アドテクには相関性より因果関係、ClearBrainが因果分析ツールを発表

どんなビジネスも、原因と結果を知りたがる。「誰かがXをしたから売上が増えたのだ」「売上が減ったのはYをしたからだ」などなど。そこで多くの企業がデータ分析に頼りたがるが、ClearBrainの共同創業者でCEOであるBilal Mahmood(ビラル・マフムード)氏に言わせると、これまでのアナリティクスは原因と結果に関する質問に正確に答えられない。

「今のアナリティクスのプラットホームはどれも相関モデルを基盤にしている」とマフムード氏は言う。それは、古典的な相関関係と因果関係の問題だ。データを利用して行為と結果を関連付けようとするが、そこから原因と結果の直接的な関連を導き出すことはできない。相関性は必ずしも因果関係を意味していない。

ClearBrainは、この問題を同社独自の「因果分析」(Causal Analytics)ツールで解決しようとする。同社のブログ記事によると「データの統計的処理の方は完全に自動化して、初めての大規模な因果推論エンジンにより、成長担当チームが各アクションの因果効果を測定できるようにする」とのこと。

このブログ記事はとても詳細だが、しかしその要点は、マフムード氏と彼にチームには、今まで誰にもできなかった正確な因果関係の導出ができるという主張だ。

ClearBrain analytics screenshot

そして同社はそれを、A/Bテストに利用する。顧客はClearBrainのデータを見て、次に何をテストするのかプライオリティを決める。そしてテストできない要素については、そのインパクトを推計する。それについてマフムード氏は「ウェブサイトやアプリケーションのすべての変数(変項)のインパクト、会話に対する実際のインパクトを知ろうと思ったら、数年はかかるだろう」と語る。

昨年TechCrunchがClearBrainを取り上げたときには、人工知能を使ってターゲティングを調整していたが、しかしマフムード氏によると、その後顧客の要望に応えて新しい分析技術を使うようになった。「顧客が知りたいのはその広告を見た人が実際に商品を買うか買わないかだけではなくて、買う、買わないとしたらなぜそうなのか、その原因を知りたいのだ」と彼は言う。

同社の因果分析ツールは今一部のアーリーアクセスユーザーが利用できるが、全面展開は10月を予定している。料金体系は何層かに分かれているが、スタートアップの多くは無料で利用できる。

因果分析ツールのアーリーアクセスと並行してClearBrainは今週、Harrison MetalとMenlo Venturesからの200万ドル(約2億1275万円)の新たな資金調達を発表した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

共同作業へのシフトでロボティクス・アズ・ア・サービスの時代になる

(編集部)この記事はMenlo Venturesのパートナー、Steve Sloaneの寄稿だ。

2018年のクリスマス商戦は大盛況でオンライン売上は1260億ドル近く と過去最高を記録した。しかしeコマースがが拡大し続ける中、人手不足は労働力の供給を上回った。これにより倉庫作業のオートメーションの必要性が以前に増して強くなっている。

Amazonがeコマースに占める優位性と事業規模を考えれば、同社が人間の労働をロボットで補完し始めた最初の企業の1つであることは当然だろう。2012年にKivaを買収して以後、さまざまなロボットがAmazonの施設で多様な作業を実行している。しかしロボットは人間の作業を完全に不必要とするレベルには達していない。

現在、テクノロジーの進歩と低コストの部品供給のおかげで、ロボットは企業のスケールを問わず利用しやすいものとなっている。これが共同作業ロボットまたは「コボット」の登場に道を開いた。

inVia Roboticsの倉庫作業ロボット

コボットは、高度なセンサー技術と接続性、AI、Lidar/レーダー、GPSなどの利用により正確性、柔軟性が増している。またハードウェアだけでなく機械学習を利用したフトウェアは幅広いタスクへの適応を容易にする。コボットはスタンドアローンのロボットよりより汎用性が高い。実際、多様なセンサーを装備したロボットはその場で学習して新たな課題に適応できるため現実のユースケースも拡大している。

もちろん今すぐに共同作業ロボットへの本格的移行が始まると期待するわけにはいかない。コボットはまだまだ初期段階にある。 ビック4(KUKAABB、FANUC安川電機)がほぼ独占する世界の産業用ロボット市場は$2017年には150億ドル以上の規模があったが、そのうちコボットは2億8700万ドルしか占めていなかった。しかし、倉庫のデジタル化は巨大な市場であり、スタートアップの企業価値創造に絶好のチャンスを与える。

この点では過去に起きたソフトウェアからSaaSへの移行を想起するのが役立つ。伝統的な売り切りのビジネスモデルはクラウドベースのサービス・サブスクリプションに取って代わった。これによりプロバイダーに確実な収入が定期的にもたらされるようになった。現在ロボット市場はインテグレーター企業が主導する売り切りモデルで、製品サイクルは長期にわたる。これに対し、将来のロボット産業の主流は 業種ごとのGTM(Go-To-Market)戦略と信頼性の高いソフトウェア・マネージメント・プラットフォームを組み合わせることにより、初期のSaaSプロバイダと比較できるような顧客忠実度の高いビジネスとなっていくはずだ。

6 River Systemsのロボットはアイテムを運搬するだけでなく倉庫内の必要な場所に作業員を先導する

これに加えて、コボット・テクノロジーは人間の労働を補完して明確に効率を高めつつ、低コストであるため導入の障壁を低くする効果も持つ。これはコンピューティングのクラウド化によって企業がインフラへの多額の先行投資をせずに最高のパフォーマンスを入手できるようになったのと同じ原理だ。

われわれはロジスティクス、食品、セキュリティーなど従来ロボットの導入が進んでいなかった業界にもコボットが浸透するものと考えている。これらの分野に全面的なソリューションを提供できるならユーザーにとってきわめて魅力的であり、歓迎されるはずだ。たとえば、上の写真で示した6 River Systemsのコボット、Chuckはクラウドネットワークから情報を得て目的の棚に移動し、倉庫作業を大幅に効率化する。人とロボットの関係をダイナミックに捉え直すには作業員と共同で倉庫作業を行うChuckはよいサンプルだろう。

セキュリティーの分野では、Cobalt Roboticsが自動走行ロボットによって人間がオフィスをリモートで監視することを可能にし、人件費の削減とセキュリティー強化の実現を図っている。

モノをつまみ上げることに特化したRightHand Robotics、上の写真で紹介した倉庫作業効率化のinVia Robotics、また商品の宅配に利用が開始されたミニ6輪ロボット、 Starshipも特定の環境で人間の労働に取って代わる準備を進めている。

この分野のイノベーションは急速であり、数年のうちにさまざまな部門で効率化と成長をもたらすだろう。マサチューセッツ工科大学、カーネギーメロン大学、ジョージア工科大学などの著名な大学におけるロボティクス研究プログラムはトップクラスの人材プールとなっている。こうした人々が起業家に転じ、適切なタイミングで大胆にチャンスをつかむならロボット業界全体を発展させることができる。

Menlo Venturesにおける私の同僚パートナー、Matt Murphyは「ロボティクスはいよいよ黄金時代に入りつつある。ロボティクスは産業のメインストリームに入ってさまざまな分野の効率を高めるだけでなく、場合によっては不可能を可能にするだろう」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ペットシッター・サービスを展開するRover、3億ドルの企業評価にて4000万ドルの資金を調達

シアトルに拠点をおくRoverが、4000万ドルのラウンドを行なっているところなのだとのこと。

このシリーズEのラウンドでは、Roverの企業価値は3億ドルとなっているのだそうだ。出資するのは、これまでにも出資しているMenlo Ventures、Madrona Venture Group、およびFoundry Groupなどだ。ちなみにRoverは前回にも5000万ドル以上の資金を調達している。

Roverのスポークスパーソンに質問してみたところでは「噂や想像に基づく質問には回答できません」とのことだった。

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Roverのサービスインは2011年で、1泊のペットシッターサービスとしてスタートした。昨年には散歩サービスなどを追加してサービスメニューを拡充している。また、飼い主に散歩状況をわかりやすく伝えるRover Cardなる機能も実装している。

Roverによると年間の収益は合計で1億ドルにも達しているそうで、シッター数も50%増加して6万5000名となっているのだとのこと(ライバルとなるDogVacayは、今年初めの段階でシッター数を2万5000名と発表している)。

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(翻訳:Maeda, H

不法侵入ドローンを即座に探知するDedroneが1000万ドルの資金を調達

2016-05-18-dedrone_image

一般ユーザー向けドローンはますます高性能化、低価格化中だ。こうした中、上空をモニターしてドローンの進入を即座に告げるシステムを開発しているスタートアップ、 Dedrone Inc.が1000万ドルのベンチャー資金を調達した。

シリーズAのラウンドをリードしたのはMenlo Venturesで、今回の資金調達によりDedroneの資本は総額1290万ドルとなった。

Dedroneの共同ファウンダー、CEOのJoerg Lamprechtによれば、同社のフラグシップモデル、DroneTrackerシステムには多様なセンサーが搭載され、監視対象地域の周囲の地上に設置される。招かれざる客であるか否かを問わず、上空に入ってきたドローンを探知する能力があるという。

ドイツで製造されたDroneTrackerにはカメラ及び音響、電波センサーが組み込まれ、ドローンの存在を探知するだけなく、種類も特定できるという。狭い地域の監視であれば、DroneTrackersは1、2基しか必要としない。スポーツやコンサートが開かれるスタジアムなどの大規模な施設になると10基以上が必要となる。

Dedroneはセンサーで収集したデータをいかなるサードパーティーにも販売しないが、上空周辺で記録されたドローンの活動を日報にまとめて利用者に知らせる。DedroneはこのシステムをBooz Allen HamiltonやBosch Security Systemsのような物理的警備を実施する能力のあるパートナーを通じて販売する計画だ。

Lamprechtは民間のドローンの多くは崇高な目的のために利用されているとして、 絶滅危惧種の保護遠隔地の病院への薬の配送、農業における水の節約支援などの例を挙げている。

しかしドローンの普及は同時にあやしげな目的での利用も増加させている。ドローンを使って麻薬を刑務所内に落とす、工場をスパイする、個人の家をのぞき見するなどの例が報告されている。またドローンの販売台数とともに事故件数も増えている。ホワイトハウスの芝生に墜落したり、カリフォルニア州で送電線に引っかかったドローンもある。

Lamprechtは「ドローンが有用であるためには、現在見られるような空の無政府状態を乗り越えねばならない」という

Dedroneはドローン・ユーザーのために上空でのドローンの稼働状況をモニターできる能力をDroneTrackerシステムに追加する計画だ。

Menlo Venturesのマネージング・ディレクターのVenky Ganesanは「われわれがDedroneを支援する理由は、ドローン関連の望ましくない問題が世界中で急増することは間違いないと考えるからだ」と述べた。

Dedrone cofounders and their DroneTracker hardware.

Dedroneの共同ファウンダー。左から右に、Ingo Seebach、Joerg Lamprecht、Rene Seber.

「ドローンの普及でセキュリティーに関する限り、地上に設置された塀は無意味になった。ドローンが侵入できないほど高いフェンスはありえない。 Dedroneはサイバーセキュリティーと物理的セキュリティーを同時に提供する」と共同ファウンダーのGanesanは述べた。

現在40人のフルタイム従業員をかかえるDedroneは、最近本社をドイツのKasselからサンフランシスコに移した。

DroneTrackerは現在すでにスタジアム、空港、データセンター、高級ホテル、セレブの自宅などの高価値施設の警備に用いられているという。しかしLamprecthは「セキュリティー上の理由からユーザーや利用箇所について具体的なことを明らかにすることはできない」と述べた。同社は例外としてメッツ球団の本拠であるニューヨークのシティ・フィールド・スタジアムの警備にDedroneシステムが利用されていることを挙げた。

民間ドローンの安全性を高めるためのスタートアップがベンチャーキャピタルの支援を受けた例としてDedroneは最新のものとなる。この種の他の例としてはPrecisionHawkAirMapDroneDeployなどがある。

Internet Security SystemsのCEO、Tom NoonanとTarget PartnersがDedroneのエンジェル投資家に含まれている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

インド人技術者は自国の社会開発に注力を, 草の根コラボの拠点Codeforindia

[筆者: Mahesh Sharma]
【抄訳】

大型ハリケーン、サンディのとき、テクノロジ側からの復興努力をコーディネートした人物が、今度はもう一つ別の、焦眉の状況に対応しようとしている。インドの、衰退が進む社会基盤だ。その人物、Menlo VenturesのパートナーKarl Mehtaは、個人のお金でWebサイトcodeforindia.orgを立ち上げ、西欧で教育を受けた若いインド人ソフトウェアエンジニアを、あの亜大陸で努力している非営利活動家たちに結びつけようとしている。

アメリカやそのほかの国々で仕事をしているインド人プログラマのことをDesi(サンスクリット語で国外離散者の意味)と呼ぶが、すでに数百名のDesiたちがこのサイトにボランティアして、二つのアプリケーションを作った。そのうちの一つ”adopt-a-school“〔仮訳: 学校はあなたの養子〕は、人びとを地域の学校に意識的に関わってもらうためのもの。デベロッパとソーシャルワーカーたちは、協力と連絡のためのメディアとしてWikiを用いる(現状で6つのプロジェクトがあり、ディスカッションのページもある)。プロジェクトは主に、4つの分野に力を入れる: 教育、起業、食料、水。

目的は、技術的な能力をインド社会が今切望してやまないものに注ぎ込むことだ。インド各地に地元で活動しているソーシャルワーカーたちはいるが、十分なリソースがないため活動を州とか国レベルに広げていくことができない。

“ボパールでもビハールでもカシミールでも、どこでも地元のパートナーを求めている。私たちは、その人たちを技術で支えたい”、とMehtaは言う。“NGO的に活動している善意の人びとは数百万人はいると思われるが、ほとんどの人がテクノロジに関して無知で、またテクノロジを導入するためのリソースもない。だから、NGOは多くても、ほとんどの人たちが活動を拡大できないのだ”。

【中略】

インドでは、西欧人の善意で始まる社会的活動は多いが、ほとんどが尻すぼみで終わる。Methaは、主体がインド人Desiたちならばデベロッパたちの関わりが今後も持続する、と信じている。また、インドでこれまでうまくいったスタートアップやビジネスは、西欧世界のようにクールで華やかなものではない。たとえば最近Ibiboが買収したRedBusは、全国のほとんどすべてのバス会社の乗車券を、ここ一か所で安全確実に買える。FlipKartは、クレジットカードのない人が代引きで何でも買えるネットショップだ。また三行広告のJustDialは充実した企業情報を誇り、情報の精度ではGoogle検索をしのぐ、と評価されている。

オバマ政権下で大統領直属のイノベーションフェローでもあるMehtaは、ハリケーン・サンディのときの技術者たちやテク企業が提供する復興努力をみて、とても大きな長期を要する問題(インドの地域社会開発)にデベロッパの無償協力を結びつけることを考えついた。デベロッパこそが、中心的に活動すべきだ、と。

“サンディのときは、デベロッパたちがガソリンスタンドや電力会社などのプライベートセクタと、政府諸機関と、罹災者たちをリアルタイムの情報ネットワークで結びつけた。その自然発生的な協力体制を見て、この方式はインド社会を助けることができる、と直感した”、Mehtaはそう言う。

彼曰く、インドでは往々にして政府が何かの実現者であるよりもむしろ妨害者である。だからこそ、草の根レベルの、そして技術をバックボーンに持つ、社会開発ネットワークが真価を発揮するのだ、と。

[画像クレジット: Pollinate Energy]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))