ブラジルのフードデリバリーiFoodが2025年までにカーボンニュートラルを目指す取り組みを発表

ブラジルを拠点とするラテンアメリカのフードデリバリー企業「iFood」は、消費者が企業に持続可能性への注力を求める中、同社の環境への影響を軽減するための一連の取り組みを発表した。

このプログラムは主に2つの要素から成り立っている。1つはプラスチック汚染と廃棄物に焦点を当て、もう1つは2025年までに事業活動においてカーボンニュートラルになることを目指すものだ。

廃棄物削減の取り組みの中でも最も意欲的で資金を要するのは、サンパウロにおける半自動リサイクル施設の開発だろう。

「当社は、ブラジルにおけるサプライチェーン全体をプラスチックフリー包装に変革したいと考えています。生産からマーケティング、物流まで、国全体のサプライチェーンをコントロールすることで、すでに存在しているものの生産量や需要が規模に達していない産業に対して、より競争力のある価格で包装を提供することができます」と、iFoodのCPO(チーフ・ピープル・オフィサー)&チーフ・サステナビリティ・オフィサーであるGustavo Vitti(グスタボ・ヴィッティ)氏は述べている。

同社は他にも、顧客がフードデリバリーを依頼する際に、プラスチック製の使い捨て食器を辞退することができるアプリ内オプションを設けた。

「これらの取り組みは、頼まれもしないのに送られてきて、結局使われずにゴミ箱に入ってしまうことが多いプラスチック製品の消費量削減に貢献します」とヴィッティ氏は語る。「最初に行ったテストでは90%の消費者がこのオプションを利用したため、何万本ものプラスチック製カトラリーが削減されました。これは家庭でのゴミの量を減らしたいという消費者の希望を表しています」とも。

排出量の面では、GHG inventory(greenhouse gas inventory、温室効果ガスインベントリ)を開発した炭素市場のテクノロジー企業であるMoss.Earthと協力し、環境保全や森林再生プロジェクトに結びついたクレジットを購入することで、同社の排出量をオフセットするという。

また、ブラジルで電動バイクを提供しているTembiciと協力して、同社の配送車両を内燃エンジンのモペットやスクーターから移行していく予定だ。

「相殺するだけでは十分でないことはわかっています。二酸化炭素排出量を削減するためには、革新的な方法を考える必要があります。2020年10月、当社はTembiciと提携して宅配業者専用に開発された、手頃な価格で電動自転車をレンタルできるプロジェクト『iFood Pedal』を立ち上げました」とヴィッティ氏は語る。「現在2000人以上の配達人が登録しており、サンパウロとリオデジャネイロで1000台の電動自転車を共有していますが、これには利用に加えて我々が考えていた教育的な側面もあります。定着状況が良好であることから、このプロジェクトを徐々に拡大し、他の都市でも実施して、クリーンな配送の割合を増やしていく計画です」。

ブラジルの電動バイクメーカーであるVoltz MotorsもiFoodと提携している。iFoodはVoltzから30台の電動バイクを注文し、一部の配送パートナーが現在それらを使用している。同社は、今後1年間で1万台以上の電動バイクを導入することを目指しているという。

iFoodは、水の再利用、再生可能エネルギーの導入、オサスコ本社の屋上緑化などの社内向けの取り組みと合わせて、ブラジル国内および国際市場の環境を改善するための持続可能性目標を達成したいと考えている。

「まだまだ道のりは長いですが、重要なパートナーたちとこの一連のイニシアチブに加え、現在開発中の他の取り組みを進めることで、プラスチックの発生や環境に与える二酸化炭素排出量を削減できると信じています。ブラジルの家庭生活における当社の関わりと存在は、地球に対するこれらの環境コミットメントの重要性をさらに高めています」とヴィッティ氏は述べた。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:iFoodフードデリバリーブラジル持続可能性二酸化炭素排出量電動バイクカーボンニュートラル

画像クレジット:Alfribeiro / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Aya Nakazato)

共有モビリティのLimeが10km先にも行けるペダルつきの電動バイク「モペッド」導入を発表

Lime(ライム)が、そのマイクロモビリティプラットフォームに、同社のシグネチャーグリーンに塗られた電動モペッド(ペダルつきのバイク)を追加し始めている。近所の商店へのちょっとした買い物から、10kmほど離れた比較的遠い場所への移動まで、都市部における移動手段を拡大することが狙いだ。

Limeは米国時間1月27日、この春に600台もの電動モペッドをワシントンD.C.で導入すると発表した。同社はパリでも自治体と協力してこの電動モペッドの試験的運用に取り組んでいる。最終的には、今後数カ月の間に「いくつかの都市」で提供される予定だ。

中国の電動バイクメーカーのNiu(ニウ)から提供されるこのモペッドは、2名乗車できるように設計されている。ヘルメットが入るコンパーメントには赤外線カメラのようなテクノロジーが装備されており、走行中に使用されているかどうかを検知する。これは正しく使用し安全を高めるための取り組みで、ヘルメットを常に着用することなどのLimeのポリシーに繰り返し違反した場合は、プラットフォームから追い出される。乗車開始時にはヘルメットを被り、その様子を自撮りしなければならない。

このヘルメットは、米国ではMoon(ムーン)、欧州ではNikko(ニッコー)から供給される。

モペッドの最高速度は45km/hで、1回の充電で140kmの距離を走行可能だ。Limeのスクーターは、ギグエコノミーの労働者が収集と充電を行い、街中に再配備することでお金を稼ぐことができるが、モペッドは交換可能なバッテリーを採用しており、Limeの正社員たちが維持管理を行う。

モペッドが以前からLimeの長期計画に含まれていたかどうかは不明だが、同社の新しいモビリティの責任者は、電動化された都市交通の将来に何を導入することができるか、同社は常に考えているとTechCrunchに語った。

「会社として成長していく中で、我々はユーザーが求めているもの、つまりより遠くへの移動をフォローする必要があると理解しました」と、LImeのニューモビリティの責任者を務めるSean Arroyo(ショーン・アロヨ)氏は語る。「いつでも、どこでも、どんな移動にも対応できる能力は、当社の基盤にあるものです。実際に我々のユーザーがこの方向性を示してくれたのです」。

LimeのCEOであるWayne Ting(ウェイン・ティン)氏は2020年末、スクーターやバイクを超えた「第3の交通手段」が、2021年の第1四半期に計画されていることを初めてほのめかした。同時に、サードパーティーの企業が同社のプラットフォームに加わることも示していた。

Limeは2020年、同社のアプリにWheelsブランドの電動バイクを取り入れることも開始した。ティン氏は当時、ユーザーはこのようなパートナーシップに期待してもよいと述べていた。

モペッドへの事業拡大は、Limeが新型コロナウイルスに汚染された暗い時代をなんとか乗り切ったという表れだ。同社は2020年4月に一連のレイオフを実施し、翌月にはUberから投資を受けることで、評価額は10億ドル(約1047億円)を割った。新型コロナウイルス感染が起きた初期の1カ月間、Limeはほとんどの業務を停止した。

しかし、同社はそれ以降、回復した。ティン氏は2020念11月に、同社が第3四半期に営業キャッシュフローの黒字とフリーキャッシュフローの黒字の両方を達成し、2021年には特定のコストを除き(EBIT)、通年黒字になるペースであると語った。同社また、モペッドに進出するのに十分な現金、またはそのためのアクセスを持っていた。

問題は「より多くのモードが進行中なのか」ということだ。

アロヨ氏は具体的なことは言わなかったが、より多くのモードが登場することは確かなようだ。

「2021年はモードだけでなく、オプション性も含めて、当社が本当に拡大していくのをご覧いただけると思います」と、アロヨ氏は述べている。「我々にとって、すべての移動に利用できるプラットフォームを持つことが何より重要です。また、利用者にとって合理的なオプションを提供できるようにしたいと考えています。共有モビリティは事業の巨大な要素ですが、その中には様々なレベルの共有できるモビリティがあります。2021年を通して、我々のモードが拡大するにつれて、かなり多くの異なるオプションを提供することになると思います」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lime電動バイク電動自転車

画像クレジット:Lime

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Harley-Davidsonは電動バイクを作り続けるべきだ

Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)は電動バイクを作り続けるべきである。これが同社のLiveWire(ライブワイヤー)を3週間かけて試乗した後の私の結論だ。

著者は2019年にこのバイクを試乗コースで試乗したことがあるが、それではこの105馬力のLiveWireの実力を十分に知ることができなかった。1か月近くかけて1000マイル(約1610km)の距離を走った今回、このバイクはHarley-Davidsonがこれまでに生産してきた中で最も革新的なバイクと言っても過言ではないと感じている。

無論、このバイクが完璧という意味ではない(特に価格面)。しかし、クロームとスチールを愛する同社の主要市場である団塊の世代の高齢化と売上の減少を受け、同社は新たな方向へ向かう必要があったのである。

同社初のEV

同社は当初LiveWireを1つのコンセプトとして誕生させ、その後メーカー初の量産EVへと発展させ、2019年後半にリリースを実現した。電圧駆動の同2輪車は同社が誇る内燃式クルーザーを補完するものであり、置き換えるためのものではない。

1903年にミルウォーキーで創業したHarley-Davidsonは、将来的にオートバイから自転車、スクーターにいたるまで電動車のラインナップを増やしていく計画を立てるべく、2018年にシリコンバレーにオフィスを開設した。2万9799ドル(約314万円)のLiveWireがその第一号だ。しかし、収益の衰退と新型コロナがもたらした不況により、同社の電動化計画は疑問視されている。

主なスペックをご説明しよう。Livewireは3秒で60mph(約90キロメートル毎時)を達成。最高速度110 mph(約177キロメートル毎時)で、DC急速充電器を使用してわずか40分で充電を80%完了させることが可能だ。15.5kWhバッテリーとマグネットモーターが86フィートポンドのトルクを発生させる。

Image Credits: Harley-Davidson

548ポンド(約250kg)のLiveWireは146マイル(約235km)の航続距離をうたっている(市街地とハイウェイを合わせた場合は95マイル(約153km))。この電動ハーレーはまた、IoTとアプリ互換性のある車両であり、パワー、トルク、回生ブレーキの異なるコンボが設定できるプリセットのライディングモードを備えるほか、カスタムモードを作成することも可能だ。
同社はまたLiveWireにキーフォブ操作や盗難防止コントロールシステム、バイクの鼓動のような振動などを含むプレミアム機能を追加した。

これは停止時に無音になるLiveWireがまだランモードであることをライダーに思い出させるのに便利な機能である。このバイクは走行中は基本的に静かだが、内燃機関のごう音で有名なHarley-Davidsonは車両の機械的な動きから発生する特徴的な電気音を加えている。これはかろうじて聞こえる程度のものだが、電動ハーレーとして他とは一線を画すものとなっている。

乗り心地

LiveWireは、バッテリーという1つの場所に非常に多くの質量が集中している電動バイクの二輪車でありながら、非常にバランスが取れたものとなっている。

LiveWireは500ポンド(約227kg)以上と同社のクルーザーの基準としては決して重くはないが、ネイキッドスポーツバイクとしてはずいぶん重く感じられる。ガレージ周辺でEVを押すと確かにその重さを感じるが、幸いなことに巧みなフレームエンジニアリングのおかげで、動きだせばその重さは見事に消えていく。

2019年にLiveWireをコースで試乗した際、私はわずかなノイズ、巨大なトルク力、稲妻のような瞬時の加速力など、電動バイクに期待すべきこと全てが備わっていると言う感想を述べている。

しかし今回、LiveWireとさらに多くの時間を共にしてライディングコンディションを経験したことで、その評価はさらに上がることになる。私はハドソン川渓谷を下ってマンハッタンへと向かうI-95で3桁までスピードを上げ、そしてグリニッジ周辺の曲がりくねった裏道へと向かった。LiveWireは見た目も性能も一流の電動バイクの域に達しているだけでなく、多くの点でピストン式のものよりもさらに刺激的な乗り心地となっている。

Created with OSnap! for iOS – Project: New Project 2

内燃式のモデルと比べてLiveWire最大の魅力はトルク力と加速力である。ガソリン式バイクよりも機械の可動パーツが少なくクラッチやシフトがないため、内燃機関よりも強力で安定したパワーデリバリーを実現している。単純にひねるだけで出発だ。

他の高性能電動バイクと同様、LiveWireの回生ブレーキ(モーターがバッテリーを充電し、スロットルから後輪を減速させるもの)も性能の向上に一役買っている。回生ブレーキの調整は手動または電動ハーレーのライディングモードで行うことが可能だ。

これには多少のスキルが必要だが、慣れれば機械的なブレーキをほとんど使わずにスロットルを操作するだけで、ガソリン式のバイクよりもスムーズにコーナーを駆け抜けることができるようになる。これに加えて横方向のハンドリングが加わり、ターンではTron(トロン)のライトサイクル並みに正確にラインを保持することが可能になる(少なくともそんな感覚に陥る)。

こういった全ての要因により、ガタつきのないスムーズな走りが実現した。また、EVとハーレーの両方にふさわしい美しいラインとスタイリングで、このバイクの見た目も最高峰の出来となっている。

市場

LiveWireのデビューにより、Harley-Davidsonは米国で初めて公道用電動モーターサイクルを製造する大手ガソリン車メーカーとなる。

米国のほとんどのモーターサイクル業界と同様に売上が数年下降しており、若年層の顧客への販売において不調が続いている同社にとって、この動きが必要不可欠なものであったということは間違いない。

同社はホンダやカワサキなどの伝統的なモーターサイクルメーカーに先手を打ったが、電動二輪車業界に競合は山のようにいる。

ガソリン車ユーザーを電動製品へと転向させ、若い世代を引き付けようと試みる電動モーターサイクルのスタートアップが複数存在するEV産業へHarley-Davidsonは参入したというわけだ。

この業界を率いる企業の1社は、世界中に200のディーラーを抱えるカリフォルニアのスタートアップ、Zero Motorcycles(ゼロ・モーターサイクル)だ。イタリアのEnergica(エネルジカ)は、米国で高性能電動モーターサイクルの販売を拡大中だ。

またカナダ発のスタートアップDamon Motors(デーモンモーターズ)は今年、最高速度200mph(約322キロメートル毎時)のHypersport(ハイパースポート)を2万4000ドル(約260万円)でリリースした。独自の安全性とエルゴノミクス技術を用いて調整可能なライディングポジションと死角検出を実現している。

無論、特に新型コロナの影響による世界的な不況を考えるとこれら新モデルに対する需要があるか否かは確かでない。

市場におけるLiveWireの成功(または失敗)については、同社の報告にLiveWire専用の販売データが含まれていないため評価が難しい。私やその他の人々が批判的だったのは、このバイクの価格が2万9000ドル(約305万円)だと言う事実である。Tesla(テスラ)モデル3よりも数千ドル安いだけのこの価格帯は、プレミアムバイクとはいえ高すぎだ。これは非常に重要な欠点ではあるものの、この価格を別にすると、LiveWireは様々な点で成功であると私は考えている。Harley-Davidsonは同社らしさを失うことなく、世間のEVに対する関心を集めながら正真正銘の電動モーターサイクルメーカーとしての地位を確立したのだ。

今後の動き

ローンチの成功の利点を最大限に活かすには、人々がより手に入れやすい次なる製品を開発する必要がある。Harley-Davidsonは7月にJochen Zeitz(ヨッヘン・ツァイツ)氏を新たなCEOとして任命し、売上の減少に対応し会社を未来に導くための、Rewire(リワイヤー)と名付けられた5年計画を発表した。この戦略には大規模なリストラの他、同社のガスエンジン車であるBronx(ブロンクス)モデルなど以前に発表されたプログラムの休止や中止などが含まれている。
LiveWireや新型EVの生産がHarley-Davidsonの将来の選択肢として残っているかどうかについて、ツァイツ氏は最近の声明投資家への発表の中で具体的に語っていない。

Image Credits: Jake Bright

この象徴的なアメリカ企業はEV製品を今後も作り続けるべきだ、というのが同社の電動バイクのデビュー作を事細かく精査し、市場を評価した後の私の意見である。オンデマンド機能と魅力を盛り込み、より多くの人が手にすることのできるLivewireの進化版を提供すべきである。
都会でも活躍するスクーターや、幅広い市場に受け入れられるより手頃な電動モーターサイクルなど、同社の次のEV製品のリリースを著者は心待ちにしている。

著者が考える同社の次の電動モーターサイクルは、549ポンド(約250kg)のLiveWireよりも軽く、初心者ライダーにとっても乗りやすく、クラウドとアプリに接続可能、価格は約1万ドル(約105万円)で航続距離は少なくとも100マイル(約160km)、充電時間は30〜40分といったところだ。いくつかオフロード機能も備えた、Harley-Davidsonのフラットトラックレーサーを思わせるトラッカースタイルのEVも良いかもしれない。

Image Credits: Jake Bright

画像クレジット:Jake Bright

新型コロナの影響を受けた経済環境において、モーターサイクルなどの製品に対する購入意欲は当面の間より保守的になるため、的確なスペック、スタイル、価格設定は一層重要になってくる。

しかし、Harley-Davidsonが若い市場を開拓し、21世紀のモビリティの世界にふさわしい存在であり続けるためには、EV生産へのコミットメントを継続することが最善の策であることに変わりない。同社のRewire計画には間違いなくより多くのLiveWireが含まれているべきである。

関連記事:ZeroのSR/Sはスポーツバイクとツーリングバイクの一台二役をこなせる電動バイク

カテゴリー:モビリティ
タグ:ハーレーダビッドソン 電動バイク レビュー

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(翻訳:Dragonfly)

ZeroのSR/Sはスポーツバイクとツーリングバイクの一台二役をこなせる電動バイク

Zero(ゼロ)が今年初めに発表したSR/Sは、スポーツバイクとツーリングバイク両方の性能属性と特徴を備えたフル電動バイクだ。この記事では、SR/Sならではのメリットとデメリットをガソリンバイクと比較しながら紹介する。

SR/Sは、そのメーカーであるゼロの事業ミッションにも貢献するモデルだ。カリフォルニア州を拠点とするEVバイクメーカーである同社は、電動バイクの量販化を目指して、すでに1億3700万ドル(約144億4000万円、Crunchbase調べ)を調達している。

前身モデルSR/FとSR/Sの違い

TechCrunchは今回、SR/Sの新車を持ち帰って徹底的に試乗する機会を得た。TechCrunchは昨年もかなりの時間を費やして、SR/Sの前身である2019年発売のSR/Fネイキッドバイクを試乗した。SR/Sは一見すると、SR/Fにフルカウルを取り付けただけのように見えるが、SR/Sならではの特徴は他にもある。

SR/SとSR/Fには多くの共通点がある。トレリス構造のフレーム、車輪・タイヤ、ドライブトレイン、バッテリー、モーター、充電システム、オペレーティングシステムは両モデルで同じものが採用されている。しかしSR/Sには、フルカウルに加えて、いくつかの細かな調整が施されており、それが乗り心地を著しく改善している。その点について、これから詳しく説明していく。

まず、一般的な仕様面では、SR/SもSR/Fと同じく、最高速度は時速124マイル(約200キロメートル)、トルクは140ft-lb(約19.4Kgf-m)、充電時間は60分で95%、オプションで6キロワットのプレミアム充電器を選べる(アップグレード費用は2000ドル(約21万2000円))。

ゼロのSR/SとSR/FはどちらもIoTバイクであるため、エンジン出力や操縦性など、全体的なパフォーマンスを、デジタルライディングモードやモバイルアプリを通じて管理できる。また、どちらのモデルにも、コーナリング時のABSやトラクションなどをコントロールするBosch(ボッシュ)製のスタビリティコントローラーが搭載されている。

フルカウル以外でSR/SがSR/Fと大きく違う点は、フットペグが下がり、バーの位置が上がったため、より楽に乗れる(アップライトの)ライディングポジションになっていることと、空力性能の向上により高速走行時(ハイウェイレンジ)の航続距離が13%伸びたことだ(ゼロの発表に基づく)。シリコンバレーから山をひとつ隔てたスコッツバレーに本社を構えるゼロの広報担当者によると、SR/Sではサスペンションのプリセットをフルカウル向けにカスタマイズしたという。SR/Fの車体重量は485ポンド(約220キログラム)だが、SR/Sの車体重量はフルカウルを装着した分、20ポンド(約9キログラム)ほど重くなっている。

スノーモービル大手のPolarisが自社製品の電動化に向けてZero Motorcyclesと契約

価格は、SR/Sのベースモデルが1万9995ドル(約211万7000円)で、SR/Fの1万9495ドル(約205万5000円)をわずかに上回る。また、SR/Sのプレミアムモデル(大容量バッテリー搭載)は2万1995ドル(約231万8000円)となっている。

SR/Sのある暮らし

筆者はSR/Fの見た目も性能も非常に気に入った。それと同時に、(少なくとも筆者の好みに基づいて判断する限り)SR/Sは他よりも優れた電気バイクだと感じた。SR/Sではライディングポジションが改善されて、より操縦・走行しやすくなったため、長距離のツーリングがさらに快適になり、カーブが多い道路ではさらにスムーズに走行できるようになった。

SR/Fと同様に、そしてこれは高性能の電動バイクの特性でもあるが、ゼロのSR/Sはトルクが大きくてアクセルが軽く、騒音やオイル臭は発しない。ガソリンバイクよりも可動部品の数が少なく、クラッチもシフトもないため、電動バイクのパワーデリバリーは内燃機関バイクより強力で安定している。スロットルを握って回せばすぐに発進できる。

SR/Sではカーブの走行方法に合わせて回生ブレーキを調整、適応させることが可能だ。回生ブレーキは電気エネルギーをバッテリーパックに戻すだけでなく、スロットルを閉じるときにSR/Sのモーターをどの程度減速させるかを調整できる。コツをつかむまで少し時間がかかるが、マスターすれば、機械的なブレーキをほとんど、またはまったく使わずに、スロットルのオン・オフだけで、ガソリンバイクよりもスムーズにカーブを走行できるようになる。

画像クレジット:Jake Bright

航続距離については、パワー出力を最小、回生ブレーキを最大に設定した「エコ」モードを使い、あまりスピードを出せない市街地のみで走れば、ゼロが宣伝している「最大航続距離161マイル(約259キロメートル)」を達成できる可能性は高そうだ。しかし、そんな走行はかなり退屈そうなので、自分では試さなかった。SR/Sと過ごした数か月の間、筆者は、ちょっとした外出には「エコ」モード、田舎道を飛ばすときには「スポーツ」モード、というように異なる走行モードを組み合わせることにより、平均して100マイル(約160キロメートル)程度の距離を充電なしで走ることができた。充電時間は、バッテリー残量にもよるが、6キロワットのレベル2充電器で1時間から1時間20分かかった。

SR/Sならではの長所と短所についてだが、確かにSR/Sにはいくつか弱点もある。SR/Fと同じく、SR/Sのフロントブレーキ(4ピストン、ツインキャリパー)は効きが強いのだが、J.Juan(ホタ・ホアン)製のリアブレーキは効きが弱いように感じた。また、車体のカラーも、現在のグレーとダークブルーだけでなく、SR/Sの滑らかな曲線美をもっと目立たせるようなカラーを展開してもよかったのではないかと思う。ゼロのメインディーラーの1つであるHollywood Electrics(ハリウッド・エレクトリクス)もどうやら筆者と同じ意見のようで、SR/Sの車体カラーを明るいホワイトまたはレッドにカスタマイズするオプションを提供し始めた。

筆者がSR/Sについて非常に気に入った点は、フルカウルの装着、ペグやバーの調整、サスペンションの設定により、性能が向上し、機能が増え、乗り心地が改善されたことだ。ニューヨーク州とコネティカット州の各地で、通勤に使ったり、脇道を高速で飛ばしたり、ハイウェイで遠出したりと、思いつく限りの走行方法をSR/Sで試してみた。SR/Sは電動バイクの良さをさらに進化させたモデルだと思う。フルカウルにより空気抵抗が大幅に低減されたため、ハイウェイを時速80~90マイル(約130~140キロメートル)で走っても余裕があり、エンジンの騒音もない。従来のように風に挑んで走り抜ける感じはせず、むしろ、まるで風に乗って静かに流れていくような感覚で走れる。

SR/Sは、週末にスポーツバイクとして楽しむのに十分なパワーと性能を備えているだけでなく、EVスポーツツーリングも楽しめるように快適なライディングポジションを実現し、リア部分に荷物を積める設計になっている。しかし、電動バイクならではのメリットだけでなく、特に航続距離と充電に関して、いくつか妥協しなければならない点や、利便性の低い点がある。大抵のガソリンバイクやスポーツバイクは、タンクを満タンにしておけば200マイル(約320キロメートル)程度は余裕で走行でき、給油も数分で完了する。SR/Sの航続距離はその約半分しかなく、充電ステーションを探し回らなければならないし、充電が完了されるまで1時間あまり手持ちぶさたの状態になる。確かに、電動バイクならではの優れた性能属性や特徴もあるが、それでも内燃機関バイクと比べると不便な点も依然として存在する。

SR/Sはゼロの競争力を強化するモデル

ゼロの最新エントリーとなるSR/FとSR/Sは、スタートアップ企業がオートバイ業界の電動化を進める時期に投入された。

2020年にはHarley-Davidson(ハーレーダビッドソン)がガソリンバイクの大型メーカーとしては初めて、米国で公道を走れる電動バイクLiveWire(ライブワイヤー)を2万9000ドル(約306万円)で発売した。また、イタリアのEnergica(エネジーカ)は高性能電動バイクの販路を米国で拡大している。カナダのスタートアップDamon Motors(デイモン・モーターズ)も今年、最高速度が時速200マイル(約320キロメートル)、価格2万4000ドル(約253万円)の新型電動バイクHypersport(ハイパースポート)を発表した。Hypersportは独自の安全技術によって死角を検知する機能を備え、人間工学技術による調整可能なライディングポジションを実現している。

画像クレジット:Jake Bright

これらの新型モデルすべてが売れるだけの十分な需要があるかどうか、まだ確証はない。新型コロナウイルス感染症によって世界経済が不景気に見舞われている今の状況ではなおさらそう言える。しかし、数多くの電動バイクメーカーがひしめく中、ゼロはSR/Sによって競合他社より優位なポジションに立つことができている。既存のプラットフォームを改善することにより、ゼロは、2つの新しいクラスを1つのモデルに集約させ、電動スポーツバイクと電動ツーリングバイクを一般市場に届けることに成功した。

関連記事:Limeがアプリを刷新してWheelsの電動バイクと連携、今後も競合他社を取り込む計画
カテゴリー:モビリティ
タグ:レビュー 電動バイク

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(翻訳:Dragonfly)

Limeがアプリを刷新してWheelsの電動バイクと連携、今後も競合他社を取り込む計画

Lime(ライム)は、鮮やかな緑色のマイクロモビリティデバイスや、最近では象徴的な赤いJumpの電動自転車を所有していることで最もよく知られているかもしれない。しかし現在、同社は、独自のアプリ上で他の多くのマイクロモビリティブランドを「収容」する方法で事業を拡大しようとしている。

Limeアプリは、顧客が自転車やスクーターを探したりレンタルしたりするために使用されているが、特定の都市ではWheelsブランドの電動バイクの提供を開始する予定だ。今冬には、テキサス州オースティン、フロリダ州マイアミ、ワシントン州シアトルと、ドイツ・ベルリンのユーザーがLimeアプリを開くと、近くにあるWheelの電動バイクが自動的に地図に表示され、価格情報が表示される。利用者はLimeアプリを使って、Whiesの電動バイクをレンタルできる。

Wheelsとの提携はまだ始まったばかりだ。Limeは、今後もシェア型マイクロモビリティのプロバイダーを増やし、他の市場にも拡大していく予定とのこと。

Limeは「Wheelsのユニークなデザインと、安全性とアクセシビリティのメリットがあるから」という理由で、最初にWheelsをプラットフォームに選んだ」と述べている。Wheelsは、Wagの創業者であるJonathan Viner(ジョナサン・バイナー)氏とJoshua Viner,(ジョシュア・バイナー)が立ち上げた企業で、より使いやすく設計されたペダルレスの電動バイクを所有している。Wheelsはまた、自転車に一体化した共有可能なヘルメットシステムも開発した。スマートフォンでロックを解除できるこのヘルメットには、取り外し可能な衛生的なライナーが付属している。

「人々は、都市の周りの小旅行をするために、より多くの電動で共有可能な、手ごろな価格の交通手段を求めている」とLimeのCEOウェイン・ティン氏は声明で述べている。「Limeは近い将来、、5マイル(約8km)以下で車を使わない旅行をしたいと考えている人のための一気通貫のサービスになるでしょう。我々は、都市交通の代替モードに対する膨大で成長している需要を考えると、乗客にさらに多くの選択肢を提供するプラットフォームを立ち上げることに興奮しています」と続ける。

この動きは、買収計画を示唆するものではない。Wheelsは今後も独自の会社であり続けるだろう。その代わりに、WheelsのCEOであるバイナー氏は「提携によってLimeアプリにWheelsが搭載されることは、誰もが安全なマイクロモビリティの選択肢にアクセスできるようにするという自社のミッションをサポートするものだ」と述べている。

「Limeはシェアードマイクロモビリティサービスの最大のプロバイダーであることを考えると、当社のミッションを推進する上でLimeと提携できることに興奮しています」とバイナー氏は述べている。

なお、Wheelsの車両は「Wheels」アプリでも引き続き利用できる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lime、Wheels、電動バイク

画像クレジット:Wheels

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(翻訳:TechCrunch Japan)

スノーモービル大手のPolarisが自社製品の電動化に向けてZero Motorcyclesと契約

スノーモービルや全地形対応車などのメーカーであるPolaris(ポラリス)は、パワースポーツの代名詞だ。ウィスコンシン州、ミネソタ州、またはその他の寒い場所にある何百ものスノーモービルのトレイルに足を運べば、その意味がわかる。現在同社はカリフォルニア州サンタクルーズを拠点とする電動バイクとパワートレインのメーカーであるZero Motorcycles(ゼロモーターサイクルズ)と提携し、そのラインアップを電動化しようとしている。

両社は米国時間9月29日、Zeroのパワートレイン技術、ハードウェア、ソフトウェアを使用して、電動化されたオフロード車やスノーモービルを生産するために協力する10年間の合意を発表した。Polarisは車両の開発・製造・販売を担当する。

Zero Motorcyclesの最高経営責任者(CEO)であるSam Paschel(サム・パシェル)氏によると「両社はこの次世代の電動パワースポーツのための技術と車両プラットフォームを共同開発し、現在市場にある電動化の選択肢を飛躍的に拡大することを目的としている」という。

「Polarisの幅広い製品ポートフォリオ、規模、サプライチェーン、市場でのリーダーシップと相まって、当社のEVに関する専門知識と何百万マイルもの実戦経験が、すべてのパワースポーツ愛好家のためのゲームチェンジャーとなります」とパシェルは声明で述べている。

Polarisは、過去10年間に行った一連の買収により、すでにいくつかの電動オプションをポートフォリオに入れている。2011年には、欧州市場向けのオンロード商用小型電気自動車メーカーであるフランスのGoupilと、路上合法の乗用車およびユーティリティ電気自動車会社であるGEMを買収しました。さらに最近、Brammo Electric Motorcyclesも買収している。この買収により、同社は後にレンジャーEVオフロード車に使用される技術を手に入れた。

「今回の買収は、単発品だけでなく、より幅広い製品ポートフォリオの構築を目指すものだ。Polarisは「このパートナーシップが「rEV’D up」の礎となる」と述べている。これは、2025年までに同社の主要製品セグメントのそれぞれに電動化されたオプションを顧客に提供するという長期戦略の名称だ。両社のパートナーシップによる最初の車両は、2021年末までにデビューする予定です。

PolarisのCEO兼会長であるScott Wine(スコット・ワイン)氏は声明で「ここ数年の間に、パワー、価格、性能が向上し、顧客の関心が高まっているいまこそ、Zero Motorcyclesを重要な戦略的パートナーとしてPolarisのrEV’d upイニシアチブを実施し、パワースポーツの電動化における当社の地位を積極的に加速させるのに適した時期です」と語る。ワイン氏は「このパートナーシップによりPolarisは市場投入までのスピードに大きなアドバンテージを提供しながら、航続距離とコストに関する技術的なハードルを跳ねのけることが可能になるでしょう」と締めくくった。。

画像クレジット:Zero Motorcycles

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Tarformがオートバイを避けていた人向けの電動バイクLunaを発表

ブルックリンを拠点とする電動バイクのスタートアップであるTaform(ターフォーム)は、先週ニューヨークで現在オートバイを好きではないかもしれない人たちに向けてデザインされた電動バイク「Luna(ルナ)」を発表した。

Tarformから提供される、最初の公道走行可能車のLunaは最安値2万4000ドル(約255万円)で、0〜60mph(時速約0〜96.5km)加速を3.8秒で達成し、市街地での航続距離は120マイル(約193km)、最高速度は120mph(時速約193km)で、同社の発表した仕様によれば50分で80%まで充電できる。

このモデルは電動バイクの環境持続可能性に、美的デザインと職人技を融合させるという同社の使命から生まれた。

そのために、Lunaには多くのユニークなエコデザインが採用されている。車体は亜麻の種子から作られたもので、オートバイ全体がプラスチックの利用を避けている。またLunaのシート張りには、生物分解性のビーガンレザーが利用されている。Tarformはまた、オートバイの塗装や下塗りを避けるために、藻類と鉄ベースのメタリック顔料を注入した単一素材の利用もテストしている。

同社は、工業デザインのスペシャリストであり、スタートアップ起業の経験者、そして情熱的なモーターサイクリストでもあるSwede Taras Kravtchouk(スウィーデ・タラス・クラフチュク)氏によって創業された。Lunaの発売は、2018年にデビューした2種類のコンセプト電動バイク(未訳記事)に続くものだ。

画像クレジット:Jake Brigh

Tarformのターゲット市場について、クラフチュク氏は、自分のスタートアップは、過去50年間に人々をオートバイに興味を持たせてきたもの(つまりガソリン、クロムメッキ、騒音、排気ガス)によって、逆に遠ざけられてきた人たちを惹きつけたいと思っているという。

「これは、カスタムバイクを求めている人や技術オタクのためのバイクであり、バイクを所有したいと考えてはいるものの、決まりきったバイクのライフスタイルのイメージに関連付けられたいとは思わなかった人たち向けのものでもあります」とクラフチュク氏はTechCrunchに説明した。

Tarformは電動バイクの世界に、ガソリン車のライダーを電動に改宗させ、若い世代をモーターサイクルに惹きつけようとしている複数の電動バイクスタートアップ(未訳記事)や、OEMたちと競い合うように参入した。

そうした企業のリーダーの1つは、世界中に200のディーラーを抱えるカリフォルニアの企業であるZero Motorcycles(ゼロ・モーターサイクル)だ。Zeroは2019年に1万9000ドル(約202万円)の電動スポーツバイクであるSR/Fを発売したが、これは市内航続距離161マイル(約259km)、1時間の充電時間、最高速度は124mph(時速約199.5km)となっている。イタリアのEnergica(未訳記事)は、米国での高性能電動バイクの販売を拡大している。

2020年にHarley Davidson(ハーレー・ダビッドソン)は、米国で公道走行可能な電動バイクを販売する初の大手ガソリン車メーカーとなった。その電動バイクであるLIveWire(ライブワイア)は2万9000ドル(約308万円)だ。

カナダのスタートアップであるDamon Motors(未訳記事)は、今年最高時速200mph(時速約321km)、2万4000ドル(約255万円)のHypersport(ハイパースポーツ)を発売した。同車は独自の安全ならびに人間工学機能を採用しており、乗車位置の調整が可能で、死角を検知することもできる。

Tarformがこうした電動バイクプレーヤーたちとどのように競争していくのかという質問に対して、クラフチュク氏は、それは同社の優先事項ではないと説明した。「私たちは、Zeroや他の大手企業に迫るような生産を行っていませんが、そうすることが私たちの意図ではありません。(Lunaのことは)オーダーメードバイクだと考えてください」と彼はいう。

「私たちは最速のバイク、あるいは最長の航続距離を持つバイクを目的に始めたわけではありません」とクラフチュク氏は付け加えた。「私たちは、電動バイクの製造とサプライチェーンを完全に見直し、エシカルに資材を調達する、エシカルなサプライチェーンの構築を始めました」。

この使命のために、TarformはLAを拠点とするM13を含む、複数のファミリーオフィスやエンジェル投資家たちから資金を得ている。CEOのタラス・クラフチュク氏によれば、ブルックリンを拠点とする同社は、現在新しいLunaの予約注文を開始し、2021年のシリーズAの資金調達ラウンドの準備を勧めている。

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(翻訳:sako)

ギグワーカー向け電動自転車サブスクのZoomoが12億円調達、社名もBolt Bikesから変更

ギグエコノミー業界で働く配達員向けの電動自転車プラットフォームを展開するBolt Bikes(ボルトバイクス)が社名を新たにした。またオーストラリアのClean Energy Finance Corporation(クリーンエナジーファイナンスコーポレーション)がリードするシリーズAラウンドで1100万ドル(約11億7000万円)を調達している。

本ラウンドにはHana Ventures、既存投資家のManiv MobilityとContrarian Venturesが参加し、またOneVenturesとViola Creditからのベンチャー債務が含まれる。

2017年創業のBolt Bikesはオーストラリア・シドニーを拠点とし、現在の社名はZoomo(ズーモ)だ。社名の変更は、ギグエコノミーワーカーを超えて法人クライアントや一般消費者へと拡大した顧客ベースを反映させようという意図だ。Zoomoの共同創業者でCEOのMina Nada(ミナ・ナダ)氏はTechCrunchに対し、似たような名前の他の企業と間違われることがないようにしたかった、と述べた。

「我々が2017年にBoltを立ち上げたとき、この社名はオーストラリアでは問題なかった。しかし海外に進出したとき、少なくともBoltという会社が3社あることがわかった。3社のうち2社はモビリティ業界だった」とナダ氏は説明した。オンデマンド輸送のTaxify(タキシファイ)が2020年5月に社名をBoltに変え、またBolt Mobilityという別の企業もスクーターシェアのサービスを提供している。

オーストラリア、英国、ニューヨークでサービスを展開し、間もなくロサンゼルスでも立ち上げるZoomoは、電動バイクを販売あるいはサブスクリプションで提供している。事業の主体は商業使用向けのサブスクだ。このサブスクには電動自転車、車両管理ソフトウェア、ファイナンシング、サービスが含まれ、サブスク利用者は24時間いつでも自転車を利用できる。バッテリー充電器、スマホホルダー、スマホ用USBポート、U字ロック、安全の手引きも用意されている。

Zoomoはサブスクを提供しているマーケット、つまりシドニー、ニューヨーク、英国にセールスとサービスのセンターを置いている。同社は今回調達した資金をロサンゼルスとブリスベーンへの進出、そしてニューヨーク内での事業拡大に使う計画だ。これはセールスとサービスのセンターを新たに設置することを意味する。

同社の戦略は、直接販売を加速させる一方でサブスクサービスを提供するマーケットをゆっくりと拡大するというものだ。センターを設置するためにサブスクはすばやい展開が制限されている。まとまった資本を要するサブスクサービスをゆっくりと拡大させつつ、同社は法人や個人への自転車販売で売上をのばし、地理的サービス範囲を拡大し、またブランドの認知向上も図っている。

Zoomoはまた、自転車や消費者に適した他のモデルの活用が見込める荷物配達、郵便事業、グローサリー配達といった新たな法人部門の開拓にも資金をあてる計画だ。

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タグ:Zoomo 資金調達 電動バイク 電動自転車

画像クレジット:Zoomo

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(翻訳:Mizoguchi