日本のヘルステックBisuがアシックスなどから3.5億円調達、自宅でラボグレードの尿・唾液検査を可能に

マッキンゼーの報告書によると、2020年1月以降、遠隔医療サービスの導入は38倍に増加しており、パンデミックに後押しされブームとなっている。コンシューマーと臨床医の間の通信レイヤーを構築する企業が注目されている一方で、テレヘルス環境でモニターまたは対処できる内容を拡大するためのデバイスを開発する企業も増えている。

最近の動きとしては、東京に本社を置くヘルスケアスタートアップのBisu, Inc.(ビース)が320万ドル(約3億5000万円)の資金を調達した。Bisuは、自宅で使用できるラボグレードの検査機器を開発し、実用的な健康データに変換する診断を行っている。今回のシードラウンドは、簡単で正確な尿や唾液の検査を通じて、個人に合わせた栄養やライフスタイルのアドバイスを提供するポータブルホームヘルスラボ「Bisu Body Coach」の立ち上げに使用される。今回のシード資金により、同社の累計調達額は430万ドル(約4億8000万円)に達した。

今回の資金調達は、QUADが主導し、アシックスベンチャーズ株式会社、15th Rock Ventures、パシフィコ・インベストメンツ、SOSV Investmentsが参加した。スポーツシューズ大手のアシックスは戦略的に支援しており、健康・フィットネスサービスの取り組みでBisuと協業していく予定。Bisuは、フィットネス、ペットケア、バスルームなどの分野で他の企業との追加提携を検討していると、共同設立者兼CEOのDaniel Maggs(ダニエル・マグス)氏はTechCrunchに語った。

Bisuは2015年に設立され、2017年にHAXのアクセラレータープログラムに参加して事業を開始した。

Bisu Body Coachは、使い捨て型のテストスティックと、スマホアプリと連動するリーダーを使用する。これらのテストスティックは、マイクロ流体を活用した「ラボオンチップ(Lab-on-a-chip)」技術により、ユーザーがわずか2分でさまざまなバイオマーカーを測定することを可能にする。

マイクロ流体「ラボオンチップ」技術は、分光分析とリアルタイムのエンド・ツー・エンド測定を用いて、従来のテストストリップが抱える測定タイミングの問題を解消する。また、血液、尿、唾液、汗などのサンプルを微小な流路内で操作し、化学的または生物学的プロセスを実行する。

ラボオンチップ技術を採用している他の競合他社との差別化について質問されたBisuは、複数のバイオマーカーを同時に検査することで、ユーザーが医師の診察を受けることなく、食生活やライフスタイルを理解し、前向きに変化させることができることに焦点を当てていると答えた。競合製品は、新型コロナウイルスやインフルエンザなど、重要度の高い個別のバイオマーカーを検出して、ユーザーに医師の助けを求めるように誘導するものが一般的だ。

Bisuアプリは、水分補給、ミネラル、ビタミン、pH、尿酸、ケトン体などの主要な栄養指標に関するフィードバックを提供する。ユーザーの目標、プリファレンス、活動パターン、睡眠、体重などをもとに、Bisu Body Coachはパーソナライズされたアドバイスを表示する。Bisuは今後、亜鉛やビタミンBの測定機能を追加する予定で、犬猫用のペット健康診断キットの発売も見込んでいる。

Bisu Body Coachは現在、米国とEUでベータテストを行っている。2022年にこれらの市場での商品化を目指しており、2023年には日本や韓国などのアジア市場への参入も視野に入れて準備を進めていると、マグス氏は述べている。

同社の中核となる研究開発および生産チームは東京にあり、Bisuのソフトウェアおよびマーケティングチームは米国に拠点を置いている。

マグス氏によると、従来の在宅検査市場は、主に(何らかの疾患を持つ)患者が中心で、約50億ドル規模(約5580億円)と推定され成長を続けているという。

しかし、Bisuの在宅検査は、非患者、つまり、何か特別なことで医師などの治療を受けているわけではないが、自分の体の中で何が起こっているのか知りたいと思っている人たちにも市場を広げる可能性がある。マグス氏によると、非患者向けの在宅診断の市場は、現在約100億ドル(約1兆1160億円)と推定されている。

画像クレジット:Bisu / Bisu platform

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

スマートニュースが約251億円調達、企業価値約2200億円超えの「ダブルユニコーン」に

東京拠点のニュース集約サイトアプリのSmartNews(スマートニュース)は、Apple Newsといった標準のニュースサービスとの厳しい競争にもかかわらず成長を続けている。米国時間9月15日、同社は2億3000万ドル(約251億4000万円)のシリーズFラウンドを完了したことを発表した。この結果、スマートニュースの総調達額は4億ドル(約440億円)を超え、会社評価額は20億ドル(約2200億円)に達した。同社は誇らしげに「ダブルユニコーン」だという

出資したのは米国のPrinceville CaptalとWoodline Partnersに加え、日本からJIC Venture Growth Investments、Green Co-Invest Investment、およびYamauchi-No.10 Family Officeが参加した。既存の出資者でこのラウンドに参加したのはACA InvestmentsとSMBC Venture Capitalだ。

2012年に日本で創業したスマートニュースは、2014年に米国に上陸し、2020年初めにローカルニュースの提供範囲を拡大した。同アプリのコンテンツチームには元ジャーナリストたちがいるが、読者の体験をパーソナライズするために機械学習を用いて記事を選別している。しかし、アプリの大きな差別要因の1つは、ユーザーのフィルターバブルを割るために、ユーザーがさまざまな政治的観点のニュースを読める「あらゆる立場からのニュース(News From All Sides)」機能を提供していることだ。

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同社は他にも、ワクチンのダッシュボードや米国選挙のダッシュボードといった新サービスを通じて重要な情報をひと目で見られるようにしている。追加された資金を使って、消費者の健康と安全に焦点を当てた機能を、米国ユーザー(日本以外では最大)向けにさらに開発するつもりだと同社はいう。新機能は今後数カ月のうちに公開予定で、山火事の最新情報や犯罪・安全レポートなどがある。ハリケーン追跡も最近始めた。

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スマートニュースのビジネスモデルは主として広告に焦点を当てている、と以前同社は語っており、米国ユーザーの85~90%はサブスクリプションを購入していない。しかしスマートニュースの信条は、有料無料に関わらずニュース利用者は質の高い情報をアクセスする権利があるということだ。

現在、スマートニュースは、全世界で3000以上のパブリッシングパートナーと契約していて、ウェブおよびモバイルアプリを通じてそのコンテンツを提供している。

収益を生むために、同社はインライン広告とビデオ広告を販売しており、収益はパブリッシャーと分配する。パブリッシングパートナーの75%以上が、同社の「SmartView(スマートビュー)」を活用している。これはアプリの速読モードで、Google AMPなどに代わるものだ。ユーザーはオフラインのときでも記事を読むことができる。同社はパブリッシャーに対して、稲妻アイコンがつけられたこれらのモバイルフレンドリーな記事は、高いエンゲージメントを得られると約束している。同社のアルゴリズムはこの種のコンテンツを多くの読者にむけて表示することでパブリッシャーに報いている。SmartViewのパートナーの中にはは、USA Today(ユーエスエー・トゥデー)、ABC(エービーシー)、HiffPost(ハフィントン・ポスト)などの有名ブランドも入っている。現在、スマートニュース全体のページビューのうち70%以上がSmartViewからのものだ。

スマートニュースのアプリは非常に粘着性があり、ユーザーの注意を引き寄せて維持する力が強い。同社はApp Annieの2021年7月のデータを引用して、米国モバイルデバイスでの月・ユーザー当たりの平均利用時間がGoogleニュースとApple Newsを合わせたよりも多かったという。

App Annieのデータ(画像クレジット:スマートニュース)

会社は月間アクティブユーザー数(MAU)の公表を拒んだが、2019年に米国と日本を合わせて2000万人に成長したという。そしてこの日、米国のMAUが2020年2倍に増えたと同社は述べた。

Apptopia(アップトピア)から提供されたデータによると、スマートニュースアプリは2014年10月の公開以来約8500万回ダウンロードされていて、うち1400万回は過去365日間に行われている。インストールが一番多いのは日本で、生涯ダウンロード数の59%を占めていると同社はいう。

「この最新の調達ラウンドを活かし、私たちのミッションの強さを一層確実にするとともに、とりわけ米国におけるプレゼンスを高め、米国のユーザーとパブリッシャーにアピールする機能を提供していきます」とSmarNewsの共同ファウンダーでCEOの鈴木健氏は語る。「私たちの米国や海外の投資家は、情報へのアクセスを民主化し、消費者、パブリッシャー、広告主全員の役に立つエコシステムを作るスマートニュースの取り組みの膨大な成長の可能性と価値を認めています」と付け加えた。

新たな資金は米国での成長を拡大し、会社のチームを強化するために投資すると同社はいう。2019年にユニコーンになった前回の資金調達以来、同社は従業員数を2倍以上に増やして全世界で約500名になった。現在米国内の人員100名を2倍にする計画で、エンジニアリング、プロダクト、および管理職を追加する。

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、スマートニュースがIPOを計画していると報じたが、同社はこれについてのコメントを拒んだ。

スマートニュースアプリはiOSとAndroidで世界150か国以上で利用できる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本の宇宙ベンチャーispaceが月の夜にも耐えられる大型月着陸船のデザインを発表

月面の経済発展でリーダーとなることを目指す日本の宇宙ベンチャー企業、ispace(アイスペース)は、早ければ2024年に月へ行く大型着陸機のデザインを発表した。

東京を拠点とするispaceによれば、この「シリーズ2」と名付けられた次世代ランダーは、同社が計画する3回目の月探査ミッションで使用される予定とのこと。このランダーは、同社の最初のランダー「シリーズ1」よりも全体の大きさとペイロード(貨物)積載容量が大きく、着陸脚を広げた状態で高さ約2.7メートル、幅約4.2メートルとなっている。月面には最大500キログラム、月周回軌道には最大2000キログラムのペイロードを輸送することが可能だ。2022年と2023年に打ち上げ予定のシリーズ1は、ペイロード積載容量が30キログラムしかない。

重要なのは、この新型ランダーが極寒の月の夜にも耐えられるように設計されていることで、月面には2週間の滞在が可能であるという。また、このシリーズ2ランダーは、極地を含む月の表側と裏側のどちらにも着陸できるように設計されている。

この着陸機には他にもいくつかの特徴がある。複数のペイロードベイを備えたモジュール式のペイロードデザインを採用していること、そして高精度な月面着陸を実現するための高度な誘導・航法・制御(GNC)システムを搭載していることなどだ。このGNCの技術は、宇宙産業で実績のあるエンジニアリング開発会社のDraper(ドレイパー研究所)から技術協力を受けている。ドレイパー研究所は、NASAのCommercial Lunar Payload Services(CLPS、商業月面輸送サービス)イニシアティブに選定された14社のうちの1社でもある。

ispaceの発表によると、このシリーズ2ランダーは基本設計審査を完了しているとのこと。次の段階となる製造と組み立ては、防衛・航空宇宙技術会社のGeneral Atomics(ジェネラル・アトミクス)と協力して行う予定であるという。

このシリーズ2ランダーをNASAのプログラムに参加させたいと考えているispaceにとって、鍵となるのがCLPS契約企業であるドレイパー研究所とのパートナーシップだ。ispaceの米国子会社のCEOであるKyle Acierno(カイル・アシエルノ)氏は「今後数カ月間はドレイパー研究所やジェネラル・アトミクス社と連携し、次のNASA CLPSタスクオーダーに向けて準備を進めていきます」と語っている。

ispaceは、コロラド州にある北米オフィスで次世代ランダーの開発を行っており、製造も米国内で行う予定だ。その一方で、2022年と2023年に予定されている1回目と2回目の月面探査の準備も進めている。同社によると、シリーズ1ランダーは、宇宙打ち上げ会社のArianeGroup(アリアングループ)が所有するドイツの施設で、フライトモジュールの最終組み立てを行っているという。最初のミッションの顧客積荷目録はすでに満杯だが、ミッション2のペイロード容量にはまだ余裕があると、ispaceは述べている。

今回のランダー発表の数週間前、ispaceはシリーズC投資ラウンドで約50億7000万円の資金調達を実施したことを発表している。この資金は同社が計画中の第2、第3のミッションに充てられる予定だ。

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画像クレジット:ispace

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本のVC「サムライインキュベート」がアフリカのスタートアップ向けに20億円超のファンドを組成完了

東京拠点のベンチャーキャピタルであるSamurai Incubate(サムライインキュベート)が「Samurai Africa Fund 2号」の組成を完了し、総額20億2600万円を集めたことを4月15日に発表した。

同社によると、目標額20億円のファンドには募集枠以上の応募があり、総勢54名の投資家がLP(有限責任組合員)として出資した。注目すべきLPの1つが豊田通商株式会社で、アフリカ大陸全体に多様なネットワークを持っている。同社はコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)のMobility 54を設立し、アフリカの輸送、物流、フィンテックのスタートアップへの投資を計画している。

榊原健太郎氏は2018年にSamurai Incubateを設立し、子会社のLeapfrog Venturesを立ち上げてアフリカへの投資を開始した。Samurai Incubateは新たな子会社を通じて2018年8月以来、アフリカのスタートアップ20社に250万ドル(約2億7000万円)出資した。そして2019年6月、Leapfrogの社名をSamurai Incubate Africaに変更した。

「当社は一貫してファウンダーへの価値提案を最大化するという経営方針の改善と最適化に注力してきました。しかし、いつも完璧だったわけではありません。私たちがもたらす価値は、資金や日本の投資家や企業へのアクセス以上のものであるべきだと信じています」と同社は声明で語った。

セクター無依存のファンドを提供するSamurai Incubate Africaはすでに26社に投資している。今回の第2号ファンドの投資先には、テック利用ホームサービスのスタートアップであるEden Life、オンライン融資マーケットプレイスのEvolve Credit、エネルギー・スタートアップのShyft Power Solutions、自動車レンタル向け少額融資サービスのFMG、貨物輸送会社のOneport、およびオンライン食料品プラットフォームのPricepallyら6社が含まれている。

Samuraiの会社の多くはアフリカの3つの国、ケニア、ナイジェリア、南アフリカにある。しかし、今後はそれが変わる。マネージングパートナーの米山怜奈氏によると、Samurai Incubate Africaは対象国にエジプトを加える予定だ。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

2018年以来、エジプトにおけるエコシステムの成長は目覚ましく、人材、スタートアップ、および地元投資家を猛烈なスピードで生み出している。Samurai Incubate Africaにとって、この成長に目をつけるのは当然であり、エジプトが加わることで、同社はアフリカ大陸のトップスタートアップエコシステムであるBig Fourすべてでスタートアップを持つことになる。

「エジプトのスタートアップエコシステムと経済は急速に拡大しており、この国には数多くの才能あるファウンダーと偉大な投資家がいることを知っています」と米山氏がTechCrunchに話した。「すでにエジプトのスタートアップ1社への投資を決めており、絶対に後悔しないことがわかっています」。

2020年にSamuraiが最初にこのファンドを発表した時、出資規模は5万ドル(約540万円)から50万ドル(約5400万円)だった。プレシードからシードラウンドまで、スタートアップは20万ドル(約2200万円)以下を獲得する。プレシリーズAとシリーズAラウンドでも50万ドル以下だった。しかしファンドの組成完了後は、投資金額を80万ドル(約8700万円)へと拡大する。

「投資先企業のプレシリーズAとシリーズAを既存出資者として支援するつもりです。そのために、投資額を企業の最近ラウンド規模と評価額に応じて増やすほうがいいと考えました」と米山氏は説明した。

セクター無依存ではあるが、同社が特に力を入れているのはフィンテック、インシュアテック、流通、医療健康、消費者、コマース、エネルギー、アグリテック、モビリティー、エンターテインメントだ。

日本のVCは、プレシードとシードステージの新規企業30~40社に加えて、投資先企業7~10社のプレシリーズAとシリーズAラウンドにも参加する計画だ。Samurai Incubateは、Kepple AfricaやUncovered Fundなどと並ぶ、日本で増えつつあるアフリカのスタートアップを対象としたVCの1つだ。

関連記事:日本のUncovered Fundがアフリカのアーリーステージ企業向けに15億円超のファンドを設立

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Samurai Incubate日本東京アフリカエジプト

画像クレジット:Samurai Incubate

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナで見送られた成人式の懇親会を東京・中央区がoViceでバーチャル開催

人生でたった一度しかない成人式。2021年1月に発令された4都県への緊急事態宣言を受け、都内では少なくとも16の区が対面集合形式の成人式の中止を発表した。東京23区では、通常どおり1月10日に新成人をホールなどに集めて開催したのは杉並区のみ。2021年は各区ともに開催方法を模索し、渋谷区、千代田区、中野区などは時期を3月にずらして対面集合形式で実施、その他の区では式典コンテンツのオンライン配信を行い、対面型懇親会は中止という形式で行われた。

東京都中央区も式典をYouTubeでオンライン実施し懇親会を見送った区の1つだが、かつての同級生や恩師とも会えるその機会を少しでも取り戻そうと、同区職員と懇親会の実行委員会により2021年3月14日、oVice上でバーチャル交流会が行われた。中央区では毎年、成人式後に任意で参加可能な「新成人のつどい」という、ゲームや懇親を深める交流会を開催している。オンライン開催にあたって「あつまれ どうぶつの森」のようなアバター形式を利用するのがいいのではないかと探していたところ、oViceに辿り着いたという。

日本のスタートアップoViceが提供する同サービスは、バーチャルコミュニケーションツールの1つ。オフィスやパーティ会場などを模した画面上で、参加者が自分のアバターとなるアイコンを動かし交流を行う。参加者は自分のアイコンを自由に動かすことが可能で、他のアイコンに近づくとその人の声が聞こえてくるという対面コミュニケーションに近い感覚を得やすいところが特徴だ。また、ツール上で動画を共有し、一緒に閲覧することも可能。今回の懇親会では、交流、ゲームなどの催し、動画の共有などがすべて行えるツールということで採用された。oVice側も社会的意義を感じ、全面協力している。

oViceのUI / UXを活かしたマルバツクイズ(画像クレジット:oVice)

オンライン懇親会は、3月14日の14時から16時の2時間で開催された。まず実行委員によるoViceの使い方に関する丁寧なチュートリアルが行われた。14時半からは中央区にゆかりのある芸人コンビが、中央区エリアにちなんだオリジナルコントを披露。15時からは対面型で開催されていたクイズ大会が行われた。そして最後に、地元中学生からお祝いの吹奏楽の演奏が動画で流された。

oVice上で一緒に動画を閲覧(画像クレジット:oVice)

初めての試みということもあり、準備やリハーサルにはさまざまな部署の職員が20〜30名ほど協力している。今回、中央区は、1月に成人式ができなかった代わりに新成人へ記念品(タンブラー)を送っているが、そこに今回の案内を同封。さらに中央区や「新成人のつどい」の公式TwitterやLINEでも今回のイベントに関する告知を行い、YouTubeでもoViceの使い方解説動画を用意するなど、例年以上に事前準備に力を入れていた。

インタビューに答える新成人(画像クレジット:実行委員会)

2021年の「新成人のつどい」には新成人だけでなく教員や実行委員、オンラインの利点を活かして海外在住者も参加している。中学卒業以来、久しぶりに再会をした人たちもおり、開催してもらえてよかったという声も多かった。

中央区民部文化・生涯学習課長の岩田純治氏によると、終了後、練馬区や越谷市から問い合わせがあったという。中央区では、公式SNSの活用、YouTubeでの広報番組や講演の配信といったオンラインツールの活用を進めており、イベントについても引き続きオンライン対応を進める方針だ。

カテゴリー:イベント情報
タグ:東京oVice日本

自動運転技術のMobileyeが数カ月以内に東京など世界4都市にテスト地域を拡大

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は自動運転車両プログラムを拡大する。数カ月以内に少なくともさらに4都市でテスト車両を走らせる計画で、この4都市はデトロイト、パリ、上海、東京だ。

Mobileyeの最高経営責任者兼社長、Amnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏は米国時間1月11日、バーチャルで開催されているテックトレードショー2021 CESで当局から許可がおりればニューヨーク市の公道でもテストを開始すると述べた。

現在開発中で2025年にマーケット投入予定の新しいLiDAR SoC(System on Chip)プロダクトについての詳細とともに明らかになったテストプログラム拡大は、自動運転車両テクノロジーの商業化を目指すMobileyeの野心を表している。

テストを展開する国や都市の選択は2つの要素に基づいている。Intelの上級主席エンジニアでMobileyeの自動運転車両スタンダード担当副社長Jack Weast(ジャック・ウィースト)氏によると、顧客と規制環境だ。

「米国ではメジャーなOEMはデトロイトにあり、だからこそ我々はシリコンバレーではなくデトロイトでクルマを走らせるのです」とウィースト氏はインタビューで語った。そしてパリにはPeugeot(プジョー)とRenault(ルノー)、日本にはトヨタと日産がいると付け加えた。「都市の選択は、顧客が直接テクノロジーを体験できる機会を持てるよう、顧客の近くに車両を展開することと大いに関係がありました。というのも、当社が完全な自動運転システムを供給するとしてもOEM顧客は当社の今後の事業において重要な部分であり続けると考えているからです」。

同社によると、テスト車両はすでにデトロイトの路上を走っている。Mobileyeは最初のテスト車両を2018年にエルサレムで走らせ、その後2020年にミュンヘンでも展開した。

同社は、自動運転車両テクノロジーの開発と展開においてすべての自動運転スタックを組み合わせた3つの戦略を持っている。テクノロジーはカメラをベースとした冗長センシングサブシステム、レーダー、LiDARの技術を組み合わせたもの、そしてREMマッピングシステム、ルールベースのResponsibility-Sensitive Safety (責任感知型安全論、RSS)ドライビング規約だ。MobileyeのREMマッピングシステムは、ADASと自動運転システムをサポートするのに使われるHDマップを作成する技術を搭載した100万台近くの車両を利用することでデータをクラウドソースする。シャシュア氏はMobileyeのテクノロジーが毎日800万キロメートル近くを追跡することで世界の地図を作成でき、これまでに10億キロメートル完了したと話した。

この戦略により、2025年までに商業ロボタクシーサービスを立ち上げて展開し、また消費者の乗用車にこのテクノロジーをもたらすことができるとも述べた。

Mobileyeは衝突回避に役立つコンピュータービジョンセンサーシステムのデベロッパーとして、自動車業界のニッチな分野を長らく支配してきた。2018年に同社はサプライヤーとしてだけでなくロボタクシー事業の展開にもフォーカスを拡大した。そして現在、同社はコンピュータビジョンテクノロジーに現在Intelと共同開発しているLiDAR SoCで増強することで、自動運転車両テクノロジーを乗用車にもたらそうとしている。

Mobileyeはすでにロボタクシー向けのLiDAR供給でLuminar(ルミナール)と提携している。しかしMobileyeはLiDAR SoCについて、2025年までに乗用車向けに提供できるようになると踏み込んで述べた。自社開発のLiDAR SoCのマーケット投入の準備が整ったらLuminarとの提携を打ち切るとはシャシュア氏もウィースト氏も言わなかった。

Mobileyeはカメラベースのテクノロジーで知られているため、Intelが専門とするシリコンフォトニクスファブを活用するLiDARは注目に値する。しかもカメラ第一のアプローチを捨てたわけではない。テクノロジー上、そしてビジネス上の最良のアプローチはカメラ第一のシステムを開発し、LiDARとレーダーを冗長性のためのアドオンとして使うことだとMobileyeは確信している、とシャシュア氏は説明した。

「カメラサブシステムを持っているということがポイントです。カメラベースなので、コンシューマーが手にできる価格水準です。なので横展開が可能な考え方となります。この横展開の考え方は、レベル4がユビキタスなものになるまで、真に持続可能な解決法です」と同氏は述べた。

カメラ第一のアプローチが後にどのように受け入れられるか、その例として同氏はGeely Autoとの高度ドライバーアシスタンスシステムのための長期的で大量の契約を挙げた。LiDARとレーダーは、マーケットが整えばさらに高度なオートメーション能力をサポートするために追加される。

関連記事:センサー開発のLuminarがIntel子会社Mobileyeと契約、2022年の無人タクシー実現に向けLiDARを供給
インテル子会社のMobileyeが中国最大手の民間自動車メーカーの吉利汽車集団と運転支援契約を締結

カテゴリー:モビリティ
タグ:Mobileye自動運転東京CES 2021

画像クレジット:Screenshot/Mobileye

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(翻訳:Mizoguchi