AWSがより早いメインフレームの移行とモダナイゼーションのための新ソリューションを発表

米国時間11月30日朝に開催されたAmazon(アマゾン)のカンファレンス「AWS re:Invent」で、同社はメインフレームの移行とモダナイゼーションのための、シンプルな名称の新プラットフォーム「AWS Mainframe Modernization」を発表した。

同社のユーザーは本日から、メインフレームから移行するために、いくつかの異なる方法を取ることができる。それは「リフト&シフト」アプローチでアプリケーションをほぼそのまま持ってくるか、リファクタリングを行ってクラウド上でアプリケーションをマイクロサービスとして分解するかだ。しかし、どちらの方法もそう簡単ではなく、アプリケーションのソースコードの複雑さを評価し、他のシステムとの依存関係を理解し、コードを変換またはリコンパイルし、さらにすべてが動作するかどうかをテストしなければならないため、プロセスが完了するまでに数カ月から数年かかることもある。

「これは非常に面倒な作業であり、多くの要素が絡み合っています」とAWSのCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏は会見で述べた。「また、AWSパートナーが移行を支援してくれるとはいえ、長い時間がかかることもあります」と付け加えた。

新しいソリューションの「AWS Mainframe Modernization」では、その代わりにAWS上でメインフレームアプリケーションの移行、モダナイゼーション、作動をより迅速に行うことができる。同社は、一連の開発、テスト、展開ツールとメインフレーム互換のランタイム環境を用いて、メインフレームのワークロードをクラウドに移行するのにかかる時間を最大で3分の2に短縮できる、としている。また、このソリューションでは、顧客がメインフレームアプリケーションの準備状況を評価・分析した上で、再プラットフォーム化とリファクタリングのどちらの方法を取るかを選択し、計画を立てることができる。

再プラットフォーム化したい場合、Mainframe Modernizationソリューションは、コードを変換するためのコンパイラと、変換中に機能が失われていないことを確認するためのテストサービスを提供する。アプリケーションのリファクタリングや分解をしたい場合、例えばコンポーネントをEC2やコンテナ、Lambdaで実行できる場合は、Mainframe Modernizationソリューションを使用して、COBOLコードを自動的にJavaに変換することができる。Migration Hubでは、複数のAWSパートナーやソリューションにわたる移行の進捗状況を1カ所で追跡することができる。

Amazonはこのシステムを、セキュリティと高可用性、スケーラビリティ、弾力性を提供する、機敏でコスト効率の高い(オンデマンドの従量制リソースによる)管理されたサービスだとアピールしている。


画像クレジット:Ron Miller

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンが数日でプライベートモバイルネットワークの設置・拡張できるAWS Private 5Gのプレビュー版公開

米国時間11月30日午前、Amazon(アマゾン)のAWS re:Inventカンファレンスで、同社はAWS Private 5G(AWSプライベート5G)のプレビューを発表した。ユーザーが独自のプライベートネットワークを容易に展開、管理するサービスだ。新機能の狙いは、現在多くの企業が直面している5Gの活用という課題に対応することだ。AWSのCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏は、AWS Private 5Gを使えば、プライベートモバイルネットワークの設置と拡張が数カ月ではなく数日でできるようになる、と語った。

「モバイル・テクノロジーの利点を、長い計画サイクルや複雑な統合、高額の初期費用といった障壁なく享受することができます」とセリプスキー氏が基調講演で述べた。「ネットワークをどこに作りたいのか、ネットワーク容量をどうしたいのかを当社に知らせていただければ、必要なハードウェアとソフトウェアにSIMカードをお送りします」。

画像クレジット:AWS

セリプスキー氏は、AWS Private 5Gがネットワークの設定、展開を自動的に行い、デバイスの追加やネットワークトラフィックの増加に合わせて、容量をオンデマンドで拡張できることを説明した。初期費用やデバイス当たりのコストはかからず、顧客は要求したネットワーク容量とスループットに対してのみ料金を支払う。

「多くのお客様が、さまざまな制約に対応するために独自のプライベート5Gネットワーク構築を望んでいますが、プライベートモバイルネットワークの展開には、多くの時間と費用、予測されるピーク容量に合わせたネットワーク設計が必要になり、複数ベンダーのソフトウェアとハードウェアのコンポーネントを購入、統合しなくてはなりません。また、お客様自身でネットワークを構築できたとしても、現在のプライベートモバイルネットワーキングの価格モデルでは接続デバイスごとに課金されるため、数千台のデバイスを利用するケースでは価格的に利用が困難です」と新サービスを紹介するブログで会社は述べた。

Amazonは、AWS Private 5Gは展開を簡易化することで、顧客が独自の4G/LTEあるいは5Gのネットワークを迅速に展開し、接続デバイス数を容易に増減できること、使い慣れたオンデマンドクラウドの価格モデルを利用できることなどを説明している。

AWS Private 5Gのプレビュー版は米国で公開される。利用するためには、ここで申し込みができる。

画像クレジット:AWS

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWS CloudWatchにユーザーモニタリングとA/Bテスト機能追加

2009年に導入されたAmazon CloudWatchは、AWSの顧客が自分のクラウドの利用状況や、それに対する支出をモニタできるツールだ。ラスベガスで行われているクラウドの顧客のためのAWS re:Inventカンファレンスで同社は、このプロダクトの2つの強化機能を発表した。

Amazonは、CloudWatchが提供するデータのタイプを徐々に増やしてきた。そして米国時間11月29日、ユーザーのモニタリングを追加された。そのReal User Monitoring(RUM)機能でAWSの顧客は、いつデプロイの問題が起きるのかを理解し、顧客が実際にそれを感じる前に修正行為を行なう。

AmazonのJeff Bar(ジェフ・バー)氏はブログで次のように述べている。「Amazon CloudWatchのRUMは、この体験を見つけて理解し改善するためのインサイトを与えるメトリクスを、あなたが集めるのを助けます。自分のアプリケーションを登録し、JavaScriptのコード片を各ページのヘッダーに加えてデプロイするだけです」。

これは驚異的なイノベーションとは言い難く、AppDynamicsやNew Relicなどが何年も前からやっていたことだ。しかし、Amazonの提供物の多くに倣ってこれらもAWSの内部の顧客にフルコースの体験を提供し、特にこのようなモニタリングは、ユーザーのAWSアプリケーションがおかしくなりそうなときに、そのことを教える。

もう1つの新機能は、CloudWatch Evidentlyと呼ばれる新しい体験ツールで、デベロッパーがこの機能のフラグを立てると、AWS上で構築中のアプリケーションの中でA/Bテストができるようになる。ユーザー全員にアプリケーションのアップデートを一斉に提供するのではなく、一部のユーザーを対象にしてアップデートをテストし、ユーザーがこの新しいアプローチやデザインを選ぶと何か問題が起きないか、むしろデベロッパーは前もって知りたいだろう。

新しい機能を経験する人びとの数を制限するためには、コード中のフラグを立て、この機能のためのパラメータをセットする。しかもこの機能では、実験のもう1つの形式としてA/Bテストができる。これもやはりごく一部のユーザーに対してアプリケーションの機能をテストし、どの機能やデザインが気に入られたかを知ることができる。

これらのどれも新しいものではない。Split.ioなどはいろいろな機能フラグを管理できたし、またOptimizelyなどは、A/Bテストの高機能バージョンを開発した。

CloudWatch EvidentlyはすでにAmazonの9つのクラウドリージョンで。従量制の課金により利用できる。CloudWatch RUMは、集めるイベント10万件につき1ドル(約113円)で、10のリージョンで利用できる。

画像クレジット:SOPA Images/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AWS、エネルギー業界対象の「AWS Energy Competency Program」を発表、持続可能なエネルギーの未来への移行をナビゲート

Amazon(アマゾン)は米国時間11月30日、エネルギー業界に向けた専門的なソリューションを開発するAWSパートナーを正式に認定する新しいプログラムを発表した。この新しいAWS Energy Competency Program(AWSエナジーコンピテンシープログラム)は、より持続可能なエネルギーの未来への移行をナビゲートしながら、世界中のエネルギー生産者が最新の技術を用いてAWSを搭載したソリューションを構築・実装することを助けることができる技術的専門知識と顧客の成功をすでに実証している専門パートナーを特定するものだ。

現在、多くのAWSパートナーがエネルギー業界と連携し、石油・ガス資産の探査段階から集荷・加工・輸送・管理・保守に至るまでの運用管理や、再生可能・持続可能な分野での運用管理など、AWSテクノロジーの活用を支援している。これらの業界では現在、クラウドコンピューティング、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、機械学習(ML)などのソリューションの導入が加速しているとAmazonはいう。

新しいAWSエネルギーコンピテンシープログラムは、持続可能な再生可能エネルギー資産を含むポートフォリオの開発を支援できるパートナーを含め、世界のエネルギー生産者との連携に関して、特定の専門知識を持つAWSパートナーを業界がよりよく識別できるようにする。

このプログラムは、エネルギー生産者向けの新しいプログラムの開発を支援するためにAWSと協力した32のグローバルパートナーを含んでいる。このグループには、特化したソリューション分野、業界の垂直構造、またはワークロードを支援できるパートナーが含まれている。パートナーは、エネルギー業界特有のベストプラクティスに関連した厳格な技術検証を受けなければならないため、これは現在、AWSパートナーが達成できる最も厳しい指定の1つであると、Amazonは指摘している。

画像クレジット:Amazon

パートナーの1つであるSlalom(スラロム)は、北米のエネルギー企業であるTC Energy(TCエナジー)の4万4000kmにおよぶ天然ガスパイプラインの管理を支援している。TC EnergyはSlalomと協力して、顧客がガスのスケジューリングを最適化できるよう機械学習を利用したビジネスインテリジェンスアプリケーションを開発した。別のパートナーであるAIビデオ分析プロバイダーのUnleash Live(アンリーシュ・ライブ)は、風力発電所、ソーラーパーク、水力発電、天然ガスプロジェクトなどを運営するインダストリアル・エンジニアリング・ソリューション・プロバイダーのWorsley(ウォーズリー)を支援した。Worsleyは、Unleash Liveを利用して、ドローンとコンピュータビジョンを活用して検査を行っている。

その他のパートナーは上流、中流、下流、新エネルギー、基幹業務アプリケーション、ヘルス、安全、環境、データアナリティクスなどのソリューションの提供を支援できるとAmazonは述べている。現在、プログラムへの参加に関心のあるAWSパートナーは、AWS Service Partners(AWSサービスパートナー)とAWS Software Partners(AWSソフトウェアパートナー)の両方の検証チェックリストを見ることができる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

AWSが変化するデータを自動で更新できるData Exchange for APIsを公開

開発者は、他社のデータセットを利用して機械学習モデルを構築することがよくある。他社のデータセットを自分のモデルに追加するのだ。しかしデータは常に静的であるとは限らない。そのため、余分な作業ではあるが、何らかのパイプラインのようなものを構築して定期的にデータを集めることになる。

米国時間11月30日にラスベガスで開催されたAWS re:Inventで、AWSはAWS Data Exchange for APIsを発表した。これは変化する他社APIを自動で更新できる新しいツールで、更新の仕組みを構築する必要がなくなる。

AWSのAlex Casalboni(アレックス・カサルボニ)氏は同社プログの投稿で、APIを使うことによりデータサイエンティストはパイプラインがなくても株価のように頻繁に変化する情報をもとにして質問の答えを得られるようになると指摘している。APIが1つだけならこれでいいが、複数のAPIを使う場合はAPIに関する通信や認証、ガバナンスなど新たな問題が発生する。

AWS Data Exchange for APIsはこのような問題の解決に役立つ。カサルボニ氏はブログで「本日、AWS Data Exchange for APIsの公開を発表し、うれしく思っています。これはAWSのSDKを使って安定したアクセスで他社APIを見つけ、購読し、利用できる機能です。AWSネイティブの認証やガバナンスも一貫して利用できます」と述べている。

ここで重要なのは、今週発表された多くのツールと同様にこれもAWS独自のツールであるという点だ。アプリケーションやデータモデルをAWS上で構築しているなら、このツールでAWSのSDKにアクセスし、AWSの認証やガバナンスのツールを利用して、他社APIのアクセスと更新を自動化できる。

データプロバイダにもメリットがある。Data ExchangeのカタログにデータプロバイダのAPIが掲載されれば、多くの開発者の目に留まりデータソースを利用してもらえる。カサルボニ氏は「データプロバイダはOpenAPIの仕様でAWS Data ExchangeカタログにAPIを掲載し、Amazon API Gatewayのエンドポイントに配置することで、膨大な数のAWSのお客様にAPIを発見してもらえるようになります」と説明した。

Variety Business Intelligence、IMDb、Foursquareなど多くのプロバイダがData Exchangeでデータを提供している。ツールは開発者とAPIプロバイダの両方を対象に、米国時間11月30日から公開が開始されている。

画像クレジット:Blue Planet Studio / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

コンテナ化されたアプリをオンプレミスまたはクラウドで実行できるようにする新しいAWS Marketplaceオプション

コンテナが急増するにつれ、開発者はコンテナを使用してソフトウェアを配布するようになっている。だがオンプレミスかクラウドかの環境によって、ユーザーにはコンテナのインストールに関わる一連の課題が残される可能性がある。この問題を解決するために、AWSは米国時間11月30日、ラスベガスで開催中のAWS re:Inventで、AWS Marketplace for Containers Anywhere(AWSマーケットプレイス・フォー・コンテナズ・エニウェア)を発表した。

製品の名前はあまりクリエイティブではないかもしれないが、それは何をするものかを正確に説明している。開発側がコンテナをAWSのマーケットプレイスで提供すれば、ユーザーはそれをどこにでもデプロイできるのだ。ここでの狙いは、AWS Marketplace上で、コンテナ化されたアプリケーションを検索する手段を提供し、それらをサブスクライブして、任意の環境のKubernetes(クバネティス)クラスターに簡単にデプロイする方法を提供することだ。

AWSのChanny Yun(チャニー・ヤン)氏は、新機能を発表したブログ投稿で「このリリースによって、Amazon EKS Anywhereを使ったオンプレミス環境や、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC 2) やオンプレミス環境上でお客様ご自身で管理されているKubernetesクラスターに対して、サードパーティのKubernetesアプリケーションをデプロイできるようになりますので、最終的にどこにデプロイするかに関係なく、単一のカタログを使用してコンテナイメージを検索することができるようになります」と書いている。

ヤン氏が指摘するように、これにより、柔軟な請求オプション、アプリケーションのセキュリティスキャンが済んでいるという情報、管理の簡素化など、マーケットプレイスを使用する際のすべての利点がユーザーに提供される。なにより大きな利点の1つは、ライセンスを変更するだけでさまざまな環境に展開できる柔軟なライセンス方式だ。

またヤン氏は「この機能を使用してアプリケーションをサブスクライブすれば、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)が提供するHelm(ヘルム)チャートを、AWS上のISVのKubernetesクラスタにデプロイすることで、ご自身のKubernetesアプリケーションをAWSに移行できます」とも書いている。

AWSは、AWS Marketplace for Containers Anywhereが、AWS Marketplaceをサポートしているすべてのリージョンで利用できるようになったと発表した。

画像クレジット:Jason Alden/Bloomberg/Getty Images

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(文: Ron Miller、翻訳:sako)