アップルが全米の新型コロナ検査施設をマップに追加

Apple(アップル)は、同社のマップアプリに全米の新型コロナウイルス(COVID-19)検査施設を追加した。全50州とプエルトリコが対象だ。この更新によって病院、診療所、救急施設、一般開業医、薬局などに加えて、専門の新型コロナ検査場など、検査が可能な場所の位置が表示されるようになる。さらに、位置を検索したときの目的地候補として新型コロナ施設が優先的に表示される。またアップルは、新型コロナ危機の中で人々がどのように都市を移動しているかを示す、Mobility Trends(移動傾向レポート)サイトも更新した。

マップアプリのアップデートは先週9to5Macが発見している。検査施設の提供者がデータベースに位置を追加するためにアップルが作ったポータルを通じてわかった。追加情報は既に有効になっており、パンデミックのためにカスタマイズされた優先検索オプションに追加されている。他には食料品店、フードデリバリー、薬局、病院、救急施設などが優先検索対象になっている。

移動傾向レポートは地域指定が改善され、米国、カナダで週単位での検索ができるようになり、地域の地元での呼び名が検索結果に追加され、世界中の人が目的の場所を見つけやすくなった。米国では、対象になる都市が追加されている。

アップリはこのデータを公開することで、政府や交通機関、都市などがパンデミックによる影響の理解を深めるとともに、ソーシャルディスタンスや自宅待機などの行動がどれだけ守られ、どれだけ効果を生んでいるかに関する情報を提供するために役立てることを期待している。このデータは、ユーザーがマップアプリで検索した目的地情報に基づいているが、アップルのマップには既にプライバシー対策が講じられているため、検索情報と共に個人情報が収集されることはない。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルの新しいマップアプリはまず米国全土から展開開始

アップルは、機能を向上させ、より詳しい情報を表示可能なマップアプリを米国全土を対象に展開したと、米国時間1月30日に発表した。再設計されたアプリは、全体的に情報の精度が高くなり、道路、建物、公園、空港、モール、その他の公共の場所の包括的なビューを含むものとなっている。さらに、Look Around(ルックアラウンド)機能を、より多くの都市で利用できるようにし、マイアミでもリアルタイムの乗り継ぎ情報を提供できるようになった。

アップルは2012年に、iOS用のGoogleマップを自社製のマップアプリに置き換えた。それ以来、Googleマップに対する競争力を高めるため、マップのユーザー体験の向上に何年も費やしてきた。控えめに言っても、最初はうまくいかなかった。アップルのCEO、ティム・クック(Tim Cook)氏は、マップが顧客の期待に応えることができなかったことを謝罪し、アップルとして改善に取り組むことを約束する必要さえあったほどだ。

これまでアップルは、マップのデータの内容を改善し、さらに2018年にはマップを実現するプラットフォームそのものをゼロから作り直すことを表明することで、そうした約束を果たそうとしてきた。また昨年には、iOS 13で新たに「Look Around」と呼ばれる機能も導入した。これは、グーグルのストリートビューのアップル版のようなものだが、より詳細な情報を表示できる高解像度の3Dビューを提供し、表示の遷移もスムーズだ。

またiOS 13では、リアルタイムの乗り継ぎスケジュール機能、コレクションと呼ばれるリスト作成機能、お気に入りなど、マップの機能も充実した。

ただし、こうしたマップのアップデートの中には、展開に時間がかかっているものもある。例えばLook Aroundは、ニューヨーク、サンフランシスコのベイエリア、ロス、ラスベガス、ヒューストン、それにオアフ島など、主要都市でしか使えなかった。全国的な展開にあたって、より多くの主要都市で使えるようになるはずだが、アップルはまずどこを追加するのか、名前を明らかにしていない。またリアルタイムの乗り継ぎ情報も、サンフランシスコのベイエリア、ワシントンDC、ニューヨーク、LAなど、ごく一部の都市でしか使えなかった。

現在アップルは、ちょうどスーパーボウルが開催される週末に間に合うよう、リアルタイムの乗り継ぎ情報が提供可能な都市のリストの中にマイアミを加えている。

機能が向上して表示内容も充実したアップルのマップアプリ自体は、2019年の間に米国全土に着実に拡大し、最終的に秋には北東部まで到達した。

そして今、新しいマップアプリは米国全土で利用可能になりつつある。とはいえ、今マップを起動したからといって、すぐに新バージョンが開くとは限らない。ロールアウトは段階的に行われるからだ。

「私たちは、地球上で最も優れ、最もプライベートな地図アプリの作成に乗り出しました。現代の人々に世界を探索する方法を提供するものです」と、アップルのインターネットソフトウェアおよびサービス担当上級副社長、エディ・キュー(Eddy Cue)氏は、今回のリリースに伴う声明で述べている。さらに、「それを実現するため、私たちは深くコミットしています。マップが人々の生活をどのように向上させるのかを再想像するためには、ゼロから再構築する必要がありました。ナビゲーション機能から、仕事や学校での利用、大切な休暇の計画まで、その中核にあるのはプライバシーです。新しいマップを、まず米国向けに完成させ、Look Aroundやコレクションといった新機能を提供することは、そうしたビジョンを実現するための重要なステップです。この新しいマップを、今年の後半にまずヨーロッパから始めて、全世界に提供できるようにすることを楽しみにしています」と付け加えた。

今回アップデートされたマップには、いくつかの場所のLook Aroundと、リアルタイムの乗り継ぎ情報、コレクション、お気に入り、Share ETA(到着予想時刻の共有)、今後の旅程のフライト情報、モールや空港内のインドアマップ、Siriによる自然言語のガイダンス、上の図にあるような没入型の3Dビューを提供する主要都市のFlyover(フライオーバー)機能などが含まれる。Flyoverについては、350以上の都市で利用可能となった。

今後アップルは、これまでに収集した画像を使用して、米国内のより多くの場所でLook Aroundを利用できるようにし、ヨーロッパでもマップのプラットフォームをアップグレードする予定だ。

ただし、現在のアップル製マップの最大のセールスポイントは、そうした豊富な機能にあるわけではない。マップの傑出した特長は、むしろプライバシーを重視していることにある。

グーグルは、Googleマップから収集したデータを、たとえば店がいちばん混む時間帯の表示など、いろいろ便利な機能のために利用している。つまり、プライベートなアプリではないのだ。実際、まったくプライベートではないため、グーグルは「シークレットモード」を用意して、個人的なデータの収集を嫌うユーザーに対応する必要があったわけだ。

それに対してアップルは、アプリにサインインすることは不要で、Apple IDにひも付けされることもなく、パーソナライズ機能もデバイス上で処理されるだけで、クラウドサーバーにデータを送信することはないという点を明確にしている。それに加えて、検索した場所、ナビゲーションの経路、交通情報といった、マップを利用する際に収集されたすべてのデータは、ランダムに生成された識別子と関連付けられるだけ、それも継続的にリセットすることでユーザーのプライバシーを守るとしている。

またアップルは、「ファジィング(fuzzing=ぼかし)」と呼ばれるプロセスを使用して、マップで検索に使われた正確な位置情報を、24時間後にはあまり正確でない位置情報に変換している。さらに、ユーザーがどこを検索したか、あるいは実際にどこに行ったかといった履歴は保存しない。

現在は、アプリを起動するだけでユーザーのデータを収集することに同意したとみなされる時代であることを、人々は正しく認識している。ただしアップルが、ユーザーのプライバシーを重視する姿勢を、ますます強調するようになっているのは歓迎すべきことであり、再びアップル製のマップを試してみる理由としても十分だ。このアプリが登場したてのころの不安定さは、もはや過去のものとなっている。

アップルのマップは、現在200カ国以上で使われていて、iPhone、iPad、Mac、Apple Watchの各デバイス上で、さらにCarPlayを搭載した車でも利用できる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

GoogleがマップとYouTube、そしてアシスタント向けにプライバシー強化機能を追加

Google(グーグル)は米国時間10月2日、消費者向けのいくつかのプライバシー機能を新たに発表した。対象となるのは、Googleマップ、YouTube、Googleアシスタントなどの特に使用頻度の高いアプリだ。これらの機能は、そうしたサービスを利用するユーザーからGoogleが収集するデータを、ユーザー自身がコントロールし、自ら管理して削除もできるようにするためのもの。場合よっては、そもそもGoogleがデータを収集できないように設定することもできる。

Googleマップでは、以前からChromeブラウザーに搭載され、その後YouTubeでも利用可能となったシークレットモードが使えるようになった。

基本的な考え方としては、特定の場所を検索したり、町をぶらついたりするとき、Googleにマップの利用状況を追跡されたくないこともあるだろう、という状況に対応するもの。

マップで追跡されることをオプトアウトしたくなる理由には、いろいろ考えられる。例えば、パーソナライズされたお勧め情報を関係ないデータで乱したくないという場合もあるだろう。あるいは、自分のすべての検索と、正確な位置情報を、1つの会社がずっと追跡しているのは、あまりに不気味で気に入らない、という人もいる。

マップアプリで、プロフィール写真をタップすると表示されるメニューから、シークレットモードを有効にできる。この機能は今月にはAndroidでリリースされ、その後iOSでも利用可能となる。

一方YouTubeアプリには、YouTubeの履歴を自動削除する機能を提供する。これによりユーザーは、YouTubeの履歴を保持しておく期間を、たとえば3カ月、あるいは18カ月のように設定可能となる。その期間を超えた履歴は、自動的に削除される。ユーザーが、特定の履歴を選んで手動で削除することも可能だ。

そしてGoogleは、ついにGoogleアシスタントでのプライバシー問題にも取り組んでいる。

「オーケーグーグル、どうやって私のデータを安全に保存してくれるの?」と言って、詳しいことを尋ねてみてもいいかもしれない。しかしほとんどの消費者が、このようなコマンドを実際に口に出すとは考えにくい。

それよりも、音声コマンドを使ってアシスタントのアクティビティを削除できる新機能の方が役に立つ。今後数週間のうちにも追加されるはず。

たとえば、「オーケーグーグル、今言ったことを削除して」とか「オーケーグーグル、先週言ったことは全部削除して」と言うことができる。

1週間より以前に言ったことを削除したい場合、アシスタントはユーザーをアカウント設定ページに移行させるので、そこで実行できる。これはちょっと面倒だが、少なくとも以前よりは少ないステップで実現できるようになった。

ボイスアシスタント機能が収集したデータの扱いについて、最近ちょっとした騒ぎになっていた。そうしたアシスタント機能は、完全には無人化されていないことを、ニュースメディアが消費者に警告したからだ。実際には、録音された音声ファイルを人間がレビューし、アシスタント機能の反応や応答を調整したり、改善したりするために利用していたのだ。

Googleアシスタント、Alexa(アレクサ)、さらにはApple(アップル)のSiriも、この新しい分野におけるプライバシーの保護に注意を払っていなかったことを非難されるに至った。そして3社とも、それぞれ対策を余儀なくされた。

たとえばAmazonは、Alexaの録音を人間がレビューすることを、ユーザー自身がオプトアウトできるようにした。Appleは、Siriの応答グレーディングプログラムを世界中で停止した。これは、将来のソフトウェアアップデートで、プライバシーコントロールの問題に対処できるようになるまでの措置、としている。

Googleによれば、アシスタントのデータを削除するための新たな音声コマンドは、数週間以内に利用可能になるという。まずは今週、英語について使えるようになり、来月には、他のすべての言語でも有効になるとしている。

また別のセキュリティ関連の機能強化として、GoogleはパスワードマネージャにPassword Checkup(パスワード チェックアップ)と呼ばれる新機能を導入することを発表した。ユーザーのパスワードが弱いものだったり、複数のサイトで使い回していたり、あるいは漏洩してしまったことをGoogleが検出した場合に、通知してくれる。

こうした機能は、ほとんどのサードパーティのパスワード管理アプリでは標準的なものであり、それを今Googleが取り込むことにも意味がある。

Password Checkupは、すでにパスワードマネージャを開けば利用できる。今年後半にはChromeに直接組み込まれる予定となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Google マップで近所のレストランの割り引きが受けられる(インドの話)

Googleは本日(米国時間7月11日)、マップアプリに近所のレストランの割り引き情報を提示するサービスをインドで開始したと発表した。到達力と関連性を常に拡大しようと努めているこのマウンテンビューの巨大ハイテク企業にとって、インドは重要な鍵を握る海外市場のひとつだ。

Googleは今回、インドでのGoogleマップアプリに組み込まれる3つの新機能を公開した。ひとつには、Explore(周辺のスポット)タブの中に、新しく「Offer」(オファー)オプションが追加され、周辺のレストランから割り引き価格が提示されるようになった。Googleによると、これはレストランの予約プラットフォームEazyDinerと共同で提供されるサービスで、4000件以上のレストランの割り引きが受けられるという。この機能は、インドの11の大都市で提供されている。

レストランの割り引きは、まだ序の口だ。Googleは、より多くのパートナーと手を組み、より多くの分野に拡大する計画を立てているという。レストランのテーブルの予約も、Google マップアプリから直接行える。Googleは、EazyDinerとの取り引きの金銭面には触れなかったが、ニューデリーを本拠地とするこの創業5年のスタートアップは、今日までに1300万ドル(約14億1000万円)を調達している。

この新サービスは、いかにしてマップから利益を得るかをGoogleが考える中で登場した。同社は、企業ユーザー向けにGoogle マップ・プラットフォームを運営しているが、そのアクセス料金を年々値上げしている。それでも、一般消費者向けの部分での収益化を、思い切った方法で図る必要があった。

本日の発表の一環として、インドのExploreタブを「地域とコミュニティの豊かな多様性を反映させる」よう改善したと、Google マップのディレクター、Krish VitaldevaraとChandu Thotaはブログ記事の中で述べている。今回の模様替えで、レストラン、ATM、買い物、ホテル、薬局、そしてもちろん割り引き情報を素早く呼び出せるショートカットも追加したと、Googleは話していた。

さらに、Exploreタブのオプションとして、各都市のトップエリアの方向を示す機能も追加された。同社によれば、そうした地域を機械学習で特定しているという。「自分の街だけでなく、街の名前を検索するだけで、インドの他の街について調べることができます。出発前に、簡単に現地の状況が掴めます」とVitaldevaraとThotaは書いている。

3つめの新機能は「For You」と名付けられたものだ。新しいレストランや流行の場所など、個人の好みに合わせたおすすめ情報が表示される。インドのユーザーは、ひとつの店をフォローして最新情報やイベント情報を手に入れることができる。

「この機能はまた、Your Matchスコアを利用しています。これは、機械学習を使って、私たちが持つ無数にある場所の情報と、高く評価したレストラン、いいねをしたレストラン、行ったことがある場所など、ユーザーが追加した情報とを結合させます。初めてこの機能を使うときは興味のある場所を選択できますが、使っているうちに、その人の好みに合った、関連性の高いおすすめ情報が提示されるようになります」と2人のディレクターは述べている。

Googleは、インドでのマップの機能を引き続き拡大してゆく考えだ。数カ月前からは、タクシーが普段のコースを外れていないかを、または列車やバスのリアルタイムの運行状況を確認できる機能などを追加している。

インドには3億人のユーザーがいると見積もるGoogleは、今後もこの国をさまざまなサービスの実験台にするつもりだ。今回のアプローチによって、インドのスマートフォンの98パーセントで稼働するAndroid OSの提供者であるGoogleは、この国での普及率をさらに広げることができる。

しかしこれは同時に、Googleのインドでの影響力について独占禁止法違反の疑いによる捜査の必要性を国に抱かせることにもなっている。

インドのAndroidに対する独禁法捜査には穴がある(本文は英語)

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(翻訳:金井哲夫)