マイクロソフトが自律システム向け機械教示サービス「Project Bonsai」をプレビュー公開

米国時間5月19日、Microsoft(マイクロソフト)は同社主催のBuild 2020で、新しいMachine Teaching(機械教示)サービス、Project Bonsai(ボンサイ)を発表した。現在パブリックプレビュー版が公開されている。

この名前に聞き覚えがあると思う人は、おそらくマイクロソフトがBonsaiという会社を買収したからだろう。2018年、機械学習に特化していたBonsaiは、シミュレーションツールに複数の機械学習技術を組み合わせることで、産業用制御システムに焦点を当てた汎用ディープ強化学習プラットフォームを作った。

Project Bonsaiもまた企業の自律機械の学習と管理のために同様の狙いを持っていることは容易に想像できるだろう。「Project Bonsaiを使えば、AIの専門知識を持たない特定分野の専門家が、最先端の知識を機械システムに追加できる」とマイクロソフトはリリース文で語っている。

「パブリックプレビュー版のProject Bonsaiは、Bonsai社の技術と、2019年のBuildとIgniteでプライベートプレビューを発表した自律システムをベースに開発されている」。

マイクロソフトによると、Project Bonsaiは顧客の自律システム開発を支援するための同社の長期的展望の第1弾にすぎないという。同社はMachine Learning(機械学習)と比較してMachine Teaching(機械教示)の優位性を強調し、他の手法よりブラックボックス的要素が少なく、期待どおりに動かない時にデベロッパーやエンジニアがデバッグしやすい点を指摘した。

Bonsaiの他にもマイクロソフトは、エンジニアやデベロッパーがリアル世界の制御システム開発の基本を学ぶためのオープンソースのバランシングロボットであるProject Moabを発表した。3本の腕で支えられた台の上にボールをバランスさせるようロボットに教えるというものだ。

ロボットは3Dプリントして作るか、2020年中に売り出させる完成品を買うことができる。MathWorks(マスワークス)が開発したシミュレーションがあるので、デベロッパーは今すぐ試してみることもできる。

「卵を立てるといった従来の方法では容易でなかった分野に今すぐ参入できる」とマイクロソフトのゼネラルマネージャーであるMark Hammond(マーク・ハモンド)氏はいう。「Project Moabの鍵は、エンジニアがいろいろな問題に挑戦し、ツールやシミュレーションモデルの使い方を学べるプラットフォームを提供することだ。ひとたび概念を理解すれば、他のまったく新しい分野に応用できる」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

学生が仮想1対1で専門家の助言を受けられるようにするBonsaiが約1.6億円を調達

このところ世界は、ますますリモートコラボレーションの技術に依存するようになってきている。投資家や起業家は、こうした行動の変化が仕事と教育の将来にどのように影響するかについて、より強い興味を持ち始めている。

画像クレジット:Paul Taylor / Getty Images

Bonsaiは、学生や駆け出しの専門家をその分野の専門家のメンターと仮想的に組み合わせる新しいオンラインプラットフォームだ。新規の資金を得て創立された。このスタートアップの創立者兼CEOであるPatrick Sullivan(パトリック・サリバン)氏は、これまでに知的財産管理の新興企業を2つ創立し1つはGoogle(グーグル)にもう1つはFacebook(フェイスブック)に売却した経歴を持つ。

「私は求職活動の根本的な問題は求人にあるのではないと見ています。求人は民主化されており、誰でもアクセス可能となっています。ただし、適切な情報や適切なガイダンスを備えたネットワークにアクセスできなければ、その入口を突破することができません」とサリバン氏はTechCrunchに語った。「特にGoogleのような会社に就職しようとする場合、ある種の科学的なアプローチが必要です」。

Bonsaiのプラットフォームは、基本的に1対1を指向している。サリバン氏は、マスタークラス風の1対多の教育システムにしようとはしていない。とはいえ、大学における講演者や教師との講義外での個人的な会話にはメリットがあると考えている。

Bonsaiは今のところ、ゆっくりと拡張していくことを目指している。このプラットフォームに参加している学生と駆け出しの専門家が、Bonsai側で適切なリソースのネットワークに確実に出会えるようにするためだ。Bonsaiチームは、これまでに100を超えるバーチャル会議を開催してきた。サリバン氏によれば、同社のサービスを委託アフィリエイトとして広めてくれるような、いくつかの大学と話し合っているという。

価格設定についてサリバン氏は、コンサルティングにかかる費用は平均で50ドル(約5300円)で、Bosaiの取り分は、その4分の1になると明かしている。

専門的な助言を提供する人たちのネットワークは、サリバン氏の個人的なつながりにかなり大きく依存している。同氏によると、今回のパンデミック危機が始まって以来、無償奉仕活動をしたいという問い合わせが殺到しているという。サービスにとって、お金を払う余裕がある人向けの有料サービスと、そうでない人向けの無料サービスのバランスをとることは重要だ。

「私たちは、他と同じ機会を得られないスラム街の子供たちに料金を請求したくはありません。しかし、裕福な環境にいる人は、そうした機会のために間違いなく喜んでお金を払ってくれるのです」とサリバンはいう。

Bonsaiのチームは米国時間4月28日に、グーグルとフェイスブック、コロンビア大学の首脳陣を含むエンジェル投資家のネットワークから、150万ドル(約1億6000万円)のプレシード資金を確保したと発表した。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Microsoftが強化学習のスタートアップBonsaiを買収して自律型システムの研究開発を推進

もしも、すべてのテクノロジー大企業が現時点で合意しているたったひとつのことがあるとするなら、それは、人工知能と機械学習が彼らの事業が今後進むべき道を指し示している、ということだ。いや、実際にMicrosoftは、バークリーのAIスタートアップBonsaiを買収しようとしている。大きなM社はこの小さなB社を、同社のAIへの取り組みの中心に据えるようだ。

Bonsaiは、強化学習(reinforcement learning)が専門だ。それは主にシミュレーションの分野で、一種の試行錯誤のようなやり方でシステムを教育する。この学習方法は、自律的なシステムを、特定のタスクが完全にできるまで訓練するために利用できる。Microsoftによると、この買収によって、同社がこれまでAzureのクラウドプラットホームでやっていた研究を、前進させることができる。

Microsoftの企業担当VP Gurdeep Pallが、発表声明の中で言っている: “AIを誰でも便利に利用できるようにするためには、開発の障害を取り除き、すべてのデベロッパーに力をつけ、機械学習のエキスパートでなくてもAIデベロッパーになることが重要だ。Bonsaiはそのために大きな進歩を成し遂げており、Microsoftはこの仕事をさらに前進させることに積極的に関わっていく”。

Microsoftは、この4歳のスタートアップを支援してきた複数の高名な企業のうちの一社だ。Crunchbaseによると、昨年はABB, Samsung, Siemensなどの助力で760万ドルのラウンドを調達し、総調達額が1360万ドルに達した。今回の買収事案は、Microsoftが最近演じた、コードホスティングツールGitHubの派手な買収劇別記事)に続くものだ。

Bonsaiの協同ファウンダー/CEO Mark Hammondは、ブログ記事でこう述べている: “私たちの前方には、インテリジェントで自律的なシステムを動かす人工知能を作って運用するために必要なツールと技術で、世界中の企業とデベロッパーに力をつけていく、大きな機会が開けている。そう感じるのは、私達だけではない。今日は、MicrosoftがBonsaiを買収して、この共通のビジョンの実現の加速に力を貸すことに、私たちは大いに勇気づけられている”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa