米国時間3月14日、リヨン・サンテグジュペリ空港の駐車場でフランスのスタートアップであるStanley Roboticsが自動走行によるパーキング・ロボットをデモした。現場で取材することはできなかったが、これは便利そうだ。今月末には実際の運用が開始されるという。下のビデオで概要がつかめる。
このスタートアップが開発したStanと呼ばれるロボット車両は、駐車場の入り口でユーザーの車を文字通り「拾い上げて」くれる。ドライバーは空きスペースを探して広大な駐車場の奥まで入っていかずにすむ。駐車など大した手間ではないと思うかもしれないが、巨大な迷路のような空港の駐車場を考えればそうではない。
実は有料駐車場は多くの空港運営企業にとって重要な収益源になっている。しかし既存の駐車スペースは有限であり、ターミナルを追加するたびに新たな駐車スペースを確保しなければならない。これは空港にとって次第に難題となっていた。
これがStanley Roboticsが自動駐車ロボットを開発した背景だ。Stanは既存のスペースに大きく手を加えることなく自動駐車場に変えてくれる。コンピューターが空きスペースを管理しロボットが正確に駐車を行うので効率は大きくアップする。ドライバーは空きを探して駐車場から駐車場へと走り回らずにすむ。実際ロボット化により、同一面積に駐車できる台数は平均50%以上アップするという。
たとえばユーザーが長期間旅行する予定である場合、Stanはユーザーの自動車を後列に駐車し、その前方に他の車両を詰めてしまう。ユーザーが戻ってくる日になるとロボットは自動車をもっとすばやくアクセスできる位置に移動する。
リヨン空港の駐車場にはStanley Robotics専用に500台分の駐車スペースが確保されている。4台のロボットが昼夜を問わず動き回って車を出し入れする。空港を運営するVinci AirportsとStanley Roboticsはすでに専用スペースの拡張を考えており、最終的には6000台がロボット駐車できるようになるという。
リヨン空港のウェブサイトから駐車スペースを予約する場合、1週間で通常料金(P5+区画)は50.40ユーロだが、ロボット駐車を利用すると52.20ユーロとなる。
現実の路上は予測不可能な状況が多いため自動走行車の導入は簡単ではない。しかしStanley Roboticsは空港にロボット駐車専用区画を確保することでそうした困難を一掃した。たとえば歩行者はこの区画に立ち入ることができない。車の受け渡しは駐車場の表にあるガレージで行われる。ドライバーは車を駐めてガレージから出る。表のドアが閉まった後でStanが裏のドアから車を運び出し、所定の駐車スペースに運んでいく。ドライバーはシャトルバスでターミナルに向かう、という仕組みだ。
Stanley Roboticsのロボット・パーキングが成功すれば、フランスだけでなく各国で空港を管理、運営するVinciはこの提携を世界的に拡大するかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)