製薬会社のModernaが新型コロナワクチンの最終治験を7月開始へ

製薬会社のModerna(モデルナ)は米国6月11日、このままのペースでいくと新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの最終治験を7月までに開始できると語った(Bloomberg記事)。Modernaはワクチン候補のヒト臨床試験を米国で最初に行った企業だ。研究の最終ステージは米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)とのパートナーシップのもとに実施され、3万人が参加する見込みだ。

研究の目的は、Modernaのワクチンが実際に新型コロナウイルスの発症を防ぎ、少なくとも入院が必要になるようなひどい症状を防ぐことができるという最終的な臨床証明を示すことにある。同社の第2段階治験は先月始まった。同社は以前、早ければ今秋にもヘルスケアワーカーに量限定ながらワクチンの提供を実験的に始めるかもしれないと話していた。

多くのワクチン候補の開発ペースはかなり速い。Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)は今秋初め、ワクチンの試験を7月後半に開始すると述べ、一方でAstraZeneca(アストラゼネカ)と同社のR&Dパートナーであるオクスフォード大学は今月に治験最終ステージに入る。

Modernaが手掛けているのはmRNAワクチンで、これは活性化または不活化のウイルスそのものを体内に入れなくても、健康な細胞にコロナウイルス抗体の生産を指示できる技術を活用している。mRNAワクチンは家畜には使われているが比較的新しい技術で、人間への使用はまだ承認されていない。しかしこの技術を取り入れた数多くのワクチンの試みが展開されている。開発のスピードが早く、初期治験参加者を含め人にもたらす健康リスクが理論上少ないなどのメリットがあるからだ。

画像クレジット: David L. Ryan/The Boston Globe / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

25分で結果が出るCue Healthの新型コロナ検査技術に緊急時使用認可が下りる

シリーズCで1億ドル(約107億円)を調達したばかり(未訳記事)の、分子診断のスタートアップであるCue Healthに、さらに良いニュースが届いた。同社の迅速なポイントオブケア用の新型コロナウイルス(COVID-19)検査に、FDAの緊急時使用認可(EUA)が下りた。Cue Healthは2020年3月にBARDAから、迅速診断の開発と展開を拡大するための補助金1300万ドル(約14億円)を受けており、現状のパンデミック下において同社の新型コロナ検査は重要な案件になっている。

Cueの検査は持ち運ぶことが可能であり、RNA検出法を使って、患者の鼻から綿棒で得た検体からウイルスの実際の存在を確認する。同社によると、結果はわずか25分間で得ることができ、管理も比較的容易だ。現在のパンデミックと今後の世界的な健康危機が続く中で、新型コロナ検査の規模を容易に拡大していく上で非常に有用な可能性を秘めているという。

Cue Healthの検査キットには、検体収集ワンドや検査カートリッジが含まれる。カートリッジをスマートフォンのアプリに接続して、検査結果をデバイスに送信する。FDAのEUAの認可条件としては、検査がプロフェッショナルのヘルスケア有資格者の監督の下で行われる限り、その検査はどこでもできるものでなければならない。Cueによると現在同社は、使用認可拡張の申請を検討している。すなわちその検査を、職場や学校、家庭などでもできるようにしたいと考えている。

同社によると、Cue Healthの新型コロナ検査は当初、大手医療機関とのパートナーシップにより展開され、そこからさらにさまざまな医療機関に拡大していく計画だという。同社の最終的な目標は、必要とされるあらゆる環境で柔軟に展開、実施できる分子診断による検査をインフルエンザといった新型コロナ以外のウイルスにも広げることだ。

画像クレジット:Cue Health

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ザッカーバーグ氏とチャン氏が科学者からの人種差別的な暴言への懸念に関する書簡に儀礼的な返事をする

Mark Zuckberg(マーク・ザッカーバーグ)氏とPriscilla Chan(プリシラ・チャン)氏が、Chan Zuckberberg Initiative(CZI)が投資しているプロジェクトで働く140名あまりの科学者たちから先週彼らに送られた公開書簡への返事をした。元の書簡を本記事の下部に埋め込んだが、それは特定の人びとの集団を対象とする誤った情報や、有害で攻撃的で差別的な言葉に対するFacebook(フェイスブック)の管理方法に対する懸念を表明している。特にDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の攻撃的で、人種差別的で危険な暴言に対するフェイスブックの対応を問題にしている。

チャン氏とザッカーバーグ氏の返事は、懸念を表明したことに対して科学者たちに感謝し、特に両氏は「個人的にはトランプ大統領の、分断を煽るような発言にひどくショックを受け嫌悪感を抱いている」と述べており、CZIとフェイスブックはまったく異なる存在だが、当然ながら共通のリーダーはザッカーバーグ氏である、と認めている。

書簡はさらに、フェイスブックの立場を説明するために最近ポストされたブログ記事やそのほかのリソースにも言及している。そしてまた、同社プロダクトの人種問題や社会正義との関わり方に関して、今後も既存のポリシーの見直しを行う、ともいう。

CZIのトップからの返事では、フェイスブックのポリシーとは無縁だというが、しかしながら彼らの個人的見解としては人種間の不平等や不公平への対策をより積極的に行うべきである、ともいっている。

マーク・ザッカーバーグ氏とプリシラ・チャン氏が誤報対策を求める270名余の科学者に応答した。彼とチャン氏は「トランプ大統領の分断を煽るレトリックに深くショックを受け嫌悪感を抱いた」そうだ。

しかしながら、結局のところチャン氏とザッカーバーグ氏の書簡には実体がほとんどない。そこではただ、最初に懸念を表明した科学者たちからの書簡の核心にある問題が、改めて強調されているだけだ。同一の個人がトップだがCZIとフェイスブックは異なる存在なので指導原理も異なるといった言い逃れをしており、肝心の科学者たちの主たる訴えに対峙していない。科学者たちの書簡が求めているのはいうまでもなく、CZIの今後の変化ではなく、社会的影響力が大きいフェイスブックのトップであるザッカーバーグ氏の今後の態度の変化だ。

CZIとフェイスブックの間には、これからもこのようなちぐはぐが続くのだろう。両社は確かに、相対的な位置づけも関係者の顔ぶれも異なる。そのため今回のような返事も、CZIの研究者や学者たちの長期的な懸念を鎮めることにはならないだろう。

以下は科学者たちの書簡の全文となる。

画像クレジット:Florian Gaertner

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAが月面の水源探査車VIPERの輸送に民間企業のAstroboticを指名

NASAは、月面探査車のVIPER(バイパー)ローバーを月面に送り届ける企業を選定した。このミッションは、月面のどこにどのようにして人が長期滞在するかを決める手がかりをもたらすものであり、Artemis(アルテミス)計画にとって決定的なステップとなる。現在2023年に予定されている月着陸ミッションでペイロードの輸送を担うのは、民間パートナーのAstrobotic(アストロボティック)であると米国時間6月11日に発表した。

VIPERとは「Volatiles Investigating Polar Exploration Rover」(揮発性物質調査極探査ローバー)の頭文字を取った名称だ。ゴルフカートほどのサイズのロボット車両で、月の南極を氷を求めて走り回る。また、もし存在するならば、地下水も捜索する。これは、2024年までに米国人男性を再び、そして米国人女性を初めて月面に送り込むArtemis計画までの大切な途中段階だ。有用な水源は、長期間持続可能な月面基地の建設にとって重要な役割を果たす。水は、月面の自給式燃料生産施設に必要な材料だからだ。

NASAがこのミッションにAstroboticを選んだのは、意外なことではない。NASAは以前からAstroboticを商業月輸送サービス(CLPS)プログラムの一員として契約していたからだ。同社は、CLPSの最初のミッションとして独自のPeregrine(ペレグリン)着陸船に載せたで科学調査用機材を、ULA(ユナイテッド・ローンチ・ライアンス)の Vulcan(バルカン)ロケットで2021年に月面に運び込む準備を進めている。今回の契約はそれとは別のミッションで、打ち上げウィンドウは2023年に設定されている。

Astroboticは、VIPERミッションにはPeregrineではなくGriffin(グリフィン)着陸船を使用する。GriffinはPeregrineよりもずっと大型の着陸船で、高さはおよそ2mあり、454kgを少し超えるペイロードを搭載できる。目標地点から100m以内に着陸することができ、直径15センチ程度の小さな障害物も検知して避けることが可能だ。

  1. astrobotic-griffin-with-viper-1

    画像クレジット:Astrobotic
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    画像クレジット:Astrobotic
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    画像クレジット:Astrobotic
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    画像クレジット:Astrobotic

VIPERが完成すると、重量は454kgになるため、Griffinの積載量を最大限に使うことになる。このローバーには水を探すためのセンサーが3基装備されるが、それは2021年と2022年のテストのためのペイロード輸送ミッションで先に月面に送られる。また、月の地面を1mまで掘削できるドリルも搭載される。

Astroboticは、ローバーの打ち上げから着陸までのすべてを担うことになる。だが、Griffinに載せたVIPERを実際に月面に降ろすには、まずは打ち上げを委託する業者と契約しなければならない。どこにするかまだ同社は決めていないが、おそらくULAやSpaceXなど実績のある企業が選ばれることになるだろう。

画像クレジット:NASA Ames/Daniel Rutter

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(翻訳:金井哲夫)

アップルが6月22日のオンラインWWDCでMacのARMベース移行を発表か

Bloomberg(ブルームバーグ)は、「Apple(アップル)は早ければ今月下旬にもMacのCPU変更を正式に発表する」と報じた。発表は6月22日からオンラインで開催されるWWDCで行われる可能性もあるということだ。アナリストや業界の噂は何年も前から同社がMacのチップをIntel(インテル)製からARMベースの独自製品に変えようとしているといっていた。

同社はWWDCでこれまで何度もmacOSやiOSなど重要ソフトウェアのバージョンアップの将来計画を発表している。実施に先立ってデベロッパーがソフトウェアを準備するのを助けるためだ。またWWDCは長年にわたって新しいMacBookやiMacなど、多数のMacハードウェアの発表の場となってきた。

ブルームバーグは「ARMベースのMacへの移行計画がここで発表されるなら、デベロッパーへの事前通知になる」と述べている。すぐに利用できるハードウェアの発表ではないが、2021年にリリースされるはずのARMベースのMac向けソフトウェアを準備する時間をデベロッパーに与えるために役立つだろうという。ただしARMベースのMacハードウェアが製造されるのははるか先であるため、発表のタイミングは変わる可能性もあると記事は注意している。

アップルがMacのプロセッサのアーキテクチャを全面的に変更するのはこれが最初ではない。2006年に同社はCPUベースをPowerPCからIntelに変えた。 切り替えが発表されたのは前年、2005年のWWDCだったが、これもデベロッパーに約半年の準備期間を与えるためだった。

ブルームバーグは4月に「アップルはARMベースのMacの販売を来年開始する計画だ」と報じている。アップルはARMアーキテクチャに基づいて、3種類のプロセッサを社内で開発しMacの試作機でテストしているという。同社はARMベースの独自開発のプロセッサをiPhone、iPadなどのiOSデバイスで数世代前から使っている。同社のエンジニアリングの能力は極めて優れており、独自CPUは、Macシリーズで使われているインテルチップよりもはるかに電力効率が高く、ほとんどあらゆる点で優れているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米アップルが新型コロナ対策アプリに症状と健康状態を匿名で共有できる機能を追加

Apple(アップル)は自社製の新型コロナウイルス向けのiOS用対策アプリウェブサイトに新機能を追加した。ユーザーの年齢、これまでの健康状態、症状、潜在的な暴露のリスク、居住している州といった情報を匿名で共有できるようになった。同社によれば、こうした情報は個人を特定するいかなるデータとも関連付けられていない。集計情報としてCDC(米疾病管理予防センター)に提供され、同センターが新型コロナウイルス感染症のスクリーニングプロトコルを改善するのに役立てられるという。

またこのアプリは、集計されたデータによって公衆衛生機関とCDCを支援し、新型コロナウイルス感染症に関して、および暴露の内訳と暴露リスクに関して、潜在的なリスク要因についての入手可能なベストな情報を一般に提供できるようにする。

アップルはすでに3月に、コロナウイルスのスクリーニングアプリとウェブサイトを立ち上げていた。検査すべきかどうかのアドバイスをユーザーに提供するためのスクリーニングツールや、手洗いや消毒のベストプラクティスといった予防策に関するヒントも提供してきた。

このアプリとウェブサイトは、アップルとGoogle(グーグル)の共同作業によるCOVID-19 Exposure Notification APIとは別物だ。そのAPIは、公衆衛生機関や、そのパートナーが利用できるデベロッパー向けのツールで、匿名化され、プライバシーに配慮した通知機能を実現するもの。新型コロナウイルス感染症の人と接触した可能性があるか、暴露したかもしれないユーザーに対して警告する。ここで取り上げたアップルのアプリは、情報の提供とスクリーニングのためのツールに過ぎない。とはいえ、今回のアップデートにより、匿名化された集計データの収集を通して、公衆衛生機関とCDCが新型コロナウイルス感染症の広がりを、よりよく理解するためのリソースとしても機能するようになる。

どのように受け取られているかはともかくとして、新型コロナウイルスが登場してから、まだそれほど長くは経っておらず、科学者や研究者も、まだ十分に理解できているとは言えない。感染した集団について、より多くのデータや情報を収集して研究することは、健全なコミュニティとして、新型コロナウイルスに関して多くを学び、その脅威をどのように緩和するのがベストなのか知るための重要な手がかりとなる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

MITの小さな人工脳チップがモバイルデバイスにスパコン並みの能力をもたらす可能性

MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者が新しいタイプの人工の脳内シナプスに関する論文を発表した(MIT論文)。既存バージョンに比べてパフォーマンスが向上するという。物理的には紙吹雪の一片よりも小さいチップ上で数万単位の組み合わせが可能だ。小型で省電力仕様でありながら、複雑なAIコンピューティングをデータセンターに接続せずローカルで処理できるデバイスの作成に役立つという。

研究チームは「メモリスタ(次世代不揮発性メモリ)」を作った。シリコンによる脳内シナプスのシミュレーションだが、構造には銀と銅の合金も使用した。完成したのは画像を何回もしっかりと非常に詳細に「記憶」し、思い出せるチップだ。以前に登場した他のタイプの脳回路のシミュレーションよりも鮮明で詳細な「記憶」画像が得られた。

チームが最終的に目指すのは大規模で複雑なニューラルネットワークを人工で再現することだ。現在は、かなりのGPUコンピューティング能力を要するソフトウェアをベースとしているが、これを専用のハードウェアとして携帯電話やカメラなどの小型デバイスで使えるようにする。

従来のトランジスターは0と1の2つの状態のみ切り替えられる。これが現代のコンピューターの基礎を形成している。メモリスタはその中間の値も利用する点で、元祖アナログコンピューターである脳によく似ている。また状態を「記憶」できるため、同じ受信電流に対し同じ信号を何度も簡単に再現できる。

ここで研究者らが行ったのは、金属工学の概念からの借用だ。金属工学者がある金属の特性を変更したいとき、望ましい特性を持つ別の金属と組み合わせて合金を開発する。同様に彼らは、非常に薄い伝導チャネルでもイオンを一貫して確実に転送できるよう、メモリスタの正極に使う銀との組み合わせが可能な元素を発見した。

これが数万のメモリスタから成る超小型チップの作成を可能にした。「メモリ」から画像を確実に再現できるだけでなく、細かいところを改善したり、元の画像をぼかしたりするなどの推論タスクも実行できる。これまでの科学者が開発したメモリスタより性能が高い。

まだ先の話だが、プロジェクトチームが究極的に示唆するのは、ネットワーク接続がなく電力も最小限といった環境で、今日のスーパーコンピューター並みの能力で非常に複雑なタスクを実行できるポータブルな人工脳コンピューターに発展する可能性があるということだ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

イーロン・マスク氏が「Starship完成がSpaceXの最優先目標」と宣言

SpaceXのファウンダーでありCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、社内向けメールで最初の有人宇宙飛行を成功させた後の目標について、次世代宇宙船Starshipの開発に全力を挙げると述べた。CNBCの報道によれば、マスク氏は現在軌道上でISSに接続されているCrew Dragonカプセルと乗員であるNASAの宇宙飛行士であるDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の両宇宙飛行士を無事に帰還させることを別にすれば、Starshipの完成がSpaceXにとって最重要の目標だと述べている。

ステンレス製でSF的な外観のStarshipは2019年からテキサス州ボカチカのSpaceXの製造、試験施設で開発が続けられている。テキサスと平行してフロリダの施設でも開発が行われていたが、SpaceXはその2019年末に、開発をテキサスの施設に集約した。両施設の成果を統合し、集中的にプロトタイプ制作を行い、それを迅速に繰り返すことですでに多数のプロトタイプが製造されている。

Spaceshipは完全に再利用可能な設計であり、地球の衛星軌道からさらに月と火星などの遠い天体に向かって乗員と物資を運ぶ能力を備えることになる。Spaceshipの打ち上げには、現在開発中の大型ブースターであるSuper Heavyロケットが用いられる。 SpaceXでは将来はFalcon 9、Falcon Heavyの両システムをStarshipに置き換えようと計画している。これにより生産ラインが一本化され、再利用性も実現できれば大きなコスト削減が期待できる。

これまでのところStarshipの開発は多くの難問に直面している。SpaceXはStarhopperと呼ばれる縮小版のプロトタイプに新しく開発したRaptorエンジンを組み込み、地上での燃焼テストに成功した後、フルスケールのプロトタイプの製造が開始された。しかしこれらのプロトタイプはいずれもテストで不具合に見舞われている。プロトタイプ3号機、SN3は燃料タンクの圧力テストに失敗、また最近ではSN4がRaptorエンジンの静止燃焼テスト直後に大爆発して失われている。SpaceXは現在、StarshipのSN5を組み立て中だが、さらなるテストのために、SN6とSN7の建造も平行して進められている。

CNBCが番組で公開したメールでイーロン・マスク氏はSpaceXの社員はボカチカ開発拠点で「Starship開発を助けるために相当の時間を費やすことを考えねばならない」と述べている。

SpaceXはBlue Origin、Dynecicsと並んでNASAの有人月面基地構築プロジェクトの主契約者3社のひとつに選定された。これはStarshipの開発を急がせるプレッシャーをさらに高めるものだ。NASAのプロジェクトでは月の衛星軌道に前進基地となる宇宙ステーション、Lunar Gateway(ルナー・ゲートウェイ)が設置され、そこから月面に宇宙飛行士が運ばれる。Starshipはこのラストワンマイルを担当するというきわめて重要な役割を担う。

SpaceXによる有人Starshipのコンセプト。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

未来の惑星探査の鍵を握る群で活動する自律型昆虫ロボット

自動車ほどの大きさの火星探査六輪ロボットローバーの打ち上げが準備されている一方、将来の惑星探査と科学ミッションには、もっと小さなハードウェアでまかなえるようになる可能性がある。例えば、それぞれが自律的に協調行動ができる昆虫サイズのロボットの群が考えられる。

群で活動する昆虫型ロボットは、いくつもの機関や企業で開発が進められているが、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校(CSUN)は、先日、主に地球外で使用するだけでなく、地球上の採鉱、工業、捜索救助などにも使える自律型ロボット群の開発に米国防省から巨額の助成金を受け取った(CSUNプレスリリース)。

53万9000ドル(約5800万円)というこの助成金は、CSUNのNhut Ho(ヌハット・ホー)機械工学科教授に贈られたものだ。彼はNASAのSTEAHMのためのAutonomy Research Center(自律研究センター)のディレクターも務めている。ちなみにSTEAHMとはScience(科学)、 Technology(テクノロジー)、Entrepreneurship(起業家精神)、Arts(アート)、Mathematics(数学)、Humanities academics(人文科学)の頭文字を取った言葉だ。この研究の目的は、未知の過酷な環境に投下すれば、基本的に外部からの指示を得ることなく、与えられた使命の達成方法を自分で考えて行動できるロボットの群を作ることにある。

最終的にこうしたロボット群は、規模の異なる他の群に自らを組み入れて目前の難関にさまざまな角度から取り組んだり、群の仲間を失うような苦境でも冗長性や役割の変更などを活かして対処するなど、困難に立ち向かいながら複雑な問題を解決できるようになる。

このシステムは、NASA Jet Propulsion Laboratory(ジェット推進研究所、JPL)と共同で、地下環境の自律探検と地図作りの最適な方法を探るというテストが予定されている。

そもそもこのような方式が考え出された理由には、1台の大きなローバーよりも、小さなローバーの群のほうが潜在的利便性がずっと高いという点がある。ごく基本的なレベルでは、本来的に冗長であることだ。もし、NASAのPerseverance(パーセベランス)のようなローバーが致命的エラーに見舞われば、実質的にミッションはそこで終わる。しかし、群の場合はメンバーがいつくか失われたところで、ミッション全体には影響しない。また群は自ら小グループを組織して、広い範囲にすばやく展開し、大型のローバーなら1つずつ順番に対処するところを、複数の仕事を並行してこなすことができる。

CSUNのこのプロジェクトは前述のJPLの他にも、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)、Intel(インテル)、Clearpath Robotics(クリアパス・ロボティクス)、Telerob(テレロブ)、Velodyne(ベロダイン)、Silvus Technologies(シルバス・テクノロジーズ)をパートナーに迎えて進められている。昆虫型ロボットが実際に火星の赤い土を踏むまでには、まだ長い時間がかかるが、これは間違いなく、大きくて底の深い財布を握る公的資金源の興味と支援が得られた強力な証拠だろう。

画像クレジット:Julian Stratenschulte / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Fitbit開発の低コスト人工呼吸器に米食品医薬品局が緊急使用認可

Fitbit(フィットビット)は、米食品医薬品局(FDA)からFitbit Flow緊急人工呼吸器の緊急使用認可を取得した。この人工呼吸器は低コストで、使用にはトレーニングや専門的な技術をさほど必要としない。そのため、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックでヘルスケアシステムがリソース不足で圧迫された場合のソリューションとなる。

Fitbit人工呼吸器はMITのE-Ventシステムと、英国政府が新型コロナ感染拡大中に同国の病院で使用される人工呼吸器のために提供したスペックをベースとしている。自動蘇生器スタイルの人工呼吸器で、救急隊員や救急救命士が使う手動の蘇生バッグ機能を真似ている。

緊急人工呼吸器はパンデミックで脚光を浴びることになった。というのも、医療機関が通常使用するスタンダードの人工呼吸器よりも比較的安価で実際に入手可能な部品で作られているからだ。Fitbitは同社の人工呼吸器のデザインがかなり効果的だと確信している、と話す。センサーの正しい組み合わせ、自動アラーム、蘇生バッグポンプのオートメーションを補助する患者モニター機能などだ。

緊急使用のための人工呼吸器の需要に向けられていたかなりの注意はここ数週間落ち着いてきているが、需要はまだある。そして数カ月内にやってくる新たな新型コロナ感染の波に伴って需要が再度高まることが予想される。Fitbit Flowのようなプロジェクトは、必要となった場合に選択肢として提供できることを目的としている。そしてFDAの緊急使用許可は、企業がその需要に応えるべく大量生産するために既存の製造パートナーと協業できることを意味する。

Flowのような人工呼吸器は従来使用されてきたものの代替ではない。あくまでも間に合わせであり、患者の処置に必要な呼吸器が入手できなくなった時にのみ使用される。

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(翻訳:Mizoguchi

SpaceXがFalcon 9ロケットでStarlink衛星群をさらに60基打ち上げ、ロケット再利用の記録も更新

SpaceXは、米国東部夏時間6月3日午後9時25分(日本時間6月4日午前10時25分)に、前回からわずか4日で二度目のFalcon 9ロケットを打ち上げた。今回は同社のStarlink(スターリンク)衛星群60基を追加で宇宙空間に運ぶためだ。これで軌道上で稼働している衛星の総数は480基になる。打ち上げが行われたフロリダは、SpaceXが米国時間5月30日に初めて宇宙飛行士を打ち上げた場所。そして、同社の宇宙船であるCrew Dragon(クルードラゴン)が、NASAのCommercial Crewプログラムの有人宇宙飛行の承認プロセス(Human-Rating Process)を満たすための、最後のデモンストレーションミッションだった。

本日の打ち上げには人間の乗員は含まれず、前述のようにStarlinkブロードバンドインターネット衛星の次の大きなバッチを飛ばすだけだ。この衛星群は低宇宙軌道にあるそのほかのStarlink衛星に加わってネットワークの一部になり、最終的にはそのネットワークが高帯域で信頼性の高いインターネット接続を提供する。その主な対象は陸上ネットワークすら存在しない、そして高速接続が提供されていない低サービス地域だ。

この打ち上げには新しいシステムのテストが含まれていた。それは大量の衛星によって地球からの夜間の視界が劣化するという問題への対策で、60基のStarlink衛星の1つにバイザーシステムを搭載。バイザーは打ち上げ後に展開して通信用アンテナの表面の太陽の反射をブロックし、衛星から地球に届く日光の反射を大幅に減らせる。設計どおりに動作すれば、SpaceXはStarlink衛星の設計の標準的なパーツとして組み入れると考えられる。

また今回の打ち上げでは、Falcon 9の1段目ロケットの回収も含まれていた。このロケットは、すでに4回打ち上げられて4回とも回収されており、今回もSpaceXの洋上の回収船が無事に捕獲したので、再度利用される可能性がある。

SpaceXは今回、2つの半分に分かれているフェアリングの回収も試みる予定だ。これは、打ち上げ時にロケットの最上部に保護用のノーズコーンとして取り付けられ、Falcon 9が運ぶペイロードを保護する部材だ。SpaceXが詳細を公表したら、この記事をアップデートしたい。

米国時間6月4日は、Falcon 9ロケットの最初の飛行からちょうど10周年になる。再利用の記録達成と、今週頭の歴史的快挙である初の有人宇宙飛行ミッションがこの10年を引き立てている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXがStarlink衛星60基を追加打ち上げ、1基にb「サンバイザー」を搭載

先週末にSpaceXは、史上最も重要で記念すべき打ち上げを実施し、NASAの宇宙飛行士をISS(国際宇宙ステーション)へ運んだ。そして米国時間6月3日に予定されているFalcon 9ロケットの打ち上げは、比較すれば目立たないが、同社の未来にとってやはり重要な出来事だ。これはSpaceXのStarlink(スターリンク)の最新ミッションであり、小さな衛星を大量に打ち上げて世界中の利用者に低価格で高帯域幅のインターネットアクセスを提供しようとしている。

Starlinkミッションの打ち上げ予定時刻は米国東部夏時間の午後9時25分(日本時間6月4日午前10時25分)で、60基の通信衛星を宇宙に送り込む。同衛星ネットワークは、地球低軌道で420基をすでに運用している。最終目標は最大4万基の小型衛星を打上げ、広く利用できる接続サービスで地球を覆うことだ。ネットワークは全地球に広まる衛星間で接続を手渡しすることで頑強な接続環境を提供する。

この打ち上げは、NASAの宇宙飛行士、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏を国際宇宙ステーション(ISS)に送ったSpaceXのDemo-2(デモ2)有人ミッションの前の週に予定されていたが、スケジュール重複などを理由に有人飛行のあとに変更された。またこれは、2020年にSpaceXがStarlink衛星60基を飛ばす計画のうちで5回目の打ち上げになる。SpaceXは今年中に最大20回のStarlink打ち上げを実施することを予定しており、実現すれば、カナダと米国で今年中に新ネットワークサービスのベータテストを開始し、全世界では2021年か2022年に展開する計画だ。

打ち上げは米国フロリダ州ケープカナベラル空軍基地で行われ、過去4回のミッションをこなしたFalcon 9の第1段ロケットを使用する。SpaceXは再度のこの打ち上げロケットを誘導着陸によって回収し、さらに衛星貨物の保護に使われた筐体も、回収船の「Ms. Tree」および「Ms. Chief」を使って捕獲する予定だ。

この飛行で注目すべき大きな特徴は、Starlink衛星群が地上からの天体観測に与える影響を緩和するとSpaceXが期待する新技術をテストすることだ。科学者は、Starlinkの明るさが深宇宙の天体や現象のデータを集める高感度の光学機器を妨害すると苦情を呈してきた。それに対応すべく同社は、Starlink衛星が打ち上げ後に展開する「バイザー」システムを作り、衛星が太陽光を反射することを防ごうとしている。

SpaceXは今回打ち上げる60基のうち1つの衛星にこのバイザーシステムを搭載し、今後のStarlink衛星の標準装備とするかどうかをテストする。結果によっては、今後打ち上げられるStarlink衛星すべての恒久的設備になる可能性がある。

本日の打ち上げが延期された場合は、翌6月4日の米国東部夏時間午後9時03分(日本時間6月5日午前10時03分)が予備日となっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

B&Oの第3世代Beoplay E8フルワイヤレスイヤフォンは最高の音質と着けごこち

Bang&Olufsen(B&O)は、家庭用オーディオ機器で高い評価を得ている。同社のフルワイヤレスイヤフォン、Beoplay E8の初代のモデルは、まだ競合する製品がほとんど見当たらないようなときから、このカテゴリーのリーダー的な存在だった。最近発売した第3世代のE8は、ハードウェアも最新のものに入れ替わり、バッテリー寿命、音質、便利な機能など、多くの点で進化したものとなっている。たとえば、1回の充電で最長7時間連続使用が可能なバッテリーは、無線充電もできるようになり、最新のBluetooth仕様に準拠したことで、音質の向上だけでなく、接続距離の延長、遅延の減少なども実現している。

その結果、このB&Oの最新ワイヤレスイヤフォンは、音質を重視する人にとっては、不可欠とも言える製品となった。さらに1日中着けたままでも快適に使用でき、遮音性も高い。音質は、高音のディテールを犠牲にすることなく十分な低音を確保しており、豊かで洗練された音質パフォーマンスを達成している。

デザイン

Beoplay E8イヤホンのデザインは、実のところ初代のものからそれほど変わっていない。ただし、それはむしろ優れた点の1つと言える。というのも、初代E8のデザインは、私にとって、歴代のフルワイヤレスイヤフォンの中で、いちばんお気に入りのものだったからだ。小さくて、ツヤがあって、丸っこくて、マニュアルコントロール可能なタッチセンサーを内蔵している。

とはいえ、B&Oはデザインにもいくつか微妙な変更を施している。たとえば、初代のデザインにあった、円形の側面から突き出したコブのような突起を取り除いている。また私がテストした本体カラーがブラックのバージョンでは、以前は縁の内側にシルバーメタリックのリング状のアクセントが施されていたが、新モデルでは、そこが光沢のあるブラックの仕上げになった。全体的には、地味ながら、さらに魅力的な雰囲気になったと言える。

オリジナルも素晴らしいフィット感を実現していたが、今回私が使ってみた範囲では、物理的な形状も改善され、フィット感はさらに向上している。これまでは、完全な遮音効果を得るために、片耳、あるいは両耳のイヤフォンの位置を調整する必要があったが、この第3世代のE8では、耳に着けるだけで自然に最適な位置に固定される。長く着けていてずれてくることもない。

デザインに関して最後に言っておかなければならいのは、ケースについてだ。オリジナルのケースよりも小さくなり、ポケットにもしまいやすくなっている。それでいてワイヤレス充電機能を備えている。つまり、最近のiPhoneやAndroidのスマホなどと同じく、Qi規格の充電パッドに乗せておくだけで、ケースと、中身のイヤフォンの両方を充電できる。ケースが内蔵するバッテリーと合わせると、B&Oによれば、合計で35時間の再生が可能だという。ケースの外装は、細かな凹凸のあるペブルドレザー仕上げで、素晴らしい質感を実現している。蓋はマグネットでしっかり閉じるので、移動中に不意に開いてしまったりすることはない。イヤフォンをケースに固定するのにもマグネットを利用しているため、充電用に適切な位置にぴったりと収まる。

パフォーマンス

第3世代のBeoplay E8にとって最大の利点は、その素晴らしい音質にある。私がこれまでに使ってきたワイヤレスイヤフォンの中でも、人気の高いAirPods ProやSonyのWF-1000MX3などと並んで、あらゆる点で最高の音質だ。特にE8は、筋金入りのオーディオマニアをも満足させるような音の分離と明瞭さを備えている。そのため、どんなジャンルの音楽を聴いても、素晴らしい再生音が得られる。もちろん、高品質のロスレスフォーマットの音源の再生で、特に効果を発揮する。

遮音性の面でも、Beoplay E8は優れている。アクティブなノイキャン機能は備えないが、パッシブなノイズブロックで、周囲の雑音を効果的に遮断している。そのため、B&Oが外部の音を透過して再生する機能を用意してくれたことが、ありがたく感じられるほどだ。これは、左側のイヤフォンをタップすることで有効となる。周囲に気を配りたい場合には、非常に役に立つ。Beoplay E8には、Comply(コンプライ)製の、一種の形状記憶イヤホンチップが付属している。これを使用すると、遮音性と快適性がいずれもさらに向上する。普通、どんなイヤフォンでも、Comply製のイヤホンチップは別売りなので、これはお得感が強い。

E8は、通話用のヘッドセットとしても優れている。内蔵マイクは、周囲のノイズをほとんど拾わないクリアな音声を実現している。さらにaptXとBluetooth 5.1を採用しているため、ビデオを視聴したり、ビデオ通話用として利用する場合も、スマホ、パソコン、いずれと組み合わせるのにも適している。遅延はほとんど気にならない。

結論

Bang&Olufsenは、高級品のメーカーであり、価格もそれなりに高い。このBeoplay E8 3rd Genの350ドル(約3万7600円)という価格も例外ではない。しかし、この金額を出せば、高級感のある製品品質、優れた美意識、そしてクラスをリードする音質を、すべて手に入れることができる。フルワイヤレスのイヤフォンとして、可能な限り最高のオーディオを求めている人にとって、これは買いだ。在宅勤務用として、1日中着用するのにも素晴らしいが、優れた携帯性や周囲の音を聞く機能は、外出用としても適している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXのCrew Dragon宇宙船がISSとのドッキングに成功

米国時間5月31日にEndeavor(エンデバー)と名付けられたSpaceXのCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船はISS(国際宇宙ステーション)に計画どおり無事ドッキングした。これにより商用有人宇宙飛行が可能であることが実証され、新しい時代の幕が開いた。SpaceXにとって初の有人宇宙飛行のテストパイロットに選ばれたのはNASAのDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の二人の宇宙飛行士だ。民間企業が開発した機体で人間が宇宙に出たのはこれが史上初となる。

ドッキングは、Crew Dragon搭載のコンピュータによる自動制御で終始行われた。SpaceXのコンピュータシステムは、打ち上げ当初から地球帰還まですべてのプロセスをコントロールする。なおCrew Dragonは、ISSに新たに設置されたドッキングアダプタを利用できるよう設計されていた。旧システムはカナダ製のためにCanadarm-2と呼ばれるロボットアームをISS側で操作して宇宙船を捕獲して引き寄せる必要があったが、 新しいアダプターでは宇宙船が自動操縦でドッキングできる。

両宇宙飛行士を載せたCrew Dragonは、5月30日に米東部夏時間午後3時22分(日本時間5月31日午前4時22分)に米国フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターから打ち上げられた。当初の予定は27日だったが悪天候のために延期されていたものだ。「Demo-2」と呼ばれるミッションはNASAとSpaceXによる商用有人飛行の可能性を実証するためのCrew Dragpmの打ち上げとして2回目だったが、実際に宇宙飛行士が搭乗したのはこれが最初だった。

今回のISSとのドッキング成功で、ミッションの前半は成功したといえる。 SpaceXは有人宇宙船を予定どおり軌道に乗せ、宇宙ステーションにドッキングさせる能力があることを示すことができた。また宇宙船のマニュアル操縦のテストにも成功している。

ISSのドッキングアダプターのハッチは米東部夏時間5月31日午後0:37(日本時間6月1日午前1時22分)に開かれ、Crew Dragon側のハッチも直後の午後1:02(日本時間6月1日午前1時47分)に開かれた。ベンケンとハーリーの両飛行士はISSに移乗して米国人2人、ロシア人1人のISS側クルーの歓迎を受けた。今後数週間にわたって両飛行士は、実験・研究など通常のクルー業務に従事する。その後はCrew Dragonに戻ってISSから離脱、地球へ帰還してDemo-2ミッションを完了させることになっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

宇宙空間でのCrew Dragonの手動操縦に初成功、同じ操縦をシミュレータで誰でも試せる

NASAのDoug Hurley(ダグ・ハーリー)宇宙飛行士はSpaceXの宇宙船であるCrew Dragon(クルードラゴン)を手動操縦することに成功した。この宇宙船は5月30日にケープカナベラルから発射された後、全自動でISS(国際宇宙ステーション)に向かった。Crew DragonのミッションはISSへのドッキングから軌道離脱、地表帰還まですべてコンピュータ制御によってコントロールされる。しかし自動システムになんらかの不具合が発生したときには宇宙飛行士は機体を自ら操縦しなければならない。

今回のテストは史上初の宇宙で機体を手動操縦する試みだった。Crew Dragonが定期的に運行される有人宇宙船として認証されるうえで手動操縦機能はカギとなる重要部分だった。

Bob Behnken(ボブ・ベンケン)とハーリーの両宇宙飛行士はSpaceXの新しい宇宙服を脱いでからテストに取りかかったが、これも当初からの計画どおりの行動だった。Crew Dragonのキャビンは与圧されており、ドッキングの過程に入るまで宇宙服を着用している必要がない。キャビンには動きまわるスペースが十分にあるし、宇宙服を着けていないほうが操縦も容易だという。

マニュアル操縦ではハーリー飛行士がタッチスクリーンを通じてカプセルに LVLH(機内からの垂直水平操作)を行うことも含まれていた。この場合の高度は地表からの距離だという。つまりCrew Dragonの操縦は現在の航空機の操縦に極めて近いものとなっている。微小重量環境ではあっても地球が「下」に位置するわけだ。

ハーリー飛行士が手動操縦操作を行う間、自動システムが操作をオーバーライドすることがないようコンピュータに指令が送られた。ただしドッキングを含めミッション全体をコントロールするコンピュータシステムを無効化して実際にCrew Dragonを動かす指令は送られなかった。

ハーリー飛行士は今回のミッション中に2種類のテストを実施する。1つは「遠距離操作」でISSから十分に離れた空間での操縦だ。 もう1つはこれと反対に宇宙ステーションの近傍での「近距離操作」だ。

両宇宙飛行士と同じシステムを読者も使ってみることができる。宇宙船を持っていなくてもOKだ。ブラウザからSpaceXが作成したISSドッキン・シミュレータを開くだけでいい。やはりそう簡単な操作ではないが、予想したほどには難しくない。これはインターフェースのデザインが非常に優れているからだと思う。

【Japan編集部追記】シミュレータはほとんどのブラウザに対応している。高精細度のISSの画像の中央部にひし形のオーバーレイでドッキングステーションが示される。画面左下に進行方向、右下に姿勢のコントロールがあり、タッチないしマウスクリックで入力する。反応は小さくかなり遅れて出現する。

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(翻訳:滑川海彦Facebook

【照明編】自宅のビデオ会議環境をグレードアップする方法

良い照明なしには、良いビデオを撮ることは決してできない

自宅のビデオ環境を最大限に活用するため本シリーズ。今回の記事は、この環境における方程式の中で最も重要だがあまり理解されておらず、かつ実践されることも少ない、最重要ポイントの1つである照明(ライティング)に焦点を当てる。実際のところ、多くのトレーニングや専門知識、さらには機器さえも必要とするものではないのだが、照明こそがほとんどのビデオ会議において、動画の品質を低くしてしまう最大の原因である可能性がある。ということは、照明がきちんとできているかどうかで、セミナーやスピーチ、そしてリモートブロードキャストでの登場に際して、語っている自分が相手によく知っている人物のように見えるのか、それともあまり自信を持たせてくれそうもない人物に見えるのかの違いが生まれかねないということである。

ライティングの基本

わずかな作業で、お金もかけずにライティングを大幅に改善することができる。その秘密とは周囲に注意を払い、存在する光源に対してカメラの配置を最適化することだ。部屋の天井灯やランプだけでなく、窓などの自然光源についても考慮して欲しい。

理想的には、最も明るい光源がカメラの後ろ(可能な場合はその上方)に配置されるように、自分自身を置くべきだ。また、画像を吹き飛ばしてしまうような強烈な光源が、自分の後ろにこないようにしなければならない。もし昼間で大きな窓があるなら、壁に背を向けて窓に向かってみよう。また可動式ライトや頭上にランプがある場合は、それを自分の顔に向いたコンピューターの後方上部に移動するか、あるいは位置が固定された光源(例えば天井灯)を使って同じ効果を得るために、可能なら自分自身の位置を動かそう。

理想として最良の結果を得るためには、明るい光源はカメラの後方少し上部に配置する必要がある。

そうした光源がまぶしいと感じるかもしれないが、ウェブカメラ上では均一で鮮明な画像になるはずだ。ほとんどのウェブカメラには、照明に関係なく最良の結果を生み出そうとする自動バランス機能があるが、ソフトウェアでできることは限られている。特にMacBookに組み込まれているウェブカメラのようなローエンドのカメラを使う場合には、照明の物理的位置を最適化することで、大きな恩恵を得ることができる。

これはダメな例。背後に明るい光源があると、顔が見えにくくなり、背景が吹き飛んでしまう。

レベルアップする簡単な方法

基本以上にステップアップする最良の方法は、優れたビデオ照明の基礎のいくつかを学ぶことだ。繰り返しになるが、これも必ずしも何かの購入を必要とするわけではない。既存の持ちものを創造的に利用するといった簡単やり方もある。

カメラも後方に自分の顔に向けて一番強い光源を置くべしという、上記のアドバイスに加えて、2点もしくは3点照明の原則の採用で、さらに洗練された結果を得ることができる。これを実践するためには特別なライトは必要ない。利用できるものを使って、最適な効果を得るよるにそれらを配置すればよいだけだ。

  • 2点照明

非常に基本的ながら効果的なビデオ照明の設定の1つには、顔を写すカメラの後方あるいは並行した位置に、2つの照明を置いて顔に向けるというやり方がある。ただし最大の効果を得るには、それらを自分の顔の正面から当てるのではなく、横に置いて自分の顔に向けて角度をつけることだ。

適切な2点ビデオ照明設定のために、照明を配置するやり方の簡単な図。

これら2つのライトの一方を、もう一方よりも明るくできれば最高だ。これにより顔に当たる照明に、微妙な影と奥行きが加わり、よりすばらしくプロフェッショナルな見え方になる。前述のように、使用する光源の種類は特に問題ではないが、両方が同じ色温度になるようにすることをお勧めする(通常の家庭用電球の場合、電球色、白色または昼光色などと表現されているものだ )、また光源がそれほど強力でない場合には、光源をより近くに配置してみよう。

  • 3点照明

2点照明に似ているが、3番目の光源を自分の後方のどこかに追加したものだ。この追加の光源は、放送インタビューの照明設定で使用され、被写体にわずかなハロー効果をもたらす。これにより、自分を背景から分離することがさらに容易になり、より奥行きがあり、プロフェッショナルな見え方になる。理想的には下の図に示すように、それをカメラのフレーム外に配置し(大きくて明るい光がレンズに直接当たらないようにしたい)横にずらした位置に置く。

3点照明の設定では、背後に3つ目のライトを追加することで、被写体の分離とポップさがさらに増す。

この種の設定の柔軟性上げたい場合には、Philips Hue電球を光源に使用することで、簡単に行える。光源の色温度と明るさを一緒に、または個別に調整して、このような配置を最大限に活用することができる。最新のHueのランプは、使用しているフレームレートに応じて、ビデオに奇妙なちらつきを生じさせる可能性があるが、ビデオを30fpsで出力すれば問題に対処できるはずだ。

プロらしくやる

どんな光源を使用してもビデオびライティングを改善できるが、やはり専用のビデオライトが最良の結果を生み出す。たくさんのビデオ通話、バーチャルトークそしてストリーミングを真剣に計画している場合には、より良い結果を得るために、専用のハードウェアに投資することを検討する必要がある。

エントリーレベルであれば、Amazonで十分に機能し、優れた価値を提供する選択肢をたくさん見つけることができる。例えばNeewerから提供されているこのようなフル照明キットは、1つのパッケージで2点照明の設定に必要なすべてを提供してくれる。これらは照明が初めての場合には敷居が高いように思えるかもしれないが、設定は非常に簡単だ、実際には色温度(ケルビンで測定される)と、それがビデオキャプチャ機器の画像出力にどのように影響するかについて少し学ぶだけで十分だ。

もう少しお金を投資したい場合には、Wi-Fi接続やリモートコントロールなどの追加機能があるより良い品質のライトを入手することができる。私が見つけたホームスタジオでの使用に最適な万能ビデオ照明はElgatoのKey Lightだ。これには199.99ドル(約2万1500円)のKey Lightと、129.99ドル(約1万4000円)のKey Light Airの2種類がある。キーライトはより大きく明るい最大出力があり、テーブルやデスクに取り付けるための頑丈なクランプマウントが付属している。一方、Key Light Airはより小型で持ち運びやすいが、最大設定における光量が少なく、底が重くなっているテーブルトップスタンドが付属している。

Key Lightのどちらのバージョンも、非常に暖かい白(2900K、電球色)から明るい白(7000K、昼光色)まで調整できる光源を備えており、コンピューターまたはモバイルデバイスから、リモートコントロールのためにWi-Fi接続することができる。Elgatoのハードウェア制御用のStream Deckにも簡単に連携する。輝度は高度に調整可能で、特にマルチマウント拡張キットなどの追加のアクセサリをはじめとする数多くのマウントオプションがある。

それぞれのKey Lightに標準的な三脚マウントがたくさん用意されており、高品質で耐久性のある構造と、ネットワーク接続された制御機能を備えているため、これらの照明はどんなスペースでも簡単に使うことができる。それらが発する光の質も良く、必要な効果を生み出すために、希望に合わせれそれらを調整するのも非常に簡単であることから、照明のプロと初心者の両方に最適だ。

空間にアクセントを

被写体に対する照明に加えて、ホームスタジオ全体をより視覚的または魅力的にするために、さまざまな種類のアクセント照明を検討してもいい。繰り返すが、いくつかのオプションはあるが、もし家のインテリアにもなってくれるものを探していて、それが家をスタジオセットのようにしないほうがいいのなら、Hueのコネクテッド照明システムのよりグレードの高いものをチェックしてみて欲しい。

たとえば、Hue Playライトバー はすばしいアクセント照明だ。2個のフルカラーコネクテッドRGBライトが同梱されたツーパックを購入することができる。これらを機能させるには、Hueハブが必要だが、もしハブをまだ持っていない場合には、2個のライトとハブを同梱したスターターパックを購入することもできる。私はクッション、椅子、その他の家具の後ろに簡単に隠すことができるこれらを気に入っている。これらは、特にメインビデオ照明以外の空間照明を消してしまった場合に、光で彩られたすばらしいアップライト効果を演出してくれる。

効果を最大に引き出したいときには、これらをPhilips Hue Signeのフロアランプまたはテーブルランプと組み合わせることを検討して欲しい。Signeシリーズは底が重いベースに取り付けられた長いLEDライトで、選択した任意の色の強くアクセントのある光源を提供する。これらを他のHueライトと同期させて一貫した光景を作り上げたり、さまざまな動的効果のために色を混ぜたり最大化したりすることができる。

これはビデオにおいて被写体と背景の分離に役立ち、標準的な背景よりもはるかに洗練されているように見える。特に高品質のカメラを使用しているときに、ぼかし効果と組み合わせるとその効果は顕著だ。副次的な利点としては、ビデオを(撮影するのではなく)観ているときに、映画やビデオの再生に同期させることで、これらのライトを使って本当にクールなホームシアター効果を演出できる。

もし照明の設定には満足しているものの、他の可能性も探っているのなら、私たちのオリジナルのガイド記事オーディオの品質に目を向けたマイクの記事も読んでみて欲しい。

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(翻訳:sako)

SpaceXの試作機が地上でのエンジンテスト中に爆発

SpaceX(スペースエックス)は米国時間5月29日、Starship(スターシップ)SN4型ロケット試作機に搭載したRaptor(ラプター)エンジンのさらなる地上燃焼テストをテキサス州ボカチカで行ったが、ロケットは爆発した。これはこのタイプの試作ロケットに搭載したRaptorエンジンの4度目の燃焼試験となるが、他の燃焼試験と違い何が悪かったのか原因不明のままだ。

燃焼テストは、SpaceXがボカチカで建造している新型宇宙船Starshipの開発の一環となる。これはFalcon 9(ファルコンナイン)ロケットやFalcon Heavy(ファルコンヘビー)ロケットの後継機として使用されることになっているが、飛行テストを何度も成功させてはいるものの、まだ開発初期段階にある。

SpaceXは、Starship試作機の短距離弾道飛行のための認可を米連邦航空局(FAA)から取得したばかりだ。目標は、このSN4型試作機のエンジンの地上燃焼テストを成功させた後に短距離飛行を行うことだったが、5月29日の試験でロケットは完全に破壊されてしまったため、どう見ても予定どおりとはいかなくなった。下のNASASpaceflight.comのストリーミング動画をご覧いただきたい。

爆発が起きたのは、テキサス州現地時間の午後1時49分。エンジンが首尾良く点火してから、およそ2分後のことだ。我々は、今回の事故の原因と怪我人の有無についてSpaceXに詳細を求めている。こうした試験を行う際には、当然のことながらSpaceXは、実験区域にスタッフやその他の人間がいないことを確認するなど、十分な安全対策を講じている。

SpaceXの試作ロケットが大惨事に見舞われたのは、これが最初ではない。これまでも試験機の性能を試す圧力テストで、2度ほど痛い目に遭っている。SpaceXが開発を進める中で、何度も機体のストレステストを行っているのはそのためだ。最終的に実際の運用に使用される宇宙船は、ずば抜けて高い安全性と信頼性で期待に応えられなければならないからだ。

SpaceXはすでに、ボカチカ近くで作られているSN5も含め、新たな試作機の建造に入っている。そのため試験場がきれいに片付けば、すぐにでも最新の機体を運び込んでテストを再開できるだろう。これはSpaceXのCommercial Crew(商用乗員輸送開発)プログラムとはまったく別の事業なので、天候にもよるが5月30日か31日にに打ち上げが予定されている歴史的な初の有人飛行テストには何ら影響しない。

画像クレジット:NASASpaceflight.com

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXが宇宙船スターシップのテスト飛行許可を米航空宇宙局から取得

SpaceX(スペースエックス)は、同社の宇宙船Starship(スターシップ)のプロトタイプによる低軌道ミッションの飛行許可を連邦航空宇宙局(FAA)から取得し、米国テキサス州ボカチカの同社施設からのテスト飛行への道を前進した。SpaceXはStarshipプロトタイプを使った低軌道短時間の限定テスト飛行の準備を懸命に進めており、米国時間5月28日も現在開発中の同宇宙船4次プロトタイプの地上燃焼テストを実施した。

FAAはSpaceXに対して、同社が言うところの「再利用可能打上げ機」ミッションの実施許可を正式に与えた。これは実質的にこのStarshipプロトタイプが、同社のボカチカ打上げ施設で離着陸可能となったことを意味している。Elon Musk(イーロン・マスク)氏率いる宇宙企業はすでに同様なテストを実施しているが、これまでは「Starhopper」(スターホッパー)の早期プロトタイプを使っていた。これは計画されているStarshipの生産モデルよりも小さくシンプルだ。目的はSpaceXがStarshipの推進に用いるRaptor(ラプター)エンジンの能力を証明することにあり、エンジンの1基を使って短期飛行テストを行うだけのため使用された。

昨年の飛行テスト以来、SpaceXはStarshipのフルスケールプロトタイプを複数開発してきたが、実際に飛ばすところまでは至っていない。事実、いくつかのStarshipプロトタイプは耐圧試験に失敗している。しかし現在テスト飛行を準備しているSN4は耐圧試験だけでなく、Raptorエンジン1基による地上燃焼試験にも合格した。

現在の計画では、このプロトタイプをStarhopperの時と同様の「短期」飛行させる予定であり、最大高度は約500フィート(150m)だ。それに成功すれば、次のバージョンには複数のRaptorエンジンを搭載して高高度のテスト打上げを行う。SpaceXは、新しいバージョンのStarshipを次々と前のテストが完了するのを待たずに製作していて、全体の開発期間を短縮しようとしている。

SpaceXはある時間とも戦っている。同社はNASAが再び月へ人間を送り込むための着陸船を開発・製造するアルテミスプログラムの契約を勝ち取った3社に入っている。NASAはこの復活の旅を2024年までに実行しようとしており、契約ではそれぞれの会社がその時期までに着陸船を用意することを要求してはいないが、最終目標であることは間違いない。たとえそれが契約している3社の中で自慢する権利を得るためだけだとしても。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スマートリングが取得する生体情報で無症状コロナ感染者を早期発見、ウエストバージニア大学が開発

ウエストバージニア大学(WVU)ロックフェラー神経科学研究所(RNI)と同大医学部の研究者はOura(オーラ)の協力を得て、新型コロナウイルス(COVID-19)感染の兆候をいち早く警告するシステムを開発した。

このプラットフォームは、健康な人が新型コロナウイルスに感染した場合に、Ouraのスマートリング「Oura Ring」を装着していれば、このリングが取得する生体情報を利用して自覚症状が出る3日前からウイルス感染を警告できるという。無症状の人々がいち早く検査を受けることが可能となるだけでなく、医療関係など第一線のスタッフの感染リスクの低減に役立つことを開発チームは期待している。

Oura Ringは通常の金属製の指輪のように見えるが、本体にセンサーを内蔵しており、体温、睡眠パターン、活動量、心拍数など多数のバイオメトリクスデータをモニタする。研究者チームは、このバイオメトリクスと約600人の医療、救急関係者から得た感染者の身体、認知、行動上の変化に関する情報を組み合わせた。

ボランティアがこのスマートリングを指にはめてサンプルデータを提供。研究チームはこのデータを利用して自覚症状が現れる前に発症を予測するAIモデルを開発した。開発はまだ初期段階であり、専門家によってレビューされていないとはいえ、発症予測の精度はすでに90%以上に達しているという。

発熱、咳、呼吸困難、倦怠感などはすべて新型コロナウイルスに感染していることを示す可能性がある。もちろん新型コロナウイルス以外の原因でもありえる。しかしこうしたデータを総合した判定によって、ユーザーはもっとはっきりした自覚症状が現れる3日前に検査を受けられる可能性がある。つまり自覚症状がないままに周囲に感染を拡大する危険な期間を最大3日短縮することになる。

次の段階として、他の大学などの研究機関の協力を得て複数の州の1万人にリングを着用してもらうという。 研究資金はRNI(および同組織への寄付者)から全額提供されており、Ouraはハードウェアの提供者という資格で研究を支援している。既報のとおり、同社はカリフォルニア大学サンフランシスコ校の同種の研究にも協力している。

無症状の時点で新型コロナウイルス感染、発症のリスクを予測できるモデルを確立するために多数のプロジェクトが進行中だ。これまでの知見によれば、感染者の大部分は感染者初期にはほとんど、あるいはまったく自覚症状がない。RNIの研究は初期の段階とはいえ、そのような予測が可能であることを示すものだ。市販され誰でも利用可能なハードウェアでこれが可能になるというのは特に重要なポイントだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceX初の有人宇宙船「Crew Dragon」の内部、タッチスクリーンのコンパネやカスタム成形された座席を配備

SpaceX(スペースX)は歴史的な初の宇宙飛行士打ち上げに向けて準備を進めており、NASAの宇宙飛行士のDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏とBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏を国際宇宙ステーション(ISS)に送り、その有人宇宙飛行能力を実証するミッションを行う。この打ち上げは米国東部夏時間4時33分(太平洋夏時間1時33分)に予定されているが、同社はその間にCrew Dragonとその設計の詳細を公開した(編集部注:打ち上げは延期され、東部夏時間5月30日午後3時22分、日本時間5月31日午前4時22分に変更された)。

Crew Dragonは、SpaceXの貨物カプセルであるDragonの設計に基づいており、現在これはISSへの補給サービスを提供している。同社のデザインチームはタッチスクリーンによる制御システムからカスタム成形された座席まで、21世紀における現代的な乗り物のように感じられ、優れたユーザビリティとエクスペリエンスを保証することに重点を置き、快適に過ごせるようにDragonの改造に集中した。

記事執筆時点では宇宙飛行士とクルーが打ち上げ準備をすすめている最中で、打ち上げのライブストリームはこちらから視聴できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter