BlackBerryは一部例外があるものの、物理QWERTYキー搭載スマホの代名詞的な存在。BlackBerry社とTCLコミュニケーションズのライセンス契約終了が2020年2月に発表されたが、2020年6月30日に日本オリジナルモデルとして「BlackBerry KEY2 Last Edition」が299台限定で発売された。
このLast Edition自体はすでに完売しているが、日本正規代理店である株式会社FOXの直販サイトなどでは、通常バージョンが購入可能だ。今回は物理QWERTYキー搭載端末をPDA時代からこよなく愛した一ユーザーとして、Last Editionを詳細と、今後の展望についてお伝えしたい。
Last Editionの性能はいまやエントリー~ミドルレンジクラス
Last Editionはプロセッサーに「Snapdragon 660」を採用。メモリーは6GB、ストレージは128GBを搭載している。メモリー、ストレージは比較的余裕がある。しかし、定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」を実行したところ、総合スコアは「162950」に留まった。記事執筆時点(8月19日)のAnTuTu Benchmarkのランキングを参照してみると、トップの「OPPO Find X2 Pro」の総合スコアは604805だ。つまりLast EditionはOPPO Find X2 Proの約27%のパフォーマンスということになる。
本体サイズは151.4×71.8×9.0mm、重量は160g。サイズ自体は一般的なスマホと同等だが、ディスプレイ下部に物理QWERTYキーを搭載しているため、画面比率が縦に詰まっている。実用上問題はないが、一般的なスマホに慣れているユーザーには縦方向の見通しが狭く感じるかもしれない。
デュアルカメラを搭載しているが画質はそこそこ
Last Editionには、標準カメラ(1200万画素、f/1.8、26mm)と望遠カメラ(1200万画素、f/2.6、46mm)が搭載されている。画質は正直そこそこだ。特に晴天下で露出がアンダー気味なのが気になった。
一方、いい意味で気になったのはデジタルズームが4倍までとなっていること。一般的に約2倍の望遠カメラを搭載しているスマホならデジタルズームは10倍まで対応しているが、超解像技術が採用されていても画質は大幅に劣化する。4倍にとどめていることは開発元のTCLコミュニケーションズの良心故の仕様だと筆者は考える。
ソフトウェアキーボードでは得られないリアルな感触が魅力
画面上のフリックキーに慣れている方には、Last Editionのキーボードはあまりに小さすぎて打ちにくく思えるだろう。しかし、BlackBerryの長い歴史で培われたキーの形状、サイズ、押圧力は絶妙で、筆者のような太い指であっても各キーだけを確実にプッシュできる。また触れるだけでは押されたことにはならないのが、画面上のソフトウェアQWERTYキーボードとの大きな違いだ。
そして、音や振動などのフィードバックでは得られない本物の感触が物理QWERTYキー搭載端末の最大の魅力。この点についてはソフトウェアキーボードしか使ったことがない方にはなかなかご理解いただけないだろう。スマホ画面とゲームコントローラーの操作感の違いがイメージとしては近いかもしれない。要は押すことに「快感」があるかどうかが、画面上のボタンと物理的なボタンの大きな差なのだ。
2021年、5G版BlackBerryが米国スタートアップから発売決定!
前述のとおり、BlackBerry社とTCLコミュニケーションズのライセンス契約は2020年2月に終了したが、米国に拠点を置くOnwardMobilityが新たに契約を交わし、2021年に5G版BlackBerryが発売されることが発表された。現時点では「物理QWERTYキーを備えた5G版Androiスマホ」という以上の情報はアナウンスされていないが、筆者としてはそれだけで十分。物理QWERTYキー搭載スマホの系譜はこれからも続くはずだ。少なくともスマホがいまの形で存在する間は……。
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