3Dプリンターがプラスチックでなく濡れた紙パルプを使ったら楽しいアートができる

紙弾(かみつぶて)を撃って遊ぶ子どもたちのように、デザイナーのBeer Holthuisも、いたずらをするための最良の素材は濡れた紙だ、と考えた。彼の3Dプリンター、RepRapの粗末なクローンは、文字通り紙パルプの長い紐(ひも)を吐き出して、プラスチックよりも持続可能性のある3Dオブジェクトを作る。

3DPrint.comの記事によると、Holthuisは、大量の廃棄物で汚染を増大させない素材を探していた。そして彼は、すりつぶした紙に到達した。濡れた紙を押し出すと、パルプの太い飾り紐のようなものができて、それを重ねると装飾的なオブジェクトを作ることができた。

“そうやってプリントしたオブジェクトのデザインは、この技術の可能性と美しさを示すものだ”、とHolthuisは語る。“触感がいいし、紐の太さやプリントのスピードを変えていろんな形を作れる。しかも、意外と強度があって、長持ちする”。

おもしろいのは、彼は天然バインダーを使って層をくっつけているので、完全にリサイクル可能であることだ。紙をマシンに放り込んで、自動的にパルプを作らせたら、リサイクルの過程も自動化されるだろう。でも、このお話の最良の部分は、作品がまるで、高度な知性を持った蜂のコロニーが他の集団と交易するために作った物のように見えることだ。そう思うと、楽しいよね。

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3Dプリントした部品などの表面を安全に平滑化するZortraxのApoller平滑システム

ZortraxApollerは、同社がSmart Vapor Smoothing(電脳気化平滑)と呼ぶデバイスで、3Dプリントされたオブジェクトの表面を溶剤を使ってなめらかにする。その結果、製品は射出成形で作った品物のようになり、FDMプリンティングに必ずある細いラインがなくなる。

そのシステムは電子レンジのようなボックスの中で複数のパーツを一度に処理できる。そのボックスの中で、霧状にした溶剤でパーツを覆い、溶剤にその仕事をさせる。終わったら、残った霧状溶剤を回収室に吸い取る。溶剤が少しでも残っているとボックスのドアが開(あ)かないので、人間が大量のアセトンを吸い込むおそれがない。デスクトップで使うデバイスであり、クリスマスパーティーをやってるオフィスの空気中に溶剤の雲が生ずる危険性もあるので、このことは重要な配慮だ。

同社の説明より: “霧状溶剤で平滑化したものは、射出成形で作ったパーツのように見える。使ったフィラメントによって、表面はつやがあったり、マットだったりする。二段階濃縮により、300ミリリットルの溶剤で複数回のプリント結果を平滑化できる。そのため、場合によっては、典型的なFDMプリンター4台の一週間ぶんの出力を一日で自動的に平滑化でき、しかも質的劣化はない”。

FDMプリントは構造的にちゃちっぽく見えることが多いから、この平滑化は一種の化粧処理であり、たぶん理論的には、3Dプリントしたパーツからモールド(型)を作ることができるだろう。実際には、アセトンで平滑化したパーツは、つやつやして外見が良いから、これから射出整形やフライス盤などで作る最終製品の姿を正しく理解できるだろう。

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3Dプリントで作られた銃を見るとそれを作ったプリンターを特定できる

ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究者たちが、3Dプリンターに指紋があることを見つけた。設計のわずかな違いで、プリント物がプリントされたプリンターを同定できるのだ。未来の捜査官は、3Dプリントされたオブジェクトのレヤー(プラスチックの層)を調べて、それをプリントした3Dプリンターを特定できる。

研究のペーパーの主筆Wenyao Xuはこう言う: “3Dプリントはいろんなすばらしい使い方があるけど、贋作者にとって夢のような道具でもある。しかしもっと心配なのは、ピストルやライフルなどの小火器を、許可のない人も含め、誰でも持てるようになることだ”。

研究者たちが見つけたのは、プラスチックの層にある小さな皺(しわ)で、プリンターの機種や使用されたフィラメント、ノズルのサイズなどが分かることだ。マシンの細部のちょっとした偏りや癖によって、不完全なパターンがプリントされるのだ。彼らはその技術を、PrinTrackerと呼んでいる。

“人の指紋のように、これらのパターンはユニークで再現性がある。その結果、パターンを調べることによってその特定の3Dプリンターにたどり着くことができる”、と研究者たちは書いている

この方法は主に、MakerbotのようなFDMプリンターに有効だ。それらは、フィラメントの長いスプールを使ってプラスチックの層をビルドプレートに落としていく。

しかし銃の3Dプリントに使われるプリンターは複雑で高価な機種が多いので、個々の層の変異が少なく、使われたプリンターの同定が難しいこともある。でも、そんな銃でも、一部の単純な部品には見て分かる変異がある。

Xuは曰く、“3Dプリンターの各機種は、どれも同じであるように作られるが、製造工程でわずかな違いが生じ、それにより、プリントされるどのオブジェクトにも、ユニークで不可避で変更不可能なパターンが生ずる”。

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炭素繊維とガラス繊維を使って鋼鉄よりも強度のある機械部品を3DプリントするMarkforgeのX3とX5

ボストンで3Dプリンターを作っているMarkforgedが、二つの新機種、X3とX5を発表した。どちらも、ふつうのフィラメント方式のプリンティングで、炭素繊維を満たしたオブジェクトを作れる。それらのオブジェクトには、スチール製のオブジェクトを置換できるほどの強度がある。

どちらの機種もレベリングとスキャンニングを自動的に行い、完全に同じオブジェクトをプリントできる。またどちらも、Markforged特製の特殊な熱可塑性ファイバーフィラメントを用い、X5の方は“ガラス繊維フィラメントの連続的供給”を行うので、通常のプラスチックよりも“19倍も強く10倍の硬度のあるオブジェクト”を作れる。つまり同じマシンで実用に耐える部品と実用に耐える工具の両方を作れるし、ガラス繊維のフィラメントのおかげで、それらは使用中に折れたりしない。あるユーザーは、わずか10分で、自転車の車輪の(チューブの)バルブを締めるバルブレンチ(下図)を作った:

次は悪いニュース。X3はたったの36990ドル、X5は49900ドルだ。Markforgedは、“国内の製造業企業”がターゲット、と言っている。良いニュースは、ユーザーのニーズの変化によっては、X3の機能をX5にアップグレードできること。またどちらも、製造業企業がプロトタイプではなく最終製品の生産に使えることだ。しかも、エンドユーザーの現場でも。

“顧客は、特定の部品が必要になったその日のうちに、強度とコスト要件を満たす部品を作れる”、とCEOのGreg Markは語る。

これらのプリンターは、Markforgedが最終的に目指している“物質転送システム”への途上にある。その複雑なスキャンニングと測定システムにより、ユーザーは遠方から3Dプリントのモデルだけを受信し、完全に同じものを自分の目の前に実現する。そのシステムにはフェイルセーフモードがあり、プリントが異常停止した場合にはレーザースキャナーがその原因を調べる。そしてプリンターはその箇所からリスタートする。同社は金属の3Dプリントについても独自の研究開発を行っていて、それにより複雑な機械の複雑な部品でも、実用に耐える強度のものをプリントできる。

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9歳の少年、先生のために3Dプリンターで電動義手を作る

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Calramon Mabalotは、ちょっとした少年だ。3Dプリンターが大好きで、兄と一緒に数多くのプロジェクトを作った ― 3Dプロジェクトで出会った先生のための電動義手も。Mabalotは3DPrintingIndustryのインタビューに答えて、指の関節付きの電動義手をどうやってデザイン、制作したかを話した。

なぜ3Dプリントで義手を作りたいと思ったのか?「作り方を知りたかったから」とMabalotは答えた。

このプロジェクトは、 E-Nabling the Futureプロジェクトの一環で作られたもので、誰でもダウンロードしてプリントできる。実用になる義手を必要としていたNickという先生と出会ったMabalotは、プロジェクトを作り、組み立て、義手を先生の体に合わせることに挑戦した。

Mabalotは自分専用のウェブサイトYouTubeチャンネルを持っている。この少年は今、世界一優しい子供に見える。われわれ大人がFacebookとメールをいじりながら休憩室で昼休みを持っている間に、この少年は元気と才能と活力を全力で披露している。実際、下のビデオを見たら驚くにちがいない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

生まれる前の赤ちゃんに手でさわれるIn Utero 3DのWaiting Without Barriersプロジェクト

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ポーランドのIn Utero 3Dは、とても愛らしいサービスを提供している。子宮の中の赤ちゃんの形を3Dプリントして、目の不自由なお母さんでも生まれる前の子どもを感じられ、目の健常なお母さんが超音波画像を見て感じるのと同じ喜びを体験できるようにする。

そのプロジェクトはWaiting Without Barriers(障碍のない待期)と呼ばれ、会社はポーランド北部にあるが、利用はヨーロッパ全域で可能だ。同社は1PLN(ポーランド新ズロチ)または1ユーロで、妊娠中のお母さんたちの赤ちゃんのレリーフをプリントする。ふつうの3Dプリンターを使い、モデルの超音波3D画像データに対して作為的な理想化をしないから、多くのお母さんが自分の子を初めて見たときと、まさに同じ体験を提供する。

すでにこういうことを数社がやっているが、しかしWaiting Without Barriersにはすばらしい理念があり、アイデアもすばらしい。プリントの質は、FDM(熱溶解積層法)プリントにしては良い方だ。

3Dプリントの人気はこのところ急落しているが、21世紀におけるもっともクールでもっとも将来性のある技術の一つだ、と今でも思う。まだ家庭でフォークや車をダウンロードしてプリントすることはできないが、小さなプラスチックとデジタルファイルで、自分の子どもを細部まで正確に感じることができるのは、すてきだよね。

出典: 3DPrintingIndustry

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多様なツールヘッドを駆使する3Dプリンタからすばらしい振り子式時計が生まれた

 

未来には、マルチツールヘッドのロボットが人間の臓器を採取し、人間の生殖サイクルをコントロールするだろう*。そうなるまでには、彼らは素晴らしい時計を作れる。ロボットではなくMatt Olczykが作ったこの時計は、ツールヘッドを交換していろんなことができる3Dプリンタ、ZMorphで作られた。〔*: 原著者は、ロボットが人間社会を支配する未来をテーマに、記事を書いてる人。〕

ZMorphのシステムには、CNCフライス盤、デュアルエクストルーダー、(オプションで)チョコレートエクストルーダー、さらにレーザー焼成機もある。これらのヘッドを全部使ってOlczykは、精密に噛み合う歯車や、数字板、さまざまな彫り出し部品などを作った。たいへんな労力と時間を投じた結果は、なかなかクールだ。ZMorphの連中が書いている:

3Dプリントだけではできないものも多い。3Dプリントのように素材を足し加えていく“足し算の”製造技術は画期的だが、削る、磨く、彫りだすなど、要らないものを引いて取り去っていく“引き算の”製造技術もまだまだ必要だ。すべての技術に制約があり、3Dプリントにも制約がある。それらは、3Dプリントの原理そのものに由来する制約だ。だから、ラピッドプロトタイピングでも実際の加工でも、射出整形やCNCフライス盤のような既存の方法を使うべき場面がある。素材の制約が使える機械の制約や、美的表現の制約、ときにはコストの制約につながる。だから、3Dプリントではできない部分を別の技術で補うのは、当然なのだ。

 

できあがった時計はかなり独特だ。振り子を使って針を動かすが、歯車はよく見えるように表面に展開している。しかしそれは実用時計であり、Olczykはプラスチックや木、それにプレキシグラス(強化アクリル板)まで使って部品を作った。今の3Dプリンタは、Makerbotのような押し出し成形タイプと、FormlabsのようなSLA(光造形)タイプに分かれるが、ここに見るような第三の道もある。

出典: 3DPrint

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研究者が3Dプリント(プラスチック)植毛システムを開発

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カーネギーメロン大学の研究者らは、3Dプリントされた物体にリアルなプラスチック製毛髪を付加するシステムを開発した。これは頭髪の不自由な人々を助けるものではないが、3Dプリントされたキャラクターに可愛いらしい髪形を付加できるほか、生物の成長過程を模倣することもできる。

システムは標準的な3Dプリンターを使用し、特別なプログラムで微量のプラスチックを射出してホットグルーのように引っぱり上げる。毛髪は表面にランダムあるいは整列して植えることができ、ブラシやカットも可能。

研究者らは、高熱のPLA押出機だけを使って、排出されたプラスチックを引き上げるのは難しいことに気付いた。その代わりに、プレート全体を横向きに移動して、プラスチックを表面から引き離す方法をとった。「プリントヘッドをすばやく上に動かすことはできないが、ヘッドも制作中の作品を支えるプリント台も、横向きにはすばやく動かすこができる」と研究者らは言う。「溶けた材料を付着させた後、プリントヘッドと台を横向きに動かすことによって、望み通りの毛髪のような糸を作りだすことができた」。

「材料をほんの少し押し出して引っぱるだけ」とカーネギーメロン大学人間/コンピューターインタラクション研究所のPh.D生、Gierad Lapuは言った。「実は非常に単純なアイデアなんです」。

プロジェクトの詳細はここで読めるが、近々この技術を私の3Dプリンティング技巧に加えて、最終的には毛むくじゃらの実物大バート・レイノレズを青いプラスチックで3Dプリントするので楽しみにしていてほしい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

100ミクロンの高精度3DスキャナEora 3D ScannerはKickstarterで199ドルと超安価

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うちの家族のような原始人は、3Dスキャンが人の魂を盗み取ると信じていて、立体画像の持ち込みすらうちでは許されない。でもEora 3Dスキャナなら、もしかして許されるかもしれない。相当複雑なマシンなのに外見がとてもシンプルで、しかもカメラをたった一つしか使わないからだ。

これを作ったオーストラリアのシドニーのRahul KoduriとAsfand Khanは、太陽光を一点に収束する研究をしている人たちだ。そこから生まれた3Dスキャナは今、Kickstarterで資金を募集している。

Koduriはこう説明する: “Eora 3D Scannerは、手ごろな値段の高精度な3Dスキャナがほしい、という自分たちのニーズから生まれた。太陽光発電の効率を上げるために、朝から夕方まで太陽の位置を追うパラボラアンテナみたいな装置を作ろうとしていた。その設計と仕様作成のためには高精度な3Dスキャナが必要だったが、100ミクロン以下の精度のものは、5000ドル以上もする”。

自作を決心した彼らはプロトタイプを作り、理想の仕様に到達した。

そのシステムは物の表面をグリーンのレーザーでスキャンする。レーザーはBluetoothでスマートフォンのカメラに接続し、物の点群(point cloud, ポイントクラウド)を驚異的な精度で作り出す。しかも、小型のスキャナにしては珍しく、フルカラーでスキャンする。

“Eora 3D Scannerにはグリーンのレーザーがあり、またカメラのCMOSセンサはグリーンのスペクトルへの感度がとくに高い(通常の2倍)ので、屋外などいろんな条件で3Dスキャンができる。人間という動物も緑の中で進化してきたから、グリーンのスペクトルに対する感度がとくに高い”、とKoduriは語る。

これで作った3Dモデルは、ゲームや3Dプリント、プロトタイピングなどに使える。彼らがデモとして見せてくれたAssassin’s Creedのキャラクターのスキャンは、わずか一回のスキャンでびっくりするほど詳細だ。スキャンに要する時間は、単純な物なら3分ぐらい、複雑な物ならもっと時間がかかる。自動ターンテーブルがあるので、物のすべての面を100ミクロン以下の精度で捕捉できる。

Cup Face
by eora 3D
on Sketchfab

Kickstarter上で初期の支援者には199ドルで提供される(目標額は50000ドル)。その目標額はとっくに突破しているから、これからは誰もが安価に、見事な3Dスキャンを楽しめる。その楽しさを知ろうとしない、うちの家族が気の毒だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

「消費者時代」のデザイン

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AppleのiPhone、Spotifyのストリーミングサービス、Tesla Roadster ― いづれも質の高いデザインで競争力を高めた革新的テクノロジーの成果だ。

過去10年、IT企業におけるデザインの重要性は、テクノロジーに精通した消費者が、完璧な機能性と優れたユーザー体験だけでなく美しさ求めるようになるにつれ、飛躍的に高まった。

その結果多くのデジタル企業がデザイン能力の価値を認め、本格的な投資行動を始めた。この4年間にIT企業は、デザイナーが共同設立した会社を25社以上、クリエイティブ代理店13社を買収した。消費者指向のデザイン主導企業が株主価値を著しく高め、成長を加速していることは証拠が示している。彼らは適切な製品を作るだけでなく、彼らの消費者にとって適切な製品を作る。

最近3ヵ月間、IT巨人らはデザイナーの雇用をさらに進めて、ユーザー体験を高め、製品デザインを改善し、ユーザーに合わせた開発を行っている。Facebookは、Hot Studio、Bolt Peters、そして最近ではTeehan+Laxと、いずれもユーザー体験に特化したデザイン会社の協力を傘下に入れた。一方Googleは7月にPixateの買収して、新しいデザインとプロトタイピングツールの開発を強化した。そして5月には、経営コンサルタントのMcKinseyもトレンドに乗り、Apple、HPらをクライアントに持つデザイン会社、Lunarを買収した。これは上昇傾向にあり、多くの大手企業がデザイン会社やデザイン指向のIT企業を買収している。

このトレンドの起源は?

1990~2010年頃、「情報化時代」がやってきた。増殖するデータがIT企業に成功の機会をもたらした。つながったPCとサプライチェーンは、情報の流れを制御する会社が支配することを意味した。その後われわれは「消費者時代」に突入し、力を得た消費者は無限の選択肢を与えられたが時間と注意力は限られ、高いレベルのユーザー体験が要求されるようになった。今やデザインは、つながった消費者の時代で最も重要な要素となり、それはIT分野だけでなく、あらゆる主要産業 ― 自動車、小売、医療等 ― にわたり、企業は世界中で適切な適応が求められ、未曽有の競争に曝されている。

戦略的で消費者体験に基づくデザインはこれまでになく重要、不可欠である。主要な課題は、そのための人材供給が今は限られていることだ。

デザイン能力は、成功しているデジタル企業の成長を定義する。

2年前、Accentureはロンドン拠点のデザインコンサルタント会社、Fjordという歴史的買収を完了した。今年7月には契約を拡大し米国内外に新たなスタジオを開設しデザイン専門家のための新たな採用プログラムと共に、新規および既存の社員デザイナーのための教育プログラムを開始した。この買収によってAccentureのデジタルマーケティング機能は拡大し、クライアントが際立った顧客体験を開発し迅速に提供する手助けをすることで、Acentureの中核であるシステム統合ビジネスは膨大な追加収益を得た。

また、Ernst Y Young U.K. は国際デザインコンサルタントのSerenを買い、Wipro Digitalも国際デザイン会社のDesignitを買収した。WiproはDesignitを8500万ユーロで買収し、これは公表されている買収としては業界最大であり、相補的で強力なシナジーによって生まれた。この投資はWinproのデジタル事業推進活動が次の段階に進む前兆だ。

起業家はここから何を学びとれるか?

デザイン能力は、成功しているデジタル企業の成長を定義する。デザイン主導の企業は、自らの洞察に基づきすばやく行動できるため、早期の失敗やテスト、学習を活かしてプロトタイピングを反復することで製品やサービスを完成させる。これは企業の成長を助け、収益性と拡張性を高める。

このトレンドに関するわれわれの分析は、デザインとテクノロジーの関係がいっそう深まっていくばかりであることを予言している。それは、投資活動、買収、高額な給与へ徐々に変換されていく。

起業家は、デザインを自らの製品やサービスの中心に据える必要がある。しかし彼らは、自社のデザインが市場にうまく表現されていることも確かめなくてはならない。個々のあらゆる操作がユーザーにとって快適な体験になる必要がある。それは会社にとって、優れた価値を提供する決意を表明するチャンスだ。

この10年間が、取締役会にCTOが増えた時とするなら、次の5年間はデザイン責任者が席を持つようになるだろう。大企業はこのことを理解し始めている。今こそスタートアップはビジネスを拡大し消費者時代の要求を満たす時だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook