FossilのAndroid Wearファッションウォッチが心拍計などフィットネス機能を充実

バッグや腕時計など、伝統的なファッション小物のメーカーであるFossilが、スマートウォッチという形でウェアラブルの世界に入ってきたことは、スタートアップとは別の意味で興味深い。同社のそのQウォッチシリーズの新製品Fossil Q Venture HRとFossil Q Explorist HRは、Fossilの初期のシンプルなウォッチにAndroid Wearの機能をたっぷり盛り込んでいる。いわばこれらは、フィットネスのファンのための、良くできた低価格のスマートウォッチだ。〔*: HR==heart rate==心拍数〕

最初のQウォッチはアナログの文字盤と歩数計をハイブリッドした巧妙な設計だった。しかしウェアラブルをやるようになると、同社はAndroid Wear路線を選んで低電力消費のタッチスクリーンウォッチをいくつか出した。しかし今回は新しいチップセットを採用して、大量の機能をうまくまとめることに成功した。VentureとExploristにはテザリング不要のGPS, NFC, 心拍計があり、電池寿命は24時間だ。高度計やジャイロセンサー(角速度センサー)もある。

これらの新型ウォッチは255ドルで、QualcommのSnapdragon Wear 2100チップを搭載している。それは、フィットネスウォッチ向けに最適化されているチップセットだ。

形とバンドは複数種類あり、文字盤は36種ある。それらの中にはフィットネス機能だけに専門化した文字盤もある。Google Payで支払決済もできるが、Apple Payはサポートしていない。コンテンツを保存して歩行やランニング時に見たり聴いたりできる。防水だから水泳の計時もできる。VentureとExploristはそれぞれ、40ミリと45ミリだ。ストラップは交換できる。スイス製の1万ドルの名品ではないが、ルックスも機能もとてもいい。

〔関連記事: ウェアラブルオペレーティングシステムAndroid Wearが‘Wear OS by Google’に改名

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Swatchが独自のスマートウォッチOSを開発中

今のところスマートウォッチ・ビジネスに関して強気になれる材料は乏しい。 しかしSwatchは例外を作れるかもしれない。ともあれSwatchは全力を挙げている。このスイス最大の時計メーカーは単にスマートウォッチを開発しているだけではなく、独自のスマートウォッチOSも開発している。これによってAppleやSamsung(Tizenのカスタマイズ版)に対抗する考えだ。

このニュースは CEOのNick Hayekのインタビューの中で明らかにされた。Hayekは「Swatchのウェアラブルが消費者向けデバイスとなるには、小型化と〔他の企業から〕独立したOSの開発が必要になる」と述べた。このニュースはTag Heuerがスーパーハイエンドのモジュール式スマートウォッチを発表した直後に流れた。

しかしTagのスマートウォッチが(とてつもない高価格はべつとしても)、イノベーションがAndroid Wearをベースにしている。これは多数のブランド名を冠させることでビジネスとして成功を収めたアメリカのFossilの戦術に近い。これに対してSwatchはOSから独自に開発し、Tissotブランドに製品を加えるというアプローチだ。出荷は来年の末になるという。

出荷時期がだいぶ先なのでHayekが独自OSの詳細についてほとんど語らなかったのは当然だろう。しかしこのインハウスのOSの開発は、市場に出ている同種の製品が決定的に欠いているもの、つまりバッテリー駆動時間に集中しているようだ。Swatchの幹部によれば同社は「小さく考える(think[ing] small)」、つまり駆動のための消費電力の削減に取り組んでいるという。【略】

Swatchのスマートウォッチがどういう製品になろうと、前途はかなり険しいものになる可能性がある。この分野における消費者の購買意欲はAppleなど少数のトップ・メーカーを除いて、ここしばらく減退ぎみだ。ただしデバイスメーカーがOSレベルから内製を試みる傾向は、Fitbitを始めとしてひとつのトレンドとなりつつある。FitbitのCEOは開発中のスマートウォッチについて「あらゆる部分を自分たちで作る」と強調している。

スマーフォン、スマートウォッチがSwatchが得意とする低価格製品市場に食い込む動きが続いている。Swatchの今回の発表はこの流れを逆転させようという試みのようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

昨年苦しみを味わったウェアラブル市場の課題

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今は手首にはめるデバイスにとって「待ち」の時期だ。数年間ものすごい盛り上がりを見せていたウェアラブル業界だが、今年のCESではあまり目立っていなかった。2つ、3つ新しいスマートウォッチが発表され、パートナーシップやそこそこの出来のフィットネスバンドがアナウンスされたくらいで、業界全体のフォーカスとしては、Alexaを搭載した種々のデバイスやスマートホームへとシフトしたように感じた。

Andoroid Wear 2.0のリリースが遅れたことを主な理由として、メーカーがなかなか新製品をリリースできなかったという背景もある。現在のところ同OSは2月2日にリリースされる予定だが、ホリデイシーンズや1年で1番大きなテック系展示会を逃すなど、リリースのタイミングとしては最悪だ。

そしてリリース後は、ウェアラブル業界が傷のなめ合いに必死になることだろう。全体としてパッとしなかった(いくばくかストレスがたまるような)2016年の状況を考えると、CESの様子は当然だとも言える。IDCは昨年10月に、2016年Q3のウェアラブルデバイスの出荷台数が前年同期比で51.6%減少したという、悲惨なデータを発表していた。そして先日TechCrunchでも報じた通り、12月にはeMarketerが「特にスマートウォッチは消費者の心を掴むことができなかった」という言葉と共に、ウェアラブル業界の成長予測を大幅に下方修正した。

業界をリードするプレイヤーの中にも、昨年は苦汁をなめた企業がいくつかあった。Fitbitの株価は急落し、Intelもウェアラブル業界では以前より力を緩めたように見えた。年末にさしかかると、MicrosoftがBand 2の販売を終了し3をつくる予定もないということがわかり、Bandはほぼ亡きものとなった。Jawboneはどうしてるのかと疑問に思う人もいるだろうが、彼らのビジネスもうまくいっていない。

Jawboneに対する特許訴訟を取り下げる際に、Fitbitは同社が実質倒産状態にあるという発言を残し、Jawboneはこれを強く非難していた。しかしFitbitの発言が誇張されたものであったとしても、Jawboneが苦しんでいるのは間違いない。JawboneのCFOは、同社が資金調達を狙いながらコンシューマー向けデバイスから方向転換しようとしているという報道がなされる中、会社を去った

ほかにもクラウドファンディングから誕生し、スマートウォッチブームの最前線にいたPebbleは、2016年を生き抜くことさえできなかった。同社は最後の作戦として、新しく2つのスマートウォッチとランニング用のモバイルデバイスをリリースする予定だったが、結局実際にはそのうちひとつしか販売されず、その直後にFitbitへの吸収、そしてPebbleブランドの終焉が発表された。

一方でウェアラブル業界が完全に闇に包まれているわけではない。Canalysは昨年末にかけてスマートウォッチの販売数が伸びたと発表している。「逆を示すレポートも発表されていますが、Canalysの調査によれば2015年4月にApple Watchがローンチされて以降初のフルクォーターとなった2015年Q3と比べ、出荷台数は伸びています」と同社は話す。もちろん彼らのデータはApple Watchのおかげによるものが大きく、CanalysもAppleの功績を讃えている。

一方でCanalysを含む数社が、昨年のウェアラブル業界の不調は、AppleやSamsungの製品、そしてAndroid Wear 2.0のリリースが予想より遅れたことが主な原因だと主張する。結局のところ、大手数社がウェアラブル市場の大部分を握っているのだ。

といはいっても、ウェアラブル市場が現在岐路に立っているということは否定できない。昨年の苦境は成長痛のようなものだったかもしれないし、ウェアラブルの進化に向けた次のステップの序章だったのかもしれない。逆に今後もっとひどいことが起きる可能性もある。いずれにせよウェアラブル市場は、初期の成長が早すぎたために今苦しみを味わっているのだろう。同市場の成長速度は比較するものがないほどで、「目新しいもの」から一気に「皆が持っているもの」へと進化していった。

市場が飽和点に達したというのも十分ありえる。購入したウェアラブルデバイスを、既に押入れの隅にしまってしまった人もいるだろう。結局のところウェアラブルデバイスは、ガジェットとフィットネス製品の間という微妙な立ち位置にあり、新年の抱負のように消えてなくなりやすいフィットネスへの決意のあらわれでしかないのだ。またウェアラブルデバイスの多くは大げさな万歩計のようなもので、それなりのスマートフォンであれば全ての機能をカバーできるということは言うまでもない。

ハッキリとしていることは、何かが変わらなければならないということだ。Android Wear 2.0には現状を一手に好転させるほどの力があるようには思えないが、少なくともそのリリースをうけて新しいハードウェアが誕生するだろう。そしてメーカー側は市場のこれまでの動きからヒントを得なければならない。ユーザーが健康に関するデータに興味を持っているのは間違いなく、大手メーカーのインフラも既に整っている。

次世代のウェアラブルデバイスは、ユーザーに多くを約束せず、彼らの期待以上の結果を残さなければならない。消費者はどんな製品を買っても一晩で習慣は変えられないということに気づいているため、もしかしたら次のウェアラブルデバイスは、服に埋め込まれたものやハイブリッドスマートウォッチのように、ユーザーが必要なときにだけ使えて、それ以外のときは存在を感じさせないようなものがいいのかもしれない。

互いに似通ったスマートウォッチやスマートバンドの勢いが弱まりはじめたところで、2016年の苦境をバネに本当のイノベーションが生まれることを願っている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

FitbitがPebbleに続き、高級スマートウォッチのVectorを買収

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なんとも早いエグジットだった。この新しいスマートウォッチブランドは他とは違う製品を提供するため、昨年3月に登場したばかりだ。中央ヨーロッパ、ルーマニアの優秀なエンジニア、ロンドンのビジネスに優れた人材、そしてCitizenの元役員が立ち上げたのがVectorだ。Vectorは「お手ごろなラグジュアリー」という新たなスマートウォッチの分野を切り開いた。

そのたった1年後、Vectorはウェアラブルのグローバル企業Fitbitに買収された。買収額は非公開だ。VectorのファウンダーでCTOのAndrei PitisはTechCrunchに対し、この買収は同社のソフトウェアプラットフォームとデザインチームの獲得が目的だったと話す。だがこの買収により、Fitbitがラグジュアリースマートウォッチの分野に進出することはないようだ。

この買収が示唆するのは、Fitibitはウォッチ、ウエアラブル、フィットネスデバイスにおける優秀な人材を獲得する施策を続けているということだ。昨年11月、FitbitはスマートウォッチのパイオニアPebbleを買収し、エンジニア人材をFitbitに吸収した。VectorにもPebbleと同じ運命が待ち受けている。Vectorは少額しか調達していないが、ハードウェアとソフトウェアの優れたインテグレーションと魅力的なデザインで注目を集めた。

オンラインの声明でVectorは「私たちの独自の技術とFitbitの体験やグローバルコミュニティーから得られるノウハウで、新たに素晴らしいプロダクト、機能、体験を制作していきます」と伝える。

Vectorのスマートウォッチは、e-InkのLCD画面を搭載し、30日のバッテリー寿命とiOS、Android、Windows Phoneでコントールできるスマホアプリの開発で、この業界に新風を吹き込んだ。また、Vectorは独自のスマートウォッチのOSを開発し、開発者にAPIを開放した。開発者はそれを使って、独自のアプリやウォッチフェイスを作ることができる。ウォッチ自体の見た目もいい。LCD画面は近くで見ても本物のウォッチみたいに見える。ステンレスのケースに強化ミネラルガラスを搭載し、50m防水であることを考えると良い品物だ。色はローズゴールド、シャンパンゴールド、ステンレススチール、ブラックプレイテッド(黒メッキ)があり、ベルトは革、ステンレス、スポーツ用のストラップもあった。

Pitisがルーマニアで創業したVectorは、昨年ローンチするまでの2年間、ステルスで開発を行っていた。資金はGecad fundからシードラウンドで調達した200万ドルだけだ。Pitisは ClevertaxiとI-Rewindのエンジェル投資家であり、ブカレストのTech AngelsとInnovation LabsをBogdan Iordacheとともに創業した経歴を持つ。

Pitisはウォッチ業界の精鋭チームを集めていた。Joe Santana(有名ウォッチブランドTimexの前CEO)、デザイナーディレクターにSteve Jarvis(TimexやNikeのFuelBrandのプロジェクトでクリエイティブリーダーを務めた)。COOのRon Spencerは、FossilとBulovaでもCOOも務めた。

Vectorは、以後Vectorの名前を冠した新製品が登場することはないとしたが、既存のプロダクトと関連するソフトウェアは引き続き利用できるという。だが、その開発も停止する。Vectorは、カスタマーへの今後の対応を記した包括的なFAQをリリースしている。

カスタマーサポートチームはヘルプページやメール(support@vectorwatch.com)で対応し、保証は維持するという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

スマートウォッチの時代は終わったのか?

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迫りゆくPebbleの滅亡と、「今のところ、新しいスマートウォッチを市場に送り出すに見合うだけの需要があるとは思わない」というMotorolaによる発表を理由にして、スマートウォッチ市場が収縮しているという意見を正当化することもできるだろう。この意見は正しい。だが、これはウェアラブル端末の終焉ではない。

Appleは今年、110万台のApple Watchを販売した。昨年に比べて73%少ない販売台数だ。2017年の販売台数はまだ確定していないものの、今年と同じくらいの数字となるだろう ― ホリデーシーズンの恩恵を受けて年始の販売台数が増加し、次のモデルのリリースまで徐々に減少していくというパターンだ。これはAndroid Wearデバイスでも同じことだ ― 人々は早い段階で興奮しはじめ、年末にかけてその興奮が収まってくる。

この状況を引き起こしているファクターはいくつかあるが、年間で何百万台ものスマートウォッチを販売しようとしている企業にとっては良いニュースとは言えないものばかりだ。まず第一に、スマートウォッチは内部に矛盾を含んでいる。携帯電話とは違い、時計は電子デバイスというよりはファッション・アクセサリーという要素が強い。人々からの目に付きやすく、通常は店頭できれいに飾られている。「スマート」という要素が染みこんではいるものの、端的に言えば、スマートウォッチは宝飾品の一部なのだ。そのため、スマートウォッチや他のウェアラブル端末を購入する際の理由付けと、スマートフォンやノートパソコンを購入する際の理由付けはまったく異なる。消費者がApple WatchやSamsung Gearの購入を検討するとき、彼らはそのデバイスが他のデバイスよりも優れているかということではなく、そのデバイスが自分の服装とマッチするかどうか考えるのだ。

2つ目の問題はより厄介な問題だ。携帯電話の場合とは違い、消費者は時計を頻繁に買い換えることはない。時計はあたかも家宝であるかのように扱われる。すでに時計を所持する人にスマートウォッチを購入してもらうには、従来の時計製品よりも格段に安い価格(不可能と思われるような値段)で販売するか、寿命が格段に長いプロダクトを開発するしかない。消費者の年代によって状況が異なるのはもちろんだが、これが今後数年間に渡ってスマートウォッチの販売台数を抑える要因であることは確かだ。

それゆえに、消費者はスマートウォッチを必要とせず、それを欲しいとも思っていないことが多い。そして、すでにスマートウォッチを持っていれば、それを新しいものに買い換える理由はどこにもない。Pebbleは特定のマーケットへの集中戦略で他のスマートウォッチとの差別化を図り、非常に少ない数のモデルしか製造しなかった。しかし結局、彼らはそのマーケットが小さすぎたことに気がついた。Appleはスマートウォッチを贅沢品にしようと試みて、周りから大いにばかにされた。Androidは彼らの技術を様々な企業に提供したが、その結果、それぞれが似通ったクローンのようなデバイスが大量に生まれることになる。明らかに勝利者と呼べるような企業はまだ現れていないし、そのような企業が今後10年間で誕生するとは思いがたい。

では、今後のスマートウォッチはどうなるか?

多くの人に支持されているのは、長らくファッション・ウォッチを製造してきたSwatch、Burberry、Casio、Seikoなどの企業が、彼らの豊富な経験を駆使し、消費者が本当に買いたいと思うようなスマートウォッチをつくり始めるというシナリオだ。だが、それなのに彼らがまだスマートウォッチの製造を始めていないのは、彼らの能力が絶対的に不足しているということを証明している。低価格帯の時計を製造して大きなマージンを得ることに長らくフォーカスしてきた彼らは、高価格帯の時計を薄いマージンで販売することはできないのだ。Skagenのような企業は正しい戦略を採用しているように思う。彼らは、機能は最小限ではあるがモバイルと接続可能なスマートウォッチを開発している。Fitbitなどの健康分野に特化したウェアラブル端末への対抗策だ。しかし、これも長くは続かない。今後、GoogleやAppleなどの企業がユーザーがウェアラブル端末を欲しがる本当の理由を理解し、ウェアラブルの新しい用途が生まれれば、時計メーカーは彼らの後を追うことはできるかもしれないが、それもどうかは分からない。

私は個人的に、ウェアラブル端末は消えてなくなると考えている。ユーザーとデバイスの交流の仕方が音声認識やモーション・コントロールへと移り変わるにつれて、現実世界で私たちに常に耳をかたむけ、私たちに常に付き添うようなデバイスが誕生するだろう。私たちの健康状態を把握し、重要な情報を欠かさず教えてくれるようなデバイスだ。耳の中に入れてつかうAlexaのようなデバイスがあり、そのデバイスが1日を通してアドバイスしてくれるような世界を私は想像している ― 「その先の道を左に曲がってください」、「注文したコーヒーが出来上がりました」、「あなたが今話している相手は”Joe”という名前の人物で、彼とは先週会っています」 ― 常にそばに付き添う会話型のアシスタントのようなものだ。なぜ時計ではダメなのか?時計をつける手首は私たちの感覚器官から遠い場所にあるため、この利用用途には適さないのだ。

だからといって、私は自分が持っているSeikoやOmegaやRolexを手放しはしないし、あなたにもそれを勧めてはいない。私が言いたいのは、私たちはスマートウォッチを買わなくなるということだ。

スマートウォッチは時代と時代の中間に生まれたものだ。その一方で、伝統的な時計製品はツールとして、そしてちょっとした自己顕示の道具として、これからも私たちの生活に生き続ける。Apple Watchを含むスマートウォッチが10年後に生き残っているとは思えない。小さいデバイスがより小さく、よりスマートになる今の時代では、それは特に難しいだろう。

伝統的な時計製品の世が長らく続きますように。スマートウォッチよ、さようなら。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

スマートウォッチの出荷台数が急落

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スマートウォッチが自分にとって必要だと感じている人は少ないのだろうか?今朝(米国時間24日の朝)発表されたばかりのスマートウォッチ業界に関するIDC社のレポートによれば、2016年第3四半期のスマートウォッチの出荷台数が「急激に」減少したようだ。昨年の第3四半期に比べ、業界全体の出荷台数は51.6%減少している。昨年の3Qにおける出荷台数が560万台だった一方で、今年の3Qはたったの270万台だ。IDCはこの出荷台数の激減の理由として、製品発売のタイミングが悪かったこと、Android Wearのリリースが延期されたことなどを挙げている。だがその一方で、この数字は大半の消費者がスマートウォッチに魅力を感じていない証拠であるとも言えるだろう。

もちろん、Apple Watchがスマートウォッチ業界のマーケットリーダーだということは留意しておく必要がある。今年の3Qにおける業界全体の出荷台数の大半を占めるのがApple Watch Series1の出荷台数だ(出荷台数1100万台、昨年比72%ダウン)。つまり、業界全体の出荷台数の増減はApple Watchの出荷台数の増減に大きく左右されるということだ。

まず第一に、それまでオンライン販売のみだったApple Watchが昨年初めて店頭でも販売されるようになったことをIDCは指摘している。これが昨年に販売台数が急増した要因となったのかもしれない。

また、情報のリークやレポートのおかげで消費者は今年の9月にApple Watchの第2世代が発売されることをそれ以前から知っていた。そのため、Appleのウェアラブル端末を待ち望む人々はその第2世代が発売されるまで購入を控えていた可能性がある。しかも第2世代のApple Watchの購入が可能になったのは9月後半に入ってからのことだとIDCは説明している。

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言い換えれば、新型のApple Watchがスマートフォン市場全体に与えているインパクトを私たちはまだ知らない。このApple Watchには防水加工が施されており、それによって同製品が幅広い消費者層から受け入れるようになった可能性もある。また、新型Apple Watchでは第1世代の数々の問題点が改善されている。アプリの起動速度の改善や新しいインターフェイスのデザイン、GPSの追加などがその例だ。

それに、年末商戦がすぐそこに迫っていることを踏まえれば、Apple Watchがギフトして選ばれることで第4四半期の販売台数が回復する可能性も考えられる。

しかし、GoogleがAndroid Wear 2.0のリリース時期を遅らせたことが業界全体の出荷台数に悪影響を与えていることは確かだ。メーカーは年末に合わせて新しいデバイスを発売するか、または古いOSを搭載した既存の端末で消費者を満足させるべきかどうかまだ決めかねている。今年9月に発表されたSamsungのGear S3もいまだ発売されていないことをIDCは指摘している。

Apple Watch Series 2によってApple製スマートウォッチの販売台数が回復する可能性は残されているものの、IDCがたどり着いた結論は、スマートウォッチは大多数の消費者から受け入れられていないというものだった。

IDC Mobile Device Trackersのシニア・アナリストであるJitesh Ubraniは、「この結果は、スマートウォッチが現時点ではすべてのユーザーに受け入れられていないという証拠でもあります」と話す。「デバイスの目的や用途を明確にすることは最も重要であり、それが多くのメーカーがウェアラブル端末のシンプルさを利用してフィットネス用途に特化してきた理由でもあります。しかし、そこから一歩踏み込んでスマートフォンとスマートウォッチの違いを明確にすることが鍵となります。その初期兆候として電話機能が統合されたウェアラブル端末が生まれつつあり、企業はその種のデバイスの試作を始めています」。

その他の重要なスマートウォッチ業界の動向として、ConnectIQを搭載したスマートウォッチとfenix Chronosの好調な売れ行きから、Garminの販売台数が昨年比で最大の増加率を記録したことが挙げられる。一方で、新型がいっこうに発売されないままのLenovoの販売台数は昨年比で最大の下落率を記録している。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

スマートウォッチのiBeatが150万ドルを調達、「身につけたくなる」心拍計の提供を目指す

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サンフランシスコのスタートアップiBeatがスマートウォッチの製造に向けて150万ドルのシード資金を調達した。このスマートウォッチは着用者の心拍数を常時モニタするもので、心拍が検出されなくなると着用者の無事を確認し、必要に応じて近親者と緊急通報用番号に通知してくれる。

ファウンダー兼CEOのRyan Howardは、電子カルテ関連ベンチャーPractice Fusionのファウンダーで前CEOでもある。彼は、まだ40歳ほどだった友人を心停止で亡くしたことがiBeatを設立する動機になったと語る。

Howardによれば、iBeatは典型的なスマートウォッチや心拍・脈拍計アプリを超えた測定能力を備え、フィットネス用リストバンドとは異なり、昼夜問わず一日中快適に身につけられるように開発したという。

iBeatは1秒間に2回、パルスオキシメトリ(血中酸素濃度)のほか、心拍間隔やその他の変動などの「心臓の働き」を測定する。しかもこのウォッチはスマートフォンから独立して動作するようになっている。

また、iBeatでは着用者に関する医療データの一覧を表示し、そのデータを緊急通報の担当者や救急医療士を含め、処置に関わる医療担当者に役立ててもらうことも可能だ。

iBeatウォッチを通じて表示・送信されるデータは、アレルギーや処方薬、深刻な既往症などの医療情報を金属製のブレスレットに刻印して身につけておくものと感覚が近いかもしれない。

着用者がケガや命に関わるような状況にさらされた際には、iBeatの画面をスワイプするだけで近親者と医者に知らせることもできる。

iBeatは、Life AlertやPhilips社のLifelineComfort Keepers社のSafetyChoiceなどの個人用緊急応答システム(PERS)に挑み、あるいはそれらに取って代わるだろうとHowardは語る。

PERS機器の多くは、しゃれたウェアラブルではなく、見かけも着け心地も医療機器めいている。Howardは「身につけていても人間としての尊厳が失われないような製品を市場に提供したいと願っていました」という。

iBeatのユーザーエクスペリエンス研究者は、本来PERS機器を身につけるべき人々が、まるで病人になった気がする、病人のように見えるという理由で機器を着用したがらないことを発見した。

そこで同社はサンフランシスコのデザイン事務所Ammunition Groupと工業デザイン面で協働することになった。同事務所はビーツ ヘッドホンの立役者で、iBeatに出資もしている。

iBeatのシードラウンドを率いたのはMaveronSubtraction Capital、および Correlation Venturesだ。その他投資家にはAli & Hadi Partovi、Russell Okung(現役NFL選手)、Henry Kravis(KKR共同設立者)、Band of Angelsなどが名前を連ねる。

CEOであるHowardは、今回の資金は研究開発のほか、iBeatスマートウォッチの初回製造およびマーケティングに使う予定だと述べた。現在従業員12人を抱える同社では、クラウドファンディングのキャンペーンを実施してiBeatを広めると同時に、運用資金の追加調達を行う意向だ。

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(翻訳:Ayako Teranishi)

Apple WatchがSOSボタンに進化する

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今回のWWDCで、Apple WatchがSOSボタンに進化した。watchOS 3では、Apple Watchの側面にあるボタンを長押しすることにより、救急サービスを呼ぶことができる。

そのボタンを長押しすると、カウントダウンが始まる。そのまま押し続けることによって、救急サービスを呼び出し、オペレーターと会話することが可能だ。Apple Watchはユーザーが居住する国を把握していて、正しい番号に電話をかけることができる。

その電話が済んだあと、Apple Watchは救急サービスに宛ててユーザーの位置情報を自動的に送信する。

Apple Watchは健康状態を表示するブレスレットにも進化した。SOSコールのあと、Watchは自動的にユーザーの健康状態を表示する。この時に表示されるのは、ユーザーが事前にスマートフォンの健康アプリに入力した情報だ。HealthKitが有効化されているアプリも、健康状態のデータを提供することができる。この機能は、ユーザーが意識を失ったときや、なんらかの理由で到着した救急救命士に健康状態を伝えられない時などにとても役に立つ。

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これは、新たにwatchOS 3に追加された機能の一つにすぎない。今回発表されたApple Watchのアップデートは包括的なものとなり、あなたのWatchをより便利に、そしてより快適にするものだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook