アップルの「マップ」に道路情報やスピード違反の取り締まりを報告する機能追加

Apple(アップル)のマップにドライバーが道路の危険情報や事故、スピード違反取り締まりなどを報告できる機能が追加された。新機能は一般ベータ版テスターとデベロッパーに公開されているiOS 14.5ベータ版で利用できるが、2021春まで一般展開はされないと同社は話している。

新機能では、ドライバーは道路の問題や事故をiPhoneのSiriかAppleのCarPlayを通じて報告できる。たとえばナビの途中、ドライバーはSiriに「この先で事故がある」「道路上に何かがある」「ここにスピード違反取り締まりの計測器がある」などと報告できる。また「危険はなくなった」「事故はもうない」と報告して時間が経った事故や危険アラート情報を訂正することもできる。

Siriを使うことで報告エクスペリエンスを安全なものにする一方で、アップデートされたアプリではユーザーは他人に事故や危険情報、スピード違反取り締まり計測器を警告する際、報告ボタンをタップするためにマップ上で上方向にスワイプできるようになってもいる。

アップデートはGoogle(グーグル)が所有するナビゲーションアプリ「Waze」にとって脅威となるかもしれない。Wazeは長い間、道路の状況や事故、警察の存在などを警戒するための人気ツールだった。Wazeではユーザーはスクリーンをタッチしたり、Google Assistantを通じてコマンドを出したりして操作できるが、当然のことながらiOSユーザーのための音声サポートはかなり限定されている。たとえばWazeは現在、Siriショートカットの使用をサポートしているが、マニュアル操作で設定してSiriに加えなければならない。

Appleはこれまで消費者のプライバシーを優先するという姿勢をとってきた。そのおかげで、Appleのエコシステム内だとユーザーデータはより安全だと感じているユーザーに対して、新しいマップの機能はよりアピールするものかもしれない。

また、特筆すべきはスピード違反取り締まり計測器の追加であり、これはマップの方向転換を意味する。Appleは歴史的に自社プロダクトに警察の警告を入れることに反対してきた。しかしそのサポートの欠如が、モバイル端末でのナビとマッピング分野におけるGoogleの支配を許してきた。

Appleの決断は、Wazeにある機能がGoogleマップへと拡大したことに続くものだ。Googleの2つのナビプロダクトの差は次第に曖昧になっている。そしてGoogleは事故や交通、スピード違反取り締まり計測器などをiOSのGoogleマップユーザーに報告する機能を引き続き提供し続けており、今回の機能追加によりAppleのマップから乗り換えを考えていたはずの人は、それが実行しづらくなった。

関連記事:Googleがマップアプリを強化、iOSからも事故や交通取締をレポート可能に

Appleは遅ればせながらこのことに気づいたようだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Appleマップ

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルのマップアプリでEV向けに充電ステーションも含めたルート検索が可能に

Apple(アップル)は、電気自動車のオーナー向けのルート案内機能をマップアプリに追加した。iOSの最新バージョンで利用可能になるEVルーティング機能は、アップルがマップアプリに加えたいくつかの改良のうちの1つだ

米国時間6月22日月曜日、毎年開催される開発者向けカンファレンスのオンラインイベントである「WWDC 2020」で、この新機能は発表された。

EVルーティング機能は、ルートに沿ってユーザーのEV(電気自動車)と互換性のある充電ステーションを表示することで、航続距離とバッテリー切れの心配を解消することを目指している。アップルでシニアディレクターを務めるStacey Lysik(ステイシー・リシック)氏によると、iOS 14のマップアプリは車両の充電状態を追跡し、標高や経路に沿ってルートに充電ステーションを追加するかどうかを決定する。

アップルはBMWやFord(フォード)などの自動車メーカーと協力して、簡単なルート設定をサポートする。リシック氏によると、近い将来にはさらに多くのメーカーが加わる予定だという。フォードはアップルと協力していることを認めたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

またマップアプリには、渋滞やグリーンゾーンを表示し、必要に応じてこれらのエリアを避ける代替ルートを選択できる機能も追加される。中国のドライバーはiPhoneにナンバープレート番号を安全に保存できるようになり、その番号に基づいて混雑した都市の中心部に入ることができる日を、より簡単に知ることができるようになる。中国の政策では、ドライバーは特定の日にしか混雑区域に入ることができないのだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルが全米の新型コロナ検査施設をマップに追加

Apple(アップル)は、同社のマップアプリに全米の新型コロナウイルス(COVID-19)検査施設を追加した。全50州とプエルトリコが対象だ。この更新によって病院、診療所、救急施設、一般開業医、薬局などに加えて、専門の新型コロナ検査場など、検査が可能な場所の位置が表示されるようになる。さらに、位置を検索したときの目的地候補として新型コロナ施設が優先的に表示される。またアップルは、新型コロナ危機の中で人々がどのように都市を移動しているかを示す、Mobility Trends(移動傾向レポート)サイトも更新した。

マップアプリのアップデートは先週9to5Macが発見している。検査施設の提供者がデータベースに位置を追加するためにアップルが作ったポータルを通じてわかった。追加情報は既に有効になっており、パンデミックのためにカスタマイズされた優先検索オプションに追加されている。他には食料品店、フードデリバリー、薬局、病院、救急施設などが優先検索対象になっている。

移動傾向レポートは地域指定が改善され、米国、カナダで週単位での検索ができるようになり、地域の地元での呼び名が検索結果に追加され、世界中の人が目的の場所を見つけやすくなった。米国では、対象になる都市が追加されている。

アップリはこのデータを公開することで、政府や交通機関、都市などがパンデミックによる影響の理解を深めるとともに、ソーシャルディスタンスや自宅待機などの行動がどれだけ守られ、どれだけ効果を生んでいるかに関する情報を提供するために役立てることを期待している。このデータは、ユーザーがマップアプリで検索した目的地情報に基づいているが、アップルのマップには既にプライバシー対策が講じられているため、検索情報と共に個人情報が収集されることはない。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルがユーザーの移動データを公開、新型コロナで変化する都市をひと目で確認可能に

Apple(アップル)は、同社のマップアプリのユーザーから集めた匿名情報を元にしたデータを一般公開すると米国時間4月14日に発表した。このデータは「Mobility Trends Reports」として毎日更新され、マップアプリの中で行われたルート検索の回数の変化を見ることができる。マップはiPhoneの標準ナビゲーションアプリで自動車、徒歩、公共交通機関の3種類のモードがある。

アップルは、この情報がいかなる個人とも結びついていないことを強調している。マップアプリが移動データをユーザーのApple IDと関連付けることはなく、人がどこにいたかという履歴を保存することもない。アップルによると、マップで集めた検索ワードや個別の経路などのデータは、ランダムに変わる識別番号と結び付けられるだけで、その番号も定期的にリセットされる。この匿名集約データが提供するのは都市、国または地域レベルのビューだけであり、ある地区での歩行者、ドライバー、公共交通利用者の数の変化を、ユーザーがアプリを開いて道順を調べた回数に基づいて表現している。

Appleのインストールベースの大きさと、日々の通勤や移動のためにGoogleマップなどのサードパーティーアプリを使う人はあまりいないであろうことを踏まえるとある都市における外出回数の減少を確認するかなりよい方法だと考えられる。

このデータはアップルのウェブサイトで誰でも入手可能で、互換性の高いCSV形式でダウンロードできる。ウェブ上でも特定の地域を検索したり、その地域の全体的な傾向を見ることができる。

個人にとっては好奇心を満たす程度のことだろうが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を調査している都市や州、国の政策担当者にとっては、ソーシャルディスタンスや自宅待機、隔離命令などの拡散防止戦略の効果を確認するためにとても役立つだろう。

アップルはほかにも、Googleと共同でOSレベルの匿名接触者追跡システムを開発している。両社はまずデベロッパー向けのAPIを公開し、その後機能をOSに組み込み、公共保健機関のアプリと連携する。アップルは新型コロナ危機のために役立つことに対してとりわけ熱心であると同時に、そのための対策が個々のユーザーのプライバシーを侵害しないことにも腐心している。集団レベルで効果的な行動を起こす上では困難なバランスだが、アップルのリーチの大きさは、どんなツールを提供する上でも強力な優位性になる可能性がある。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルのマップが大幅に改善、植生分布や建物形状の正確さはGoogleマップを上回る評価

eng-logo-20152012年からiOSに採用されたものの、地図の不正確さや地名の間違いなどがあり、Googleマップにはるかに及ばないとの評判だったアップルのマップ(Apple Maps)。しかし最近のリニューアルにより、植生の分布や建物の形状の正確さではGoogleマップを上回っているとの評価が報じられています。

これはアップルのマップ作成に従事していたデザイナー、Justin O’Beirne氏によるもの。アップルは今年6月、米TechCrunchにマップの完全リニューアルを準備中と回答していましたが、努力の成果は反映されつつあるようです。

まずO’Beirne氏は、リニューアル後のマップがカバーしている範囲の狭さに苦言を呈しています。今のところ米国の土地面積にしてわずか3.1%、人口の4.9%にしか及んでいないとのこと。

そう保留を付けつつ、O’Beirne氏は新マップに含まれた詳細な内容を指摘しています。特に植生分布、つまり草や木の生えた領域の細かさは驚くべきもので、郊外のみならず都市の内部まで緻密に反映されているとのこと。過去のマップと新マップを重ね合わせて比較するアニメーションGIFが公開されていますが、リニューアル後は「緑」の部分が目立っています。

植生分布は道路の間や住宅地の隅々まで反映され、ゴルフコースであればフェアウェイやサンドトラップ(俗にいうバンカー)、グリーンまで。地形の詳細についても、学校の校庭やプール、公園やテニスコートといった個々の施設が判別できるこだわりようです。

さらに建物の形状もかなりの正確さ。タイトル画像にあるサンフランシスコのFive Embarcadero Centerの新旧マップ(左が旧、右が新)を見比べれば、その改善ぶりは明らかです。

新マップが完ぺきに正確というわけでもなく、O’Beirne氏は建物の高さに関していくつかの間違いが見つかっていると指摘。たとえば近くに似た形状の建物がある場合、細部に現実とのズレがある場合も例示されており、その点でアップルのアルゴリズムがGoogleのそれ(主に屋上など)に及んでいない可能性も示唆しています。

とはいえ、アップルの新マップが以前と比べて格段の進歩を遂げ、多くの点でGoogleマップを上回りつつあるのは事実のようです。羽田空港内に大王製紙が出現、JR青梅線に「パチンコガンダム駅」が誕生する事態は再来しないかもしれません。

まだ本国アメリカでもカバー率は1/30以下で、日本の地図に恩恵が及ぶのは当分先と思われますが、その日が来るのを楽しみにしたいところです。

Engadget 日本版からの転載。

Apple、マップの完全リニューアルを準備中――編集長が読者の質問に答える

今日(米国時間6/29)、Appleはまったく新しいマップを開発中だと発表して大きな注目を集めた。新マップはゼロからの作り直しになるという。TechCrunchの読者から質問が殺到したので代表的な質問に答えてみる。さらに質問があればTwitterに投稿して欲しい。できるかぎり答えを探ってみる。

マップのどの部分が改良されるのか?

マップ全部だ。Appleはマップをスクラッチで作り直している。今回は外部のパートナーに頼らず、、すべて独自データだ。

見た目として変わるのだろうか?

地表の植生の状態を表示するマーカーが追加される。これは地表が草や樹木で覆われていることをさらに正確に示す。池や駐車場、建物、野球のグラウンド、テニスコート、バスケット・コートなども実際の形状のとおりに示される。これまでマップに表示されていなかった歩行者通路も加えられる。またマップを見て建物の入り口がわかるような新機能も追加される。

つまりビジュアルにもそれとわかる変化があるということか?

新たに追加される詳細情報に関してのみビジュアルの変化がある。今回はマップのビジュアルを根本的に変化させるわけではない〔将来はあり得るだろう〕が、新しいマップを見れば変化に気づくだろう。たとえばこうした例だ。

新マップはiPhonesから送られてくる情報を利用するのか?

そのとおり。iPhoneユーザーの移動情報の一部を匿名化して利用する。「このルートは実際に通行できるか?」を検証したり、交通渋滞に関する情報を得たりする。

私が個人として特定されることはあるのか? つまりAppleは私がこれこれのルートで移動したと知るようになるのか?

これはノーだ。個人の移動情報を完全に保存しているのはその個人が所有しているデバイスだけだ。移動情報がAppleに送信されるときにはそのつど変化するランダムな識別子が割り当てられる。そのようなプライバシー保護措置を取った上でなければデータはAppleに送信されない。しかもAppleが入手するのはランダムに抽出された移動の一部セクションに過ぎず、個人がどこから出発してどこへ移動したかをAppleが知ることはない。情報はマップのアップデートと交通情報の表示のみに用いられる。もともとのデータが誰のデバイスから来たか知ることはない。たとえ外部からの要請があってもユーザーの移動を再現することはAppleにもできない仕組みだ。

移動データ送信からオプトアウトすることは可能か?

可能だ。位置情報サービスをオンにしなければ情報がAppleに送信されることはない。これはマップのプライバシー設定から随時変更できる。 この点は目新しい機能ではなく、以前からずっとそうだった。

新マップはデータ量が多くなり、より多くの電力を消費するようになるのか?

Appleではノーだと言っている。マップが新しくなることによる電力消費の増大は微小であり、全体としての効率の改善で完全にカバーできる程度だという。

一般公開はいつごろか?

サンフランシスコからシリコンバレー周辺のエリアに関しては来週からベータテストが開始される。秋にはカリフォルニア北部に拡大されるようだ。シニア・バイスプレジデントのEddy Cueは新マップ開発チームはグローバルな存在だとして、次のように明言している。

われわれは新しいマップ開発のために専任のチームを結成した。プロジェクトがすたーとしたのは4年前になる。機械学習からマップデザインまで広汎な分野の人材を集めた。このプロジェクトでは全世界で数千人が働いている。ここ、シリコンバレーだけでなく、シアトル、オースティン、ニューヨークなどにも多数のメンバーがいる。ベルリン、パリ、シンガポール、北京、マルメ、ハイでラバードなど他の国、都市でもそうだ。 

チームは全世界に広がっている。世界をカバーする新しいマップを作るにはこれは重要なことだ。われわれはユーザーが世界各地でAppleのデバイスをどのように使っているのか知ろうとしている。われわれは出先で役立つマップづくりを目指している。

将来はストリートビュー・モードが導入されるのか?

可能性はある。今のところAppleからストリートビューについての発表はない。しかし自動車から周囲の写真が収集できるようになれば、ストリートビューは完全に可能だ。ただし発表の段階にはないようだ。

各種ビジネスへの影響は?

Appleが利用しているコンピューター・ビジョン・システムは店舗や会社の名前を完璧に読み取る能力を備えている。だから各種ビジネスにも大きな影響があるものと思う。

建物の形状も3D化で改良されるのか?

イェス。Appleではマップ・エディターが3Dビューで建物の高さ、形状できるだけ正確に調整できるツールを使っている。この測定ツールは建物が何階建てか推定するためにも役立つ。これは建物内部のナビを行う場合に有用な機能だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

iOS 10のApple Mapsでは、自動車を停めた場所やそこまでの所要時間を示してくれる

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Appleは未だApple Carの噂について、きちんと言及せずにいる。独自の車を開発するということについて、どれほどの意図を持っているのかはわからない。ただ、iOS 10によってApple Mapsに導入される新機能によって、ドライバーに快適さを提供しようという気持ちはあるようだ。

AppleInsiderが報じているが、新しいApple Mapsでは、車を自宅以外の場所に停めたときに、その場所を自動的に地図上に表示するようになる。

Apple Maps上に停車した車のアイコンが表示され、車のある方向を示したり、その場所まで行くのにかかる時間を表示してくれたりもする。詳細な場所を示すために、停車場所を編集するための機能もついている。

Apple Maps parked car

言うまでもないかもしれないが、停車場所を示すためのアプリケーションは、サードパーティーからいろいろと出てきているものではある。新機能を実装する際に、そうしたサードパーティーの機能を奪うようなことは、しばしば起こることではある。

WWDCのキーノートにおいて、AppleはiOS 10においてApple Mapsに加えられる変更点についてアナウンスしていた。Mapsとのインタフェースをサードパーティーに提供し、たとえば地図をつかって近くのレストランを予約したり、Uberなどのサービスを呼ぶことができるようになる。

Map上から展開するサービスではApple Payも利用できるようになり、自分のいる場所の近辺に存在するサービスを、手間いらずで利用(購入)することができるようになる。またMapsは、利用者のカレンダー情報から次のミーティング場所近辺の食事場所を提案したり、もちろんその場所へのルートを示すといったインテリジェンスも持つようになる。今回明らかになった停車場所通知の機能なども、Mapsへの追加機能のひとつというわけなのだろう。

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(翻訳:Maeda, H