写真に写ってるものを音声で聞けるマイクロソフトのSeeing AIアプリ

Microsoft(マイクロソフト)のSeeing AIは、目の不自由な人が視覚データをオーディオに変換できるアプリだが、今回、便利な機能がひとつ増えた。ユーザーが、写真の中のオブジェクトや人間をタッチして調べることができるのだ。

それはもちろん、機械学習のオブジェクトや情景の認識機能を利用している。写真を撮ったり、ビューワーの中で開いたりしたら、その上のどこでもいいからタップするだけだ。

「この新しい機能でユーザーは、タッチ画面に表示されている画像を指でタップして、そこに写っているものやそれらの空間的関係の説明を聞くことができる」と、Seeing AIの主席開発者Saqib Shaikh氏がブログ記事でそう述べている。「このアプリは、人の肉体的な外見や彼らの気分も説明できる」。

顔認識機能もあるので、友だちの写真を撮ったら誰がどこで何をしているのか聞くことができる。その写真の中に犬がいることもわかる(こいつは重要だ!)。これは、下図に示すように、全画面的にはすでに実現していた。

でも今度からは、ユーザーがあちこちをタップして、どんなオブジェクトがどこにあるか知ることができる。それは新奇な機能というより、写真を見る際には本来とても重要なことだ。説明書にはないが、もっと細かいこと、たとえば前景に花があるとか、背景に映画のポスターがある、なども分かる。

しかもこのアプリはiPadをサポートするようになったので、アップルのタブレットがいろんなメディアや対話の主要なインタフェイスとして役に立つだろう。今回のアップデートでは、このアプリから好きなものを注文できるようになった。

Seeing AIは無料で、iOSデバイス用にここからダウンロードできる。

画像クレジット: Microsoft

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleマップ、 乗り換え案内に車椅子対応オプションを追加

Google マップは目的地までの道順のデータはかなり充実しているが、身体障害のある人たちにとっては事態は簡単ではない。駅によっては、車椅子にやさしくなかったり、エレベーターが壊れていたりする。最新のアップデートで追加されたオプションでは、車椅子の利用に配慮した経路を選ぶことだできる —— ただし、まだ始まったばかりの段階だ。

ロンドン、ニューヨーク、東京、メキシコシティ、ボストン、およびシドニーのユーザーは、経路のオプションで車椅子が利用可能かどうかを指定できる。乗り換え回数や最短距離を指定するのと同様で、さらに機能が追加される予定だ。

これは、障害者やベビーカーを使っているひと、あるいは重い荷物を持ち歩くひとたちが、便利になることは間違いない。

しかし地図というものは、Googleマップのように著しく詳細なものであっても、身体障害のある人たちにとって不可欠な情報が著しく欠けている。歩道の状態やグレード、ガードレールの切れ目、横断歩道とボタン、建物の車椅子用出入り口、などもっと多くの事柄を考慮した徒歩経路などを、世界一使われている地図プラットフォームなら取り入れてほしい。

作るのが可能であることはわかっている。何人もの学生が夏休みプロジェクトで作っているからだ。たとえばAccessMapは、手作りのデータと公開データを組み合わせることで、歩道が安全か、移動には危険がともなうかどうかをラベル付けする。現在はワシントン州シアトル限定だが(学生に全国対応は望めない)コンセプトは有望だ。

Googleには、膨大なリソースを少しでも投入して、マップのアクセシビリティー対応を改善してくれることを願っている。喜ぶひとはいくらでもいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

BlindPADのタブレットは突起の集合で情報を触覚的に表現し伝える、目の不自由な人だけでなく一般的な用途も

指先の操作だけで大量の情報にアクセスできるようになったことは、本当に素晴らしいけれども、でも文字通り自分の指先でしか情報にアクセスできない人たちはどう思っているだろう?。ここにご紹介する新しい画期的なタブレットは、磁力を利用して突起〔点字の‘点’に相当〕を並べ替え、地図などの画像情報も触覚に翻訳できる強力なツールになるかもしれない。

このまだ名前のないタブレットは、ヨーロッパのBlindPADプロジェクトの一環として過去数年間、進化し改良されてきた。その目的は、タッチスクリーンデバイスの安価でポータブルな代替機を作ることだ。開発は、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究者たちが担当している。

その最新のプロトタイプはやや厚いiPad miniぐらいの大きさで、巧妙なメカニズムで突起を上げ下げすることによって、画像や文字や点字を表す(点字用には大きすぎるかもしれない)。小さな突起には磁石がついていて、磁石はつねに二つのスチール層のどちらかにくっついている。電流を流すとコイルの力で層が切り替わる。eペーパーの画面と同じく、現在の形を保つのに電力を使わないから、とても効率的だ。

突起の反応はとてもはやいので、動きや振動でフィードバックを伝えられる。また、手による押し下げや滑らしも検出する。

しかし目的は、目の見えない人のためのKindleではない。点字ディスプレイはもっと密度が必要だから、Blitabが使ってるような、もっと違う触覚ディスプレイが必要だ。BlindPADの突起の数は横12行、縦16列だ。それらを、“taxelだ”(tactile element, 触覚的成分)と呼ぶ人もいる。言葉で説明するより、見た方がよく分かるだろう:

EPFLのHerbert Sheaは、こう説明している: “人びとは点字ディスプレイを読めるし、近くの障害物を白い杖で見つける。われわれの安上がりなタブレットは、グラフィック情報をリアルタイムで提供するから、部屋や道路の配置を事前に知ることができる”。

たとえば安全な横断歩道が角道のどこにあるかを示したり、二つのドアのどっちが正しいロッカールームかを教えたりできる。また健常者と一緒にグラフや幾何学の問題を考えることもできる。昨年の研究では、このタブレットと紙の上の盛り上がった点が、児童にほぼ同じ学習効果をもたらした。

われわれの結果は、プログラマブルな地図が教育やリハビリの現場でグラフィカルなコンテンツを表示する効果的な方法であることを、示している。従来の、紙を使う方法と変わらないし、柔軟性や多用性はもっと優れている。

BlindPADの突起タブレットはまだ開発途上だが、研究を始めてからかなりの年月が経っている。現状はかなり効率的で、ワイヤレス、そしてある程度はポータブルだ。

Sheaによると、このテクニックは、手で押す手袋のような形で健常者も利用でき、同じような空間的情報や、仮想現実における触覚的フィードバックを与えたりできるだろう。

今週デンバーで行われるACM CHIカンファレンスで、チームの最新の結果が展示される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

3Dプリンター製のオーダーメイド車椅子がロンドンのデザインウィークに登場

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あらゆる移動手段プラットフォームの中でも、車椅子はかなり固定的だ。鉄とアルミニウムのフレームがレザーかビニールのクッションを支え、様々な設定は必ずしも個々のユーザーの条件に合っていない。ロンドンのデザイン会社が2年をかけて解決策を作った。利用者の体型とニーズに正確にフィットする3Dプリント車椅子だ。

その車椅子、GO(別の3Dプリント車椅子プロジェクトであるHU-GOと混同しないように)は、ロンドンのデザイン会社、Layerのディレクター、Benjamin Hubertが考案した。

「これは、殆ど見過ごされてきた家内工業のようなもの」とHubertがTechCrunchのインタビューに答えて言った。「確立しつつある技術や価格の下がった技術を使うことによって、様々な怪我や障害、体型に合わせるための問題を解決する機会が数多く生まれる」。

GOは、単に3Dプリント可能な包活的デザインではない。Layerは、3Dデザイン会社のMaterialiseと組み、一から十までカスタマイズできるプロセスを開発した。ユーザーの体を実際にスキャンし、ニーズを評価する。その情報は仕様に沿って作られる一体型シートへと合成される。

例えば、背中の中位置に脊椎損傷のある人は、追加の支持と高い背もたれが必要で、片足を失くした人には、重心のずれを考慮する必要がある。あつらえのシートは、椅子の上で長い長い時間を過ごす人たちに、より快適な体験をもたらすに違いない。

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「これは非常に繊細なユーザー基盤のニーズに答えるために、非常に微妙な調整が必要になるこのような製品にとって、非常に有効な解決策だ」

シート(大型の装置でプリントされる ― デスクトッププリンターでは作れない)とフットレスト(耐久性のために焼結アルミで作られる)だけがカスタムデザインされる。それ以外は市販のパートを使うことによってコストを下げ修理を容易にしている。

GO-Gloves-2同社は車椅子利用者と会話をして、得られたフィードバックに基づいてデザインしている。GOは、車椅子バスケットボールにはまだ対応できていないが(「あの椅子は戦車のようなもの」とHubertは言う)、それでもプレーヤーには助言を求めている。

ヘビーユーザーから一つ改善点が示唆された。通常車輪のハンドリムは円柱状の金属製だ ― シンプルで耐久性があるが、手で把むのには最適ではなく、エルゴノミクスの悪さからストレス傷害を起こすことがある。Layerは「BMXバイクのグリップ」並みの生地でリムを覆い、これを使うための専用グローブも作った。

製造プロセスは、生体計測が終った後、ユーザーがアプリでオプションパーツやプリントカラーを選ぶことで完了する。Layerは、注文から2週間で車椅子を出荷できると言っている。他のカスタマイズ方式よりはるかに待ち時間が短い。

現在GOはまだプロトタイプ段階で、今月ロンドンで行われるClerkenwellデザイン週間に展示される。Hubertによると、デザインはほぼ完了しているが、現在国民健康サービスと、ヨーロッパのFDA相当機関による監査を受けている。しかし、医療提供者や車椅子メーカー、スポーツ会社等は既にこのデザインに興味を持っている、と彼は付け加えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook