Oracleが電子医療記録会社Cernerを約3.2兆円で買収、ヘルスケアに進出

ホリデーウィークはニュースが少ないなんて誰が言っているんだ?Oracle(オラクル)は、年末の記事執筆に疲れたテック系ジャーナリストのために、米国時間12月20日、いくつかのビッグニュースを提供してくれた。この大手データベース企業は、電子医療記録会社のCernerを、総額283億ドル(約3兆2000億円)で買収すると発表した。

「OracleとCernerは本日、OracleがCernerを1株あたり95ドル(約1万800円)、株式総額にして約283億ドルをすべて現金で支払い、買収することで合意に至ったと、共同で発表しました」と、同社はプレスリリースで述べている。

今回の買収により、Oracleは成長市場であるヘルスケア分野に大きく進出することになる。Synergy Research(シナジー・リサーチ)によれば、Oracleが最近起ち上げたクラウドインフラストラクチャ事業は一桁台に低迷しているというが、Cerner買収はこの事業の強化にもつながるはずだ。

Constellation Research(コンステレーション・リサーチ)のアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏は、買収を繰り返してきたOracleの歴史の中でも、今回は最大の買収になると述べている。

「Oracleにとって、これは賢明な行動です。同社のテクノロジーをヘルスケア分野にさらに深く浸透させ、現在と、そして特に将来の、多くの作業負荷をOracle Cloud(オラクル・クラウド)にもたらすことになります。Oracleが、最大かつ最速で成長している垂直型産業を買収するということは、いうまでもありません」と、ミューラー氏は筆者に語った。

この成長の可能性を、OraclのSafra Catz(サフラ・カッツ)CEOが見逃すはずはない。「当社がその事業を世界の多くの国に拡大していく中で、Cernerは今後何年にもわたって巨大な追加収益成長エンジンとなるでしょう。これはNetSuit(ネットスイート)を買収したときに採用した成長戦略とまったく同じです。違いは、Cernerの収益機会がさらに大きいということです」と、カッツ氏は声明で述べている。

だが、カッツ氏が国際的な事業拡大について語っている間に、Microsoft(マイクロソフト)が2021年4月、Nuance Communications(ニュアンス・コミュニケーションズ )を197億ドル(約2兆2000億円)で買収すると発表し、ヘルスケア分野で同様の取り組みを行っていたことにも注目しておくべきだろう。しかし、この買収は英国の規制当局からの逆風に直面している。年が明けて今回の買収が進むにつれ、同じ様に規制当局の監視にぶつかることになるかどうかは、興味深いところだ。

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Cerner側では、10月に社長兼CEOに就任したばかりのDavid Feinberg(デヴィッド・フェインバーグ)氏が、これを株主にとっての好機と見て掴まえることにした。もちろん、同氏はこの買収を、他の多くのCEOと同じように、独立した会社としては不可能な方法で市場を拡大するための手段と捉えている。

「Oracleのインダストリービジネスユニットに参加することで、電子医療記録(EHR)の近代化、介護者の体験の改善、そしてより接続された高品質で効率的な患者ケアを実現するための、当社の活動を加速させる、これまでにない機会を私たちは得ることができます」と、フェインバーグ氏は声明で述べている。

米国時間12月20日朝、このニュースを受けてOracleの株価は2.68%下落し、一方、Cernerの株価は0.92%とわずかに上昇した。

現時点で今回の発表は、米国証券取引委員会への正式な申請を含む一連のステップの最初の段階に過ぎない。現在の規制環境の中、この買収が順調に進んで最終的に完了するかどうかは、まだわからない。

画像クレジット:Justin Sullivan

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

1兆円超規模の米国防総省JEDIクラウド契約を最終的に破綻させたのは単一ベンダー要件

米国防総省がJEDIのクラウドプログラムを中止したことで、見込みがないように思われていたプロジェクトの長く険しい道のりが終わりを告げた。問題は、結局うまくいかなかったのはなぜかということだ。最終的には、国防総省が単一ベンダー要件に固執していることがその原因として指摘できると思う。その条件は、誰にとっても意味をなさないものであり、表面上は契約を勝ち取ったベンダーでさえもそうである。

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国防総省は2018年3月、次世代のクラウドインフラストラクチャを構築するための100億ドル(約1兆1000億円)規模の10年にわたるクラウド契約発表した。別名「Joint Enterprise Defense Infrastructure」、略称は「JEDI(ジェダイ)」である。スター・ウォーズを思わせる呼称はさておいておこう。

このアイデアは、単一ベンダーとの10年間の契約で、2年間のオプションで開始するものだった。すべてが順調に進めば、5年のオプションが行使され、最終的に3年のオプションで契約はクローズする。年間利益は10億ドル(約1100億円)が見込まれていた。

契約が完了した時点での総額はかなり大きいが、AmazonやOracle、Microsoftのような規模の企業にとって、年間10億ドルは大した金額ではない。その意義は、このような知名度の高い契約を獲得したことの威信と、それが販売を誇示する権利にどのような意味をもたらすかということにあった。つまるところ、国防総省の審査に合格すれば、おそらくほぼあらゆる人の機密データを扱えることになるだろうということだ。

いずれにせよ、単一ベンダー契約のアイデアは、クラウドがクラス最高のベンダーたちと協働するオプションを与えてくれるという一般通念に反するものだった。この不運な契約の最終的な勝者であるMicrosoftは、2018年4月のインタビューで、単一ベンダーのアプローチには欠陥があることを認めている。

Microsoftの防衛事業を統括するLeigh Madden(リー・マデン)氏は、Microsoftがそうした契約を勝ち取ることができると確信しているが、それは必ずしも国防総省にとって最善のアプローチではないとTechCrunchに対して語っていた。「国防総省が単一ベンダーだけを採用する道を行くのなら、私たちは勝つために参加します。しかしそうは言いいながらも、それは私たちが世界で見ているような、80%のお客様がマルチクラウドソリューションを採用している動きとは、対照的なものなのです」。

おそらくそうした要因により、最初から絶望的だったのだろう。その上、要件が完全に明らかになる前から、クラウドインフラストラクチャ市場シェアをリードするAmazonを優遇しているという不満の声が上がっていた。Oracleは特に声高に主張しており、RFPが公表される前から、前大統領に直接訴えていた。同社はその後、米政府説明責任局(Government Accountability Office)に苦情を申し立て、このプロセス全体が不公正で、Amazonに有利になるように設計されていたとして複数の訴訟を起こした。しかし、彼らの苦情はその都度却下された。そしてご存知の通り、結局はAmazonが勝者とはならなかった。

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その過程において多くのドラマが展開される中、2019年4月に国防総省はファイナリストとして2社を指名した。そしておそらく、その2社がクラウドインフラストラクチャ市場のリーダーであるMicrosoftとAmazonであったことはそれほど驚くことではなかっただろう。ゲームが開始された。

前大統領の直接の介入もあった。同年の8月に、前大統領は国防長官に対し、本プロセスがAmazonに有利であるとの懸念を挙げて、事案を再検討するよう命じた。これに対しては、国防総省、会計検査院、裁判所から数度にわたって反論がなされている。また、元国防長官Jim Mattis(ジム・マティス)氏は自身の著書で、同氏が前大統領から「100億ドルの契約からAmazonを締め出せ」と命じられたことを明らかにしており、問題をさらに複雑にしている。前大統領の目的は、ワシントンポスト紙のオーナーでもあるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に仕返しすることにあるように思われた。

プロセスにおけるAmazonの優位性についてのこうした主張をよそに、2019年10月の金曜日の午後遅くに勝者が発表され、勝利を得たのは実際にはAmazonではなかった。その代わり、Microsoftが契約を勝ち取った。あるいは少なくともそのように思われた。そしてAmazonが法廷でこの決定に異議を唱えるのもそう遠くないだろうと見られていた。

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AWSの前CEOのAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は、AWSのre:Inventの発表から数カ月後には、大統領がこのプロセスに不当な影響を与えたという考えを表明していた。

「政治的な干渉を受ける事態に陥ってしまったようです。ある会社に対する軽蔑を公にしている現職の大統領と、その会社のリーダーがいる状況では、国防総省を含む政府機関が報復を恐れずに客観的な決定を下すことが非常に難しくなるでしょう」とジャシー氏は当時語っている。

そして訴訟が起こされた。同社は2019年11月に、技術的なメリットではなく政治的な動機によるものだとして、Microsoftを選択する決定に不服を申し立てる意向を示した。そして2020年1月、Amazonは訴訟が解決するまでプロジェクトを停止するよう裁判所に要請した。翌2月、連邦判事はAmazonの主張に同意し、プロジェクトの停止を命じた。プロジェクトが再始動することはないだろうと思われた。

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国防総省は同年4月に、契約調達プロセスに関する内部調査を完了し、不正行為は確認されなかったと結論付けた。当時筆者は次のように書いている。

100億ドルの長期にわたるJEDI契約は当初から論争の的になっていた。国防総省の監察総監室による本日付の報告書には、若干の落ち着かない状況や潜在的な確執がありながらも、全体的な契約調達プロセスは公正かつ合法的なものであり、パブリックコメントが行われたものの、大統領の言動はプロセスに不当な影響を与えなかったと記されている。

2020年9月、国防総省は選定プロセスのレビューを終え、Microsoftが勝者であると再び結論付けたが、訴訟はまだ進行中であり、プロジェクトは停滞したままであったため、それほど重要な意味を持たなかった。

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法的な論争は2021年に入っても続いていた。そして国防総省は先日、「2018年にJEDIのビジョンを発表して以降、状況は変化しており、先に進む時期に来ている」と述べ、ついにこのプロジェクトを白紙に戻した。

国防総省は最終的に、単一ベンダーアプローチは最善の方法ではないという結論に達した。プロジェクトを軌道に乗せることができなかったからではなく、複数のベンダーと協力し、特定のベンダーに縛られない方が、技術的にもビジネス的にも理にかなっているからだ。

国防総省の最高情報責任者を務めるJohn Sherman(ジョン・シャーマン)氏は声明で次のように述べている。「JEDIが計画されたのは、当省のニーズが今とは異なり、CSP(クラウドサービスプロバイダー)の技術と我々のクラウドとの間の知識交流が成熟していなかった時代です。JADC2(Joint All Domain Command and Control、コネクテッドセンサーのネットワーク構築に関するイニチアチブ)やADA(AI and Data Acceleration)などの我々の新しいイニシアチブ、国防総省内のクラウドエコシステムの発展、複数のクラウド環境を活用してミッションを実行するためのユーザー要件の変化などを考慮すると、我々を取り巻く環境は進化しており、従来型と非従来型の戦闘ドメインで優位に立つための新たな道すじが保証されています」。

言い換えれば、国防総省は、世界の他のほとんどの地域と同様に、マルチクラウド、マルチベンダーアプローチを採用することで、より多くの恩恵を受けられるということだ。とはいえ、国防総省はベンダーの選択をMicrosoftとAmazonに限定することも示唆した。

同省は声明で次のように述べている。「当省は、Microsoft Corporation(Microsoft)やAmazon Web Services(AWS)を含む限定された数の業者からの提案を求める意向です。市場調査によると、これら2つのベンダーが当省の要件を満たすことができる唯一のクラウドサービスプロバイダー(CSP)であることが示されています」。

これはGoogleやOracle、IBMには受け入れ難いことかもしれない。ただし同省は、将来的に他のCSPがそれらの要件を処理する能力を持っているかどうかを確認するために、市場を監視し続けるとしている。

最終的に、単一ベンダー要件に大きく左右されたことで、競争が過熱し、政治的に緊張した雰囲気が生まれ、プロジェクトが実現しない結果となった。国防総省はこの先、技術のキャッチアップに取り組む必要がある。JEDIの調達プロセス全体に関わる芝居じみた所行に3年の歳月が費やされたが、それはこの長きにわたる、不穏当な様相も呈する技術の物語において、最も嘆かわしい側面と言えるかもしれない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:米国防総省MicrosoftJEDIAmazonOracle

画像クレジット:Kiyoshi Tanno / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

米最高裁がオラクルに対する壮大な著作権侵害訴訟でグーグルを支持

米国の最高裁判所は今週、テクノロジーに関して多くの意見を述べた。同最高裁判所は米国時間4月5日の月曜日、Google(グーグル)とOracle(オラクル)による長期にわたる法廷闘争に対し、オラクルに80億ドル(約8800億円)の賠償金が支払われる可能性があった勝利をくつがえした。

最高裁は6対2の判決で、グーグルがオラクルのソフトウェア言語ことJavaの一部を自社のスマートフォン用OSに組み込んでも、著作権法に違反していないと判断した。グーグルはオラクルのAndroid用Java APIのコードをコピーしており、この裁判は確立されたAPIの再利用と著作権に関する1年に及ぶ議論の口火を切った。

2018年に連邦控訴裁判所は、グーグルがAPIを使用することで実際に著作権法に違反しており、その実装はフェアユースに該当しないとの判決を下していた。

「この決定を検討するにあたり、私たちは議論のためにその素材が著作権による保護の対象であると仮定します。しかしここで問題となっているコピーはそれにもかかわらず、フェアユースを構成していたと判断します。したがって、グーグルのコピーは著作権法に違反していないのです」と、Stephen Breyer(スティーブン・ブレイヤー)判事はオラクルへの以前の勝訴をくつがえした判決文の中で述べている。なお、Samuel Alito(サミュエル・アリト)判事とClarence Thomas(クラレンス・トーマス)判事は異議を唱えた。

関連記事:OracleがJavaの著作権侵犯裁判でGoogleに勝利

「グーグルがJava SE APIをコピーしたことは、プログラマーがその才能を活かして新しい変革的なプログラムを開発するために必要なコードだけを含んでおり、法律上はその素材の公正な使用にあたります」とブレイヤー氏は記している。

グーグルのグローバル問題担当シニアヴァイスプレジデントを務めるKent Walker(ケント・ウォーカー)氏はこの判決について、下に埋め込んだドキュメントのように「イノベーション、相互運用性、コンピューティングにおける大きな勝利」と述べている。

判決文はこちらで確認することができる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleOracle裁判著作権

画像クレジット:Knotel / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

TikTok米国事業のオラクルへの強制売却が棚上げ

TikTokの米国事業の売却が強制されるという非常識な話に終止符が打たれると報道されている。TikTokは、Joe Biden(ジョー・バイデン)政権下での退屈なニューノーマルであるように思われる整然とした、そして合理的な政策立案への移行の犠牲者だ。

2020年秋、当時のDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領政権下で米政府は、Oracle(オラクル)やWalmart(ウォルマート)を含む買い手グループへのTikTok売却を強制することで「ギャングの資本主義」を試みた

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その試みは最初からうまくいかなかった。TikTokの親会社ByteDance(バイトダンス)は米政府を相手取った訴訟のほとんどで勝訴した。成功している外国企業の成長を最も薄っぺらなセキュリティ上の理由で妨害しようと米政府は喜んで政治的資本を注いだようだが、ByteDanceは訴訟という思い切った手段にでた。

そして現在、ウォールストリートジャーナル紙が、この件に詳しい情報筋の話として売却を前に進めようとする米政府の取り組みは「無期限に棚上げされている」と報じた。

しかしながら、TikTokのデータ収集に関する懸念、それからアプリ上のコンテンツを操作・検閲している可能性があるため、TikTokと米国家安全当局の間で協議は続いている。

一方で、国家安全保障会議の広報担当Emily Horne(エミリー・ホーン)氏によると、外国政府による侵入または海外で開発された技術の使用によるデータプライバシーとセキュリティへのあらゆる潜在的脅威を米国は調べている。

「我々が直面しているあらゆる脅威を克服する米国のデータ保障に向けた総合的なアプローチを構築します」とホーン氏はウォールストリートジャーナル紙に述べた。「ここには、中国アプリや米国で提供されている他のソフトウェアによって提起されたリスクも含みます。我々が直面しているリスクの総合理解という観点から、今後数カ月で特定のケースをレビューする予定です」。

2020年、中国企業所有のショートビデオ配信サービスTikTokの米国の投資グループへの売却を強制しようと、当時のトランプ大統領はTikTok禁止を命令した

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そのプロセスの一環で、対米外国投資委員会はByteDanceに米国事業を売却するよう命じている。

TikTokは、米国が大統領選挙で混乱していた2020年11月、ワシントンの裁判所に上訴した。

この裁判はまだ係争中だが、別の連邦裁判所は米政府によるTikTok禁止の一時差し止めを命じた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ByteDanceTikTokOracle売却

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラやHPエンタープライズに続きオラクルもテキサスに移転へ

オースティンの皆さんは気をつけたほうがいい。別のハイテク企業が街に向かっている。

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOがインタビューで、テキサスへの移転を明らかにした数日後、あるいはシリコンバレーの象徴的な企業であるヒューレット・パッカードのスピンアウト企業であるHPエンタープライズがテキサスへの移転を発表してから2週間も経たないうちに、ベイエリアで最も有名なブランドの1つであるOrcle(オラクル)もテキサスへの移転を発表したのだ。

このニュースはBloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じた。オラクルはTechCrunchに送られた声明の中でこの移転を確認し、「従業員の勤務地に関するより柔軟な方針」により、本社をカリフォルニア州レッドウッド・ショアズからオースティンに変更したと説明している。「この移転によりオラクルは成長に向けて最も有利な立場に立つことができ、また従業員がどこでどのように働くかについて、より柔軟に対応できるようになると考えています」。

広報担当者は移転に関する質問への回答を避けたが、オラクルによると同社の従業員の 「多くは」はオフィスの場所を選ぶことができ、自宅でパートタイムまたは常時勤務を続けることも可能だという。

オラクルはすでにオースティンのほかにも、ロサンゼルス、シアトル、デンバー、オーランド、バートリントンなど全米の多数の都市にオフィスを構えている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:オラクル

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)

TikTokやZoomとの大きな取引があってもOracleのクラウドマーケットシェアは伸び悩む

世界のクラウドインフラマーケットは直近の四半期で300億ドル(約3兆1600億円)に達した(未訳記事)が、Oracle(オラクル)はマーケットシェア一桁と苦戦している。Zoom(ズーム)とTikTok(ティクトック)との取引がこの数字を押し上げることをOracleは期待しているが、マーケットを引っ張るAmazon(アマゾン)やMicrosoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、これまで気にしていなかったいくつかの企業に追いつくにはもっと多くの名の知れた顧客を獲得する必要がある。

強制結婚と同じようなひどい買収結婚で、OracleとTikTokが手を組むことが2020年9月に明らかになったのは周知の通りだ。そうであるにも関わらず、Oracle創業者でCTOのLarry Ellison(ラリー・エリソン)氏は9月19日の同社プレスリリースで、TikTokがどのようにOracleのクラウドインフラサービスを「選んだ」かについて大袈裟に述べた。声明文はまた、この「選択」がZoomのワークロードの一部をOracleのインフラクラウドに移すという2020年初めの決断に影響されたことを指摘した。

TikTokの取引における力学はさておき、問題はこの顧客2社がどのくらいOracleのクラウドインフラマーケットシェアに大きな影響を及ぼすかだ。TechCrunchはクラウド業界を注意深く観察している調査会社2社に話を聞いた。

Synergy Research GroupのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、Oracleのマーケットシェアの数字を動かすほどに大きな影響を与えると楽観視していない。「Oracleのクラウドインフラサービスの成長は常にIaaSとPaaSマーケット全体の成長率を下回っていて、つまり同社のマーケットシェアは縮小傾向にあります。Zoomというのは大きな獲得ですが、これによってシェアを大きく伸ばすというのはさほど考えられません。そしてZoomはAWSからもクラウドサービスを購入していることを忘れてはいけません」とディンスデール氏はTechCrunchに話した。

TikTokに関しては、我々と同様にディンスデール氏もこのディールが最終的にどのように決着するのかは見通せなかったが、仮に2社が提携することになってもOracleが望むようにマーケットシェアを伸ばすことにはならないだろうと話した。「仮説として、ZoomとTikTokがOracleのクラウドインフラサービスの売上高を向こう12カ月で50%増やすのに貢献するとして、これはかなりの伸びですが、マーケットシェアはそれでも3%に届かず、2%近くに止まります。一方、グーグルは9%、マイクロソフトは18%、AWSは33%です」と同氏は指摘した。

同氏はOracleのSaaS事業がかなり強固だとは考えていない。「スコープを他のクラウドサービスへと少し広げると、OracleのSaaS部門の成長はSaaSマーケット全体の成長とほぼ同じです。Oracleの企業向けSaaSマーケットのシェアは6%ほどですが、ERPを見ると明らかにずいぶんうまくやっています」と述べた。

クラウドインフラマーケットを追跡しているCanalysは、同社のデータでもOracleに関して同じような傾向が示されているとする。SaaSのマーケットシェアは7.8%とうまくいっている一方で、IaaSとPaaSでは苦戦している。

「IaaSとPaaSに関して、Oracleクラウドの2020年第2四半期のシェアは1.9%で、大きく変動していません。トップ3のプロバイダーはAWS、Microsoft Azure、Google Cloudで、シェアはそれぞれ順に30.8%、20.2%、6.2%です」とCanalysのBlake Murray(ブレイク・マレー)氏は話した。

グーグルがクラウドインフラ事業を加速させようと、5年前にDiane Greene(ダイアン・グリーン)氏を雇った(未訳記事)ことは留意しておくべきだろう。Oracleの幹部だったThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏が2年前にグリーン氏の後を継いだ(未訳記事)が、マーケット全体が成長している時期にもグーグルのマーケットシェアは二桁に届かなかった。これはシェアを大幅に拡大するのがいかに困難なことであるかを物語っている。

もう1つの大企業、IBMはクラウド事業を強化しようとRed Hatを2年前に340億ドル(約3兆6000億円)で買収した。Red Hatは好調だったが、クラウドインフラマーケットのシェアでそれほど改善は見られなかった。Synergyのデータによると、4位の座をAlibabaに取って代わられた

画像クレジット:Synergy Research

つまり、顧客2社を獲得しても、Oracleが短期的にクラウドインフラ分野で存在感を示すには、まだ道のりは長いということになる。わからないのはこの新たなビジネスが今後、他の新規ビジネスを引き寄せる役割を果たすかどうかだ。しかしさしあたってはクラウドインフラで存在感を高めるためにもっと良い顧客を獲得することになる。グーグルやIBMが示すように、マーケットシェアを大きく獲得することは極めて難しい。

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タグ:Oracle

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(翻訳:Mizoguchi

TikTokがトランプ大統領に抵抗、禁止命令に対して差止めを申し立て

TikTokの親会社、ByteDanceとOracleの間で売却契約が成立したと報道されたものの、トランプ政権の禁止命令に対するTikTokの抵抗は続いている。

今日(9月22日)、TikTokは同社のショートビデオプラットフォームの運営を禁止する商務省の命令に対し連邦裁判所に差し止めを申し立てた。この命令は9月20日に執行されるはずだったが、ByteDanceとOracleの交渉を受けて一週間延長された。また Oracle への売却手続きに時間がかかることが考えられるため、さらに数週間延長されることが予想されている。

しかしTikTokは政府の措置に対してさらに強い抵抗を示している。おそらく禁止命令を受けた別のアプリ、WeChatの例を見てのことだろう。WeChatのユーザーグループはサンフランシスコを管轄する連邦地裁に対し商務省の命令を無効であるとする訴訟を起こし、先週、禁止命令に対する差し止めを勝ち取っている。WeChatの場合、原告は親会社の中国企業、Tencentではなくアメリカ市民のグループだった。訴訟記録によれば、TikTokの場合は同社自身がトランプ大統領とアメリカ政府を相手取って9月18日に「命令は無効である」とする訴訟を起こしている。

今回の差し止め申し立てにおいて同社は「安全保障に関連するとするアメリカ政府の常に揺れ動く要求を満足させるべく、われわれは所有者及び運営体制の変更を含めあらゆる努力を重ねてきた。この努力は今後とも続ける」と述べている。

同社は「差止命令が実行された場合の損害は「著しいものがある…大統領選挙を6週間後に控えて…まだわれわれのアプリをダウンロードしていない何億ものアメリカ市民がこの禁止によってコミュニケーションから排除されることになる」としている。TikTokは先週のWeChatの主張に習って「大統領と商務省は現在の法律によって与えられた権限を逸脱して禁止を強行しようとしている」と主張している。

しかしこの法廷闘争は現在混沌を極めるTikTok問題の一部をなすに過ぎない。昨夜、TechCrunchの同僚、Rita Liao記者が報じたように、中国政府はByteDanceによるOracleへの売却を「強迫によるもの」と非難しており、契約そのもののを認めない可能性が出ている。TikTokの将来は不透明さを増している。

画像:Sheldon Cooper/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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滑川海彦@Facebook

TikTokのファクトチェック、米国でのIPO、中国の所有権、そして5000億円超の税金

さまざまな噂が渦巻く中、TikTokの中国の親会社であるByteDance(バイトダンス)は9月21日の朝に声明を発表(ByteDanceプレスリリース)し、ここ数週間で世界的に注目を集めている現在進行中の取引を明らかにした。

ByteDanceが引き続きオーナー

中国のByteDanceは、「信頼できるテクノロジーパートナー」であるOracle(オラクル)と「商業パートナー」であるWallmart(ウォルマート)にTikTokの株式の20%を売却した後、残りの80%を保持することを明らかにした。

しかし、私の同僚であるJonathan Shieber(ジョナサン・シーバー)氏が主張したように、この取り決めは多くのオブザーバーの懸念の核心に対処するものではない。「この取引は、米国の消費者とTikTokのアルゴリズムや米国内の世論に影響を与えるために使用される方法について、実際にセキュリティ上の懸念を持っている人々以外のすべての人に利益をもたらす」と主張している。

TikTokの取締役会のメンバーはByteDanceの現在のメンバーだが、ByteDanceの創設者であるZhang Yiming(チャン・イーミン)氏以外は中国人ではない。ウォルマートCEOのDoug McMillon(ダグ・マクミロン)氏は、最近の取締役会メンバーに加わった。

TikTokは米国でのIPOを目指す

TikTokは「コーポレートガバナンスと透明性をさらに強化するために」、米国での新規株式公開(IPO)を模索していることを確認した。動画アプリは明らかにIPOを希望しており、これにより多くの世間の目にさらされることになるが、中国が起源であることに起因する国家安全保障上の脅威への懸念を和らげることができるかもしれない。

注目すべきは、ByteDanceが声明の中で動画アプリを「TikTok Global」と表現している点だ。これは、このアプリが米国とそれ以外の地域に分割されることはないことを示している。法廷文書で明らかにされたように、TikTokは世界中で毎月約7億人のユーザーがいると主張している。そしてそのユーザーのうち1億人は、現在の本社がある米国に住んでいる人々だ。

アルゴリズムは転送していない

以前の報道によれば、ByteDanceはTikTokのアルゴリズムや技術をオラクルに引き渡すことはないとの主張していた。代わりに、米国のデータベース大手であるオラクルは「TikTokの米国ソースコード」のセキュリティチェックを実行する権限を得ることになる。

「ソースコードを公開することは、多国籍企業が直面するデータセキュリティの課題に対する普遍的な解決策です」とByteDanceは述べ、今回の決定を中国にあるマイクロソフトのTransparency Center(トランスペアレンシー・センター、製品に関する透明性をアピールする施設)や、Cisco(シスコ)がドイツのボンに設置した同様の施設と同一視しようとしている。

とはいえ、コードの監視とユーザーデータ管理をオラクルを担うことで、TikTokのブラックボックス化されたコンテンツを中国政府がいじる可能性があることに対する懸念がどのように解消されるのかは、まだ明らかになっていない。

50億ドル(約5200億円)の税金

ByteDanceは、TikTokが今後数年の間に、事業で発生した所得税やその他の税金の合計50億ドル(約5200億円)を米国財務省に支払うことになると見積もっている。にもかかわらず、最終的な数字はTikTokの「実際の業績と米国の税制に左右される」と同社は述べ、税金は「現在進行中の取引とは何の関係もない」と強調している。

教育へのコミットメント

TikTokが米国で50億ドル(約5200億円)の教育基金を設立するとの報道に対してByteDanceは、そのような計画は認識していないが「パートナーや株主」と協力してAIやビデオを使ったオンライン授業を設計するなど、一貫して教育に力を注いできたと述べた。

中国ではByteDanceの教育分野への進出が広く報じられている。英語学習プラットフォーム「Gogokid」(ゴーゴーキッド)のような自社製品以外にも、伝統的な高等教育に挑戦するベンチャー出資の教育機関「Minerva」(未訳記事)など、さまざまな外部プレイヤーに投資している。

画像クレジット:Sheldon Cooper/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

オラクルとウォルマートのTikTok事業買収をトランプ大統領が容認、TikTok Globalとして米証券取引所上場へ

「まあ、それは無意味だった」。

セキュリティ上の懸念という見当違いの名目で、米国の自由貿易の概念を低下させ、数十億ドル規模の企業数社を引き連ね、裸の欲のために恥をかかせ、米国政府に利益の一部を要求した後、ここ数週間見てきたTikTokの物語はついに終わったようだ。

米国時間9月19日の夜遅くに発表された一連の発表によると、TikTokの取引は、実際には米国大統領の主要な支持者のクラウドインフラ事業をあと押しするための政治的に有利な取引であったことが示されている。

クラウドインフラサービスにおけるOracle(オラクル)は、AWS、Alphabet(アファベット)、マイクロソフトに次ぐ業界4位だが、上位3社に比べると規模は小さい。そのオラクルが、新会社名「TikTok Global」として米国の証券取引所に上場する前の投資ラウンドで、パートナーの米小売大手Wallmart(ウォルマート)とともにTikTokに20%の株式を取得することになるだろう。

TikTokの声明によると「オラクルはTikTokの「信頼できるテクノロジーパートナー」となり、米国のすべてのユーザーデータのホスティングと、米国の国家安全保障要件が完全に満たされるように関連するコンピュータシステムの安全性を確保する責任を負うことになります」とのこと。「TikTokは現在、商業的なパートナーシップについてもウォルマートと協力している」と続けた。

一方オラクルは、米政府、米国財務省、議会からのTikTokに対する懸念はすべて、同サービスがクラウドプロバイダーとしてオラクルを選択したこととは無関係であることを示した。オラクルは声明の中で「TikTokによるこの技術的な決定は、ビデオ会議サービスのZoomが最近、ビデオ会議の容量の大部分をOracle Public Cloudに移行したことに大きく影響された」と述べている。

CNBCのAlex Sherman(アレックス・シャーマン)記者は所有権構造の内訳を次のようにツイートしている。

TikTok Globalの所有権の件について詳しい人によると、オラクルが12.5%、ウォルマートが7.5%、TikTokの親会社であるByteDanceが残りの80%を取得する。しかし、ByteDanceの所有権の40%は米国のベンチャーキャピタルからの資金調達で、トランプ政権はこの取引を「大多数の米国ドル」として計算している(これらの数字は、もちろんポストIPOの周りに移動する可能性がある)

この取引は、米国の消費者とTikTokのアルゴリズムや米国内の意見に影響を与えるために使用される方法について、実際にセキュリティ上の懸念を持っている人々以外のすべての人に利益をもたらします。

ByteDanceは米国企業の所有権を維持し、オラクルは不振に陥っているビジネスを後押しするために巨大なクラウド顧客を獲得。ウォルマートは物を売るために十代の若者にアクセスできるようになり、米国の顧客データは安全ではなくなった。結局のところ、今は外国人ではなく米国の捕食者の手に渡っているだけだ

もちろん、データのプライバシーとセキュリティは大きな懸念事項だが、TikTokに関しては必ずしもそうではない。さらに、中国政府はすでに米国の顧客に関するあらゆるデータを入手している可能性が高い。

多くのオブザーバーにとってTikTokの本当の懸念は、同社の中国の所有者が、コンテンツの宣伝や抑制のためにアルゴリズムを操作するように中国政府から圧力をかけられる可能性があるということだ。インターネット大手を含む中国の企業は、中国の諜報・クラウドセキュリティ法に従うことが義務付けられており、データに関するすべての政府の命令を完全に遵守しなければならない。

商務省は声明の中で「最近の前向きな動きを踏まえ、Wilbur Ross(ウィルバー・ロス)商務長官はトランプ大統領の指示により、2020年9月20日に発効していたTikTokモバイルアプリケーションに関連した行政命令13942に基づく特定取引の禁止を、2020年9月27日午後11時59分まで延期する」と述べている。つまり、1週間の猶予が与えられたわけだ。

オラクルの共同最高経営責任者(CEO)を務めるSafra Catz(サフラ・キャッツ)氏(画像クレジット:Albin Lohr-Jones/Pool via Bloombergx / Getty Images)

この騒動は何のために起こされたものなのか?これらの悪ふざけの中で最高の投資収益を得るのは、ほぼ間違いなくオラクルの共同最高経営責任者(CEO)を務めるSafra Catz(サフラ・キャッツ)氏のトランプ氏への投資だ。キャッツ氏はトランプ政権への多額の寄付者であるだけでなく、2016年には政権移行委員会にも加わった。ありがたいことに、米国がTikTokを中国のクローン資本主義から救ってくれたことには感謝しよう。そして彼がワシントンDCのクローン資本主義を享受していることを願うばかりだ。

画像クレジット:Albin Lohr-Jones/Pool via Bloombergx / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

トランプ大統領がTikTokめぐるOracle提案の「コンセプト」を承認

ドナルド・トランプ大統領は、人気のショートムービーアプリTikTok(ティクトック)の米国事業に関するOracle(オラクル)案の「コンセプト」を承認した(Bloomberg記事)。

報道によると、トランプ大統領は9月19日、ノースカロライナでの選挙集会に向けてホワイトハウスを出発する際、「このディールを承認した」と語った。「コンセプトとしてこのディールを承認した」と話したとされている。

親会社Bytedance(バイトダンス)からのTikTok米国事業のスピンアウトは、TikTokのデータの取り扱いポリシー、そして米国での人気が国家安全保障上の脅威となっているという理由でトランプ政権が要求したものだ。

TikTokと中国を切り離そうというトランプ大統領の動きは、TikTokユーザーのいたずらによって大成功となるはずだったオクラホマシティでの選挙集会が失敗し、選挙対策責任者だったBrad Parscale(ブラッド・パースケール)氏が解任される事態を招いた。

米国は安全上の脅威となるいくつかの中国テクノロジー企業のオペレーションの縮小を模索してきた。実際、TikTokのスピンアウトを要求した大統領令には、メッセージサービスWeChat(ウィーチャット)の米国事業の停止も含まれた。WeChatは中国最大のテクノロジー企業の1つであるTencent(テンセント)が所有している。そして米政府は通信・ネットワークテクノロジー開発のHuawei(ファーウェイ)もターゲットにしてきた。

財務長官Steven Mnuchin(スティーブン・ムニューシン)氏が今週初めに出した声明によると、TikTokのディールが承認されれば、その一環としてTikTok Globalという新会社が設立される。

新会社はテキサスに置かれ、最大2万5000人を雇用して50億ドル(約5230億円)を米国の教育に提供するとトランプ大統領が語った、とBloombergは報じた。

TikTokの米国事業の大半はいまロサンゼルスで展開されている。

トランプ政権は中国テック企業の米国オペレーションのディスラプトを引き続き進めていて、意を同一にする不可思議な仲間たちがTikTokのディールに反対するために団結している。

米国自由人権協会(ACLU)とFacebook(フェイスブック)傘下のInstagram(インスタグラム)の責任者は9月18日、TikTokとWeChatの禁止に反対する声明を出した。

「この命令は、2つのソーシャルメディアプラットフォーム上でコミュニケーションを取ったり重要な処理を行ったりする能力を制限することで憲法修正第1条に違反している」とACLUの国家安全保障プロジェクトのディレクターHina Shamsi(ヒナ・シャムシ)氏は声明で述べた。

米国テック企業の所有を通じた中国の影響に対する包囲網は、Tencentが支援する米国ゲーム業界トップ企業の多くにも及んでいるとのことだ。

こうした動きは米国のテック企業にとってかなりの悪影響を及ぼすかもしれないとInstgramの責任者Adam Mosseri(アダム・モセリ)氏は9月18日のツイートの中で指摘した。

「米国によるTikTok禁止は、より断片化された国家インターネットの方向に進む大きなステップになりえる。これは国境を越えて事業を展開することで恩恵を受けてきた米国のテック企業にとって悪いことだ」とモセリ氏は書いた。

画像クレジット: Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

マイクロソフトもオラクルもTikTokを買収することはないと中国の国家メディアが報道

週の頭の朝から大騒ぎだ。Microsoft(マイクロソフト)がTikTokの米国事業の買収交渉から降りたという ニュースが出され、Oracle(オラクル)が勝者になるという噂が駆け巡り始めた直後に、中国の国営放送CGTNが、ByteDanceは米国のTikTok事業を、マイクロソフトもしくはオラクルのどちらにも売却しないと情報源を示しつつ報道した(CGTNサイト)。

世界で最も企業価値のあるByteDanceは、TikTokを全世界で普及させた重要技術である「ショートビデオのレコメンデーションアルゴリズム」を開発したことで評価されている。情報源がCGTNに語ったところによれば、ByteDanceはそのソースコードを米国の買い手には一切渡さないだろうということだ。情報源の1つはSouth China Morning Post(南華早報)に対して、ByteDanceは人気のTikTokを支えるソースを販売も譲渡もしないことを決定したと伝えていた(South China Morning Post記事)。

ByteDanceはこれらの噂についてはコメントしないと語っている。

TikTokの運命の時は刻一刻と迫っている。中国政府は当初、ByteDanceと米国政府との交渉に表向きは参加していなかったが、ByteDanceが「8月6日から45日以内(ホワイトハウスサイト)すなわち9月20日までに米国内で買収相手を見つけられなかった場合には、そのサービスを停止せよ」と米国政府が脅した期日が迫るにつれて、その態度も変化したようにみえる。

第1に、中国政府は輸出規則を改正したが、それはByteDanceの人工知能技術の譲渡または販売を阻止する可能性がある。そして、オラクルとの取引が確定したという噂を否定する国家の報告書が存在している。

ロイターの記事によれば、TikTokの米国資産の取得金額は500億ドル(約5兆3000億円)にもなると噂されている。

ByteDanceが注目を集めるようになったのは、ビデオ、ミーム、ニュース記事などのコンテンツなどを提供する同社のアプリが利用するアルゴリズムと密接に関係している。機械学習は、人間によるキュレーションの必要性をなくし、ByteDanceサービスにおいてはソーシャルや興味のグラフさえも不要だ。ユーザーがより多くのコンテンツを消費すればするほど、アプリはユーザーの興味をより正確に予測できるようになる。データ主導のプロセスはすでに文化の違いを超越しており、おそらくこのプロセスがTikTokが中国で初めて西洋を征服したコンシューマー向けアプリとなった理由だろう。

画像クレジット: NOEL CELIS/AFP / Getty Images
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(翻訳:sako)

TikTok買収はマイクロソフトを押しのけオラクル勝利との報道

エンタープライズサービスの大手であるOracle(オラクル)がTikTokの米国事業を買収する入札に勝ったという情報が入ってきた(Wall Street Journal記事)。いち早く入札に手を挙げていたMicrosoft(マイクロソフト)は負けたことになる。TechCrunchは、TikTok、オラクルの両社に取材しているが、まだコメントを得られていない。

Wall Street Journalの報道によれば、オラクルはまもなくと「TikTokの米国における信頼されるパートナー」となったことを発表するという。 またこの記事によれば、事情に通じた情報源が「おそらくストレートな買収にはならないだろうと述べた」という。

オラクルがTikTokの米国事業を買収したのが事実であれば、同社の将来が不確かだった期間も終わりを告げる。この契約は買収先が決まらない場合、トランプ政権が運営を禁止する期限とした9月20日よりもはるか以前に実現した。

9月13日、マイクロソフトは「TikTokの米国事業を買収する申し出は親会社のByteDanceによって拒絶された」と発表した。

マイクロソフトはこの声明で「我々の提案はTikTokのユーザーにとって最もメリットの大きいものだったはずだと確信している。米国の安全保障を守りつつ、セキュリティ、信頼性、フェイクニュース対策などについて抜本的な修正を行う予定だった」と述べている。

「このサービスが以上のような分野でどのように対処していくのか今後の成り行きに注目している」とマイクロソフトは述べている。

事実、セキュリティに関する懸念はTikTokをめぐる諸問題の中でも最も深刻なものだった。TikTokはインドで「国防と安全保障上の懸念」を理由として他の中国関係アプリ58種類とともに禁止されている。インドはTikTok最大の外国市場だった。マイクロソフトに加えて、Twittter、Google、Walmart(ウォルマート)など有力テクノロジー企業がTikTokの米国事業買収に手を挙げていた。しかしTechCrunchのRon Miller記者が指摘したとおり、 オラクルがTikTokの買収にこれほど熱心になるにはそれなりの理由があった。巨大な市場シェアだ。テクノロジービジネスの分析を手掛ける Constellation ResearchのHolger Mueller(ホルガー・ミュラー)氏がTechCrunchに説明したところによれば、どんなかたちにせよTikTokを確実なユーザーとして確保できれば、オラクルはインフラサービスとして極めて大きな利益を得るのだと言う

「TikTokのシェアはインフラサービスにとって非常に魅力的なものだ。またバイラルの効果が大きいことも見逃せない 。 マイクロソフトがTikTokを買収した場合売上に与える影響は2%から5%だろうが、オラクルの場合は10%のアップになる可能性がある」という。

エンタープライズサービス大手のオラクルが若者に人気のショートビデオプラットフォーム、TikTokを買収するという一見突飛な動きも、実は合理的な理由があったわけだ。しかしドラマティックな展開という印象は変わらない。

画像:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Oracleまた敗訴、米連邦高裁は国防省の1兆円のJEDIクラウド契約は合法と判決

Oracleは当初から単一企業による1兆円、向こう10年に渡る国防省クラウドネットワーク(JEDI)の契約先選定プロセスを嫌っていた。Oracleは「この選定プロセスはAmazonをえこひいきするものだ」と聞くものがあろうとなかろうと誰彼構わず主張し続けた。

しかしこの件の訴訟でOracleはまたも敗訴した。8月2日、連邦控訴裁判所は「単一企業を受注先とするこの選定基準は根本的に欠陥があり不当だ」とする Oracle の訴えを退けた。また同裁判所は国防省の募集要項(RFP)作成者に Amazon の元社員が含まれていたことが利益相反にあたるとするOracleの主張も認めなかった。

後者の点について裁判所は「契約担当者に含まれていた(Amazonの)元従業員が利益相反の可能性について適切な評価を行ったかどうかという点について、当裁判所はそのような評価が行われたと判断する」と判示した。

裁判所はさらにOracleは契約に応募するために必要とされる基本的な要件のいくつかを欠いていたとして、同社の主張の一部は訴えの利益がないと判断した。また主張の他の部分についても「入札過程における調達法規に関するいかなる違反も国防省には認められなかった」とした。

今回の控訴は調達契約を白紙に戻そうとするOracle の試みとして3回目、トランプ大統領の介入も含めれば4回目だった。実のところ2018年4月に募集要項が公開される前にOracleのサフラ・カッツCEOが「これはAmazonを不当に利するプロセスだ」と大統領に訴えている。2018年11月には、政府説明責任局(GAO)がOracleの抗議をすべて却下した。翌月、同社は連邦裁判所で1兆円の訴訟を起こしたが、昨年8月に敗訴した。昨日の判決はその判決に対する控訴に対するものだった。

これらの訴訟は全てAmazon に対する不当な優遇があったと主張するものだったが、実際に契約を得たのは Microsoft だった点は注目に値する。このような結果であっても契約は現在も多数の訴訟に悩まされている。Amazonは「契約を失ったのは大統領の干渉が原因であり、本来この契約はAmazonが得るべきものだった」と主張している。

数々の訴訟も含めて、この巨大契約に関連するドラマは一向に終わりそうもない。

画像:Bloomberg / Getty Images

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滑川海彦@Facebook

マイクロソフトやオラクルはTikTokを買収して何がしたいのか

トランプ政権からの圧力を受けて、TikTokのオーナーであるByteDanceがこのショートムービーアプリを売りに出しているという話はすでに何度も聞いたことがあるだろう。そして、驚くべきことにいくつかの大手エンタープライズ企業が買収に興味を示している。これらの企業は一般的なTikTokユーザーを泣かせるような技術を持つことで知られている。マイクロソフトやオラクルが、TikTokを嗅ぎまわっているという話が続いているのだ。

TechCrunch記者のDanny Crichton(ダニー・クリクトン)が先週指摘したように、TikTokの買収価格を押し上げるために、この売却に関与する銀行家たちはメディアにさまざまな噂を流す動機がある。すべてが真実ではないかもしれないが、噂は消えない。なぜオラクルやマイクロソフトのような企業がTikTokの資産に興味を持つのだろうか?

まず第一に、オラクルはデータベースの会社として知られているが、最近ではマーケティングオートメーションやクラウドインフラストラクチャサービスなどさまざまな事業を手掛けている。新型コロナウイルスの感染爆発は始まったばかりの4月に、オラクルのクラウド部門がZoomとの提携を発表したときは皆を驚かせた。

オラクルは、クラウド・インフラストラクチャの市場シェアでは、ライバルのAWS、マイクロソフト、グーグル、アリババ、IBMの後塵を拝しており市場シェアに1桁台に落ち込んでいる。オラクルはTikTok買収により、この市場でより大きなプレーヤーになりたいと考えているのだ。

一方のマイクロソフトは、ほかの企業と同様にクラウドへの移行には成功しているが、クラウドインフラ市場ではAWSに大きく後れを取っている。AWSとの差を縮めたいと考えており、TikTokを所有することで、より早くその目標に近づける可能性がある。

調査会社のConstellation ResearchのアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏によると「簡単に言えば、オラクルがZoomとTikTokを自社に取り込めば、2つの優れたサービスを手に入れることができます」とのこと。有名なショッピングモールがディスカウントチェーン大手のTargetとデパートチェーン大手のNordstromを誘致するのと同様に、Oracleも自社のクラウドサービス2つの人気サービスを取り込もうとしている。

「TikTokは、各社のインフラサービスの利用率を押し上げるだろう。それこそが各社が望んでいることだ。もしマイクロソフトがTikTokを獲得すれば同社サービスの利用率は2%から5%増加する可能性があるが、オラクルなら10%増加する可能性がある」とミューラー氏。同氏によると、オラクルのユーザーベースは今ではずっと少なくなっているので、そのぶん利用率が上がるだろうという想定だ。

同氏が指摘するように、政府がTikTokの運営者であるBytedanceに事業売却を強く要請しているため、オラクルやマイクロソフトのような企業にとっては大きなチャンスだ。そのためこういった噂がたくさん出てくるのだ。「クラウドビジネスの観点からも、そして米国政府が作成したビジネス機会の観点からも買収は妥当だ」とミューラー氏は説明する。

顧客関係管理を事業とするCRM Essentialsの創業者でありプリンシパルアナリストであるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、米国の大手テック企業がTikTokを買収することで、マイクロソフトやオラクルが獲得したいと考えているユーザーにとっては魅力が薄れる可能性があると指摘する。

「老舗エンタープライズ企業が買収すると、現在のユーザーのTiktokへの魅力が薄れてしまう可能性があります。若い人たちは、中高年の利用者が多いFacebookからすでに離れています」と同氏。そしてこの事実は、現在のプラットフォーム人気を支えている若いユーザーは、次の大きな社会現象にすぐに飛びつくことを意味する。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、米国時間8月19日にトランプ大統領がオラクルへの支持を示したことは注目に値する。WSJによると、オラクルの創業者で億万長者であるLarry Ellison(ラリー・エリソン)氏は、今年の初めに自宅で再選のための資金調達パーティーを開くなど、大統領の大物支持者だ。オラクルCEOのSafra Catz(サフラ・カッツ)氏も2016年に政権移行チームの一員として活躍し、政権とのつながりを持っている。

これらの企業が本当に関心を持っているかどうかは不明だが、一般的な感覚では、誰かがサービスを買おうとしており、誰が買おうと各社の保有資金の何%かを使用するだけで、ユーザー数の大幅なブーストを図ることができる。Twitterも買収に関心を持っている企業に上がっており、TwitterとTiktokという2大ソーシャルプラットフォームを統合にすることで、Facebookに直接的に競合するメガプラットフォームができるかもしれない。

IBMやグーグルのように、クラウドインフラの利用率を高めようとしているほかの大企業が参入してくるかもしれない。 もしかすると、アマゾンでさえ、そのリードを確固たるものにするためにオファーを出すかもしれない。ただし、この取引が米政府の承認を得なければならない場合、アマゾンCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)とトランプ大統領との間の緊張した関係性により、アマゾンが買収する可能性は低くなるだろう。アマゾンは国防総省のJEDIクラウド契約で米政府と揉めたからだ。

アップルは、どの企業よりも多くの1930億ドル(約20兆4600億円)以上の現金を持っているにもかかわらず、TikTokの買収には明らかに興味を持っていない。アップル自体はそうかもしれないが、どこかの企業が興味持っていることは確かであり、中にはTikTokの資産を所有することを我々が想像できない企業もあるだろう。

画像クレジット:CHRIS DELMAS / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)