良い照明なしには、良いビデオを撮ることは決してできない
自宅のビデオ環境を最大限に活用するため本シリーズ。今回の記事は、この環境における方程式の中で最も重要だがあまり理解されておらず、かつ実践されることも少ない、最重要ポイントの1つである照明(ライティング)に焦点を当てる。実際のところ、多くのトレーニングや専門知識、さらには機器さえも必要とするものではないのだが、照明こそがほとんどのビデオ会議において、動画の品質を低くしてしまう最大の原因である可能性がある。ということは、照明がきちんとできているかどうかで、セミナーやスピーチ、そしてリモートブロードキャストでの登場に際して、語っている自分が相手によく知っている人物のように見えるのか、それともあまり自信を持たせてくれそうもない人物に見えるのかの違いが生まれかねないということである。
ライティングの基本
わずかな作業で、お金もかけずにライティングを大幅に改善することができる。その秘密とは周囲に注意を払い、存在する光源に対してカメラの配置を最適化することだ。部屋の天井灯やランプだけでなく、窓などの自然光源についても考慮して欲しい。
理想的には、最も明るい光源がカメラの後ろ(可能な場合はその上方)に配置されるように、自分自身を置くべきだ。また、画像を吹き飛ばしてしまうような強烈な光源が、自分の後ろにこないようにしなければならない。もし昼間で大きな窓があるなら、壁に背を向けて窓に向かってみよう。また可動式ライトや頭上にランプがある場合は、それを自分の顔に向いたコンピューターの後方上部に移動するか、あるいは位置が固定された光源(例えば天井灯)を使って同じ効果を得るために、可能なら自分自身の位置を動かそう。
理想として最良の結果を得るためには、明るい光源はカメラの後方少し上部に配置する必要がある。
そうした光源がまぶしいと感じるかもしれないが、ウェブカメラ上では均一で鮮明な画像になるはずだ。ほとんどのウェブカメラには、照明に関係なく最良の結果を生み出そうとする自動バランス機能があるが、ソフトウェアでできることは限られている。特にMacBookに組み込まれているウェブカメラのようなローエンドのカメラを使う場合には、照明の物理的位置を最適化することで、大きな恩恵を得ることができる。
これはダメな例。背後に明るい光源があると、顔が見えにくくなり、背景が吹き飛んでしまう。
レベルアップする簡単な方法
基本以上にステップアップする最良の方法は、優れたビデオ照明の基礎のいくつかを学ぶことだ。繰り返しになるが、これも必ずしも何かの購入を必要とするわけではない。既存の持ちものを創造的に利用するといった簡単やり方もある。
カメラも後方に自分の顔に向けて一番強い光源を置くべしという、上記のアドバイスに加えて、2点もしくは3点照明の原則の採用で、さらに洗練された結果を得ることができる。これを実践するためには特別なライトは必要ない。利用できるものを使って、最適な効果を得るよるにそれらを配置すればよいだけだ。
非常に基本的ながら効果的なビデオ照明の設定の1つには、顔を写すカメラの後方あるいは並行した位置に、2つの照明を置いて顔に向けるというやり方がある。ただし最大の効果を得るには、それらを自分の顔の正面から当てるのではなく、横に置いて自分の顔に向けて角度をつけることだ。
適切な2点ビデオ照明設定のために、照明を配置するやり方の簡単な図。
これら2つのライトの一方を、もう一方よりも明るくできれば最高だ。これにより顔に当たる照明に、微妙な影と奥行きが加わり、よりすばらしくプロフェッショナルな見え方になる。前述のように、使用する光源の種類は特に問題ではないが、両方が同じ色温度になるようにすることをお勧めする(通常の家庭用電球の場合、電球色、白色または昼光色などと表現されているものだ )、また光源がそれほど強力でない場合には、光源をより近くに配置してみよう。
2点照明に似ているが、3番目の光源を自分の後方のどこかに追加したものだ。この追加の光源は、放送インタビューの照明設定で使用され、被写体にわずかなハロー効果をもたらす。これにより、自分を背景から分離することがさらに容易になり、より奥行きがあり、プロフェッショナルな見え方になる。理想的には下の図に示すように、それをカメラのフレーム外に配置し(大きくて明るい光がレンズに直接当たらないようにしたい)横にずらした位置に置く。
3点照明の設定では、背後に3つ目のライトを追加することで、被写体の分離とポップさがさらに増す。
この種の設定の柔軟性上げたい場合には、Philips Hue電球を光源に使用することで、簡単に行える。光源の色温度と明るさを一緒に、または個別に調整して、このような配置を最大限に活用することができる。最新のHueのランプは、使用しているフレームレートに応じて、ビデオに奇妙なちらつきを生じさせる可能性があるが、ビデオを30fpsで出力すれば問題に対処できるはずだ。
