ソニックブームのない音速飛行へ、NASAの超音速機X-59の仮想コックピットのテストが完了

NASAは研究開発用の超音速航空機「X-59」で、最終的には静かな超音速飛行による商業航空の実現を目指している。同機はこのほど、パイロットに大空の完全に仮想的な視野視界を与えるシステムのテストに成功し、夢の実現に一歩近づいた。

そのシステムはeXternal Visibility System(頭字語の先頭にXを付けたがるNASAの好みに合わせるとXVS)と呼ばれ、前を向いたカメラとディスプレイの組み合わせにより、拡張現実で増強された視野視界をパイロットに提供する。その拡張現実、すなわちARが提供する情報は目的空港へ向かうためのガイダンスや、空域に他の航空機が入った場合の警告や警報、離着陸の際のさまざまな情報や重要な合図などだ。

コックピットに座ったパイロットの前には4Kのモニタがあり、センサーと4Kカメラが捉えた情報がそこへ出力される。機体の下部にもカメラが収納されており、着陸時などの低速飛行の際に出てきて重要な視野視界を提供する。

XVSは最初、テスト機Beechcraft King Air UC-12Bに搭載して検証され、搭乗したパイロットがディスプレイを見ながら他機の検出機能を確認した。テストには、このままでは衝突しそうな非常に難しい状況も含まれた。

そもそもなぜXVSのようなものが必要かというと、X-59は大音響のソニックブームのない静かな超音速飛行を目指しているので、機体のデザインに今の商用機と違って完全に近い流線型を採用したからだ。だから従来機のような上部の操縦室の出っ張りなどがない。操縦室は完全に仮想化されている。規制をクリアして超音速機が陸地の上や人口過密地帯の上空を商用機として飛ぶには、静音が絶対的な条件だ。

X-59には前面の窓はないが透明な天蓋はある。そしてテストパイロットによると、XVSがもし失敗しても天蓋からの視野視界と航空機のセンサーおよびアビオニクスシステムからの情報を利用して飛ぶことはできる。

現在建造中のX-59はLockheed Martin(ロッキード・マーティン)が作っていて、最初のフライトは2021年を予定している。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Space XのStarhopperが高度約150mのテスト飛行に成功

SpaceX(スペースX)は、次世代の宇宙船ことStarshipの建造に使用される技術実証のためのデモプロトタイプ機となる、Starhopperの2回目の低高度テスト飛行を完了した。今回のテストでは米国テキサス州にあるSpaceXのテスト施設で、これまで飛行した中で最高となる高度約150mまで「ホッピング」した。約50秒(上のGIFは2倍速)のホップ飛行の後、わずかに離れた着陸パッドにきちんと着陸した。

これは、Starhopperの2回目の係留なしのテスト飛行であり、また最後のテストで、SpaceXは現在フロリダとテキサスで同時にStarship Mk IとMk IIのプロトタイプの建設を進めている。今回のテストは、昨日予定されていたテストが最後の1秒で中止されたあとに仕切り直し、1分足らずのホップ飛行のためにすべてを確認したあとの2度目の試みだった。

7月には、SpaceXがスターシップ用に開発中しているRaptorエンジンと他のサブシステムの動作をテストするために、非係留でのテストが実施された。飛行時間はわずか22秒で、高度はわずか20mだった。

現在、SpaceXのテキサスとフロリダの両施設で、フルサイズのStarshipのプロトタイプの建設が進められている。より大型のプロトタイプは、実際に打ち上げに近くより多くのRaptorエンジンを搭載し、またより高い高度を目指す予定で、これは同社が初の軌道テスト打ち上げに向けて取り組む上で重要なステップだ。

最終的にSpaceXは、Falcon 9とFalcon Heavyの両方を異なる構成のStarshipで置き換えたいと考えている。Starshipは完全に再使用が可能なためコスト削減に役立ち、またロケット開発を1種類の機体に集中させることになる。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

米空軍のスペースプレーン実験機が軌道周回飛行の記録更新

米空軍が発注し運用しているBoeing(ボーイング)のスペースプレーン実験機「X-37B」が、飛行時間の記録を更新した。今回のミッションは719日間続いていおり、Space.comによれば2017年に終了した前回のミッション期間を上回った。人工衛星は5年以上の寿命があるため全体をみれば新記録ではないが、再使用可能な宇宙船などに関する米国の技術実証を目的とした、秘密のベールに包まれた米空軍のスペースプレーンにとっては大きなマイルストーンだ。

SpaceX(スペースX)のFalcon 9ロケットで打ち上げられたX-37Bは、現在のミッションを2018年9月に開始した。ミッションの具体的な詳細は秘匿されているがが、明らかに宇宙での時間が増え続けており(ミッションのたびに期間が延長されている)、「地球に持ち帰り調査できる実験を行っている」とされている。これらのテストには誘導、ナビゲーション、サーマルプロテクション、高温材料と耐久性、飛行と推進システムなどに関連する技術が含まれている。

X-37Bに搭乗している乗組員はいないが、NASAのスペースシャトルのように、自律的に地球の大気圏を降下し、滑走路に水平着陸できる。

NASAは1999年にX-37のプログラムを開始した。これは2004年にDARPAとアメリカ空軍に移管され、X-37Bはこれまでに4回飛行している。これらの最初の4回のミッションで、2085日間の宇宙飛行を完了したことになる。

[原文]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

衛星インターネットスタートアップのAstranis、Falcon 9ロケットによる初打ち上げを契約

Y Combinatorが支援するスタートアップのAstranis(アストラニス)は、来年の第4四半期にFalcon 9ロケットで初となる商用通信衛星を打ち上げる予定だ。Astranisの目標は、現在ブロードバンドインターネットにアクセスできない世界の膨大な人々の市場を開拓することで、既存の衛星よりもはるかに早く製造して打ち上げられる低コストな人工衛星を使い、既存のグローバルな携帯通信ハードウェアの価格を大幅に下げることだ。

Astranisの衛星は小型で製造が簡単なため、コスト効率が非常に高く、今後の通信事業者や接続プロバイダーのパートナーの事業展開を変えうる。このアプローチは、すでにアラスカ州で衛星ブロードバンド接続の拡大を目指して設立された、Microcom(マイクロン)の子会社であるPacific Dataport(パシフィック・データポート)との提携を獲得している。Astranisによると、SpaceXのロケットで静止軌道に1機の衛星を打ち上げることで、アラスカのインターネットプロバイダーのネットワーク容量を3倍となる7.5Gbps以上に拡大し、さらに潜在的にコストを「3分の1」にすることができる。

なお、これはAstranisが宇宙に送る初めての衛星ではない。2018年にデモ衛星を打ち上げ、技術が宣伝どおりに機能することを示した。Astranisのアプローチは、SpaceX自身のStarlinkプロジェクトなど、衛星ベースのインターネットを提供しようとする他のアプローチとは異なり、サービスを提供する地域の上空に留まる衛星を構築することに焦点をあてている。これは、地球低軌道に衛星コンステレーションを構築して、カバーエリアを広げるアプローチとは対象的だ。後者では、常に1機以上の衛星がカバー範囲に存在し、さらに衛星から衛星へと接続を引き継ぐ必要がある。

[原文]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

日本のispaceは2021年の月面着陸、2023年のローバー月探査を目指す

民間月面探査機のミッションを目指している民間企業の1社がその計画のスケジュールを変更したが、その任務の重要さを考えれば、驚くようなことではない。日本初のスタートアップのispaceは、2021年の初めての月面着陸と、2023年のローバー(探査車)による月面探査を予定しているのだ。

ispaceの「HAKUTO-R」プログラムは、当初は2020年にペイロードと搭載しない技術実証目的の月周回衛星を送る予定だったが、かわりに2021年までに商用顧客の実際のペイロードを届けることに注力することとなった。

同社によると、この変更の目的は世界市場で商業打ち上げサービスとペイロード輸送が加速したことが理由で、これには月に荷物を輸送する民間企業を支援するNASAのCommercial Lunar Payload Servicesプログラムも含まれる。

ispace自身はNASAのプログラムの第1ラウンドの9社には含まれていないが、同社は米NPOのDraperを支援するという形で支援している。Draperとispaceの協力は、ispaceの2020年の月周回衛星計画の発表の後に実現したもので、この新しい協力の優先度を考えれば、計画の変更は理にかなっている。

HAKUTO-Rは初めのミッションでSpaceX(スペースX)のFalcon 9を使用し、同社はまたJAXAやスズキ、住友商業、小学館、シチズンホールディングスを含む新たなコーポレートパートナーとの提携にも署名した。

[原文]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAの新HPE製スパコンが月面着陸する宇宙飛行士を支援へ

NASAとHewlett Packard Enterprise(HPE)は、米国カリフォルニア州にあるNASAのエイムズ研究センター向けに新しいスーパーコンピューターを開発し、アルテミス計画の月面着陸における着陸プロセスのモデルとシミュレーションを支援する。

このスーパーコンピューターは、米国の天文学者のRobert Grant Aitken(ロバート・グラント・エイトケン)氏の名前から「Aitken」と名付けられ、理論性能で最高3.69ペタフロップスでのシミュレーションが可能だ。AitkenはHPEとNASA、エイムズ研究所が共同設計したモジュール式のデータセンターで、2017年からスーパーコンピューターのハードウェアの冷却に使用する水とエネルギーの量を大幅に削減するプロジェクトがすすめられてきた。

Aitkenは第2世代のIntel(インテル) Xeonプロセッサ、Mellanox InfiniBandの高速ネットワーク、221TBのメモリをストレージとして搭載する。これはNASAとHPEにおける4年間の協力の成果であり、月に打ち上げられるアルテミスの宇宙船の突入、降下、着陸のさまざまな方法をモデル化し、シミュレーションを実行してその可能性を判断し、最良かつ最も安全なアプローチを決定するのを助ける。

HPEとNASAの協力はこれだけではない。宇宙空間の環境にも耐えられる新型のエンタープライズ向けコンピューターを開発し、火星を含む長期間ミッションのテストを準備するために、2017年に国際宇宙ステーションへと送った。その後、このパートナーはこのスーパーコンピューターをサードパーティーの実験用に昨年公開した。

HPEはまた、スーパーコンピュータを開発しているCrayを13億ドル(約1400億円)で買収すると今年発表した。CrayはNASAのスーパーコンピューター開発における長年のパートナーで、NASAの専用のコンピューターモデル部門の設立や、エイムズ研究所のCentral Computing Facilityの立ち上げに携わったこともある。

[原文]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

ISSドッキング設備を宇宙遊泳で取り付ける様子をNASAがライブ放送

NASAの宇宙飛行士、Nick Hague(ニック・ヘイグ)氏とAndrew Morgan(アンドリュー・モーガン)氏は米国時間8月21日、新しいInternational Docking Adapter(IDA)の国際宇宙ステーション(ISS)への設置を実施する。これは、未来の民間企業による宇宙船が宇宙飛行士をISSへと輸送するための新しい設備となる。

ISSにIDAが設置されるのは今回が2回目で、宇宙飛行士による宇宙遊泳は東部時間で午前8時20時に実施される。このドッキングアダプターは、7月に実施されたSpaceX(スペースX)のCRS-18補給ミッションにて打ち上げられた。アダプターはBoeing(ボーイング)のCST-100 StarlinerやSpaceXのCrew Dragonといった、未来の有人宇宙船に自動ドッキング手順を提供し、将来ISSへと到達する他の民間宇宙船でも使用されることとなる。

2つのIDAとその運用は、予定されている運用期間をとうに過ぎているISSへと、用途と最終的な後継機の開発の両方への民間企業からの支援を目的とした、NASAによるISSの民営化と基本的にオープンな事業化を目指す、NASAの計画の重要な一部となる。

[原文]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Vectorの小型ロケット打ち上げビジネスが資金問題から危機に陥る

小型衛星打ち上げスタートアップのVector(ベクター)は「資金調達の大きな変化」を理由とし、期間を限定せず運営を停止したことを認めた。さらに、共同創設者兼CEOのJim Cantrell(ジム・キャントレル)氏は、今回の事態にあたり解雇された。

このニュースは宇宙関連スタートアップのコミュニティと、もちろんVectorの従業員にとって驚きだった。同社は昨年後半に7000万ドル(約74億円)の資金を調達し、DARPA’s Launch Challengeの認定コンテストに選定されたと発表していた。また、先週には米空軍と数百万ドル規模の契約を結んだばかりだ。

そして、最新の資金調達に問題があったことは明らかだ。しかし、その詳細はわからない。現在TechCrunchはこのラウンドのベンチャーファーム(Kodem、Morgan Stanley Alternative Investment Partners、Sequoia、Lightspeed、Shasta Ventures)と連絡をとっており、なにか声明があれば記事をアップデートする。

Vectorは以下の声明を発表し、キャントレル氏が代退社したことを認めた。資金調達の大きな変化を受け、Vectorは業務を一時停止せざるを得なくなった。コアチームは小型ロケットのVector Rの開発を完了させるための選択肢を検討しており、最新のASLON-45賞などのプログラムで米空軍や他の政府系エージェンシーを支援している。

TechCrunchはこのコアチームの規模と「休止」の一環としてVectorがレイオフしなければならない従業員の数について、問い合わせている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹Twitter

ULAが5機目となる米空軍の機密通信衛星を打ち上げ

Boeing(ボーイング)とロッキード・マーティンによって設立された民間打ち上げ企業のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は米国時間8月8日、衛星コンステレーションを構成する5機目のアメリカ空軍の通信衛星の打ち上げに成功した。コードネームでAEHF-5(5番目のAdvanced Extremely High Frequencyという意味)は、アメリカ空軍の地上施設と交信しており、ミッションが成功したことを示している。

これはULAにとって、これまで失敗なく100%成功しているアトラスVの90回目の打ち上げとなった。打ち上げは8月8日の早朝6時13分にケープ・カナベラル空軍基地から実施され、同施設から今週2回目(スペースXは人工衛星のAMOS-17を打ち上げた)の打ち上げ成功となった。

このミッションでは、アトラスVは551という構成が採用された。これは液体燃料ロケットの中央のコアブースターを囲んで、5基の固体燃料ブースターを装着したものだ。この構成により、約1万4000ポンド(約6.4トン)のAEHF-5を軌道へと投入するため、アトラスVは最大の打ち上げ能力を獲得した。

ロッキード・マーティンはアメリカ空軍のためにAEHF-5を製造し、メールにて静止トランスファ軌道への投入に成功しただけでなく、アメリカ空軍第4宇宙作戦飛行隊の計画通りに通信していることを確認した。現在稼働中の5機の衛星はすべて同社が製造し、今後は来年の6機目の打ち上げが予定されている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹Twitter

2回再使用したFalcon 9が重量級衛星を打上げへ

SpaceXは巨大な通信衛星を搭載したFalcon 9ロケットを、米国東部夏時間の8月6日午後6時53分(日本時間8月7日午前7時53分)に打ち上げる。打上げウィンドウは午後8時21分まで設定されており、天候や他の要因により打ち上げはそのいずれかの時間で実施される可能性がある。また、ライブストリームは最初の打上げウィンドウの15分前から開始される。

打上げに利用されるFalcon 9の第1段は、昨年7月と11月に2回の飛行経験がある。そして今回のミッションがこのロケットにとっての最後ミッションとなり、着陸を行わない「使い捨てモード」での打ち上げが予定されている。

その理由は、Spacecommから委託された1万4000ポンド(約6.4トン)以上の重さとなる人工衛星のAmos-17にある。この打上げのためにFalcon 9はすべての燃料を使わなければならず、コントロールしたうえでの降下が行えないのだ。

しかしながら、今回の打ち上げでは人工衛星を保護するノーズコーン・フェアリングの回収が実施される。SpaceXは以前に、巨大なネットを備えた回収船ことMs. Treeにて、フェアリングの回収に成功している。Falcon 9のフェアリングの回収はブースターと同じく、SpaceXにとって大きなコスト削減に繋がり、また最終的に同社は100%のロケット再使用を目指している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

LightSail 2がついに太陽の光だけによる飛行に成功

非営利で宇宙を探究しているThe Planetary Societyは米国時間7月31日、これまでの一連の勝利の最終的成果を祝った。クラウドファンディングにも助けられて打ち上げられた宇宙船LightSail 2がついに、太陽の光だけで飛ぶことに成功した。Falcon Heavyに乗って打ち上げられ、自分の補助エンジンで定位置に到達した同船は、その後軌道を上げ、マイラー製の帆の表面に当る太陽からの光子の力だけで、最初の軌道より約2km上へ上昇した。

これは、すごい成果だ。通常CubeSatと呼ばれるような小型の人工衛星の軌道の高度修正を、光の力だけでやることが、一般的に可能になったのだ。LightSail 2は、地球の軌道で太陽帆走が可能であることを示した最初の宇宙船になり、太陽帆走を行った宇宙船としても、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)がまったく異なるミッションで2010年に行ったIkarosに次いで、やっと2機目だ。

LightSail 2の場合はあくまでもメインミッションとしての成功だが、まだその旅は終わっていない。太陽帆走による軌道の上昇は、軌道の遠地点(最高位置)を上げることを目指して今後も続行する。また、太陽帆走のパフォーマンスの改善にも取り組む。そのためには、「脱飽和」(Desaturation)と呼ばれる必要な処理の最適化が必要だ。それは、船体を目的とする太陽帆走の方向から一時的に逸らして、累積されている運動量を捨てる処理だ。

20190731 cam2 deploy grid 3 rows f840

今からほぼ1年後にLightSail 2は計画どおりに軌道を外れて地球の大気に入り、そこで燃え尽きる。

これは、宇宙探求のクラウドファンディングとしても大きな成果だ。ほぼ100カ国からの約5万名が資金を提供し、そのほかの団体や企業からの寄付も合わせると、宇宙船の開発と打ち上げのための資金として700万ドルの調達に成功した。

Planetary SocietyのCEOであるBill Nye氏は、帆走の成功を発表した米国時間7月31日のイベントで「私にとって、太陽の光による帆走は、とてもロマンチックなことです」とコメントした。

LightSail 2が集めたデータは、NASAなどほかの組織と共有される。NASA自身にも、地球近傍天体の調査を目的として独自の小さな太陽帆走人工衛星を打ち上げる計画がある。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAの最新の惑星探索衛星が3つの新世界を見つけた

4月にSpaceXのFalcon 9ロケットに乗って打ち上げられたNASAの惑星探索衛星Transiting Exoplanet Survey Satellite(トランジット系外惑星探索衛星)が、太陽よりも小さくて低温の矮星を軌道を描いて周回する3つの新しい世界を見つけた

新たに見つかった惑星はサイズも温度もまちまちだが、どれも地球より大きく平均温度も高い。温度の計算は彼らが周回している星からの距離とそのエネルギー出力にのみ基づき、大気についてはまだ何も分かっていないので大気の影響はまったく含まれていない。温度が最も低いTOI 270 dは平均温度が摂氏66度で、地球の3倍に近い。

最も遠いTOI 270 dと、最も近いTOI 270 cは、どちらも主にガス状と考えられ、太陽系の中では海王星がそれらに一番似ている。「似ているとは言っても、とても小さいから太陽系には存在しない新しいタイプの惑星だ」とNASAの研究者たちは言っている。

どれも大きさが地球の1.5倍から2倍程度と小さく、惑星としては異例であることが研究者にとって関心の的だ。このTOI 270と呼ばれる矮星系は、今後のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からきわめて観測しやすい位置にあるので、この観測所が実働に入る2021年以降がさらに一層、研究の好機と見なされている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXが地上係留なしでのStarHopperの「ホップ」飛行に初成功

SpaceX(スペースX)は今週、延期されていたCRS-18ミッションの打ち上げの後、米国時間7月25日の夜にはStarHopperのプロトタイプの初となる地上に係留されていない状態での低高度飛行に成功した。なお、今週には同プロトタイプ機体は打ち上げテストに失敗していた。

このテストでは、StarHopperは高度20mに到達し、わずかに動き回り自身をナビゲートした。その後StarHopperは予定どおりに着陸したことで、SpaceXのチームが意図した通りのテスト結果であったことを示唆している。

StarHopperは再使用可能な宇宙船ことStarshipの実物大の建設に先立ち、SpaceXが新しいRaptorエンジンの重要な準備試験を実施するのを支援するために設計された、小型版のテスト機である。そしてStarshipはSpaceXが開発中の次期ロケットで、完全に再使用が可能(現在のロケットは部分的にしか再使用や再打ち上げができない)となり、SpaceXでCEOをつとめるイーロン・マスク氏によれば、最終的には搭乗員と荷物の火星への輸送や、さらには同社のミッションのすべてを置き換える予定だ。準備が整い次第、SpaceXの「Super Heavy」と組み合わせることで軌道投入能力を得る。

係留なしでのホップ飛行はSpaceXの開発において重要なマイルストーンで、そのテストに数週間をかけている。マスク氏はすでに、フルサイズのStarshipのプロトタイプの飛行も視野に入れている。そして、Mark IとMark IIが米国テキサス州のボカ・チカとフロリダのSpaceXの施設で同時に開発中だ。マスク氏によると、SpaceXは同じ場所で約1週間後に、StarHopperによる200mとさらに高い高度でのホップ飛行を予定している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

日本の宇宙開発企業ispaceの子会社が欧州宇宙機関による月の水探査プロジェクトに参加

日本の宇宙開発企業のispace(中国のiSpaceとは別会社)の子会社でルクセンブルクを拠点とするispace Europeは、欧州宇宙機関(ESA)が2024年〜2025年に実施する南極での水探査ミッションことPROSPECTに参加する。

PROSPECTは「Pprospecting」(展望)のクールな言い回しであるだけではない。これは「資源観測パッケージおよび探査、商業利用および輸送のための現地調査(Package for Resource Observation and in-Situ Prospecting for Exploration、Commercial exploitation and Transportation)」を意味する。具体的には、ロシアのRoscosmosによる月ミッションを利用し、ESAのペイロードを輸送するというものだ。ESAのペイロードは、常に太陽光の当たらない極にある月の水からなる氷を探すことになるだろう。

ispaceの貢献は、ミッションが取得したデータの計画、運用、解釈を支援するために選ばれた3人のメンバーを通じて、才能を証明するという形をとる。ispace Europeの宇宙・地球鉱山計画エンジニアのCalros Espejel氏は、探査の観点から現場での資源探査(将来の月ミッションにて現地の資源を利用することになる)の調査と任務とするミッションを率いる。

2010年に東京で設立されたispaceは、2018年に1億ドル以上の資金を調達しており、2020年と2021年にSpaceX(スペースX)のFalcon 9ロケットを利用した2つのミッションを予定している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

iSpaceが中国初となる衛星の民間打ち上げに成功

米国東部時間7月25日1時10分にゴビ砂漠からの打ち上げが成功したことで、中国のiSpace(あるいはStarCraft Glory Space Technology、日本のispaceとは別会社)は中国初の民間商業打ち上げ事業者となった。同社のSQX-1 Y1ロケットは2機の商業人工衛星を高度約300kmの軌道へと投入した。

打ち上げはiSpaceによって開発された固体ロケットのSQX-1 Y1によって実施され、4段式のこのロケットは重量6万8000ポンド(約31トン)で、260kgのペイロードが搭載できる。これは中国の宇宙産業にとって重要なマイルストーンであり、iSpaceはLandSpaceやOneSpaceといったまだ商業打ち上げ市場で成功していない強力なライバルを打ち負かした。

2016年10月に設立されたiSpaceは、CDH Investment、Matrix Partners China、Shunwei Capitalからの投資を含む、金額非公開のシリーズA資金調達ラウンドを6月に実施した。同社は以前、SQX-1 Y1ロケットの前モデルにて2018年に弾道飛行を成功させている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

光の力で帆走する宇宙船「LightSail2」から届いたソーラーセイルの素晴らしい展開画像

米国時間7月24日にクラウドファンディングによって資金が調達された宇宙船「LightSail 2」は、宇宙空間において効率的な飛行を可能にするために表面で光子を受け止める大きなシート状の反射素材である、マイラー(ポリエステルの一種)製のソーラーセイルを展開することに成功した。これまでは宇宙船から送られたデータによる観測だったが、LightSail 2が地上局の通信範囲に入った時に送信した新しい画像のおかげで、それが視覚的に証明された。

これらの画像と、魚眼カメラから撮影された一連の画像から生成されたアニメーションGIFは、ボクシングリング大のマイラー製セイルが展開される様子を示しており、GIF画像は実際にセイルが完全に展開された時間の100倍速となっている。これは重要なマイルストーンであり、先代のLightSaildでは達成できなかった偉業だ。今回のミッションではLightSail 2がCubeSatをソーラーセイルにより自力で推進するデモが予定されており、これは宇宙での研究におけるアクセシビリティと運用コストの両面で大きなメリットがある。

この宇宙船はジョージア工科大学の学生チームによって組み立てられ、6月のFalcon Heavyのミッションで打ち上げられた。宇宙船では展開前のテストが実施されており、惑星協会によれば戻ってきたデータは「クリップほどの重さ」と同等の太陽光の推進力により、セイルが押されていることを観測している。このわずかな力が蓄積されることで最終的には、計画通りにことが進めばLightSail 2の軌道を上昇させ、小型人工衛星に向いた推進方法の可能性を実証するだろう。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXが次世代宇宙船開発で小休止、推進システムのテスト機StarHopperの実験失敗

SpaceX(スペースX)は、次世代宇宙船のStarshipの開発にあたり、つまづきをみせている。具体的には、Starthipの推進システムの開発に使用する小型デモテスト機のStarHopperが、テキサスのボカ・チカ・ビーチのテストサイトで実施された地面への係留なしのテスト飛行に失敗したのだ。

計画では、独自の誘導システムによる推進により、デモ機を離陸させて高度20mまで飛行させ、地上へと着陸させる。しかし実際には、ロケットは出火し煙に包まれ、消火される数分前までテスト機は上部から火を吹いていたようだ。ただし、StarHopperは比較的損傷が少ないように見えた。我々はSpaceXからの正式な回答を待っているが、彼らはテストの配信にて「中止」(Abort)であることを強調していた。

先週のスタティック・ファイア・テストにて、StarHopperは火球に包まれた。これは計画されたイベントではないが、SpaceXは後に大きな損傷はなかったと伝えた。

StarHopperは今年4月に係留状態での最初の飛行に成功し、その後は係留なしでの飛行に備えてさらなるテストを実施している。SpaceXでCEOを務めるイーロン・マスク氏は今月、係留なしでのテストが成功すれば、7月末にSpaceXの宇宙船「Starship」の計画を完全に披露する予定だとしていたが、その後のテストでいくつかの問題に直面している。

SpaceXや他の会社がこのようなテストを行う理由は、開発プロセスの早い段階で潜在的な問題を特定するためなので、それが一般的な係留なしでの飛行という「成功」でなくとも、前進していることは間違いない。

SpaceXが設計したStarshipはFalcon 9やFalcon Heavyとは異なり完全に再使用が可能な機体なので、打ち上げ費用を削減できる。同社は最終的にはStarshipをすべての打ち上げに使うつもりだが、顧客がFalcon 9やFalcon Heavyでの打ち上げを望む場合は、それを受け入れる予定だ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXが運搬するISSの新型自動ドッキングアダプタはなぜ重要なのか

SpaceX(スペースX)は米国時間7月25日に国際宇宙ステーション(ISS)へのCRS-18補給ミッションを実施する。この輸送ミッションでの着目点は、Boeing(ボーイング)によって製造された新型のインターナショナルドッキングアダプター「IDA-3」だ。新型のドッキング・アダプターは、Boeingの「CST-100 スターライナー」やSpaceX(スペースX)の「クルー・ドラゴン」、およびそれに続くISS向けの宇宙船に向けた新しいタイプの標準ポートを提供する。

IDA-3に搭載されたこれらの新しい標準ポートとセンサーアレイのおかげで、新しいドッキングステーションはISSの宇宙飛行士の支援がなくても、新しい宇宙船と自動的にドッキングすることができる。これは大きなアップグレードで、なぜならドラゴン補給船のような宇宙船の最終的なドッキング手順では通常、宇宙飛行士が宇宙ステーションのロボットアーム「Canadarm2」を利用してカプセルをキャプチャし、最終的な接続を行っていたからだ。

実際には、これはISSに導入される自動ドッキング機能を備えた2番めの新型ドッキング・アダプタだ。最初のIDA-2は2016年に設置され、SpaceXのクルー・ドラゴンのテスト飛行の際に利用されている。このミッション「Crew Dragon Demo-1」は3月に実施され、3月3日にはIDA-2とのドッキングに成功した。

Canadarm2はIDA-3を降ろし、ISSのHarmonyモジュールに設置するのに利用され、今年後半には宇宙飛行士が船外活動で永続的に固定する予定だ。

一度設置されると、IDA-3は将来のクルーミッションにてISSのドッキング能力を2倍に拡張し、あらゆるタイプのミッションにおけるより多くの機会を提供する。

もしナンバリングが気になるのなら、実際にはIDA-1も存在していた。これは最初にISSに設置される予定だったが、2015年のSpaceXのCRS-7補給ミッションてにFalcon 9ロケットが打ち上げ後に爆発したことにより、損失したのだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXのドラゴン補給船によるCRS-18ミッション、天候理由に延期

アップデート:SpaceX(スペースX)は嵐が打ち上げ地点を通過することを理由に、米国時間7月24日の打ち上げを延期した。次の打ち上げ予定は明日だが、当日の天気予報は大きく変化しないことが予測されており、さらなる延期が予測される。

SpaceXは現在、フロリダのケープカナベラル空軍基地のLC-40発射施設から国際宇宙ステーション(ISS)への18回目の商業輸送ミッション(CRS-18)を、東部時間7月24日午後6時24分に予定している。このミッションでは実験や科学研究のための機器のほか、将来ISSを訪れるクルーが利用する宇宙船のドッキングプロセスを自動化する新しいドッキングアダプタも運搬される。

予定では、打ち上げの15分前からライブストリームが始まる予定だ。しかし打ち上げ前の天候状況はいいとはいえず、好天の可能性は30%であると、今週初めに第5空軍は伝えた。本日の打ち上げが延期された場合、7月25日木曜日の6時01分に予備日が用意されている。

今回のミッションで利用されるドラゴン補給船にはアポロ11号の月面着陸ミッションの50周年を記念し、宇宙船のサイドハッチ付近には「アポロ50周年」の記念グラフィックが施されている。1969年7月24日、月面着陸を成し遂げた宇宙飛行士は司令船の「コロンビア」カプセルにて、太平洋に着水したのだ。

新しい自動ドッキングモジュールの輸送は、宇宙開発プログラムの視点からもこのミッションのハイライトであるが、SpaceXにとっては別のマイルストーンがある。このミッションで利用されるFalcon 9の最初のステージはケープカナベラルのLZ-1に着陸し、またこの第1段とドラゴン補給船は再使用品なのだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

光の力だけで帆走する宇宙船LightSail 2が帆の展開に成功

クラウドファンディングから生まれた宇宙船「LightSail 2」は、その名に恥じず、ついに軌道上でその太陽帆を広げることに成功し、光の力だけで前進する準備ができた。マイラーでできている帆の表面が太陽からの光子を反射し、数え切れないほど多くの原子よりも小さなレベルのインパクトの累積効果により、徐々に速力を蓄える。チームによると、帆の展開は太平洋時間午前11時47分に始まり、総帆展開は太平洋時間午前11時50分に完了した。

LightSail 2は6月25日にFalcon Heavyの打ち上げに、NASAや空軍の実験器具など、さまざまなペイロードとともに便乗して発射された。この宇宙船を作ったThe Planetary Societyはビル・ナイ(Bill Nye)氏が率いる非営利団体で、宇宙探検の未来の進歩について研究している。現在の同団体の目標が、太陽帆走の実用化だ。その着想は数世紀前からあったが、何らかの実物による検証はきわめて困難だった。そのわずかな例の1つとして、2010年のJAXAのIKAROSミッションがある。

帆の総推力はびっくりするほど小さく、そしてその割には帆のサイズは大きくてボクシングのリングぐらいある。その大きな帆から得られる力は、あなたの手にとまるイエバエ程度だ。しかしそれはまた、理論的には燃料切れがありえない。そして宇宙の真空の中では摩擦がないので、時間とともにスピードは徐々に増えていく一方だ。すごい高速にもなるだろう。

The Planetary Societyのチーフサイエンティストであるブルース・ベッツ(Bruce Betts)氏は、帆の展開のライブストリーミングを見て、「計画どおりにうまくいっている」と語った。展開時の画像は、宇宙船が次に地上局との通信圏域に入った時に得られるだろう。画像が得られたら、本誌の記事もアップデートしよう。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa