データの利用や管理でメインフレームとクラウドを橋渡しするModel9

イスラエルでメインフレームを扱っていたグループが起業したModel9は、メインフレームコンピューターとクラウドの間でデータを転送するサービスだ。同社は米国時間2月900万ドル(約98700万円)のシリーズA調達を発表した。

Intel Capitalがこのラウンドをリードし、StageOneやNorth First Ventures、Glenrock Israelなどの既存の投資家が参加した。同社のこれまでの調達総額は、1300万ドル(約14億2500万円)近くになる。

実は、大きな銀行や保険会社、航空会社、大型リテイラーなど世界最大級の企業は、まだメインフレームを使っている。これらの企業は、毎日の大量のトランザクション処理のために、そのがっしりとしたマシンを必要としているが、そのままでは貴重なデータを現代的なデータ分析にかけることが難しい。その難問をModel9が解決する。

Model9のCEOで共同創業者のGil Peleg(ギル・プレグ氏によると、同社の技術はメインフレームのユーザーがデータをクラウドやそのほかのオンプレミスのストレージに持ち込むことを助ける。「メインフレームのデータはプロプライエタリなストレージに閉じ込められていて、急速に進化し変化しているクラウドの世界で起きていることにまったくアクセスできない。そこで、私たちの特許を取った技術が、メインフレームが直接、クラウドや、メインフレームではない分散ストレージシステムにデータをリードライトできるようにする」と同氏は説明する。

重要なユースケースがいくつかあり、例えばそんなストレージやクラウドが使えるとテープによる高価なバックアップがいらないので、事故からのリカバリーに利用できる。また、データをクラウドに送れれば、現代的なデータ分析を適用できる。それは前には不可能だったことだ。

同社のソリューションは、AWSやGCP(Google Cloud Platform)、Microsoft Azure、IBMのクラウドサービスなどと互換性がある。またEMC、Nutanix、NetApp、などのオンプレミスのストレージソリューションも使える。それにより同社の顧客は、本格的なハイブリッドクラウドを構築できる。クラウドは、プライベートクラウドでもパブリッククラウドでもどちらでもいい。

同氏は「理想は顧客がハイブリッドクラウドのトポロジーをデプロイして、両方の世界の利点を享受できることだ。メインフレームには、信頼性とセキュリティの面で強みがあり、クラウドはスケールと毎日急激に増加するデータを管理できるし、事故時のリカバリーやデータの管理とアナリティクスなど、現代的なテクノロジーがある」と語る。

同社は2016年に設立され、ソリューションの開発に2年を要した。現在の同社はメインフレームを使っている大企業数社を顧客にしている。同氏によると、今回得られた資金は営業とマーケティングを拡充してこのソリューションの市場を広げることに当てたいという。

関連記事:IBMのメインフレーム事業は健在、新機種z15を発表

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API管理サービスのApigeeもハイブリッドのバスに乗り込んできた

今年のGoogle Cloud Nextは、ハイブリッド環境のサポートが大きなテーマだった。だから、同社が2016年に2億6500万ドルで買収したAPI企業Apigeeもまさに、その機に乗ろうとしている。米国時間4月9日、Apigeeはハイブリッド環境向けのプロダクトApigee Hybridのベータを発表した。

長年Oracleにいて最近Google Cloudに来たAmit Zavery氏とNandan Sridhar氏が、共著のブログ記事でこの新製品を説明している。「それはAPI管理プラットホームであるApigeeの新たなデプロイメントオプションであり、それによりユーザーはランタイムをどこででもホストできる。自分のデータセンターでもよいし、あるいはパブリックなクラウドのどれかでもいい」。

今朝Googleが発表したハイブリッド環境管理サービスAnthosと同様に、こちらはAPIをどこで動かしても単一の方法で管理しよう、というものだ(Anthos参考記事12)。

Zavery氏らのブログ記事は、次のように述べている。「Apigee Hybridによって、すべての環境にまたがる単一のそして完全なAPI管理ソリューションが得られる。ユーザーはAPIとそれらが露出するデータをコントロールでき、企業内のすべてのAPIに対する統一的な戦略を確保できる」。

この発表は、多様な環境から成る顧客のコンピューティングシステムをひとつの全体としてサポートしようとするGoogleの全体的な戦略の一環だ。そういう混成環境のことを、昨今はハイブリッドクラウドと呼ぶことが多い。今日のクラウドネイティブの世界では、この考え方は、ユーザーのデプロイメントをそれらがある場所にとらわれずに管理するための、単一のファブリックを提供することに通ずる。

このApigee Hybridも、そんな考え方の延長であり、しかもそれは今やコンテナ化とクラウドネイティブコンピューティングの最前線に位置するオープンソースツールのKubernetesを開発したGoogleにふさわしいやり方だ。ハイブリッドだから純粋にクラウドネイティブではないが、その精神は引き継いでおり、コンピューティング全般に対するGoogle Cloudのアプローチの視界にはしっかりと含まれている。だからこそ、それは、今年このカンファレンスで定義されようとしているのだ。

関連記事: GoogleAPI開発の上場企業、Apigee62500万ドルで買収へ

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PivotalのサーバーレスパッケージPivotal Function Serviceはマルチクラウド+オンプレミスのハイブリッド対応

Pivotalはエンタープライズのデベロッパーのためにオープンソースのツールを作る企業だが、これまではなぜかサーバーレス方面の部位が欠けていた。しかし本日(米国時間12/7)からそれが変わり、Pivotal Function Serviceと呼ばれるプロダクトがアルファでローンチした。

Pivotal Function Service”は、Kubernetesベースの、マルチクラウドのファンクションサービスだ。この新しいサービスを発表するブログ記事によるとそれは、「あらゆるクラウド上のすべてのワークロードを単一のプラットホームで支える」というPivotalのビジョンの一翼を担うことになる。

Pivotalのサーバーレスで、オープンソースであること以外におもしろいのは、クラウドネイティブでオンプレミスでもクラウドでも使えることだ。そのためのKubernetesベースでもある。しかしそれは、控えめに言っても、ふつうではない。

これまでのやり方では、AmazonやGoogle、Microsoftなどの大手クラウドプロバイダーが、あなたが必要とするインフラストラクチャを尋ね、そしてその会話が終われば、あなたはその後インフラストラクチャのことをまったく考えなくてよい。計算とストレージとメモリに関することはクラウドプロバイダーが扱い、あなたはファンクションを動かすだけで、ほかにやることはない。

Pivotalはこれと同じことを、どのクラウドサービスでもできるようにする。またそれを、オンプレミスでもできるようにする。奇妙に感じる人もいるかもしれないが、PivotalのOnsi Fakhouriによれば、顧客はオンプレミスでもクラウドでも同じ能力を求めている。“サーバーレスの重要な価値として、インフラ(サーバーなど)の稼働状況を気にすることがゼロになる、とよく言われるが、でもオンプレミスでサーバーレスプログラミングをいろいろ探求してみたいという顧客も、ときどきいる”、と彼は言う。ただしもちろん、サーバーレスのプログラムでそんなことをやりたければ、十分なリソースを確保しなければならない。

この新しいパッケージには、ファンクションを作ってデプロイして管理するための重要な部位がいくつか揃っている。ネイティブなイベント機能により、リッチなイベントトリガーを構築でき、必要な機能を何でも呼び出せる。しかもそれらの機能が、Kubernetesベースの環境に収まっている。企業がハイブリッド方式を選んで、オンプレミスとクラウドの両方にまたがるイベントをシームレスに管理できるためには、このことがとりわけ重要だ。

Pivotalのやり方のアドバンテージは、それがどんなクラウドでもオープンなプロダクトとして動くことだ。これに対してAmazonやGoogle、Microsoftなどのサービスは、それぞれ彼らのクラウドでしか動かない。オープンソースのFunction as a ServiceをやるのはPivotalが初めてではないが、同社はそれを、もっと使いやすい形で提供しようとしている。

サーバーレスは、仕事をするサーバーがないという意味ではない。むしろそれは、デベロッパーがサーバーを特定しなくてもよい、必要なインフラを整えるのはクラウドプロバイダーがやる、という意味だ。しかしオンプレミスのシナリオでは、ITがそれらのリソースを揃えなければならない。

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AWSのクラウドをそのままオンプレミスのデータセンターに持ち込むAWS Outposts

AWSはつねに純粋なクラウドベンダーだったが、ときにはハイブリッドにも目を向け、そしてこれからはそれを全面的にサポートする気だ。今日同社はVMwareと共に、AWSをデータセンターに持ち込むためのオプションを発表した。

えっ?企業のデータセンターにAWS?…そう、そのとおり。これからは、あなたの会社のデータセンターにAWSを置ける。AWSのハードウェアを使用し、設計もAmazon本体のAWSとまったく同じになる。そのために、AWS Outpostsの二つのプロダクトを利用する。

二つとは、「VMware Cloud on AWS Outposts」と「AWS Outposts」だ。最初のは、VMwareのコントロールパネルを使う。そして後者は、AWSのクラウドで使われているのと同じAWS APIを使って計算処理やストレージをオンプレミスで動かす。

実際にre:InventのステージにはVMwareのCEO Pat GelsingerとAWSのCEO Andy Jassyが一緒に立って、共同発表を行った。両社はかなり前から協働して、AWSのクラウドへVMwareを持ち込む作業を続けていた。しかし今回の発表ではそれが逆になり、AWSのクラウドをオンプレミスに持ち込んでVMwareと併用する。どちらの場合も、AWSはそのハードウェアをユーザーに売り、お望みならインストールもするし、メンテナンスも担当する。

これは、クラウドのビジョンをひたすら追うAWSにとって、後れていた分野だ。データセンターに戻るなんて! でも近年の暗黙の了解としては、近未来の顧客は両方の場所での運用を望むのだ。

この発表は、同社のクラウドネイティブ的ビジョンを拡張するものでもある。月曜日(米国時間11/26)に同社は、Transit Gatewaysを発表したが、それは、クラウドやオンプレミスなど、いろんなところにあるネットワークリソースを一元的に管理する仕組みだ。

そして今回AWSは、そのクラウドをオンプレミスに持ち込む。それは、MicrosoftやCanonical、Oracleなどなどが前からやっていたことだ。

なお、今日の発表は公開プレビューであり、本番のリリースは来年後半になるようだ。

more AWS re:Invent 2018 coverage

〔outpost, 前進基地。Amazonにとっての前進基地だ。〕

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ハイブリッドクラウドの管理サービスを提供するNutanixがリソース予測管理ツールなどを導入

Nutanixは2009年にストレージ企業として誕生したが、つねにコンピューティングの世界に対する広い視野を忘れなかった。社長のSudeesh Nairによると、ストレージでスタートしたのも、当時はレガシーのストレージがデータセンターの変化を阻んでいたからだ。今日(米国時間6/28)同社は、その最初のビジョンを超えた新たな一歩を踏み出し、ハイブリッドクラウドのためのより大きなオペレーティングシステムの一部になる、と同社が見なす二つの新しい製品を導入した。

その最初の製品は、災害復旧プロダクトXi Cloudだ。といってもNairによるとそれは、ファイル構造を別の場所へコピーするふつうの復旧サービスではなく、ファイルやライセンスなどあらゆるものを、適切なIPアドレスへコピーする。もし災害にやられても、スイッチを入れるだけですべてが再び正常に動き出す。そのときの必要なコンピューティングパワーは、Nutanixが提供する。

典型的な災害として、2012年のハリケーン・サンディが挙げられる。そのときはニューヨークとニュージャージーのデータセンターが水没した。しかしXiがあれば、企業はほんの数分でシステムを再稼働できただろう、とNairは言う。
 
結局はクラウドサービスのようだけど、Amazonとどこが違うのか? Nairはこう説明する: “XiはあくまでもNutanixのスタックであり、それを顧客がレンタルするのだ。パブリッククラウドのように聞こえるかもしれないが、Amazonと競合する気はない。うちに、そんな力はない。われわれが提供するサービスは、顧客が保有ないしレンタルするインフラストラクチャ上で、完全に不可視だ(存在を意識しない)”。

同社が今日導入するもうひとつのプロダクトは、Nutanix Calmという名前で、同社が昨年買収したCalm.ioがそのベースだ。このサービスは、ユーザーの典型的な利用パターンに基づいて、今後必要になるクラウドリソースを予測する。今日(こんにち)のパブリッククラウドツールに欠けている管理機能を提供してリソースのコントロールを可能にする、とNairは説明する。

これらのツールはいずれも、同社があえて‘ハイブリッドアーキテクチャのためのオペレーティングシステム’と呼んでいる幅広い機能集合の一環だ。“そのスタック全体がオーナーはうちだから、管理もうちなりにエレガントなやり方でできる”、と彼は語る。

彼はパブリッククラウドのパワーを認めており、彼らと戦う気はない。彼は、別の立ち位置にいる。“オンプレミスの体験がパブリッククラウドに比べて相当悪ければ、単純にそっちへ行けばよい。しかしその前に問うべきは、今保有ないしレンタルしているインフラストラクチャ上のまあまあの体験を、もっと良い体験にすることはできないのか?、という問いだ”。

一部のリソースをパブリッククラウドに置き、残りをオンプレミスに置く、ハイブリッド形式は今後も存続する、とNutanixは信じている。そして当分のあいだそうであるのなら、その環境をできるかぎり効率化したいというニーズも必ずある。

ハイブリッドクラウドアーキテクチャの管理という、本質的に複雑な課題を、企業が意識せずにすむようになれば、これからの新しいことにも取り組めるだろう。だからNutanixが今日導入したプロダクトも、彼らにとって、何かもっと大きなことのスタートになりえるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft、Azureクラウドへの移行を助けるツールを各種発表

MicrosoftはAzureの最初期からエンタープライズ向けのハイブリッド・クラウドに力を入れてきた。これは企業がクラウド・サービスを利用しながら並行して自社のデータセンターでもソフトウェアを動かす環境を指す。Microsoftがマーケティングを行っている企業の80%は現在でもクラウド移行にあたってハイブリッド・アプローチを希望しているという。そこで今日(米国時間4/12)、Microsoftは企業がクラウドに移行することを助ける各種のツールを発表した。

こうしたツールの中でももっとも重要なのは、Cloud Migration Assessment〔クラウド移行アセスメント〕だ。Microsoftは企業の既存のITインフラをスキャンし、各種サービスをAzureへ移行するコスト(およびクラウド化によって削減できるコスト)を見積もりしてくれる。

Azureのハイブリッド・サービスを利用するユーザーはまたWindows Serverのライセンス料金の割引を受けることができる。Azure Hybrid Use Benefit ではWindows Serverが最大40%割引となるのでユーザーとしてミッションの一部をAzureクラウドに移行することが非常に魅力的となる。

またAzure Site Recoveryツールもアップデートを受けた。このサービスはエンタープライズの事故復旧を助けるものだが、同時に既存のバーチャル・マシンをAzureに移行するツールとしても利用できる。利用者にはMarquette UniversityやUnited Airlines (UAがアプリケーションを自社サーバーから無理やりAzure移そうしているのかどうかは不明だが)のような大きな組織が含まれる。今日のアップデートでAzure Hybrid Use Benefitがスタートしたが、同時に発表されたバーチャル・マシンをAzureに移行することを助ける各種の機能が利用可能になるのは数週間後の予定。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AWSはVMwareとのパートナーシップでさらにリッチになる、ハイブリッドに本格進出

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VMwareは今年これまでに、MicrosoftGoogleIBMなどとパートナーして、ハイブリッドクラウド路線を強化してきたが、しかしなんと言っても、最大の話題になったのは、今週結ばれたAWSとのパートナーシップだ。

クラウドインフラストラクチャ(IaaS)の市場は現在、AWSのシェアが約1/3、残りがその他、という構造だ。Microsoftが約10%で次位につけている。上述のように、VMwareはメジャーな選手たちの多くと契約を交わしてきたが、AWSとの提携はクラウド市場でAWSがさらに力をつけることになる、という意味でも重要だ。

これまでのSE/ITベンダの多くが、MicrosoftやIBMと組んでハイブリッド方式を推進してきた。それは、大企業はレガシーのハードウェアやソフトウェアを多く抱えているから、外部クラウドへの完全な移行は無理、という理屈からだ。彼らの顧客ベースの現状を見るかぎり、それも当然と言える。

一方AWSは、未来はクラウドにあると主張し、顧客の選り好みはしないけれど、クラウドへ移行する企業や、最初からクラウドの企業を重視してきた。AWSはこのような、クラウド(パブリッククラウド)優先の姿勢を貫いて、今年は115億ドルの売上を達成した

しかしVMwareは、大手ITベンダーたちとの戦略的パートナーシップを重ねつつも、クラウド市場では苦戦していた。VMwareは、ほとんどすべてのデータセンターで使われていることを、誇りにしている。サーバーの仮想化といえば、今も今後もVMwareだ。しかしそれは、データセンターが主役の世界でうまくいっても、世界は今急速に変わりつつある。

VMwareがやってきたのは、単一のサーバーを複数の仮想マシンに分割して、リソースの利用効率を大幅に上げることだった。サーバーが高価だった2000年代の初期には、効率化が絶対的な目標であるITにとって、VMwareはとてもグレートな技術だった。

そんな状況を、クラウドは完全に変えた。仮想マシンはクラウド上にあるので、ユーザー企業はつねに、必要最小限のリソースだけを使えばよい。費用も単純に、使用するリソースの量に比例する。計算機資源を必要に応じて柔軟に増減できるこの方式は、データセンターモデルとVMwareが持っていたアドバンテージを、消し去った。

サーバー効率化の旗手だったVMwareの仮想マシンは、ハードウェアの量や性能によって増設に限界がある。しかもハードウェアとしてのサーバーは、簡単には増設できない。どの企業にも厳しい調達手順があるから、買って設置して動くようになるまで、数週間とか数か月かかる。しかしクラウドなら、必要になったその日に仮想マシンの新しいインスタンスを立ち上げられる。しかも、多くの場合、自動的に。

実際にはVMwareは、2010年ごろにクラウドを試行したことがある。その初期的なPaaSの試行はVMforceと呼ばれ、Salesforceが使う予定だった。そのころ同社は、パートナーシップにも色気を示し、Googleと組むことによって、新興勢力のMicrosoft Azureに対抗しようとした

同社は2013年にもハイブリッドクラウドをトライし、vCloud Hybrid Serviceというものを立ち上げた。オープンソースのプライベートクラウドプラットホームCloudFoundryも最初は同社が立ち上げ、その後Pivotalに移籍した。PivotalはEMC, VMwareおよびGEから2012年にスピンアウトした企業だ

しかし、AWS, Google, MicrosoftそしてIBMとの競合の中では、これらの試みはどれも成功せず、VMwareは群れを抜け出すことができなかった。そして、今日に行き着く。同社はハイブリッドモデルに新しいやり方で再び挑戦し、かつてのコンペティターたちと今や必死でパートナーしようとしている。

AWSとのパートナーシップがこれまでのパートナーシップと違うのは、AWSが市場のトップ企業であり、何度も失敗してきたVMwareのクラウドビジネスを、そしておそらくVMwareのビジネスの全体を、救出できることだ。

AWSとしては、これまで同社では影が薄かったハイブリッドクラウドに本格的に手を出せる。そうなるとMicrosoftやIBMの主力市場にも接近でき、マーケットシェアをさらに伸ばせるかもしれない。

人びとが騒ぐのは、これがVMwareにとってずば抜けて大きなパートナーシップであり、そしてAWSにとっては、そう、お金持ちがさらにお金持ちになれる路線だからだ。競合他社は、自分たちのテリトリーにAWSが侵入してきたと感じて、かなりナーバスになっているだろう。しかもよく見ると、その馬にはVMwareも乗っているではないか!

vmw

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VMwareがついにクラウドサービスを提供、しかもAWSとのパートナーシップのもとで

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AmazonのAWS部門とVMwareが今日(米国時間10/13)晩(おそ)くサンフランシスコでパートナーシップを発表する。しかしVMwareが誤って、今日の発表声明をポストしたために、今日の午後を待たなくても、内容が分かってしまった〔下にその英文の全文〕。

AWSとしては、エンタープライズの顧客獲得でなお一層優位に立ちたい。一方VMwareは、仮想マシン技術におけるリーダーシップを失いたくない。そこでVMwareとAWSは、VMwareのソフトウェア定義データセンターのソフトウェアを、‘VMware Cloud on AWS’という呼び名で、AWSへ持ち込むのだ。

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これにより、VMwareのインフラストラクチャソフトウェア、vSphere, VSAN, NSXなどがAWS上で動くことになる。そのサービスは現在、テクノロジープレビューの段階で、2017年の初頭には招待制のベータへ移行する。ベータの終了は、2017年半ばを予定している。

サービスの運用と販売とサポートはAWSではなくVMwareが行うが、ストレージ、データベース、アナリティクスなどの周辺的サービスはAWSを利用する。

発表声明の中でAWSのCEO Andy Jassyはこう述べている: “顧客の要望でつねに多いのが、既存のデータセンターへの投資とAWSを、より容易に両立併用したい、というものだ。多くの企業がすでにVMwareを使って仮想化を行っているが、このたびVMware Cloud on AWSが提供されることによって初めて、既存のVMwareツールをAWS上で使うことにより、一貫性があってシームレスなハイブリッドIT環境を運用できる。そのためのカスタムハードウェアの購入や、ソフトウェアのリライト、運用モデルの変更などは、いっさい必要ない”。

今日の発表イベントで両社は、初期の顧客を数社紹介した。その中にはWestern DigitalやSyscoがいる。

両社は、これがあくまでも共同で構築したサービスだ、と強調し、“両社からの技術、運用、および営業の各面における大きな投資の成果だ”、という。それはAWSが用意し、“この目的のために特製した”、専用のインフラの上で動く。VMwareのCEO Pat Gelsingerも今日、このサービスの構築における両社の緊密な協働を強調し、これがVMwareのメインのパブリッククラウドソリューションになる、と持ち上げた。

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VMwareのMark Lohmeyerは、今日の発表声明でこう書いている: “現在はテクノロジープレビューであるVMware Cloud on AWSは、VMwareのエンタープライズ級のソフトウェア定義データセンターのソフトウェアをAWSのクラウドに載せ、顧客がvSphereベースのプライベート/パブリック/ハイブリッドの多様なクラウド環境を横断して、どんなアプリケーションでも動かせるようにする。それをVMwareがオンデマンドの柔軟性に富むスケーラブルなサービスとして運用、管理、および販売し、併せて顧客は、デベロッパーツールやアナリティクス、データベースなど、AWSのサービスを利用できる”。(この発表文は、その後削除されている〔後述〕。)

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企業が自前のデータセンターとパブリックなクラウドサービスの両方を利用する、いわゆる“ハイブリッドクラウド”を、MicrosoftやIBMなどは重視しているが、Amazonはその市場をほとんど無視してきた。

VMwareはこれまで、企業のオンプレミスのデータセンターの多くを支配してきたが、それらの企業のハイブリッド指向を支えるパブリッククラウドサービスが自分にはない。一方AWSは、そのサービスのオンプレミスバージョンを提供していない。この二つの企業がタッグを組むのは、きわめて理にかなっている。

VMwareも発表声明の中で、このパートナーシップが可能にするハイブリッド方式を強調し、“データセンターとAWSのクラウド両者間における、VMの完全な互換性と、ワークロードの全面的なポータビリティを実現する”、というメリットを述べている。

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なお、AWSはすでに、仮想マシンを管理するためのVMware vCenterの部分的サポートを提供している。そのおかげでvCenterのアドミンはかなり前から、VMwareの仮想マシンを管理するときと同じソフトウェアを使って、AWS EC2のクラウドコンピューティングインスタンスを管理できている。既存の仮想マシンをEC2に移動させることが比較的容易なのは、このサービスがあるおかげでもある。

今日の発表に先立つ一連のメールでIBMは、VMwareとIBMはすでにチームを組んでおり、そのパートナーシップは2月に発表した、と述べている。しかし内容豊富なのは、今回のAWSとのパートナーシップだろう。

VMwareがブログで勇み足した発表はいったん削除されたが、今日の午後、AWSのプレスカンファレンスがスタートすれば再掲されるだろう。以下が、そのブログ記事の全文だ:

〔以下、英文ママ(主要な概要は上記記事で紹介されている)〕

By Mark Lohmeyer, Vice President, Products, Cloud Platform Business Unit, VMware
Today, VMware and AWS are announcing a strategic partnership that brings the two leaders in Enterprise IT together to deliver a vSphere-based cloud service running on AWS. This service will make it easier for customers to run any application, using a set of familiar software and tools, in a consistent hybrid cloud environment.

The Power of VMware on AWS

Currently in Technology Preview, VMware Cloud on AWS, will bring VMware’s enterprise class Software-Defined Data Center software to the AWS cloud, and will enable customers to run any application across vSphere-based private, public and hybrid cloud environments. It will be operated, managed and sold by VMware as an on-demand, elastically scalable service and customers will be able to leverage AWS services such as developer tools, analytics, databases, and more.
This jointly architected service represents a significant investment in engineering, operations, support and sales resources from both companies. Designed to deliver a great customer experience, the service will be optimized to run on dedicated AWS infrastructure purpose-built for this offering. It will deliver the power of VMware’s SDDC infrastructure software across compute, network, and storage (with vSphere, VSAN, and NSX) while providing access to advanced AWS services, backed by an integrated customer support experience. Invite-only betas are expected to start in the beginning of 2017 with availability expected to be in the mid-2017 time-frame.

Customer Benefits

Customers can realize significant benefits from this service that combines the best of VMware and AWS, including:
  • Best-in-class Hybrid Cloud Capabilities: Enterprise class application performance, reliability, availability and security with the best-in-class VMware technologies, all optimized to run on AWS, the leading public cloud provider.
  • Operationally consistent with vSphere: With VMware Cloud on AWS, your private data center integrated with the AWS public cloud can be operated using the same vCenter UIs, APIs and CLIs you already know. There’s nothing new to learn, and with vCenter Enhanced Linked Mode, you will have a single pane of glass for managing on-premises and VMware Cloud resources on AWS.
  • Operated and supported by VMware: The service will be operated, sold and supported by VMware. All software components of the service will be fully certified and supported by VMware.
  • Seamless integration with AWS Services: Virtual Machines running in this environment will have access to leverage AWS’s broad set of cloud-based services including storage, database, analytics and more. This will enable a new set of solutions only possible with VMware environments co-existing on the same infrastructure as AWS cloud-based services.
  • Seamless workload portability: Full VM compatibility and total workload portability between the datacenter and the AWS cloud. No complex and time consuming application re-platforming is required. Whether you want to use the cloud as your disaster recovery site, migrate a whole data center, or simply burst to the cloud – you can be confident that your applications will just work.
  • Elastically scalable: The service will let you scale capacity according to your needs. You can scale capacity up and down by adding or removing hosts.
  • No patching or upgrades: The service will remove the burden of managing the software patch, update and upgrade lifecycle for the user. Operating “as a service” means that VMware will take responsibility for ensuring that your environment is always up to date. This means more time to focus on what matters to your business.
  • Subscription-based consumption: Customers will be able to purchase dedicated clusters that combine VMware software and AWS infrastructure, either on-demand or as a subscription service.
If you would like to learn more, please check out additional details at
If you are interested in applying for the beta, please fill out this interest form.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

IBM、InterConnectカンファレンスで野心的なハイブリッド・クラウド戦略を発表

IBMは、ラスベガスで今日(米国時間2/23)開幕したInterConnectカンファレンスで、ハイブリッド・クラウド推進のための新たなイニシアチブを発表した。これによりユーザーは多様なリソースをあたかも単一のクラウドであるかのように扱えるようになるという。

ハイブリッド・クラウドとは、サードパーティーの公開クラウドサービス、プライベートクラウド、オンプレミスのデータセンターを組み合わせたコンピューティング資源のことだ。

クラウド・アーキテクチャーとテクノロジー担当副社長、Angel Diazは「このイニシアチブの目的は、あらゆるプラットフォームとタイプのクラウド資源をユーザーができるかぎり容易に管理できるようにすることだ。これにより、パブリック・クラウド、プライベート・クラウド、自社データセンター、さらにはクラウドのクラウドさえもその設置場所を問わず、単一のインフラであるかのように運営できるようになる」と語った。

IBMは企業がIT部門のクラウド化を試みる際に直面する典型的な問題の解決を図っている。現在クラウドにシフト中の多くの企業は、さまざまなタイプのコンピューティング資源を抱え込み、結果としてハイブリッド・クラウドの状態になっている。これらの多様なインフラからデータを引き出し、処理、共有することには多くの困難が伴う。

DiazによればIBMはこの問題を3つの課題に分けて解決を図るという。第一の分野は、企業固有のシステムにデータを統合すること。次にさまざまなシステム、プラットフォームのデータへのアクセスを容易にし、必要なときに必要なデータが容易に得られるようにすること。最後に、クラウドとオン・プレミスの資源にまたがって存在するアプリケーションとデータをそれらが世界中どこにあろうと、必要なときに結合すること。

いずれも非常に複雑な課題だが、IBMはいくつかの新しいアプローチを提案した。

まずIBMはコンテナー・テクノロジーを重視する。IBMはDockerと提携し、IBM向けにカスタマイズされたDockerコンテナをエンタープライズに提供する。これらのコンテナーはアプリケーションがオン・プレミスに存在しようとクラウドに存在しようと関係なく、セキュリティー、運営プロセス、データ・フォーマットなど企業固有の既存のプロセスを適用できるようにする。

次のアプローチはIBM DataWorksと呼ばれる。これはデベロッパーが多様なデータのソースをマッピング・テクノロジーを用いて、どこに所在しようと安全かつ自動的に処理うることを可能にする。

IBMはこうして統合されたデータをWatson人口知能へAPIによって処理し、きわめて高度な分析を実現しようとしている。この点に関しては、先週、MicrosoftもAzure機械学習プラットフォームを正式に公開している。DiazはMicrosoftのプロダクトに対するWatsonの優位性を強調したが、アプローチの方向としては類似点が多い。Diazは「Watsonは単にデータを解析し、意味づけを行うだけでなく、複雑な現象から相関関係を見出し、さまざまな仮説のどれがどれほど正しそうであるかをユーザーに知らせることができる」と述べた。

これらに加えて重要な要素はBlueMixの設定を容易にするBlueMix Localだ。Bleumixは IBM独自のPaaSで、アプリケーションを構築、管理、実行するためのオープン・スタンダードとクラウドをベースとしたプラットフォームだ。通常のパブリック・クラウドとは異なり、ユーザーはアプリケーションをオン・プレミスの資源と各種のクラウドに分散して配置し、必要に応じて作動させることができる。

Diazによれば、BlueMix Localは「アプリケーションの可視性と制御をシームレスに提供する」という。

最近のIBMのツールの例に漏れず、これらは広汎かつ多様なパートナーによって強化される。以前IBMはすべてを自前で用意していたが、この態度は様変わりした。現在では普通ならIBMのライバルと考えられる企業やプロダクトとも積極的な連携が図られている。

Diazは「現在顧客が直面している困難かつ複雑な課題は多くのパートナーとの連携なしには解決できないと語った。「こうした複雑きわまる問題を単独で解決できるようなベンダーは存在しない。そんなベンダーが存在する考えるのは幻想だ」とDiazは言う。

IBMはできるかぎり多様なパートナーと連携し、重層的なツール群を提供していくという。このアプローチがどのような成果を収めるか注目だ。

画像: Erik Drost/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+