電子たばこの使用習慣データを収集するデバイス「PuffPacket」

電子たばこは論争の的になっている習慣だ。明らかにマイナス面がある。しかし、裏付けに乏しいがすばらしい禁煙補助品でもある。つまりどんな人が、いつ、どれくらい利用するのか、その他詳細を行動科学者がさらに把握するまで、電子たばこの使用は謎のままということになる。そこでPuffPacketの登場だ。

コーネル大学のエンジニアがデザインしたPuffPacket(パフパケット)は、電子たばこに取り付ける小さなデバイスで、使用を正確に測定し、後にユーザーや研究者が使用状況を確認できるよう情報をスマホのアプリに送信する。

一部の電子たばこデバイスには既に似たようなものがセットされている。カートリッジが少なくなっていることや、一定の使用量に達したことをユーザーに知らせるためだ。しかし一般に、電子たばこの習慣を研究するときは、専用のアプリではなくユーザーの自己申告に頼っている。

「電子たばこの使用習慣を継続して客観的に理解する手段がなく、PuffPacketの開発に至った。PuffPacketは電子たばこ使用の適切な測定、モニタリング、追跡、記録ができる。ユーザーの位置や行動のデータと自己申告から推論するものではない」と開発を主導した博士課程の学生Alexander Adams(アレクサンダー・アダムス)氏はコーネル大学のニュースリリースで述べた。

PuffPacketはマウスピースとヒーティング部分の間に取り付けるもので、さまざまな電子たばこデバイスで使える。ユーザーが息を吸うと電子たばこのサーキットがオンになるが、同時にPuffPacketもオンになる。ボルテージをチェックすることで、PuffPacketはどれくらいの液体が蒸発しているのかを把握でき、使用時間やタイミングといったよりシンプルなこともわかる。

ロケーションやアクティビティがいかに電子たばこの使用とつながっているのかを示すリアルデータの例。

データはBluetooth経由でスマホに送信される。そこにユーザーのロケーションや活動、その他のメタデータといった情報が加わる。これは午後ではなく午前中に歩いているときに、あるいは食事の後ではなくコーヒーの後に、または家よりもバーで頻繁に電子たばこを使用する、といった種のパターン特定につながる。おそらく(正当な許可があれば)特定のアプリの使用も追跡できる。Instagramと電子たばこ、 ゲームの後の一服など。

こうしたパターンの一部は明白かもしれないし、他のパターンはそうではないかもしれない。しかしいずれにしても使用についてユーザーに尋ねるよりリアルデータを入手するのに役立つ。ユーザーは自身の習慣について知らなかったり理解していなかったりするかもしれないし、あるいは認めようとするかもしれない。

「いつ、どこで、どんな行動を取りながらという要素の関連を調べることは中毒性を調べる上で重要だ。研究では、いつも通る道を遠ざけることができれば、習慣をなくせることが明らかになった」とアダム氏は話している。

人々が自発的に電子たばこのスティックにデバイスをくっつけて情報を共有するとは誰も考えていない。しかしオープンソースとして公開されるデザインは、研究者らがより本格的な研究を行うのに活用できる。PuffPacketについての詳細はここで閲覧できる。

<画像クレジット: Tegra Stone Nuess / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Colorが新型コロナ大量検査テクノロジーをオープンソース化、自社ラボも稼働へ

ヘルス・遺伝子テクノロジーのスタートアップColorは、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に対処するために重要な役割を果たそうとしている。3月31日に公開されたCEOのOthman Laraki(オスマン・ララキ)氏の書簡で、新型コロナウイルスの検査を大幅に拡充するためのColorの支援内容が詳しく説明されている

稼働が計画されている高スループットの検査ラボでは、結果を病院に報告するまでのターンアラウンドタイムを24時間以内として1日あたり最大1万件の検査を処理できるという。Colorは新型コロナウイルス拡大防止に最大限に役立てるために、この検査ラボの設計や検査プロトコルを含むテクノロジーの詳細をオープンソース化し、誰でも利用できるようにするという。これにより高速、大容量の検査施設が世界各地にオープンされることを期待している。

Color自身のラボはすでに準備をほぼ完了しており、ララキ氏によれば「ここ数週間で稼働を開始」できるという。Colorのチームは、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学が運営するBroad Institute、コーネル大学のWeill Cornell Medicineと協力して、現在標準的に利用されている手法よりも高効率で結果が得られるテクノロジーを開発した。

Colorの重要な強みは、自動化と必要な資材をすばやく調達するテクノロジーにある。 例えば検査に必要な試薬は多数のサプライチェーンから入手可能だ。これは米国だけでなく世界的に大規模な検査体制を構築する上で極めて重要な要素となる。つまり全員が同じテクノロジー、同じ処理プロセスを利用していれば早い段階で試薬などの供給においてボトルネックに直面することになるからだ。1日に数万の検査を処理できるテクノロジーがあっても、必須試薬の1つが他のすべてのラボでも必要とされている場合、たちまち入手困難に陥ってしまうだろう。

Colorは、他の2つの重要な分野でも新型コロナウイルス対策に取り組んでいる。 最前線で仕事をしている人々のための検査と結果判明後のフォローアップ処理だ。こうした人々は社会を機能させるために必須であるが高いリスクに直面しているため検査の必要性が高い。Colorでは政府や雇用主と連携し、病院内の検査、検査ラボのロジスティクス、患者と医師のコミュニケーションなどの改善に注力するために全社的に人員を再配置した。

多くの医師や医療関係者から検査後のワークフローに関する問題が報告されている。つまり検査結果を有効かつ効率的に利用する一貫したフォローアップ体制を構築することが非常に難しいという問題だ。Colorはこの解決にも取り組んでいる。例えば同社はこれまでの経験を活かして構築した独自のワークフローのプラットフォームを開放し、他の新型コロナウイルス検査ラボが無料で利用できるようにしている。

無料で利用できるリソースには、検査結果報告書、患者向けのガイドラインと指示、接触履歴アンケート、陽性と判定された患者に接触しウイルスに暴露された可能性がある人々に連絡する方法などが含まれている。

Colorの新型コロナウイルス対策事業の一部は個人及び組織の寄付によって支えられてきたという。同社では、新型コロナウイルス対策のプロジェクトやリソースに関連して有用な貢献ないしビジネスができると考えるならcovid-response@color.comに直接メールするよう呼びかけている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

コーネルの愉快なロボットは鳥肌をたてられる

コーネル大学の研究者は感情を皮膚の状態で表現できるロボットを開発した。このロボットは人間が触覚で状態を判別できるよう、各種の小さな突起を生じさせる。たとえば怖がると鳥肌を立てることができる。ロボティクスにおけるタッチI/Oシステムの研究のために開発されたプロトタイプはゴムの皮膚で包まれた笑顔がかわいらしいロボットだ。

このロボットは感情に基づく動物の反応の再現を試みたものだという。

Yuhan Hu、Zhengnan Zhao、Abheek Vimal、Guy Hoffmanらの研究者はロボットが人間とコミュニケーションする新しい方法を探っている。レポートによれば「人が鳥肌を立てる、イヌ、ネコ、トリが毛や羽を逆立てる、ヤマアラシがトゲを拡げる、フグが突起を生じさせる」などの反応を参考にしている。

IEEE Spectrumの記事によれば、「この研究ではロボットの有用性を高めるために心理学的に有効な非言語的コミュニケーションのチャンネルの拡大が図られている。 非言語的コミュニケーションの強化により、ロボットの機械らしさが軽減され、より親しみやすいものとなることが期待できる」という。

ロボットの左右に設けられたエラストマー製の「スキン」には複数のメカニズムが組み込まれ、コンピューターでコントロールされ、膨張、収縮によって異なった形状の突起が形成される。中央のロボットの顔部分の表情に合わせて「鳥肌」の種類が選ばれる。こうした複合効果によって人間がロボットの「感情」を適切に推定することを助ける。ロボットがやがて人類を支配するのかどうかよく知らないが、鳥肌の支配者というのも面白い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

今設計しているものの構造や形が目の前で3Dプリントで分かるプロトタイピングマシンをMITらが開発中

MITとコーネル大学の共同プロジェクトRobotic Modeling Assistant(RoMA)は、最新のさまざまなテクノロジーを組み合わせて、従来よりも良いプロトタイピングマシンを作ろうとしている。

上図のように拡張現実ヘッドセットと二つのコントローラー、そしてCADプログラムを使って、設計者は3Dモデルを作る。するとロボットアームが、自分に装着されている3Dプリンターからプラスチックを射出してスケルトンモデル(骨格モデル)を作っていく。

チームリーダーのHuaishu Pengはこう言う: “RoMAを使うと、現実世界の制約を早めに設計に反映できるから、形の良い、実際に手で触(さわ)れる工作物を設計段階で作れる。既存のオブジェクトから直接、設計を起こすこともできるから、単なる工作物でなく、インシトゥ(in-situ)な作り方もできる”。

Pengがアップロードしたビデオでは、このシステムの3Dプリントはまだかなり粗い。ふつうの3Dプリンターのようにプリントベッドなどかんじんの部品が固定されてなくて、自由に動くロボットアームの先端がプリンターだから、現状では細密な動きが難しそうだ。

でも、デスクトップの3Dプリンターで多く使われているFDM法に比べると、相当速い。だから、今設計中の物をリアルタイムで3Dスケッチしていくことも、究極には可能だろう。もうちょっと細かいコントロールができるようになると、3Doodlerのような3Dプリンティング・ペンが得られるだろう。

そのアームは設計者のアクションにリアルタイムで反応して動く。Pengは書いている、“設計者はいつでも、プラットホームのハンドルにさわってモデルのパーツを回転し、見たい部分を前面に出すことができる。ロボットアームは、ユーザーから離れて待機する。設計者がプリンティングプラットホームから退(しりぞ)くと、ロボットがプラットホームのコントロールを完全に握って、プリンティングのジョブを完了する”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

撮影用照明ドローン、MITとコーネル大で研究中

いったい空飛ぶクワッドコプターに出来ないことはあるのだろうか?MITおよびコーネル大学の研究者らは、空飛ぶ撮影用照明システムを作った。露出計、カメラフラッシュ、連続照明を備え、フォトグラファーはどんな角度からでも完璧なショットが撮れる。

ロボットは、ホバーリングしながら被写体の位置と撮影者の位置を考慮して、極めて厳密なライティングで被写体を照らすことによって、完璧なスナップショットを撮ることを目的にしている。

このシステムは、「rim width[リム幅]― 照らされた被写体の縁の理想的な幅」という考えに基づき、「動きのあるショットでも繊細なリムライティングを可能にする」。この照明効果は、写真ハウツーサイトによると、背面照明あるいはヘアーライトなどと呼ばれることもあり、被写体の後方から照明を当て、光の輪隔を作るものだ。

もちろん、いつでもリムライティングが欲しいわけではないので、もう少しバラエティーに富んだ写真を撮れるよう、ヘルパーロボットを訓練できるものと思いたい。これは、ロボット飛行体がいかに人間と一緒にスムーズに働けるかを示す、コンセプト証明でもある。

「苦労したのはUAV[無人飛行体]の非常に複雑な動きと、照明推定のフィードバックだった」と研究者のFrédo Durandは言った。「われわれはそこに力を注ぎ、ドローンが飛び続けるために必要な非常に高速な状態でも動作するように、またライダー[レーザー式レンジファンダー]や照明推定システムから来る情報を確実に処理できるようにした」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook