欧州が国境を越えた新型コロナ陽性者接触アラートアプリの相互運用性テストを開始

欧州委員会は、各国の新型コロナウイルス陽性者接触通知アプリを、国境を越えて相互運用させるために必要なバックエンドインフラのテストを開始ことを明らかにした。

具体的には、チェコ、デンマーク、ドイツ、アイルランド、イタリア、ラトビアの公式アプリのバックエンドサーバーと、新たに設立されたゲートウェイサーバーとの間のテストランを開始した。なおゲートウェイサーバーは、T-SystemsとSAPが開発・構築中で、ルクセンブルグにある欧州委員会のデータセンターで運用される予定(欧州委員会プレスリリース)だ。

このサービスは10月に稼働を開始する予定で、互換性のあるアプリを開発して国民に配布してるEU加盟国は、リストアップされた国のそれぞれの国に旅行する際に、アプリの追跡機能を他国でも利用できるようになる。

相互運用性のガイドラインは、5月に各国の新型コロナウイルスの追跡アプリについて合意したもの(未訳記事)だ。欧州委員会によると、ゲートウェイサービスは最低限のデータのみを交換するという。同委員会は「交換される情報は、匿名化・暗号化され、感染を追跡するために必要な期間だけ保存されます。個人を特定することはできません」と付け加えている。

現時点でゲートウェイサービスと互換性があるのは、分散型の新型コロナウイルス追跡アプリのみだ。また、欧州委員会は、異なるアーキテクチャを持つ追跡アプリに相互運用性を拡張する方法を見つけるために、いくつかの加盟国で行われている作業を支援していると述べているが、それがプライバシーへのリスクなしにどの程度実行可能なものになるかはいまのところ明らかではない。

各国の新型コロナウイルス追跡アプリの相互運用の主な利点は、EU圏の居住者が複数の追跡アプリをインストールする必要がないことだ。ただし、互換性のあるアーキテクチャのアプリを配布している別の国に旅行する場合に限られる。

アプリのアーキテクチャが異なることに加え、EU加盟国の中にはまだ国内アプリ開発・配布していない国もある。つまり当面の間、国境を越えた追跡には限界があり、国外旅行に関連する新型コロナウイルスの感染経路を完全には追跡できないという課題は残る。

画像クレジット:Joao Paulo Burini / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ビデオによる採用面接サービスのWilloが需要増を受け3400万円調達

スコットランドはグラスゴーに拠点を置くビデオインタビューのスタートアップWillo(ウィロー)がシードラウンドで25万ポンド(約3400万円)を調達した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウン中にQ&Aスタイルの非同期性ビデオプラットフォームに対する需要の増大を受けてのものだ。

本ラウンドでは、ガーンジー島拠点のVCファームである1818 Venture Capitalが投資するともに、Willo役員メンバーのSteve Perry(スティーブ・ペリー)氏、Stefan Ciecierski(ステファン・チェセールスキー)氏、Peter Preston(ピーター・プレストン)氏も小規模の資本を投じた。

Willoは2018年に設立された。英国が新型コロナの感染拡大を抑えようと全国的なロックダウン措置を取った4月以降、同社のSaaSプラットフォームの使用は毎月80%増加していると話す。

顧客はまた、パンデミックでリモートワークが加速するにつれ、レビューやトレーニング、L&Dなどビデオインタビュー以外でもWilloを活用するようになった。

「当社は60カ国超にユーザー1000人を抱える。今月はこれまでの倍のスピードで成長している」とCEOで創業者のEuan Cameron(ユーアン・キャメロン)氏は話す。「ターゲットとしているのは主に人材採用、顧客リサーチ、L&D、ボランティアを抱える非営利団体などだ」

シードラウンドで得た資金は国際展開の加速にあてられる。また社員を24人増やす計画やさらなるプロダクト開発にも資金を注ぐ。

キャメロン氏は同社がプラットフォームへのリアルタイムビデオ追加に取り組んでいることを認めた。つまり、Zoomの顧客を取りに行くことを狙っている。

「当社のコアプロダクトが提供するものはシンプルで、リーズナブル価格の非同期性ビデオコミュニケーションだ。だが当社はいま、組織が非同期のビデオをシームレスにリアルタイムのものに変えられるよう、リアルタイム(ライブ)のインタビュー機能を開発中だ」と同氏は言う。

目下、雇用主が候補者に質問を提示し、候補者は質問への答えを録画できるインターフェースを提供している。簡単なレビューや共有ができるよう、同プラットフォームでは全てのビデオをダッシュボードに保存する。

人材採用での使用のために、Willoは質問集も提供している。雇用主が採用プロセスの手間を少しでも減らせるよう「何百もの」事前に用意された質問から選ぶことができるというものだ。

パンデミックの間に顧客によって始まった同プラットフォームの使用方法の拡大について、キャメロン氏はTechCrunchに次のように語った。「当社は仕事やキャリアパスで成功している世界中の人に質問するのにWilloを使っているWorktreeで教育チャリティを展開している。Worktreeはこうしたビデオを子供たちが進路の選択に生かせるよう提供している」

「欧州のとある事業会社は、可能性を秘めたニッチなインフルエンサーを見つけてトレーニングや開発のプログラムに参加してもらうのにWilloを使っている」

また同氏が示す別の使用例はインドの大学だ。学位課程を目指すソフトウェアエンジニアの募集と登録にWilloを活用している。客の声を拾い、そして顧客研究をするのにWilloを使っている企業もある。もちろん、WilloのVC投資家もユーザーであり、検討対象の会社のプレゼンにWilloのプラットフォームを導入している。

「全ての新規企業は『10分間のプレゼン』と名付けられたものの一環として、Willoを経験しなければならない。そうした企業はクールなこのワークフローを自動化するためにWilloを日程調整アプリのCalendyにつなげる」とキャメロン氏は指摘した。そして「さらに興味深いことに、これらの例は全て以前はフェース・トゥー・フェースの会議やビデオ電話に頼っていたが、新たなツールを受け入れなければならなかった」と付け加えた。

Willoはまたユースケース導入でAIを暫定的に使っている。しかしパンデミックによるロックダウン効果の結果、ロードマップは成長追求に重点を置くことにシフトした、と同氏は話す。

同社のウェブサイトは、候補者の話し方に基づいて性格や行動の特徴を特定するという目的でキーワード分析を行う「AIで動く」ベータ機能を宣伝している。

この機能について尋ねると、キャメロン氏は次のように話した。「現在ベータ展開している当社のAIは純粋にオーディオの書き換えにフォーカスしている。正確に書き換えるだけでなく、キーワード傾向をとらえられるよう鋭意取り組んでいる。例えば、あなたが分析的な人間であれば、この機能ではそうした事実を特定でき、インタビュー中の共通する言葉やテーマを分析することでインタビューをする組織にそう報告できる」

「この機能はまだごく初期段階だ。というのも、新型コロナではこれまで取り組んできたサービスの提供、追加のユースケースにフォーカスすることを余儀なくされたからだ」と付け加えた。

採用プロセスの要素を自動化するためのアルゴリズムの適用に取り組むスタートアップの数は近年増えている。そうしたツールの使用にあたっては、それぞれの場所で適用される法律が異なり、また往々にして複雑であることを考えると、偏見や差別をめぐる法的リスクも伴う(たとえば英国では平等、雇用、データ保護の法律を考慮する必要があるだろう)。

WilloがどのようにAIによるキーワード分析がインタビューを受ける候補者にとって不公正・不平等なものにつながるリスクを回避しているのか尋ねたところ、キャメロン氏は次のように答えた。「英国の平等法に関しては、当社は、お役立ちツールとして組織がWilloを使うことを確かなものにするためにスタッフのトレーニングや発達についてマンツーマンベースで組織に対応している。偏見や差別はフェース・トゥー・フェースでもライブのビデオインタビューでも起こり得るものであり、トレーニングを通じて根こそぎにする類のものだと確信している。リクエストに応じてトレーニングを提供できるようにするために人事のコンサルと提携している」

「当社はAIを効果的に、そして合法的に導入するために、そしてインタビューする側とされる側の双方にとって恩恵があるようにするために、驚くほど経験豊富なデータとコンプライアンスの専門家と協業している」とも付け加えた。

「当社のコアバリューは常に透明であり、全てのユーザーに付加価値をもたらすものだ。WilloでAIを活用することの課題の1つは、当社がやりとりの展開継続を保証することだ。ユーザーからのフィードバックで最も多いのは、ユーザーは人々と会って話をするのが好き、ということだ。なのでそれを自動化したいとは決して考えていない」

競争に関しては、キャメロン氏は主な競合相手としてSparkhireVidcruiterRecrightを挙げ、フリーミアム商品を提供しているWilloはより幅広いユーザーが利用できるもの、との考えを示した。

「他社は全て主に採用にフォーカスしていて、大半の中小企業やスタートアップにとっては手が出せないほど高価だ。ビデオインタビューは、大規模の多国籍企業だけでなく、皆に恩恵をもたらすものであるべきだ」とも述べた。

画像クレジット: Willo

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(翻訳:Mizoguchi

イングラントとウェールズで導入が遅れていた新型コロナ接触追跡アプリが9月24日にリリース

英国で長く導入が遅れていた新型コロナウイルス接触追跡アプリがついにリリースされる。英保健省(DHSC)は9月11日、イングランドとウェールズで9月24日にリリースされると発表した

英国内ではスコットランドと北アイルランドで既に独自の新型コロナ接触追跡アプリが導入されている。北アイルランドではこの夏にリリースされた。「Protect Scotland」(プロテクト・スコットランド)アプリは昨日(9月10日)リリースされ、数時間で60万件以上のダウンロードを記録した。

イングランドとウェールズでは当初予想よりはるかに長くアプリを待つことになった。政府大臣らが日次の新型コロナブリーフィングで5月、アプリがまもなくスタートすると示唆したが、実現しなかった。

結局立ち上げは遅れ、「NHS COVID-19」アプリの開発はNational Health Service(英国民保険サービス)のデジタル部門であるNHSXからDHSCに引き継がれた。NHSXは集中型アプリアーキテクチャーの選択に関連する問題に突き当たっていた。その問題がプライバシーに関する懸念を引き起こし、テストアプリはiPhoneデバイスの検出に関する技術的な問題に悩まされていることになった。

政府はアプリを分散型アーキテクチャーに転換した。つまり、公式の新型コロナ接触追跡アプリにAppleとGoogleが提供する公開通知APIを利用すれば、iOSのバックグラウンドでのBluetooth検出に関連する技術的な問題を回避できるということだ。

NHS COVID-19アプリに追加されたもう1つの要素は、スキャン可能なQRコードによるチェックイン機能だ。政府は、パブ、レストラン、美容院、図書館など、人が集まる可能性のある場所でQRコードを印刷して掲示し、アプリのユーザーがスキャンしてチェックインすることを推奨している。

チェックインデータはローカルデバイス上に保持される。デバイス同士が接近して一時的なIDが交換されるときに生成される接触データと同じプライバシー保護アプローチを採用する。

DHSCによるとチェックインデータは21日間デバイスに保持される。ある場所で発生が確認された場合、アプリを実行している全てのデバイスにその場所のIDが送信される。デバイス側では、最近のチェックイン情報との照合をデバイス上で行う。

DHSCは、照合の結果による「リスクのレベルに応じて」何をすべきか(たとえば隔離するか)についてアプリユーザーに対する警告と助言を生成するかもしれないと述べた。

政府によると、ワイト島で行われたNHSのボランティアおよび再構築されたアプリによるテストでは、従来の接触追跡と組み合わせて使用​​した場合に、新型コロナに対し陽性を示した人との接触を「非常に効果的」に特定できたという。

以前はAppleとGoogleのAPIの制約に関連する問題があり、接触通知を生成するために必要となるデバイス間の距離を効果的に推定することが困難であることが指摘されていた。

アプリが近く立ち上げられることに関して、Matt Hancock(マット・ハンコック)保険・社会福祉相は、スキャン可能な場所コードは「NHSの検査・追跡システムの根幹となる接触情報を収集するシンプルかつ容易な方法」だと述べた。ただしレストランなどでは、アプリを持たない常連客からデータを収集するシステムも必要となる。

「ウイルス蔓延を制御するために、最先端のテクノロジーを含めたあらゆるツールを使用する必要がある。今月後半のイングランドとウェールズでのアプリのリリースは非常に重要な瞬間であり、この重要な時期にウイルスを封じ込める能力を高めるのに役立つ」とハンコック氏は付け加えた。

英国のレストラン等は、gov.uk/create-coronavirus-qr-posterで自らの店舗等で掲示するQRコードをダウンロードするよう促される予定だ。

英国の全国紙が先月、アプリは自動の接触追跡を採用しないと報道した内容は見当違いだったようだ。

画像クレジットelenabs / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Carbon Healthが簡易の新型コロナ検査クリニックを全米で100カ所立ち上げ

プライマリケアヘルステックのスタートアップCarbon Health(カーボン・ヘルス)が「オムニチャネル」のヘルスケアアプローチに新たな要素を加えた。すでにサンフランシスコ、LA、シアトル、ブルックリン、マンハッタンで展開し、そして間もなくデトロイトでも立ち上げる新しいポップアップのクリニックというモデルだ。今後数週間か数カ月以内に米国内の他の主要都市でも展開し、最終的には新型コロナウイルス検査サイトが新たに100カ所設置される。これにより、1カ月あたり10万人を検査する能力が加わることになる。

これまでのところ、Carbon Healthはベイエリアにある既存の施設でのCOVID-19対応に注力し、またゲノミクスのスタートアップColor(カラー)、そして自治体とのコラボレーションを通じてサンフランシスコ州とその周辺でポップアップの検査サイトを展開してきた。そしていま、Carbon HealthのCEOで共同創業者Even Bali(イーブン・バリ)氏は、これまでに学んだことを全米レベルで展開するときがきたと考えている、と筆者とのインタビューで語った。フレキシブルで素早い検査サイトの展開だ。実際、同社はこの目標に向けて3月から取り組みを始めていたとのことだ。

「当社は2月に新型コロナに対応し始めた。文字通り中国・武漢からの患者が当社のクリニックに来ていたからだ」とバリ氏は話した。「すぐにパンデミックになると思った。部分的には政府の対応の失敗のために、自分たちができるだろうと思われること全てをやろうと決めた」

それはCarbonが事業を展開する地元でできそうなことから始まった。しかし、バリ氏とチームは早い段階で、より広範に取り組みを展開する必要があると認識した。実行にあたっては、Carbonは初期の体験を活かすことができた。

「当社はオンサイトで検査を行い、高齢者ホームを訪問し、企業の再開にも協力した」とバリ氏は話した。「現時点で当社はこれまでに20万回超の新型コロナ検査を独自に行ったと思う。Carbon Healthが部分的に協力したサンフランシスコの取り組みも含めれば、ベイエリアの検査の半分以上を当社が行ったはずだ。なので、当社はすでに可能な限りスケール展開しているが、あるとき物理的に場所の限界に近づいていた。そして3月にポップアップでよりモバイルなクリニックを多く展開するアイデアを思いついた」

ブルックリンにあるCarbon Healthの新型コロナ検査ポップアップクリニックの内部

これを実現しようと、Carbon Healthは十分に検査サービスが提供されていなかったコミュニティに対応するために町から町へと移動できるモバイルトレイラーの活用も始めた。それが今回のモデルのプロトタイプのようなものになった。マンション建設地で現場監督のオフィスとして使われているもののような建設用トレイラーを一新し、医療関係者が新型コロナ検査を行うのに必要な設備や用品を備えた。それはかなり一時的なソリューションであり、Carbon Healthはより目的に適し、素早く展開するのに役立つ大量製造が可能なカスタムデザインでメーカーと協業している。

Carbon Healthは、駐車場のスポットをフードサービスや物流拠点といった事業場所に変える、SoftBank(ソフトバンク)が支援するスタートアップReef Technologies(リーフ・テクノロジーズ)と提携している。そして同社が今回取り組むのはCarbonのクリニックだ。これは地元当局の許可や不動産の規制といった複雑なものをクリアするのに大いに役立つ、とバリ氏は話した。つまり、Carbon Healthのポップアップクリニックは、従来の永久設置型のクリニックを開所するときに時間がかかるプロセスを回避できることを意味する。

このモデルを活用する1つのアドバンテージがコストだ。多くの人が従来型のクリニックに比べれば高価ではないと思うかもしれないが、それほどコストがかからないというわけではない。少なくともカスタム製造され、ボリューム生産による経済性が得られるまではそうだ。しかしスピードは大きな利点だ。こうした特殊な状況でCarbon Healthが先を考えるのに役立っている。パンデミック後、あるいは新型コロナワクチンを接種するようになったときに、こうしたポップアップクリニックはどのように使われるのか、といったことだ。バリ氏は「かなりの数が必要とされる承認を受けたワクチンは、検査よりも体制が整わなければ管理が必要になる」と指摘した。

ブルックリンにあるCarbon Healthの新型コロナウイルス検査のポップアップクリニックの外観

一方で、新型コロナ以外の診療の需要は依然としてあり、Carbon Healthのポップアップモデルは従来のプライマリケアと遠隔診療のギャップを埋めることができるかもしれない。

「遠隔診療がいいソリューションとなっていない場合、ビデオによる医師の診察はほぼ満足するものだが、診断のためのテストをする必要があるということが問題だ。管理が必要かもしれないし、医師の指示のもとに看護師ができる本当にシンプルな身体検査を必要としているかもしれない。なので、こうした場合を考えると、あらゆる受診の90%はビデオでの医師の診察と、現場の看護師で対応できる」

新型コロナのテストは全米において急がれる重要なものであり、新型コロナワクチンの展開ができるだけ早くそれに置き換わることを願う。しかしパンデミックが収まった後でも、ヘルスケアは大きく変わる。Carbon Healthのモデルはケアをあらゆるところで展開するという需要に対応する、より永久的で実行可能な方法になりえる。

>画像クレジット:Carbon Health

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ治療に道を開くワシントン大ベイカー教授の研究に3.2億円のブレークスルー賞

ブレークスルー賞財団(Breakthrough Prize Foundation)は画期的科学研究に対する総額23億8000万円に上る賞金の授与を発表した。ライフサイエンス部門の受賞者、ワシントン大学のDavid Baker(デヴィッド・ベイカー)教授には3億円が贈られた。

ベイカー教授の研究はクノロジーとサイエンスの統合により分子生物学の進歩を図るもので、過去20年にわたってコンピューターを利用して複雑なタンパク質の構造を解明、合成する試みを続けてきた。最新の成果は新型ウイルスに対する治療法の発見に道をひらくものと期待されている。

ベイカー教授はワシントン大学のタンパク質デザイン研究所の責任者を務めており、過去20年にわたってコンピューター支援分子生物学分野におけるリーダーだった。ベイカー教授のラボが開発してきたタンパク質モデリングソフトウェア、Rosettaは極めて複雑なタンパク質の構造を立体的に可視化できる。世界中のボランティアが所有するコンピュータの空き時間を活用し、ここで開発されたソフトウェア、FoldITをインストールして並列分散ネットワークを作り、タンパク質がどのように折り畳まれているかの解明に貢献している。

ベイカー教授は「進化によって新しいタンパク質が現れるのには数百万年かかるかもしれない。しかしデザインして合成すれば今すぐ手に入れることができる」という。

財団は「自然界には存在しない全く新しいタンパク質をデザインするテクノロジーを開発した。これには人間の疾病の治療に役立つ可能性のある新しいタンパク質も含まれる」ことをブレークスルー賞受賞の理由として挙げている。ベイカー教授のチームは分子生物学全般における進歩に貢献してきたが、財団は最新の研究が病気の治療に役立つ可能性がある点を特に重視したようだ。具体的には新型コロナウイルスのスパイク状の突起に付着するようデザインされた新しいタンパク質はウイルスが正常細胞に侵入することを妨げる効果があると期待されている。

刀に鞘をかぶせるようにウイルスにたタンパク質の覆いをかけてしまう仕組みだ。もちろん自然界にはウイルスの鞘など存在しないため、人間がそれをデザインしなければならない。言うは易く行うは難いという典型で、アミノ酸分子がどのように折れ曲がりどのように相互作用するかについては無限に近い可能性が存在する。ベイカー教授のチームが取り組んできたのはまさにこの点を解明するためのプラットフォームだった。

A rendering of a molecule created to bind to a coronavirus spike protein.

赤い部分がミニバインダーとしてコロナウイルスに付着する新しいタンパク質(画像:David Baker / UW)

TechCrunchの取材に対してベイカー教授は「ゼロからタンパク質をデザインする汎用的な手法を開発した。これにより特定のタンパク質と相補的な立体構造と化学的特質を持つタンパク質をデザインできる。我々はこれを新型コロナウイルスに当てはめたわけだ」と述べた。

自然界には存在しないタンパク質を作り出すことはde novo合成と呼ばれる。ベイカー教授のチームが作り出したde novoタンパク質は新型コロナウイルスのスパイク状突起に強固に付着し、分離しないという。そのため「超安定性ミイバインダー」と名づけられた。

「もちろん奇跡的な効果を期待してはならないが、ウイルスが正常な細胞に侵入することを防止する治療法の第一歩になる可能性がある。そのためにはまず効果と安全性を完全にテストする必要がある。今日Scienceに発表した論文でこのタンパク質について詳細に説明しているが、新しい治療法として非常に有望だと思う。我々は臨床前実験を行い、このままで治療薬として使えるか、さらに改良が必要かどうか確かめているところだ」とベイカー教授は述べた。

ベイカー教授によれば、FoldITやRosetta@homeをインストールしている世界のボランティアのネットワークは膨大なコンピューティングパワーを提供することによって新型コロナウイルス対策においても非常に重要な役割を果たしているという。

数学や基礎物理学の分野でも今年多数のグループが受賞している。詳細はこちらのページに

ブレークスルー賞財団(The Breakthrough Prize Foundation)の創立者はYuri and Julia Milner(ユリ・ミルナー)、ジュリア・ミルナー夫妻だ。ライフサイエンス賞の共同スポンサーはSergey Brin(セルゲイ・ブリン)、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)とPriscilla Chan(プリシラ・チャン)夫妻、 Tencentの創業者、馬化騰(ポニー・マ)、23&MeのAnne Wojcicki(アン・ウォジスキー)の各氏だ。

画像:TEK IMAGE/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米国のモバイル上でのホリデーショッピングシーズンは過去最大となる見込み

新型コロナウイルスのパンデミックはホリデーショッピングシーズンに既に影響を与え始めている。Amazon(アマゾン)は毎年恒例の販売イベントであるPrime Day(プライムデー)を今年は7月から10月に延期(CNBC記事)した。Walmart(ウォルマート)、Target(ターゲット)、Amazon(アマゾン)などの大手eコマース業者はかつてなく強力に(Business Insider記事)なっている。App Annie(アップアニー)の新しいレポートによると、モバイルショッピングアプリは過去最大のショッピングシーズンを迎えようとしている。モバイルデータ分析会社であるApp Annieは、米国の消費者が第4四半期にAndroidデバイスだけで10億時間以上費やすと予測している。昨年の同時期と比べて50%の増加だ。

この予測はモバイルコマースの躍進を示している。これほどの変化は4〜6年後(Forbes記事)になると予想されていた。パンデミックによりタイムテーブルが前倒しされた。

画像クレジット:App Annie

また同社は、オンラインショッピングのペースは過去数年とは異なるものになると予測する。

通常、ホリデーショッピングはブラックフライデー(2020年は11月27日)とサイバーマンデー(同11月30日)の週に集中するが、今年のショッピングシーズンはより長く引き伸ばされると予想される。ある程度はPrime Dayの遅れが原因かもしれないが、パンデミックによる経済的圧力も打撃となるかもしれない。

第3四半期が近づいているが、米国の失業率は依然として金融危機時よりも高く(Trading Economics記事)新型コロナ以前よりも2倍以上高い。App Annieによると、これが可処分所得の低下と価格感度の増加につながり、消費者は2020年のホリデーシーズンまで、より長期にわたりお買い得情報やプロモーションを探し回ることになるだろう。

プライムデーの遅れはショッピング活動にも影響を与える可能性がある。通常は11月が買い物で賑わう時期だが、今年はブラックフライデーとサイバーマンデーに近い時期に販売イベントが開催されるからだ。

App Annieはまた、Amazonのアプリが米国のショッピングアプリの月間アクティブユーザー数で引き続き1位にランクされており、他の人気ショッピングアプリと同時に利用されることが多いと述べている。

画像クレジット:App Annie

比較情報として、1週間ごとのショッピングアプリのセッションは、2019年の第4四半期のピークの週に25%増加した。英国でも15%増加した。

この増加傾向は続くと考えられる。パンデミックがもたらした変化は既存の消費者行動がベースになっているからだ。消費者はオンラインにシフトしている。App Annieはこの変化が今後も続くと主張する。

画像クレジット:App Annie

App Annieは、モバイルショッピングの伸長と、買い物のためにAndroidで第4四半期に10億時間超が費やされるとの予測に関連して、他のカテゴリーのアプリにもメリットがあると予測している。例えば
PayPal(ペイパル)は過去最高の四半期決算(The Money Fool記事)となり、決済総額は前年比で29%増加した。

特に米国やブラジルのように新型コロナの感染者数が増加している市場では、オンライン食料品サービスも急成長している。消費者がアプリを使用して在庫確認、セルフチェックアウト、宅配、オンライン購入、店舗での受け取りなどを行うため、食料品モバイルショッピングアプリの高い利用率は米国の感謝祭の期間を通じて継続すると予想される。同様に、Uber Eats(ウーバーイーツ)、DoorDash(ドアダッシュ)、Grubhub(グラブハブ)などの料理宅配サービスも引き続き有用で、第4四半期に広く利用されると予想される。

画像クレジット:App Annie

App Annieによると、米国以外では、2020年の「独身の日」が3100億元(約4兆7700億円)以上となり、過去最大のショッピングデーになると予測している。これは昨年の売上高380億ドル(約4兆300億円)を上回り、2020年第3四半期の中国における小売売上高の前年比4.8%の増加に続くと見込まれる。

画像クレジット:Thomas Trutsche / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Greenstopが大麻自動販売機をカリフォルニアの大麻販売薬局に設置

大麻(カナビス)は、カリフォルニアの一部のディスペンサリー(大麻販売薬局)の自動販売機で買えるようになった。カリフォルニアを拠点とするGreenstop(グリーンストップ)が開発したこのセルフサービス式売店は、現地の規制に準拠しつつ、同時に4人までが利用できる。この販売機の登場は、まさに最高のタイミングだった。

新型コロナウイルス禍において、カナビスはカリフォルニアには欠かせないビジネスと考えられており、このシステムは、利用者と販売員の双方の安全を保つソリューションをディスペンサリーにもたらした。しかも、私のような内向的な人間は、Budtender(バテンダー、カナビスの相談販売員)と話をしたくないときでも、ただ行って買って帰って来られる。購入は数秒で済むと、Greenstopの幹部はTechCrunchに話した。

Greenstopはこれを「スマート・ディスペンサリー」と呼び、この自動販売機をスーパーのセルフ会計レジのようなものと位置づけている。この場合、店員、つまりバテンダーは、客の身分証を確認し、必要ならば相談に応じた後に販売機のアクセスを許可するという販売の監視を行うことになる。この監視役の店員を配置するればディスペンサリーは規制をクリアして、販売機を導入して運用できるようになる。

Greenstopは2015年、Timothy Island(ティモシー・アイランド)氏とJames Edwards(ジェームズ・エドワーズ)氏が創業し、自己資金で運営してきた。2018年にはプロトタイプを発表している。2020年9月現在、製品をローンチした同社は、10人の従業員を擁し、まずはロサンゼルスで、次にカリフォルニア全土、ゆくゆくは全米に事業を拡大する資金として500万ドル(約5億3000万円)の調達を目指している。

スマート・ディスペンサリーは、ローンチ時点で2カ所に設置された。カリフォルニア州マリーナ・デル・レイのMarina Caregivers(マリーナ・ケアギバーズ)と、カリフォルニア州エンシノのThe Healing Touch(ザ・ヒーリング・タッチ)だ。1台で同時に4人に対応できるため、小さなディスペンサリーなら1台導入するだけで、新たにバテンダーを雇わなくても販売能力を高めることができる。

画像クレジット:Greenstop

当初、Greenstopのマシンは、速度のことだけを考えて開発されていた。ビールの6本パックを買うときのように、店に入って大麻を買って出てくるまでの時間をできるだけ短くすることに注力していた。しかし、共同CEOのティモシー・アイランド氏は、開発途中で別の利点を発見したとTechCrunchに話している。

「セルフサービスでは、買うときに自分が運転席に座っている感覚になれるのです」とアイランド氏。

Greenstopのマシンには完全にインタラクティブなディスプレイが備えられていて、ディスペンサリーは、リッチメディアを用いてすべてのメニューを更新できる。客はゆっくり時間をかけて、カナビスの系統や品種に関する説明を読むことができる。ディスペンサリーで人と話さずにこの種の情報を得るのは、これまでは不可能だった。

もうひとつは、販売機なので人の体に触れることなく買い物ができるという点だ。同社は、新型コロナが流行している間は、臨時のアクリル遮蔽板を設置して、ソーシャルディスタンスの確保に務めている。

共同CEOのアイランド氏とエドワーズ氏は、将来的にモバイルアプリを立ち上げ、モバイル機器で情報を調べたり、注文ができるようにしたいと考えている。

現在、Greenstopは、ディスペンサリーとの共同ブランドでマシンを展開している。双方のブランドを表に出すことで、客には合法的な購入であるという安心感を与え、同時にGreenstopの知名度を高めることができる。

まずはロサンゼルスで力をつけ、その後、周辺地域に拡大させてゆく考えだ。いずれは、カリフォルニアと米国全土のディスペンサリーに導入されることを期待している。2人の共同CEOは、同社はディスペンサリーを経営しているわけではなく、販売用製品のメーカーであるため、他州に素早く移動できるのだと説明していた。

共同CEOのエドワーズ氏は、同社の製品は新型コロナウイルス禍の影響で注目度が高まっていると話す。「全国的にバテンダーと話をしなければカナビスが買えないことになっているので、多くの人がバテンダーと話さずに買えることを願っているのです」

彼は正しい。一部のディスペンサーでは、そのために長い行列ができてしまう。ソーシャルディスタンスが求められる中では、空間は大変に貴重だ。

新型コロナウイルスは、Greenstopに他にはない好機をもたらした。人々が感染蔓延に見舞われる中で、カナビスの人気は急上昇している。ソーシャルディスタンスは社会的な義務になりつつある。2020年のこの最悪の事態を少しだけ和らげようと、Greenstopの製品は作られ、次の展開を待ち構えている。

TechCrunch Disrupt 2018より

【Japan編集部注】大麻は米国ではカリフォルニア州など一部の州、カナダ、オランダなどでは全土大麻取締法で規制z禁されているが、日本では大麻取締法で規制されており、所持することは違法となる。
画像クレジット:Greenstop

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(翻訳:金井哲夫)

医療技術スタートアップのuMotifが7億円超を調達、新型コロナで患者自身がフィードバックする遠隔臨床研究が加速

医療技術スタートアップのuMotifは、患者が治療や治験のために自分自身をモニターし、それをプラットフォームにフィードバックすることで、臨床研究へのより迅速なアプローチを可能にするアプリを開発した。現在、英国の既存投資家であるAlbionVCが主導し、ノルウェー・オスロを拠点とするDNV-GLや既存のエンジェル投資家も参加しているシリーズA投資ラウンドで500万ポンド(約7億500万円)を調達した。今回のラウンドを経て調達資金の総額は750万ポンド(約10億5800万円)となった。

uMotifのプラットフォームは、患者がデータを提出するために病院などのサイトに行かなければならない中央集権的な研究に徐々に取って代わられつつある、ライフサイエンス企業に販売されている。この傾向は明らかに新型コロナウイルスの感染蔓延によって加速しているようだ。uMotifは、現在26カ国で進められている研究で使用されており、皮膚科や希少疾患からがんや心臓病まで、25以上の治療分野に渡って臨床から現実の環境までを網羅している。最大の研究では、1万3000人以上の参加者の痛みのレベルや状態を追跡した。この研究はBBCで取り上げられ、ネイチャー誌にも掲載された。

競合他社としてはほぼ米国を拠点とする企業で、SnapIOT、Medable、Clinical Inkなどの組織や、その他の大手プラットフォーム企業などがある。

uMotifのCEO兼共同創業者であるBruce Hellman(ブルース・ヘルマン)氏は声明で「今回の新たな資金調達は当社の開発を急速に加速させ、最終的には顧客がより早く新しい治療法を患者さんに届けるための一助となるでしょう」と述べている。

アルビオンVCの副社長パートナーであるAndrew Elder(アンドリュー・エルダー)博士は「臨床試験中に信頼性の高い患者データにアクセスできることは、これまで以上に重要な意味を持ちます。uMotifのプラットフォームは、すべてのステークホルダーにとってウィンウィンであり、このプラットフォームは、何百万人もの患者に治療法を提供するためのスピードと効率に革命を起こす可能性と勢いを持っています」と述べた。

画像クレジット:uMotif

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(翻訳:TechCrunch Japan)

VR体験施設はコロナ禍で息の根を完全に止められたのか

ここ数ヶ月景気の後退傾向が続く中、コロナ禍により息の根を止められるかに見えたスタートアップが大打撃を克服し、再び飛翔しようとしている。しかしすべての分野のスタートアップがこのような幸運に恵まれたわけではない。特に、最近は多くのロケーションベースのバーチャルリアリティ(VR)スタートアップが操業を停止するのを見てきた。

新型コロナが世界的に流行する以前のVR体験施設は完全に崩壊していたわけではなかった。この小さな業界はその時点で既に、VR市場の最後の賭け的存在であった。VR市場は、消費者が自宅で自分のヘッドセットを付けてバーチャルリアリティを楽しむという状況へいざなうことに失敗し、娯楽におけるVRの役割を一般大衆に認知してもらう方法として体験施設に望みを託していたのだ。消費者の関心の冷え込みと、体験を通じてユーザーをすばやく動かすためのスループットの問題が、VR体験施設が直面する最大の課題の1つであった。

今週Apple(アップル)は、Protocol(プロトコル)からの報告に続き、VRスタートアップであるSpaces(スペーシズ)の買収を発表した。Spacesはコロナ禍の影響で対面式体験施設を閉鎖せざるをえず、ビデオチャットソフトウェア向けのバーチャル環境作りに基軸を移そうと試みていた。Appleに買収されたということは、事業が失敗に終わったわけではないことを示すものの、AppleがSpacesの体験施設事業を復活させることに関心を持っている可能性は低い。

今月始め、Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)誌は、Sandbox VR(サンドボックス VR) の米国子会社が破産を申告したことを報じた。Sandbox VRは複数の業界を同時に立て直すという建前でかなりの資金を調達してきた。これは、減退傾向にあるモールの経営者がこうしたスタートアップに資金を提供し、若い世代の消費者を引き込むための目玉商品として実店舗を設ける一方で、ミックスドリアリティ(MR)のソーシャルメディアビデオを活用して、彼らのVR製品を口コミで成長させる、という構想であった。

7月、UploadVR(アップロードVR)はDisney(ディズニー)がVRスタートアップであるThe Void(ザ・ボイド)のDowntown Disney(ダウンタウン・ディズニー)でのリースを終了したことを示唆する文書を発見した。このリースの終了は、コロナ禍によりそのロケーションが閉鎖された数か月後のことであった。

これらの投資がなされた時点では、現在のパンデミック(世界的流行)を予測するのは不可能であった。しかしVR体験施設は既に確固たる投資対象には程遠いということを示していた。IMAX(アイマックス)はVR事業に巨額の投資を行っていたが、2018年後半には、最後に残っていた7つのVR体験施設を閉鎖した。

対面式のエンターテインメントが今後どのような形を取っていくのか不透明な現在、問題は、VR体験施設に今後復活のチャンスはあるのかどうか、である。

実際のところ、これらのスタートアップの多くは、複数の分野で現状に逆らいつつ、21世紀のデジタルエンターテインメントのあり方を真剣に変えようと、最初から気の遠くなるような試みを行っていた。

巨大映画館チェーンが、パンデミックが自らの業界にどのような長期的な影響を与えるか予測するのに苦労している現在、こうしたスタートアップの多くが今後に希望を見いだせず操業を停止するか、売却されていっているのは驚くには当たらない。投資家はこの分野の新たな取り組みに関与することに消極的であり、新型コロナにより、現在の参画者は コロナ以前のビジネスモデルとは劇的に異なる方向へと向かわされることになると考えられる(ただし1つ注意したいのは、米国のVR体験施設市場は明らかに中国や日本のそれとは異っているという点である。そういった国においてはVR体験施設は人気のあるゲーム文化にぴったりとはまっているように見える)。

VR体験施設が生き残る、あるいは生まれ変わるとしたら、それは消費者行動やVRの導入に非常に大きな変化が生じた場合だろう。

VR業界は難しい状況にある。米国では、実質的な形でその分野を存続させているのは基本的にFacebook(フェイスブック)だけだが、一方で、同社はそのテクノロジーの未来を独自の条件で構築しようとする取り組みに邁進しているようである。この夏の始め頃、Facebookは大ヒット商品であるBeat Saber(ビート・セイバー)を8月までに恒久的にゲームセンターから引き上げると発表した。2014年にOculus(オキュラス)を買収して以来、FacebookがVR事業に取り組む中で周囲に生じたエコシステムは実質的に後退しており、同社は再び孤立した状況に置かれている。

関連記事:Facebookが社内のAR/VR組織を刷新、Oculusの名は消える運命か

カテゴリー:VR / AR /MR

タグ:コラム 新型コロナウイルス

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(翻訳:Dragonfly)

アップルが新型コロナ接触追跡の新ツールをiOS 13.7でリリース

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は新型コロナウイルスの接触追跡の取り組みを支援するため、計画していた接触通知技術の普及に引き続き力を入れている。両社は、公衆衛生当局が独自のアプリを開発・維持しなくても、デジタルの接触通知をより容易に導入できる新しいツールを発表した。アップルは9月1日のiOS 13.7システムアップデートから利用できるようにするが、グーグルはAndroid 6.0で自動生成されるアプリケーションから今月後半に導入する予定だ。グーグルのほうはシステムサービスとOSのアップデートを管理する方法が非常に異なるため、対応策が必要となっている。

テクノロジーの仕組みの変更により、ユーザーは管轄の公衆衛生当局(Public Health Authority、PHA)が作成した専用アプリを実際にダウンロード、インストールする必要がなくなる。代わりに地域の公衆衛生当局から、接触通知システムとその機能に関する通知が届く。ユーザーはそこでオプトインを選択できる。iOSではプロビジョニングプロファイル(App Store以外からiOS端末にアプリを配信するためのバイナリファイル)をインストールすることになるが、Androidでは地域のPHA用に自動生成されたアプリが作成され、Google Playストアからインストールされる。アップルとグーグルは、Exposure Notification Express(接触通知エクスプレス)が既存の専用PHAアプリを置き換えるものではなく、共存するものであることを明確にした。

Exposure Notifications Expressを利用するPHAはアップルとグーグルに対し、連絡先情報、ケアに関するガイダンス、注意事項、次のステップに関する推奨事項を伝える。PHAは、その名前、ロゴ、接触通知が発信される基準のほか、テクノロジーに詳しくない人でも簡単にシステムが利用できるよう接触が起きた場合の通知内容を提示する。

地域の保健当局は、ユーザーが受け取るテキストメッセージを自らカスタマイズする必要があるが、アップルとグーグル双方の技術に基づくデジタル接触通知システムを使って接触追跡のために独自のアプリケーションを開発・配布する必要はない。保健当局は接触リスクの計算方法決定にも責任も持つ。専用アプリなら備えていた機能だ。これは大きい。なぜなら、アップルとグーグルによると、世界で20カ国がすでにAPIに基づくアプリを導入し、そして米国の25の州がシステムの利用を「検討」しており、これまでに6つの州がアプリをリリースしたからだ。こうした現状から、今回のシステムは開発者や医療当局が採用する際の技術的参入障壁は低くなっており、普及を早めるのに役立つはずだ。

アップルとグーグルは、まずワシントンDC、メリーランド州、ネバダ州、バージニア州がExposure Notification Expressを導入し、他の州もそれに続くと予想していると述べた。両社はまた、U.S. Association of Public Health Laboratories(米国公衆衛生試験所協会)と全米の主要サーバーに関して協業しており、ユーザーが地元の医療当局の管轄外に移動する場合であっても州境を越えて効果的に接触追跡ができるよう取り組んでいると述べた。

接触追跡が有効に機能するためには60%以上の採用が必要だという誤った情報が広まっている。これは、今年初めに発表されたオックスフォードの研究が誤解されたことによる。研究に携わった研究者たちはその後、実際にはデジタル接触追跡をサポートするアプリによるあらゆるレベルの接触追跡が、新型コロナ拡散軽減とそれがもたらす死亡数の減少にプラスの効果がある(MIT Technotogy Preview記事)と明らかにした。

このシステムには、アップルとグーグルがこれまで提供してきたものと同じようにプライバシー保護が含まれている。つまり、個人の位置情報が収集されたり、接触通知と紐付けられることはない。代わりに、技術者はランダムに生成されたキーを使用して、あるデバイスがソフトウェアを利用する他のデバイスのBluetoothの検出範囲に入った時間と場所を追跡する。システムはランダムな識別子のログを保持し、確認・報告された診断結果(完全に匿名化されている)と照合して接触リスクの有無を判断する。その判断は、各地域を管轄する公衆衛生当局時間と距離に関してが定める接触の定義に基づき行われる。

【Japan編集部追記】iOS 13.7であっても日本で新型コロナウイルス感染者と濃厚したかどうかを確認するには「新型コロナウイルス接触確認アプリ」のインストールが必要だ。

画像クレジット:Apple / Google

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(翻訳:Mizoguchi

LGがマスク型空気清浄機を発表、H13グレードHEPAフィルターを搭載

率直に言ってLGのPuriCareで一番意外なのは、最近の数カ月で他のテクノロジー企業がどこも類似製品を出さなかったことだ。LGは近くドイツ・ベルリンで開催されるIFAの記者発表の一部としてこれを披露したのだが、同社自身は今年のショーはバーチャル出展を選んだ。

この「ウェアラブルの空気清浄機」の記者発表は、話題も豊富だ。同社によると「LGのウェアラブル空気清浄機であるPuriCareは、手作りのマスクの品質が均一でないことと、使い捨てマスクの品不足というジレンマを解決する。ウェアラブル空気清浄機のPuriCare(LGプレスリリース)はH13グレードのHEPAフィルターを採用しており、それはLGの家庭用空気清浄機で使われているフィルターと同じである」と説明している。

同社は、あえて新型コロナウイルスには言及しなかったようだ。具体的な疾病や健康問題を取り上げると、具体的な規制の問題にも触れざるを得ない。しかしもちろん、このパンデミックではマスクが各所で入手不足になった。LGがこのアイデアの実装に本気になったのも、そのせいに違いない。

しかしマスクは、その世界のプロが作ったものでもウイルスの遮断性能にはバラツキがある。そしてLGのこのフィルターに関しても同様の疑問がある。まず、着用者とそのまわりの人々とでは、ウイルスの出入りに対する遮断性能は同じなのか?特に、まわりにいる人を保護できないのならいい製品とは言えない。

新型コロナウイルスに関連した質問へのLGの回答は今後の承認の問題にすり替わった。「今後さらなる試験を重ねたうえで、詳細を話したい」とのこと。「一部の市場では第4四半期に発売する」そうだが、それまでに具体的な回答を聞きたい。ただしマスクを着用する動機は新型コロナウイルスだけではない。空気の汚染など、環境汚染もマスクを着ける重要な動機だ。

LGにもう1つ聞きたいのは「電池が消耗したらどうなるのか」。この空気清浄機マスクは820mAhのバッテリーを内蔵しており、「低」で8時間、「高」で2時間動くという仕様だ。しかしそれでも、長時間使って電池切れとか、家を出るとき充電を忘れたなど、現実のさまざまな問題がある。

H13のHEPAフィルターが2つ使われている。それは同社が家庭用空気濾過システムで使っているのと同じ種類だ。細菌を殺すための紫外線LEDライトも備える。これももちろん、ユーザーを保護するだろう。LGは家庭用空気濾過システムに加えて、消毒用に紫外線照射棒も作っている。同社はこちらも開発に熱心だったから、マスク製品に添えるという発想も自然だ。

実装の技術、かなり凝っている。着用者の呼吸に合わせて空気濾過の速度を変えるなど、やりすぎなところもあるかもしれないが、全体的にもっとすっきりしたデザインにすべきではないか。それに、価格が未定という問題もある。

画像クレジット:LG

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

映画館の再開に伴いチケット販売アプリ開発のAtom TicketsがSnapchatのミニアプリ提供を開始

カリフォルニア州サンタモニカ拠点のチケット・売店購入アプリ開発のAtom Ticketsが、Snapchatでのチケット販売を開始する。

Atom Ticketsの新しい映画チケットは、Snapchatアプリ内で直接サービスを提供するために、Snapの新しいミニアプリ配信プラットフォームを利用する。好みにアプリには、瞑想アプリのHeadspaceなどがある。

Atom Ticketsは、ミニアプリは今夏の初めに発売する予定だったが、新型コロナウイルスの感染蔓延の影響で全国の映画館が閉鎖されたため、その計画は頓挫していた。現在は映画館が再開し、「Tenet」「Bill and Ted Face the Music」「Wonder Woman」「The New Mutants」などの新作が銀幕に登場する中、新サービスを売り込むのに適した時期になったようだ。

「場所の安全対策と映画に戻ることを熱望する映画ファンと、我々はタイミングがSnapchat上でAtomのチケットの経験を起動するために右だった知っていた “マシューBakal、共同創設者とAtomチケットの会長は、声明の中で言った。”私達は映画ファンが欲しいものを与える安全な、無接触のデジタルサービスを提供して幸せである-映画を脱出し、楽しむ少しの時間。私たちは、社会的なプラットフォームとしての私たちの既存のDNAに基づいて構築された新しいMovie Tickets by Atom Miniが、映画を見に行くことをより簡単にし、友人を一緒に連れてくることを確信しています。”

Atom Ticketsの共同創設者で会長のMatthew Bakal(マシュ−・バカル)氏は声明で「安全対策が整っており、映画ファンが映画館に戻りたがっていることから、SnapchatでAtomのチケット販売体験を開始するのは適切なタイミングだと考えました」と述べた。「私たちは、安全で非接触型のデジタルサービスを提供することで、映画ファンは欲しいものを手に入れられます。Atom Miniの新しい映画チケットは、我が社の既存のDNAをベースにしたソーシャルなプラットフォームによって、映画をより身近にして友達を結びつけるものです」と続ける。

Snap Miniは、Snapchat内で提供されるミニアプリサービスで、同社のメッセージングインターフェースからアクセスできるのが特徴だ。Movie Tickets by Atomでは、ユーザーはチケットを購入し、ダイレクトメッセージ、グループチャット、ストーリーで詳細を投稿して共有、友人が近くの席を見つけられるようにリンクを含めることもできる。

SnapのプラットフォームパートナーシップのディレクターであるAlston Cheek(アルストン・チーク)氏は「Movie Tickets by AtomがSnapchatに登場することに、これ以上の喜びはありません。Atom Ticketsは、Snapにミニアプリとしてシームレスなeコマース体験を構築し、北米のSnapchatユーザーに最高のものを提供するでしょう」と声明で述べている。

Atom Ticketsは、AMC Theatres、Cinemark、Harkins Theatres、National Amusements’ Showcase Cinemas、CMX Cinemas、Landmark in Cinemas of Canada、Studio Movie Grill、Malco Theatres、Landmark Theatres、ArcLight Cinemas、Larry H. Miller Megaplex Theatresなど、新しくオープンしたばかりの映画館と提携している。

画像クレジット:Sunil Ghosh / Hindustan Times / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Spotifyがバーチャルイベント機能を開発中、コロナ禍で収入減のアーティストをサポート

新型コロナウイルスの感染蔓延は、音楽産業に甚大な影響を及ぼした。ライブのパフォーマンスやコンサートで生計を立てていたアーティストたちは突然足場を失い、収入の確保が難しくなっている。Spotify(スポティファイ)で開発中の新機能は、アーティストが陥っているそうした状況を改善するのに役立つかもしれない。有料のライブ音楽イベントを通じてアーティストとファンを再びつなげるという試みだ。ただし、パンデミック以前のようにファンがライブコンサートを見つけるようにするのではなく、今回は新機能がファンに予定されている「バーチャルイベント」をお知らせする。

この機能は、リバースエンジニアのJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏が最初に気付いたもので、展開されているSpotifyアプリではまだ利用できない。

新機能をとらえたウォン氏の写真には、韓国の人気アーティスト「BTS」のSpotifyプロフィールページが写っていて、そこには新しい「今後のバーチャルイベント」セクションがある。イベントをタップすると、ファンはBTSが9月19日にバーチャルイベントに登場するとの情報を得られる。ここでのイベントはBTSが公演することになっている2020 iHeartRadio Music Festival(iHeart Radioプレスリリース)だ。。写真では、このイベントのチケット取り扱いパートナーはSongkickとなっている。

ライブコンサートの代わりにバーチャルイベントを掲載するという変更は、Spotifyにとって難しいものではないだろう。同社はすでにチケットを扱うTicketmaster、Songkick、Resident Advisor、Eventbrite、AXS、そして日本のeplusなどのパートナーと協業している(Spotify FAQサイト)。これらのチケットサイトは、会場でのイベントが新型コロナの影響で延期されたり中止を余儀なくされたりする中で(政府によるロックダウン下ではイベント開催は法律違反になりさえした)、事業を継続させるためにパンデミック中でもバーチャルイベントを扱ってきた。

ファンとアーティストの橋渡しという点で、Spotifyは長い歴史を持つ。同社は2015年にコンサート・ディスカバリー機能を加えた(Variety記事)。ベントのチケットを直接販売してはいないが、リストデータを使い、またユーザーのロケーションに基づいて関心がありそうなファンにコンサートを提案することができる。そしていま、同社はこうしたレコメンデーションをより広範なものにしようとしている。バーチャルイベントでは、近くにいる人だけでなくさまざまな場所にいるファンが参加できる。

バーチャルイベント機能を立ち上げるためには、Spotifyはバーチャルイベントのリストにアクセスできるよう、パートナーとの既存の契約にわずかな変更を加えるだけでいいはずだ。パンデミックの状況からするに、パートナー企業がそうしたオファーを却下するとは考えにくい。契約を新たにすることは、アーティストにとってお気に入りのプラットフォームになるというSpotifyの大きな目標に近く。

画像クレジット:Jane Manchun Wong via Twitter

いまひとつ分からないのは、Spotifyがバーチャルイベントの追加を社会が通常に戻るまでアーティストの収入確保をサポートする一時的な方法と考えているのか、あるいは長期的にバーチャルイベントマーケットの成長が見込めると考えているのかだ。

現在のところ、バーチャルイベントはパンデミックの影響を受けているアーティストを支えている(Wall Street Journal記事)が、それはほとんどのライブコンサートの代替となるものではない。もちろん、いくつか例外はある。BTSのようなグループは1回のバーチャル公演で2000万ドル(約21億円)を売り上げることができるが、これは稀な例だ。大半のアーティストは、新型コロナウイルスの感染蔓延によってかなりの損失を受けている。これはLive Nation(ライブネーション)の直近の四半期決算からも明らかで、同社の売上高はパンデミックによる公演中止で98%減となった(Billborad記事)。

パンデミック前、ライブ公演はミュージシャンが稼ぐ主要な手段だった。ミュージシャンの収入の75%がライブの公演によるものと推計されている。だがこの数カ月ですべてが様変わりした。皆が知っているように、ライブイベントは中止になったから。

一部のアーティストは「チップ入れ」を置くなどして演奏を試みたり、Facebook Liveで小さなパフォーマンスを流したりしたが、いずれもこれまでのパフォーマンスやコンサートのような規模ではなかった。そうした中で、大きなイベント運営者や専門のストリーミング企業、大手の音楽サービス会社が乗り出してきた。

実際、Spotifyのライブイベントのテストは、音楽ストリーミング企業が似たような動きを展開している中でのものだ。

ちょうど米国時間8月26日にeMusicは、「バーチャルコンサートと収益を上げるためのプラットフォーム」とうたうeMusicLiveを立ち上げようと、7Digitalとの提携を発表した。繰り返しになるが、バーチャルでライブパフォーマンスを開催する方法を構築するだけでなく、アーティストがそうした手法で稼げるようにするのが狙いだ。

また8月25日には、Napster(ナップスター)を所有するRhapsody(ラプソディ)が没頭型音楽パフォーマンススタートアップのMelodyVRに買収された(未訳記事)。MelodyVRはバーチャルコンサートパフォーマンスを展開している。同社はまた、大規模な集会を禁止する新型コロナ規則が展開されるなかで、Live Nationやその他の大手イベントプロモーターともイベント開催で協力している。MelodyVRはバーチャルコンサートをギアに持ってくるという大きな野望を抱いていて、ここにビデオ体験とともに膨大なストリーミングカタログを提供するというメリットを加えようとしている。

MelodyVRの他に、音楽産業との結びつきを深めているTwitch(ツイッチ)もバーチャル音楽パフォーマンスサービスの構築に関心を持っている(CNCB記事)と報道されている。また、Apple(アップル)が2018年に密かにPlatoon(プラトーン)を買収したことも忘れてはいけない。Platoonは、おそらくライブパフォーマンスの開発という名のもとにアップルが人材を見つけて獲得したり、アーティストと協業したりするのをサポートできるA&R専門家の集団だ。

こうした各社の取り組みは何年にもわたって収益を着実に増やし、ライブストリームマーケットを前に進めるのに役立つかもしれない。Billboardが報じたように、バーチャルコンサートプラットフォームStageIt(ステージイット)のデータによると、ファンは2011年に30分のライブストリームに平均3.75ドル(約400円)を払った。この額は今では16.50ドル(約1760円)に増えている。パンデミック前に、PricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース)は、ライブの音楽イベントが2020年に288億ドル(約3兆700億円)を売り上げると予測していた(Wall Street Journal記事)。しかしバーチャルステージに取り組む中で、Spotifyがこのマーケットの可能性を取りに行くかどうかはまだわからない。

同社は今後の展開についてコメントしていない。

画像クレジット: stockcam / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

韓国内での新型コロナ感染再蔓延を受けサムスンがリモートワークの準備を進める

サムスンは一部の従業員を対象に、リモートワークのトライアルを始めると報じられている。これは3月以来最大の、新型コロナウィルスの感染拡大を受けてのことだ。同社の代表者の1人によると、このパイロットプログラムはサムスンの携帯電話および家電部門の一部の従業員を対象に行われる予定(ロイター記事)で、トライアルの評価後にさらに広範に実施される可能性があるとのこと。

韓国内で確認された新型コロナウィルス感染者数は、4月に一度安定した後、この数週間のうちに再び上昇を始めている。ジョンホプキンス大学のデータによれば、8月27日の時点で過去1か月で4503件の新規症例と13件の死亡が記録され、韓国内で確認された症例の総数は1万8706件、死亡は313件となった。

これまで韓国政府は、広範囲にわたる検査、接触者追跡、および移動制限命令を通じて、病気の蔓延をほぼ阻止することに成功(ウォール・ストリート・ジャーナル記事)していた。

しかし、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「新型コロナウイルスが我が国に入って以来最大の危機」と表現した最近の流行は、韓国が新型コロナウイルスに向けての緊急対応システムを再稼働させる(ウォール・ストリート・ジャーナル記事)ことを意味する。つまり、すべての集会を10人までに制限する、より厳格な物理的距離確保命令の再発令だ。

6月に、サムスンの韓国内研究センターの1つが閉鎖され、そしてある従業員の子供が新型コロナウイルスの検査で陽性となったことを受け、1200人の従業員が自宅で仕事をするように命じられた(Business Korea記事)。4月に同社は、世界中の従業員のために地域対応チームを設置したことと、「可能な限り在宅で働くよう従業員に強く助言した」ことを発表した(サムスンプレスリリース)。

TechCrunchはサムスンに対してコメントを求めている最中だ。

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(翻訳:sako)

新型コロナと戦う500 Kobe Accelerator 2020の参加スタートアップ17社が決定、国内からは6社が選出

神戸市は8月27日、米国・シリコンバレーのベンチャーキャピタル「500 Startups」と共同開催の 「500 KOBE ACCELERATOR」の2020年の参加チームが決定したことを発表した。5回目となる今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止をテーマに「500 KOBE Accelerator 2020 for COVID-19 Emerging Technology」という名称で、社会課題の解決を目指すスタート アップを募集した。

プログラムをすべてオンラインで実施され、9月7日から10月30日の8週間に渡ってメンタリングや講義、コミュニティ形成支援などを実施。11月12日に開催するデモデイで投資家や事業会社に成果を発表することになる。

今回は応募総数は 237社で、国内は75社、海外は162社という内訳となった。今回参加企業に選ばれたのは17社で、国内6社、海外 11社となった。以下、参加スタートアップを国別に紹介する。

なお、メンターは500 Startupsが担当するが、神戸市からはスペシャルメンターとしてビジョンケア代表取締役社長の高橋政代氏が加わる。

日本

Sportip
AIによる動作解析やコミュニティ機能を備えた、フィットネスクラブ・整体医院向けの指導効率化サー ビス「Sportip Pro」および個人向けサービス「Sportip Meet」の提供。

Zenu
スマートフォンで飲食店での注文や決済が可能となる飲食店向けの簡易デジタルメニュープラット フォームを提供。飲食店は購買データの分析も可能。

Pocket Passport
オンラインで特別な英語レッスンを簡易に作成しスケジュール管理も行える教育者向け授業管理プラッ トフォームの提供。

Kalkul
空間音を活用してデジタルとフィジカルを融合を図る新たなオーディオ機器の提供。

Dream Drive
カスタムキャンピングカーのオンラインリースサービスの提供や日本国内のロードトリップ情報を発信。

Langualess
動物の心拍を計測し、心拍データをアルゴリズム解析することで、動物の状態や感情を読み取ることの できる機器の開発・販売。

米国

Humaxa
AIによるチャットボットやレコメンド機能を活用し、従業員の定着率向上や管理の効率化を実現するリ モートワーク向けAIアシスタントツール「Max」の提供・開発。

LearningPal
AIの活用により事務作業の80%を削減可能とする、紙資料のデジタル化と文書管理のための企業向けプ ラットフォームを提供・開発。

台湾

AESOP Technology
過去の処方箋データを用いた機械学習システムにより、投薬誤りを特定する精度を向上させ、医療に関 わる不必要なコストの削減を図る。

Brain Navi Biotechnology
AIによるデータ解析、コンピュータビジョン、ロボットアームを活用した手術ナビゲーションシステム 「NaoTrac」や感染症の検査ロボット「Nasal Swab Robot」など医療機器の開発。

インド

Health Sensei
バイタルデータの遠隔モニタリングと患者データのオンライン管理を行える遠隔治療プラットフォーム の提供。

Chezuba
60か国以上のNGOと100か国以上の専門的なスキルを持つ個人をつなぐオンラインボランティアプラッ トフォームの提供。

シンガポール

Meracle
薬の管理と投薬効果のデータの解析により慢性呼吸器疾患の治療効果を高める治療ツール「Meracle」 の提供・開発。

SenzeHub
体温、心拍数、血中酸素量、血圧など、バイタルデータのリアルタイムモニタリングによる健康管理を 行う、ウェアラブルデバイスの販売・開発。

アルゼンチン

Osana Salud
オフラインとオンラインの双方で日々の健康管理を行う、サブスクリプション型プライマリーケアサー ビスの提供。

フィリピン

Parmazip
薬局向けのオンライン無料POSおよび在庫管理システムの提供を通じ、薬データをオンラインで共有 し、薬のオンライン受注と配送を可能にする。

オーストラリア

Yondo
1対1のビデオ通話やグループウェビナー、オンデマンド動画など、様々な業種に向けオンライン動画に よるセールスソリューションを提供するEコマースサービスを提供。

新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界を変え、消費者は多くのものを頻繁にオンラインで買い物するようになった。IBMのU.S. Retail Index(米国小売インデックス)の新たなデータによると、パンデミックは実在店舗からデジタルショッピングへのシフトをおおよそ5年分加速させた。その結果、デパートはかなりの売上減となっている。2020年第1四半期のデパートや「必要不可欠ではない」小売の売上高は25%減った。そして第2四半期には75%減と減少幅は拡大した。

レポートは、デパートの売上高が通年で60%超減少することが見込まれる、としている。一方でeコマースは2020年に20%近く成長する見込みだ。

パンデミックではまた、どの部門の商品が必要不可欠かを消費者が選別するようにもなった。例えば多くの消費者が家から働いたり授業を受けたりし始め、また政府のロックダウン措置のもとでのソーシャルディスタンシングが導入されたのに伴い、衣類の重要度は下がった。ただ他の部門をみると、食料品が12%、アルコールが16%、日曜大工材料は14%成長した。

画像クレジット: IBM

デパートの小売業者は新たな環境で競争力を維持するために配送のオムニチャネル化に迅速に軸足を移す必要がある、とレポートは指摘している。特に、オンラインで購入して店舗でピックアップするBOPIS(Buy Online and Pickup In Store)のようなサービスを通じて店舗に集客し、また店舗からの配送を拡充して提供する必要がある。

Walmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)などの大手小売はオムニチャネルの配送を展開している。両社ともeコマースへの早期の投資が奏功し、2020年8月に発表した四半期決算では上々の売上高となった。Walmartの場合、パンデミックによって第2四半期決算のeコマース売上高は97%増加した。Targetは同四半期に同日配送サービスが273%増えて過去最多の売上高となった。また両社はオンライングローサリーにも投資し、Walmartはグローサリーピックアップと、パートナー企業を通じた配達サービスを提供している。Targetもグローサリーピックアップをちょうど開始したばかりで、Shiptを通じた配達も展開している。

当然のことながらAmazon(アマゾン)もデジタルへの移行の恩恵を受け(BUSINESS INSIDER記事)ており、直近の四半期の利益は過去最高となり、売上高は40%増だった。

パンデミックによるeコマースの成長は、ベースライン成長にとって高いハードルとなる。米国勢調査局が発表した2020年第2四半期レポートによると、米国のeコマース小売は前年同期比31.8%増の2115億ドル(約22兆3300億円)に達した。eコマースは第2四半期の全小売売上高の16.1%を占め、これは前四半期の11.8%から増えている。

IBMのレポートの目的は、パンデミックによるオンライン支出が一時的にどのくらいシフトしたのか、長期的にどの程度影響するかを調べるというものだ。少なくとも予想の範囲内での答えは、パンデミックが業界を5年ほど前に押し進めた、というものだ。実在店舗からのシフトはパンデミックの前から起こっていたが、パンデミックが起こらなければまだ到達していなかったという水準に到達している。

似たような動向が、ストリーミングコードカッティング(ケーブルテレビの契約を解約してインターネットの動画配信サービスを選ぶこと)、ゲーミング、ソーシャルビデオアプリといった分野でも見られる。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:ネットショッピング 新型コロナウイルス COVID-19 Amazon Walmart Target

画像クレジット:John Lamb / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

コンピュータを生みエニグマを解読した英国の施設が新型コロナウイルスの影響で存続の危機に陥っている

Bletchley Park(ブレッチリー・パーク)は英国のカントリーハウスで、第二次世界大戦中に連合国の最も重要な暗号解読活動の中心として利用された。ここで世界初のプログラム可能なデジタル電子計算機が作られ、エニグマの暗号を解読し、その結果ナチス・ドイツとの戦いの形勢が変わった。そして今、こうした歴史を保存する施設が危機に瀕している。

英国の国立コンピューティング博物館も置かれているこの施設を運営しているブレッチリー・パーク・トラストは、新型コロナウイルス(COVID-19)ウイルス感染拡大の影響により財政が厳しくなっている。現在、収入の95%が失われ、年間予算が大幅に足りない。

何らかの措置、または外部からの支援がなければ、ブレッチリー・パーク・トラストは今年、感染拡大により200万ポンド(約2億8000万円)の減収となり、存続のために従業員のおよそ3分の1にあたる35人を解雇しなくてはならない。

ブレッチリー・パークのCEOであるIain Standen(イアン・スタンデン)氏は声明で次のように述べている。「たいへん残念なことだが、トラストでは人員削減を実施せざるを得ない。我々はブレッチリー・パークで重要な遺産の展示と博物館の構築に大きな成功をおさめてきた。その最も重要な強みは人材だ。しかし現在の危機による経済的な打撃はトラストの存続に深刻な影響を及ぼしている。あらゆる手段を講じてきたが状況は改善せず、トラストを存続させ未来に残すために今、行動しなくてはならない」。

ブレッチリー・パークは2020年3月19日に公開を中止し、7月4日に再開した。しかし有料入場者数はきわめて少なくなっている。

画像クレジット: Wikimedia Commons

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(翻訳:Kaori Koyama)

米大手小売りTargetが2兆円超えの過去最大Q2売上を記録、即配サービスが273%増加

Wallmart(ウォルマート)が米国時間8月18日に発表した新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた収益改善に続き、Target(ターゲット)も8月19日、ウォールストリートの予想を見事に上回り、多くの主要な指標において記録的な四半期を達成した。ウォルマートは同日、第2四半期の既存店売上高が24.3%増加し、Targetの利益は前年同期比80.3%増の16億9000万ドル(約1792億円)となり、これまでで最も好調な四半期となったことを発表した。Targetによると、オンライン注文は特に人気が高く、デジタル売上が195%増加したとのこと。Drive Up(所定場所で自動車による受け取り)、Order Pick Up(アプリで注文後の受け取り)、Shipt(自宅への配達)などの当日配達サービスも273%の成長を記録している。

Targetは第2四半期、売上高、既存店売上高、調整後1株当たり利益(EPS)、粗利益率も予想を上回った。売上高は、予想の198億2000万ドル(約2兆1000億円)に対して230億ドル(2兆4370億円)。既存店売上高は、予想されていた5.8%を大幅に上回る24.3%、記録的な増加となった。1株当たり利益は、予想の1.58ドルに対し、3.38ドル。また、売上総利益率は予想が28.98%に対して30.9%だった。

同社は、売上高の伸びを、新型コロナウイルスの感染拡大の中で営業を続けてきたこと、Targetブランドに対する顧客の全体的な信頼、商品カテゴリーを超えて顧客の買い物意欲、デジタルサービス、そして何よりも第2四半期に顧客が店舗に戻ってきたことなど、多くの要因に起因していると分析している。

しかし後者の要因は、必ずしもTargetの買い物客が道を歩いていたということを意味するものではない。むしろ、オンラインでの注文と実店舗とのギャップを埋めるために、新型コロナウイルスの感染拡大に先立って同社が実施した投資の成果が表れている。第2四半期には、買い物客がウェブ注文の品物を受け取るためにTargetの店舗に向かったため、店舗内注文ピックアップは60%以上増加した。

オンラインで買い物をした後、指定された駐車場に車を停めて注文品を車に運んでもらうことができるTargetのDrive Upサービスは、第2四半期に700%以上の伸びを記録している。また、即日宅配サービスのShiptは昨年比350%増となった。

つまり、Targetの顧客が「オンラインショッピング」と考えているものの多くは、実際にはターゲットの店舗で売上が達成されていたということだ。実際に同社は、第2四半期の売上の90%以上を店舗で稼いでいると説明している。

画像クレジット:Target

Targetは、デジタルフルフィルメントサービスを構築するために、新しいアイデアを迅速にかたちにできる社内のエンジニアリングチームを活用するという、テック企業のようなアプローチを採った。例えば、4人のエンジニアを含む8人のチームが、2017年4月からDrive Upを構築し、同年夏までには社内でテストされた。そして同年秋までにTargetの一部店舗で利用可能に。そして2019年8月の時点で全国の店舗で利用できるようになった。

同社はまた、2017年に5億5000万ドル(約582億円)でShiptを買収し、さらに最近では5月にDelivから当日配達技術を買収するなど、Eコマース事業を支援するために重要な買収を進めてきた。また、Targetの買い物客にリーチするためにShiptの専用ブランドだけに頼るのではなく、Shiptの当日配達サービスを自社のウェブサイトとアプリに直接統合した。

これらの努力の成果、顧客が必ずしも店舗の通路を直接歩いて買い物をしたいとは思わない、現在のパンデミックの中で実を結びつつある。結果、米国Yahoo!ファイナンスは同社の小売事業を「テクノロジー企業のような成長」と表現した。

2017年11月8日 にテキサス州サウス・リッチモンドに開店したTarget Houston–Richmond(画像提供:Anthony Rathbun/AP Images for Target)

TargetのBrian Cornell(ブライアン・コーネル)会長兼CEOはさらに、同社が2020年の最初の6カ月間に50億ドル(約5300億円)の市場シェアを獲得し、その間に新たに1000万人のデジタル顧客を獲得したことを明らかにした。

「第2四半期の既存店売上高の成長率24.3%は、これまでに報告された中で最も高い数値であり、これは当社のチームの回復力とビジネスモデルの耐久性を示す真の証です。当社の店舗がこの前例のない成長の鍵となり、店舗内の既存店売上高は10.9%の成長を遂げ、デジタル売上高の4分の3以上を店舗が占め、200%近く増加しました」とコメント。「また当四半期には、従業員の給与や福利厚生に多額の投資を行ったにもかかわらず優れた収益性を達成しました。当社は、顧客に安全で便利なショッピング体験を提供するために投資することに重点を置いており、顧客からの信頼を得て年初の6カ月間に50億ドルの市場シェアを獲得しました」と続けた。

「差別化されたマーチャンダイジング(顧客の嗜好に合わせた)の品揃え、さまざまな注文&配達サービスト、強固なバランスシート、そしてチームの献身的な努力により、パンデミックの継続的な課題に対処し、今後も収益性の高い成長を続けていくための十分な設備を備えています」と同氏。

パンデミックは、顧客が何を購入するかにも影響を与えました。同社によると、主要商品カテゴリーの5つすべてで売上が増加したそうだ。これは、仕事や学校、娯楽のために家にいる人が増え、コンピュータやゲームシステムなどの購入が増えたことにより、前年比70%増となったエレクトロニクス部門の売上が最も好調だったことに起因している。次いでエレクトロニクスが30%増、ホームプロダクツが30%増、ビューティー、食品・飲料、生活必需品が20%増と続いた。アパレルは第1四半期の20%の減少から第2四半期には2桁の増加に転じた。顧客の買い物かごのサイズ(購入金額)も18.8%増加した。

ウォルマートと同様に、Targetも政府の景気刺激策の影響を受けているが、これは次の四半期には縮小すると見られている。しかし同社は、新型コロナウイルスの危機により消費者の買い物パターンや政府の政策が予測不可能になっているとし、2020年の同社Q3以降の予測の言及を拒否した。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)

AMCが8月20日に全米約100カ所で映画館を再開、1日限りでチケット価格1920年時の15セントに戻す

ほとんどの業界と同じく、過去5カ月間は映画館にとって壊滅的な状況だった。その規模において、世界最大の劇場チェーンほど打撃を受けたところはほかにない。AMC(AMCシアターズ)は、以前から映画館再開の計画を立てていた。しかし物事は変わる、特に不確定で常に変化を続ける世界的なパンデミックが相手のときは。

関連記事:AMC will close all US theaters for six to 12 weeks(未訳記事)

今週、AMCは8月20日に米国で100館を超える映画館を再開する計画を発表した。これは再開計画の第一波だ。当然ながら復帰に慎重な顧客のために、1日限りで全チケットを15セント(16円)で販売する(ソーシャルディスタンスを確保するため、枚数限定)。この金額は一時的に1920年のチケット価格に戻すもので、同劇場チェーン創立へのオマージュである。

しかし、まだまだ課題は残る。中でも大き問題は、選ぶべき新作がないことだ。これは、鶏と卵の話の一種である。映画スタジオは同じくらい映画を配給したくてたまらないが、規制によって映画館は閉じたままだ。度重なる遅れを経て、ワーナー・ブラザーズはクリストファー・ノーランの「TENET テネット」を米国より先に海外で公開する異例の手段を選んだ。これこそこの国の新型コロナウイルスへの対応状況を表している。

関連記事:7月15日に再開する大型映画チェーンで任意だったマスク着用が猛反対により義務に

TENETや「The New Mutant」といった作品が控える中、AMCは観客の復帰をかつての大ヒット作品に頼ろうとしている。近日上映予定なのは「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」や「ブラック・パンサー」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ゴーストパスターズ」「グリース」などの作品だ。料金は1本5ドルに設定されており、新作であるかどうかにかかわらず映画館に戻るのを待ちきれない人たちがターゲットだ。

関連記事:Theaters are ready to reopen, but is America ready to go back to the movies?(未訳記事)

AMCといえば、観客にマスクの着用を義務付けなかったと発表して議論を呼んだが、オンラインで激しい批判を浴びて即座に方針転換した。劇場再開のリリースには、消毒と安全対策に関する項目が掲載されている。

AMCは安全・清潔対策として、各上映回の販売チケットの大幅な減少、予約席の一部封鎖によるソーシャルディスタンスの確保、入れ替え時間を延長することによる清掃の徹底、静電スプレーを使用した夜間の殺菌、高度なHEPA掃除機の使用、MERV 13フィルターを可能な限り使用する空気清浄の改善、来場者および職員全員のマスク着用を義務付けた新たな安全基準、手指消毒の劇場全体への配置、来場者への殺菌拭き取り紙の配布などを行います。

上映館の一覧はこちら(BusinessWire記事)から参照できる。ごく一部の年と州に限定されているほか、カリフォルニア、ニューヨークなどの主要都市は新型コロナウイルスの安全規制のために除外されている。

画像クレジット:Ben Gabbe / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Mozillaが250人を解雇、新型コロナで売上減

Mozilla(モジラ)は8月11日、商業部門であるMozilla Corporation(モジラ・コーポレーション)の大規模なリストラを発表した(Mozillaブログ)。 約250人の従業員が職を失い、台湾・台北でのオペレーションも閉鎖される。すでに今年初めに同社は約70人の従業員を解雇しており(未訳記事)、それに続く動きだ。2018年の最新の数字によると、Mozillaは世界中で約1000人の従業員を抱えている。

世界的なパンデミックによる売上減少を理由に、Mozillaのエグゼクティブチェアマン兼CEOのMitchell Baker(ミッチェル・ベイカー)氏は、社内向けのメッセージ(Mozillaブログ)で、新型コロナウイルスの感染拡大以前の計画は実現不可能だと述べた。

「新型コロナウイルス前は2020年を変化の年にする計画だった。Firefoxの製品価値を高めることでインターネットをより良いものにし、イノベーションを進め、長期的な財務安定性を確保するために資金調達方法も変更するはずだった」とベイカー氏は書いた。「当社は採用の一時停止、福利厚生の削減、全社会議の中止など、即効性のあるコスト削減策から始めた。新型コロナがこうした変更の必要性を高め、より踏み込んだ変更が必要になった。新型コロナウイルス前の計画は役に立たなくなった。当社は春以降、レイオフの可能性を含め変革の必要性について議論してきたが、いよいよ現実のものとなった」

解雇の対象となった従業員は、12月31日までの基本給の全額に相当する退職一時金を受け取り、今年上半期分の個人業績賞与、会社の業績に連動する賞与の一部、標準的なCOBRA健康保険(退職後一定期間、退職前と同様の保障内容で加入できる健康保険)に加入することができる。

Mozillaは小規模な会社として、より「迅速かつ機敏に」行動すること、オープンウェブエコシステムの目標を共有するパートナーとより緊密に連携することを約束した。ベイカー氏はMozillaが「インターネットアクティビストの活動を支えるパワーハウス」であり続けたいと考えている一方、同社がミッションに忠実であり続けるためには収益性にも焦点を当て、持続可能なビジネスモデルを作り出す必要があることも認めている。

「また、新製品の開発とマーケティング活動に重点をシフトする組織改革にも取り組んでいる」とベイカー氏は述べた。「長い目で見れば、新しい組織構造が製品と市場にインパクトを与え、目標達成に貢献すると確信しているが、これについては後日詳しく説明したい」

製品に関してはMozillaは引き続き、Firefoxのみならず、Pocket、Hubsバーチャルリアリティプロジェクト、新しいVPNサービス、WebAssembly、その他のプライバシーおよびセキュリティ製品に注力していく。ただし、製品への機械学習導入のために新しくDesign and UXチームや応用機械学習チームも立ち上げ中だ。

画像クレジット:David Tran / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi