アルファベットのLoonがケニアで気球によるインターネットの提供を開始

Alphabet(アルファベット)のLoon(ルーン)がケニアで正式にインターネットサービスの提供を開始した。Loonの高度飛行気球を活用した大規模な商業展開は今回が初めてとなる。気球は地球の成層圏を漂う通信サービス基地局として機能する。Loonのケニアでのサービスは地元の通信プロバイダーであるTelkom Kenya(テレコム・ケニア)との提携の下に提供され、Telkom Kenyaのネットワークを通じて約5万平方キロメートル(約3万1000平方マイル)をカバーする。山岳地帯に地上設備を展開するのは困難なため、通常はこうした広域で安定したサービスを提供することはできない。

Loonは2019年に契約を発表して以来(未訳記事)、ケニアにおける初の商業サービス展開に向けて取り組んできた。しかし同社は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大でミッションはさらに重要なものとなったと話す。感染症で移動に制限がかかる中で、安定した接続性が医師や家族、その他の人にリモートで連絡を取ることを可能にするためだ。

いかにLoonの成層圏バルーンが継続してサービスを提供するのか、ネットワークの質がどのようなものになるのかというテクニカルな詳細はというと、全部で35個のバルーンを用い、それらが絶えず動きながら対象エリアをカバーし続ける。通信スピードの平均は下りが18.9Mbps、上りが4.74Mbpsで、レイテンシーは19ミリ秒だ。Loonによると音声コール、ビデオコール、YouTube閲覧、WhatsAppの使用などでまったく問題ないことが地上でのテストで確認された。

ケニアの対象エリアにサービスを提供する際のAlphabetのバルーンの経路。

Loonは2020年初めにサービスのテストを開始し、多くの顧客がテスト期間中にテストだということを認識することなくネットワークに接続していた。3万5000人超の顧客を対象に上記のようなサービスを提供した、とLoonはいう。

今日の商業サービス立ち上げの前に、Loonは2017年のハリケーン・マリア後のプエルトリコをはじめとして、大災害が発生したエリアに緊急サービスを提供するためにバルーンを展開してきた。通信が提供されていない世界の地域で非緊急サービスを提供するために、Loonは数多くの通信事業者と共同で取り組んでいる。

画像クレジット:Alphabet

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(翻訳:Mizoguchi

成層圏上の気球からインターネット接続を提供するLoon、初めての商用化をケニアで

Googe(グーグル)の親会社Alphabet傘下のLoonは、遠いへき地などに高高度からのブロードバンド接続を提供する。同社はこのほど、その気球の初めての商用バージョンを、2週間前にケニア政府から得られた承認により、ケニアの人びとのインターネット接続のためにローンチした。気球は目下テスト中だが、その結果を待ちながら数週間後には本番のサービスを開始する予定だ。

Loonはケニアの通信企業Telkom Kenyaとパートナーして、同社の契約ユーザーにサービスを提供する。気球は地球の成層圏の高度およそ2万メートルを飛び、地上局のセルタワーも通信衛星も利用できない遠隔地に、安定性の良い高速インターネット接続を提供する。

LoonのCTO Sal Candido(サル・カンディド)氏が書いたMediumの記事によると、気球はプエルトリコまたはネバダ州から離陸し、長い旅をしてケニアのサービス供用地域へ向かう。気球は気流に乗って最終目的地へ向かうが、それは成層圏風に運ばれる最高速のルートなので、かなり回りくどい旅路になる。具体的なルートは、Loonの自動ナビゲーションソフトウェアが決める。

ケニアに到着したら、機械学習を利用するその同じアルゴリズムが、ターゲット圏域の比較的安定性の良い場所に気球を定置させる。気球は上下に動いて異なる気流を捉え、固定された地理的領域の中で気球はそんな短い旅を繰り返しながら、地上の顧客への24時間の高速安定サービスを提供する。

ただし顧客が気球に直接アクセスするのではなく、パートナーのTelkomのセルネットワークからその接続サービスを利用する。それに対しTelkomは当然ながら課金をするため、アフリカのインターネットアクセス性スタートアップBRCKなどは、それが障碍になる人びともいる、と懸念している。でも、やっと初めて商用化にこぎつけたわけだからLoonにとっては重要なマイルストーンであり、今後デプロイの仕方をもっと多様化していけば、さまざまなビジネスモデルが可能になるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AlphabetのLoonとSoftBankのHAPSMobileによる成層圏ネットワーク構想に世界的大企業が続々参加

Alphabetの高高度気球企業Loonと、SoftBankの子会社で成層圏にグライダーを飛ばすHAPSMobileが率いる、全業界的企業連合が、高高度の送受信メカニズムを利用するネットワーク接続のスタンダードと関連技術を開発していくことになった。

これは両社が2019年4月に結んだパートナーシップの拡張で、Loonが使用するネットワークハードウェアが、HAPSMobileの長翼成層圏ドローンと互換性を持つことになる。両社はもっと多くのメンバーを歓迎しており、すでにAirbusの防衛および宇宙部門やBharti Airtel、China Telecom、Deutsche Telekom、Ericsson、Intelsat、Nokia、HAPSMobileの親会社SoftBank、Telefonicaなどが企業連合に参加している。

この企業連合はHAPS Allianceと呼ばれ、HAPSはHigh Altitude Platform Station(高高度プラットホームステーション)の頭字語だ。目的は技術の利用を宣伝するとともに、この技術を利用しようとする市場で規制当局と協力することだ。彼らが共同してネットワークの相互運用性のベースとなる共通の規格を開発し、企業連合各社が互いに衝突や妨害をしないような成層圏の利用技術ないし相互監視技術を作り出す。

現在のメンバーが増えたグループには、世界で最も強力なネットワーク事業者や、ネットワークインフラストラクチャの重要なプレーヤー、それに航空宇宙企業が含まれている。これだけ揃うことで、成層圏ネットワークに何か重要なことが起きると期待される。成層圏は地球に近く、人工衛星を利用するインターネット接続と比べてアドバンテージがあり、また困難な地形や狭い圏域など、地上基地局の不便さもない。

この動きをきっかけに、未来の携帯電話やインターネットの接続は、高い空を飛ぶ自律的な基地局が提供することになるのだろうか。現時点ではどこまで普及するか不明だが、現在、すでにそうそうたるメンバーが企業連合に参加しているだけに、実現性は高いと感じられる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

100万時間の滞空を達成したインターネット接続気球、1カ所に留まれる巧妙な仕組み

Googleの親会社であるAlphabet傘下のLoonは、全世界の空から高速インターネット接続を提供することを目指しており、数週間前にケニヤで商用トライアルをスタートさせることが発表されている。このLoonのインターネット気球が総計で滞空100万時間の大台に乗ったという。

気球の高度は成層圏の最上部で、1万5000mから2万mあたりをジェット気流に乗って飛ぶ。Loonのエンジニアは地域ごとの上層気流に関する詳細なデータを収集し、人工知能によって気球の高度を調節することによって同一地域の上空に留まれる航法システムを開発した。

Loonの気球群はこれまでに延べ4000万kmを飛行した。これは月まで50回往復できる距離だ。この間気球を操縦したソフトウェアは狙いどおりの位置をキープするためにユニークな方法を用いている。

気球は上から見てジグザグのコースを飛ぶ。これはヨットがタッキングしてセールの開きを変えながら進むのに似ている。ただし、そのナビゲーションは直観に反しており、いかに熟練したヨットマンでも思いつかないようなものだ。気球は成層圏の気流に沿って吹き送られていくが、それでも目指す場所に行く方法を編み出せるのだ。

figure8 Loon

気球が長時間同一区域に留まるためには上下に高度を変えて8の字型の飛行が必要な場合がある。逆方向に吹く気流が高度によって何層にもなっている場合があるからだ。8の字パターンによる飛行は単純な円運動の飛行に比べて、安定した長時間のLTE接続を実現するうえで有効であることが確認された。

こうした複雑な運動パターンは人間が操縦するのであれば普通選択されない。ナビゲーションを自動操縦システムにまかせて、気球が置かれた状況下で最適なパラメータをシステム自身に発見させる方法の有効性がここでも証明された。

LoonのCTO(最高技術責任者)であるSalvatore Candido(サルバトーレ・キャンディド)氏はブログ記事で「この自動操縦システムがAIと呼べるかどうかはよく分からない」と説明している。最近、テクノロジー企業はAIの定義を思い切り拡張し、多少でも複雑な動作をするソフトウェアはすべてAIだと主張する傾向があるだけに、Cキャンディド氏の慎重さは称賛すべき公正な態度といっていいだろう。しかし呼び名はどうであれ、このソフトウェアが気球を一箇所に滞留させ、安定したインターネット接続を提供するという目的を果たしたことはすばらしい。

Loonはすでに台風に襲われたプエルトリコ、地震が起きたペルーで壊滅した通信網を代替するために役立っている。これまで地上に中継設備を建設することが主として経済的な理由によって阻まれてきた遠隔地に、手頃な価格のインターネットをもたらすためにLoonが果たす役割は今後大きくなっていくだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Google関連会社のLoonが成層圏バルーン滞空223日の新記録を樹立

Googleの持ち株会社であるAlphabet傘下のLoonは、今年中に初の商用テストを行う準備中だが、純粋な性能面でも新たな記録を打ち立てた。米国時間7月2日、同社が回収したバルーン飛行システムP-496は、連続飛行時間最長記録を達成した。

P-496は、2018年11月18日にプエルトリコを出発し、成層圏を計223日間飛行した。その間同機は世界を一周し、その半分以上の期間(連続140日間)を南アフリカ共和国の西海岸沖の定位置に滞在し、比較的固定された位置を長時間維持する試験を行った。これは、高速携帯通信ネットワークサービスの行き届いていない地域をカバーするというLoonの最終目標にとって不可欠な能力だ。

223日という数字は、Loonがこれまで持っていた198日間という記録を1カ月近く上回るもので、システムの効率をいっそう高めようという同社のミッションにとって大きなニュースだ。これまで通信環境が貧弱あるいは皆無だった地域にサービスを提供する商業的可能性を証明するうえで、効率は非常に重要だ。
0成層圏バルーンの商用化を目指す会社はLoonだけではない。スタートアップのWorld Viewは、さまざまな商用サービスを開発するクライアント向けに高高度バルーンを提供しようとしている。同社の 連続飛行記録はLoonと比べると見劣りするが、これは純粋に同じ土俵での比較ではない。Loonが高高度飛行ネットワーク基盤に特化しているのに対して、World Viewは高高度撮影を中心にその他の応用もターゲットにしており、成層圏ツアーの可能性も視野に入れている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google関連会社Loonによる気球インターネットが商業トライアルを実施

Google(グーグル)からスピンアウトしたAlphabet(アルファベット)傘下のLoonは、Telkom Kenyaと提携してケニアで数カ月以内に最初の商業トライアルを開始する。

Loonの目標は、遠隔地にインターネット接続を提供することで、太陽光発電による通信機器を搭載した高高度気球を使用し、設置が難しかったり、価格が手頃でなかったりする、恒久的な地上施設を置き換えることにある。

この新たな商業トライアル(数週間以内に装置が目的地に到着した後、年内に実施される)では、Telkom Kenyaは山岳地域に位置する複数の村に在住する顧客に対し、従来型のネットワーク施設と同額でインターネットへのアクセスを提供する。

Reuterによると、インターネット接続を提供する新しいモデルが、安定したサービスを利益の出る価格で提供することに懐疑的な提携通信事業者にとって、ビジネス的に理にかなうのかを証明するという点で、Loonはにやるべきことが残っているという。

この点において、Loonは気球ネットワークがペルーやプエルトリコでの取り組みにおいて、地上との接続を提供する技術的な能力を持っており、自然災害によってダウンしたネットワークを強化するために地元の通信事業者が無料でこの技術を利用し実証したため、次は商業的な能力の実証に熱心なようだ。

アルファベットの気球インターネット計画は、同じように遠隔地に固定設備によらないインターネットを遠隔地に提供する衛星インターネット、例えばSpaceX(スペースX)の「Starlink」などと最終的には競合するものだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Google XのLoon、Wing、グループ企業に昇格――アストロ・テラーが祝福

Google XのプロジェクトとしてスタートしたLoonとWingがXを卒業し、Googleグループの親会社、Alphabet傘下の独立企業となった。Google Xとムーショット・プログラムのの責任者、Astro Tellerが昨日(米国時間7/11)、Mediumに記事を書いている。

Xのプロジェクトとしてスタートしたときには予想されなかったことだが、 LoonとWingは メンバーの懸命な努力と過酷なフィールテストの繰り返しという長くクレージーな期間を終え、今やXを卒業し、Alphabetグループの独立企業2社となることが決まった。

Loonは2013年、Wingは2014年にそれぞれスタートしている。 当時はで突飛なアイディアの典型的なムーショットと考えられていたが、その後大きな進歩を遂げた。

Loonは多数の無動力の巨大気球の編隊で、辺鄙な地域やインフラが未整備の国でインターネット接続を安価に提供する。たとえば昨年夏にペルーで水害に襲われて通信手段を失った何万人もの人々にインターネットが使えるようにした。秋にはハリケーン・マリアによって大被害を出したプエルトリコでも活躍している。

一方、 Wingは宅配サービスに自動操縦の電動大型ドローンを使おうとするもので、遠隔地への配送の効率化とCO2排出の低減を狙っている。テストではオーストラリアのメキシカン・ファーストフード店、Guzman y Gomezのブリトーを奥地に配達している。この5月にアメリカ運輸省はドローンテクノロジーを一段と進歩させるためのUnmanned Aircraft Systems Integration Pilot Program10チームの一つとしてWingを選定した。

Tellerは声明でAlastair WestgarthがLoonの初代CEOに、 James Ryan BurgessがWingのCEOにそれぞれ就任する予定だと明らかにした。WingではAdam Woodworth がCTOに就く。

LoonとWingは自動運転のWaymoやサイバーセキュリティー分析プラットフォームのChronicleなどX出身のGoogle企業の仲間入りをする。同時に、SpaceXのインターネット衛星(プロトタイプ段階)やAmazonが以前から宣伝しているドローン配送システムのライバルとなる。

当然、前途には厳しいものがあるはずだが、Alphabetという巨大な後ろ盾を得ていることはこれらの若い企業にとって非常に心強いだろう。

画像:Alphabet

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+