開に向けて最終承認を得た

SpaceXは先週、同社として初の有人宇宙飛行に向けて最終リハーサルを行い、FRR(最終飛行準備審査)をクリアした。SpaceXは米国時間5月25日にパートナーのNASAと共同で実際の打ち上げに向けたFRRを実施する。これをクリアすればいよいよ5月27日の打ち上げに臨むことになる。もちろん天候や最終チェックによってこのスケジュールが変更される可能性がある。

三菱重工のH-IIBロケットは運用終了

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日本の三菱重工の主力衛星打上ロケットであるH-IIBはISS(国際宇宙ステーション)への物資補給を成功させ、補給船「こうのとり」は大気圏に再突入して消滅した。高い信頼性を誇ったH-IIシリーズだが、今回のミッションで運用は正式に終了し、後継のH3ロケットの打ち上げが2022年に計画されている。

NASAの有人宇宙飛行責任者が突然辞任

SpaceXとNASAの宇宙飛行士2名が新たな歴史を作ろうとしている中、NASAの有人宇宙飛行の責任者が先週突然辞任した。情報によればDoug Loverro(ダグ・ロベロ)氏はNASAの有人月面着陸プログラムにおけるビジネスパートナーの選定にあたってある種の不適切行為があったという。公式発表はなく詳細はまだ不明だ。

ザイリンクスが宇宙空間で稼働する機械学習チップを発表


Xilinx(ザイリンクス)は宇宙のような過酷な環境で作動するICチップに特化したメーカーだ。宇宙空間では激しい温度変化、強い放射線などに耐えなければならない。同社のFPGAプロダクトはこうした用途を前提としており、宇宙空間で作動するチップとして初めて20nmスケールを達成した。これは専用の機械学習機能を初めて搭載しており、エッジコンピューティングの概念を宇宙空間にまで拡張する画期的なプロダクトだ。

NASAは「アルテミス協定」で宇宙空間利用ポリシーの現代化を目指す

宇宙空間はこれまで概して平穏で国際的な紛争は少なかった。第一に宇宙空間に到達するのは困難かつ高価な計画であり、しかも現在、宇宙空間利用に関して適用されている条約やルールが作られた30年から40年前にはわざわざ宇宙空間に出ていくメリットも今ほど明確ではなかったからだ。NASAが発表した新しい宇宙空間利用ルールであるアルテミス協定(Artemis Accords)は現在のルールの多くを踏襲しているが、同時に宇宙利用ポリシーの現代化を図る側面もある。これは関係者の間で賛否の議論を巻き起こすことになるだろう。

ULAが米宇宙軍の実験宇宙機の打上へ

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2010年3月30日にフロリダ州タイタスビルの滑走路をX-37B 軌道実験機がテストのためにタクシー中(画像クレジット:Astrotech)

先週ULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)は米国宇宙軍のX-37Bの打ち上げに成功した。X-37Bは謎につつまれた実験的な軍用宇宙機で、新たに設置された宇宙軍として最初の打ち上げとなった。我々も報じているとおりX-37Bはこれまでに長時間飛行しているが、打ち上げは米国空軍が実施していた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

種子島宇宙センターからISSヘ、H-IIBによる「こうのとり9号機」の打ち上げが成功

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は三菱重工業のH-IIBロケットで、宇宙ステーション補給機である「こうのとり」の最後の1機を打ち上げた。この補給機は国際宇宙ステーション(ISS)に物資やペイロード、実験機器などを輸送してきたが、三菱重工は2022年の初飛行を予定している自動ドッキングなどの高度な機能を備えた後継機の開発を進めている。この後継機は、NASAが計画している月軌道ゲートウェイまでの長距離貨物輸送も視野に入れている。

今回の打ち上げは、H-IIシリーズにとってのマイルストーンであり、また次のフェーズへの区切りであるだけでなく、非常に興味深い貨物を搭載しているという点でも重要である。さまざまな実験が予定されているが、中でも注目したいのが「スペースアバター」だ。これは基本的には地球上のユーザーがISSにおけるテレプレゼンスロボットとして使用でき、軌道上にあるISSに搭乗しているかのような体験ができる。

ロケットの打ち上げは、種子島宇宙センターから本日早朝に実施され、動画ではアーカイブをチェックできる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

