ラテンアメリカの「アリババ」を目指すMeru、海外から安全に商品を調達できるB2Bマーケットプレイスを構築

海外から商品を調達したり輸入したりする際には、どこかで問題が発生することがあり、企業は代金を支払った品を受け取れなかったり、あるいは何も届かないことさえある。

メキシコに拠点を置くMeru.com(メル・ドットコム)を共同設立したManuel Rodriguez Dao(マヌエル・ロドリゲス・ダオ)CEOと共同設立者のFederico Moscato(フェデリコ・モスカート)氏は、他社のために商品を調達する仕事をしていたとき、当初注文した商品を手に入れることができないなどの問題に直面し、このことを痛感した。

2020年、彼らはEduardo Mata(エドゥアルド・マータ)氏、Virgile Fiszman(ヴィルジール・フィスマン)氏、Daniel Ferreyra(ダニエル・フェレイラ)氏と共同で、中小企業が同じ運命を避けられるようにMeruを起ち上げた。同社は米国時間12月2日、シリーズAラウンドによる1500万ドル(約17億円)の資金調達を発表した。このラウンドは、Valor Capital(バロー・キャピタル)とEMLES Ventures(エムレス・ベンチャーズ)が共同で主導し、創業者グループによる個人投資も含まれている。これまでに同社は総額1700万ドル(約19億2500万円)を調達している。

Meruの技術には、シンプルなプロセスで、価格の非対称性なしに国内外のメーカーをサプライチェーンの他の部分と結びつけるマーケットプレイスとアプリが含まれており、まずは中国とメキシコの間で展開している。品質認証を受けた工場と直接取引していると、ロドリゲス・ダオ氏はTechCrunchに語った。

従来の調達方法では、中小企業は週に2日もの時間を費やし、最大5社の仲介業者を介して、取引しなければならなかった。しかも、平均して80%もの取引が詐欺に遭っていると、ロドリゲス・ダオ氏はいう。これに対し、Meruを利用する顧客は、数分で商品を選択して購入することができ、その際には商品を確実に、そして市場のベストプライスで受け取ることができるという保証も、同社で付けているという。

MeruはY Combinator(Yコンビネータ)の2021年冬のバッチに参加しており、今回の新たな資金調達は、最終的にはラテンアメリカのAlibaba(アリババ)になるという目標に向けて、Meruが中小企業のためのワンストップショップになることを支援すると、ロドリゲス・ダオ氏は述べている。

「私たちは中国でリモートワークを始め、グローバルな取引の中で、新興国でも同じような痛みが発生していることを知りました」と、同氏は続けた。

「私たちは、アリババのようにテクノロジーを駆使した流通によって、仕入れや調達を安全なものにしたいと考えています。そのために、サプライチェーン全体の関係者をつなぎ、彼らが割引価格を利用できるようにしています」。

Meruは開始からわずか1年で、すでに1万人以上の登録ユーザーを抱え、7つの商品カテゴリーを運営している。資金調達を支援するフィンテックのパートナーもいる。Meruがマーケットプレイスを起ち上げた2020年8月には6名だった従業員が、現在では中国とメキシコの両方で合わせて210名の従業員を擁するまでになった。

同社は今回の資金調達を、新たな業種やカテゴリーの追加、技術開発、チームの拡大に充てる予定だ。毎月の収益は40%から50%増加している。

「Meruは、ラテンアメリカの中小企業が、すべて単一のコンタクトポイントを通じて、アジアからより効率的に商品を購入できる統合的なB2Bマーケットプレイスを構築しています」と、Valor Capital GroupのマネージングパートナーであるAntoine Colaço(アントアーヌ・コラソ)氏は声明で述べている。「何千もの商品へのアクセスを提供し、すべての物流、請求、フォローアップのプロセスを管理し、金融ソリューションを組み込むことによって、Meruはラテンアメリカとアジアのグローバルなサプライチェーンのつながりを強化することに貢献するでしょう」。

画像クレジット:Meru.com

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LiDAR使った上空からの地理調査で478のマヤ文明の遺構を発見、紀元前1200年頃から紀元前後のオルメカ文明との共通点も

LiDAR使った上空からの地理調査で478のマヤ文明の遺構を発見、紀元前1200年頃から紀元前後のオルメカ文明との共通点も

メキシコ国立統計地理情報院(Instituto Nacional de Estadistica y Geografia)などによる、LiDARを使った上空からの地理調査で、メキシコ南部に数百ものマヤ文明およびオルメカ文明の祭祀場の遺跡が発見されました。アリゾナ大学の考古学者 猪俣健 氏らが、メキシコ湾の中のカンペチェ湾に沿ったオルメカの中心地とグアテマラ国境のすぐ北にあるマヤ西部低地にまたがるこの地域を調査したところ、478もの祭祀場の輪郭がみつかったとのこと。

今回の調査では、マヤ文明が、紀元前1500年~紀元前400年頃までメキシコ南部の海岸線に栄えていたオルメカ人から文化的なアイデアを受け継いでいた可能性があることがわかりました。発見された祭祀場の遺跡は、その建物の配置の特徴からメキシコとグアテマラの国境付近にあったアグアダ・フェニックス遺跡と同時期の紀元前1100年~紀元前400年頃に作られたとみられます。

またこの祭祀場遺跡には、最古のオルメカ文明として知られるメキシコ・タバスコ州のサン・ロレンソ遺跡の祭祀場跡とも配置に共通点があることがわかりました。猪俣氏は、この点について「サン・ロレンソが後にマヤにも受け継がれたいくつかのアイデアのもととして重要であることを物語っている」と述べました。これはつまり、マヤ族がオルメカ族から儀式の概念や宗教的な基板を受け継いでいた可能性が考えられるということです。

もちろんふたつの文明には相違点があります。たとえばサン・ロレンソの遺跡の壁には遺跡の建設を指揮した当時の支配者の絵が彫られているのに対して、アグアダ・フェニックスの方にはそれがありません。それはたまたまなのかもしれませんが、もしかするとマヤ遺跡のほうが、平等な人々の協力と努力によって建設された可能性が推測されるとのこと。猪俣氏は「当時は定住型の生活に移行していた時期で、階層的な組織があまりない地域が多かったのではないか」と述べています。

近年、メキシコ、グアテマラ、ベリーズの国境地帯にまたがるマヤ文明があった一帯で、無数の灌漑用水路や道路、要塞などの遺構が発見されるようになりました。その理由は、LiDARによって上空から広範囲を一気に調べる方法が活用されるようになったため。LiDARの赤外線レーザー光は地表を覆うように茂る木々の葉を透過して地面を3Dスキャンできるため、調査団が森に足を踏み入れずともそこに隠れている古代文明の特徴を発見することができます。

ヒューストン大学のNational Center of Airborne Laser Mapping(NCALM)の技術者で、今回の研究の共著者でもあるファン・カルロス・フェルナンデス=ディアス氏は、LiDARの利点は古代文明による建物や道路、農地、灌漑用水などを3次元の俯瞰図にして見ることができ、世界の多くの地域で森林に覆い隠されているかつての風景やインフラを発見できるところです」と述べています。

自動運転車も使うLiDARセンサー技術でマヤの巨大都市を発見。グアテマラの森林に6万もの構造物

(Source:Nature Human BehavierEngadget日本版より転載)

外国に高級別荘を共同所有する方法を提供するメキシコのKocomo

メキシコのカボ・サン・ルーカスのヴィラ・アキマリナ(画像クレジット:Kocomo)

別荘が欲しくない、などという人がいるだろうか?

そんな人はいないだろう。

Kocomoはメキシコシティーに拠点を置くスタートアップで、別荘を所有するという人々の夢を実現する手助けをしたいと望んでいる。そして、その目標を達成するために、株の発行と借り入れによって、それぞれ600万ドル(約6億6000万円)と5000万ドル(約55億1500万円)の資金調達を終えたところだ。

同社は国境をまたいだ形での高級別荘の共同所有を、従来のタイムシェアを超えた形で実現しようとしている。つまりコロンビア人、英国人、メキシコ人、米国人、パナマ人の血を引くKocomoの創設者は、人々が高級別荘の部分的権利を購入、所有、販売できる市場を形成することで、従来の別荘の所有権のあり方を覆したいと考えている。さらに簡単に言えば、Kocomoが目指すのは、世界中のより多くの人々が別荘を所有するという夢をかなえられるようにすることである。

同社は2021年設立され、5月から人目につかない形で動いてきた。そして、最近、ウェイティングリストから「選別」された顧客グループにサービス提供するために、ウェブサイトのベータ版を立ち上げた。

KocomoのCEO兼共同創設者であるMartin Schrimpff(マーティン・シュリンプフ)氏は「まずは、メキシコ、カリブ海、コスタリカで別荘を購入したいと考えている米国人とカナダ人に焦点を当てます。それから最終的にはヨーロッパでも同じことをする予定です」。と語った。

AllVPおよびVine Venturesは、Picus Capital、Fontes(QED、FJ Labs and Clocktower Technology Ventures)、およびStarwood Capital Groupの会長であるBarry Sternlicht(バリー・スターンリヒト)氏のファミリーオフィスであるJAWSの参加を含む株式による資金調達を共同で主導した。Architect Capitaは債務投資を行った。

興味深いのは、ラテンアメリカの4つのユニコーン企業の創設者である、LoftのMate Pencz(メイト・ペンツ)氏およびFlorian Hagenbuch(フロリアン・ハーゲンブッフ)氏、CornershopのOskar Hjertonsson (オスカー・ヘルトンソン)氏、KavakのCarlos Garcia(カルロス・ガルシア)氏、CreditasのSergio Furio(セルジオ・フリオ)氏が株式ラウンドに投資していることだ。

新型コロナウイルスのパンデミックで多くの人が彼らの生活と仕事へのスタンスを再考したのは疑いがない。

シュリンプフ氏の場合、友人や家族ともっと多くの時間を過ごすことが最優先事項となり、別荘を探すという計画を進めることになった。しかし、探し当てた選択肢を見て同氏は失望を感じた。

「1年に数週間しか使わない別荘を丸ごと購入し、しかもそれを自分で管理しなくてはならないのは、お金の無駄ですし、ストレスがかかり、時代遅れのやり方だと思いました」と同氏は述べる。「さらに、メキシコのビーチで私の予算内で購入できる素敵な別荘を見つけるのは不可能でした」。

Airbnbはクオリティに一貫性がなく、プロフェッショナルな管理に欠けると感じられたため、これを毎年借りるのもよい選択肢とは言えないと同氏は感じた。

そこで、この不満を現在の共同創設者と話し合ったところ、Kocomoのアイデアが生まれたというわけである。

左からKocomoの共同創設者Tom Baldwin(トム・ボールドウィン)氏、Martin Schrimpff(マーティン・シュリンプフ)、Graciela Arango(グラシエラ・アランゴ)氏、Brian Requarth(ブライアン・リカース)氏は写真にいない(画像クレジット:Kocomo)

同スタートアップのモデルは、米国に拠点を持つPacasoと呼ばれる初期ステージのプロップテックと似ている。

シュリンプフ氏の見解では、この2つのモデルの最大の違いは、Pacasoが所有者の住んでいるところからクルマで1、2時間で行ける別荘市場に注力している点である。

「Kocomoは、所有者の住んでいるところから、2、3時間のフライトが必要な国境をまたいだところにある別荘に力を入れています」とシュリンプフ氏は述べた。また同氏によると、Kocomoは国境をまたいだ取引を行っていることから、より複雑な問題に対処しているとのことである。

Pacasoとのもう1つの大きな違いは、Kocomo が所有者に「彼らの滞在権を貸し出す」オプションを提供している点である。

NetJetsが共同所有権方式で人々がプライベートな空の旅を楽しめるようにしているのと同じように、Kocomoは、別荘に共同所有モデルを適用しようとしている、と同氏は語った。

「私たちのプラットフォームを使用すると、複数の人が高級別荘を所有して楽しみ、煩わしい問題なしに、すべての費用を所有者間で分担することができます」。とCFOで共同創設者のボールドウィン氏は述べる。「私たちはこれを海外に家を所有する賢いやり方、と呼んでいます。一年のうち数週間滞在するために家を一軒買うのは苦労の割には得るものがないような感じがするかもしれませんが、借りるためにお金を払うのはもったいないですし、それは出費であって資産とは言えません」。

