Airsortedが150万ポンドを調達ー競争が激化するAirbnb物件管理サービス

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Airbnbホストに対して、物件の管理やコンシェルジュサービスを提供しているスタートアップは山ほど存在する。シリコンバレーのPillowやヨーロッパのHostmaker、さらにはオンデマンドモデルを採用しているBnbsitterなど例をあげるとキリがない。

そんな中、現在急成長中で規模が1番大きいと言われているのが、ロンドン発のAirsortedだ。同社は1000軒もの物件を管理しており、その数は過去6ヶ月間に4倍も膨れ上がった。

さらなる成長、そしてオーストラリア・シドニーへの進出のため、Airsortedはこの度150万ポンドの資金調達を行ったと発表した。Concentricがリードインベスターとなった今回のラウンドには、500 StartupsとPi Labsも参加していた。

2015年初頭に設立され、不動産関連のテック企業にフォーカスしたPi Labsのアクセラレータープログラムの卒業生でもあるAirsortedは、Airbnbのホストの手間を軽減し、最終的にはホストがもっと利益を上げられるような数々のサービスを提供している。具体的には、ゲストの管理や、宿泊料の最適化、マーケティング、クリーニング、洗濯などのサービスをホストは利用できる。

他社と比較したAirsortedの利用料について尋ねたところ、共同ファウンダー兼CEOのJames Jenkins-Yatesは、同社を新規で利用するホストのほとんどが、他社サービスからの「乗り換え」ではなく、Airbnbホスト向けのサービスを初めて利用する人たちだと言う。

「私たち以外にもホスト向けのサービスを提供している企業はありますが、市場の規模は大きく、成長スピードもとても速いです」と彼は言う。「私たちは常にホストの利益を第一に考えています。というのも、Airbnbを通して手にいれたお金で素晴らしい生活を送ったり、夢を叶えたりと、素晴らしい物語はいつもホストから聞きますからね。また、素早く動くことこそが最大の戦略だと考えており、ホストとゲストの両方に高品質なサービスを継続的に提供できるよう努力しています」

Airsortedは管理している物件の売上の数%を手数料としてとっているため、Jenkins-Yatesは、Airsortedとホストの利害が一致していると話す。

「私たちは、顧客であるホストが最大限の収益を上げられるように、宿泊料の最適化からゲストに快適に過ごしてもらう仕組みづくりまで、管理している物件の価値を上げるためにできることは何でもやります」と彼は言う。

「Airbnb自体はカリフォルニアの企業ですが、登録物件のほとんどが、旅行の目的地として人気のヨーロッパの各都市にあるということは見落とされがちです」と500 StartupsのMatt Lernerは声明の中で語った。「2年弱で3都市(ロンドン、エディンバラ、ダブリン)へ進出するというのは、簡単なことではありませんでした。しかしAirsortedは、このマーケットの可能性を証明することに成功し、今後もスピードを維持しながら物件数を伸ばしていくことでしょう」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

IPO前のAirbnbが2017年にやるべきこと

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Airbnbは次の長旅の間の素敵な宿泊場所をみつけてくれるが、その旅程全体につきあってくれれば更に良いものになるだろう。その目標へ向けて、2008年の立ち上げ以来ずっと同義だった「民泊(バケーションレンタル)」から踏み出して、2017年のAirbnbにはその視野を大きく広げて欲しい。

同社が先月発表したように、その「Flights and Services」で他の新しいサービスと並んで、フライト予約への参入が明言されている。同ページのカテゴリはやや不明瞭で「experiences(体験)」「places(スポット)」、そして「homes(家)」(家はスポットではないのか?)に分類されていて、それらがみな広い傘としての「trip」の下に収められている。

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Bloombergによれば、Airbnbはこれを実現するために既存のオンライントラベルサイトを買収するか、SabreAmadeus IT Groupのようなサービスプロバイダとデータ契約を結ぶことを考えている。この動きは長らく待たれていたAirbnbのIPO(今後18ヶ月以内に期待されている)に先行するものと噂されている。

新たな収益源の確保を目指して、Airbnbは試験的なものや実証済みのモデルに目を向けている。Kayak、Priceline、そしてExpediaのような予約サイトは皆、旅行の計画に対して、ホテルやカーレンタル、そしてフライトの予約まですべて同じ場所で扱うワンストップサービスを提供している。これらのサービスのほとんどはまた、旅行者が1つずつ集めて組み立てるのではなく1度にまとめて全てを予約した場合に割引を得られるお得なパッケージも提供している。こうした種類のパッケージングがAirbnbにとってのチャンスかもしれない、その夢である旅行予約のハブへと成長させてくれるのだ。

Airbnbが新たに練り直したミッションは、そのホームページの歓迎メッセージから読み取ることができる、そこではあなたに「お家、体験、スポット、すべてを1つのアプリで」と呼びかけているのだ。その目標は、先月ローンチした「体験」のページで推進される。これは旅行者にサーフィンのレッスンや、料理教室、あるいは音楽セッションといったもの予約を目的地に応じて可能にするものだ。Airbnbは通常の民泊で課している6から12パーセントのチャージよりも、高い手数料をこうしたものから徴収する。

こうした体験予約は、地元における本物の経験を探している旅行者の目を引くかもしれない地元の専門家であるホストによって提供される。フライト予約と同様に、こうした体験リストは、だれかをその地から押しのけたり、不動産価格を直接押し上げたりしないので、手頃な価格の住宅が減って危機に直面している地域社会と直接ぶつかることがない。また州や地方政府との間に高価につく摩擦を生み出すこともない。

コストのかかる規制を巡る争いの中で、Airbnbは商売の手を広げる必要性を感じている。今でも資金調達を続けながらも、そう遠くない将来にIPOを確実に控えて、Airbnbはそのときまでに、難しい収益の流れを減らし収益源の拡大を目指すことが賢明だろう。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: FRANCISCO RAMA / EYEEM/GETTY IMAGES

バルセロナがAirbnbなど民泊サービスに対する取り締まりを強化

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旅行者の間で高い人気を誇る、カタルーニャ州の州都バルセロナで、Airbnbはさらなるオペレーションの締め付けに直面している。家賃の上昇や、急速に普及した民泊プラットフォームを利用する旅行者の乱暴な振る舞いに対処しようしている地元コミュニティとの緊張感は高まるばかりだ。

バルセロナは、違法な旅行者向け宿泊施設の取り締まりに、しばらくの間取り組んできた。Ada Colau新市長は、昨年、宿泊施設の新規登録数に暫定的な制限を設け、この一時的な禁止措置は今年の夏まで延長されていた。そのため、現在ではバルセロナ市内で、新たに旅行者向け宿泊施設のライセンスを合法的に取得することはできなくなっている。

しかし、市議会は規制活動をさらに加速させ、居住者に対して、周りの住居が旅行者へ違法に貸し出されている疑いがある場合、通報するように促す手紙を送付している。

先月、市議会はバルセロナ市内での違法な宿泊施設の取り締まりを強化していくと発表しており、市議会からのダイレクトメールは、Eixample、Gracia、Sants-Montjuïcに住む市民を最初のターゲットとし、来月までにバルセロナ全体がその対象となる予定だ。

今年の夏に入ってから、市庁はさらに、Catalan Tourism Register(RTC)に登録されていない旅行者向け宿泊施設に対する罰金の最高額を、6万ユーロから60万ユーロへと10倍に引き上げることを決定した。バルセロナは、地方自治体が定める観光法を使って、市内のホームシェアリング活動をコントロールしようとしているのだ。

市議会は、昨年末にAirbnbとExpedia傘下のホームシェアリング企業HomeAwayに対して、それぞれ6万ユーロの罰金を課していた。RTCに登録されていない住居を宣伝していたこと、また、RTCナンバー無しでウェブサイトに掲載されていた住居に関する、詳細情報の求めに応じなかったことがその理由とされている。

今月発表された市議会の調査によれば、バルセロナ市内で旅行者に貸し出されているアパートの、ほぼ40%が違法だとされている。さらに同調査は、過去3年間でのバルセロナ市内の家賃の急激な上昇(33%)についても触れている。これはスペイン史上最大の家賃上昇にあたり、市議会は、賃貸住宅戸数に制限をかけてしまっている旅行者を非難している。

「バルセロナ市議会は、持続可能な都市モデルに沿った形で観光事業が運営されるよう、各種法整備にあたっています」と市議会は居住者向けに送られた手紙に記し、さらにバルセロナを「観光業にオープンでありつつも、その運営方法に関する明確なルールのある」街にしたいと付け加えている。

さらに続けて、市議会は違法な宿泊施設との戦いに力を加える意向を示しており、違法施設を特定するために、居住者に対して怪しい物件を通報するよう促している。居住者は、フリーダイアルの電話、もしくはウェブサイト上のフォームを使って通報を行うことができ、フォームはカタルーニャ語、スペイン語、英語、フランス語、ドイツ語に対応している。また、ウェブサイト上では住所をもとに、ある物件が合法の宿泊施設かどうかを確認することができる。

バルセロナ市議会の活動は、ベルリン市議会の動きと重なって映る。ベルリン市議会も、居住者に対して、近隣住民が違法な貸出を行っている疑いがあれば、(匿名の)通報をオンラインで行うよう促しているのだ。しかし、ベルリンはAirbnbのような民泊サービスに対して、さらに厳しい態度をとっている。今年の5月から施行された2014年の改正住宅法は、許可無しでの旅行者に対する短期間のアパート全体の貸出を禁じている。これにより、ベルリン市庁はホームシェアリングプラットフォーム上での、新たな活動を全て遮断することができるようになった(しかし、アパート内の一室を貸し出すのには、依然ライセンスが不要とされている)。

Airbnbで、今月の週末に利用できる宿泊施設を検索してみると、300以上の物件をバルセロナ市内(そしてパリ市内)でみつけることができる一方、ベルリン市内の物件数はずっと少なく、「ご希望の日程では、登録物件のうち11%しかご利用頂けません」というメッセージが表示される。つまり、ベルリンの取り締まりはAirbnbの物件数に大きな影響を与えているものの、Airbnbなどのプラットフォームを介して急増した、違法宿泊施設に対するバルセロナの取り組みは、これまでのところほとんど効果がないようだ。

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パリ市議会も同様に、合法宿泊施設の地図を公開し、違法施設を取り締まろうとしている。

ロイターによれば、先月バルセロナ市庁は、Airbnbなどホームシェアリングサービスの運営会社に対して、256件のアパートの登録を削除するよう命じ、さらに、疑惑のある400件以上についても調査を行っていると語っていた。

居住者への、違法にホームシェアリングプラットフォームを利用している近隣住民の通報を促す手紙が、ホストを思いとどまらせることにつながるかどうか(または、30日分の契約をして、数日後に旅行者がチェックアウトしたあとに残りの日程をキャンセルするといった、クリエイティブな方法をみつけるか)については、今後明らかになってくるだろう。

最近のバルセロナ市議会の調査によれば、現存する旅行者向けのアパート1万5881件のうち、9606件がライセンスを保有している。つまり、6275件が違法に貸し出されているのだ。

本日(米国時間9月20日)のプレスリリースで、同市議会は取り締まり活動に関するアップデートを発表し、7月と8月の間に、615件の違法宿泊施設に関して登録削除命令を発したとしている。これにより、今年の夏に取り締まりを強化すると発表してから、計1290件もの施設が検査されたことになる。

さらに、ウェブサイトにフォームを設置してから2ヶ月で、960件もの違法貸出に関する通報を受け付けたと発表し、そこに提言を含めた総数は1123件にのぼるとのこと。

市議会のデータによれば、バルセロナでAirbnbを利用する人の数は、2015年までの3年間で3倍の90万人にまで増加した。

バルセロナ市議会の最新の動きに対して、Airbnbは声明の中で、同市議会が観光業に関して矛盾した政策を展開していると非難し、「悪者」を定義づける「分かりやすいルール」を求めた。

以下がAirbnbの声明の内容だ。

Airbnbは、バルセロナでソリューションを提供しようとしているにも関わらず、市議会が、何千人もの人にとっての経済的なライフラインを脅かす、時代遅れのルールで、市民を怖気づかせているのは残念でなりません。バルセロナの観光政策の中心には矛盾が生じており、同市では、観光地で観光業のためだけに運営されている、商業的なオペレーターやアパートが優先されてしまっています。ホームシェアリングは、地元市民に収入をもたらし、現存するスペースを有効利用するだけでなく、宿泊客を分散し、中産階級の家庭やコミュニティに利益をもたらすものです。バルセロナには、世界中の主要都市のように、ホームシェアリングと悪者の線引をする、分かりやすいルールが必要です。

Aibnbの言い分としては、現在バルセロナには約2万1000件のアクティブな物件が登録されており、ホストは平均して年間5100ユーロの収入を得ているほか、その大方(ホストの73%)はひとつの物件しか貸し出していない。しかし、同時にそれは、バルセロナのAirbnbホストのおよそ3分の1が複数の物件を貸し出しており、多数の居住者が、同社のプラットフォーム上で自分の家を貸し出すのではなく、プロの貸し主として活動していることを示唆する。

本日のプレスリリースの中で、バルセロナ市議会は、RTCに登録されていない物件の情報を掲載し続けるプラットフォームは、行政処理や掲載情報の撤去に関する協力を求められることになると警告した。もしも協力しなければ、最高60万ユーロの増額された罰金が課されてしまう。

さらに、違法な貸し出しを行っている居住者が、近隣住民からの苦情に速やかに応じない場合、取り締まりの懲戒処分を受けることになり、その罰金は最大1000ユーロにおよぶ。バルセロナ市議会は、この苦情処理のために、専用コールセンターの立ち上げまで行った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Airbnbが政府の情報開示要請に関する初の透明性レポートを発行

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Airbnb初となる透明性レポートによれば、同社は今年の上半期だけで世界各国の政府から188件のユーザーデータ開示要請を受けていた。そして、そのうち82件について実際に情報開示を行っている。

Airbnbは、サービスを提供している各都市の地方行政機関や一般の人々に対する透明性を高めることを目的とした、Community Compactという施策の一環として透明性レポートを発行している。

「私たちはもっと開けたコミュニティづくりを目指し、世の中の人たちに対して私たちのコミュニティに関する情報を公開しています」とAirbnbのスポークスマンであるChristopher NultyはTechCrunchに語った。「私たちは、透明性レポートの発行がその大きな一歩であると感じていますし、今後は現在掲載されていないデータについても公開していきたいと考えています」

政府からの要請に関する情報を定期的に公開しているテック企業の数は増加傾向にあり、Airbnbは今回のレポート発行によって、そのような企業に仲間入りすることとなった。GoogleFacebookUberといった企業が透明性レポートを発行しているが、Airbnbと比べると彼らが政府から受け取る情報開示要請の数はずっと多い。

Googleは2015年の下半期だけで4万667件の要請を受けている一方、Facebookは同じ期間に1万9235件の要請を受けている。両社は、法執行機関にとってとても価値のあるユーザーデータを大量に保有しているため、多くの情報開示要請を受け取っているのも納得がいく。しかし、UberやAirbnbは、ユーザー間のやりとりや、写真、個人情報のようにリッチな情報を持ち合わせていないため、要請の数も少なくなりがちだ。Uberは、今年の4月に発行された初となる透明性レポートの中で、6ヶ月間で法執行機関から受け取った情報開示要請の数が469件だったと発表していた。

Nultyは、Airbnbがユーザーの安全性向上に努めていることから、同社の受け取る要請の数が比較的低くなっていると話す。「私たちは、Airbnbのプラットフォームにおいて、信頼をとても重要視していて、それがレポートの内容に反映されているのだと思います。2016年の上半期だけ見ても、世界中で3100万回もサービスが利用されているにも関わらず、情報開示要請の数は驚く程低い数字にとどまっています。これは、Airbnbのプラットフォーム上にいる人たちの大部分が、安全にサービスを利用をできているという証拠です」

Airbnbはレポートの中で、法執行機関に情報開示を求められたときは、「無駄であったり、効果が無い場合、さらには誰かに危害を加えるリスクを生み出さないと思われる場合に限って」ユーザーにその事実を伝えるよう努めると記載している。

さらに、同社はレポート内にNational Security Letters(NSL)に関する情報も記載していた。このレターをもとにして、連邦当局はテック企業にユーザーデータを要請することができ、さらに要請先の企業がNSLの情報について話すことを防ぐため、同時に緘口令がしかれることもよくある。企業は、受け取ったNSLの数だけ0から499の範囲で公表することができるが、AirbnbはこれまでのところNSLについては心配していないという。

「今日までに私たちは、情報公開に制限がかけられているNSLやその他の類似要請を受けたことはありません」とAirbnbはレポート内で述べている。

Airbnbは、受け取った情報開示要請を国別に分類し、実際に情報開示が行われた要請の数についても公開している。しかし、要請が地方行政機関からのものなのか、連邦政府からのものなのか、また、どのような情報が開示されたのかについては触れられていない。

同社の法的処置に関するガイドラインによれば、Airbnbは、裁判所の文書提出命令(subpoena)に応じて、ユーザーの住所、氏名、支払データといった基本情報を提供するとされている。しかし、予約履歴などの詳細情報の開示には裁判所命令(court order)が必要となるほか、メッセージなどのユーザー間のやりとりに関する情報開示にあたっては令状(warrant)が必要とされている。

Airbnbに送られた情報開示要請のほとんどがフランス当局から発されており、アメリカ、ドイツ、イギリスの司法当局がその後に続く。また、Airbnbは、オペレーションを行っている世界中の191ヶ国のうち、たった21ヶ国の政府からしか情報開示要請を受けていない。

Airbnbに対する政府の要請の数は比較的少ないものの、ユーザーデータ開示の少なさでは依然Slackがトップだ。最新の透明性レポートによると、同社はレポート発行時までに1件しか情報開示要請を受けていない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

民泊営業「年180日以下」が閣議決定、事業者に影響を聞いた

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政府の規制改革会議が6月2日、個人宅の空室を有料で貸し出す「民泊」について、営業日数の上限を「年間180日以下」とすることを条件に解禁する方針を閣議決定した。今後は所管省庁である厚生労働省と観光庁で営業日数の上限を確定し、2016年度中に法案を提出する。

法的にグレー、黒に近いグレーと言われつつも急速に普及する民泊。今回の閣議決定で個人宅の民泊が解禁される一方で、民泊事業者からは営業日数制限に反発の声が上がっている。どんな影響があるのか? まもなく民泊物件仲介を開始するスペースマーケットCEOの重松大輔氏に聞いた。

――民泊事業への影響は?

民泊事業の発展を阻害するものだと思っている。投資の回収が困難になることで参入事業者が減る可能性がある。営業日数を規制せずに、問題があれば上限を設定するアプローチを取ってほしかった。

――そのほかに問題点は?

住宅の提供者は通常、Airbnbをはじめ複数のサービスに登録して部屋を貸し出している。われわれ事業者としては、他のサービスを通じて貸し出した宿泊日数を把握するのは難しく、どこまで厳密に営業日数を管理できるか不透明な部分もある。

――スペースマーケットとしてはどう対応する?

法律が施行されれば、上限にのっとってサービスを提供する。弊社はスペースの一時貸しが本業なので、民泊施設を(宿泊させずに)会議やパーティーなどの用途で貸し出すことになるかもしれない。

――政府に対して何らかの行動を取る?

(重松氏が代表理事を務める)シェアリングエコノミー協会として意見をとりまとめ、反対意見を表明する予定だ。今までグレーな部分があった民泊が白になったのは大躍進ではあるが、やはり上限規制はよろしくない。

日本は旅館業法上、原則として宿泊業はホテルや旅館に限定されている。家主が不在にもかかわらず、不特定多数の人を対象に、継続的に宿泊費を徴収する場合、営業許可がなければ違法となる。

閣議決定では、住宅提供者や不動産業者がネットを通じて届け出をすれば、旅館業法上の許可なしで部屋を貸し出せるようにするとともに、宿泊者名簿の作成や衛生管理を義務付ける内容などを盛り込んだ。(2日に閣議決定した「規制改革実施計画」のPDF、民泊に関する記述は23〜24ページ)

日経新聞によれば、民泊の営業規制をめぐっては、シェアリングエコノミーを推進する新経済連盟の三木谷浩史代表理事も「過剰規制は不要だ」とコメント。その一方、ホテル・旅館業界からは「宿泊者の安全が担保されない」などと規制強化を求める声が上がっている。TechCrunch Japanが内閣府に確認したところによれば、営業日数の上限は年90日の英国、年60日のオランダなどの例を参考に調整を図るという。

Aibnb、人種差別主義のホストを追放

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AirbnbのCEOであるBrian Cheskyは、自社プラットフォームで人種差別や他の差別を認めないと伝えた。ノースカロライナのAirbnbのホストが黒人ゲストの予約をキャンセルし、彼女に人種差別的な言葉を何度も送った出来事を受けての発表だった。CheskyはこのAirbnbのホストを永久にプラットフォームから追放したと伝えた。

「ノースカロライナで起きたこの不穏な出来事は許されるものではありません」とCheskyは今日のツイートで発信した。「Airbnbは人種差別や他の差別を許しません。私たちはこのホストを永久に追放しました」。

Cheskyが言及するこの出来事は本当に不愉快だ。ホストは、黒人の予約をキャンセルする理由としてあからさまに彼女の人種をあげた。ホストの物件に宿泊を許可しない理由を伝えるのに、黒人を侮辱する言葉を複数回使用した。いつもだったら記事にホストの言葉を引用するところだが、そのような人種差別的なゴミをここには載せないことにした。

また他にも黒人がAirbnbで予約を拒否され、白人である友人が予約依頼を出すと許可されるといった体験をした複数の人がその詳細を語っている。そのような話は@#AirbnbWhileBlackから読むことができる。また、ハーバードの研究者の調査では、Airbnbホストによる差別が横行していると示す

Airbnbには確かに追放しなければならない人種差別主義なホストがいる。今回のホスト追放がその最初の1件となった。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

「日本流ホームシェアリング」を目指しAirbnbとCCCが提携、店舗とオンラインでプロモーション開始

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本日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)Airbnbは、日本でホームシェアリングの普及を目指し、パートナーシップ契約を締結したと発表した。日本を訪れる外国人観光客が急増し、宿泊先の確保として民泊に注目が集まっている。だが、日本でのAirbnbなどの認知率はまだ低く、実際に利用したことがある人もまだまだ少数だ。AirbnbはCCCと協力することで、CCCのカスタマーベースを通じてサービスの普及を目指したい考えだ。

TechCrunchの読者にはお馴染みのサービスかもしれないが、2008年8月に創業したAirbnbは、物件オーナーが所有する空部屋や空き物件をAirbnbに登録することで、他のユーザーに貸し出すことができるマーケットプレイスだ。Airbnbは現在、世界190カ国以上に広まり、登録件数は200万件に登る。2014年5月にはAirbnb Japanを設立し、日本市場への進出も果たした。

AirbnbのCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)兼共同創設者のジョー・ゲビア氏は、「日本全国には3万5000件の部屋がAirbnbに登録されていて、日本はAirbnbの中でも急成長している市場の1つです」と説明する。「2015年、Airbnbは日本で500%成長しました。つまり、2015年には130万人以上がAirbnbを使って日本に宿泊したということです」。今回、CCCと組むことでAirbnbは日本市場でさらにホームシェアリングを広めたい考えだ。ゲビア氏はホームシェアリングを広めることによって、地方の地域活性や日本が抱える空室問題の解消に貢献していきたいと話す。

CCCはAirbnbと「日本流のホームシェアリング」を広めるために、マーケティング面で支援する。CCCは全国1400店舗以上の「TSUTAYA」を運営し、共通ポイントサービス「Tポイント」の会員数は5854万人(2016年4月末時点)に登る。そのリソースを活かした店舗でのプロモーションやマーケティング活動を行うという。具体的には本日から代官山 T-SITE、5月31日からはSHIBUYA TSUTAYAの店舗でのプロモーションを開始するという。

私も会見の後「代官山 T-SITE」を覗いてみたところ、屋外広告、そして店舗内に複数あるデジタルサイネージがAirbnbの紹介になっていた。旅行やライフスタイルを提案するAirbnbの書籍コーナーも特設されていた。店舗の外にはAirbnbの宿泊物件に見立てたバンがあり、サービスの紹介を行っていた。

代官山T-SITEでのAirbnbプロモーション

オンラインでは、AirbnbとCCCが共同制作したホームシェアリングを提案する特設サイト「Airbnbホストナビ」を本日より開設している。このサイトは、ホスト向けにAirbnbを紹介するためのサイトのようだ。Airbnbのサービス内容やホストとして自分の物件を登録する方法を紹介する他に、これまでAirbnbで自分の部屋にゲストを迎えたことのあるホストのインタビューストーリーなどを掲載している。まだ詳細は出ていないが、Airbnbに自分の部屋を登録したいと考えるホスト向け説明会も今後TSUTAYAの店舗で行う予定のようだ。

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会見でCCCの代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏はAirbnbについて「体験してみないとその本質が分かりづらいサービス」とし、それを伝えるにはテレビコマーシャルではなく、別のアプローチでマーケティングを行っていきたいと話していた。CCCは以前にも「湘南 T-SITE」をAirbnbの宿泊先として提供するなどAirbnbとのコラボ企画を行ってきたが、今回の提携ではさらに新しい価値を提供ができることに期待していると増田氏は話している。

問い合わせ対応からクリーニングまで、民泊提供者向けサービスを展開するSQUEEZEが総額約4.2億円を調達

Airbnbなどの民泊マッチングサービスの普及、そして2016年4月から旅館業法が一部緩和されたことにより民泊運営が始めやすくなった。それに伴い、空室や空き家を有効活用する方法として民泊運営に関心が集まっているが、民泊運営に民泊予約サービスへの物件登録、ゲストの問い合わせ対応、チェックアウト後のクリーニングなど運用するには手間も多くかかる。海外からのゲストに英語で対応しなければならないのもオーナーにとっては負担になる。SQUEEZEはその問題を解決するために「Mister Suite(ミスタースイート)」という民泊事業者向けに一連の運用代行サービスを提供している。SQUEEZEはサービスを拡充するためにジャフコ、インキュベイトファンド、その他事業会社、個人投資家らから総額約4.2億円の資金調達を行なったことを本日発表した。今回ファウンダーで代表取締役を務める舘林真一氏にサービスの内容、そして今後の展望について話を聞いた。

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ミスタースイートは民泊事業者向けに2つのプランを提供している。「スタートアッププラン」では、初めて民泊運営を始める物件オーナーの代わりに物件の写真を撮影し、物件プロフィールをAirbnbなどの民泊マッチングサービスに掲載する。さらにはゲスト向けに空港からのアクセスや地域の観光情報、禁煙などの宿泊ルールをまとめたウェルカムガイドも作成する。どちらも英語で作成するため、海外からのゲストに物件を訴求することができる。このプランの料金は3万円からだ。「スタンダードプラン」では、物件のリスティングと価格の最適化、問い合わせ対応、鍵の受け渡しなどのチェックインサポート、チェックアウト後のクリーニング手配まで一貫した運用サポートを行う。利用価格は予約料金の20%からだ。

「ミスタースイートは民泊の業務代行に留まらない、クラウド型の運用サポートシステムです」と舘林氏は言う。ミスタースイートは全ての情報を一元管理していて、民泊運営に関わる物件掲載、問い合わせ対応、クリーニングなどの業務を細分化し、それぞれの担当者に割り当てるシステムだと舘林氏は説明する。例えば、問い合わせ対応は海外に住んでいる主婦に委託しているという。また、クリーニング作業は契約している個人のクリーナーに委託し、リネンの交換なども専門の業者と提携している。システム内に全ての情報があり、各担当が随時そこから物件のステータスをアップデートしたり、詳細を確認したりできるということだ。それによりオペレーションを効率化していることがミスタースイートの強みだという。例えば、オペレーターがゲストの問い合わせに対応する時、その物件が担当者にとって初めて関わる物件だったとしても、システム内に蓄積した物件情報や過去にあったゲストからの質問と回答などを参照してすぐに回答することができる。クリーナーもクリーニングの依頼をスマホで受け取り、その物件で清掃を行なった後、作業が完了したことをオンラインで報告して作業を終えることができるそうだ。

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オペレーション管理画面

舘林氏は、自分でも民泊を運営した経験が創業のきっかけになったと話す。舘林氏はゴールドマン・サックスを経て、トリップアドバイザーのシンガポール支社に勤めていたという。その時、旭川に住む両親から所有物件の空室に悩んでいるという相談があり、Airbnbに物件を掲載しようと考えたそうだ。両親に物件の写真や詳細情報をもらってAirbnbに掲載したところ、旭川には他の民泊物件が少なかったこともあり、すぐに予約が埋まって民泊による収入が家賃の3倍になったという。舘林氏は物件掲載から問い合わせ対応、クリーニング業者の手配までシンガポールにいながらにしてオンラインから完結できたことがミスタースイートの構想につながったという。

2014年9月に創業したSQUEEZEは同年10月に1億円を資金調達した。現在SQUEEZEのチームは20名ほどで、その3分の1は開発人員だそうだ。今回の資金調達では開発力をさらに強化すること、そしてより多くの民泊事業者にミスタースイートを提供できる体制を整えていくことを計画していると話す。まずはクリーナーが簡単に清掃の依頼と報告ができるスマホアプリを製作する予定という。現在、東京、大阪、京都の3都市でミスタースイートを展開し、270件ほどの民泊の運用代行を行っているが、来年にはその数を2000件に増やす考えだという。その一環として、これまで個人の物件オーナー向けにサービスを提供してきたが、複数物件を所有している不動産会社などにもアプローチしていく計画だと話す。