TikTokはトランプ政権の使用禁止大統領令の提訴を準備

米国と中国の経済紛争の主役に踊り出た動画共有アプリTikTok(ティックトック)は、ドナルド・トランプ大統領が発効した大統領令、TikTokなどに事業の売却を強制し、従わなければ米国内でのサービスを禁止するというものに異議を申し立てる構えを見せている。

米国の公共ラジオ放送National Public Radio(ナショナル・パブリック・ラジオ、NPR)は米国時間8月8日、TikTokは早ければ8月11日にも異議申し立ての連邦訴訟を起こす可能性があると報じた。この訴訟は、TikTokの米本社がある米カリフォルニア南部地区連邦地裁に起こされる見通しだ。

NPRによると、TikTokは、この大統領令による禁止と、その根拠としている動画共有サービスが国家安全保障上の脅威になるという主張の合憲性を問うことになるという。

この放送の直後にTikTokにコメントを求めたが、返事はない。

8月6日に大統領は、TikTokの親会社であるBytedance(バイトダンス)と、中国の巨大テック企業Tencent(テンセント)が所有するメッセージングアプリWeChat(ウィチャット)との業務提携を45日の期限を設けて解消するようアメリカ企業に命令(未訳記事)する大統領令に署名した。

TikTokは、大統領令に大統領が署名したという最初のニュースが届いた時点で、すでに反対の態度を示していた。

既報のとおり、この命令は「適正な過程を経ずに発効された」とTikTokは主張している。そのため「グローバル企業が米国政府の法規範に不審を抱く」危険を招きかねないという。ホワイトハウスがアプリ禁止の拠り所としているものに、International Emergency Economic Powers Act(国際緊急経済権限法)とNational Emergencies Act(国際緊急法)とがある。だが、海外企業の子会社が米国内で事業を行うことを国家の緊急事態だとする理屈は、まったくもって前代未聞だ。

1976年に発生したイラン人質事件の際に成立した国際緊急経済権限法の下では、大統領は、関税を課す権限と外国企業との経済的関係を停止させる権限を全面的に有する(NPR記事)。

TikTokの親会社であるByteDanceは、売却により米国での問題を緩和して事業を続けたいと考えているため、大統領命令を訴えるのなら急ぐ必要がある。

この大統領令が発表された後、Microsoft(マイクロソフト)は声明を出し(Microsoftブログ)、TikTokの買収についてByteDanceと協議中であると話した。

マイクロソフトはこう話している。

CEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)とドナルド・J・トランプ大統領との対話を受け、マイクロソフトでは、TikTokの米国での買収の可能性を探る協議継続の準備を整えていました。マイクロソフトは、大統領の懸念に対処する重要性を十分に理解しています。完全なる安全保障上の監視の下で、米国債も含め米国に相応の利益をもたらすよう、弊社はTikTokの買収に尽力します。

アナリストや銀行は、米国で1億人を超える顧客を有するユーザーベースのお陰で、TikTokの米国での事業価値は200億ドルから500億ドル(約2兆円から5兆3000億円)と目算しているとフォーチュンは伝えている

TikTokの米国での事業には、別の交渉人も現れている。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、TikTokはTwitter(ツイッター)と提携の可能性に関して予備的な話し合いを開始したとのことだ。

関連記事:マイクロソフトが9月15日までにTikTok買収へ、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの事業が対象
画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

TikTokとの合併にTwitterが名乗り、ビル・ゲイツ氏は売却強制を強く批判

TwitterはTikTokとの合併の可能性について中国の有力テクノロジー企業、Bytedanceと予備的話し合いをしているとWall Street Journalが報じた。TikTokはトランプ大統領の「売却かさもなければ禁止」という圧力に対抗する措置を探っている。

TikTokはBytedanceが世界に展開するショートビデオのプラットフォームだが、アメリカだけでも 1億ユーザーがいるとされる。

Wall Street Journalによれば、Bytedanceと株式公開企業のTwitterはTikTokのアメリカ事業の合併について予備的交渉を始めた。アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドにおけるTikTokの事業の買収について依然としてMicrosoftが一番手だが、ここにきてTwitterがTikTokの北米事業合併に名乗りを上げたという。

BytedanceのTikTok事業に対するTwitterの申し出は、どんな内容であるにせよ、他の投資家の支援を必要とする。 TikTokの企業価値は1.6兆円から6.3兆円と見積もられており時価総額3兆円のTwitterが単独で取り組むには巨大すぎる相手だ。

先週、トランプ大統領はTiiktokを売却か禁止に直面させる大統領行政命令に署名した。つまりBytedanceが9月15日以前にTikTokの買い手を見つけることができなければアメリカにおける事業は禁止されることになる。

これまでのところBytedanceのビジネスに対する買収ないし合併に名乗りを上げているのはTwitterとMicrosoftだけだが、他の投資家が参加する可能性はある。一方、この大統領行政命令に対する訴訟が起こされて買収交渉が凍結される可能性もある。

8月8日にNPRは「TikTokは大統領行政命令は正規の手続きを踏んでおらず従って無効であるとして訴訟を起こすことを検討している」と報じた。 NPRによれば、BytedanceはTiktokがアメリカの安全保障の脅威となるという主張には根拠がないと考えている。

テクノロジー分野の著名人には、たとえばMicrosoftのファウンダーのビル・ゲイツ氏のように、Bytedanceが TikTokを売却するよう強制されたことについて批判的なものが多い。

ゲイツ氏はWiredのインタビューで.「ソーシャルメディア分野においてはさらなる競争が必要であるはずなのに(最大のプレイヤーを)排除しようというのは奇妙なことだ。TikTokを売却するよう強制する根拠が奇妙だし(買収価格から)分け前をよこせというにいたっては二倍も奇妙だ」と述べている。

何らかの奇跡的な幸運によってTwitter がTikTokのアメリカ事業を買収できたら同社にとって新たな大ビジネスとなるだけではなく、ソーシャルメディアの地図を将来にわたって一変させることになるだろう。TikTokには膨大なユーザーがあり、これを得られればTwitterのユーザーベースは質、量ともに一変する。

以前からテクノロジービジネスを観察していた者ならTwitter自身がショートビデオのプラットフォーム、Vineをスタートさせたことを思い出すだろう。Vineを早まって中止しなければどうなっていたかと考えると.非常に皮肉な話だ。

トランプ大統領の TikTok に対する批判は買収交渉の関係者の間に懸念を呼び起こしている。Wall Street Journalによれば、MicrosoftとBytedanceは買収に関する話し合いを数週間前から続けていた。しかしトランプ大統領が7月31日に大統領専用機内で記者団に対しTikTokを禁止することを考えていると言明したことはBytedanceとMicrosoftを驚かせ 、両社は事情がもっとはっきりするまで交渉を一時中断したという。

画像:TechCrunch

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滑川海彦@Facebook

TikTokが約525億円投じて欧州に初のデータセンター開設へ

中国のビデオ共有アプリであるTikTok(ティックトック)は米国時間8月6日、欧州に初めてデータセンターを開設すると発表(TikTokプレスリリース)した。同社は地政学的な権力闘争の狭間に立たされており、同社の今年の世界全体の成長に急ブレーキがかかるおそれがある。

EUにおけるTikTokデータセンターの発表は、国をまたぐデータの移転が脚光を浴びた先月の欧州司法裁判所の画期的な判決(未訳記事)に続くニュースだ。判決によりEU域外でのデータ処理の法的リスクが増大した。

TikTokによると、アイルランドに開設されるデータセンターは2022年初めの稼働を予定しており、欧州のユーザーデータを格納することになる。グローバルCISOのRoland Cloutier(ローランド・クルティエ)氏が書いたブログ投稿によると投資予定額は約4億2000万ユーロ(約525億円)だ。

「アイルランドへの投資は数百人単位の新しい雇用を生み出し、TikTokユーザーのデータ保護強化に重要な役割を果たす。データセンターのオペレーションは最新の物理的およびネットワークセキュリティ防御システムに基づき計画されている」とクルティエ氏は書いている。「リージョナルデータセンター開設により欧州のユーザーはデータの送受信時間が短くなるメリットを享受し、アプリの使い勝手が全般的に向上する」と付け加えた。

TikTokは地域別のユーザー数を公表していないが、流出したプレゼン資料によると、昨年初めの欧州でのMAU(月間アクティブユーザー)は1700万人以上(未訳記事)だった。

TikTokが10代の若者に愛される人気のソーシャルメディアアプリになったことが、トランプ米大統領の怒りを買うことにつながった。トランプ氏は今月初め、米国の会社に米国事業を売却しなければ、米国でTikTok禁止のため執行権を行使すると脅した。ちなみに、マイクロソフトが買い手として関わっている

トランプ氏がTikTokアプリの使用を阻止できるのかについては議論の余地がある。テクノロジーに精通する若者は知恵を絞って禁止措置を回避するだろう。ただ一時的な運用中止は避けられないと思われる。そのためTikTokは戦略を変更し、ダメージを最小限に抑え最悪の結果を回避しようとしている。

トランプ氏は大統領就任以来、中国のハイテク企業の海外ビジネスを非常に難しくすることに意欲を示してきた。モバイルデバイスとネットワークキットメーカーのHuawei(ファーウェイ)の場合、トランプ氏は中国共産党とのつながりによる国家安全保障上の懸念を理由に米国内での同社技術の使用を制限し、同盟国に働きかけて5Gネットワ​​ークから締め出した。これはある程度成功したといえる。

TikTokに対するトランプ氏の不満も同じで、ユーザーデータへのアクセスを中心とした国家安全保障上の懸念に根差している。もちろん、トランプ氏にはアプリを嫌う個人的な理由があるかもしれないが(TIMES記事NewYork Times記事)。

TikTokはあらゆる有名なソーシャルメディアアプリと同様、膨大な量のユーザーデータを収集する。TikTokのプライバシーポリシー(TikTokサイト)では、「政府機関からの問い合わせ」への回答を含め第三者とユーザーデータを共有する可能性があるとしている。個人データの扱いは、Facebookなどの米国のソーシャルメディア大手とほとんど同じのようだが、北京に本拠を置く親会社であるByteDance(バイトダンス)は中国のインターネット安全法の適用を受ける。同法は中国共産党にデジタル企業からデータを取得する権限を付与している。米国にもデジタル情報を監視する法律があり、政府とデータ産業の複合体がある。中国にも同様の複合体が存在することが、ハイテク企業を地政学の中心に置くことになった

TikTokは、米国で燃え上がったセキュリティの懸念から同社の海外ビジネスを遠ざけるための措置を講じている。また、トランプ氏が同社を押しつぶさないよういくつかのインセンティブを提供している。Disney(ディズニー)元幹部のKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏をTikTokのCEOおよびByteDanceのCOOとして迎え、米国で1万件の雇用を創出(未訳記事)し米国のユーザーデータは米国に保存されていると主張している。

同社は並行して欧州のオペレーションを見直している。今年初めにアイルランドのダブリンにEMEAトラスト&セーフティーハブを設置し、チームを結成した。6月には欧州地域の利用規約を改訂(TikTokニュースリリース)し、アイルランドの子会社を英国の子会社と並ぶローカルデータコントローラーに指定した。これで欧州のユーザーデータは米国企業であるTikTok Inc.傘下から外れることになった。

一連の対応はEUおよび欧州経済領域全体に適用される個人データに関するルールに準拠している。そのため、欧州の政治指導者らはトランプ氏とは違いTikTokを激しく攻撃してはいないが、同社はこの地域で依然、増大する法的リスクに直面している。

先月、CJEU(欧州司法裁判所)の裁判官は、EUのユーザーデータを第三国へ移転する場合、当該国の監視法や慣行に問題がありデータがリスクにさらされるということがなければ、データ移転が合法になり得ると明示した。CJEUの判決(別名Schrems II、シュムレス・ツー)は、中国やインドなどの国でのデータ処理を念頭に置いている。ただし、米国もEUのデータ保護法のリスクフレームの範囲にしっかりと入っている。

このリスクを回避する1つの方法は、欧州のユーザーデータをローカルで処理することだ。TikTokがアイ​​ルランドにデータセンターを開設することはSchrems IIへの対応にもなる。TikTokが欧州ルールの要請に確実に準拠する(未訳記事)手段になるからだ。

プライバシーに関するコメンテーターらは、CJEUの決定がデータのローカリゼーションを加速させる可能性があると指摘する。この傾向は、中国やロシアなどの国でも見られる(トランプ政権下では米国でも見られる)。

EUのデータ監視当局は、CJEUが米国・EU間の「プライバシー・シールド」のデータ移転メカニズムを無効にした後の猶予期間はないと警告(未訳記事)した。有効な国へのデータ移転ツールを使用する場合はアセスメントの対象となる。アセスメントの結果、EU当局がリスクを認識すればデータ移転が一時停止されるか、監督者にデータ移転が続いていることを通知する(これにより調査が開始される可能性がある)。

EUのデータ保護フレームワークであるGDPR(EU一般データ保護規則)は違反に厳しい罰則を科す。罰金は企業の世界ベースの年間売上高の4%に達する可能性がある。EUデータ保護に関するビジネスリスクはもはや小さくない。たとえ広範な地政学的リスクがグローバルなインターネットプレーヤーの不確実性を高めているとしてもだ。

「コミュニティのプライバシーとデータを保護することは当社の優先事項であり、今後もそれは変わらない」とTikTokのCISOは書き、次のように付け加えた。「本日の発表は、ユーザーとTikTokコミュニティを保護する当社のグローバルな取り組みを強化する継続的な取り組みの一部にすぎない」

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

ハリウッド発のショートムービーアプリ「Triller」はTikTok騒ぎに後押しされるもリズムを崩さず

ハリウッドの大物や音楽界のセレブの支援を受けるショート動画アプリTriller(トリラー)は、ユーザー数も評価額も急上昇している。現在は2億5000万ドル(約260億円)の新規投資ラウンドを募っているが、これが成功すれば評価額は10億ドル(約1060億円)以上にまで押し上げられると、この件に詳しい情報筋は話していた。

昨年10月にウォールストリート・ジャーナルが報じた同社の評価額1億3000万ドル(約137億円)から、一足飛びの大幅増となる。Trillerの創設者でCEOのMike Lu(マイク・ルー)氏はコメントを控えたが、別の企業幹部は、dot.LAの記事でこの資金調達について認めている

このアプリはTikTok(ティックトック)に取って代わるものとして注目されるようになったが、じつはTikTokが登場する2年前の2015年から存在していた。しかもTrillerには「独自性とエコシステム」があると、創設者は主張している。

ルー氏によればTrillerは、トランプ政権がTikTokの禁止や強制処分を検討し始めるより前に、すでに「目覚ましい成長」を遂げていたという。ただ、TikTokへの反発が起きてからアプリの人気が跳ね上がったのも事実だと彼は認めている。このわずか2日間足らずで、3500万人のユーザーがTrillerに加わった。このアプリは現在までに、世界で2億5000万回ダウンロード(PR Newswire)されている。

ロサンゼルスを拠点とするこのスタートアップが、4月だけで20億回以上ダウンロード(Sensor Tower)されたTikTokに追いつくには、まだ長い道のりがある。両社とも、ユーザーが動画と音楽をマッチさせられる機能を売りにしており、それは双方の成功の決め手となった。しかしこれに関してTrillerは、最近になって、「オーディオトラックと同期する音楽動画の制作」に関する特許を侵害したとして、この中国のライバル企業を起訴(日本語版TechCrunch)している。

今のTrillerがあるのは、一部にはRyan Kavanaugh(ライアン・カバノー)氏(フォーブス)が創設したハリウッドのスタジオProxima Media(プロクシマ・メディア)がマジョリティ投資家に(PR Newswire)なったお陰だと言える。ルー氏によれば、Trillerはこの規模に到達するまでマーケティングには一銭も使っておらず、「テクノロジーの歴史上、例のないこと」だと話している。『ワイルド・スピード』や『ソーシャル・ネットワーク』などのヒット映画のプロデューサーであり投資家でもあるライアン氏が、メディアへの大々的な露出やセレブの人脈を活かし、自然の成り行きとしてファンたちをTrillerユーザーに転向させたことは間違いない。

ライアン・カバノー「Trillerで作った。みんなにはできるかな? 次なる世界的スーパースターを探すんだ。ミーゴス、スタラー、Boost Mobileで新しいアメリカンアイドルだ」

Trillerは、メジャーなレコードレーベルとの契約(PR Newswire)も固めている。それによりユーザーには、音楽を主体とした動画制作の道が開かれる。同社を支援しているエンジェル投資家のリストには、スヌープ・ドッグ、ザ・ウィークエンド、マシュメロ、リル・ウェインといったビッグネームが名を連ねている(PR Newswire)。

「ライアンは、ハリウッドでも、娯楽とメディアの業界でも右に出るものがない」とルーは言う。Proxima Mediaには「このステージに、この大躍進に導いてくれた大きな恩があります。彼らなくして、ここまで来ることはなかった」

有名タレント品質のコンテンツは、TrillerがTikTokに差を付けている要素のひとつだと、Trillerに戦略的ラウンドで投資しているPegasus Tech Ventures(ペガサス・テック・ベンチャーズ)のジェネラルパートナーAnis Uzzaman(アニース・ウザマン)氏は言う。

「TikTokは自前のセレブを育てようとしています。Trillerにはすでに、ビッグなセレブが揃っています」と同氏は、今や新曲発表の場としても人気を高めているTrillerで、アリシア・キーズ、カーティ・B、マシュメロ、エミネムなどがシェアした動画を引き合いに出して話している。TikTokもまた、アーティストが新曲を試す実験場(Rollingstone)になっている。

だが同時に、TikTokが得意としている一般ユーザーのエンゲージメント維持にも苦心している。たとえばTrillerは、プロの作品のように音楽動画を仕上げられるAIを使った編集機能を自慢している。また、Trillerで人気の歌をランク付けするビルボード・チャート(Billboard)も開始した。新進のクリエイターとセレブとが平等に活躍できる土俵だ。

「若い人たちに、セレブに近づけた感覚が与えられます」とウザマン氏は言う。

またウザマン氏は、このショート動画の分野には、複数のプレイヤーが活躍できる余裕があると信じている。Uber(ウーバー)とLyft(リフト)が共存している状態と近い。事実、近年の中国では、中国版TikTokである抖音(ドウイン)は、快手(クアイショウ)と肩を並べている。

ルー氏は、当初のTrillerの独自性は音楽、とくにヒップポップに根ざしており、対象年齢層は18歳から15歳と考えている。

App StoreでのTrillerのスクリーンショット

それに対してTikTokは、軽いノリのダンスからお馬鹿なネタまで、なんでもありだ。その違いは、App Storeのそれぞれのスクリーンショットを見比べるとわかる。

App StoreでのTikTokのスクリーンショット

TikTokに代わるもの

TikTokの運命は、今のところMicrosoft(マイクロソフト)がこの中国所有のアプリを買い上げる(日本語版TechCrunch)可能性が高まっているものの、これからの数週間で激変する可能性がまだ残されている。アメリカ生まれという身元でTikTokのユーザーを奪い取れると見込むスタートアップも数社あるが、カリフォルニアの広告代理店Creative Digital Agency(クリエイティブ・デジタル・エージェンシー)の調査は、そうはならないと示唆している。

調査に応じた数百人のTikTokユーザーのうちの65パーセントが、TikTokがアメリカの会社になったとしても、そのデータの取り扱い方針に安心感が高まるとは思えないと回答している。さらに84.6パーセントが、禁止法案は政治的思惑によって持ち出されたものだと信じている。

「アメリカのどのソーシャルメディア・プラットフォームも、重大なプライバシー問題である個人情報のデータマイニングにおいては、まったく同じことを行っていると、大多数の人が信じています」と、同広告代理店の業務執行取締役Kevin Almeida(ケビン・アルメイダ)氏は指摘する。

とは言うものの、一部のクリエイターが、TikTokが禁止された場合にフォロワーを失うリスクに備えて対策していることもあり、このところTikTokの伸びは鈍化している。調査会社Sensor Tower(センサー・タワー)が分析したデータによれば、先週、アメリカでのTikTokのダウンロード回数は、4週間の平均に比べて7パーセント減少した。アメリカでの総ダウンロード回数は1億9000万回弱だ。

TikTokの将来不安に乗じて業績を伸ばしているアメリカのスタートアップは、Trillerだけではない。Sensor Towerによれば、これらの他に少なくとも3つのショート動画アプリが、先週、数十万の新規ダウンロード回数を記録している。そのうち2つは中国発祥だ。

この3つとは、Dom Hofmann(ドム・ホフマン)氏がTwitter(ツイッター)によって閉鎖(日本語版TechCrunch)されたVine(バイン)の後に新たに立ち上げた(日本語版TechCrunch)アプリByte(バイト)、中国で育ったTikTokのライバル快手が運営するZynn(ジン)、そして中国のYY(歓聚時代)に買収された(英語版TechCrunch)シンガポールの会社Bigo(ビゴ)が運営するLikee(ライキー)だ。総ダウンロード回数はそれぞれ、290万回、640万回、1630万回となっている。

TikTokのかつてのライバルDubsmash(ダブスマッシュ)(日本語版TechCrunch)の成長はそれほどでもないが、これらの競合アプリの中では、アメリカでインストールされた回数がもっとも多く、最近では416万回に達している。

これに対して、Trillerは、アメリカでのダウンロード回数が2380万回に達した。このアプリは、TikTokが禁止されたインドでダウンロード回数が急増(PR Newswire)しているが、TikTokがまだ利用できるヨーロッパやアフリカの国々でも、人気上位の写真および動画アプリの仲間に入っている。

Trillerは、世界に350名の従業員を擁しているが、そのほとんどはアメリカで、コンテンツの運用とエンジニアリングに携わっている。

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(翻訳:金井哲夫)

マイクロソフトがTikTok買収に対する米政府への「支払い」と引き換えに要求すべきこと

これは狂気のニュースの1つである。米国時間8月3日、ドナルド・トランプ大統領はメディア向けのイベントで、米国政府がMicrosoft(マイクロソフト)とTikTokの水面下での取引を承認するには「その買収額のかなりの部分が米政府に入ってこなければならないだろう」と発言した。

企業が契約書に署名してもらうために米国政府に賄賂を贈ったりはしないので、実際には実現不可能に近いと思われるが、これをあえて額面通りに受け止めてみよう。マイクロソフトは支払うべきか。支払うとしたら、米国政府との交渉で何を要求すべきか。

まず、いくつかの背景を説明しておく。TikTokの親会社であるByteDanceは、1000億ドル(約10兆6000億円)以上の企業価値がある。ByteDanceは、TikTokの中国版で非常に人気の高い姉妹アプリ「Douyin」や、大成功を収めているニュースリーダーの「Toutiao」など一連の著名アプリを所有しているため、TikTokの評価額を単独で推測するのは難しい。取引規制上の混乱や、Facebookなどの資金力のある企業による買収の多くは、独占禁止法違反の疑いがあるという事実が、さらに事態をややこしくしている。

実際の買収価格が数百億ドルではないにしても、少なくとも100億ドル(約1兆600億円)だと仮定すると、同社は政府との交渉をどのように考えるべきだろうか。

最も重要な目的は、マイクロソフトの買収後に規制上の頭痛の種を減らすことにある。TikTokには、規制が非常に敏感な分野である、十代の若者をも巻き込んだプライバシー問題が取り沙汰されている。Facebookがプライバシーの問題に直面した際は、最終的に米連邦取引委員会(FTC)との50億ドル(約5300億円)の和解金を支払うことで昨年合意し、すべての懸念事案に答えを出した。また、コンプライアンスを確保するために、監視メカニズムだけでなく、一連の制限事項にも合意している。なおTikTok(旧Musical.ly)は昨年、実際にFTCのプライバシーに関する570万ドル(約6億円)の和解に合意している。

プライバシーに加えて、財務省からの輸出ライセンス問題、米議会からの中国製アプリのデータ保護に関する懸念、司法省からの反トラスト問題などが出る可能性もある。

この取り引きは、いまがまとめの時期だ。マイクロソフトがTikTok事業を買収する前に、プライバシー、貿易、独占禁止法規制に関するすべての請求に対する免責と引き換えに、最終的な買収価格に応じておそらく数十億ドルという高額な金額を米国政府に「和解金」として提示する必要があるだろう。おそらくマイクロソフトは、買収後180日間でプライバシー問題をクリアし、データを米国の独自のAzureクラウドに移動させ、TikTokが過去数カ月で導入しているペアレンタルコントロールよりもさらに優れた制御機能を実装することも計画しているだろう。

これは悪い選択肢ではないはずだ。なぜなら、マイクロソフトの長期的な負債を大幅に制限することができるからだ。また、買収者が将来の訴訟で多額の費用を負担しないように、買収価格を全額前払いすることはない大規模なM&A案件で発生する典型的なエスクロー(第三者預託)とホールドバック(一部留保)も回避できる。

このような問題に大統領自身が直接的かつ不明確な方法で関与するのは恐ろしいことだ。自らが扉を開けてしまったいまとなっては、実はそれほど悪い方向には進んでいないのかもしれない。トランプ大統領には省庁間を調整して、すべての政府関係者を集め「罰金」と引き換えに免責レベルを受け入れる力があるのだ。

ただし、和解によってすべての問題を解決することはできない。TikTokは米国の他のインターネットアプリと同様に、連邦法だけでなく、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)のようなプライバシーに関する州法にも従う必要がある。連邦政府との和解により、関連する州法に抵触する可能性があるのだ。さらに、選挙シーズンの真っ只中に多額の支払いに同意することは、議席の両サイドでも議論を呼ぶことになるかもしれない。

にもかかわらず、この取引は決して典型的なものではなく、典型的なM&Aのプロセスがあるとは考えるべきではないだろう。路上強盗のような奇妙な契約形態について、連邦政府の関与を勧める弁護士はほとんどいないと思われるが、今回の交渉は通行料を払って何らかの法的保護を得て先に進むだけの正当な理由はある。

画像クレジット:NICHOLAS KAMM/AFP / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Snapchatが動画に音楽を付けられる新機能を今秋展開、TikTokユーザー取り込み狙う

Snapchat(スナップチャット)がTikTok(ティクトク)を狙っている。Snapchatは米国8月3日、ユーザーがスナップ(動画)に音楽を付けられるTikTok似の新機能のテストを開始すると発表した。トランプ政権がデータプライバシーの懸念から中国テック企業の禁止を検討しているためにTikTokユーザーは代わりのアプリを探していて、Snapchatは新機能でそうしたユーザーの一部を取り込めるかもしれない。

TikTokユーザーが代替アプリを確保するにつれByte(バイト)、Triller(トリラー)、Dubsmash(ダブスマッシュ)、Likee(ライキー)などのアプリがアプリストアのランキングで順位を上げている。Instagram(インスタグラム)もまたTikTokユーザーのニーズを満たすために音楽を取り込んだReelsという機能を立ち上げた。

Snapchatの場合、ユーザーはSnapが約束している「しっかりとした」音楽カタログから音楽を選び、ビデオを撮る前後に追加できる。これはWarner Music Group、Warner Chappell、Universal Music Publishing Group、NMPAパブリッシャー会員、Merlinなど音楽産業パートナーとの提携によるものだ。こうしたパートナーがSnapchatアプリでの音楽使用のライセンスを与える。

新しいスナップを音楽付きで受け取った人は、スワイプしてアルバム画像や曲のタイトル、アーティスト名を閲覧できる。そして「Play This Song」リンクも利用できる。クリックすると、スニペットではなくユーザーがSpotifyやApple Music、SoundCloudといったお気に入りのストリーミングプラットフォームで曲をフルに聴けるようにするLinkfireのウェブビューが開く。

これはTikTokとは異なる点だ。TikTokでは、ビデオクリップの「サウンド」リンクをクリックすると、同じ曲を使った他のビデオクリップを特集するページにジャンプするだけだ。しかし、人気のミュージッククリップを制作したアーティストにユーザーを完全につなげる機能がTikTokになくても、ユーザーはお気に入りのTikTokアーティストをストリーミングサービスで追跡していたため、TikTokのパワーはヒットを生み出し続けてきた。

ただSnapchatは、音楽機能でファンがアーティストや音楽とさらに深い関係を築くことができると話す。親しい友人向けのツールであることも影響力があり、強みだと語った。これは主に、若いユーザーが友達から友達へのレコメンデーションに価値を置くからだ。Snapchatは今では米国の13〜24才の90%にリーチしていて、この割合は Facebook、Instagram、そしてMessengerを合わせたよりも大きいとSnapchatは話す。13〜34才でも75%にリーチしている。TikTokは世界に多くのユーザーを抱えるが、Snapchatは公開されているデータをもとに、同社の米国人ユーザー数はTwitterとTikTokの合計よりも多いと主張する。

新機能に関連して、Snapchatの広報担当は「当社は絶えず音楽産業と関係を構築しており、アーティスト、レーベル、ソングライター、出版社、ストリーミングサービスなど音楽エコシステム全体が我々との提携に価値を見出せるようにしている」と述べた。

Snapchatは新機能を今秋、英語圏マーケットで展開するとしている。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

トランプ大統領がTikTokは「ホットなブランド」、買収金額の一部は米国政府に入るべきと発言

米国時間8月3日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、Microsoft(マイクロソフト)によるTikTok買収交渉開始を祝福し、契約の可能性に関する態度を変化させた。米国時間7月30日に、TikTokは米国拠点企業に売却されるよりも禁止される方がいいと発言した後、トランプ大統領は週末にかけて意見を変えた。TikTokは中国拠点企業で様々なアプリやサービスを所有しているByteDanceの傘下にある。

マイクロソフトのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏と週末に話した電話が大統領の考えを変えたようで、マイクロソフトは買収交渉の継続を1日に公表する運びとなった。

そして本日、トランプ大統領はTikTokを巡る米国企業とByteDanceの契約を支持することを表明(C-SPAN動画)し、買収金額の一部が米国政府を潤すこと期待していると語った。

大統領は以前から経済の基本概念の理解に苦しんできた。例えば、誰が関税を払うか(The New York Times記事)についてなどだ。それにしても、トランプ氏が事実上推奨している民間企業2社間の契約で、金額の一部を受け取ることを期待していると発言するのは現実離れしている。

彼の考えをもっと深く理解するべく、本誌は大統領がマイクロソフトのナデラ氏と電話で話したことに関する質問に答えた今朝の説明の要点(C-SPAN動画)を書き起こした。

実りある会話だった、彼から電話があり、私がどちらなのか、いやどう思っているかを尋ねられた。そして私はそう、安全保障上、中国にコントロールされるわけにはいかない。あまりにも重要であり、侵略的すぎる。絶対にいけない。そしてこう言った。マイクロソフトかどうか、私は気にしない。大企業、安全な企業、非常に米国らしい企業が買うべきだ。

おそらく全部を買う方が30%買うより簡単だろう。なぜなら、30%で何ができるのか?誰が名前を手に入れるのか?この名前はホットだ、ブランドとしてホットだ。それで誰が名前を取るのか?2つの会社が所有していたら、どうやってそれができるのか?だから私の個人的意見は、30%を買うより会社全体を買う方がいい。30%を買うのは複雑だと思う。

それで、えー、彼にはゴーサインを出した。やってみていいと。そして日付を決めた。私が決めた。9月15日頃、その頃彼らは米国で廃業しているだろう。しかし誰かが、マイクロソフトでも他の会社でも、彼らを買えばそれはおもろいことになる。

もし買うなら、価格がいくらであっても金は会社の所有者にいく。重要なのは、事実上、それは中国だということであり、だから金額のかなりの部分は合衆国財務省にいくべきだと私は言った。この契約を実現させようとしているのは我々だからだ。たった今、我々が与えない限り、彼らはなんの権利も持っていない。だから、もし我々が彼らに権利を与えるのなら、金はこの国に入らなくてはならない。

これは、大家とテナントの関係に少し似ている。そう、賃貸契約がなければテナントには何もない。だから、いわゆる「権利金」か何かを支払う。しかし合衆国はかなりの金額を払い戻されるべきだ。合衆国がなければ、先方は何も得られなかったからだ。少なくとも30%に関わる部分については。

だから、彼にこう言った。我々は契約を、えーおそらく契約が結ばれることになると思う、これは大切な財産、これは大切な財産だ。しかし、合衆国の承認を受けない限り、それは大切な財産ではない。

そういうわけで、マイクロソフトまたは他の誰かが会社を買収しない限り、適正な契約を結ばない限り、TikTokは9月15日に閉鎖されることになる。その場合、財務省がそう合衆国財務省が、多額の金を得る必要がある。多額の金を。

画像クレジット:Doug Mills-Pool(opens in a new window) Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「TikTokの日本事業について現時点で変更なし」とByteDance Japanが表明

米国と中国の貿易摩擦や中国の国家安全法に関連して、中国のByteDanceが所有しているショートムービーサービス「TikTok」の米国事業の買収の動きが加速している。

この件についてTechCrunch Japanは、日本法人であるByteDance Japanに日本の事業展開について質問したところ「日本におけるTikTokの運営について現時点で変更の予定はありません。今後ともみなさまが安心安全に楽しめるより良いプラットフォームとなるよう尽力してまいります」という回答を得た。日本政府が対応を決めかねている現状もあり、日本のTikTokerは当面はそのままサービスが使えるようだ。

また、ByteDance Japanは米トランプ大統領の買収容認発言以降のByteDance本社のTikTok広報担当者からのステートメントも併せて回答した。

TikTok is loved by 100 million Americans because it is a home for entertainment, self-expression, and connection. We’re motivated by their passion and creativity, and committed to continuing to bring joy to families and meaningful careers to those who create on our platform as we build TikTok for the long term. TikTok will be here for many years to come.”

TikTokが1億人の米国人に愛されているのは、エンターテインメント、自己表現、他人とつながりるためのホーム(媒介)となっているからです。私たちは、ユーザーの情熱と創造性によってモチベーションを高め、長期的にTikTokを構築しながら、私たちのプラットフォームで創作する人々や家族に喜びを、そして有意義なキャリアをもたらし続けることを約束しています。TikTokはこれからも何年もここにいます。

TikTok売却で中国のネットユーザーが「売国奴」と ByteDanceのCEOを非難

たとえTikTokが最大のマーケットであるインドを失っても、米国で抗い難い困難に直面しても、ByteDance(バイトダンス)はグローバルなテクノロジー会社にとなるという野心を失ってはいない。しかし中国の一部の人々は、北京拠点のByteDanceが米国の要求に応じ過ぎだと非難している。

ByteDanceは降りかかってくるさまざまな困難にも関わらず、8月2日遅くに投稿した声明で「グローバル化した企業になるというビジョンをこれまで通り追求する」と述べた。

米国の議員や世論を動かそうと何カ月も取り組み、TikTokは不本意ながら2つの譲歩に至った。「CFIUS(対米外国投資委員会)によるTikTokの米国事業の強制売却、または米国でのTikTokアプリを禁止する大統領令の可能性に直面した」とByteDanceの創業者でCEOのZhang Yiming(張一鳴、チャン・イーミン)氏は8月3日、従業員に宛てたレターの中で説明した。

TikTokの件は目まぐるしく動いている。この記事の執筆時点で、Microsoft(マイクロソフト)がTikTok買収で米国当局と協議していることを認めている。先にDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、米国企業による中国所有のアプリの買収は支持しないと話していた

中国側では、ByteDanceが「米国でTikTokアプリの提供を続けるための障害を取り除くのをサポートしてくれるテック企業と予備的協議を始めた」と張氏はスタッフに語っていた。このコメントは、TikTokの米国ゼネラルマネジャーであるVanessa Pappas(ヴァネッサ・パパス)氏の、TikTokは「どこかに行くつもりはない」という言葉をフォローするものだ。

張氏はレターの中で不満を堂々と述べた。「CFIUSの結論には同意しない。なぜなら当社は常にユーザーの安全、プラットフォームの中立性、透明性を守ってきたからだ。しかし、現在のマクロ環境の中での彼らの決定は理解する」。

怒れるネット市民

しかしByteDanceの対応は明らかに中国の一部の人の賛成を得ることができなかった。中国の人気ミニブログプラットフォームであるWeibo(新浪微博)では、数百人もの匿名ユーザーが張氏のレターについて投稿し、同氏を「売国奴」「米国擁護者」「臆病者」などとなじった。

「意見が一方通行の中国と違って、議論が許される米国を称賛するのに張一鳴は慣れている。そして今、彼は平手をくらった。彼はなぜ米国と議論しないのか」。この厳しい批判には3600以上の「いいね」がついた。

2010年初めからの張氏のWeibo投稿に言及するコメンテーターも現れた。それらの投稿はリベラルに偏っていて、こうした投稿によって同氏は「パブリックインテレクチュアル(公的な知識人)」ランキング入りした、と一部の人には映っている。インターネット愛国者はそうした人々を無知で西洋価値の崇拝者とみなし、「パブリックインテレクチュアル」は近年、軽蔑的な言葉として考えられている。

「中国人ソーシャルメディアユーザーの一般的な見方は、今回の件は米国・中国貿易戦争の一環としてのしっぺ返し策であるというものだ。またTikTokが成功し、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)といった米国プラットフォームにとって脅威となっているために、こうした事態になったと考えている」とAppInChinaのCEOであるRich Bishop(リッチ・ビショップ)氏は話した。同社は海外のアプリやゲームの中国でのリリースをサポートしている。

張氏のWeiboアカウントは現在一時凍結されている。これはおそらく、怒った愛国者たちが張氏の投稿に流れ込むのを防ぐためだろう。

オンライン上での感情がどれくらい中国社会を代表するものなのか、あるいはそうした動向が政府が雇ったコメンテーターによる操作なのかを見極めるのは難しい。インターネット上の怒りに比べると、中国政府は比較的、状況を甘受している。外務省の報道官は定例会見でTikTokに対する米国の主張を「いちゃもん」をつけていると否定した(CGTN記事)にすぎない(米政府はまだTikTokが国家保障の脅威であるという主張を支える確たる証拠を示していない)。

結局、中国で大々的に事業を展開している米国インターネット大企業が少ないため、中国政府はそれほど報復措置を取れない。

業界からは同情

中国のスタートアップや投資家はByteDanceに対して同情的だ。もしマイクロソフトによる買収案が進めば、TikTokにとっては最悪の結果とはならないかもしれないと考えている。

「彼らは動きが取れない」とSOSVが支援するクロスボーダーのアクセラレーターでChinacceleratorのゼネラルパートナーであるWilliam Bao Bean(ウィリアム・バオ・ビーン)氏は話した。「規則が急変する状況にある。消費者はおそらくTikTokを利用し続けたいはずで、マイクロソフトによる買収は使用継続を可能にする1つの方法だ。しかしByteDanceが真に望むものだとは思わない」。

AppInChinaのビショップ氏は、マイクロソフトの中国政府に対する対立的でない態度を指摘した。「どちらのサイドにとってもいい結果だと思う。もちろんマイクロソフトはTikTok買収でかなり恩恵を受ける。ByteDanceはそれなりの対価を受け取る。同社と中国政府はマイクロソフトに対して割に友好的だ」。

テック業界は、TikTokが珍しい存在であることをよく知っている。対抗措置は中国企業の米国進出、おそらく他の欧米マーケットへの進出にも萎縮効果をもたらすが、そもそも中国から欧米諸国に進出するインターネット企業はそう多くはない。

「中国のために構築されたソリューションのほとんどは、西洋諸国で人々が抱える問題を解決しない」とバオ・ビーン氏は述べた。

WeChatの親会社Tencent(テンセント)が示しているように、積極的な買収と数多くのヒット作で中国のゲームはおそらく西洋諸国で最も受け入れられているものだ。小規模のデベロッパーは、中国の企業であることを「表に出さない」戦略に頼っている。

米国に上場しているとある中国インターネット企業のCEOは「我々はメディアのインタビューを受けないようにしている」と匿名を条件に語った。

「問題は萎縮効果ではなく米国、カナダ、オーストラリア、インドなどで機会を失うことだ。ヨーロッパで成功するチャンスもまた小さくなり、リスクは増大している」と匿名希望のCEOは述べた。

「これから世界に出ようとする中国企業が目を向けられるのは東南アジア、アフリカ、南米だけになる」。

画像クレジット:DuKai photographer / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ポンペオ米国務長官が「米国はTikTokと他の中国のハイテク企業に対してまもなく行動を起こす可能性がある」と発言

ドナルド・トランプ大統領がTikTokを米国から追放するために執行命令を使う可能性があると発表した数日後、Michael Pompeo(マイケル・ポンペオ)国務長官は、トランプ政権は「解決策に近づいており、まもなく大統領の発表があるだろう」と述べた。

ポンペオ氏は、Fox News(フォックス・ニュース)の「Sunday Morning Futures」ホストのMaria Bartiromo(マリア・バーティロモ)氏のインタビューで、トランプ政権が米国でビジネスを展開しているほかの中国のテック企業に対しても行動を起こす可能性があると述べ、一部の企業が「中国共産党に直接データを供給している」と主張した。

TikTokの運営元である中国・北京拠点のByteDanceは現在、米国および他の数カ国でのTikTok事業を売却するためにマイクロソフトと交渉中だ。トランプ政権が人気アプリに関する発言をエスカレートさせていることから、この交渉はここ2週間でさらに緊急性を増している。

マイクロソフトは米国時間8月2日、9月15日までに米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのTikTokの事業を買収するための協議を行っていると述べ、同社の最高経営責任者(CEO)であるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏がトランプ大統領の安全保障上の懸念についてトランプ氏と話し合ったと述べた。

ロイター通信は先週、ByteDanceが米国のTikTok事業の少数株を保持することを希望していたが、完全にマイクロソフトに支配権を譲ると報じた。

特に注目すべきは、マイクロソフトは声明の中でインドについて言及していないことである。Steven Mnuchin(スティーブン・ムニューシン)財務長官は米国時間7月29日、TikTokが米国外国投資委員会(CFIUS)の審査中であることを明らかにした。CFIUSは現在、ByteDanceが2018年買収したMusical.lyとTikTokとサービス合併が国家安全保障上の脅威に該当するかどうかを調査している。

売却すれば米政府をなだめるのに十分なのかと、ホストのバーティロモ氏に質問されたポンペオ氏は、トランプ政権は「我々が行ってきたすべてのことが、米国民のリスクをゼロに近い状態に追い込むようにする」と述べた。

しかし、共和党議員の中には「売却だけでは十分ではない」という意見もある。上院情報委員会の委員長であるMarc Rubio(マーク・ルビオ)氏は先週、フィナンシャル・タイムズ紙に対して「TikTokはデータがどこに保存されているか、どのように保護されているかについて、まだ質問に答える必要がある」と語っていた。

「TikTokの所有者が誰であろうと、これらの基本的な質問に答え、話をはっきりさせるまでは、私は会社の活動と報告されている中国との結びつきを懸念し続けている」とルビオ氏はコメントしている。

TikTokを超えて

ポンペオ氏のFox Newsのインタビューの前日、ホワイトハウスの貿易顧問を務めるPeter Navarro(ピーター・ナバロ)氏はFox Newsに対し、トランプ政権は「『米国人の情報を中国のサーバーに送り返すあらゆる種類のソフトウェア』も検討している」と語った。

ポンペオ氏はまた、米国政府がより多くの中国のテクノロジー企業に対して行動を起こす可能性があることを示唆した。

「ピーター・ナバロが言ったように、米国でビジネスをしているこれらの中国のソフトウェア企業は、TikTokやWeChatなど数え切れないほどあり、顔認識パターンや居住地、電話番号、友人などの情報を中国共産党や国家安全保障装置に直接供給している」と彼は主張した。

ポンペオ氏は、トランプ氏が「中国共産党に接続されたソフトウェアによって提示される国家安全保障上のリスクの広範な配列に関して、今後数日間で行動を起こす」と付け加えたが、それが何を意味するか、またはどのような企業が影響を受ける可能性があるかについては詳しく説明しなかった。

しかし、その中にはTencent(テンセント)が所有するWeChatも含まれているかもしれない。米政府は先月、米国で利用可能なWeChatのバージョンは中国のものよりも機能が限られているにもかかわらず、米国でWeChatを制限する可能性があると述べた。

中国ではWeChatはユビキタスな存在だが、米国でのユーザー数は中国に比べるとはるかに少なく、主に米国の中国コミュニティのメンバーや、中国で事業を展開している、または中国に関係のある外国企業が利用している。

画像クレジット:JIM LO SCALZO/AFP / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

マイクロソフトが9月15日までにTikTok買収へ、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの事業が対象

米国時間8月2日、マイクロソフトは同社のコーポレートブログに、米国でのTikTok買収の可能性についての議論を継続する声明を掲載した。声明の中には「米国の投資家」を少数派で参加させる可能性があるという記載もある。

今回の声明は、同社CEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とトランプ大統領との会話の結果だという。これまでの報道やTechCrunchの調査では、状況は完全にホワイトハウスの手に委ねられていると指摘されていた。同社は買収に意欲的だが、大統領の感情という障害物を抱えている。もし、ナデラCEOがトランプ大統領に直接接触したのであれば、TikTok米国事業の行く末は明るいものになるかもしれない。

声明には「ナデラCEOとトランプ大統領の直接交渉に続いて同社は、米国でのTikTok事業の買収を探索するための議論を継続する準備ができている」と書かれている。「マイクロソフトは、大統領の懸念に対応する重要性を十分に認識しています。完全なセキュリティ審査を受け、米国財務省を含む米国に適切な経済的利益を提供することを条件に、TikTokの米国事業を買収することを約束しています」ともある。

同社はいずれにしてもByteDanceからの買収に関する協議を2020年9月15日までに完了するとしており、大統領や米国政府との協議を継続する。今回の買収は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでのTikTokの事業を対象としており、これらの市場ではマイクロソフトが所有・運営することになる。

声明には「他の手段の中で、マイクロソフトはTikTokの米国ユーザーのすべてのプライベートデータを米国内に転送したうえで米国内に残すことを保証します。これらのデータが米国外に保存またはバックアップされている場合、データが転送された後に国外のサーバからそのデータを削除することを保証します」とも記載されている。

ここでの歴史的経緯は、マイクロソフトが今回のアクションを起こしているのは、ByteDanceの最大市場の1つである米国でTikTok事業を継続するには事業売却の必要があるからだ。事の発端は、中国企業が運営するネットサービスでのデータの扱いについてホワイトハウスが強い懸念を示したこと。FacebookやTwitter、Googleなどのなどを含む多くのネットサービスが、グローバルでさまざまユーザーデータを集計・分析しているにもかかわらず、反中国の旗を掲げて、米国市民の膨大な量の行動データにアクセスできることが間違いないアプリ、つまりわかりやすいターゲットを狙う機会を得たわけだ。

一方でTwitter界隈では、トランプ大統領がTikTok上で彼をからかうことで人気を博したコメディアンに腹を立てただけだという説(Vouge記事)もあるが。

いずれにせよ、今回のことでTikTokの刻みの時計の中にもう1つの「トック」が増えた。関係者には手を差し伸べるが、この件に関しては先週末のバタバタしたニュースの最終的な結果になりそうだ。

情報に更新があれば記事をアップデートする。

トランプ大統領がTikTok米国事業を禁止する執行権を行使すると記者団に語る

ドナルド・トランプ大統領は、世界で最も人気のあるショートビデオアプリ「TikTok」を米国で禁止するため「早ければ米国時間8月1日にも行動する可能性がある」と語った(The Hill記事)。

大統領は、7月31日にエアフォースワンの機内で記者団に、TikTokを米国から追放するために「緊急経済権限または執行命令」を行使できると話した。

このニュースは、マイクロソフトがTikTokを買収するために協議中であるとの報道が出てから数時間後に発表された。投資家は3年前のTikTokの価値を500億ドル(約5兆3000億円)と評価していると報じられている(Reuters記事)。トランプ大統領の7月31日の発言では、米企業がTikTokを買収することを支持していないことも示唆している。

同日、トランプ大統領がByteDanceにTikTokの所有権の売却を命じる可能性があると報じられた(Bloomberg記事)。大統領の決定を受けてTikTokはいつものように、アプリを維持することが米国の利益になり、国家安全保障上の脅威にはならないと主張しようとした。

1億人の米国人、特に新型コロナウイルスの感染拡大の時期には、エンターテイメントや人との繋がりを求めてTikTokに来ています。今年だけでByteDanceは1000人近くのスタッフを米国チームに採用し、さらに1万人の従業員を全米の企業の中でも厚待遇で採用できたことを誇りに思っています。当社が設立した10億ドル(約1050億円)のクリエイターファンドは、当社のプラットフォームで生計を立てている米国のクリエイターをサポートしています。TikTok USのユーザーデータは米国内に保管され、従業員のアクセスは厳重に管理されています。そして、TikTokの最大の出資をしているのは米国の投資家です。私たちは、私たちのプラットフォームで創作する人たちに家族の喜びと有意義なキャリアをもたらすために活動を続けているので、ユーザーのプライバシーと安全性の保護に努めています。

トランプ大統領の発表は、米国規制当局が米国の十代の若者たちの間で絶大な人気を誇るTikTokを、北京のスパイツールになる可能性があるという懸念からブロックすることを計画したという、数週間にわたる憶測を裏付けるものだった。

問題は、TikTokの売却や禁止がどのようにかたちになるかということだ。TikTokは北京に拠点を置く中国企業のByteDanceが所有しており、最近では中国で最も有望なテック系スタートアップとして浮上。その評価額は1000億ドル(約11兆円)と言われている。ちなみに同社は、TikTokの中国語版にあたるDouyinを中国のユーザー向けに別途運営している。

ByteDanceは、TikTokを中国の関連団体から遠ざけるために、さまざまな方法を模索してきた。ここ数カ月を見ると、ディズニーの元幹部であるKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏をTikTokのCEOに任命(未訳記事)したほか、アプリのデータを米国内に保存されていると主張するために、米国で1万人の雇用を創出(未訳記事)すると約束するなど多岐に渡っている。

TikTokの通信チームはまた、親会社であるByteDanceの5つの取締役会のうち4つの席が「世界で最も尊敬される世界的な投資家によって占められている」ことを繰り返すことで懸念を和らげようとしている。その中には、Susquehanna International GroupのマネージングディレクターであるArthur Dantchik(アーサー・ダンチク)氏、、General AtlanticのCEOであるWilliam Ford(ウィリアム・フォード)氏、Coatue Managementの創設者であるPhilippe Laffont(フィリップ・ラフフォント)氏、Sequoia ChinaのボスであるNeil Shen(ニール・シェン)氏などが含まれる。ByteDanceの創業者でCEOのZhang Yiming(チャン・イーミン、張一鳴)氏は取締役会の会長を務めている。

注目すべきは、Musical.lyとTikTokの合併が米国に対する国家安全保障上の脅威となるかどうかについての決定(未訳記事)を、対米外国投資委員会(CFIUS)がまだ発表していない(CFIUSリポート)ことだ。TikTokにMusical.lyの売却を命じたとしても、実際にどのように売却が行われるかは不明だ。ByteDanceが2018年にこの2つのアプリを合併した際、同社はMusical.lyの既存ユーザーにTikTokアプリのダウンロードを提案(Digital Music News記事)したが、すでにTikTokのユーザーがいたため、TikTokの現在のユーザーはすべて、厳密にはTikTokのユーザーである。

もし今回の売却がTikTokを対象としたものであれば、ByteDanceは国際的な資産をすべて売却せざるを得なくなるのだろうか。TikTokは米国外にも相当なユーザーがいる。インドが国家安全保障上の懸念を理由にTikTokを禁止する前は、多くの米国政治家の間で批判の的となっていたが、インドはアプリの最大の海外市場であった。

イーミン氏の最悪の悪夢が起こる可能性が高くなってきている。同氏は当初から国際市場を制覇することを目標としてきたが、今では彼のスタートアップが米中関係の格好の標的となっている。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

TikTokの米国事業に対する圧力が高まる中、Bytedanceはユーザーのつなぎ止めを模索

TikTok(ティックトック)の米国事業が存亡の危機に瀕したジェットコースターに乗っている間、親会社であるBytedance(バイトダンス)が事業の維持継続できるように、米国の企業と言論の自由、大量の資金、そして議論で、規制当局と一般大衆を揺さぶろうとしている。

同社の米国内でのビジネスを検証しようとする動きは、TikTokの米国事業を継続するために大統領の禁止令の回避やMicrosoft(マイクロソフト)からの入札の可能性があるとの報道が渦巻いていることを受けてのことだ。

米国内の競合他社や政治的な攻撃に直面する中、TikTokとその親会社であるBytedanceは、米国の公民権運動の擁護者をいくつかピックアップした。米国時間8月1日夜遅く、米国公民権連合(American Civil Liberties Union、ACLU)はトランプ大統領が提案した禁止措置(未訳記事)に異議を唱えるツイートをした。

「いかなるインターネットプラットフォームでも、我々は機密の個人データが政府に漏れる危険性を懸念すべきである」とACLUと説明したあとで「しかし、今回のTikTokの米国事業の禁止が法的に可能であったとしても、1つのプラットフォームをシャットダウンすることは、オンラインでの言論の自由を害し、不当な政府の監視というより広範な問題を解決するものにはならない」と続けた。

一方中国では、米国がBytedanceに米国の利益を売却することを強要することに抵抗感を持っているよ人が多いようだ。新浪科技がソーシャルメディアプラットフォーム「微博」で実施した調査(Weibo投稿)では、BytedanceがTikTokをマイクロソフトに売却する可能性があることについてどう思うかを尋ねたところ、回答者75.3万人のうち36.7万人が「消極的で無力な解決策であることは理解できる」とし、35.1万人が「失望している、もう少し持ちこたえてくれることを期待している」と答えている。

サービスの所有権が不明のままであるにもかかわらず、TikTokは米国での運営を継続することをユーザーに安心してもらうために迅速に動いた。同社はまた、ユーザーデータの取り扱いを誤る可能性があることを理由に離反者に直面しているにもかかわらず、クリエイターへのアピールを強化している。

米国時間7月28日には、同社の最大のセレブたちが集まって4700万人の視聴者を集め、Trilerと呼ばれるTikTokのプラットフォームを捨ててはるかに小さなライバルのTrilerに乗り換える(Los Angels Times記事)ことを明らかにした。

Trilerは、TikTokが米国で爆発的な人気上昇を始めた2年前の2015年に設立され、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)、The Weeknd(ザ・ウィークンド)、Marshmello(マシュメロ)、Lil Wayne(リル・ウェイン)、Juice WRLD(ジュースWRLD)、Young Thug(ヤング・ジューク)、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)、Baron Davis(バロン・デイヴィス)、Tyga(タイガ)、TI、Jake Pual(ジェイク・ポール)、Troy Carter(トロイ・カーター)を含む米国の音楽やエンターテイメントの大物が支援している。

Trilerには現在、TikTokのスターであるJosh Richards(ジョシュ・リチャーズ)、Griffin Johnson(グリフィン・ジョンソン)、Noah Beck(ノア・ベック)、Anthony Reeves(アンソニー・リーブス)が投資家やアドバイザーとして参加している。また、リチャーズ、ジョンソン、ベックとリーブスはTrillerからも補償を受けているが、TikTokをやめる理由として挙げているのは、政府のセキュリティー上の懸念だ。

Trillerは「取引の詳細は非公開だがリチャーズ、ジョンソン、ベック、リーブスにも補償を行っている。にもかかわらず、クリエイターは中国に所有されている会社のセキュリティ慣行を警戒するようになったのでTikTokを離れることになった」と説明する。

「米国や他の国の政府がTikTokを懸念しているのを見て、私のフォロワーや他のインフルエンサーを保護し、導く責任があることを知って、起業家としての本能に従い、解決策を見つけることを使命としました」と、最高戦略責任者に就任するリチャーズ氏はLos Angels Times紙に語っている。

TikTokはこういった動きに同社のクリエイターファンド(未訳記事)の大幅な増額で応えた(TikTokブログ投稿)。当初は2億ドル(約212億円)に設定されていたが、今週初めにTikTokの最高経営責任者である(ケビン・メイヤー)氏は、ファンド総額は今後3年間で10億ドル(約1060億円)に達すると発表した。

TikTokのこの魅力的な攻勢はユーザーの流出を食い止めることができるかもしれないが、同社はユーザーデータに関する懸念に対処する必要があるだろう。ユーザーデータの保護は同社にとって最も差し迫った脅威であり、対処するための準備が最も不足している。

TikTokは保留中の米国事業の禁止を受けて「米国から離れる予定はない」と表明

TikTokの米国事業のゼネラルマネージャーを務めるVanessa Pappas(ヴァネッサ・パパス)氏は米国時間8月1日、トランプ大統領が米国で中国製アプリの「禁止」に取り組んでいるという報道への対応と思われるビデオメッセージを投稿した。彼らがこれを実行できるかどうかは未解決のままだが、その間にTikTokは米国のユーザーを安心させたいと考えているようだ。この漠然とした、しかし潜在的に存在する脅威に対応して運営計画を変更するつもりはないようだ。

パパス氏のメッセージは保留中の米国の禁止に対して「米国から離れる予定はない」という内容が、米国のTikTok全ユーザーに通知された。

TikTokはこれを、アプリのプッシュ通知やウェブサイトで公表し、コミュニティ全体を安心させる狙いだ。ユーザーへの感謝の意を表す内容から始まり、米国を拠点とした貢献、すなわちこれまでに創出した雇用と今後の創出を約束した雇用、米国および世界のクリエイターを支援するために設立した基金の一部について強調している。

パパス氏は最後に、TikTokは「長期的に米国に留まる」と主張し「TikTokのために立ち上がる」ためのコミュニティの支援を呼びかけている。

トランプ大統領は早ければ米国時間8月1日に米国からのアプリへのアクセスを禁止する命令に署名する予定だと主張したが、これに続いてマイクロソフトが同社の中国に拠点を置くオーナーであるByteDanceと米国事業の買収の可能性を巡って協議中であるとの報道があった。

トランプ大統領はホワイトハウスでの報道陣へのコメントで、その可能性を否定しているように見えたが、米国時間8月1日の朝に発表された内容によると、マイクロソフトはTikTokの株式を取得し、米国ユーザーのデータの管理を引き継ぐために実際に交渉中で、あらゆる禁止を食い止めるための水面下の取引を進めているようだ。

しかしByteDanceは、中国企業が米国を拠点とするTikTokの運営を米国の所有者に完全に売却しない限り、トランプ氏がそうすることができると仮定して、米国内の関係者と取引を進めているようだ。

繰り返しになるが、トランプ大統領が米国中でアプリを禁止することについて実際にどのようなに裁定を下すのかは明らかではないが、ByteDanceは米国の関係者と協力して、中国企業が米国のオーナーにTikTok事業を完全に売却しない限り、アプリが利用できなくなることを前提にした取引を進めているようだ。

Chesnot / Getty Images

(翻訳:TechCrunch Japan)

米国TikTok事業の売却でByteDanceとマイクロソフトが合意、米国内ではマイクロソフト以外の企業が運営か

ロイターの報道によると、中国のByteDance(バイトダンス)が米国でのTikTok(ティックトック)事業を売却することで合意したという。この取引では、Microsoft(マイクロソフト)は米国に拠点を置くユーザーのデータの管理を引き継ぐことになる。またこの契約により、マイクロソフト以外の別の会社が米国でTikTokを運営することが可能になる。これによりTikTokは、トランプ大統領が脅したとされる執行命令の疑惑を回避し、米国内でのサービス運営を継続することができるようになる。

執行命令の疑惑とは、ByteDanceは以前に同社の少数株主を維持できるような取引を模索していたこと。結局はホワイトハウスがこの提案を却下したため、この計画は最近になって頓挫したようだ。

今回の新しい取引のもとでは、マイクロソフトは米国に拠点を置くユーザーのデータ保護を担当し、米国に拠点を置く別の会社がTikTok の運営を許可されることになる。ただし、この契約でTikTokが米国内での運営を継続することができるかどうかは不明だ。

マイクロソフトとホワイトハウスにコメントを求めたが現在のところ得られていない。

このニュースは、トランプ大統領が中国系アプリの米国内での運営を禁止する執行命令に署名(未訳記事)すると記者団に語った数時間後に発表された。これを受けてByteDanceは以下の声明を発表した。

1億人の米国人、特に新型コロナウイルスの感染拡大の時期には、エンターテイメントや人との繋がりを求めてTikTokに来ています。今年だけでByteDanceは1000人近くのスタッフを米国チームに採用し、さらに1万人の従業員を全米の企業の中でも厚待遇で採用できたことを誇りに思っています。当社が設立した10億ドル(約1050億円)のクリエイターファンドは、当社のプラットフォームで生計を立てている米国のクリエイターをサポートしています。TikTok USのユーザーデータは米国内に保管され、従業員のアクセスは厳重に管理されています。TikTokの最大の投資家は米国から来ています。TikTokの広報担当者は「私たちは、私たちのプラットフォームで創作する人たちに家族の喜びと有意義なキャリアをもたらすために活動を続けているので、ユーザーのプライバシーと安全性の保護に努めています。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / AFP (opens in a new window)/ Getty Images

TikTokが特許侵害でライバルのTrillerに提訴される

ソーシャルビデオプラットフォームのTriller(トリラー)は、最大のライバルであるTikTok(ティックトック)と親会社のByteDance(バイトダンス)に対して特許侵害訴訟を起こした。米テキサス州西部地区の連邦地裁への提訴では、TikTokがTrillerの米国特許第9691429号を侵害したと主張している。この特許は「音声トラックと同期する音楽動画を作成するためのシステムと方法」を対象としている。

この特許は、Trillerの共同創業者であるDavid Leiberman(デビッド・リーバーマン)氏とSamuel Rubin(サミュエル・ルービン)氏を発明者として認めている。もともと2015年4月11日に出願され、2017年6月27日に登録された。

この特許は、ある音声トラックが流れているときに複数の動画が再生される場合などに、音声と同期させた動画を作成する方法を記述している。同社によれば、TikTokでは現在、同じ音声トラックに対し複数の動画をつなぎ合わせることができるため(特許による)機能を侵害しているという。

Trillerは訴状で、動画といっしょに再生する単一の音声トラックを選択する点でTikTokがどう機能するかについて説明している。また、2019年12月11日付のTikTok Newsroomブログの投稿についても指摘している。TikTokは新しい「グリーンスクリーンビデオ」効果を紹介した。この投稿では、ユーザーが撮影した動画を背景に流し、曲と同期させる方法の効果について説明している。訴状の中ではこれを侵害的な利用例として提示している。

Trillerは訴状で、2020年7月27日に電子メールでTikTokに侵害の通知が送達されたと述べている。

TikTokは音声トラックに動画を同期するアプリを提供する唯一の会社ではないが、最大の会社だ。アプリストア情報会社のSensor Tower(センサータワー)のデータによると、TikTokアプリの現在のインストール数は米国で1億8900万件を超えているが、Trillerは2300万件超だ。Trillerよりもインストール数が多い競合他社はDubsmash(ダブスマッシュ)のみで、これまでに米国で4150万件ダウンロードされた。米国でのインストール数はLomotif(ロモティフ)が2120万件、Likee(ライキー)が1600万件、Byte(バイト)が250万で、いずれもそこまでの影響力はない。

TrillerはDubsmash、Instagram(Reels機能)、Lomotifなど、他の競合他社に対しても同様に特許訴訟を起こす可能性がある。ただし、個々のアプリのエクスペリエンスの侵害状況を弁護士が詳細に調査するため、提訴は一度に全部ではなく1社ごとに行われる可能性がある。

Dubsmashにコメントを求めたところ、Trillerからは何も受け取っていないと答えた。

「Dubsmashの立ち上げがTrillerのApp StoreとPlay Storeでのサービス開始6カ月前だったことを踏まえると、彼らが訴えるとしても無理があると思う」と、Dubsmashの共同創業者兼社長であるSuchit Dash(スチット・ダッシュ)氏は述べた。TikTokはこれまでのところ、コメントの要請に回答していない。Instagramもコメントしていない。

執筆時点でTrillerによる他の提訴案件はない。

Musical.ly(ByteDanceが買収したTikTokの前身)には、2016年出願、2017年登録の「リップシンクビデオの生成と共有」に関連する特許があるが、この特許については訴状では言及していない。

この訴訟に必要な資金をどう調達するつもりなのかTrillerに問い合わせたところ、同社は「複数の世界最大級の金融機関の支援がある」と回答し、法廷へ持ち込む準備は整っているという。

実際Trillerには、Lowercase Capital(ローワーケースキャピタル)、Carnegie Technologies(カーネギーテクノロジーズ)、映画制作会社のProxima Media(プロキシマメディア)、台湾のFubon Financial Holding Co.(富法金控)、インドネシアのGDP Venture(GDPベンチャー)(The Wall Street Journal記事)が出資している。WSJ(ウォールストリートジャーナル)は2019年にTrillerがベンチャーキャピタルから2800万ドル(約30億円)を調達し、事業が1億3000万ドル(約140億円)で評価されたと報じた。Crunchbaseによると同社は現在までに3750万ドル(約40億円)を調達している。

Trillerによる訴訟のニュースは、The Wrap(ザ・ラップ)とBloomberg Law(ブルームバーグロー)が最初に報じた。

訴訟は、TikTokのアプリが米国で厳しい視線にさらされているタイミングで行われている。

Steven Mnuchin(スティーブン・ムニューシン)財務長官は米国時間7月29日に対米投資委員会がTikTokのアプリを調査中であると認めた(CNBC記事)。同氏の発言はMike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官の発言に続くものだ。ポンペオ氏は2020年7月初め、米国が国家安全保障上の懸念からTikTokやその他の中国のソーシャルメディアアプリの禁止を検討していると述べた。

禁止されればTrillerにとってはプラスだ。こうした背景を考えれば提訴のタイミングはまったく偶然ではない。

同社はまた、新たな資金調達を計画していると報じられた。Fox Business(フォックスビジネス)は、TikTok禁止が話題になる中、Trillerは2~3億ドル(約210~320億円)を調達する予定だと報じた。

特にTrillerの経営陣は、TikTokがユーザーにTikTokのプラットフォームだけに動画を投稿するようインセンティブを与えていることに驚いている。

「TikTokはインフルエンサーがTrillerに投稿しないよう、実際にはTrillerへの投稿を禁止するために、インフルエンサーファンドの資金からインフルエンサーに金を払っていることを知りショックを受けた」とTrillerのCEOであるMike Lu(マイク・ルー)氏は語った。7月29日の反トラスト法(独占禁止法)の公聴会で明らかになったような大手テック企業に対するネガティブな感情の高まりが利用できると期待して、ルー氏はTikTokの動きが反競争的だと付け加えた。

「それは倫理的でも合法的でもないというのが当社の意見だ」とルー氏は述べた。「もしすべての『200B企業(時価総額2000億ドル=約2兆1000億円以上の企業)』が顧客に金を払って競争相手のスタートアップに行かないよう促すなら、米国の起業家精神は死に絶え、新しい企業は存在できなくなるだろう」。

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TikTokが約214億円の米国のクリエイター向けファンドを発表

TikTok(ティックトック)は米国時間7月23日、2億ドル(約214億円)のファンドを発表した。米国のトップクリエイターの収入を補い、次のCharli D’Amelio(チャーリー・ダミリオ)の発掘を狙う。

この「TikTok Creator Fund」(ティックトック・クリエイターファンド)は、プラットフォーム上の「適格」クリエイターが生計を立てるのを助けることが目的だと同社は述べた。現在のところ対象条件は、18歳以上で、フォロワーに関し一定の基準(まだ明らかにされていない)を満たし、TikTokのコミュニティガイドラインに沿ったオリジナルコンテンツを一貫して投稿していることだ。TikTokは来月から、米国を拠点とするクリエイターからの申請受け付けを始め、来年資金を分配する。

支払宣言は、TikTokと中国の親会社であるByteDance(バイトダンス)にとって重要なタイミングで行われた。TikTokは売上高で最大の市場である米国で、ユーザーデータの取り扱いと中国とのつながりに関して高まる批判に直面している。トランプ政権からは人気アプリを全面的に禁止するよう求める声が出ている。

それに応えてTikTokは米国に対し、フレンドリーな側面を強調する動きを見せている。米国でさらに1万人のスタッフを増員すると誓った(Axios記事)。今週流れ始めた噂(The Information記事)では、米国の投資家がTikTok事業の過半数の株式をByteDanceから買い戻し、中国の手から会社の支配権を取り戻すことを検討しているという。

なお、後半部分は反応を見るためのテストなのか、単なる噂なのか明らかではない。一方、ByteDanceとTikTokの最近のPR方法を見ると、2社がつながっていないことを手を尽くして示そうとしていることがわかる。中国の広報担当者はTikTok関連の質問に答えず、報道陣への対応を米国チームに行わせている。

TikTokの米国事業担当GMであるVanessa Pappas(バネッサ・パパス)氏はブログ投稿で「ByteDanceはCreator Fundを2億ドル(約214億円)から始め、今後増額する計画だ」と述べている。同氏はTikTokが個々のクリエイターに支払う金額をどう決めるか、支払いを受けるために追加の条件を設けるかについては明らかにしなかった。なお現在、クリエイターが適格となるために必要なフォロワーの数について質問中で情報を入手次第更新する。

TikTokはすでにクリエイターをブランド提携契約やスポンサー契約の締結で支援しており、ライブストリームの収益化をもたらしている。TikTokには教師をプラットフォームに紹介する5000万ドル(約54億円)のCreative Learning Fund(クリエイティブラーニングファンド)もあり、すでに米国の約1000人の教師が使用している。また、Creator Marketplace(クリエイターマーケットプレイス)は、ブランドとクリエイターをつなぎ、有料キャンペーンでコラボレーションする。

「クリエイターはTikTok Creator Fundを通じて追加の収入を得ることができる。追加の収入はクリエイターが投入した時間、配慮、貢献によって決まる。クリエイターはそのアイデアで視聴者を触発し、クリエイティブなつながりを築くために努力する」と同氏は語る。

TikTokは現在、米国で約1400人の従業員を雇用している。最近、世界でインストールが20億回というマイルストーンを達成した。同社によると昨年米国でのユーザーは2600万人を数えた。

Chuck Schumer(チャック・シュマー)上院議員とTom Cotton(トム・コットン)上院議員を含む数人の議員はこの数カ月、TikTokのユーザーデータが中国政府に共有される可能性があると懸念を表明している。中国に本社を置くByteDanceは、ユーザーのデータを中国政府と共有しないこと、米国のユーザーデータを米国とシンガポールに保存することを表明している。下院は今週初め、連邦政府職員が政府発行のデバイスでのTikTok使用禁止に関し投票(Reuters記事)し、336対71票となった。

今年5月にDisney(ディズニー)のストリーミング担当幹部だったKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏を最高経営責任者に任命(未訳記事)したTikTokは、自社がケイマン諸島の法人企業であると主張(The NewYork Times記事)している。

今のところTikTokが立ち上げるプログラムの狙いは、正面切って米国で消火活動を行うことのようだ。他国の市場でクリエイターの収入を補うために何をしているのか尋ねたが、コメントの要求には応じなかった。

TikTokが2億人を超えるユーザーと100万人を超えるクリエイターを抱えるインドは、サイバーセキュリティ上の懸念を理由に先月末、中国企業が開発したTikTokなど58のアプリを禁止した。隣国のパキスタンは、今週初めに「不道徳、わいせつ、下品なコンテンツ」と見なしたものについて「最終警告」をTikTokに通達した。

画像クレジット:Joe Scarnici / Getty Images

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不適切なコンテンツを理由にパキスタンがTikTokに「最後の警告」

TikTok(ティクトック)はまたしても、別の国で槍玉に上がっている。

パキスタンは、アプリ上に「不道徳でわいせつ、下品なコンテンツ」があるとして、Bigo Live(ビゴライブ)ストリーミングアプリを禁止(@PTAofficialpk投稿)し、ByteDance(バイトダンス)のTikTokに「最後の警告」を出した。

パキスタン通信当局(PTA)は、BigoとByteDanceのアプリで拡散しているビデオの性質、そして「一般社会、特に若年層」にいかに影響を及ぼしているかについて、社会のさまざまな方面から多くの苦情が寄せられている、と説明した。

PTAは声明文の中で、そうした懸念についてByteDanceと、Bigoアプリを運営するBigo Technologiesにこのほど伝え、「法的に、そして道徳的に一線を超えることがないよう積極的に「社会問題化とコンテンツに対応するよう」促したと述べた。

「ゆえに、PECA(電子犯罪防止法)のもと、PTAはすぐさまBigoをブロックすることを決め、TikTokに対してはソーシャルメディアアプリを通じて、わいせつさ、下品さ、不道徳さをコントロールするための総合的なメカニズムを導入するよう最終警告を通知した」

TechCrunchへの声明文で、ByteDanceの広報担当は、同社の利用規約に違反する問題のあるコンテンツを見つけてレビューするために、同社はテクノロジーとモデレーション戦略を組み合わせて展開していると述べた。2019年下半期に同社はパキスタンから372万8162点のユーザービデオを削除した。

「当社はユーザーの安全性を確かなものにするためにさらにセーフガードを強化することを約束する一方で、当社のポリシーをを説明し、ユーザーセキュリティのために取り組んでいることを示すために当局との対話を増やしていく」と広報担当は述べた。

パキスタンが今回の措置を取る数週間前に、お隣りのインドはサイバーセキュリティの懸念を理由に、中国企業が開発したTikTokやBigo、そのほか57のアプリを禁止した。

禁止前、TikTokはインドでの月間アクティブユーザーが2億人超を抱え、インドを中国外で最大のマーケットと位置付けていた。インドと同様、TikTokはパキスタンでもかなり人気だ、とカラチ拠点の配車サービススタートアップBykeaの幹部、Danish Khalid(デーニッシュ・カリード)氏は話した。

モバイル調査会社Sensor Towerによると、TikTokは昨年パキスタンで最もダウンロードされたアプリだった。同国のインターネットユーザーはおおよそ4000万人だ。

一部の活動家は、パキスタンのTikTokへの警告とBigo Live禁止は、国が「どこまで検閲できるかを試すため」のものだと非難した。

パキスタンはまた今週初めに、人気モバイルゲームPUBGを一時禁止とした。同国の若年層が「習慣性のある」アプリで「時間を無駄にしている」ことを懸念しての措置だ。

パキスタン政府は今年初めに、同国でサービス展開している米国のテック企業に深刻な影響を及ぼしうる、インターネット検閲にかかる世界で最も広範な規則を明らかにした。しかしその後、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)などがパキスタンから撤退しそうになったことを受けて、規則を撤回した。

ByteDanceの主要アプリであるTikTokは、米国でも難しい状況に直面している。米国務長官Mike Pompeo(マイク・ポンペオ)氏は今月初めに、TikTokが監視とプロパガンダのツールとして中国政府に使われているかもしれない懸念があり、米国はTikTokを禁止することを「確かに検討している」と述べた。

画像クレジット: Costfoto / Barcroft Media / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

InstagramがTikTok的ショートビデオのReelsを米国で8月に開始

Facebookの広報担当者は、InstagramがTikTokのライバルとなるショートビデオプラットフォーム「Reels」を米国で8月にスタートさせることを明らかにした。InstagramはインドでTikTokが禁止された直後に同国でReelsをスタートさせている。またブラジル、フランス、ドイツでもReelsのテストが続けられている。

事情筋によると、Instagramは米国だけでなく数週間のうちに他の50カ国でもReelsをスタートさせる(NBC記事)ものと見ている。

Facebookの広報担当者はReelsを国際的にスタートさせる準備を進めていることを確認し、「我々は8月にReelsを米国を含む世界の多数の国でスタートさせる計画だ」と述べたが、具体的な国名などの詳細は明らかにしなかった。

また広報担当者は「我々がテストを実施した各国ではReelsコミュニティはショートビデオで素晴らしいクリエイティビティを発揮した。またそれ以外の世界各国でもクリエイターや視聴者はショートビデオのプラットフォームが利用できるようになることを熱望している」と述べた。

Reelsは、現在ショートビデオで圧倒的に優勢なTikTokのライバルとなるべくInstagram内に追加されたプラットフォームだ。ReelsはTikTokによく似ており、ユーザーは15秒間の短いビデオを制作しこれに音楽その他のオーディオを含めることができる。またTikTokと同じくReelsにもクリエーターを助ける編集ツールが用意されており、再生速度を調整したりカウントダウンタイマーを表示したりできる。ただしTikTokが7月15日にリリースした2つのタブがありスクロールできるフィードはReelsにはない。

Reelsのロールアウトをスピードアップしてカバー地域もさらに拡大するのは、TikTokの中国政府との強い結びつきに一段と厳しい目が注がれるようになったことと関連している。インドは6月にTikTokに加えて中国製モバイル・アプリ58種類も禁止した。米国でも最近トランプ政権が安全保障上の観点から同様の禁止措置を検討(Public Pool記事)しており数週間のうちにこうした措置が取られるかもしれない。

TikTokが禁止される可能性があるというニュースは、Byte、Triller、Dubsmash、Likeeなどショートビデオのライバルを大いに勢いづけた。SnapchatもTikTok的なサービスをテストしているし、YouTubeも小規模なテストを行っている。

Instagramの巨大なユーザーベースを考えれば、TikTokのユーザーが数百万の単位でReelsに移るかもしれない。しかしTikTokが禁止されても全ユーザーが1つのサービスに移動するということはなさそうだ。TikTokのコミュニティはすでに多様な動きを示しており、ダンスビデオ派はDubsmash、Trillerに向かい、Z世代と呼ばれる若い層はByteを好んでいるようだ。

Reelsが米国で一般公開される日付はまだ発表されていない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米国が国家安全リスクを理由にTikTokに続きWeChatの使用禁止を検討

米国で国家安全保障リスクとなっている可能性があるとして、TikTokに厳しい精査の目が向けられている中、中国の人にとってなくてはならないメッセージングアプリのWeChatも米政府から非難を浴びている。

ホワイトハウスの通商アドバイザーであるPeter Navarro(ピーター・ナバロ)氏は米国時間7月12日に「TikTokとWeChatが中国本土で最大の検閲場所となっている。ゆえに断固たる措置を視野に入れている」とFox Businessに述べた

ナバロ氏は「子供が楽しみ、便利そうなモバイルアプリに集まるデータはすべて中国にあるサーバーに保存される。つまり中国軍、中国共産党、我々の知的財産を盗みたがっている中国当局の管理下におかれる」と主張している。

WeChatは、この発言に対するコメントを控えた。TikTokはTechCrunchへの声明で「ユーザーのプライバシーを守ることは当社にとって重要な優先事項だ」とし、「TikTokユーザーのデータを中国政府と共有したことはなく、共有するよう依頼が行わない」と述べた。

この2つのアプリの使用制限に関する最大の違いは、影響を受ける場所だ。中国外では、WeChatは主に四散している中国人、そして中国で事業を展開していたり中国と何らかのつながりがある企業が使用している。一方のTikTokのメインユーザーは世界中の若者だ。

WeChatは中国において、レストランでの支払いや診察の予約まで日々のさまざまな活動に活用されているが、中国外でのWeChatの機能はメッセージだけにほぼ制限されている。その他の機能は外国の競合相手が提供している。

もし米政府による制限が導入されればの話だが、制限がどのようなものになるのかは不透明だ。WeChatユーザーはすでに、中国にいる家族や帰国した友人と連絡を取り合うための他の方法を検討している。Tencent(テンセント)所有のメッセンジャーアプリであるWeChatがAppleのApp StoreやGoogle Playから削除されても、米国拠点のユーザーは他の地域で展開されているストアからアプリをダウンロードすることはできる。IP制限がかかっても、ユーザーはVPNを通じてアプリにアクセスできるかもしれない。VPNは中国の多くの人にとって、中国政府のグレート・ファイアウォールでブロックされているオンラインサービスにアクセスするのになじみのあるツールだ。

VPNは検閲との戦いのためだけのものではない。海外居住の中国人が、ライセンス制限のために海外では利用できない中国のビデオプラットフォームの番組をストリーミングするためにIPアドレスを中国に設定するのは珍しくはない。

ナバロ氏のメッセージは、米政府がTikTokを禁止することを検討していると米国務長官Mike Pompeo(マイク・ポンペオ)氏が明らかにしてすぐのものだ。中国のインターネット新興企業であるByteDance(バイトダンス)が展開しているTikTokは、データを米国とシンガポールに保存したり、企業構造を徹底的に見直すなどして、中国企業と一線を画してきた。

声明の中でTikTokは「当社で情報安全を担う米国人の担当者は何十年も米国の法執行当局での経験があり、セキュリティに関する経験も持つ。TikTokの親会社は最も知られている米国の投資家の支援を受けている私企業であり、役員5人のうち4人がそうした投資家から送られている」と強調した。

にもかかわらず、米国の企業は安全上の懸念を理由とする政治家のTikTokボイコットの呼びかけに応じている。Wells Fargo(ウェルズファーゴ)は従業員にスマホからTikTokを削除するよう求め(Bloomberg記事)、Amazon(アマゾン)も同様の対応を従業員に指示したが、その後すぐに撤回した(The NewYork Times記事)。

画像クレジット:WeChat

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(翻訳:Mizoguchi