不振のEVスタートアップLordstown MotorsからGMが撤退

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)は、電気自動車のスタートアップ、Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)の持ち株を売却した。同社は初の製品となる電動ピックアップトラック、Endurance(エンデュランス)の生産に向けて苦闘を続けている。Detroit Free Press(デトロイト・フリー・プレス)が伝えた。

GMが所有していた750万株の普通株式は、総株数の5%以下であり、当初の価値は7500万ドル(約87億円)だった。同社はこの持ち株を2021年第4四半期に、期間非公開の売却禁止期間経過後に売却した。

このニュースは、Lordstownが第4四半期決算で、損失が8120万ドル(約93億円)、1株当り0.42ドル(約49円)に拡大したことを公表した後にやってきた。米国時間2月28日の決算会見で同スタートアップは、Enduranceトラックの2023年までの生産、販売計画がわずか3000台で、うち500台を2022年中に販売する予定であることを発表した。それも、同社が追加資金を調達できた場合の話だ。同日Lordstownは、トラックを500台作るためにはさらに2億5000万ドル(約288億円)必要であることを投資家に伝えた。

追加の金の無心はそれだけでもよい兆候ではないが、さらに問題なのは更新されたガイダンスが、2020年10月のLordstownのSPACによる上場に向けて前経営陣が投資家に約束した3万2000台という数字よりはるかに少ないことだ。

LotdstownのGMとの関係は2018年にさかのぼり、当時GMは、同社のローズタウン工場を閉鎖するつもりであると言い、ドナルド・トランプ前大統領はそれに反対していた。その後GMは、工場を不振だったEV企業、Workhorse(ワークホース)に売却した(ちなみにこの会社も現在不調に悩まされており、Q4決算では1株当り1.13ドルの損失だった)。

Workhorseのファウンダーで前CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏は、この旧GM工場で電動トラックを作るべく、Lordstown Motorsを立ち上げ、GMは750万ドルを投資した。Lordstownはこの工場に約2億4000万ドル(約277億円)を投じたが、離陸させることはできなかった。

生産問題の最中に経営陣の重要人物を失うなど幾多のドラマを経た後、Lordstownは2023年を迎えるための現金が足りないことを打ち明け、2021年9月に同工場をiPhone製造のFoxconn(フォックスコン)に2億3000万ドル(約265億円)で売却した。しかしその契約はまだ完了しておらず、Lordstown経営陣は28日、売買契約が予定どおりには進捗していことを発表し、これまた間違いなく投資家を不快にさせる発表となった。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォックスコンがLordstownのオハイオ工場を約262億円で買収

電動小型トラックメーカーのLordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)は、オハイオ州ローズタウンにある広さ620万平方フィート(約57万平方メートル)の工場を、Apple(アップル)のiPhoneの製造で知られる台湾のハードウェアメーカーFoxconn(フォックスコン)に正式に売却した。Lordstownの発表によると、この2億3000万ドル(約262億円)の取引は、2022年4月末までに完了する予定だ。

取引の条件は、両社が9月30日に締結した基本合意に沿ったもので、締結後にFoxconnは早速5000万ドル(約57億円)分の普通株を1株あたり6.8983ドル(約787円)でLordstownから直接購入した。Foxconnは11月18日までに1億ドル(約114億円)の頭金を、その後2022年2月と4月に5000万ドル(約57億円)を支払い、4月30日の手続き完了を目指している。

Lordstownの発表文によると、Foxconnは苦境にあるLordstownのピックアップトラック「Endurance」の製造を支援することにも合意した。両社はまた、北米および海外市場向けの商用車プログラムを共同で設計・開発する合弁会社も設立する。最後に、この取引が完了すると、Foxconnは今後3年間、1株あたり10.50ドル(約1200円)でLordstownの普通株式を購入できる170万のワラントを得る。Lordstownは、電気モーターの生産ライン、バッテリーモジュールとバッテリーパックの組み立てラインを維持する。

Foxconnは2021年初め、電気自動車スタートアップのFisker(フィスカー)と、FiskerのPEARプログラムに基づく新型車を北米で共同開発・製造する契約を締結した。その後、Lordstownが2019年にGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)から購入したオハイオ州の工場でも、Fiskerの車両を生産することをFoxconnは示唆していた。今回の工場購入により、Foxconnは初の自動車工場を手に入れ、スマホやノートPCの製造以外の分野へ躍進することになる。

調査会社がEVトラックの予約台数を偽装していると告発したことで、米証券取引委員会と米司法省の両方から調査を受けているLordstownは、財政難に加えて、11月10日朝に辞任した社長のRich Schmidt(リッチ・シュミット)氏をはじめとする多くの幹部の逸失に直面している。Foxconnとの取引により、Lordstownは原材料や部品のコストを削減することができそうだ。Foxconnは、生産コストの削減や不安定なサプライチェーンに対応するために必要な強力なサプライチェーンネットワーク、ロジスティック能力、購買力を持っている。また、同社は電気自動車にとって非常に重要な、ソフトウェアとハードウェアの統合のエキスパートでもある。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Lordstown MotorsがGMから購入した工場の売却をめぐりフォックスコンと協議中

EVスタートアップのLordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)は、2019年にGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)から620万平方フィート(約57万6000平方メートル)の工場を購入して注目を浴びた。だが、現在は資金繰りに窮している同社は、その施設を台湾のFoxconn Technology Group(フォックスコン・テクノロジー・グループ)に売却する可能性が高いようだ。

関連記事:フォックスコンがLordstown MotorsとFiskerの電気自動車をオハイオ州の元GM工場で生産へ

このニュースを最初に報じたBloomberg(ブルームバーグ)によれば、早ければ今週中にも取引が完了する可能性があることを、匿名の情報筋が示唆したという。Lordstownの経営陣は、第2四半期の決算発表の際に、このオハイオ州北東部にある施設を、他の企業にリースすることについて、パートナーと「真剣な話し合い」を行っていると語っていた。だから売却のニュースはまったくの驚きというわけではない。

取引に関する金銭面などの詳細は明らかになっていないが、LordstownはFoxconnと並行して、この同じ施設で生産を行っていくとも報じられており、この取り決めは、悩める電気自動車メーカーにとって、最終的には利益となる可能性がある。現金収入とFoxconnが持つ大量生産の専門知識の両方を得られることになるからだ。

Foxconnといえば、Apple(アップル)のiPhoneを製造していることで知られているが、ここ数年は電気自動車製造の市場参入に向けて大きく歩を進めている。同社は2021年5月、EVメーカーのFisker(フィスカー)と、新しい電気自動車を共同開発・製造する契約を締結。また、タイの石油会社であるPTT PLCとも提携し、同国内の工場で年間最大5万台の電気自動車を製造することも計画している。

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Foxconnの野望はそれだけではない。この製造企業は自動車メーカーの委託製造業者になる構想も描いており、中国の自動車メーカーである浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)と合弁会社を設立し、EVの販売を目指すメーカーに、設計、研究開発、生産を提供しようと考えている。

Lordstownは、主力製品である電動ピックアップトラック「Endurance(エンデュランス)」の最初の生産車両を、2022年初頭に少数の顧客に届けることを目指している。この会社は、前CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏が会社の資金繰りを懸念して辞任した後、2021年8月に新しいCEOを任命した。Dan Ninivaggi(ダン・ニニヴァッジ)氏がCEOに就任したのは、Lordstownが16億ドル(約1780億円)のSPAC合併を発表してからわずか1年後のことだった。

Lordstownの株価は、52週高値で1株31.80ドル(約3530円)を記録したが、現在は7.88ドル(約875円)で取引されている。

TechCrunchはLordstownとFoxconnにコメントを求めている。回答があれば記事を更新する予定だ。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

FoxconnがLordstown MotorsとFiskerの電気自動車をオハイオ州の元GM工場で生産へ

Foxconn(フォックスコン)は米国9月30日に発表された契約のもと、Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)、そして別のパートナーFisker Inc(フィスカーインク)のためにオハイオ州にある元General Motors(ゼネラル・モーターズ)の工場で電気自動車(EV)を組み立てる。

特別買収目的会社(SPAC)との合併経由で公開企業となった、苦境に立っている電気自動車メーカーLordstown Motorsは9月30日、620万平方フィート(約58面平方メートル)の工場売却でFoxconnと拘束力のない合意に達した、と述べた。Lordstownは2019年にその工場をGeneral Motorsから購入していた。

まだ完了していないこの合意では、Foxconnは工場購入で2億3000万ドル(約256億円)を払う。取引には、Lordstownのハブモーター組立ライン、バッテリーモジュール、梱包ラインなど一部の資産や、特定の知的財産権は含まれない。Foxconnはまた5000万ドル(約56億円)分のLordstownの普通株も購入する。

2社は、FoxconnがLordstownのフルサイズのピックアップトラックEnduranceを同工場で組み立てるための受託生産契約も交渉すると明らかにした。受託生産の契約は工場購入を完了する条件となっている。両社は追加のピックアップトラックプログラムのためのライセンス契約も検討することで合意した。

今回の取引はLordstownが重要な時期にある中でのものだ。現金不足の同社は今年初め、一連の失敗を犯したSPACを頼った。Lordstownは8月に自動車業界で長らく幹部を務め、Carl C. Icahn(カール・C・アイカーン)氏の持株会社の元CEO、Daniel A. Ninivaggi(ダニエル・A・ニニヴァッジ)氏をCEO兼役員として雇った。この指名の前、Lordstownの創業者でCEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏の辞任など、同社では何カ月も騒動が繰り広げられた。同社が想定以上に多くの資金を消費し、以前予想していたEnduranceの生産台数を達成できないことが明らかになった冴えない第1四半期決算を受け、CFOのJulio Rodriguez(ジュリオ・ロドリゲス)氏も辞任した。

提携の目的は、北米でのスケーラブルな電気自動車生産の増大しつつあるマーケット機会をLordstown MotorsとFoxconnがとらえることだと両社は声明文で述べた。ここにはFoxconnのEVメーカーFisker Incとの既存の提携も含まれる(LordstownとFiskerは別会社であり、関係は全くない)。

Fiskerは5月、Project PEARというプログラムで新しいEVを共同開発・生産することでFoxconnと契約を交わした。Personal Electric Automotive Revolutionの頭文字を取っているプロジェクトPEARの車両はFiskerブランドとして北米、欧州、中国、インドで販売される。生産準備は米国で2023年末までに始まる予定で、2024年に本格生産に入る、とFiskerは8月のTechCrunchとのインタビューで語った。

Fiskerは米国での生産場所を明らかにしなかったが、最終的にFoxconnにするかもしれない、とインタビューで語っていた。

Fiskerは9月30日、Foxconnからのニュースを歓迎する声明を出した。

「市場投入までの時間、十分に開発されたサプライヤーエコシステム、全体的なコスト目標などプログラムの主目的を達成することは、オハイオで生産するという決断で重要な要素でした」とHenrik Fisker(ヘンリック・フィスカー)氏は電子メールでの声明で述べた。「今年初めにFoxconnと提携を結んで以来、我々はデザインやエンジニアリング、サプライチェーン、生産などを含め、プロジェクトPEARのあらゆる面で密に協業してきました。米国で大量生産するというFiskerの約束は、今回の合意でさらに重要な一歩を踏み出しました」

Fiskerはまた、別の委託生産業者との車両プログラムも進めている。Fisker Ocean SUVは自動車委託生産業者のMagna Steyrが欧州で組み立てる。生産開始は予定通り2022年11月に始まる見込みだとFiskerは第2四半期決算会見で繰り返した。納車は欧州と米国で2022年後半に始まり、2023年中に月産能力を5000台超にする計画だ。中国の顧客への納車も2023年開始が見込まれている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

トラブル続きのEVメーカーLordstown Motorsが株式売却で約442億円の命綱を獲得

Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)が、同社の全電動ピックアップトラックを市場に投入するには十分な資金がないかもしれないという警告を発してから5週間後、投資会社Yorkville Advisorsが運用するヘッジファンドが、3年間で4億ドル(約442億円)相当の株式を購入することに合意したと、米国時間7月26日に発表された規制当局の報告書により明らかになった

Lordstown Motors社内の騒動はCEOとCTOの辞任につながっただけでなく、同社を破綻の危機に陥れている。今回の新たな契約によりLordstownは、同社初の電気自動車を生産するために必要な資金を確保し、事業を継続できる可能性が出てくる。株主総会で承認されれば、ヘッジファンドのYA II PNは、発行済み株式の約19.9%に相当する3510万株を購入することができる。

この資本は、ここ数カ月苦戦していたLordstownに命綱を与えるものだ。また、1株7.48ドル(約826円)で同社の株式を購入できるヘッジファンド側は、株価が上昇すれば経済的な利益を得られる。

Lordstown Motorsは、前CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)が経営するWorkhorse Group(ワークホース・グループ)から派生した会社だ。 Workhorse Groupはバッテリー駆動の輸送技術を持つ会社で、上場企業でもある。WorkhorseはLordstown Motorsの株式を10%保有している。

オハイオ州の自動車メーカーであるLordstown Motorsは、2019年に設立され、1年以内に特別買収目的会社(SPAC)であるDiamondPeak Holdings Corp.との合併契約に至り、時価総額は16億ドル(約1766億円)に達した。同社は2021年後半から、オハイオ州ローズタウンの旧GM組立工場でピックアップトラック「Endurance」の生産を開始する計画を立てていた。

その計画は頓挫し、一連の不手際や不正疑惑が同社の問題をさらに大きくした。

2021年3月、以前Nikola Motor(ニコラ・モーター)に関して発表したレポートが証券取引委員会の調査と創業者辞任につながった空売り筋のHindenburg Research(ヒンデンブルグ・リサーチ)は、Lordstown Motorsのショートポジションを取ったと発表した。Hindenburgは当時、ショートポジションの根拠について「収益も販売可能な製品もない会社であり、その需要と生産能力の両方について投資家を欺いていると考えられる」と述べていた。

Hindenburgは、Lordstownの電動ピックアップトラックの予約注文が10万台に達したという主張に異議を唱えたが、これは2021年1月にLordstown Motorsが共有した数字だ。ショートセラーである前者は「広範な調査の結果、同社の注文は大部分が架空のものであり、資本調達と正当性の付与のための小道具として使われているようだ」と述べた。

その2カ月後、Lordstownは第1四半期の決算で、資金不足のためEnduranceの生産台数が約2200台からわずか1000台に半減する可能性が高いと報告した。

CEOとCTOが辞任した翌日、Lordstownの幹部らは、2022年5月までの電動ピックアップトラックの限定生産に必要な資金を提供するだけの拘束力のある予約注文を受けている、と述べて投資家を落ち着かせようとし、ますます深みにはまった。同社はこの発言を数日以内に撤回した

米国司法省(DOJ)と米国証券取引委員会(SEC)は、別々に同社を調査している

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

米国証券取引委員会が調査中のEVスタートアップLordstown Motorsを米司法省も調査開始

Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)は迷走し続けている。米国証券取引委員会(SEC)による継続的な調査に加え、苦境に立たされているEVスタートアップに対して、米国司法省(DOJ)も調査を開始したのである。

ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が米国時間7月2日に最初に報じたこの調査は、匿名の情報筋によるとまだ初期段階にあるとのこと。マンハッタン地区連邦検事庁によって行われているという。

同社の広報担当者はTechCrunchに対し「Lordstown Motorsは、規制当局や政府によるあらゆる調査や問い合わせに協力することにコミットしています」と述べている。「当社の新しいリーダーシップと献身的なチーム全体が、最初で最高のフルサイズ全電動ピックアップトラックである『Lordstown Endurance』の生産に専念できるよう、この章を閉じることを待望しています」とも。

今回の調査は、Lordstown Motorsの一連の苦境の中での最新の出来事だ。同社は先日、電動ピックアップトラックのデビューモデルである「Endurance」の生産台数を約2200台から1000台へと半減させたと発表した。この発表からわずか数週間後の6月14日、創業者兼CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏とCFOのJulio Rodriguez(フリオ・ロドリゲス)氏が辞任するという経営陣刷新のニュースが飛び込んできた。バーンズ氏は、以前に同氏が創業したスタートアップであるWorkhorse Groupの子会社としてLordstown Motorsを設立した。

LordstownはGeneral Motors(GE、ゼネラルモーターズ)からの投資により、2019年末に大手自動車メーカーから620万平方フィート(約57.6ヘクタール)の工場を購入し、好調なスタートを切っていた。Lordstownは2020年8月、特別目的買収会社(SPAC)との合併による株式公開を発表し、ポジティブな見出しを作った。この取引により同社は約6億7500万ドル(約749億円)の総収入を得て、時価総額は16億ドル(約1776億円)にまで急上昇した。しかし、それから1年も経たないうちに、Lordstownは米国証券取引委員会(SEC)に対し、Enduranceを製造するための十分な資本がないことを報告した。

さらに2021年3月にはショートセラー会社のHindenburg Researchが、Lordstownの電動ピックアップトラックの予約注文が10万台に達したという同社の主張に異議を唱えるレポートを発表した。レポートには「広範な調査の結果、同社の注文はほとんどが架空のものであり、資本調達と正当性の付与のための小道具として使われているようだ」と書かれている。これらの告発を受けて、SECは調査を開始した。

WSJの記事ではDOJ調査の範囲は不明で、同社は詳細の説明を拒否している。TechCrunchがさらに情報を得られた場合、記事を更新していく。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

Lordstown Motorsが電動ピックアップトラックの生産見通しを大幅に下方修正、それでもさらに現金が必要か

Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)と特別買収目的会社(SPAC)が見たキャッシュリッチの夢は、単なる願望に過ぎなかった……。同社が米国時間5月下旬に発表した第1四半期の業績は、赤字まみれの残念なものだった。

赤字の原因としては、予想を上回る費用の増加、さらなる資金調達の必要性、2021年のEndurance(同社初の車両)の生産台数が想定を下回り、約2200台から1000台に減少したことなどが挙げられる。要するに、同社は巷の予想よりも多くの現金を使ってしまい、Enduranceの量産が予定よりも遅れてしまったのだ。

2020年、SPACとの合併により上場した同社の株価は、合併後の最高値から急激に下落している。同社の株価は、米国時間5月24日に公表された2021年第1四半期報告書を受けて、取引終了後にさらに7%下落した。

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Lordstown Motorsは約1年前、社運をかけた全電動ピックアップトラックEnduranceの試作車を披露したが、投資家を盛り上げることはできなかった。

Lordstown Motorsは、CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏が所有していたWorkhorse Group(ワークホース・グループ)から派生した会社である。1998年に設立されたWorkhorse Groupは、バッテリーや電気輸送技術を扱う小さな上場企業であるが、さまざまな局面で苦しい経営を強いられていた。その分社であるLordstown Motorsは、11月にGMからオハイオ州ローズタウンにある57万6000平方メートルの工場を買収し、2021年後半から年間2万台の電気トラックの製造を開始するとしていた。

生産上の不幸、資本上の懸念

第1四半期の決算は収益ゼロ。1億2500万ドル(約136億円)の純損失を計上して5300万ドル(約58億円)の資本的支出を行ったLordstown Motorsだが、その多額の支出に見合うだけの成果を上げることはできなかった。

同社は報告書の中で、Enduranceの生産を2021年中に開始するが、その生産量は「せいぜい事前予想の50%程度」と述べている。それにもかかわらず、多額の現金を取り崩したことは、投資家にとってはうれしい話ではない。

バーンズ氏は米国時間5月24日に行った投資家との電話会議で「当社の調査によると、当社の自動車に対する需要は非常に旺盛である。しかし、資金の問題で、当社が期待する数の車両を製造できない可能性がある。そのため当社は常に資金需要と戦略的資本を含むさまざまな種類の資金調達を調査している」と話している。

先般のSPACとの合併による資金調達にもかかわらず、Lordstown Motorsの2021年末の流動資産はわずか5000万~7500万ドル(約55億~約82億円)であろうと予測される。2020年末の同社の手元の現金は6億3000万ドル(約688億円)、2021年第1四半期には5億8700万ドル(約640億円)だった。同社は、通常の事業費の現金支出に加えて「2億5000万~2億7500万ドル(約273億~約300億円)の資本的支出」を見込んでいる。

バーンズ氏によると、同社は資産担保型の資金調達について金融機関と協議中とのことだが、どの金融機関かは明かされていない。

「当社には負債がなく、多くの資産があり、多くの部品を購入しています。そのため、資金調達に協力してくれる企業があるのです」とバーンズ氏。Lordstownは、米国の「先端技術を利用した自動車製造に対する融資プログラム(Advanced Technology Vehicles Manufacturing、ATVM)」の対象になることも諦めていない。バーンズ氏が「2010年1月にATVMの融資を受けていなければTesla(テスラ)は存在していなかった」と繰り返す中、同社の経営陣によると、審査機関によるデューデリジェンスが何度か実施されたとのことだが、時期についてはコメントされていない。

SPAC合併後の企業にとって、Lordstownのいまひとつな業績と弱気な取引は、SPACを利用してEVやその他の自動車関連企業を上場させるブームが時期尚早であったかもしれないということを示している。

Lordstownは、2020年9月に時価16億ドル(約1750億円)のSPAC合併を発表し、株価は52週高値で1株31.80ドルまで高騰した(米国時間5月24日時点では8.77ドル)。

バーンズ氏は、ハブモーターの構造や物理的なシンプルさなど、同社が主張する競争優位性を自賛し、それが所有コストの軽減につながると話す。しかし同社は、EVに新規参入したRivian(リビアン)やTesla(Cybertruckを生産開始予定)、さらにはFord(フォード)のような歴史のあるメーカーとの厳しい競争にさらされている。Fordは2021年5月初め、同社の名を冠したF-150トラックモデルの電動モデルを発表したが、価格は4万ドル(約490万円)以下に設定された。

しかしバーンズ氏は、同社が競合他社と同位置にあり、自動車の需要に応じて「飛びかかれる」ようにしておきたいとの思いを繰り返し、Rivian R1TやFord F-150 Lightningには及ばないものの、約400kmの目標航続距離を達成する自信があると話す。

Lordstownは、2021年1月に10万件というマイルストーンを達成したと発表された予約注文について、ざっくりとした最新情報も公開した。バーンズ氏は、そのうち約3万台が「車両購入契約」と呼ばれるものに変更されたと話すが、そのうち何人がどの程度の支払いを行ったかについては言及せず「その契約の多く」が何らかの頭金を含む契約であると述べるにとどまった。

同社は、2台目の電動バンの開発にも着手しており、2021年の夏の終わりには試作車が完成する予定だ。

決算

Lordstownの第1四半期の業績に目を向けると、非常に複雑な製品のテストと生産規模の拡大に苦慮している収益を生み出す前の段階の企業であることがわかる。非常にコストの高い取り組みだ。

同社の計算書は次のとおりである。

画像クレジット:Lordstown

同社の販売管理費が以前よりも増加しているのは、研究開発費が急増していることに比べれば大したものではない。Lordstownの株式を保有している投資家は、早く製造が軌道に乗り、大量生産につながることを期待しているが、これは納得しがたい損益計算書だ。

2021年第1四半期、Lordstownは研究開発費として約9万1000ドル(約1000万円)を支出した。LordstownのCFOであるJulio Rodriguez(フリオ・ロドリゲス)氏は「予想を上回る研究開発費の増加は、サプライチェーンの逼迫(ひっぱく)やコロケーションによる部品コストの上昇が主な要因です。ベータ版のコスト、スピード配送を含む出荷コストの上昇、一時的な外部エンジニアリングへの依存の拡大はこの影響を受けたものです」と話す。

同社幹部は、自動車の予約注文を偽装していると主張する空売り筋のHindenburg Research(ヒンデンブルグ・リサーチ)の告発についても、簡単に言及した。Hindenburgによると「広範な調査の結果、Lordstownの注文はほとんどが架空のもので、資本を調達し、正当性を得るためのまやかしであることが判明した」とのこと。

バーンズ氏は投資家に対し、同社が報告書の疑惑を調査するために特別独立委員会を設立したことを伝えた。この委員会は、同社が協力している米国証券取引委員会による調査とは別のものだという。

なお、このようなLordstownの決算にもかかわらず、TeslaとNikola(ニコラ)の株価には大きな変化はなかった。

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画像クレジット:Lordstown Motors

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(文:Alex Wilhelm、Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)