Flipkart創業者の印フィンテック企業Navi Technologiesが518.5億円のIPOを申請

顧客に保険やローン商品を提供するフィンテックスタートアップのNavi Technologies(ナビ・テクノロジー)が、4億4000万ドル(約518億5000万円)のIPOを申請した。40歳の創業者Sachin Bansal(サチン・バンサル)氏は、かつてインド国内でeコマースの波を引き起こして財を成した人物だ。その彼が再び大胆な挑戦を始めた。

Navi Technologiesの新規株式公開はすべて新規株式で構成される予定であり、同社が土曜日(インド時間3月12日)に現地規制当局に提出した目論見書草案の中では、IPO前の募集を検討する可能性があると述べられている。

このIPOは、この数カ月ハイテク株あるいは他のほとんどの株が急落しているときに行われた。2021年上場したZomato(ゾマト)、Paytm(ペイティーエム)、Nykaa(ニーカ)、PolicyBazaar(ポリシーバザー)を含むすべてのハイテクスタートアップは、ここ数週間、最低株価で取引されている。

しかし、1年以上前から新規株式公開を視野に入れているNavi Technologiesにとっては、会社を公開することへの切迫感もある。この件に詳しい2人の情報筋によると、スタートアップが銀行になるためのライセンスを確保できなかったために、ソフトバンクや他の投資家から40億ドル(約4713億6000万円)以上の評価額で資金を調達しようとした直近の試みが失敗したのだという。

2018年に創業されたNaviは、融資の世界でデジタル個人ローン、住宅ローン、不動産担保融資を提供している。また医療保険とパッシブ・ファンドを中心としたデジタル資産管理を提供している。これまでのところ、このスタートアップへは、ほぼ全額をバンサル氏が出資している。

10年以上前にFlipkart(フリップカート)を共同創業し、Walmartへの売却前に同社を去った億万長者のバンサル氏とNaviは、これまでほとんど脚光を浴びることはなかった。目論見書(PDF)では、Naviのさまざまな事業や財務の健全性が初めて伝えられている。

画像クレジット:Navi

目論見書の中で同社は「社内にNBFC(非銀行金融機関)部門を持ち、AI/ML(人工知能/機械学習)ベースのアンダーライティングとデジタル限定のD2Cアプローチにより、Naviは融資商品の調達、アンダーライティングから回収までのコントロールを行い、顧客にスムーズな体験を提供することができています」と説明している。

Naviは、テクノロジーを使って、これまでサービスを提供できなかった顧客にサービスを提供しているという。スタートアップは「迅速な融資実行、低金利でのデジタル・ホーム・ローンの提供、不正およびクレジット・デフォルト・リスクの防止に対するテクノロジーの活用、データ・アナリティクスを使用して融資アルゴリズムをトレーニングして、魅力的な価格設定と優れたローン・アカウント管理を提供し、デジタルとフィールドの両者を活用する」ことを保証している。

Naviの提供する価値(画像クレジット:Navi)

21年度の連結利益が920万ドル(約10億8000万円)、売上は1780万ドル(約21億円)だったこのスタートアップは、個人向けローンと個人向け健康保険を、それぞれ4.5分以内と2.5分以内でサインアップできると述べている。

Naviの個人向けローン事業は、開始以来21カ月で、インドの郵便番号の84%に相当する地域で48万1000人以上の顧客にサービスを提供し、最長84カ月の期間で最大200万インドルピー(307万6000円)までを融資している。これらのローンの融資単位は665ドル(約7万8000円)だ。

「2021年12月31日現在、販売された健康保険契約の61.17%が、Navi Appで人間の介在なしに承認されています。さらに、チャットベースのインターフェースを開発し、お客様が購入なさるまでの間、シームレスにサービスを受けられるようにしています」とスタートアップは付け加えている。