プロらしくやる
どんな光源を使用してもビデオびライティングを改善できるが、やはり専用のビデオライトが最良の結果を生み出す。たくさんのビデオ通話、バーチャルトークそしてストリーミングを真剣に計画している場合には、より良い結果を得るために、専用のハードウェアに投資することを検討する必要がある。
エントリーレベルであれば、Amazonで十分に機能し、優れた価値を提供する選択肢をたくさん見つけることができる。例えばNeewerから提供されているこのようなフル照明キットは、1つのパッケージで2点照明の設定に必要なすべてを提供してくれる。これらは照明が初めての場合には敷居が高いように思えるかもしれないが、設定は非常に簡単だ、実際には色温度(ケルビンで測定される)と、それがビデオキャプチャ機器の画像出力にどのように影響するかについて少し学ぶだけで十分だ。
もう少しお金を投資したい場合には、Wi-Fi接続やリモートコントロールなどの追加機能があるより良い品質のライトを入手することができる。私が見つけたホームスタジオでの使用に最適な万能ビデオ照明はElgatoのKey Lightだ。これには199.99ドル(約2万1500円)のKey Lightと、129.99ドル(約1万4000円)のKey Light Airの2種類がある。キーライトはより大きく明るい最大出力があり、テーブルやデスクに取り付けるための頑丈なクランプマウントが付属している。一方、Key Light Airはより小型で持ち運びやすいが、最大設定における光量が少なく、底が重くなっているテーブルトップスタンドが付属している。
Key Lightのどちらのバージョンも、非常に暖かい白(2900K、電球色)から明るい白(7000K、昼光色)まで調整できる光源を備えており、コンピューターまたはモバイルデバイスから、リモートコントロールのためにWi-Fi接続することができる。Elgatoのハードウェア制御用のStream Deckにも簡単に連携する。輝度は高度に調整可能で、特にマルチマウント拡張キットなどの追加のアクセサリをはじめとする数多くのマウントオプションがある。
それぞれのKey Lightに標準的な三脚マウントがたくさん用意されており、高品質で耐久性のある構造と、ネットワーク接続された制御機能を備えているため、これらの照明はどんなスペースでも簡単に使うことができる。それらが発する光の質も良く、必要な効果を生み出すために、希望に合わせれそれらを調整するのも非常に簡単であることから、照明のプロと初心者の両方に最適だ。
空間にアクセントを
被写体に対する照明に加えて、ホームスタジオ全体をより視覚的または魅力的にするために、さまざまな種類のアクセント照明を検討してもいい。繰り返すが、いくつかのオプションはあるが、もし家のインテリアにもなってくれるものを探していて、それが家をスタジオセットのようにしないほうがいいのなら、Hueのコネクテッド照明システムのよりグレードの高いものをチェックしてみて欲しい。
たとえば、Hue Playライトバー はすばしいアクセント照明だ。2個のフルカラーコネクテッドRGBライトが同梱されたツーパックを購入することができる。これらを機能させるには、Hueハブが必要だが、もしハブをまだ持っていない場合には、2個のライトとハブを同梱したスターターパックを購入することもできる。私はクッション、椅子、その他の家具の後ろに簡単に隠すことができるこれらを気に入っている。これらは、特にメインビデオ照明以外の空間照明を消してしまった場合に、光で彩られたすばらしいアップライト効果を演出してくれる。
効果を最大に引き出したいときには、これらをPhilips Hue Signeのフロアランプまたはテーブルランプと組み合わせることを検討して欲しい。Signeシリーズは底が重いベースに取り付けられた長いLEDライトで、選択した任意の色の強くアクセントのある光源を提供する。これらを他のHueライトと同期させて一貫した光景を作り上げたり、さまざまな動的効果のために色を混ぜたり最大化したりすることができる。
これはビデオにおいて被写体と背景の分離に役立ち、標準的な背景よりもはるかに洗練されているように見える。特に高品質のカメラを使用しているときに、ぼかし効果と組み合わせるとその効果は顕著だ。副次的な利点としては、ビデオを(撮影するのではなく)観ているときに、映画やビデオの再生に同期させることで、これらのライトを使って本当にクールなホームシアター効果を演出できる。
もし照明の設定には満足しているものの、他の可能性も探っているのなら、私たちのオリジナルのガイド記事とオーディオの品質に目を向けたマイクの記事も読んでみて欲しい。
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(翻訳:sako)