米アメックスがソフトバンク出資の中小企業向けオンライン融資Kabbageを買収

中小企業は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで大きな打撃を受けた。それは多くの場合、中小企業にサービスを提供する会社にも波及した。中小企業への融資を中核事業とするスタートアップが、このタイミングでクレジット業界の巨人に買収された。フィンテック業界は中小企業向けビジネスの分野で、将来の「ニューノーマル」(新常態)を取り込み始めた。

機械学習アルゴリズムを使用するプラットフォームにより中小企業への融資を審査・実行するKabbage(キャベッジ)をAmerican Express(アメリカンエクスプレス)が買収すると両社は8月17日に発表した。Amex(アメックス)は声明で、Kabbageの融資や他の金融サービスツールが加わり、同社が抱える「数百万」の中小企業の顧客に提供できるサービスの幅が広がることは、同社がこのセクターに注力していく計画の表れだと述べた。

買収の金銭的条件は公表されていないが、2020年8月初めの報道によると買収額は最大8億5000万ドル(約900億円)に上るという(Bloomberg記事)。参考までに、Kabbageはこれまでに負債と資本で約9900億ドル(約105兆円)を調達しており(そして少なくとも35億ドル、約3700億円を証券化している)、2017年にソフトバンクがリードした2億5000万ドル(約270億円)の株式ラウンドでは12億ドル(約1270億円)を超えるバリュエーションがついた

この買収は、中小企業だけでなく、中小企業にサービスを提供するフィンテック企業、特にKabbageにとって新型コロナウイルスの嵐を乗り切ろうとする難しい時期に行われた。

Amexの買収対象に従業員、技術、財務データが含まれているのは確かだが、「Kabbageの既存の融資ポートフォリオは買収契約には含まれていない」とAmexはプレスリリースで述べている。

融資ポートフォリオに何が起こるかについてKabbageの広報担当者は、クロージング時に融資を管理・回収する別会社が用意されると発表した。

Kabbageの融資の合計金額は不明だが、広報担当者はKabbageが過去数年間の事業運営で実行した融資だけでなく、ペイチェック・プロテクション・プログラム(PPP)に基づく米国の中小企業向け融資も含まれていることを明らかにした。先週の時点でPPP融資は約30万件あり(Kabbageリリース)、合計70億ドル(約7400億円)に上る。2019年にKabbageはTechCrunchに対し、同年の融資実行額が25億~30億ドル(約2650~3180億円)となるペースだ(未訳記事)と述べていることからも既存の融資ポートフォリオは決して小さい金額ではなく、現在の経済状況ではおそらく大きなリスクを抱えている。

今回のニュースはフィンテック業界でKabbageが見せた数々の興味深い大きな浮き沈みの最後を締めくくる。同社は急成長するビジネスを背景にソフトバンクや他の多くの投資家(および顧客)の注目を集めた。そのアイデアは人工知能を使用して中小企業による融資申請から成約に至るプロセスをスピードアップするというものだ。

従来の銀行と、その遅くて時には苛立たしい融資審査のアプローチの双方に革新をもたらすKabbageは、融資実行や融資条件の判断に従来の決算情報からソーシャルメディアのシグナルまで、さまざまな情報源を独自の機械学習アルゴリズムのインプットとして利用する。Kabbageが他の貸し手(競合の銀行を含む)にホワイトラベルサービス(顧客のブランドで販売するために自社製品を提供すること)としてプロダクト提供するほどに成功した。

2020年2月以降は厄介な状況が続く。多くの中小企業がパンデミックにより休業を余儀なくされ、同社のビジネスは崖から落ちるように悪化した。中小企業の休業の多くは恒久的になった。同社は3月末、相当の数の従業員に一時帰休を言い渡し(未訳記事)、4月には中小企業向けクレジットラインを突然停止した(Bloomberg記事)。その後、PPP融資業者大手3社の1つとしてゆっくりと以前の業務に戻った。

だがPPPは短期的なプログラムだ。KabbageとAmexの買収契約で注目されるのは、中小企業に長期の金融サービスを提供するにあたり、2社が異なるアプローチを持ち寄り同じ屋根の下で連携できるかだ。

American Expressは数年前から、業界をリードする企業向けカードに留まらず、企業顧客に決済と運転資金ソリューションも提供し、その規模を拡大してきた」とグローバルコマーシャルサービスプレジデントのAnna Marrs(アンナ・マーズ)氏は述べた。「この買収により、米国の中小企業に決済とキャッシュフローをワンストップでデジタル管理する簡単で効率的な方法を提供するという当社の計画が加速する。これは今日の環境ではかつてないほど重要だ。Kabbageの革新的なテクノロジーと才能あるチームを、当社の幅広い顧客ネットワークと中小企業を支援する60年以上の経験とあわせることにより、顧客がこの困難な時期を乗り越えるのをより厚く支援できる」。

「Kabbageでは、常に米国の中小企業の成功を第一の目標に掲げてきた」とRob Frohwein(ロブ・フローウェイン)CEO兼共同創業者は声明で述べた。「当社は、大企業だけに用意されていた機能や洞察を中小企業にも提供できるテクノロジーとデータプラットフォームを構築した。American Expressに加わることで、当社は小規模な企業が完全にデジタル化された一連の金融プロダクトによって成功を収めるのを助け、彼らの事業運営と成長を支援できるようになる」

カテゴリー:フィンテック

タグ:American Express Kabbage

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(翻訳:Mizoguchi

TikTok事業売却を控えByteDanceの評価額に強い下げ圧力

TikTokの親会社、ByteDance(字節跳動)はこの5月に未公開株市場で1000億ドル(10兆6000億円)の会社評価を得て史上最高額のスタートアップという地位を確立した。ByteDanceの国外での大成功は中国のテクノロジー企業の羨望と賞賛の的となっている。

しかし複数の投資家筋がTechCrunchに述べたところによれば、最も価値のある事業であるTikTokを売却しなければならなくなったことにより同社の会社評価書には現在強烈な下げ圧力がかかっている。

事情に通じた投資家によれば、ByteDanceの昨年の収入は1200億人民元(1兆8000億円)で、うち 67%はTikTokの中国版「Douyin」(抖音)、人気のニュースプラットフォーム「Toutiao」(今日頭條)の広告によるものだ。Douyinのユーザーを対象としたライブストリーミングアプリからの収入が17%を占めている。残る17%は初期段階のビジネス、ゲーム、通販、Douyinの海外版TikTokなどからの収入だ。

この投資家によれば、同社では2020年の収入2000億人民元(3兆円)のうち、TikTok等の初期段階のビジネスの売上が15%を占めるという。これまでのReuters(ロイター)とBloomberg(ブルームバーグ)の報道も概ね同様の数字を上げている。

ByteDance全体の収入に対してTikTokの寄与は低いままだが、このサービスが展開できる可能性があるマーケットは非常に大きい。 投資家によれば「国外で60億人のユーザーを獲得できる可能性がある。中国国内ではDouyin、Toutiaoともに普及は飽和点に近づいている」という。

さらに重要な点としてTikTokは巨大なユーザーベースを収益化し始めたばかりだ。このアプリは指数関数的に急増中だ。パンデミックの影響で人々が家に閉じ込められたことにより今年は20億ダウンロードを記録(Senser Towerレポート)している。しかし社会生活が正常に戻れば果たして利用時間がどれほどになるのかはまだわからない。 このアプリは国外マーケットの3分の1を占めて最大だったインドを既に失っている。ただしインドにおける売上は比較的小さかったようだ。

ByteDanceコメントを求めているが今のところ回答がない。

ByteDanceに残る資産は?

創立8年になるByteDanceが直面しているのは極めて競争の激しい中国の国内市場だ。ショートビデオではTencentが支援するKuaishou(快手)は毎日3億人が利用しているという。これに対して現在のDouyinのDAU(1日あたりアクティブユーザー)は4億人(未訳記事)だ。 Toutiaoも多方面から激しい競争を仕掛けられている。 マイクロブログでは微博がベテランだし WeChatのアプリ内ニュース機能も強敵だ。

同社は次々に新しいサービスを繰り出す能力で知られており、「アプリ工場」の異名がある。これは同社が テクノロジー、特にプロダクト開発をメインとしユーザー獲得、収益化など機能別の組織構造をとっていることによるものだ。

同社の現在の目立った取り組みにはモバイルゲーム(未訳記事)がある。インターネット事業として極めて収益性の高い分野だが同時にテンセントと正面から激突することになる。 中国でブームとなりつつあるリモート教育の波(South China Mornig Post記事)に乗ってオンライン教育にも進出している。エンタープライズソフトウェアの分野では共同作業のプラットフォームとしてLarkを推進している。

しかしこうした事業はユーザー数でも収益化でもTikTok、Douyin、Toutiaoという主要事業の成功にはるかに及ばない状態だ。中国のアプリビジネスの世界展開の代表のByteDanceだが、同社が今後ともこの地位を守り抜けるの注意深く見守っていく必要がある。1つだけ確かなのは、国際展開でつまずいても、創業者兼CEOの張一鳴(Zhang Yiming) は、ByteDanceの国際展開を諦めたり規模が縮小するままに座視したりしないだろうという点だろう。

画像:NOEL CELIS/AFP / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

TikTokとの合併にTwitterが名乗り、ビル・ゲイツ氏は売却強制を強く批判

TwitterはTikTokとの合併の可能性について中国の有力テクノロジー企業、Bytedanceと予備的話し合いをしているとWall Street Journalが報じた。TikTokはトランプ大統領の「売却かさもなければ禁止」という圧力に対抗する措置を探っている。

TikTokはBytedanceが世界に展開するショートビデオのプラットフォームだが、アメリカだけでも 1億ユーザーがいるとされる。

Wall Street Journalによれば、Bytedanceと株式公開企業のTwitterはTikTokのアメリカ事業の合併について予備的交渉を始めた。アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドにおけるTikTokの事業の買収について依然としてMicrosoftが一番手だが、ここにきてTwitterがTikTokの北米事業合併に名乗りを上げたという。

BytedanceのTikTok事業に対するTwitterの申し出は、どんな内容であるにせよ、他の投資家の支援を必要とする。 TikTokの企業価値は1.6兆円から6.3兆円と見積もられており時価総額3兆円のTwitterが単独で取り組むには巨大すぎる相手だ。

先週、トランプ大統領はTiiktokを売却か禁止に直面させる大統領行政命令に署名した。つまりBytedanceが9月15日以前にTikTokの買い手を見つけることができなければアメリカにおける事業は禁止されることになる。

これまでのところBytedanceのビジネスに対する買収ないし合併に名乗りを上げているのはTwitterとMicrosoftだけだが、他の投資家が参加する可能性はある。一方、この大統領行政命令に対する訴訟が起こされて買収交渉が凍結される可能性もある。

8月8日にNPRは「TikTokは大統領行政命令は正規の手続きを踏んでおらず従って無効であるとして訴訟を起こすことを検討している」と報じた。 NPRによれば、BytedanceはTiktokがアメリカの安全保障の脅威となるという主張には根拠がないと考えている。

テクノロジー分野の著名人には、たとえばMicrosoftのファウンダーのビル・ゲイツ氏のように、Bytedanceが TikTokを売却するよう強制されたことについて批判的なものが多い。

ゲイツ氏はWiredのインタビューで.「ソーシャルメディア分野においてはさらなる競争が必要であるはずなのに(最大のプレイヤーを)排除しようというのは奇妙なことだ。TikTokを売却するよう強制する根拠が奇妙だし(買収価格から)分け前をよこせというにいたっては二倍も奇妙だ」と述べている。

何らかの奇跡的な幸運によってTwitter がTikTokのアメリカ事業を買収できたら同社にとって新たな大ビジネスとなるだけではなく、ソーシャルメディアの地図を将来にわたって一変させることになるだろう。TikTokには膨大なユーザーがあり、これを得られればTwitterのユーザーベースは質、量ともに一変する。

以前からテクノロジービジネスを観察していた者ならTwitter自身がショートビデオのプラットフォーム、Vineをスタートさせたことを思い出すだろう。Vineを早まって中止しなければどうなっていたかと考えると.非常に皮肉な話だ。

トランプ大統領の TikTok に対する批判は買収交渉の関係者の間に懸念を呼び起こしている。Wall Street Journalによれば、MicrosoftとBytedanceは買収に関する話し合いを数週間前から続けていた。しかしトランプ大統領が7月31日に大統領専用機内で記者団に対しTikTokを禁止することを考えていると言明したことはBytedanceとMicrosoftを驚かせ 、両社は事情がもっとはっきりするまで交渉を一時中断したという。

画像:TechCrunch

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滑川海彦@Facebook

Tencentがニューヨーク証券取引所上場の長年の検索パートナー中国Sogouの買収を計画

Tencent(テンセント、腾讯)が、オンライン検索マーケットでライバルのBaidu(バイドゥ、百度)の攻勢をかわすために、Sogou(ソゴウ)の株式の36.5%を取得(PR NewsWire記事)してから7年になる。ソーシャルとゲームの巨人Tencentは、現在長年のパートナーを買収し、非公開とすることを提案している。

IPOを祝うためにニューヨーク証券取引所(NYSE)を訪れたSogou(NYSE:SOGO)の幹部とゲスト。特別な瞬間を祝うために集まったCEOのXiaochuan Wang(シャオチュアン・ワン)氏、Sohuの会長でCEOのCharles Zhang(チャールズ・チャン)氏、そしてNYSEの代表であるTom Farley(トム・ファーレイ)氏がThe Opening Bellを鳴らしている。

ニューヨーク証券取引所に上場されているSogouは、今週Tencentから、まだTencentが所有していない残りの米国の預託株式(ADS)を1株あたり9ドルで取得したいとする、拘束力のない暫定的な提案を受け取ったと語った(Sogouリリース)。この事が意味するのは、中国のデスクトップ時代の主要なウェブポータルであり、Sogouの支配株主であるSohu(ソフウ、捜狐)が、検索会社Sogouから手を引くことになるということだ。

Sohuの声明によれば、同社の取締役会はまだ提案内容を検討したり、申し出を受けるかどうかを議論できていないとのこと(PR NewsWire記事)だ。この7月27日のニュースを受けて、Sogouの株式は48%上昇して8.51ドル(約899円)になったが、この価格はIPO時に記録した最高価格13.85ドル(約1463円)を遥かに下回っている。

2005年に創業したSogouは、自らを中国最大の検索サービスBaiduへの挑戦者だと宣言し、2017年の後半に株式公開を行った(未訳記事)が、長らくBaiduには大きく水を開けられたままだった。また第1四半期の収益報告書によれば(Sogouリリース)、同社は毎日4億8200万人がタイピングしたり音声をテキストに変換したりして利用している、中国のトップ入力ソフトウェアを運用している。

Tencentとの戦略的パートナーシップが始まって以来、中国語で「検索犬」を意味するSogouはWeChatのデフォルト検索エンジンであり、Tencentのトラフィックから多大な利益を得ている(WeChat自身も独自の検索機能を開発してはいる)。

米中間の緊張が高まる中で、この買収はSogouを米国からの排除対象の中国企業の1つに加えることになるだろう。またこの買収は、WeChat SearchがSogouを邪魔者にしてしまうのではないか、という投資家たちの懸念を和らげることになるだろう。これまでのところ、WeChatの独自の検索機能は、ユーザーのニュースフィード、ユーザーが書いた記事、eコマースストアから、WeChatに統合された軽量アプリなどの、主に個別アプリ内でのデータ収集に使われているようだ。

これは、WeChatの12億人のアクティブユーザーを対象としたコンテンツとサービスの多くをカバーしている(Tencentリリース)。多くの人は、消費者向けニュース、食べ物の注文、ゲームプレイ、食料品の購入などを、チャットアプリを離れて行う必要がない。しかし、巨大なエコシステムの外にはまだ情報が残されていて、それがSogouの得意分野だ。つまり、オープンウェブで利用できるものをWeChatユーザーの手に届けるという役割だ(もちろん、それは中国のすべてのサービスと同様に政府による検閲を受けている)。

このやり方は、大企業同士がお互いをブロックしたり、ライバルが自分のコンテンツにアクセスするのを難しくするという、中国のインターネット上の常習的な慣行を反映している。目的は、トラフィックを固定し、ユーザー情報を抱え込むことだ。例えばWeChatで公開された記事をBaiduで検索することはできないし、ユーザーは、WeChatを離れずにAlibaba(アリババ)ショッピングリンクを開くこともできないのだ。

なおSogouはWeChatにとって唯一の検索パートナーではない。WeChatは、あらゆる情報ニーズを捉えるために、仲間内のマイクロブログプラットフォームであるWeibo(ウェイボー、微博)や、Quora(クオーラ)に似ているZhihu(ジーフー、知乎)、ソーシャルコマースサービスのXiaohongshu(シャオホンシュ、小紅書)とも提携を行っている。

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(翻訳:sako)

英保険会社Direct Line Groupがロンドン拠点の保険アプリBrollyを買収

英国のデジタル保険アプリであるBrolly(ブローリー)はDirect Line Group(ダイレクトライングループ)に買収された。買収条件は未公表。買収は2020年第3四半期に正式に完了する予定だ。

もともとは、Aviva(アビバ)のアンダーライターでプロダクトマネージャーだったPhoebe Hugh(フィービー・ヒュー)氏と、Skype(スカイプ)とMicrosoft(マイクロソフト)でエンジニアリングマネージャーだったMykhailo Loginov(ミカイロ・ロギノフ)氏がアクセラレーターのEntrepreneur First(アントレプレナーファースト)で出会った後に、個人向け保険コンシェルジュ(未訳記事)としてBrollyを立ち上げた。このアプリでは、自分の保険契約の補償範囲の漏れや重複を見つけ、適切な保険を探すことができる。

そこまでは同社が単にインシュアテックになっただけに見えたが、2019年8月に「Brolly Contents」を立ち上げ、同社が空白になっているとみた家財保険の領域を埋めた(未訳理事)。

デジタル時代にふさわしく設計されたこのプロダクトは、個人の所有物のすべてまたは一部を「柔軟な」月額料金で補償し、Brollyのモバイルアプリを介して従来より便利な方法で提供されている。Brolly Contentsには最大4万ポンド(約540万円)相当の家財を補償する機能があり、賃貸人や不動産所有者に適している。また保険の更新に手数料はかからない。

画像クレジット:Brolly

さらに最大25%のロイヤルティ割引が約束されており、Brollyとの契約を続け、保険金の請求を行わない限り割引率は毎月増加する。BrollyのCEOであるヒュー氏が当時TechCrunchに語ったように、これは新しい顧客に大幅な割引を提供している既存の保険会社に対するアンチテーゼだ。顧客らが契約後数年間、時間がなかったり怠慢のために切り替えをしなければ、保険会社が最初の割り引きの元を取ることになる。

共同発表によると、Brollyのチームは買収後Direct Line Groupに加わり、「Direct Line Groupが保険業界のリーディングデジタルプレーヤーになるための変革の加速に貢献する」ことを目的として、これまでの仕事を継続する見込みだ。

ヒュー氏は声明の中で次のようにコメントした。「私は個人向け保険を作り変えるためにBrollyを始めた。新しい世代の消費者の声に耳を傾け、それに対応することで我々はこれまで大きく前進してきた。この旅の中で、私とチームがテクノロジーとプロダクトをもっと多くのオーディエンスに拡げるためのステップを踏むことができ大変嬉しく思う。英国で最も革新的な大手保険会社の1つであるDirect Line Group内で保険を簡素化するために、美しくパーソナライズされた製品を引き続き開発できることを心から喜んでいる」。

ただしTechCrunchが知るところでは、既存のBrollyアプリのユーザーは「保険管理プラットフォーム」が7月30日にシャットダウンされるとの通知を受け取っている。現在有効および期限切れのいずれの保険に関しても主要なデータをエクスポートするオプションを用意された。Brolly Contentsも個々の顧客の保険契約が満了日を迎えるとそこで終了となる。

最後に、後世のためにヒュー氏がEntrepreneur Firstで最初に行った投資家向けプレゼンをご紹介しよう。

画像クレジット:Brolly

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(翻訳:Mizoguchi

Uberが公共交通機関向けソフトウェア開発のRoutematchを買収

Uber (ウーバー)は米国7月16日、公共交通機関にオンデマンドサービスやルート最適化などのソフトウェアを提供しているアトランタ拠点のRoutematch(ルートマッチ)を買収したと発表した。この買収で配車サービスのUberは自治体にSaaS関連のサービスをさらに提供することになる。

Uberは買収条件を明らかにしなかった。しかし何人かの才能ある人材を獲得するためのいわゆる「acqui-hire」(アクハイヤー)ではなく、500以上の公共交通機関に使用されているソフトウェアを開発した企業の戦略的買収だ。従業員170人のRoutematchのオペレーションは継続し、CEOのPepper Harward(ペッパー・ハワード)氏も残る。

今回の買収でUberは公共交通機関向けSaaSプロバイダーとしての存在を強める。Routematchのソフトウェアは、移動計画や車両トラッキング、決済、そしてバスやパラトランジットサービスのような路線交通向けのツールを提供している。創業20年の同社は地方や郊外など遠隔地なども含め幅広い顧客を抱える。

先月Uberは、サンフランシスコ・ベイエリアのマリン郡向けのオンデマンドサービスをSaaSプロダクトで管理する案件を獲得(Marin Independent Journal)した。Uberにとって公共交通機関と結ぶ初のソフトウェア提携だ。UberがSaaSに参入して数年になる、とUber Transitの責任者David Reich(デイビッド・ライヒ)氏は最近のインタビューの中で述べている。

「都市が生き残るには、公共交通機関が生き残らなければならないことをUberは知っている」とライヒ氏は述べた。「Uberは2015年以来、公共交通に関連するサービスを開発してきて、最初は移動計画機能、それからチケットだった」と同氏は説明した。Journey Planningと呼ばれる公共交通機能は世界15都市超で利用できる。同社はまた、デンバーやラスベガスとも協業した。2018年に同社は、人々がトランジットチケットをUberのアプリ内で購入できるよう、モバイルチケッティングプラットフォームのMasabiと提携した。

画像クレジット: Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Analog DevicesによるライバルMaxim Integrated買収で巨大チップメーカーが誕生

複数の報道によれば(Reuters記事)、米国時間7月13日にAnalog Devices(アナログ・デバイセズ)はライバルのチップメーカーであるMaxim Integrated Productsを209億1000万ドル(約2兆2400億円)で買収したことを発表した。同社の時価総額は7月10日の終値で170億9000万ドル(約1兆8300億円)だった。

この取引は両社の取締役会がすでに承認しており、Analog Devicesによると企業価値680億ドル(約7兆2900億円)の巨大チップメーカーが誕生することとなる。両社ともに狙いは企業規模の拡大だ。

両社の組み合わせは、互いに重複する製品が少ない点でも好ましいものだ。Maximは自動車業界とデータセンターの分野に強く、Analogは産業用やヘルスケアに集中している。

ADI(Analog Devices, Inc.)の社長でCEOのVincent Roche(ヴィンセント・ロシュ)氏は、買収がもたらす統合された組織の可能性について意欲的だ。ロシュ氏は声明で「ADIとMaximは、顧客の最も複雑な問題を解決する情熱を共有している。両社の技術と人材が合わさることでその幅と深さを増せば、より完全で最先端のソリューションを開発できる」と語っている。

Maximは1983年に創業され、1988年に株式を公開した。Crunchbaseによると、同社は2002年から2013年までに9回の買収を行い、直近の買収は2013年のVolteraだった。

この種の買収は例によって規制当局の承認を得る必要があるが、両社とも2021年夏には完了すると考えている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SuseがKubernetes管理プラットホームのRancher Labsを買収

米国時間7月8日、「世界最大のオープンソースの独立企業」を自称するSuseは長年エンタープライズのコンテナクラスターの作成を支援してきたRancher Labsを買収したことを発表した。

買収の価額はどちらも公表していないが、Rancherは資金が豊富でこれまでに9500万ドル(約102億円)を調達している。しかもわずか数カ月前に同社は、Telstra Venturesがリードする4000万ドル(約43億円)のシリーズDを発表(Rancher記事)したばかりだ。これには、Mayfield、Nexus Venture Partners、GRC SinoGreen、そしてF&G Venturesらが参加した。

類似の企業と同様、RancherもやはりDockerのインフラストラクチャで起業し、その後 KubernetesがコンテナオーケストレーションのデファクトスタンダードになってからはKubernetesに焦点を移した。Suseが同社を買収したのもKubernetesが理由だ。オーナーが何度も変わる浮き沈みの激しい社歴を背負うSuseは、新しい足場をようたく見つけ、それを強化するためにRancher Labsを買収したといえる。

先月、同社は年間の契約総額が前年比で30%伸び、100万ドル以上の顧客契約の件数は63%増加、クラウドの売上は70%増と報告した。同社は今でも、同社のルーツであるLinuxのディストリビューションがビジネスの1つだが、現在のSuseは相当様変わりした企業となり、さまざまなエンタープライズ向けプラットホームやソリューション、およびサービスを提供している。それらの中には、Cloud FoundryベースのCloud Application Platformがある。そして同社にはすでにKubernetesベースのコンテナプラットホームがあるが、Rancherの専門的能力がこのビジネスをさらに強化するだろう。

SuseのCEOであるMelissa Di Donato(メリッサ・ディ・ドナート)氏は、本日の発表で次のように述べた。「これは、オープンソースのリーダーである2社が力を合わせるという、我々の業界の素晴らしい瞬間だ。エンタープライズLinuxとエッジコンピューティングとAIにおけるリーダーと、エンタープライズKubernetes管理のリーダーの合併は市場に創造的破壊をもたらし、顧客のデジタルトランスフォーメーションを加速するだろう。SuseとRancherの組み合わせのみが、グローバルにサポートされた100%純粋なオープンソースのポートフォリオを持ち、そこにあるクラウドネイティブの技術などにより、エッジとコア、そしてクラウドのすべてにわたる顧客のシームレスなイノベーションを支援できる」。

同社は本日の買収を、同社のオーガニックでない成長戦略の最初の一歩と呼び、ディ・ドナート氏によるとこの買収で、同社はクラウドサービスのプロバイダー、独立のハードウェアベンダー、システムインテグレーター、および付加価値再販業者として、さらに素晴らしい顧客体験をぜひとも提供していきたい、ということだ。

関連記事:SUSEがエンタープライズサービス好調で再び独立企業に

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Lululemonが新型コロナで需要が高まるホームフィットネス用の鏡を販売するMirror買収へ

Lululemon(ルルレモン)は米国6月29日、ホームエクササイズのスタートアップであるMirror(ミラー)を5億ドル(約540億円)で買収する計画を発表した(Business Wire記事)。フィットネスアパレルのLululemonは、今会計年度第2四半期末までに買収を完結させるつもりだとプレスリリースに記している。

この買収は、在宅ワークアウトのソリューションに対して大きな需要がある中で行われる。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、世界中ででワークアウトの選択肢が大きく制限されるようになり、現在も続くジム閉鎖でこの問題は長引いている。たとえ各都市でジムが再オープンし始めても、新型コロナの感染が広がっている限り、多くの人がリスクが高いと思われる密室空間に戻ることに躊躇するだろう。

関連記事:Fitness startup Mirror nears $300M valuation with fresh funding(未訳記事)

「2019年に我々は人々が汗をかいて、成長し、コネクトすることを通じてスウェットライフを過ごすようたきつける実験的なブランドになるビジョンの詳細を語った」とLululemonのCEOであるCalvin McDonald(カルヴァン・マクドナルド)氏はプレスリリースで述べた。「Mirrorの買収はそうしたビジョンに基づいて構築する素晴らしい機会であり、我々のデジタルでインタラクティブな能力を推進し、スウェットライフの根を張るものとなる。パーソナライズされた在宅フィットネスの成長を促進するためにBrynn Putnam(ブリン・プットナム)氏、そしてMirrorのチームから学びつつともに働くことを楽しみにしている」。

両社は、LululemonがMirrorの投資家となった2019年後半から関係がある。ガイド付きのワークアウト用ミラーを1495ドル(約16万円)で販売するニューヨーク拠点のMirrorのシリーズBラウンドでLululemonが3400万ドル(約37億円)を出資し、Mirrorのバリュエーションは3億ドル(約320億円)近くになった。MirrorはこれまでにPoint72 Ventures、Spark Capital、First Round Capital、Lerer Hippeau、BoxGroupなどの投資家から7480万ドル(約80億円)を調達した。 Karlie Kloss(カーリー・クロス)氏と、Creative Agency創業者のKevin Huvane(ケヴィン・フベイン)氏も同社に出資している。

Mirrorは広く人気を集めているPeloton(ペロトン)のコネクテッドマシーンの代わりの選択肢として多くの人に考えられている。TonalやTempoなどコネクテッドフィットネス分野では激しい競争が展開されているが、Mirrorはその中で先頭を走る存在だ。同社は2018年にTechCrunch Disruptのステージにステルスモードから登場した。

画像クレジット:Steve Jennings / Stringer / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi