スペースXが新たに60基のStarlink衛星を打ち上げ、1カ月あまりで計300基が地球低軌道へ

SpaceX(スペースX)は米国時間4月7日、地球低軌道に展開するブロードバンドコンステレーション「Starlink(スターリンク)」衛星を新たに打ち上げた。これで3月4日以降に打ち上げられたStarlink衛星は300基となり、5回のフライトで60基ずつという速いペースを維持している。

前回の打ち上げは米国時間3月24日で、その前は3月14日、3月11日、3月4日だった。SpaceXは、2021年中に合計1500基のStarlink衛星を打ち上げることを目標としているため、このペースは意図的に速いものとなっている。この特に忙しかった月の前にも、SpaceXは他に4つのStarlinkミッションを打ち上げており、その中には他の顧客の衛星も運んだSpaceX初のライドシェア専用ミッションも含まれる。

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SpaceXは、これまでに全部で1443基のStarlink衛星を打ち上げている。しかし、これは現在軌道上にある衛星の総数を反映したものではない。初期に打ち上げられた衛星のいくつかは、計画通りに離脱したためだ。現在、FCC(連邦通信委員会)に申請されている周波数スペクトラムに基づくと、最終的に計画されているコンステレーションの規模は、最大で4万2000基の衛星を含むと予想される。

SpaceXは先日、NASAと新たな協定を結び、両組織がそれぞれの宇宙船の接近や衝突を回避する方法を定義した。NASAはこの種の事故を回避するための方策を制定し、すべてのロケット打ち上げ会社に遵守を求めているが、SpaceXによるStarlinkミッションの規模と頻度から、より広範な追加協定が必要になった。

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今回の打ち上げでは、使用したFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットの、これで7回目となるブースターの着陸も行われた。大西洋に浮かぶSpaceXの着地パッドに予定通り着陸したブースターは、今後の再利用のために改修が行われる予定だ。また、SpaceXは、離陸時に衛星を保護する分割式の貨物カバーであるフェアリングを、海上で回収することも検討している。同社はこれまでパラシュートで減速して落下するこのカバーを空中で回収するために使用していた2隻の船を退役させたばかりだが、現在は着水後に海から回収して再利用することを目指している。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SpaceXが「最も宇宙にいると感じられる」展望ドームをDragon宇宙船の先端に設置すると発表

SpaceX(スペースエックス)は、現在9月15日に計画されている歴史的な民間人のみの宇宙飛行に向けて、宇宙船「Crew Dragon(クルー・ドラゴン)」に変更を加える予定だ。この宇宙船は、国際宇宙ステーションのドッキング機構が透明なドームに置き換えられ、乗員は軌道上から宇宙と地球の壮大なパノラマを眺めることができるようになる。

このガラスドームは、Dragonカプセルの「鼻」の部分、つまり打ち上げ準備中のFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットの先端に、このカプセルを直立状態で搭載した時の最上部にあたる部分に設置される。一度に1人の乗員が利用できるスペースが設けられ、宇宙船が安全に地球の大気圏外に出ると保護カバーが開く。帰還時に大気圏に再突入する際には再びカバーが閉じて、展望デッキを保護する。

SpaceXの Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは、この新装備のレンダリング画像をTwitter(ツイッター)に投稿し「最も『宇宙にいる』ことを感じられるだろう」とツイートした。億万長者のJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏が率いる、この「Inspiration4(インスピレーションフォー)」と名づけられた宇宙観光飛行の記者説明会では、国際宇宙ステーションのキューポラから脱出したような景色が楽しめると説明された。

国際宇宙ステーションのキューポラは、欧州宇宙機関(ESA)が製作し、2010年に設置された観測モジュールだ。SpaceXの予想画像によると、ISSのキューポラが支持構造によって区切られた複数のパネルで構成されているのに対し、Dragonのドームは切れ目のない透明な半球状になっているので、Dragonの方が見晴らしが良いということになりそうだ。

国際宇宙ステーションのキューポラ(画像クレジット:NASA)

この改造は、SpaceXが計画している商業宇宙旅行ミッションに適した、より恒久的なDragonの後継機につながる可能性がある。商業旅行ミッションでは、ほとんどの場合、ISSに実際にドッキングすることなく、軌道上を移動することを目的としていると思われるからだ。軌道上の科学ステーションへのクルー輸送が目的でない場合、SpaceXはさらにキャビンに改良を施す可能性もある。

SpaceXは米国時間3月30日、Inspiration4ミッションについて、打ち上げ予定日が9月15日であること、ミッションの飛行期間が3日間であることなど、新たな詳細を明らかにした。また、4名のクルーのうち、残りの2名の搭乗者も同日朝に公表された。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スペースXが11機目のStarshipプロトタイプを打ち上げるも着陸時爆発

SpaceX(スペースX)は米国時間3月30日の火曜日、Starshipのプロトタイプ宇宙船のさらなる高高度テスト飛行を行った。すべてのStarshipのプロトタイプの建造や飛行テストと同様、このプロトタイプも最近Elon Musk(イーロン・マスク)氏が 「Starbase」と改名した同社のテキサス州ボカチカの開発施設から離陸した。ただし、残念ながらテストはうまくいかず、SN11のプロトタイプは最終降下中に失われた。現場からの報告によれば大きな爆発が起こり、着陸地点周辺に破片が散乱したとされている。

現時点でのスペースXの目標は、Starshipを高高度(およそ3万2000〜4万フィート、約10〜12キロメートル)まで飛行させ「ベリーフロップ」というマヌーバーを実行した後、垂直方向に制御された姿勢で地球に帰還させ、その後に軟着陸させることだ。今日までに同社はこの目標に向けて前進してきた。最初の2回の試みは着陸時の衝撃で爆発し、3回目の試みでは垂直に着陸したが、しっかりとした状態で静止した後もののわずか10分弱で爆発した。

スペースXの現時点での具体的な目標は、Starshipの姿勢を制御するために使用するコントロールフラップのデータを収集し、軟着陸を実現することだ。同社は低高度飛行にて研究し、後に軌道上での弾道飛行テストを開始した際の成功率を高めるために必要なデータを得たいと考えている。

当日朝、テキサス州の発射場が霧に覆われていたため、スペースXの飛行テストの様子をはっきりと見ることはできず、またミッションの何が問題だったのかはまだ明らかされていないい。この点については、後に調査結果が公開される予定だ。

【更新】マスク氏によれば、着陸時の燃焼に使用された第2エンジンに問題があったとしている。

事故直後のマスク氏のツイートは以下のとおりだ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

スペースXがStarlink衛星をさらに60機打ち上げ、3月だけで240機も投入

SpaceX(スペースX)は米国時間3月24日の朝、フロリダ州ケープ・カナベラルから60機の衛星を打ち上げ、Starlink衛星を軌道上の既存のコンステレーションにさらに追加した。今回のミッションでは過去5回の打ち上げで使われた飛行証明ブースターを使用したFalcon 9と、過去の飛行で使用された貨物フェアリングカバーを再使用した。

Starlinkは米国時間3月14日、11日、3月4日にそれぞれ60機ずつ打ち上げられており、今回は1カ月以内での4回目の打ち上げとなった。合計すると、約3週間で240機の衛星が打ち上げられたことになる。これは、世界第2位の商業衛星オペレーターであるPlanetが宇宙に保有する衛星の数とほぼ同じだ。

SpaceXの目標は2020年に1500機のStarlink衛星を打ち上げることだが、現在の打ち上げペースは目標達成に向けて順調なもののような。Starlinkは最終的には低軌道上に1万機以上のアクティブな衛星を保有するまでに成長するはずだが、短期的な目標はブロードバンドインターネットサービスの地理的な適用範囲をさらに多くの国や顧客にまで拡大し続けることだ。

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現在のところ、SpaceXがサービスを提供している地域なら誰にでも予約注文ができることから、ベータ版サービスの展開は地上コンポーネント側のハードウェアに制約があるようだ。Starlinkのアンテナとモデムのキットを申し込んでいる顧客は、サービスが提供されていることが知られている地域や、あるいは既存のベータ版ユーザーがきちんと利用できている地域であっても、2021年末まで配達時間が延長されている。

SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、初期のインフラ投資が完了し収益が安定した段階で、最終的に会社をスピンアウトさせる計画だ述べている。これまでのところ他の地方のブロードバンドソリューションと比較して、顧客は速度と信頼性の面でStarlinkのネットワークを好意的に評価しているようだが、次の大きな試練はネットワークが顧客数の増加により高負荷になったときに訪れるはずだ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

スペースXの次世代超大型ロケットブースターが完成間近

SpaceX(スペースX)は、Starship宇宙船を軌道に乗せるための次世代の超大型ロケットブースターSuper Heavyの試作品1号機の「スタッキング」を完了した。Super Heavy高さは約220フィート(約67メートル)で、これはBoeing 747の翼幅とほぼ同じか、あるいはフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールドにあるシンデレラ城よりも少し高いくらいだ。

ここにはStarshipがないので、あと160フィート(約49メートル)ほど高さが追加される。しかしSuper Heavyは、Starshipと結合されて飛行する前に独自の飛行テストを実施する予定であり、その主な目的はエンジンが実際に燃焼する前に、点火可能な燃料を安定状態に保つために必要な加圧と、極端な温度に燃料タンクが耐えられることを確認することに焦点が当てられる。

Super HeavyはStarshipと同じエンジンを使用している。これはRaptorエンジンで、スペースXはこの次世代ロケットのために新しいエンジンを製造した。最終バージョンには合計28基のRaptorエンジンが搭載されるが、この最初のプロトタイプに搭載されるエンジン数ははるかに少なく、同社CEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、組み立てや輸送の仕組みなどのテストにのみ使用されるため、地上に留まることになると認めた。

マスク氏は次のプロトタイプでは飛行すると述べている。同氏はスケジュールに関しては必ずしも正確ではないが、Starshipの上段ステージ(フィンがついた大きな穀物サイロのような形状のもの)の開発は急速に進んでり、最近のテスト飛行ではほぼ完璧な着陸を達成したようにみえたが、数分後に起きた爆発でプロトタイプの機体は完全に吹き飛んでしまった

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マスク氏がStarshipとSuper Heavyの開発を急いでいるのは、Artemis(アルテミス)計画の一環として将来の有人月面着陸ミッションをNASAに提供するという野心的な目標を持っていることと、2023年までのわずか2年間でStarshipの初の商用観光飛行を計画していることが理由だ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

NASAとSpaceXがStarlink衝突予防のため高度な情報共有契約を締結

NASAは、誰でも自由に、何でもかんでも宇宙に打ち上げて良いとは認めていない。国際宇宙ステーション(ISS)を含む地球軌道上の同局のアセットへの影響を確認する必要があるからだ。NASAには、いわゆるConjunction Assessment(接近評価)を中心とした一連の標準規則がある。これは基本的に、宇宙に存在する物同士が接近し、衝突の危険性が生じるか否かを判断するためのものだ。ご推察のとおり、何がいつどこを飛ぶかを審査する。

米国時間3月19日、NASAは、SpaceX(スペースエックス)との間で、通常の接近評価の内容を超える新たな契約を発表した。NASAがその使命を果たすために、どのような企業とも協働できることを認めるSpace Act Agrement(航空宇宙契約)の委託下に位置するこの高度な合意は「非弁済」とされている。つまり、契約者双方が利益を得られるため、金銭的取引は生じない。

SpaceXは、Starlink(スターリンク)という現在、最も大量の人工衛星によるコンステレーションを運用しており、その数は急速に増え続けている。またStarlinkの各衛星にはミッションの内容に応じて自律的に移動できる能力がある。そのためNASAとSpaceXは、接近を避けるために緊密な協力関係を継続する必要がある。この契約は、事実上そう物語っている。

したがって、NASAとSpaceXとの間で交わされるコミュニケーションと情報共有の方法を規定したこの合意は、これまで通常考えられていたものよりも踏み込んだ内容になっている。NASAは、計画中のミッションに関する詳細情報を事前にSpaceXに伝えなければならない。NASAのアセットがSpaceXのコンステレーションの近くを通過する可能性のある場合、SpaceXはその情報を元にStarlink衛星の自動衝突防止機能を適切にプログラムする。またNASAは、その評価能力や事故防止対策の改善でSpaceXと直接協力し合うことができる。さらに「放射輝度」、つまりStarlink衛星の反射光をより効率的に抑えるための技術的支援をNASAが提供することもできる。

一方SpaceXは、Starlink衛星が「回避行動」を取り「NASAのあらゆるアセットとの距離を保ち衝突を防止する」ように責任を持つ。SpaceXはまた、Starlink衛星が衝突防止行動を取れない間の「準備期間」の予定を提出する必要がある。これはおもに打ち上げ直後から、目標軌道に到達して稼働を開始するまでの間に多く発生する時間帯だ。

もう1つ、この合意で重要な点は、SpaceXがStarlinkを打ち上げるときは、ISSの軌道の最低高度と最高高度からそれぞれ少なくとも5kmの高度の差をつけて地球を周回するよう計画しなければならないというものがある。さらにSpaceXは、衛星の反射光を減衰させる技術の効果に関する評価結果を共有することが求められる。この問題に関するガイドラインを、NASAが調整できるようにするためだ。

合意の全内容は下記の通りだが、最も注目すべきは、SpaceXのコンステレーション衛星の数が1200基を超え、2021年中に1500基以上にまで増えることを受けて、NASAは同社を地球低軌道の良きパートナーであり住民になって欲しいという望みが明らかに見て取れる点だ。またNASAは、SpaceXに多大な信頼を寄せると同時に、その手に大きな責任を持たせたいとも考えている。そもそもNASAは、Starlinkに搭載された自律的能力が、実際に起こり得るどのような危険も回避できると述べている。NASAはこの文書を、他のコンステレーション運営企業にも転用できるように構成している。

NASA-SpaceX Starlink Agreem… by TechCrunch

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(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)

スペースXが記録となる9回目のFalcon 9打ち上げに成功、2週間で3回Starlink衛星を投入

SpaceX(スペースX)はさらに60機のStarlink衛星を軌道上に投入した。これにより、同社はこの2週間で合計180基のStarlink衛星を打ち上げたことになる。米国時間3月14日の打ち上げは、この第1段ブースターの9回目の飛行かつ9回目の着陸であり、Falcon 9ロケットの再使用プログラムにおける新記録でもある。

このブースターは過去にStarlink衛星を5回打ち上げたほか、Crew DragonカプセルのDemo-1など、さまざまなミッションで使用されてきた。打ち上げから国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキング、そして地球への帰還まで、意図どおりに機能することを証明する無人のテストフライトだった。

SpaceXは2021年1月のStarlinkの打ち上げで、2020年12月に飛行したばかりの改修された第1段を使用して、再使用回数の記録を更新した。同社はこのブースターが何度も再使用できることを示すだけでなく、、スピードとペイロードの両方が打ち上げコストに大きな影響を与えることもあり次のミッションに向けてブースターをすばやく運用できることも示したいと考えている。

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ロケットの再使用はこれらのStarlinkミッションにおいて特に重要であり、SpaceXがブロードバンドインターネットサービスの提供を世界的に拡大している中で、ますます頻繁に実施されている。前述のとおり、今回の打ち上げはわずか10日間で60基の衛星を打ち上げた3回目のミッションで、前回は3月11日に実施された。

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SpaceXは米国時間3月21日に予定されているStarlinkの打ち上げを含め、3月末までにあと2回の打ち上げを予定しているため、しばらくはほぼこのペースで打ち上げを続けていくことになる。同社はこれらのミッションの顧客であるため、(少なくともStarlinkが現在のベータ版を終え、より多くの収益を上げるまでは)打ち上げにかかる費用を負担しており、ブースターの再飛行は全体的なコストを軽減するのに有効な方法だ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

スペースXがStarlink衛星60機を打ち上げ、前回ミッションからわずか1週間後

SpaceX(スペースX)は米国時間3月11日の朝早く、フロリダ州のケープ・カナベラルから最新のブロードバンド衛星Starlinkをさらに60機を打ち上げた。同社は先週、米国時間3月4日に60機の衛星を打ち上げたばかりだが、今週にはStarlinkのインターネットサービスのベータ版をドイツやニュージーランドなど、世界の他の市場にも拡大することを発表している。

Starlinkの打ち上げは全体で21回目で、2021年に入ってからは6回目となる。天候やスケジュールが許せば2021年3月中にはさらに3回の打ち上げが予定されている。スペースXがこのような積極的な打ち上げを実施している理由には、低軌道上のコンステレーションに衛星を増やせば増やすほど、より多くの顧客と契約してサービスを提供できるからだ。Starlinkは現在ベータテスト中だが、地域によっては誰でも契約できるようになっており、SpaceXはデポジットを受け取り、利用可能になるまでの大まかなスケジュールを提示している。

これまでのところ、Starlinkのサービスは米国、カナダ、英国、ドイツおよびニュージーランドのユーザーに開放されているが、2021年末までに「世界人口のほぼ全域」をカバーする計画だ。衛星をコンステレーションに追加すると、地理的な到達範囲が広がるだけでなく、ネットワークのパフォーマンスも向上する。SpaceXによると、現在のベータ版の速度は50Mb/sから150Mb/sで、レイテンシーは20ms〜40msの間だが、今後数カ月のうちに、さらに多くの衛星がネットワークに参加し、SpaceXが地上ステーションのさらなる追加、展開により、これらの数値は改善されるという。

Starlinkのサービスはすでに、セルラーインターネットや静止衛星ベースのインターネットなどの地上インフラの代替サービスが期待外れだった農村部や到達困難な地域で、競合他社を圧倒したという報告がある。

今回の打ち上げでは、Starlink衛星を軌道に投入したFalcon 9ロケットのブースターの制御着陸にも成功した。SpaceXは同社初の有人宇宙飛行ミッションを含む5回のミッションで使用したロケット第1段を、大西洋に浮かぶドローン船に着陸させている。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXが新たにStarlink衛星60機打ち上げ、Starshipロケットは一度に最大400機まで打ち上げ可能に

SpaceX(スペースエックス)が、Starlink(スターリンク)衛星の新しいバッチを打ち上げた。いつものように地球低軌道向けの60機の衛星で構成されており、打ち上げ済みの1000機の衛星コンステレーションに加わることになった。今回の打ち上げは、SpaceXにとって2021年5回目のStarlink衛星の打ち上げであり、トータルでは20回目の打ち上げとなる。

2021年の初めにSpaceXは、払い戻し可能な前払いの予約システムを介して、現在または計画されているStarlinkのサービスエリアへ、誰でもアクセスできるようにした。同社は、このような打ち上げを2021年を通して続け、世界のはるか広い範囲で顧客にサービスを提供できる、衛星コンステレーションを構成することを目指している。以前SpaceXのCOOで社長であるGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏は、同社は約1200個の衛星で世界の多くの地域をカバーできると予想していると語っていたが、現在同社はネットワークの容量と速度を完全に作り上げるために3万個以上の衛星打ち上げを計画している。

SpaceXは、Falcon 9ロケットを使ったStarlinkの打ち上げを順調に進めているが、その一方で衛星コンステレーション成長のキードライバーとしてStarshipにも目を向けている。南テキサスで開発中のSpaceXの次世代ロケット「Starship」は、一度に400個のStarlink衛星を軌道に投入することが可能で、完全な再利用性と迅速なターンアラウンドを考慮して設計されている。

1回のミッションで6倍以上の衛星を打ち上げることができるようになれば、Starlinkネットワークの展開速度や計画の全体的なコストの面で、SpaceX社にとって大きな助けになるだろう(なおここでは、Starshipが量産ロケットとなった際には、Starlinkが一般的に手頃な価格になるとしている彼らのコスト予測が正確であると仮定している)。少なくともそれは間違いなく数年先のことだが、SpaceXは米国時間3月3日に新しいマイルストーンを達成し、それが実現する可能性があることを十分に示している。

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同社の最新のStarship試作機は、米国時間3月3日にこれまでで最も成功したテスト打ち上げを行った。同機はSpaceX社のテキサス州ボカチカ開発サイトから離陸し、高度約3万2000フィート(約9728m)まで飛行した後「フロップ」操作を実行して、垂直方向の軟着陸のために自身の向きを変えた。今回のテストロケットも、着陸後10分以内に爆発を起こしたが、その派手な結末にもかかわらず、今回のテストでは、SpaceXがStarshipを現実のものにするために必要な基本的なエンジニアリング作業の多くが証明された。

Starlinkは数年に渡る巨大な取り組みであり、Starshipの大量生産や飛行が数年先になったとしても、プロジェクト全体にまだ大きな影響を与えられるはずだ。そして、Starlinkが完全に展開され運用が始まった後は、定期的な保守作業が発生する。ネットワーク内の個々の衛星は、実際には最大で5年までの運用ができるように設計されているに過ぎない。そのため運用をスムースに行い続けるためには、定期的な交換が必要となるのだ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:sako)

SpaceXの大型宇宙船Starshipが3度目の試験飛行で高度10kmまで上昇〜着陸に成功

SpaceXは、開発中の重量級再利用型宇宙船「Starship(スターシップ)」で現行10番目の試験機体となる「SN10」を打ち上げた。SpaceXが開発施設を置くテキサス州ボカチカから離陸したStarship SN10は、約10kmの高さまで上昇した後、摩擦を利用した着陸降下に向けてマヌーバを行い、体勢を立て直した。

この高度を飛んだ過去2台のStarship試験機体とは異なり、約6分間の飛行は火の玉になって終了することはなかった。SN10は意図したとおり、着陸に向けた姿勢転換マヌーバを完了させ、落下速度を減速させて軟着陸した。ロケットは垂直姿勢を保ったまま、無傷のままだ(更新:とはいえ、ロケットは着陸してから数分後に着陸パッド上で静止している間に爆発したのだが、これは潜在的に漏れが原因であった可能性がある)。

これはすばらしい結果であり、SpaceXのライブストリームによると、すべて「計画どおり」とのことだ。しかし、前回と前々回の爆発後、どうしてすぐにここまで来れたのだろうか?それはこのロケットの開発方法によるところが大きい。すべてのロケット開発には予期せぬ出来事や最良ではない結果が付き物だが、SpaceXの仕事にはいくつか平均的な宇宙船メーカーと異なる点がある

まず、この開発をオープンに行っていることだ。ボカチカの施設は、基本的にはいくつかの小さな建物、コンクリートのパッド、貯蔵タンク、足場があるだけだ。公道に非常に近く(テスト中は閉鎖され、周辺地域は避難している)、人々はクルマで近くまでやって来てカメラを構え、そこで行われていることを撮影することができる。これは、従来のロケットメーカーの一般的なやり方とはまったく違う。

そして2番目、SpaceXの創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が、SpaceXが迅速にStarshipの試作機を製造して試験を繰り返す開発戦略を追求することに対して、一切ブレないことだ。つまり、一般的なロケットメーカーのように、各テストを行った後に一度引き下がって、数カ月に及ぶ長期的な分析を行ってから別の仕様のロケットを製作して飛ばすのではなく、SpaceXでは少しずつ改良を加えた複数の試作機を、同時進行で製造・組み上げていることを意味する。

画像クレジット:SpaceX

この日、最初の打ち上げの試みは、短いエンジン点火の後に中断された。ロケットの計器が、マスク氏のいう「保守的」に反するわずかに高い推力値を示したからだ。これに対し、実際にSpaceXが考案した修正策は、試験中止を回避するため、限界値を高く調整することだった。

同社が飛行と着陸に成功した後に起こった爆発の原因について、これから調査を行うことは間違いない。だが、開発のこの段階において、SpaceXにとって最も重要な事項が、すべて成功したことに変わりはない。Starshipの次なる課題は、テスト飛行の高度をさらに上げることだろう。もちろん最終的には軌道に到達することが目標だが、その前にSpaceXは大気圏内に留まりながらも、今回の試験飛行をはるかに上回る打ち上げを、何度か試すことになるだろう。

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SpaceXが有料月旅行最初の利用者、前澤友作氏に8席提供、前澤氏は現在クルー募集中

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SpaceXの有料月旅行の最初の顧客が仲間になる人に8席を無償で提供

Yusaku Maezawa(前澤友作)氏は、SpaceXが目下開発中の宇宙船Starshipに乗って月を巡回する旅を予約した最初のお金を払う乗客だ。その彼が、ミッションに関する約束のアップデートを公表した。出発が2023年、月への往復の旅は1週間という日程は変わらないが、今回Maezawa氏はクルーを求めている。Maezawa氏発表のビデオによると、乗客数は最大で10名から12名だが、内8席の乗客は一般から選ぶ。

このミッションが発表された2018年にMaezawa氏は、同乗する仲間の宇宙飛行士として6名から8名のアーチストを選び、その体験に基づく作品を作ってもらうためのインスピレーションを提供したい、と言っていた。それが今回はちょっと変わって、どんな種類でも良いから何らかのクリエイティビティを表現している人はアーチストと見なされる、ということになった。そこで選考基準は二つあり、ひとつは、宇宙に行くことによって自分が今やってることがさらに良くなること。そして第二は、旅の途中で他のクルーを支えることだ。

Maezawa氏は億万長者で連続起業家で自分でもアーチストだが、今日発表した8人ぶんも含めて旅費は全額彼が払う。

Maezawa氏は新しいサイトでクルーの選考方法を詳しく述べている。まず、3月14日までに事前登録をする。次に書類選考が3月21日に終わる。宿題があり、応募者は3月21日までにそれを終えないといけない。そのあと、オンラインの面接があり、次が5月下旬の最終面接とメディカルチェックとなる。これらの日付はすべて、日本時間だ。

応募用のミニサイトによると、これらのスケジュールは今後変わることもある。いったんチームが確定したら、2022年と2023年は訓練と準備に集中する。タイムラインの入った大まかなフライトプランはあるが(下図)、あまり詳しくない。しかし、月をぐるっと回って帰ってくるコースは描かれている。


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この乗客募集の呼びかけに欠けていて気になるのは、それがMaezawa氏と生死を共にするパートナーを募集する、軽率できわめて不気味な呼びかけであることだ。彼は2020年に、その旅を彼とのお見合いの場のようなものにするための、20歳以上の独身女性を旅のドキュメンタリーのスターとして募集したことがある。Maezawa氏はしかしその同じ月に、その女性募集路線を引っ込めた

このように一般公募で宇宙への無料の旅路を提供する試みは、意外にもこれが唯一ではない。SpaceXのDragonを利用する軌道ミッションInspiration4があり、これは人間のフライトをすでに承認されている。その離陸は、早くて2021年の予定だ。

関連記事: SpaceXのBFRに乗って月を周回飛行する最初の民間人乗客はYusaku Maezawa(前澤友作)だ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

初の完全民間有人宇宙飛行の1座席はSalesforceマーク・ベニオフ氏らの審査委員会が決める

SpaceX(スペース・エックス)による初の完全民間有人宇宙飛行ミッションは、計画どおりに進めば2021年中にCrew Dragon(クルー・ドラゴン)カプセルを使って4人のクルーを軌道へと運ぶ。クルーの1人は審査委員会によって応募した起業家の中から選ばれる。委員会のメンバーは、Salesforce(セールスフォース)CEOのMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、Fast Company(ファスト・カンパニー)編集長Stephanie Mehta(ステファニー・メータ)氏、ユーチューバーのMark Rober(マーク・ローバー)氏、およびBar Rescue TVのホストJon Taffer(ジョン・タッファー)氏だ。多岐にわたる人々だが、この狂乱ぶりには理由がある。

この席は乗船する4人のうちの1人分だ。1つ目はコンテストとミッションのスポンサーであり、Shift4 Payments(シフト4ペイメンツ)のファウンダーで、このフライトを支援するためにわずかとはいえない金額を費やすことを選んだJared Isaacman(ジャレド・アイザックマン)氏に渡る。2つ目は、先にアイザックマン氏が明かした通り、 セントジュード小児研究病院の従業員で元がん患者のHayley Arceneaux(ヘイリー・アルセノー)氏に決まった。

関連記事:骨肉腫サバイバーの女性がSpaceXの初の完全民間有人宇宙旅行のクルーに

残る2つの席は、それぞれ別のコンテストによって決定される。1つは現在進行中の慈善募金活動を通じてセントジュード小児研究病院に寄付した米国市民全員に与えられる。もう1つは、審査委員会によって決定され、勝者はShift4のeコマースプラットフォームShift4Shop(シフト4ショップ)に店を持っている応募者の中から選ばれる。

そのとおり。このとてつもなく高額で開拓精神あふれる宇宙ミッションは、アイザックマン氏率いるShopifyライバルのグロースマーケティングキャンペーンでもあるのだ。ただし公正を期すために言っておくと、当選者の店は新しくなくてもよい。既存のShift4ユーザーも応募可能で当選の権利がある。

勝者を決める条件として発表されているのは「創造力と革新性と決断力を有する事業主または起業家」つまり、まあ誰でもよい。私はベニオフ氏、メータ氏、ローバー氏(ユーチューバーであるとともに元NASA JPLのエンジニア)、タッファー氏の面々が、果たして誰を選ぶのか非常に関心がある。

このInspiration4(インスピレーション・フォー)ミッションは現在2021年第4四半期の打ち上げを予定している

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク氏がスペースXの石油採掘リグの宇宙船発射台が2021年後半に稼働する可能性を示唆

SpaceX(スペースX)が現在開発中の次世代宇宙船であるStarshipの壮大なビジョンには火星への旅行だけでなく、地球上での定期的なポイント・ツー・ポイント飛行も含まれている。これは地球の大気圏外を飛び、通常の国際線なら何時間もかかる所要時間を30分程度に短縮することができる。しかし、ロケットはどこかから離陸する必要があるし、発射地点の環境負荷も従来の航空機より少し気がかかりだ。そこでSpcaceXの創業者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、石油採掘プラットフォーム(リグ)を海上の宇宙港にすることにした。

マスク氏は以前にもこの計画について話しており、SpcaceXは最近は火星の衛星にちなんで PhoibosとDeimosと呼ばれる2つのリグを購入した。現在はStarshipで使用するために改造中で、SpcaceXの開発サイトであるテキサス州ブラウンヒルズに近いメキシコ湾に配備される。

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米国時間2月24日、マスク氏はツイッターにて2カ所のプラットフォームのうちの1カ所が2021年末までに少なくとも部分的に稼働する可能性があると述べた。同氏は楽観的なタイムラインで知られているが、最近は比較的正確なものが多く、少なくとも過去数年のように非現実的なものではない。

マスク氏が伝える「限定的な運用」の意味は、明確ではない。これはリグがあるべき場所に浮いていて、技術的にはStarshipのプロトタイプをホストできることを意味する可能性があるが、SpcaceXが2021年末までに1機のStarshipを打ち上げられることを意味するものではない。同氏はさらに、Starshipがデビューしたときの大胆なCGコンセプトビデオのように、都市部の目的地近くの水域にStarshipの打ち上げ施設と着陸施設を設置するだけでなく、世界中のさまざまな地点に設置する計画であると付け加えた。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXによる約897億円新資金調達をSECへの提出書類で確認

CNBCが報じたSpaceXの先週の8億5000万ドル(約896億9000万円)の資金調達に関して、公式の声明などは何もないが、米証券取引委員会(SEC)は米国時間2月23日、そのラウンドを確認した。SpaceXの資金調達は同社の評価額740億ドル(約7兆8090億円)がベースだといわれており、1株あたりの価値では420ドル(約4万4320円)となる。

Bloombergによると、投資企業Sequoiaがこの大きな資金調達をリードし、同社は2020年のラウンドと今回にかけて、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いる宇宙企業に全体で6億ドル(約633億1000万円)ほどを注入したという。CNBCの報道によると、さらに既存株の二次売却により同社には7億5000万ドル(約791億3000万円)の資本が生まれ、SpaceXが使える新資金は16億ドル(約1688億1000万円)となったという。これは460億ドル(約4兆8530億円)の評価額での、20億ドル(約2110億円)の調達した2020年8月と比べてもそれほど見劣りしない。

しかし、それが1年弱の間での調達となると、巨額と言わざるをえないだろう。しかし、非上場企業も含めて、一挙にこれだけの資本が必要な企業はあまりない。2年近い社史の前半に得た資金で稼ぎの良い打ち上げビジネスを構築できたが、それによってひと段落したわけではなく、今度はさらに巨額な初期費用を要する大きな新しいプロジェクトを着々と進めている。

現在、SpaceXはStarshipの新たなプロトタイプを急速に製造している。それは再利用可能な次世代型ロケットで、積載量は現在のDragon宇宙船とFalcon 9カーゴノーズコーンの数倍だ。プロトタイプは何度か飛ばしたが、着陸ミスで2つを失った。同社は通常、2つ以上のプロトタイプを同時に作るというペースを何カ月も維持しているが、ロケットとそれを動かす新エンジンは製造は高度な手作業によるものだ。

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しかも同社は、Starlinkも開発している。それはグローバルなブロードバンドのサテライトコンステレーションで、現在の1000基強から、最終的には全世界をカバーする1万2000基を目指している。その大規模展開と現在の一部北米地区を超えた広範な供給開始を早めるためにSpaceXは、専用のFalcon 9ロケットを確保し、それぞれに60基のStarlink衛星を搭載している。このミッションでは、カーゴの顧客は自社になるため、すべて営業経費となる。マスク氏の推計では、その総額が約100億ドル(約1兆550億円)となる。

StarshipとStarlinkという二大プロジェクトは、初期費用がとても大きいが、長期的なポテンシャルも大きい。Starshipの高高度テストと、Starlinkのサービス開始の間で、2つのプロジェクトが良い結果を出す度に評価額が急上昇していく。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

骨肉腫サバイバーの女性がSpaceXの初の完全民間有人宇宙旅行のクルーに

SpaceX(スペースエックス)は今や人々を宇宙に運ぶ事業を展開している。計画どおりにいけば、乗り込む全員が民間宇宙旅行客という初の宇宙旅行を2021年後半に初めて実施する。そして今、億万長者でShift4Paymentsの創業者Jared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏の旅に加わる人物が明らかになった。St. Jude Children’s Research Hospital(セントジュード小児研究病院)の従業員で元患者のHayley Arceneaux(ヘイリー・アルセノー)氏だ。

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同氏はSpaceXのDragonに搭乗する4人のメンバーの1人としてアイザックマン氏によってすでに選ばれていた。打ち上げられれば、このミッションには詳細不明の軌道上を回りながら数日間過ごすフライトが含まれる。アイザックマン氏は2021年初めに宇宙旅行を発表した記者会見で、セントジュード小児研究病院から誰を選んだのか「すでに知っている」としていたが、披露するのは後に取っておくと話していた。

同氏は、自身が命名したフライト「Inspiration4」の数カ月におよぶキャンペーンを展開している。宇宙旅行の残る2席は現在進行中の2つのコンペティションで選ばれた人物に提供される。1人は打ち上げにともなう募金キャンペーンでセントジュード小児研究病院に募金した人の中から選ばれる。残りの1人はShift4が新たに立ち上げたeコマースプラットフォームでオンラインストアを開く起業家から選ばれる。

AP通信が報じたように、アルセノー氏は骨肉腫サバイバーで、医師助手として2020年にセントジュード小児研究病院へと加わった。予定されているフライトで宇宙に行くとなれば、同氏は数多くの「初」記録を打ち立てることになる。その1つが、わずか29歳で宇宙にいく最年少の米国人というものだ。また同氏は10歳のときにセントジュード小児研究病院で骨肉腫の治療を受け、人工膝と大腿骨にロッドを装着していて、人工装具をつけて宇宙に行くというのも初だ。

打ち上げにかかる費用はすべてアイザックマン氏がSpaceXに支払う。このミッションにともなうセントジュード小児研究病院から選ばれた人の納税義務もカバーする。同氏はまた、他のクルーを選ぶために使われる募金活動で集まった費用に加えて、自身の基金からセントジュード小児研究病院に1億ドル(約105億円)を寄付することも約束している。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpaceXが最新ラウンドで約900億円調達との報道、評価額は約7兆8360億円に

SpaceX(スペースエックス)は新たなラウンドで8億5000万ドル(約900億円)を調達した。この件に「詳しい」情報筋の話としてCNBCが報じた。SpaceXは非公開企業ながらも、報道によると今回の調達によりバリュエーションは約740億ドル(約7兆8360億円)になる。

どこから見ても巨額の調達ラウンドであるが、SpaceXの基準においてはそうではない。2002年創業の同社は今回のラウンド、そして2020年8月の20億ドル(約2120億円)のベンチャーラウンドを含め、これまでに60億ドル(約6350億円)超を調達した。2020年8月のラウンド時のバリュエーションは460億ドル(約4兆8700億円)で、つまり同社のバリュエーションは少なくともプライベート投資家の視点からすれはこの6カ月で大きく飛躍したことになる。

SpaceXは衛星ブロードバンドコンステレーションStarlinkの衛星1000基以上を軌道に乗せ、NASAのクルーを宇宙船Dragonに乗せて国際宇宙ステーションに運び、宇宙船Starshipの高度フライトテストを2回行っておおむね良好な結果を得るなど、これまでに多くを成し遂げた。また、打ち上げを依頼する多くの潜在顧客の需要を示している初のライドシェアミッションも実施した。

SpaceXは既存資本のおかげで多くのことを達成した一方で、最近の成功はさらに資本を投入すべきことがあり、また資本を獲得する必要があることを明らかに示していた。宇宙に耐えられることを証明するためのStarshipの開発継続、Starlinkを真に地球規模のネットワークにするという多額の資金注入を要する取り組みなど、まだすべきことを多く抱えていることから、同社はさらに資金を調達することが見込まれる。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

スペースXがStarlink衛星を新たに60機打ち上げ

SpaceX(スペースX)は現在のFalcon 9によるStarlinkミッションにおいて標準サイズとなる60機の衛星を打ち上げた。実験的なものや軌道から離脱したものまでを考慮に入れると、これにより軌道上で約1000機の衛星が活動していることになる。この動きは同社が現在、または将来計画されているカバーエリア内なら誰でも、Starlinkへの注文を開始したことに続くものだ。

Starlinkは、小型の低軌道衛星を利用したグローバルな衛星ベースのインターネットサービスだ。歴史的にブロードバンド衛星は、地球から遠く離れた固定軌道上に存在する大型かつ高価な衛星であり、単一のカバーエリアにサービスを提供してきた。地球からの距離と基地局への接続方法のためにレイテンシーが非常に高く、接続も安定しなかった(機内Wi-Fiを利用したことがある人ならわかるだろう)。SpaceXのコンステレーションでは、衛星を地球の近くに配置することでレイテンシーを改善し、衛星が地球を周回してお互いに接続を引き継ぐので、コンステレーションのサイズが大きくなるにつれて理論的にはより安定した接続が提供できる。

最終的にSpaceXは、地上インフラの問題でネット接続環境が脆弱な地域にサービスを提供することに重点を置き、Starllinkでグローバルなカバーエリアを提供することを目指している。最近になって、SpaceXはクローズドベータをオープンベータに拡大しており、顧客は住所を確認した後でStarlinkのウェブサイトからサインアップし、デポジットを全額支払うことでハードウェアキットを注文できる。

Starlinkのハードウェアキットには、顧客がサービス地域にて設置できる小型の衛星受信アンテナが含まれている。サービス自体の料金は月額99ドル(約1万500円)で、機器の価格は499ドル(約5万2900円、初回1回限り)だ。SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは最近Twitterで、初期投資の大部分が回収されればコストは時間の経過とともに下がっていく計画だと述べている。マスク氏はStarlinkをスピンオフして最終的にはIPOを行う計画だとし、「キャッシュフローを合理的に予測することができます」とも述べている。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

NASAが月周回有人拠点「Gateway」のパーツを打ち上げる2024年のミッションにSpaceX Falcon Heavyを指名

NASA(米航空宇宙局)は、将来の月探査ミッションの中継地として使用される月周回有人拠点であるGatewayの主要2モジュールをSpaceXが運ぶことを発表した。Power and Propulsion Element(PPE、電源・推進装置)とHabitation and Logistics Outpost(HALO、居住モジュール)が合わさって、初の月宇宙ステーションとして利用できるようになる。2024年にFalcon Heavyによって打ち上げられる予定で、推定金額は3億3200万ドル(約347億円)となる。

Falcon Heavyは、現在SpaceXがよく使用しているFalcon 9よりはるかに大きい積載能力があり、2018年初めのテスト打ち上げに成功(StarmanとTesla Roadsterを載せていたのを覚えているだろうか?)して以来、商業打ち上げを2回しか行っていない。Arabsat-6Aが2018年4月に、その数カ月後にSTP-2が打ち上げられたが、それ以来Falcon Heavyは行動を起こしていない(ただし、いくつかミッションが2022年に計画されている)。

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NASAが、これら2つの最重要モジュールを月軌道に運ぶ打ち上げ機材としてこの選択を行ったことは、Falcon Heavyにとってこの上ないお墨つきであり、NASAのSpace Launch Systemの遅れが続くようなら、今後さらに仕事が増えるかもしれない。

関連記事:NASAの月ロケット打ち上げは計画から2年遅れで予算オーバーとの内部報告

通称PPEとHALOと呼ばれる2つの部分は、自立型月軌道居住にとって不可欠な機能を提供する。実質的には、加圧室と設備の運行と操縦に必要な電源装置の組み合わせだ。たしかにそれは基本といえる。

どちらも巨大であり、10個の部分に分けて小さなロケットで送ることはできない。しかし、極めて希少な重量級打ち上げ機は存在する。そしてどうやらNASAは、SpaceXが最善の選択だと決めたようだ。すでに3回のミッションに成功している。

このミッションの打ち上げと関連コストは3億3200万ドルで、SpaceX、NASA、Northrop Grumman(HALOを製造している)およびMaxar(PPEを製造)の多くの共同作業を必要とする大がかりな投資となっている。

月周回Gatewayに推進部分と最初の居住部分がつながったところ。必ずしも広くはないが景色は最高だ。CG画像(画像クレジット:NASA)

現在、予定されている打ち上げ時期は2024年以降だが、さまざまな遅れが生じることを考えると日付は変わる可能性がある(むしろ可能性は極めて高い)。Artemisプロジェクトは現実との調整に終われ、過去4年間に立てられた意欲的計画の目標日付は未だに決まらず、過去の計画はつい先日決めた計画を守っているものもほとんどない。再び月へ行く5~6年の計画さえ未だに曖昧で、それは「私たちはそこへいって滞在する」というNASAの決り文句も怪しくなってきた。

今後、数カ月間のうちに状況が見えてくれば、新しい計画について情報が入るだろう。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXのプロトタイプStarship飛行実験は今回も成功、しかし着陸でまた爆発

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SpaceXは南フロリダで建造中の宇宙ロケットであるStarshipの打ち上げテストを再び実施した。今回テストされたのはプロトタイプの9機目となるSN9だ。発射後、SN9は高度3万3000フィート(約10km)まで上昇した。高度に達した後、SN9は再突入角度に姿勢を変え(低高度で大気圏内だったため姿勢変更は本番とは異なるモードのシミュレーション)、逆噴射による制御された着陸のために降下を開始した。

これは、2020年12月にSN8で行われたテストに続く2回目のテストだった。今回のテストでSN9は目標高度に到達し、姿勢を逆転させる「ベリーフロップ」にも成功。酸化剤の投棄、推進剤の切り替えにも成功した。しかし残念ながら、着陸はスムーズにいかなかった。着陸のための垂直姿勢を取ろうとしたが失敗し、十分に減速できないまま降下してタッチダウンの際に爆発してしまった。

画像クレジット:SpaceX

SpaceX社の2020年に行われた最初のテストも非常に似た経過だった。最後の着陸部分を除いてはすべてほぼ順調に進んだ。同様に着陸に失敗したとはいえ、SN8のテストのほうが今回より姿勢制御が良好だったように見える。しかし飛行のデータやパラメータは多岐にわたるため、動画を見た印象であまり多くを語ることはできない。

Starshipは再利用を前提としているため、着陸操作に成功することが必須となっている。完全な再利用性を実現するためには、ロケット噴射によるパワードランディングが必要であり、当然だが、この際に爆発してはならない。しかし同社が指摘しているとおり、テストにおける他の部分は順調だったように見える。

この種の初期段階のテストは、計画どおりに進むとは期待されていない。重要なのは、実験を繰り返して開発の改善に役立つデータを収集することだ。もちろん開発チームは最初のテストから予定どおりに動作することを望んでいるが、実際にはそのようにうまくいくことは滅多にない。むしろ珍しいのは、このような初期段階の実験でSpaceXが動画中継を含めて多数のデータを公開している点だ。

SpaceXはすぐに3回目のテストに挑む予定だ。同社はすでにSN10プロトタイプをテキサス州の打ち上げ基地に運び込み、発射台への設置も終えている。上の動画でテストされたSN9の横に見えているもう1つのロケットがSN10だ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXが初の完全民間有人宇宙飛行を2021年中に実施、Shift4 Paymentsのジャレド・アイザックマン氏ら4人が乗船

SpaceX(スペースX)は、初の完全民間有人宇宙飛行ミッションの計画を発表した。高価な銀河系旅行の打ち上げは、2021年第4四半期の実施を予定している。このミッションには、SpaceXの宇宙船Crew Dragonと打ち上げロケットFalcon 9が使用され、決済プラットフォームShift4 Payments(シフトフォー・ペイメンツ)のCEOであるJared Isaacman(ジャレド・アイザックマン)氏が選ばれた3名のメンバーとともに乗船し、アイザックマン氏と彼の会社およびSt. Jude Children’s Research Hospital(セントジュード小児研究病院)がスポンサーを務める。これも製品の採用を推進する方法の1つだ。

ミッションはInspiration4と呼ばれ、すでにデジタルの世界では大きく注目されており、カウントダウンタイマー付きのウェブサイトもある。4人乗りの座席のうち2つはセントジュード病院に贈られ、その1つは小児病院の前線で働くヘルスケアワーカー(すでに決まっているが、アイザックマン氏が彼女は多様な選択肢の1人であると言った以上は明かされていない)に、もう1つはセントジュードに寄付した人たちによるオンラインコンテストの参加者から選ばれる。最後の1席はShift4のeコマース向けオンラインプラットフォームでビジネスを構築した起業家に渡る。

アイザックマン氏はセントジュード病院に1億ドル(約105億円)を寄付することをInspiration4キャンペーンの一環として約束しているほか、キャンペーンを通じた寄付でさらに1億ドルを集める見込みだ。アイザックマン氏は16歳の時にShift4 Paymentsを開業し、現在、年間2000億ドル(約20兆9800億円)以上の取引が行われているが、同氏は他に民間空軍を創設、指揮していたこともあり、後に大手国際民間軍事企業のBlackstoneに売却した。アイザックマン氏の会社は米国空軍のためにパイロットの訓練を行い、彼自身も商用および軍用飛行機の訓練済みパイロットとして認定されている。

Shift4 Paymnentの創業者でCEOのジャレド・アイザックマン氏。SpaceX初の完全民間有人飛行の最初のメンバーに選ばれた(画像クレジット:SpaceX)

アイザックマン氏は、宇宙船Dragonの指揮官を務める。宇宙船は完全自動で飛行するが、緊急時にはある程度の専門知識を持つ者が船内にいる必要があるので、理に適った選択だ。アイザックマン氏のパイロットとしての経歴と大富豪であることを考え合わせると、この役割の有力候補である。

ミッションの性質上、事前の民間宇宙飛行士訓練があり、軌道メカニズムや無重力操作などの指導も受ける。フロリダ州のケネディ宇宙センターから飛び立ち、地球軌道を複数(約90分間に1回)周回し、宇宙船は複数日間、宇宙に留まる。SpaceX創業者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、最終的にはジャレド(・アイザックマン)の判断になるが、会社は2~4日間を想定していると語った。その後、地球の大気圏に突入し大西洋に着水してSpaceXクルーに回収される。当ミッションではこのフライトのために現在国際宇宙ステーションにドッキングしているSpaceXのDragonカプセルを使用するつもりで、打ち上げに関するNASAの承認と協力を取り付けてある、とマスク氏は語った。

以前SpaceXは、宇宙船DragonがNASAから有人飛行の認定を受けたあかつきには、民間ミッションを実施したいという意向を明らかにしていた。今私たちは最初の専用民間ミッションの打ち上げが迫っていることを知ったわけだが、それはVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)の準軌道宇宙循環機による日帰りツアーをはじめとする他の民間宇宙旅行計画を追い抜くかもしれないということでもある。

フライトはどの軌道を目指すのかを尋ねられたマスク氏は、「強調したいのは、どこへ行きたいかを決めるのは、本人次第だということだ。私たちはそこへ連れていく」とはぐらかし、アイザックマン氏が近日中に決定して発表するとつけ加えた。別の質問で、乗組員はどんな装備を持ち込めるのかと尋ねられると、マスク氏は再び船長に委ね「過ごす時間に安らぎをあたえるものがあれば、ちょっとすてきですね」とアイザックマン氏は語った。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nob Takahashi / facebook