軌道上で設定変更可能で機械学習に最適化されたXilinxの宇宙規格チップ

宇宙に特化した半導体メーカーのXilinx(ザイリンクス)が開発した、宇宙空間や人工衛星で利用可能な新型プロセッサーは、いくつもの点で世界一を誇っている。宇宙向けとしては初めての20nmプロセスを実現し、演算能力と省電力性を高めている。そして、ニューラルネットワークをベースにした推論アクセラレーションによる高度な機械学習に対応する性能を備えたのも初めてだ。

このプロセッサーはFPGA、つまり基本的にユーザーが設定を変更できるハードウェアなので、必要に応じて調整が行える。機械学習の面では、演算命令実行回数が「深層学習に最適化したINT8のピーク性能」で最大5.7TOPS。これは、ひとつ前の世代と比較して25倍もの性能アップだ。

Xilinxの新しいチップは、いくつかの理由で人工衛星市場で多大なポテンシャルを発揮できる。ひとつには、プロセッサーのサイズが格段に小さくなったことだ。同社がこれまで作ってきた耐放射線チップは65nmプロセスのみの提供だった。つまりこれはサイズ、重量、電力消費量における大幅な改善を意味する。このどれもが、宇宙での使用を語る際に非常に大切な要素となる。何故なら人工衛星は、打ち上げコストと宇宙空間で使用する推進剤の必要量を減らすために、できるだけ小さく軽く作る必要があるからだ。

もうひとつは、書き換え可能であるため軌道を周回するアセットは、必要に応じてプログラム変更をして別の仕事にあたらせられることだ。その仕事に今回、機械学習アルゴリズムのローカルでの処理が加わった。つまり理論的には、例えば雲の密度と気候パターンを追跡するよう設定された地球観測衛星を、森林破壊や鉱物の露天採掘を推論させる衛星に変更することが可能だ。また、市場の需要が大きい地域に衛星を集合させたい衛星コンステレーションの運用にも、大きな柔軟性をもたらす。

Xilinxのチップはどれも、地上で使うものといろいろな点で異なっている。前述の耐放射線性能もそのひとつだ。また、パッケージは分厚いセラミックでできており、激しい振動といった外部からのストレスが加わる打ち上げ時にも、空気がないために放射線や温度の点で過酷な環境にさらされる軌道上でも、確かな耐久性を確保できるように作られている。

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(翻訳:金井哲夫)

NASAのアルテミス協定が宇宙協力に関する新ルールを起案

NASAの月への帰還計画はそれだけでも十分に意欲的だが、同機関はその過程で宇宙における国際協力をより現代的にしようと狙っている。NASAは米国時間5月15日に、自主的なガイドラインのセットである「Artemis Accords(アルテミス協定)の概要を発表した。それは、NASAのパートナーである国や組織が協力して、宇宙の探究と宇宙産業の大きな目的をグローバルに前進させることを狙いとしている。

宇宙はいかなる国家主権の下にもなく、またそれ自身の主権もないため当然ながら無法状態にある。そのためこの協定案も、宇宙法というよりも共有されるべきプライオリティの集合をなるべく明確に書き表したものになっている。既にに多くの国がさまざまな協定や条約に参加しているが、宇宙探検の進歩と、すぐそのあとにやってくるであろう植民や資源採掘などの問題は、既存の体制ではとうてい扱えない。全面的な書き換えが喫緊の課題であり、そしてとりあえずNASAが最初にペンを握ることにしたのだ。

関連記事:ホワイトハウスが新たな「国際月協定」推進を示唆

アルテミス協定は古いルールや協定の重要性を再確認しながらも、いくつかの新しいルールを持ち込んでいる。それらは現段階ではあくまでも一般的な記述であり、具体化のためには今後数カ月ないし数年にわたる協議が必要となる。

ルールとその理由を説明しているNASAの声明は短く、明らかに一般の人向けを想定している。ただしここでは、読みやすくわかりやすくするために箇条書きにまとめた。

最初は新しいと思われるルールだ。NASAとパートナー諸国は以下について合意する。

  • 方針や計画を透明なやり方で記述し、公開する。
  • 「安全区域」を作る位置とその運用の一般的な性質を公開し、抗争を避ける。
  • 国際的なオープンスタンダードを用い、必要なら新しいスタンダードを開発し、実用的な範囲内で相互運用性をサポートする。
  • 科学データを全面的かつタイムリーに一般公開する。
  • 歴史的価値のある遺構や人工物を保護する。例えばアポロ計画の着地点はまだ法的に保護されていない。
  • 軌道デブリの減少を計画的に行う。寿命を迎えた宇宙船は安全かつタイムリーに処分する。

ご想像どおり、これらのどれもが多くの新しい問題を提起する。例えば「透明」とはどういうことなのか? どのような運用をどんなタイミングで公開すべきか? 「歴史的価値」を誰が決めるのか?

今後いろいろなことが長期間にわたって議論されるだろうが、基本的な想定として「秘密主義はいけない」や「アポロ13号の着陸船を盗むなかれ」などのルールは、会話を始めるための良いきっかけになるかもしれない。

Jim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン): 宇宙の探究の新しい夜明けだ! 名誉なことに、本日、アルテミス協定を発表する。月への人間の帰還事業に参加する国際的パートナー全員が共有するビジョンを確立し、原則を設定する。私たち全員が一緒に進むのだ。

一方、この協定は、既存の条約やガイドラインへのNASAの賛意を再確認している。NASAとパートナーは以下を遵守する。

  • Outer Space Treaty(宇宙条約)に準じ、すべての活動を平和的な目的のためにのみ行う。
  • Agreement on the Rescue of Astronauts(宇宙救助返還協定)などの協定に基づき、遭難した宇宙飛行士を助けるためのすべてのリーズナブルなステップを行う。
  • Registration Convention(宇宙物体登録条約)に基づき、宇宙に送られるオブジェクトを登録する。
  • 宇宙の資源の取り出しと利用は、Outer Space Treaty(宇宙条約)の第II、VI、XI条に基づいて行う。
  • パートナー国に「安全区域」について知らせ、Outer Space Treaty(宇宙条約)第IX条に従って調整する。
  • 国連の宇宙の平和利用委員会のガイドラインに基づいてデブリを減らす。

アルテミス計画では2024年に次の米国人男性と初めての女性を月に送ることを目標としているが、そのスケジュールは日増しに不可能の様相を呈している。ミッションはコスト削減のために民間の打ち上げプロバイダーとそのほかの商業的パートナーに前例のないほど大きく依存し、それでいて必要なレベルの信頼性と安全性を維持しようとしている。

関連記事:NASAの月ロケット打ち上げは計画から2年遅れで予算オーバーとの内部報告

画像クレジット:NASA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

大手衛星事業者のインテルサットが米連邦破産法11章の適用を申請

世界的な衛星通信事業者のIntelsat(インテルサット)は米国時間5月13日の水曜日の深夜、連邦破産法第11章(チャプター11)の適用を申請したと発表した。同社は将来的な成長を可能にするための「財務リストラ」プロジェクトに乗り出すための肯定的な手段としてこれを位置づけようとしているが、破産申請が喜ばしい場合はめったにない。

Intelsatは、米国における5Gネットワーク構築のためのFCCによるCバンド帯域クリアリングに参加する必要性と、「新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な健康危機により、いくつかの市場に影響を与えている景気後退」を破産申請を決定したの要因の1つとして挙げている。

Intelsatの現在の計画には、日々業務の変更や人員削減は含まれていないという。同社はまた裁判所の承認を条件に、DIPファンドとして新たに10億ドル(約1100億円)を調達したことも明らかにした。これは連邦破産法第11章の手続き中に、事業を継続する予定であることを意味している。

Intelsatは同時に、新しい衛星の打ち上げや地上ネットワークの構築、新サービスの追加などを継続しながら手続きを進めていくとしており、その目標は「できるだけ早く再建を完了させることだ」としている。この衛星会社は、過去にも同様のリストラを実施したことで財務的により健全な状態になっており、今回の破産申請の目標モデルとしてGM(ゼネラルモーターズ)とアメリカン航空を挙げている。

Intelsatの破産申請は、世界的なパンデミックの影響を受けた宇宙企業の最初のケースではない。世界的な衛星インターネットプロバイダーであるOneWeb(ワンウェブ)も今年3月に、連邦破産法第11章の適用を申請した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

全球測位衛星システム「GNSS」を置き換える衛星サービス構築に向けXona Space Systemsが約1億円を調達

米国カリフォルニア州サンマテオを拠点とするスタートアップのXona Space Systems(ホナ・スペース・システムズ)は、1517 Fundが主導しSeraphim Capital、Trucks Venture Capital、Stellar Solutionsが参加する100万ドル(約1億円)の「プレシード」ラウンドを調達した。同社は、全球測位衛星システム(GNSS)に取って代わる、測位・航法・タイミング(PNT)衛星サービスの開発に注力しており、セキュリティや精度、正確さの面で大きなメリットがあると考えている。