共同創設者でCPOのアランゴ氏は、Kocomoは別荘の取得と所有にともなうすべての法的および事務処理を管理すると述べた。例えば、Kocomoは別荘をLLCを通して購入し、適切な共同所有者を見つけて精査し、共同所有者間で公平に使用時間を分配し、将来に渡って別荘の管理と維持に必要なすべてのサービスを行う。それだけではなく、水道やガスなどのユーティリティー、造園、予防的保守さえも行うのだ。

画像クレジット:Kocomo

タイムシェアのコンセプトと異なる点の1つは、参加者がそこで過ごす権利を持っているというだけでなく、実際に不動産の一部を所有しているという点である。そのため、もしその資産価値が上がれば、所有者の投資価値も高まる。

同社には現在9人の社員がいるが、株式による資金の一部を用いて、特に、セールス、マーケティング、エンジニアリングの分野に重点を置いて従業員数を引き上げることを計画している。また当然プラットフォームを強化するためのテクノロジーへの投資も計画している。借り入れによる資金は、ロスカボス、プンタミタ、トゥルムなど国際線のある空港に近い、メキシコの「人気のある」地域の高級別荘を20軒ほど取得するのに使用される。

同社はその次に、コスタリカやカリブ海など、米国からの直行便がある他の地域にサービスを拡大することを計画している。また同社はスキー場、地中海のビーチエリア、パリ、ロンドン、マドリッド、ベルリンなどの文化の中心地に「大きな可能性」があると考えていて、将来的にはそういった地域へも進出したいと考えている。

またボールドウィン氏によると、Kocomoは同社のプラットフォームで不動産の所有権を購入する顧客に融資ができるよう、提携可能な金融機関を特定し、現在その提携関係を最終決定する話し合いが大詰めだとのことである。

「ステルスモードから抜け出した多くのスタートアップはセールスを0から高い数字へと急激に伸ばすことに力を入れるようですが、私たちがまず力点を置いているのは、Kocomoの共同所有者を0人から10人にすることです。当社はB2C企業ですが、チケットサイズは20万ドル(約2000万円)を超えているため、セールスサイクルはB2Bスタートアップに近いのです」。とシュリンプフ氏は述べた。

興味深いことに、Kocomoにまず関心を示しているのはほとんどが、技術コミュニティの人々である。これは驚くにはあたらない。Pacasoの場合も同様の傾向が見られた。

「これは私たちのモデルに適合するものです。彼らは職業柄時間の自由がきくことが多く、リモートで仕事をすることもできますし、また新しいモデルを試すということへの抵抗も少ないでしょう。このモデルが別荘の所有者になるための賢明な方法であると彼らが感じる場合は特にです」。とシュリンプフ氏。

AllVPのAntonia Rojas(アントニア・ロジャス)氏は、消費者が仕事や家族、自由な時間にどのような優先順位を付けるか、そのやり方はコロナ後の世界では大きく変わるのであり、Kocomoはそうした変化を利用した不動産所有権の「進化モデル」を実現するためにテクノロジーを活用していると述べた。

同社には優秀な人材が揃っていることも印象的だ。シュリンプフ氏は、現在Naspersが所有および管理しているグローバル決済ビジネスPayUを設立し、その後売却している。ボールドウィン氏は、過去8年間、メキシコとブラジルでベンチャーキャピタルおよびプライベートエクイティ投資家として過ごした元ゴールドマンサックスの銀行家である。アランゴ氏はハーバードビジネススクールを卒業し、シリコンバレーのIDEOで働いていた。共同創設者兼社外取締役のリカース氏は、不動産求人会社Vivarealを設立した経験を持つ。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

コロンビアのクラウドキッチンFoodologyが約17億円調達、中南米全体へサービス拡大

FoodologyのCEOで共同創業者のダニエラ・イスキエルド氏と共同創業者フアン・ギレルモ・アズエロ(画像クレジット:Foodology)

Foodologyはクラウドキッチンとバーチャルレストランをベースとするレストランブランドで、2019年以降、コロンビアとメキシコで急伸している。今回新たな資金を得たことにより、ラテンアメリカ全体に拡大することを希望している。

ボゴタを拠点とする同社はこのほど、Andreessen HorowitzとBase PartnersがリードするシリーズAのラウンドで1500万ドル(約17億円)を調達した。これまでの投資家であるKayyak VenturesとJaguar Ventures(今はWollef)も参加し、またInstacartの社長Nilam Ganenthiran(ニラム・ガネンティラン)氏やKavakのCEOであるCarlos Garcia(カルロス・ガルシア)氏、UaláのCEOであるPierpaolo Barbieri(ピエルパオロ・バルビエリ)氏、Burger Kingの元会長Dick Boyce(ディック・ボイス)氏、そしてMeramaのCEOであるSujay Tyle(スジェイ・タイル)氏らのエンジェルたちも投資に加わった。これでFoodologyの調達総額は2000万ドル(約22億7000万円)を超えた。

同社を創業したCEOのDaniela Izquierdo(ダニエラ・イスキエルド)氏とJuan Guillermo Azuero(フアン・ギレルモ・アズエロ)氏は、ハーバード・ビジネス・スクールのレストラン産業コースで出会った。イスキエルド氏は、元々料理が大好きだったので、それをビジネスにしたいと願った。

「リスクの多い業界で、破産や閉店が頻繁に起こります。小さな店でさえ、開店までに相当の資本が必要です。私たちはテクノロジーとデータの力をもっと効率的に利用して、来たるべきバーチャルの世界に備えたいと考えています。バーチャルレストランを、フードデリバリーが支える。これまでは、デリバリーの顧客に奉仕するために、レストランはまったく何も変化しませんでした」という。

さらにアズエロ氏は「フードデリバリーは顧客にとってまあまあの体験であり、すばらしい食体験ではありませんでした」という。食べ物のパッケージングも、あまり良いものではない。Foodologyは、それを変えようとしている。彼らが作ったモデルであれば、レストランのラテンアメリカ全域への規模拡大が短期間ででき、また顧客が喜ぶ食事を配達できる。

そのためにまずFoodologyは、ユーザーの好みに関するデータを収集する。そしてそれを近隣の食べ物の既存の選択肢と対照し、オリジナルの料理を作り、そしてデリバリーに載せる。

イスキエルド氏によると、同社のクラウドキッチンを通常は7つから10のレストランが利用し、各自がよく売れる料理を研究開発し、シェフたちのチームとともにメニューを創造する。

Foodologyのキッチンは現在、コロンビアの6都市に計20、メキシコに10あり、企業従業員は60名、キッチンの労働者は300名を超えている。コロンビアでは、毎月のオーダーが10万件で、総オーダー数は100万のマイルストーンを超えたばかりだ。イスキエルド氏の計画ではさらに6つのキッチンを開き、また今回の資金で2022年にブラジルとペルーにも進出したい。

ラテンアメリカのフードサービス業界は2020年の推計値で2640億ドル(約29兆9820億円)という規模だ。その成長に乗り遅れないためにはキッチンの数を増やすとともに、製品開発にも投資して売上を月額で50%上げたい。そのためにはメキシコでその数を増やすこと、そして新市場の開拓が重要だ。アズエロ氏によると、目標は500のキッチンをサポートすることだ。

「現在、は多くの人にバーチャルレストラン求められているが、この地域では大きなモデルがまだほとんどありません。ラテンアメリカでは私たちが、圧倒的に最大のプレイヤーなのです」とイスキエルド氏はいう。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

新興市場の問題を解決するメキシコの中古車販売ユニコーンKavakが531.7億円を調達、評価額は4385億円

メキシコのスタートアップで、メキシコとアルゼンチンの中古車市場を破壊したKavak(カヴァック)は現地時間4月7日、シリーズDで4億8500万ドル(約531億円)調達したことを発表した。同社の企業価値は40億ドル(約4383億円)だった。わずか数カ月前の2020年10月に同社がユニコーンの地位を確立したラウンドの企業価値11億500万ドル(約1211億円)の3倍以上だ。Kavakはこれでラテンアメリカで企業価値トップ5のスタートアップになった。

ラウンドをリードしたのはD1 Capital Partners、Founders Fund、RibbitおよびBONDで、これでKavakの総調達金額は9億ドル(約986億円)を超えた。Kavakは最近ブラジルで限定公開を開始し、最新ラウンドの資金はブラジル市場への進出などに使用される、とKavakのCEOで共同ファウンダーのCarlos García Ottati(カルロス・ガルシア・オッタティ)氏はいう。同社は60日以内にブラジルで正式公開する、とガルシア氏は述べており、Kavakはラテンアメリカ以外の市場に2年以内に展開することも付け加えた。

「私たちは新興市場の問題を解決するためにあります」とガルシア氏はいう。

Kavakは2016年に設立された中古車市場に透明性と安心と融資をもたらすことを目的としたオンラインマーケットプレイスだ。同社はフィンテック子会社のKavak Capitalを通じて自らも融資を行っており、現在2500名以上の従業員を擁し、メキシコとアルゼンチンに20カ所の輸送・修理ハブがある。

「ラテンアメリカでは、中古車売買の90%が非公式に行われており、その結果40%が不正な価格で取引されています」とガルシア氏はいう。同氏は数年前にコロンビアからメキシコに移住してクルマを購入した際、身を持ってこの問題を経験した。

「私には中古車を買う予算がありましたが、買うための仕組みが近くにありませんでした。買うまでに6カ月かかった上、そのクルマには法律的にも機械的にも問題があり、ほとんどのお金を捨てる結果になりました」と彼は述べた。Kavakは個人からクルマを買い、修理調整して保証をつけて販売している。

「新車を買う代わりに、完全保証付きのもっと良いクルマを買えます。これは実に向上心に満ちたプロセスです」とガルシア氏はいう。会社は目的分野別に4つの会社から成り、市場のさまざまな違いに対応するために、包括的に作られている。

「ここ(ラテンアメリカ)で会社を作るためには、いくつかの会社を立ち上げる必要があります。それは多くの物事がうまくいかないからです」と彼は語った。例えば融資が成功の鍵になっているのはそれが理由だ。

融資はそもそもブラジルでは困難であり、ガルシア氏によると中古車市場にもその基盤がない。とはいえ、ブラジルはラテンアメリカのフィンテックハブであり、Nubank、PagSeguro、Creditas、PicPayなどが先陣を切ったこの分野は過去7~10年に大きく飛躍した。その結果クレジットカードやローンはこの地でも以前よりずっと手に入りやすくなり、Kavak Capitalのライバルとなっている。Kavakはブラジル市場向けにサービスの一部をローカライズしているが(アプリとウェブサイトのポルトガル版など)、市場はよく似ているとガルシア氏はいう。

「ブラジルではメキシコと同じ問題が今もありますが、ブラジルのほうがやや進んでいて、特にフィンテックはメキシコの何光年も先にいます」と同氏は述べた。

ブラジル向け製品の競合を踏まえ、ガルシア氏はすでに他の地域の計画を持っているといったが、名前は明らかにしなかった。

「新興国市場の80%の人たちがまだクルマを持っていません」とガルシア氏は世界市場の大きさを示唆した。「私たちは顧客が同じような問題に直面していて、Kavakがその人たちの生活を大きく変えられるような大きい市場に参入したいと考えています」と付け加えた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Kavakメキシコブラジル中古車資金調達ユニコーン企業

画像クレジット:Kavak

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Nob Takahashi / facebook

メキシコのチャレンジャーバンクFondeadoraがシリーズAを延長しさらに約15.3億円調達

メキシコシティに拠点を置き、チャレンジャーバンクを構築しているフィンテックスタートアップのFondeadora(フォンデアドラ)が、シリーズAの資金調達ラウンドを延長した。筆者は2020年8月に、同社のオリジナルのラウンドを取材しているが、今回はすでに調達していた当初の1400万ドル(約15億3000万円)に加え、さらに1400万ドルを追加。現在は2800万ドル(約30億5000万円)の資金調達ラウンドとなっている。

関連記事:14.7億円超を調達したメキシコのチャレンジャーバンクFondeadoraとは?

この延長でPortag3 Ventures(ポーテージ・ベンチャーズ)がFondeadoraに投資した。以前から投資していたGoogle(グーグル)のGradient Ventures(グラディエント・ベンチャーズ)は、さらに資金を投入している。Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏とAnatol von Hahn(アナトールフォン・ハーン)氏も、ビジネスエンジェルとして投資を行っている。

なお、シリーズAの初回には、Y Combinator(ワイ・コンビネーター)、Scott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Sound Ventures(サウンド・ベンチャーズ)、Fintech Collective(フィンテック・コレクティブ)、Ignia(イグニア)も参加していた。

「シリーズAの3カ月後に、予想外のタームシート(投資条件の概要書)が送りつけられてきたのです」と、Fondeadoraの共同創業者で共同CEOを務めるNorman Müller(ノルマン・ミュラー)氏は筆者に話してくれた。同社の評価額も、ラウンド延長によって倍増している。

画像クレジット:Fondeadora

メキシコでは、いまだに多くの人々が現金に頼っているため、チャレンジャーバンクの設立は好機といえる。レガシーバンクの顧客に加え、多くの人にとってFondeadoraが初めての銀行口座となる可能性もあるからだ。

Fondeadoraは、銀行サービスのための支店は一切構えていない。口座を開設すると、数日後にはMastercard(マスターカード)のデビットカードが届く。月々の会費や外国為替手数料は不要だ。

他のチャレンジャーバンクと同様、口座残高は瞬時に更新される。取引の際にプッシュ通知を受信する選択もできる。また、アプリを使ってカードのロックとロック解除も可能だ。

最近では、ちょうど米国のApple Card(アップルカード)のように、個人情報やカード番号のないカードをFondeadoraは発行した。カードの裏面にはQRコードがあるだけなので、誰かに見せても番号を知られることはない。このQRコードをスキャンすると、個人間送金を行うことができる。

Venmo(ベンモ)も米国でQRコードつきのクレジットカードを発行している。この方法は、物理的な世界とアプリとの間のすばらしい架け橋となるので、世界中のチャレンジャーバンクやピア・ツー・ピアの決済アプリはすべてやるべきだと思う。

Fondeadoraは銀行の認可を取得し、今ではその銀行口座にたくさんの預金がある。これまでのところ順調にいっているようで、改めて銀行はグローバルな産業ではないことを証明している。つまり、世界中にたくさんのローカルなプレイヤーが参入する余地があるということだ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Fondeadoraメキシコチャレンジャーバンク資金調達

画像クレジット:Fondeadora

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メキシコの中低所得者層にクレカを提供するフィンテックStoriが約35億円調達

米国ではクレジットカードは一般的なものだが、他の多くの国、特に南米においてはユビキタスではない。中でもメキシコでは現金が主な決済手段であり、決済の推定86%が現金によるものだ。

しかしかつてなく人々がオンラインで買い物するようになり、クレジットカードの使用は増えている。最近の調査によると、メキシコは世界で最も急速にeコマースマーケットが成長している国だった。一方で、世界銀行の最新統計によると、15歳以上のメキシコ国民で銀行口座を持っている人の割合は37%に留まる。

こうした要因によりメキシコでは明らかにフィンテックイノベーションの時機が熟している。

それはメキシコシティに拠点を置くスタートアップStori(ストリ)の創業者らにチャンスをもたらしている。

Storiの創業チーム。左から順にJuan Villaseñor(フアン・ヴィラセニョール)氏、Marlene Garayzar(マレーネ・ガライザー)氏、Bin Chen(ビン・チェン)氏、Camila Burne(カミラバーン)氏(画像クレジット:Stori)

Storiは2020年1月にメキシコでクレジットカードプロダクトを立ち上げ、これまでのところ100万人超がカードを申し込んだ。

創業チームの一部のメンバーはCapital Oneで何年も働き、金融サービスを十分に受けられていない人々を引き受けるスキルを磨いた。また他のメンバーはメキシコと米国のMastercard、Morgan Stanley、GE Money、HSBC、Intelといったところで働いていた。

Storiは「メキシコで増えつつある中流階級向けの主要クレジットカード発行者になる」という目標を掲げてシリーズBラウンドで3250万ドル(約35億円)を調達した。

本ラウンドはLightspeed Venture Partnersがリードし、2018年初め以来Storiが調達した総額は5000万ドル(約53億円)になった。Lightspeed Venture PartnersのパートナーMercedes Bent(メルセデス・ベント)氏によると、Storiの案件はLightspeedにとって南米における初の大型投資で「投資案件は今後も続く」ことが見込まれている。

既存投資家のVision Plus Capital、BAI Capital、Source Code Capitalも本ラウンドに参加した。

Storiは「100%モバイルアプリベースのエクスペリエンス」となるクレジットカードをメキシコの増えつつある中所得層に提供する。Storiのチームは最初の2年を同社のインフラとプラットフォームの構築に費やした。

共同創業者Bin Chen(ビン・チェン)氏によると、2021年1月のStoriの月間新規顧客数は2020年1月の14倍で、2020年の平均月間新規顧客数の6倍だった。現顧客数を開示するのは却下した。

メキシコマーケットはかなり巨大であるため(同国の人口は1億3000万人近くだ)、Storiは現在メキシコのみにフォーカスしている。

世界の他の国と同様、デジタル決済に対する顧客需要を増やしている新型コロナウイルスパンデミックはStoriにとって追い風となっている。

「メキシコの消費者のeコマース、そして配車サービスやデリバリーのようなアプリベースのサービスの使用は急増していて、クレジットカードはそうしたチャンネルで好まれている決済方法です」とチェン氏は話した。「消費者はキャッシュフローの変動や不定期の支出、短期的な需要に対応できるフレキシブルなクレジットカードにアクセスする必要性をこれまで以上に経験しています」。

そしてもちろん、パンデミックによるロックダウンの間、多くの人が銀行の支店に直接足を運ぶのを回避するためにデジタルの金融商品を活用している。

チェン氏によると、Storiの共同創業者たちの共通点の1つはメンバーそれぞれが「質素な家庭の育ち」だということだ。

「我々はみな、従来の金融サービスの世界から排除されていると感じた経験があります。20年以上前にイリノイ州で修士号を取得しようとしていた学生のとき、学費と生活費を賄うために私はティーチングアシスタントシップ(優秀な学生が補助教員となること)に完全に頼っていました」とチェン氏は回顧した。「しばしばお金が尽き、やりくりが厳しいときがありました。最初にクレジットカードを手にする前に何回も却下されました」。

米国におけるTomoCreditのミッションと同様、Storiの創業者たちは「正式な金融システムを使うのは初めて」という中・低所得の顧客にクレジットカードを手にする機会を提供することに取り組んでいる。

同社は新たに調達した資金を顧客ベースの成長、従業員の増加、プロダクトデザインへの投資、テクノロジーインフラ、リスク引き受けなどに使う計画だとチェン氏は述べた。同氏は以前米国と新興マーケットでCapital OneとMastercardで働いた経験がある。Storiは現在、メキシコ、米国、中国のオフィスに従業員80人を抱え、この数字は1年前の40人から増えている。

「当社の目標は金融サービスが提供されていない人々のための主要なデジタルバンクになることです」とチェン氏は話した。

Lightspeedは1年以上前にStoriの創業者たちに会った。

「我々はStoriの創業者たちの経験の深さに感銘を受けました。米国スタイルの経済刺激策の恩恵を受けることなく、彼らは新型コロナの落とし穴を見事に避けて進み、リスク引き受けのモデルが強固なもので、そして向上しつつあることを示しました」とベント氏は話した。「それはチームの質を反映しています」

中国拠点のVision Plus Capitalのパートナー、Yiran Liu(イーラン・リュー)氏は同社がStoriのAラウンドをリードし「今回のラウンドでも引き続きかなりの比例配分」だとしている。

「デジタルフィンテックモデルに関して構造的な命題があり、当社は世界中、特に新興マーケットでこうしたモデルに投資しています。我々はStoriのチームが達成したことに感銘を受け、急成長で証明されているメキシコのマーケット機会に興奮しています」と声明で述べた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Stori資金調達メキシコクレジットカード

画像クレジット:Maica / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi