FitbitのPebble買収により、Pebbleのサービスは縮小・停止へ

img_9808

Appleや他のスマートウォッチメーカーに先駆けて、腕に装着したデバイスを通じてさまざまな情報を提供する仕組みを開発してきたPebbleが、単独での活動を終了することとなった。

FitbitがPebbleを買収するのではないかというは、先月から流れ始めていた。私たちの入手した情報によると、価格は3400万ドルないし4000万ドルとのことだった。ちょうど、Pebbleの負債額に相当する額だと言われていた。しかしこれまでは、Twitter上に流れるうわさ話に対して、肩をすくめる絵文字を投稿するだけで、話を肯定するようなことはなかった。

ところが今日になって、PebbleのCEOであるEric Migicovskyがブログ記事を公開し、買収されることを正式に認めた。記事の中では製品を今後どうしていくのかということについても記されている。ただし買収価格の詳細などについては触れられていない。

「Pebbleの操業を停止して、デバイスの製造を停止するというのは、かなり苦しい判断ではありました」と記している。「これまでのPebbleはなくなります。ただしチームPebbleの多くはFitbitに移籍し、ウェアラブル向けソフトウェアの開発を続けていくことになります」。

「今日はほろ苦い日として記憶に残ることと思います。しかしともかく、Pebbleコミュニティを支えてきてくださった皆様に、心からの感謝をお伝えしたいと思います」。

また次のようにも記している。すなわち、Pebbleプロダクトが直ちに動作しなくなるようなことはなく、「普通に」使い続けられるとのこと。「すぐに何か変化があるというわけではありません」。ただし「Pebbleのサービスは、徐々に停止していくこととなります」とのことではある。

つまるところ、Pebble端末はいずれ使い物にはならなくなるということだ。いつまで使えるのかは、Fitbitの判断によるということになるのだろう。

Pebble端末についての保証業務は既に縮小されつつある。Pebble 2は今月に出荷が始まったばかりだが、新たな出荷はキャンセルとなり、オーダーも受け付けられていない。

Kickstarterで出資して、その見返り分が到着していない人については、クレジットカードの決済取り消しにより、4ないし8週間以内に全額を返金することになっている。12月7日以前にPebbleデバイスを返品した人に対しても全額返金が行われる。

ブログ記事中、買収によりFitbitが得るものについても記されているが、それはすなわち「多くのPebbleスタッフ」であるとのこと。そうしたスタッフたちはFitbitでウェアラブル関連のソフトウェア開発に従事することとなる。

Fitbit側の目的は、基本的にソフトウェア分野にある様子。「Fitbitによる買収についての最終合意が行われました。Pebbleの持つ技術、ソフトウェア、その他の知財がFitbitのものとなります」。

「Fitbitに移籍するメンバーたちは、ツール類の開発や、今後のFitbitプロダクトの価値を一層高めるためのソフトウェア開発に従事することとなります」とも記されている。

開発者向けのブログには、「Pebble SDK、CloudPebble、モバイルアプリケーション、開発者向けポータル、アプリケーションストア、タイムラインAPI、ディクテーションサービス、メッセージングサービス、およびファームウェアなどはこれまで同様に提供される」旨が記されている。「将来に向けても、可能な限りコミュニティに必要なサービスの提供を続けていきたいと考えています」とのこと。

Pebbleの開発者コミュニティの人たちに、引き続いての参加を促し、そしてそのままFitbitに移行してもらおうという考えもあるのかもしれない。

Crunchbaseによれば、Pebbleは2009年の創立以来1538万ドルの資金を集めている。ちなみに出資者のうちの大きな部分は、Kickstarter経由のクラウドファンディングとなっている。

今回の件は、クラウドファンディングのファンたちにとっては残念な出来事だろう。クラウドファンディングとは小規模なイノベーターを支援するという目的をもつものだ。しかし市場の中で力を持つ存在に出会ったとき、小規模なままで事業を継続していくことは非常に難しいこととなる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

このウェアラブル発電機は、体の熱で電気を作る

123727_web

これからはその汗ばんだ体がスマホの電源になる。まるで映画マトリクスのネオのように、ノースカロライナ州立大の研究者らが作った新システムを使えば、ウェアラブルデバイスで発電することができる。以前のシステムは硬くて巨大なヒートシンクを使っていた。新しいシステムは体にフィットするパッチワークを使い、1平方センチ当たり 20μWの発電が可能だ。旧システムは1μW以下しか発電できなかった。

システムは肌の上に敷かれた伝導性レイヤーから成り、熱が逃げるのを防いでいる。発生した熱は熱電気発電機を通った後アウターレイヤーに移動し完全に体外へ放出される。厚さは2 mmで柔軟性がある。

システムを開発しているのは、米国国立科学財団のNanosystems Engineering Research Center for Advanced Self-Powered Systems of Integrated Sensors and Technologies (ASSIST)[統合センサー・技術の先端自己出力型システムのためのナノシステム工学研究センター]で、商品化への道は開かれている。

目標は、これを医療器具に埋め込み、充電を必要とせずに生体信号を測定できるようにすることだ。「ASSISTのゴールは、長期の健康モニタリングに使用できるウェアラブル技術を開発することにある。例えば心臓の健康状態を追跡したり、身体的・環境的変化を監視して喘息発作を予測する装置だ。そのためにバッテリーに依存しない装置を作りたかった。このデザインとプロトタイプによって、実現に大きく近づいたと考えている」とノースカロライナ大学のDaryoosh Vashaee准教授は語った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Watchは2015年のスマートウォッチ市場の2/3を獲得、とアナリストが推計

pebble-time-lg-g-watch-r-apple-watch

Appleはその最初のウェアラブル製品Apple Watchの売上を公表しないから、アナリストたちの推定に頼るしかない。そしてCanalysからの最新の推計は、1200万以上売れたApple Watchは、そのマーケットシェアが全市場の2/3だった、と言っている。そして、そのうちの500万以上が、クリスマスのあるホリデイシーズンの四半期に売れた。

Canalysの推定では、AWよりも先に出たSamsungが二位に復帰している。それはGear 2でデザインが良くなり、消費者に気に入られたからだ。Pebbleは三位、Huaweiが四位だ。後者はAndroid WearのOEMとしてはトップだ。

フィットネスのウェアラブルに限定すると、Canalysの推計では、昨年発売された総数は3700万あまりでFitbitがゆうゆうトップ、記録的な四半期台数となった。二位は中国のXiaomiで、その低価格製品Mi Bandが2015に1200万あまり売れた。

ホリデイシーズンのFitbitやApple、Garminに引っ張られて、ウェアラブルのバンド類は前年比で60%以上も伸びた。‘バンド類’と総称してしまえば、ホリデイシーズンのAppleはFitbitの後塵を拝して二位、三位がXiaomiだ(いずれも台数ベース)。

Canalysは、先月のCESで発表されたFitbitのスマートウォッチBlazeを前向きに評価している。投資家たちは、Appleのウェアラブルに似すぎ、と否定的だが、アナリストの見解としては、お値段が手ごろでしかもフィットネス機能が正統派であることが、肯定評価の理由になっている。それに対して多機能デバイスであるApple Watchでは、フィットネス機能がファッションやライフスタイルの方を向いている、と。

同じくアナリスト集団のGartnerも、スマートウォッチに対して肯定的だ。同社が今月発表した予測によると、2019年のウェアラブル市場で売上にもっとも貢献するのはフィットネス製品ではなくてスマートウォッチだ。スマートウォッチが作り出す売上(予測値)は、175億ドルである。

また2016年では、ウェアラブル全体の売上が287億ドルに達する。うちスマートウォッチは115億ドル、Appleの参入によってウェアラブルがライフスタイルのトレンドになったため、という。

ヘッドマウント型のウェアラブルに対しては、Gartnerはやや弱気だ。FacebookのOculus RiftもHTCのValve Viveも、予定されている立ち上がりが今春だから、それはまだ“新興市場だ”、とGartnerは評価している。

ウェアラブルのヘッドセットは2016年に一般的な消費者製品としての普及が端緒につくが、それでも総台数はスマートウォッチの5040万に対して、わずか143万だ。だから一般的な普及への端緒とは言っても、よちよち歩きの段階だ。

Gartner

Gartnerによると、今年は、スマートウォッチですら、スマートフォンのはるか後方をよちよち歩くだけだろう、という。スマートウォッチはあくまでも副次的な(添え物的な)製品だから、それも当然である、と。現時点では、スマートフォンをリプレースする、という意欲的なコンセプトを持ったウェアラブルデバイスは存在しない。

GartnerのAngela McIntyreはこう書いている: “スマートウォッチはウェアラブルという枠の中だけで見るとよく売れている方だが、でもその普及率はスマートフォンに比べてずっと低い。たとえば2016年にはスマートフォンが、成熟市場国と、香港、シンガポールなど新興市場国の大都市圏の計だけでも3億7400万台売れると予測される”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

自分のおしっこで微生物が発電するシステム…歩行時の足の運動で尿循環ポンプを駆動

105162_web

University of the West of England Bristol BioEnergy CentreのIoannis Ieropoulos教授が、尿を人間の歩行によって循環させて電力を作り出すバイオエネルギーシステムを作った。

このシステムは、マイクロビアルフュエルセル(microbial fuel cells, 微生物による燃料電池, MFC)とよばれる発電体を利用する。尿などの廃液中における微生物の成長によるエネルギーを利用し、携帯電話や電球などの小さなデバイスに電力を送る。人間の歩行時の足踏み運動により、尿がMFCの列に送られ、それが微生物の栄養となり、エネルギーを生み出す。

教授らのテストではMFCが作り出す電気で送信機を駆動し、送信されるメッセージを受信機であるPCが受信した。

Ieropoulos教授は曰く、“尿を燃料とするMFCで携帯電話も正常に使えた。今後はウェアラブル(人体装着タイプ)でも試したい。現在は尿を循環させるためのポンプの駆動に電池を併用しているが、目標どおり歩行時の人力だけで尿を循環させられるようになれば、難民キャンプや途上国などで重宝するだろう”。

“この成果はより一般的に、廃液の発電利用に結びつく。とくに、人間が体に装着する廃液発電装置により、災害救難時などに人間の位置を送信できるようになる。しかも、信号が来ているということは、その人間が排尿をしている、すなわちまだ生きていることのサインにもなる”、と教授はおっしゃる。

システムを体に装着するだけなので、装着した人間が手などで操作〜制御する部分は何一つない。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。