フェイスブックが最も安いVRヘッドセットOculus Goの販売を終了

Facebook(フェイスブック)は、同社のバーチャルリアリティーヘッドセットで最小機能、最低価格のOculus Go(オキュラスゴー)の発売を終了すると発表した。発売からわずか2年しか経っていない。

フェイスブックのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が、2017年末に同製品を発表した。同社がスタンドアロン型ヘッドセットを販売したのはこれが初めてであり、VRは高価すぎるという消費者の認識と戦っていた。価格が199ドル(約2万1000円)からのOculus Goは、度重なる改訂を強いられながらも数年にわたり相当量ライブラリーを築いたSamsung Gear VRの販売中止を受けた代替品というのが主な位置づけだった。

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このエントリー製品は、消費者をVRの概念に引き込み、上位機器にアップグレードさせることが目的だった。しかしデベロッパーを呼び込むには市場が小さく、デベロッパーはRift SやQuestといった技術的に高度なプラットフォームに興味を示した。フェイスブックは2019年に399ドル(日本販売価格5万4780円)のOculus Questを発売し、Oculusの消費者戦略を進めるには位置追跡可能なヘッドセットが最良の選択であることがすぐに明らかになった。

フェイスブックはGoの発売を2020年中に終了するが、ウェブサイトではかなり前からすでに在庫切れだ。Oculusは同デバイスのバグ修正とセキュリティー修正を2022年まで継続するという。Oculus Goはフェイスブック最後の位置追跡のないヘッドセットとなり、同社は米国時間6月23日のブログ記事で「今後3DoF VR製品を販売することはない」と書いている。

ここ数カ月間、フェイスブックは同社のVRヘッドセット製品ラインであるGo、Quest、Rift Sの需要に応じることができず、長い間在庫切れが続いている。Goの販売が中止されたことで、類似の部品を利用するヘッドセットのサプライチェーンの整備が進むことが期待される。

Goの販売中止の発表とともに、Oculusはアプリエコシステムを開放しデベロッパーのアプリ配布を容易にする方法を検討していることを明らかにした。OculusがQuestを発売した際、Oculus Storeには承認されたソフトウェアのみを置き、実験的要素の強いアプリの拒否に力を注ぐ同社の閉鎖的な方針が議論になった。一部のデベロッパーは、非公式にダウンロードする「サイドロード」をユーザーに勧めたが、効果があったのはマニアに対してだけだった。

フェイスブックはOculus Storeのアプリ選出方法は変えないが、新たな配布方法について詳細の一部を発表した。

これでデベロッパーは、Questを所有しているユーザーへのアプリ配布が、Oculus Storeの認定を受けずに可能になる。まだ詳細を話すことはできないが、当社のストア経由でアプリを配布していない人たちを含め、多くのデベロッパーがQuestを扱えるためのプランを一部だけでも紹介したかった。

OculusのQuestアプリの承認プロセスは、自分のアプリを拒絶されたデベロッパーの間で不評だった。フェイスブックが3本の柱からなる製品ラインから柱のひとつを外したことで、デベロッパーにQuestのタイトルを扱いやすくする必要を感じたに違いない。Oculusは少なくなった製品を多くのユーザーに使ってもらわなくてはならなくなったわけで、アプリの配布方法に変更を加える必要を認識したことは当然だろう。

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculusが「法人向け」を強化、「Quest」の提供とデバイス設定・管理のツールを発表

米国時間4月30日、サンノゼのマッケナリー・コンベンション・センターで開催された、Facebookのデベロッパー向けカンファレンス、「F8 2019」。

VRヘッドセットの「Oculus Quest」と「Oculus Rift S」が5月21日に発売開始されるとマーク・ザッカーバーグ氏により発表され、会場は大盛り上がりだった。コンシューマー向けのゲームももちろん魅力的だけれど、ビジネス向けのOculusに関する新発表も興味深いものだ。

F8で開催されたセッションでは、FacebookのEnterprise Ecosystem担当のIsabel Tewes氏とEnterprise PMのAndrew Mo氏が、Oculusのビジネス向けサービス「Oculus for Business」のOculus Questが追加された新バージョンを今秋より提供開始すると発表した。

「VRヘッドセットは従業員のトレーニングを『効率化し効果的にする』ためのツール」(Tewes氏)

Enterprise Ecosystem担当のIsabel Tewes氏

「どのようなツールが我々(の業務)をより効率化し効果的にするのか。テクノロジーは急速に、職場の『あり方』を変貌させる。ツールは常に進化していていて、過去に発明されたツールは私たちにとって必要不可欠なものとなった。VRもそのようなツールになるだろう」(Tewes氏)

Tewes氏はそう話し、実際に仕事の現場でどのようにVRが活用されているのか、説明を始めた。

1つの例がウォルマート。アメリカだけで100万人もの従業員を抱えるウォルマートは、従業員にVRトレーニングを提供している。内容は、買い物客が殺到する「ブラックフライデー」を含む、「どのような状況」でもフレンドリーな接客を提供するために必要なスキルを磨くためのシミュレーション。ウォルマートはVRによる教育訓練を提供するSTRIVRと手を組みVRトレーニングを提供している。

STRIVR / Walmart

ウォルマートとSTRIVRは昨年に実証実験を開始。200箇所で12種のトレーニングシミュレーションを試みた。「効果的だ」と認められ、2018年の終わりには17000台のOculus Goを全米の4700店舗に導入。今では50ほどのトレーニングプログラムが用意され、2019年中には100万人もの従業員がVRヘッドセットを活用したトレーニングを受ける予定だ。

STRIVRの調査によると、従来の従業員トレーニングと比較し、VRを活用した場合は、訓練にかかる時間が40%削減、そして70%の従業員が従来のトレーニングを受けたスタッフと比べ高いパフォーマンスを発揮した、とTewes氏は説明する。

また、Tewes氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュートとのパートナーシップも併せて発表した。医療従事者に対してトレーニング機会を提供するジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュートは今秋よりOculus Questを使ったトレーニングの提供を開始。VR手術トレーニングシステムのOsso VRとの実証実験という形でのスタートとなる。

Osso VR

Osso VRの調査によると、従来の従業員トレーニングと比較し、VRを活用した場合は、パフォーマンスが230%向上する、とTewes氏は述べた。

また、Osso VRの別の調査では、膝の手術のシミュレーションにおいて、従来の訓練を受けていた生徒はアドバイスを求めながら11分39秒、VRでの訓練を受けていた生徒は6分29秒で全てのプロセスを完了したという。

Oculus for Businessを通じ従業員にVRトレーニングを提供している企業(一部)は以下の通り。

関わっているデベロッパー(一部)は以下の通り。

「トラック1台分のOculus Questが届いて、そのセットアップを担当する羽目になった自分の姿を想像してみてほしい」(Mo氏)

Enterprise PMのAndrew Mo氏

Mo氏は「大企業にも対応が可能な」デバイスのセットアップとマネージメントのためのソフトウェアツールを発表。

このソフトウェアツールは、多くのOculusデバイスのセットアップ、マネージメントを一括で行えるもの。

セットアップ用のアプリ(Bulk Device Setup App)を使うことで、Bluetoothで複数のOculus QuestをWi-Fiに接続し、ビジネス向けソフトウェアを全てのデバイスに同時にインストールすることが可能だ。

デバイスのセットアップが完了したら、マネジメント用のプラットフォーム(Device Management Web Portal)を使い、設定を変更したり、アプリを管理したりすることができる。デバイスがWi-Fiに接続されている限り、どこでも調整を行うことが可能だ。

デバイスをグループ分けして管理することも可能。

故障した場合、プラットフォームで状態を確認、カスタマーサポートに連絡し、代用機を依頼することができる。

Oculus for Businessでは、Oculus Goは599ドル(64 GB)、Questは999ドル(128GB)。この値段には1年間の製品保証、ソフトウェア、そしてカスタマーサポートが含まれる。

2年目以降、ソフトウェア利用には年間180ドル(ヘッドセットごとに)が必要だ。Questを投入しサブスク化することで、Facebookは対エンタープライズを強化していく。

2018年最高・最悪ガジェット記事が1位(2018年12月ランキング)

2018年にアクセス数の多かった記事を月別に紹介していく年末企画。12月30日までのアクセスは「2018年の最高&最悪のガジェットまとめ」が1位だった。

この記事で最高のガジェットとして登場したのは、スマートスクリーンの「Google Home Hub」、スクリーンがビルトインされた349ドルのジンバル「DJI Osmo Pocket」、そしてスタンドアロンのVRヘッドセット「Oculus Go」など。一方、最悪として紹介したのは、スマートフォンとして復活した「Palm」、1293ドルのスマートフォン「Red Hydrogen One」、スマートスクリーンの「Facebook Portal」など。最悪ガジェットに選ばれた製品は、発展途上で今後進化する可能性があるものの、現時点では期待値を大幅に下回ったことで評価が低くなってしまった。

12月20日公開ながら、ホンダジェットエリート(HondaJet Elite)の記事が3位にランクイン。実はTechCrunchは、同機の国内初の個人オーナーとなった千葉功太郎氏がジェネラルパートナーを務めるDrone Fundに招待されるかたちで発表会に参加した。「千葉さん、どこにいるのかな?」と会場を探していたのだが、まさかファーストデリバリーの相手が千葉氏だったとは。

4位にランクインした記事にも注目だ。「タクベル」からサービス名称を変えた「MOV」はタクシー配車アプリとしては後発だが、企業とタイアップして地域限定ながら高速料金や迎車料金を含むタクシー代を無料にするというゼロ円タクシーを開発。話題性は抜群だった。このタクシーが走行するだけで商品の宣伝となり、実際に乗車した人は車内でその商品を激推しされる。ゼロ円タクシーのファーストスポンサーとなった日清食品にとっても費用対効果の高い施策になったはずだ。

1位 2018年の最高&最悪のガジェットまとめ
2位 Google Pixel SlateがOSの課題を浮き彫りにする
3位 ホンダジェットの国内第一顧客は、千葉功太郎氏、堀江貴文氏、山岸広太郎氏と発表
4位 ゼロ円タクシーも登場!DeNAのタクシー配車サービス「MOV」始動
5位 NORADのサンタクロース追跡サービスは政府が閉鎖しても継続する

YouTubeのVRアプリがOculus Goにやって来る

ここしばらくGoogleのVR、 DaydreamでベストのコンテンツはYouTubeだった。 ここには大量の360コンテンツが用意されているが、FacebookのOculus Goヘッドセットでは見ることができなかった。

Facebookが開催しているOculus Connect 5デベロッパー・カンファレンスのキーノートで、今朝(米国時間9/26)、YouTube VRが発表された。このアプリが利用できるようになれば、定価199ドルという手頃な価格のOculus Goで大量のVRコンテンツを体験することができるようになるはずだ。

YouTube VRは各種のVRビデオのフォーマットをサポートしている。360 spheres、 360 livestreams、それにVR180プラットフォームで作動する3D立体視ビデオなどだ。

取材中…

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滑川海彦@Facebook Google+

Oculus Go、企業向けバンドルを299ドルで発売

Facebookのバーチャルリアリティー部門であるOculusは、ヘッドセットのOculus Goのビジネスユーザー向けセットを直販する。今日(米国時間7/17)から、企業ユーザーは64GB Oculus Goのビジネスバンドルを299ドルで注文できる。

Oculusはビジネスユーザーに対してさほどの追加料金を要求していない。50ドルで追加のアクセサリーと延長保証、専用のサポートなどを提供する。

現在OculusはRiftのビジネスバンドルを799ドル(Rift単体は399ドル)で販売しており、セットには今回と同様の追加がなされている。OculusがOculus Goに数多く売れることを期待しているの明らかであり、利幅も下げているのだろう。

Oculusには本格的ビジネスチャンスがある。複数のRiftとPCを動かすことは想像を絶する苦労であり、専門のトラブル対応要員が必要になりスケーリングも困難だ。Oculus Goなら機能的に多少制限されていても圧倒的にシンプルであり、Samsungのスマートフォンを挿入しなくてすむのは、スマホ自身のアップデートの手間を考えると大きな魅力だ。つまるところ、PCのパワーを必要とする一部のパートナーやゲームデベロッパーを別にすれば、スタンドアロンのヘッドセットの方がカジュアルなビジネスユースに適していることは明らかだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculus Go、専用TVアプリを発表

Oculusは、ヘッドセットOculus Goの大きなバーチャルスクリーンでストリーミングビデオを見るためのTVアプリを公開する。

同社はFacebookのF8デベロッパーカンファレンスで、低価格ヘッドセットの能力を最大限に引き出す専用アプリ4種のうちの1つとしてOculus TVを披露した。アプリは5月末に公開されるはずだったが、ようやく目にすることができた。

Facebookは199ドルのOculus Goの大きなセールスポイントを、最も安いホームシアターにしたいと思っている。Oculus TVは、伝統的ビデオ視聴に関わるあらゆる機能を揃えるための大きな一歩だ。アプリは既存のヘッドセットユーザーに無料で配布されるほか、今後はデバイスにプレインストールされる予定。

アプリは巨大2Dスクリーンのあるバーチャルリビングルームを中心に展開され、ユーザーはそこで好きなビデオを見られる。このアプリが専用ビデオ視聴スペースを持つソーシャルアプリのOculus Roomsと別に存在する理由は明確ではないが、会社としてはこのデバイスのビデオ視聴能力を特別に強調したかっただけなのかもしれない。

公開時点で対応するのはFacebook Watch(当然)の他、Red Bull TVとPluto TV。また、スポーツネットワークのESPNとの提携についても先行紹介した。

Oculus Goはストリーミングネットワークの関心を引くことに期待をかけており、その多くはすでに独自のバーチャルリアリティープラットフォームを作っている。HuluやNetflix、ShowtimeなどでダウンロードしたネイティブアプリをOculus TVアプリ経由で動かすこともできるが、それは組織的な改善にすぎない。

2Dビデオ専用の本拠地を持つことはOculusにとってよい選択だが、ユーザーにとっては自分が興味をもつコンテンツを所有するパートナーをFacebookが確保してくれれば一層嬉しいだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculus、イベントで199ドルのモバイルVRを発表

OculusはサンノゼでOculus Connect 4イベントを開催し、FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグが新しいモバイルVRヘッドセット、Oculus Goを披露した。

ザッカーバーグによれば、「これまででもっとも手軽に使えるVRヘッドセット」ということだ。価格は199ドルからで、来年早々に出荷が開始される。機能や使い勝手はGear VRに近いものになる。ユーザーは周囲を見回せるが自由に移動できるわけではないようだ。

FacebookのVR担当副社長、Hugo Barraは「このデバイスはデベロッパーがVRを開発する入り口としても最適」と説明した。また軽量であるため「かけ心地がきわめてソフト」だという。レンズはRiftとほぼ同様の視野を確保する。またGear VRのものに似た小型のコントローラーが付属する。

Oculus GoにはWQHD規格の液晶によるfast-switchディスプレイと臨場感が高いスペイシャル・オーディオが装備される。コンテンツはすべてGear VRと互換性がある。バッテリー駆動時間などのスペックについては現在のところ情報がない。デベロッパー向けキットは11月に出荷される。

Oculusが独自の低価格スタンドアローン・ヘッドセットを発表したことは、現在提携しているSamsungのGear VRへの依存を減らし、ローエンドのVR市場でのフリーハンドを広げる。Facebookが新たなユーザーを開拓する助けとなりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+