「毎月一定額を保険料としてお支払いいただくEMI(均等月額割賦払い)方式を採用したことで、魅力的でお求めやすい価格帯の商品を提供することができました。2021年12月31日までの9カ月間における当社のGWPは、6億6700万インドルピー(約10億3000万円)で、そのうち6326万インドルピー(約9723万8000円)はリテール医療保険セグメントからのものでした。2021年12月31日までの9カ月間で、当社は合計22万491件の保険契約を発行し、そのうち2万7800件はリテール医療保険でした」。

画像クレジット:MONEY SHARMA / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

Anakinの価格設定ツールでeコマースは競争力を強化

Y Combinatorの新卒であるSaaSのAnakinが、このほど200万ドルを調達して、eコマースの企業が競合他社の価格設定をリアルタイムで見られるソフトウェアの、開発を継続していけることになった。

Mohit Prateek氏とRashmi Bala氏は昨年9月に同社を創業し、3月に公式にローンチして、eコマースのストアやブランドが、他の企業の価格設定や商品やトレンドのデータを利用して自社の売上を伸ばすサービスを提供している。社名はもちろん「スター・ウォーズ」のキャラクターだが、CEOのPrateek氏によると、あの映画の活力よりもむしろ、知名度に魅力を感じて社名に選んだ。

両人はそれまで、FlipkartやTruefitPriorのような、人工知能とeコマースが交差するような企業にいた。

とくにPrateek氏は、Flipkartにいたときにたまたま、さまざまな地理的場所や流通チャネルにまたがってSKUを最適化する大きなチームで、価格設定の問題に取り組んでいた。その後彼は退社して別のスタートアップを作ったが、いろんなeコマース企業から価格設定に関する質問を受け続けていた。そんな電話の数があまりにも増えたとき彼は、前に一緒に仕事をしていたBela氏に会い、会社を作らないか、と持ちかけた。

Prateek氏は語る: 「顧客は、会社を作る前からいたんだ。彼らに売るようなプロダクトはなかったけど、彼らに助言をする私がいた」。

彼らの技術はこうだ: A社がトマトに値段を付けて売っていると、ほかのみんなが自分たちのトマトを同じように値付けをして、顧客がA社ではなく自分のところから買うように仕向ける。

ベストプライスを勘で決めるのではなく、Anakinは競合他社の何百万ものSKUの価格設定の管理を店頭在庫のデータなどを利用しながら行い、そこから得られたインサイトをリアルタイムで提供して、リテイラーが売上を増やせるようにする。Anakinのユーザー企業は、平均して12%、売上を増やしている。

Anakinは最初、食料品店を対象にし、今ではフードデリバリーやライドシェア、旅行などに手を広げている。顧客の名は明かさないが、中には大企業もいるそうだ。

シードラウンドの前に同社はすでに黒字だった。そのラウンドは必要なかったが、現状で二人だけのAnakinをはやく大きくし、対象国も業種ももっと広げたい、と考えている。

現在同社は、サンフランシスコとシンガポールとインドにオフィスがある。今回の資金は、Y CombinatorとHOF Capital、Austen Allred、ACE & Company、Integrity, Pioneer Fund、そして一群のエンジェル投資家たちから確保した。

Prateek氏によると、今Anakinの売上は毎月24%伸びていて、10か国あまりで利用されている。今回の投資は社員増と対象国の拡大に当てる予定だ。また、製品開発や対象カテゴリーの多様化、そしてセルフサービスツールの制作も行いたい。

「創業はCOVIDのさなかだったから、閉鎖になるのが怖かった。でも、家族経営のような店でも、うちのサービスを使えばAmazonと互角に競合できるんだ」、と彼は言っている。

関連記事: Who’s building the grocery store of the future?(未訳、有料記事)

(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Anakin/Anakinの共同創業者Mohit Prateek氏とRashmi Bala氏

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インドのSnapchatユーザーが1億人突破、eコマース大手FlipkartやAndroidスマホベンダーなどと提携へ

Snap(スナップ)は、現地時間10月27日、インドにおける月間アクティブユーザー数が1億人に達したことを発表した。これは、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)が5億人以上の人々にサービスを提供している重要な海外市場での快挙だ。同社は世界第2位のインターネット市場へのさらなる進出に向けて、Androidスマートフォンのベンダー、エンターテインメントTVチャンネルのSony(ソニー)およびZee TV(ズィーTV)、eコマース大手のFlipkart(フリップカート)など、さまざまな企業との契約を進めている。


Snapの共同創業者兼CEOのEvan Spiegel (エヴァン・シュピーゲル)氏は、同日に開催されたバーチャルイベントで、インド進出に貢献した同社のローカライゼーションの取り組みを紹介しながら、この節目を語った。この節目と今日の数多くのパートナーシップは、2~3年前までは存在感や関連性が限定的だったインド市場に対するSnapの戦略における大きな転換を示している(Snapは全世界で5億人以上の月間アクティブユーザーを抱えている)。

同社は近年、Androidアプリを改良したことでインドに進出した。インドでは、スマートフォンの98%以上がAndroidだ。Snapは、Durgesh Kaushik(ドゥルゲシュ・カウシク)氏をインド事業の責任者に任命したことで、現地のクリエイターや企業との関係を発展・改善させることにも大きく貢献したと、多くの人たちが最近の四半期にTechCrunchに語っている。

「私たちは、インドのコミュニティ向けにSnapchatをローカライズするために、多大な投資を行ってきました。文化的に関連のあるコンテンツを追加し、非常に活発でクリエイティブな現地のクリエイターコミュニティを開発し、現地の製品、マーケティング施策、言語サポートに投資してきました」と、イベントでシュピーゲル氏は述べている。

「インドのスナップチャッターにローカライズされた体験を提供するためのこうした取り組みの結果、現在、インドのスナップチャッターは毎月1億人に達しています。今後も、インドの文化や能力を称えることに重点を置きながら、インドのクリエイターのコミュニティを強化し、成長させ、リソースを提供していきます」と述べている。

Snapは、インド向けの2回目の年次イベントで、インドでの成長を加速させるために締結した数々のパートナーシップを発表した。同社は、AR体験を開発するために、インドのeコマース大手Flipkartと「戦略的パートナーシップ」を結んだ。同社によると、eコマース企業とこの種のパートナーシップを結ぶのは初めてのことだという。

「このパートナーシップにより、買い物客はSnapchat ARを通じてショッピングやeコマースを利用する体験を始められ、自宅にいながら簡単にショッピングを進めることができるようになります!」と同社は述べている。

Snapは、インドのSugar Cosmetics(シュガー・コスメティックス)およびMyGlamm(マイグラム)とも提携しており、両社は今後、SnapのARショッピングベータプログラムを採用して、バーチャルな美容・化粧品の試着体験を顧客に提供する予定だ。

「拡張現実は、インドにおけるSnapchatのサービスの中核をなすものです。文化的な関連性を保ち続け、ユニークなAR体験を提供するための当社の取り組みは、1億人のインドのスナップチャッターの共感を得ています。私たちは、ワークショップやレンズソン(ARレンズを用いたインドのクリエイター向けハッカソン)を通じて、学生や若者に必要なARスキルを身につけてもらうことを目指しています。私たちは、インドでより多くのローカルクリエイターと提携し、スナップチャッターが利用できるすばらしい体験の数を増やすことを目指しています。Snapでの私たちの狙いは、ARをこれまで以上に身近で便利で実用的なものにすることです」。とSnapの共同創業者であり、最高技術責任者であるBobby Murphy(ボビー・マーフィー)氏は、イベントで述べている。

もう1つのインド初の取り組みとして、Snapは、インド国内で1億台以上のデバイスをインストールしているAndroidの主要なOEMメーカー(Androidベンダー)と提携したとのことだ。これらの企業は、自社のデバイスにSnapchatアプリをプリインストールする。また、Samsung(サムスン)との提携により、SnapのAR機能付きレンズの一部をSamsungのインド向けスマートフォン「Mシリーズ」に搭載する「ファン・モード」を提供する。

また、Anushka Sen(アヌシュカ・セン)氏とVir Das(ヴィル・ダス)氏が出演する「What’s On My Plate」や「The Most Epic Max Show」など、多数のクリエイターショーを公開し、来年はインド全体で120エピソードの新コンテンツを委託すると述べている。

同社は「ディスカバリー」セクションがインドで非常に人気があると述べている。このセクションでは、ニュース、ファッション、エンターテインメント、コメディーなど、インドのローカルチャンネル70社のコンテンツを紹介している。現在、Sony Entertainment TelevisionやZee TVなどの大手エンターテインメントチャンネルとの提携を発表し、さらに多くの厳選されたコンテンツをアプリに掲載する予定だという。

また、インド事業では、あらゆる規模の企業に対応できるよう、収益化機能を急速に拡大している。2020年の新規広告主数は70%増加し、Spotify(スポティファイ)、Swiggy(スウィッギー)、LG、OnePlus(ワンプラス)、ITC Yippee Noodles(ITCイッペイ・ヌードル)などの企業と提携している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

印EC大手Flipkartが評価額4兆円超で新たに約3973億円調達、ソフトバンクが3年ぶりに株主に復帰

Flipkart(フリップカート)はインド時間7月12日、36億ドル(約3973億円)の資金を新たに調達したと発表した。ポストマネー評価額は376億ドル(約4兆1492億円)。今ラウンドは、インドのECコングロマリットであるFlipkartが、早ければ2022年初めに上場するためのプレIPOラウンドであろうと見られている。

今回の資金調達はインドのスタートアップとしては最大規模のもので、GIC、カナダ年金投資委員会(CPP Investments)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)、Walmart(ウォルマート)の他、政府系ファンドであるDisruptA、Qatar Investment Authority(カタール投資庁)、Khazanah Nasional Berhad(カザナ・ナショナル)、Tencent(テンセント)、Willoughby Capital、Antara Capital、Franklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)、Tiger Global(タイガー・グローバル)が出資している。

12日の投資は、ソフトバンクがFlipkartの株主として復帰したことを意味する。ベンガルールを拠点とする同社が、2018年に220億ドル(約2兆4277億円)の評価額でWalmartに過半数の株式を売却した際にエグジットしたソフトバンクは、今回の新ラウンドで約5億ドル(約552億円)を再投資した。

「Flipkartでは、インドの消費者インターネットエコシステムを変革し、お客様にアクセスと価値を提供することに取り組んでいます。世界有数の投資家による今回の投資は、インドにおけるデジタルコマースの将来性と、この可能性をすべてのステークホルダーのために最大化するFlipkartの能力に対する信頼を反映したものです」と、Flipkart GroupのKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)CEOは声明の中で述べた。

「消費者の方々にサービスを提供すると同時に、キラナ(伝統的零細商店)を含む、何百万ものインドの中小企業の成長を加速させることにも注力していきます。新しいカテゴリーへの投資やインド発のテクノロジーを活用してコンシューマーエクスペリエンスを変革し、世界クラスのサプライチェーンを開発していきます」とも。

新たな資金調達の一環として、Flipkartは従業員に対し、彼らが保有する8050万ドル(約89億円)相当のストックオプションを売却する選択肢も与えると、クリシュナムルシー氏は12日に社内に伝えた。

Flipkartはもともと2021年初めに資金調達のために市場に出ており、当初は10億ドル(約1104億円)程度の調達を目指していたとTechCrunchは最初に報じている。

ベンガルールに本社を置くFlipkartは、インドでAmazon(アマゾン)と互角に競合している。米国のeコマースグループである後者は、南アジア市場に65億ドル(約7175億円)以上を投資している。

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両社とも、実店舗が小売売上の大半を占めているインドで、積極的に事業を拡大することに苦戦している。また、インドの新しい電子商取引ルールによって、大きな打撃を受けることが予想される。

インド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテイル)と、Google(グーグル)とFacebook(フェイスブック)が支援するJio Platforms(インド最大のテレコム事業者)との共同事業であるeコマースプラットフォーム「JioMart(ジオマート)」は、2020年、全国200以上の都市や町でサービスを開始した。

​​世界で最も急速に成長しているeコマース市場の1つであるインドは、初めてインターネットを利用するユーザーがオンラインで買い物をするようになるにつれて、今後さらに成長することが期待されている。Bain & Companyの推計によると、インドのeコマース市場は、2025年までに3億人以上の買い物客を獲得すると見込まれている。それまでにこれらの買い物客は、オンラインプラットフォームで1000億ドル(約11兆円)以上の価値のある商品を購入しているだろうと、同社は予測している。

近年、FlipkartとAmazonは、インドでの事業拡大のためにさまざまな賭けを行ってきた。両社ともヒンディー語への対応を開始し(Flipkartはさらにいくつかのインドの言語を導入した)、地元の商店との提携を展開している。

Walmart International(ウォルマート・インターナショナル)の社長兼CEOであるJudith McKenna(ジュディス・マッケナ)氏は声明でこう述べた。「Flipkartは、その成長と可能性がインド全体を反映しているすばらしいビジネスです。だからこそ、私たちは2018年に投資を行い、現在も投資を続けているのです」。

Flipkartは、ファッションeコマースのMyntraを含む同社のサービス全体で、国内に3億5000万人以上の登録ユーザーを抱えているという。「Flipkartの物流・サプライチェーン部門であるEkartは、10万人以上の従業員を擁し、インド国内のアドレス可能なピンコードの90%以上に配送を行っており、戦略的な倉庫インフラへの投資と相まって、グループの中核的な強みとなっています。Flipkartはソーシャルコマースの分野に進出し始めており、最近、地元の起業家を奨励するShopsyの立ち上げを発表しました」と同社は述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkartインドeコマースソフトバンク・ビジョン・ファンド資金調達

画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インド政府が「不正行為の蔓延」の苦情に対処するためより厳しい電子商取引ルールを提案

インドは現地時間6月21日に提案したeコマースプラットフォーム上のフラッシュセールに対する禁止令により、そのアフィリエイトをセラー(売り手)として掲げることができなくなる。これにより、この南アジア(インド)の市場はルールがより厳しくなり、AmazonやWalmartのFlipkartの、世界で2番目に大きい市場における今後の見通しが危うくなった。

インドの消費者問題・食料・公共配給省が公開したその提案が登場した「今」というタイミングは、実店舗で営業しているインドの小売業者が不平の声を高め、AmazonとFlipkartのこの国における拡張策にともなう操業が公正でない、とする懸念を表明した時期と一致する。

同省は提案の中で、eコマース企業がインドでフラッシュセールを開催することを認めるべきではないとしている。このフラッシュセールは、米国のブラックフライデーやサイバーマンデーのようなもので、インドの祝祭日シーズンに非常に人気がある。フラッシュセールの期間中は、ブランドが商品を大幅に値引きするため、eコマース企業は伝統的に顧客の注文が最も急増する。

「一部のeコマース事業者は、『バック・トゥ・バック』や『フラッシュ』販売に手を染め、消費者の選択を制限している。これは、プラットフォーム上で販売するある販売者が在庫や注文の履行能力を持たず、プラットフォームが管理する別の販売者に『フラッシュまたはバック・トゥー・バック』注文を出すだけのものだ。このような行為は、公平な競争を妨げ、最終的には消費者の選択を制限し、価格を上昇させることになる」と同省は声明で述べている。

またインド政府は最近のITに関するルールで、コンプライアンス最高責任者(CCO)の任命と、1日24時間1週7日の警察との連絡担当を置くことを提案している。もちろんその下にはコンプライアンス担当の社員たちがいて注文のコンプライアンスを確保し、また苦情受付担当部門が、eコマースプラットフォームに対する消費者の苦情に対処しなければならない。

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「これにより、法律および規則の規定の効果的な遵守が確保され、電子商取引事業者の苦情処理メカニズムが強化される」とした上で、新たな提案では、すべてのeコマース事業者に対して「身元確認のため、または施行中の法律に基づく犯罪の防止、発見、調査、起訴のため、あるいはサイバーセキュリティインシデントのため」に、72時間以内に政府機関に情報を提供するよう求めていると同省は述べている。

新たな提案では、AmazonやFlipkartといったeコマース企業が自社 / プライベートブランドを運営することも禁止にする可能性がある。新提案では、eコマース企業に対し、顧客に直接販売する販売業者として、自社のプラットフォーム上に関連当事者や関連当事者を一切掲載しないようにすることを求めている。「eコマースの主体が自ら行うことができないようなことが、関連当事者や関連企業によって行われないようにする」と提案書には書かれている。

インドでは、eコマース企業が在庫を持ったり、商品を直接消費者に販売したりすることは認められていない。これを回避するために、eコマース企業は在庫を保有する現地企業との合弁事業を行っている。

インドの事業に65億ドル(約7200億円)以上を投資しているAmazonは、提案されているポリシーを検討していると述べたが、Walmartが160億ドル(約1兆7700億円)で手に入れたFlipkartからはコメントがない。

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現地時間6月21日の法廷審問において、Flipkartの弁護士は、販売者が製品価格を下げた場合、プラットフォーム上で販売者が商品価格を下げれば料金を下げると提案することには何の問題もないと述べた。

消費者問題・食料・公共配給省は「電子商取引のエコシステムにおいて、不正行為や不公正な取引方法が蔓延しているとの苦情が複数寄せられている」ことを受けて、今回の提案を行い、今後15日間にわたって業界からのフィードバックを求める予定であると述べている。

さらに新たな提案では、eコマース企業に対して、プラットフォーム上の商品を原産国に基づいて識別する仕組みを導入し、「国産品への公平な機会を確保する」ための代替案を出すよう求めている。

この発表とほぼ同時期にFlipkartは、30億ドル(約3300億円)という巨額な調達と上場の検討を進めている。AmazonとFlipkartの両社はまた、インドにおける反トラストの調査の対象になっている。

これはインド政府が近年行った2度目の大規模な修正提案だ。2018年にもインド政府はeコマース企業に対するより厳しいルールを提案し、それが2019年に施行されたときには、AmazonとFlipkartは大急ぎで数十万の商品を彼らの店頭から外し、アフィリエイト企業への投資をさらに間接的にした。

本日の提案の数カ月前には、ロイター通信が企業の文書を引用して、Amazonはインドで少数のセラーを特に優遇し、それらのセラーとの結びつきを不正に表現し、彼らを使ってこの国の外国投資の規則を迂回していると報じた

この時点で、インドの数千万にもおよぶ実店舗の業界団体であるThe Confederation of All India Tradersがインド政府に、インドにおけるAmazonの全面的禁止を陳情した。これとほぼ同時期に、インド商業省はこの問題を検討中だと発表している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:インドeコマースフラッシュセールAmazonFlipkartWalmart

画像クレジット:NOAH SEELAM/AFP Photo/Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

インドのEC大手Flipkartがオンライン旅行会社のCleartripを買収へ

インドのeコマース大手Flipkart(フリップカート)は現地時間4月15日、旅行・宿泊予約サイトのCleartrip(クリアトリップ)の買収で合意したことを発表した。Walmart(ウォルマート)傘下のeコマース会社は、世界で2番目に大きいインターネット市場での存在を拡大しようとしている。

この契約で、設立14年で買収前に約7400万ドル(約80億6000万円)調達していたCleartripの評価額が約4000万ドル(約43億5000万円)だったと本件に詳しい情報筋がTechCrunchに話した。この破格な売値は、他の多くの旅行業者同様、世界的パンデミックによる人々の旅行意欲の激減によってCleartripが多大な影響を受けたためだ。

インドの報道機関MoneyControlは、両社が2021年3月からこの交渉を進めていたことを報じている

CleartripはFlipkartに4000万ドルで売られる前に約7400万ドルを調達した(データ出典:Tracxn)

CleartripはインドにおけるAmazon(アマゾン)のパートナーでもあり、米eコマースグループのチケット予約機能を担っている。この2社は2019年に契約を結んだ。TechCrunchは今週Amazonに、パートナー企業がFlipkartと買収交渉していることについて、知っていたのか、不満はないのか尋ねた。現在インドの疎遠なパートナーであるFuture GroupのReliance Retailへの身売りを阻止する法廷闘争中の同社からは、返答がなかった。


今後もCleartripは独立ブランドとして運営を続け、全従業員の雇用も維持しつつ、Flipkartと密接に協力して「顧客が簡単に旅行できるテクノロジー・ソリューションを開発」していく。

Flipkartは1年以上前から、マーケットプレイスに航空券購入機能を導入する準備をしていると噂されていた。

関連記事:Amazonに大打撃を与えるインドRelianceによるFutureの資産買収を同国証券取引所が承認

「Flipkart Groupはデジタルコマースを通じて顧客体験を変えていくことを約束します。Cleartripは多くのお客様にとって旅行の代名詞であり、当社が多様化して新しい分野での成長を目指す中で、この投資は当社のお客様に向けた多様なサービスをさらに強化するものです。Flipkart Groupは業界の深い知識と技術力をもつCleartripチームを歓迎し、一致協力してお客様にいっそう意味のある価値と旅行体験を届けることを楽しみにしています」とFlipkart GroupのCEOであるKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)氏が声明で述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkartインド買収旅行Amazon

画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

印eコマース大手Flipkartが2030年までに2.5万台以上のEVを同国で導入

Walmart(ウォルマート)が所有するインドのeコマース大手Flipkart(フリップカート)はインド時間2月24日、今後10年間で電気自動車(EV)への100%移行を達成するために、2030年までにサプライチェーンに2万5000台以上の電気自動車を配備すると発表した。

バンガロールに本社を置く同社は、国中でファースト&ラストマイルデリバリーを担う配達車両を製造するため、Hero Electric(ヒーローエレクトリック)、Mahindra Electric(マヒンドラ・エレクトリック)、Piaggio(ピアッジオ)などの大手EVメーカーと提携したと述べた。

この発表は、ライバルのAmazon(アマゾン)がインドで「100台近くの」電動三輪車を開発・導入するためにMahindra Electricと提携したと述べた翌日のことだ。米国のeコマース最大手である同社は2020年、2025年までにインド国内で1万台の電気自動車を導入する目標を発表した。

Flipkartは、同社の電気自動車には二輪車、三輪車、四輪車が含まれる予定で、車両はすべてインドで設計され組み立てられると述べている。同社によると、すでにデリー、バンガロール、プネー、ハイデラバード、コルカタ、グワーハーティーなどインド国内の「複数の場所」で電動二輪車と電動三輪車の配備を開始しているという。

近年、インド政府は同国内のガソリン車やディーゼル車を環境に優しい電気自動車に置き換えることを推し進めている。2019年にロイターが報じたところによると、インド政府はOla(オラ)やUber(ウーバー)などの配車サービス企業に対し、2026年4月までに車両の40%を電動に転換するよう命じる計画を立てているという。

FlipkartのEkartとMarketplace担当SVPであるAmitesh Jha(アミテス・ジャ)氏は声明の中で「物流車両の電動化は、Flipkartのより大きな持続可能性の目標の重要な部分であり、Climate GroupのEV100イニシアチブに対する当社のコミットメントと一致しています」と述べている。

「2030年までに物流車両を完全に電動化するというこの道のりの中では、必要とされるインフラの成長を支援しながら、現地の大手企業と協力して電気自動車を調達し、展開していきます。当社は、ビジネスと持続可能性の両方の目標を達成する上での電動モビリティの重要性を理解しており、国内での電気自動車の普及拡大に向けて道を切り開くことに尽力する所存です」と同氏は付け加えた。

同社は過去1年間、充電事業者、スキル開発機関、アグリゲーター、オリジナル機器メーカーを横断したエコシステムパートナーのネットワーク構築に取り組んできたと述べている。

2021年中に上場を予定している同社は、電気自動車のフリートに投入される3つのモデルを特定した。1回の充電で最大150km(93.2マイル)の航続距離を実現するHero Electric社のNyxシリーズ、「550kg(1212.5ポンド)のクラス最高の積載量」を特徴とするMahindra Electric社のTreo Zor、そしてPiaggio社のApe’ E Xtra FXの3車種である。

関連記事:アマゾンがRivian製電動バンを使った荷物配達テストをLAで開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkartインド電気自動車物流eコマース

画像クレジット:Amarjeet Kumar Singh / Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Flipkartがインドの5000店舗の小売店と提携し特典プログラム強化、支払いにも使える「SuperCoin Pay」発表

Flipkart(フリップカート)はインド時間1月18日、顧客が国内の多数の店舗で利用できるSuperCoin Pay(スーパーコイン・ペイ)をローンチした。同時にこのWalmart(ウォルマート)が所有する電子商取引の巨人は、世界第2位のインターネット市場でのユーザーベースを獲得し維持するために特典プログラムを強化した。

バンガロールを本拠地とする同社は、インド全土に広がるTimesPoints(タイムズポイント)、Peter England(ピーター・イングランド)、Cafe Coffee Day(カフェ・コーヒー・デイ)、Flying Machine(フライング・マシン)を含む5000以上の小売店と提携し、その顧客に対して「より大きな価値と選択肢」を与える、SuperCoin Rewardsという名の、Flipkart特典プログラム上での支払いに利用可能な仕組みを発表した。Flipkartの顧客は、その電子商取引プラットフォーム上で買い物をすると、SuperCoinを獲得することができる。

Flipkartによれば店舗で買い物をする際に、顧客はSuperCoinを使って請求額の全額を支払うことが可能になるという。そして従来の特典プログラムは、顧客を自身のプラットフォームに囲い込み、特典ポイントを自由に使うことを難しくしていたため、集客に苦労していたのだと指摘している。

同社の小売パートナーはファッション、食料品、食品 / 飲料、旅行、健康、ウェルネスなど、幅広いカテゴリーで事業を展開している。これらの小売パートナーはQRコードを提供し、Flipkartの顧客が特典ポイント(SuperCoin)を使って簡単に支払いができるようにする。

この動きは、インドの巨大な電子商取引企業たちが、国内の実店舗やデジタル店舗と積極的に提携していることに起因している。Amazon(アマゾン)も最近では、たとえばUrban Company(アーバン・カンパニー)、Domino’s(ドミノ)、BigBazaar(ビッグバザール)、More(モア)、Oyo Rooms(オヨ・ルームズ)、Licious(リシウス)、BookMyShow(ブックマイショウ)、Swiggy(スイギー)、RedBus(レッドバス)などで買い物をした際に、Amazon Payの顧客が利用できるクーポンや割引を提供するといった、提供の幅を広げている。

「オンラインショッピングとオフラインショッピングの境界線はますます曖昧になってきています。私たちの狙いは、どこで買い物をするにしても、消費者のショッピング体験をより実りあるものにすることです」と声明で語るのは、Flipkartの「成長と収益」担当副社長のPrakash Sikaria(プラカシュ・シカリア)氏だ。

「SuperCoinプログラムに参加することで、当社のパートナーは、真に統合された特典プログラムを通じて、Flipkartの3億人の顧客基盤の恩恵を享受することができるのです」と同氏は付け加えている。

Flipkartによれば、プラットフォーム上で、これまでに顧客が獲得したSuperCoinは10億以上だという。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Flipkartインド

画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch

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(翻訳:sako)