コンテンツクリエイターに無料の音楽を提供する英国のUppbeatが約7億円を調達

英国を拠点とする音楽プラットフォームのUppbeatは、コンテンツクリエイターがYouTubeやTwitch、TikTokなどのプラットフォームで公開する動画に使用できる無料で高品質の音楽を簡単に見つけられるサービスを構築し、現在50万人以上のユーザーが利用している。同社はビジネスを成長させるためにシリーズAで460万ポンド(約7億500万円)を調達したと発表した。

Uppbeatを構築したのは、英国を拠点とする音楽ライセンス企業のMusic Vineを共同で創業したLewis Foster(ルイス・フォスター)氏とMatt Russell(マット・ラッセル)氏だ。2人は、自分たちの専門性を活かしてクリエイターの間で高まっている無料の音楽リソースのニーズに応えるチャンスがあると考えた。現在、1億人以上がソーシャルプラットフォームでコンテンツを共有しているが、無料でありながら高品質の音楽の選択肢は多くないと2人は確信していた。

Uppbeatは2021年1月にサービスを開始し、費用のかかる音楽ライセンスプラットフォーム、あるいはYouTubeのオーディオライブラリやクリエイティブ・コモンズの音楽といった無料の音楽に代わる選択肢を提供することで、クリエイターが作るコンテンツで使われる音楽の著作権に関する頭痛の種を取り除いている。

Uppbeatはフリーミアムのモデルを活用して、クリエイターがアカウントを作成するとサイトのカタログの約50%にアクセスでき、1カ月に10件ダウンロードできるようにしている。プレミアムのサブスクリプション(月額6.99ドル、約800円)ではすべてにアクセスし、無制限にダウンロードできる(3年間と永続のサブスクリプションも用意されている)。

2021年9月にはサイトを拡張して、音楽だけでなく「ミームスタイル」のコンテンツに適した効果音とクリップのライブラリも提供している。

画像クレジット:Uppbeat

曲にはライセンスのない使用への対抗策としてフィンガープリントが必要であるため、Uppbeatの音楽を使う際に著作権の主張が発生することもある。しかしおよそ5分以内でシステムが必要なクレジットを確認してから主張を自動で処理する。無料ユーザーはYouTubeの動画の説明にクレジットを追加して著作権の主張をクリアすればよい。YouTubeを利用するプレミアムユーザーは自分のチャンネルをホワイトリストに登録して自動で著作権の主張から保護することができる。

このシステムはYouTube限定ではない。音楽と効果音はストリーマー、ポッドキャスター、ブロガー、その他のソーシャルメディアクリエイターが利用する、ほぼすべてのプラットフォームで動作する。

一方、Uppbeatのアーティストは音楽の所有権をすべて保持し、レベニューシェアベースで報酬を受け取る。

Uppbeatによれば、毎月7万5000人以上の新規ユーザーを獲得し、サイトへのトラフィックは月間100万セッションを超えるという。リテンションは高く直帰率は10%未満の低さであると、同社はTechCrunchに対して語った。セッションタイムの平均は5分以上だという。

Uppbeatのカタログはサービス開始時の1000曲から3000曲以上へと増えている。2500種類の効果音とクリップも追加された。同社は、年間収益ランレートは71万8000ドル(約8300万円)で、Music Vine全体としてはおよそ240万ドル(約2億7600万円)と発表している。

同社は、シリーズAの投資家は戦略的支援者でありこの分野のリーダーで、当人が公表を望まないため発表できないと述べた。

今回の資金調達により、Uppbeatは同社の音楽をYouTubeで公開してブランドのプレゼンスをさらに高め、オンラインのコミュニティとこれまで以上に直接関わっていくとしている。バックエンド全体を見直して、パーソナライズ機能を備えたスマートなユーザーインターフェイスの構築も予定している。

さらにクリエイター向け新機能を公開する計画もある。例えばクリエイターが独自のプレイリストを作成して共有する機能が挙げられる。これによりUppbeatのアーティストの露出が増え、クリエイターの収益化につながる可能性もある。すでに同社はユーチューバーと連携し、厳選された「パートナーのプレイリスト」を公開してユーチューバーが自分のチャンネルでよく使う音楽を紹介している。

従業員も現在の9人から増員し、新しいオフィスに移る予定だ。

共同創業者でCEOのフォスター氏は次のように述べた。「Uppbeatの公開以来、クリエイターコミュニティの反応はまさにすばらしいものです。クリエイターの積極性とフィードバックによりこのプラットフォームは現在の地位を得ることができました。Uppbeatがエキサイティングな新しい展開を始めるにあたり多額の投資を受けられたのはクリエイターのみなさんのおかげです。今回の調達はUppbeatが目指す成長戦略の資金となるゲームチェンジャーであるだけでなく、クリエイターコミュニティにとってエキサイティングな出来事であり誰もが自由に創作活動ができるようにするという我々の道のりにおける大きなマイルストーンです」。

画像クレジット:Uppbeat

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

メトロポリタン美術館の収蔵品数十万点が、CC0ライセンスで公開された

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古典的アート作品で、ちょっとしたリミックスを楽しみたい気分だろうか?あなたは運がいい。メトロポリタン美術館が数十万点の作品をクリエイティブ・コモンズゼロ(CC0)ライセンスの下で利用可能にしたばかりだ。つまりそれらをお望みのまま、どのようにでも利用できるということを意味する。

コレクションは基本的には、キュレーターが決定したパブリックドメインのデジタルカタログ作品だ。なので、実際にこれらは既に著作権が消滅したものだ。しかしそれは常に高画質だったり、正式にどのような目的にも使えると公式に認められているわけではない。使用したいと思う作品の下に「Public Domain(パブリックドメイン)」とCC0のロゴがあるかどうかを確認して欲しい。

ドメインあるいはここにあるすべてのパブリックドメインの項目を眺めるのも良いだろう。ただしご注意を。数は膨大だ。どこから手を付ければ良いかわからないときには、インターネットの多くの利用者に魅力的だと思われるカテゴリーが美術館から提供されている。

傑作絵画、猫、モンスターと神話の生き物、メトロポリタン秘蔵品、ニューヨーク市、印象派とポスト印象派、冬のワンダーランド、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、ラファエル前派スタイル、セルフポートレート、キルト、ゴールド、ジョルジュ・スーラ、武器と鎧、メトロポリタンの男性モニュメント、古代世界の面、ティファニーのガラス、印象的なドレス、アートかデザインか?、そして食器

私がどこからトップ画像を見つけたかおわかりだろうか?

ライセンスの変更に加えて、博物館はまた、デジタル化されたコレクションのメタデータをこのGitHubのアカウントの下に収集している。そして、彼らはクリエイティブ・コモンズ、ウィキメディア、Pinterest、その他とのパートナーシップを発表した(もちろん詳細はこれからだ)。

他の多くの博物館、図書館や教育機関のように、メトロポリタン美術館は、できるだけ多くの人がコレクションをオンラインで入手できるように努力を続けている。しかし巨大なコレクションを、どのような分類方法にせよアップロードすることには、驚くべき労力がかかる筈だ。なのでお気に入りの機関がまだそれに手をつけていないからといって腹を立てないで欲しい。

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(翻訳:Sako)

クリエイティブ・コモンズが新しい写真検索エンジンのベータ版を公開、各種フィルタやリスト、ソーシャル機能を提供

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クリエイティブ・コモンズのおかげで、ウェブコンテンツのために無料で合法的な画像を見つけることは難しくなくなっている。この非営利団体は、クリエイターたちが、自分の仕事をより広くシェアしつつ、同時にどこでどのように利用されるのか、どのようにクレジットされるべきか、などをコントロールできるような著作権ライセンスを提供している。そして今回、さらにそのコンテンツへのアクセスが簡単になった。CC Search(CC検索)が今朝(米国時間7日)ベータ運用を開始したのだ。

GoogleFlickrのような、より大規模な画像検索エンジンは、既に何年もCCライセンス画像のフィルターを提供してきたが、クリエイティブ・コモンズ自身の検索エンジンもそれなりの数のユーザーを抱え続けている。発表によれば毎月およそ6万人のユーザーがサイトを検索していると言う。とはいえ、コモンズをよりアクセスしやすくするために、改良が必要だということはずっと言われ続けていた。

クリエイティブ・コモンズのCEOであるRyan Merkleyは「コモンズへの『フロントドア』はありませんし、皆がキュレーションし、共有し、リミックスをするようなツールもまだ存在していません」とブログに書いている。「私たちは、コモンズをより使いやすくしたい。これはその方向に進むためのステップなのです」。

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クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、ビデオ、オーディオ、音楽、その他の多くを含む様々なメディアを横断して利用することができるが、当面今回の検索エンジンは、全コモンズの半数を占める画像だけに特化する。

エンジンは、初期段階のソースとして、Flickr、500px、アムステルダム国立美術館、ニューヨーク公立図書館、メトロポリタン美術館からの写真を取り込んでいる。最後のメトロポリタン美術館は、ベータサービス開始に合わせてちょうど今日(米国時間7日)追加されたばかりで、これにより20万点ほどの画像がサービスに追加された。

正確な数字は刻々と変化しているものの、ローンチのタイミングでは合計およそ947万7000点の画像が存在している。

より現代的なルック・アンド・フィールを有することに加えて、新しいCC Searchを使用すると、ライセンスの種類、タイトル、クリエイター、タグ、コレクションそして組織の種類によって検索を絞り込むことができる。またソーシャル機能も含まれていて、個々のアイテムにタグやお気に入りをつけることができるだけでなく、お気に入り画像リストの作成と共有も可能だ。さらに、将来の検索を簡単にするために、検索条件を保存することもできる。

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またエンジンは、クレジットの適用も簡単にしてくれる。もし提供されている場合には、事前にフォーマットされた表記が提示され、それをコピー&ペーストすることが可能だ。

これはベータ版であるため、コモンズは新しい機能に関するフィードバックを募集中である。そうしたフィードバックに基いて、次に入れるべき機能や、次はどのような種類のメディアをサポートすべきか、そしてどのアーカイブを追加すべきか、といった次の施策立案を行う予定だ。クリエイティブ・コモンズは、すでに将来のCC検索リリースには、Europeana collection、DPLAの精選サブセット、そしてFlickrコモンズのより大きなサブセットを含めることを計画している。

その他に計画されている追加機能としては、共有リンクのカスタマイズ、キュレーションした作品の検索手段、認証済みユーザーによるメタデータ(タグなど)の登録提案、そして色による検索タグによるドリルダウンパブリックリストの検索などの先進検索手段などがあるようだ。

コモンズをより簡単に検索する試みは、小さなサービスによっても何年も行われていた。例えば独自のCC Searchツールを立ち上げた、CompfightOpenphotoなどが挙げられるだろう。しかし、クリエイティブ・コモンズ自身のサイト上でも、こうした先進的検索機能が提供されることには意味がある。やがて画像だけの検索を超えていくのだ。

「これは、CCのための重要な瞬間です、私たちはいつでも、皆がコモンズを見つけて利用する際に手助けをしたいと願って来ましたし、新しいものを創作した際のコネクションをつくる手助けをしたいとも思っているのです」Merkleyは発表でこのように述べている。

ベータ版の検索エンジンは、ccsearch.creativecommons.org から利用可能だ。

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(翻訳:Sako)