Xonaによれば、ほぼすべてのグローバルナビゲーションソフトウェアやサービスのバックボーンとなっているGNSSは、比較的精度が低く悪意のある攻撃者から妨害の可能性があると主張している。GNSSは、時代に革新をもたらした技術だが、自動運転車の輸送やドローンフリート、自動化された海上輸送など、現代的なアプリケーションの要求を満たすという課題には対応していない。

Xonaは野心的な目標を抱いている。GNSSはこれまでに開発された中で最も重要かつ影響力のある宇宙ベースの技術の1つだ。その影響は、モバイルマッピングアプリを利用したターンバイターンのナビゲーションのような消費者アプリケーションから、グローバルロジスティックプラットフォームのような産業サービスまで、毎日利用されている。そしてGNSSを近代化し、改良し、信頼できる次世代の代替技術を開発できれば、誰もが大きな利益を得ることができます。

Xonaのアプローチでは、GNSSに比べて精度が10倍に向上し、さらに暗号化によってセキュリティが大幅に向上することが期待される。同社はPularブランドのPNTサービスの特許を申請しており、これは低軌道衛星(GNSSネットワークは高軌道)を利用して、次世代ナビゲーション技術を提供するというものだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Momentusが4K解像度の無料衛星ライブストリーミングサービスへ衛星打ち上げへ

宇宙輸送スタートアップのMomentus(モメンタス)は、英国の衛星テレビ放送会社のSen(セン)が4K解像度のリアルタイムビデオストリーミングサービスを構築するために、宇宙への輸送と展開を提供する新しい契約を提携した。Senは、個人向けに無料、開発者とサービス作成者向けにオープンソースのデータプラットフォームを介して、高品質な地球のライブビューを提供する。

米国カリフォルニア州サンタクララを拠点とするMomentusは、打ち上げ後にペイロードを移動させたい衛星会社にサービスを提供する。人工衛星の軌道を変更したり、あるいはSpaceX(スペースX)のFalcon 9のような、他のロケットに搭載されたペイロードのラストワンマイルの輸送を提供したりできる。

Momentusは軌道上での転送のVigorideを使用して、Senの衛星を軌道に乗せる予定だ。水プラズマベースの推進機のVigorideは年内に最初の試験飛行を行い、2021年までの実用化を目標としている。そして2022年にはSenのためにミッションを実施する。

Senの技術では、複数のカメラを搭載した小型衛星からの映像を提供し、最終的にはMomentusが打ち上げる最初の5機の衛星で構築されたコンステレーション(衛星システム)全体が運用される。この映像は個人がウェブやスマートフォンのアプリを介して無料で閲覧できるだけでなく、企業向けにプレミアムサービスとしても提供される予定だ。

MomentusはVigorideを打ち上げた後、2022年か2023年はArdorideと呼ばれる新バージョンの装置を計画しており、より大きなペイロードとより高い軌道への輸送、さらには月までの移動にも対応できるようになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

RocketLabが月や火星、金星を探査する次期宇宙船に搭載する新エンジンをテスト中

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、次期宇宙船のPhoton Lunar(フォトン・ルナ)に搭載する新しいエンジンのテスト段階に入っていると、創業者でCEOのPeter Beck(ピーター・ベック)が明かした。同氏は 、同社のエンジン開発チームによってテストが勧められているhyperCurieと呼ばれるエンジンの画像を公開した。

hyperCurieはその名前が示すように、現在Rocket Labがミッションに使用しているElectronロケットの第3段と、Photon(フォトン)宇宙船(衛星バス)に搭載されているCurieエンジンを進化させたものだ。hyperCurieはRocket Labが開発中の新しい宇宙船であるPhoton Lunar に搭載され、月や火星、金星、さらにはその先まで小型のペイロードを運ぶ。

Rocket Labは今年2月、NASAに代わって月にペイロードを打ち上げる契約を獲得しており、NASAや他の顧客のために、月周回軌道や他の深宇宙の目的地へと小型衛星を投入する機会の増加を見据えていることは明らかだ。NASAの月探査ミッションは長期的な有人ミッションのための重要な要素である、月周辺にLunar Gatewayと呼ばれる軌道ステーションを建設し配置するという、NASAの最終目標の前段階になるだろう。

ベック氏は今月初めにPhoton Lunarの詳細なワイヤーフレームの概略図を公開したが、その中にはhyperCurieエンジンを搭載した宇宙船が描かれていた。hyperCurieは圧力式のCurieとは異なり、電動ポンプを採用することで性能を向上させ、より多くの推力を発生させる。

Rocket LabによるNASAのための月着陸ミッションは、現在のスケジュールによれば2021年に実施される予定であり、このエンジンがすでにテスト段階に入っているのは順調ということだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

カーネギーメロン大学が開発した小型ロボ探査車がNASAのテストに合格、来年には月面へ

カーネギーメロン大学(CMU)は、月面でロボット探査車を活動させることに、また一歩近づいた。同大学の小型ロボットが、重要なNASAの設計評価テストに合格したのだ。このテストは、NASAとAstrobotic(アストロボティク)が共同で実施したもの。Astroboticの月着陸船であるPeregrine(ペレグリン)が2021に計画されているミッションで、このロボットを月面まで運ぶことになっている。

設計評価テスト合格の前提としては、プロトタイプから実際にフライト可能な探査車に移行する段階で、CMUチームが実装することにしていたいくつかの設計変更が含まれていた。もともとは今夏に実施する予定だったものだ。変更後のバージョンは、打ち上げと月への飛行に耐えられるようストレステストを通過させる予定となっていた。その探査車自体が壊れないようにするのはもちろんだが、Peregrine着陸船に積み込まれる他の機材にも悪影響を与えないようにしなければならない。Peregineは、NASAの要求に従って各種の実験機材を月面まで輸送するのだ。

CMUの探査車はIris(アイリス)と呼ばれている。重量は約4ポンド(約1.8kg)で、大きさはちょっと大きめのトースターほどのもの。それでも、月面を探索する最初の米国のロボット探査車になるという名誉が与えられることになる。最終的に、これが「CubeRovers」への道を切り開くことになるだろう。比較的安価で小型の探査車シリーズで、公、民を問わず、一連の科学的な調査、挑戦に低予算で貢献できるもの。

Irisには4つの車輪があり、2つのビデオカメラを搭載している。このロボットの装備としては、それがメインのセンサーだ。カメラの小型化により、小型のロボット探査プラットフォームを使って、高品質の画像や動画データを収集するのが、かなり容易になった。これは、Astroboticのような企業にとっては素晴らしい展開だ。同社も、Peregrineのような軽量で安価な着陸船を使って大気圏外の宇宙を探査するという、民間企業としてまったく新しい市場に打って出ようとしている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXがCrew Dragonの宇宙ステーションとのドッキングを体験できるシミュレーターを公開

SpaceX(スペースエックス)はブラウザーペースの新しいシミュレーターを公開した。同社初の有人宇宙船であるCrew Dragon(クルードラゴン)のドッキング過程を手動で操作するのがどんなものかを体験できる。実際には、Crew Dragonは全自動で国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングするが、宇宙飛行士は必要になったときに代って手動で操作する。このシミュレーターは「その際に宇宙飛行士が使用する「実際のインターフェース」を再現している」とSpaceXは説明している。

ドッキングのユーザーインターフェースは、宇宙飛行士がCrew Dragon搭乗時に使う実際のUIとしては、驚くほどシンプルだ。まるでiPhoneやiPadのスペースシミュレーターでバーチャルコックピットに出てきそうだが、Crew Dragonに搭載されている制御装置や情報ディスプレイのほとんどがタッチスクリーンなので、それも当然かもしれない。

方向指示ボタンが両側にあり、カプセルの方向および垂直、水平位置を調整できる。いずれも動きの大小を切り替えられる。中央の照準器がそれぞれの制御の動きをフィードバックするので、特にガイドがなくても自分で制御方法を理解するのは比較的簡単だ。簡単なヘルプ機能が、メインのゴールは照準器に出てくる数字を全部グリーンにすることだと教えてくれるが、それ以外でドッキングを成功するためにいちばん必要なのは忍耐だ。

気分転換の楽しい方法であることが主目的だが、宇宙船制御におけるSpaceXの人間中心のインターフェースデザインのアプローチを直に体験できる稀有な機会でもある。これは、NASAのアボロ計画やスペースシャトル計画のアーカイブ映像に見られるインターフェースとは大きく異なり、タッチスクリーンデバイスがどこにでもある現代の影響を明らかに受けている。

有効性の証明は、システムがどの程度パイロットがドッキングに成功するところを正確に描写しているかによるが、せっかくなので、うまくドッキングできるかどうか自分で試してみてはいかがだろうか?NASAのJames Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官は一度目の挑戦で成功したと言っているが、彼は元空軍パイロットなのでゼロから初めたとは言い難い。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook