RedditのCEO、トランプ支持派のコメントを密かに書き直していたと認める

Reddit mascots are displayed at the company's headquarters in San Francisco, California April 15, 2014. Reddit, a website with a retro-'90s look and space-alien mascot that tracks everything from online news to celebrity Q&As, is going after more eyeballs, and advertising, by allowing members of its passionate community to post their own news more quickly and easily. REUTERS/Robert Galbraith  (UNITED STATES - Tags: BUSINESS SCIENCE TECHNOLOGY)

RedditのCEO、スティーブ・ハフマンはドナルド・トランプ支持派がサイト上でハフマンについて書いたコメントを密かに書き直していたことを認めた。

ハフマンはredditでも最大級のフォーラム、「次期大統領(President-elect)」のスレッド上に残されたハフマンに関するコメントを書き直していた。ただしメッセージそのものを削除したわけではなかった。しかしこのことでRedditはユーザー・コミュニティーと協調していないという懸念を復活させることになった。

2005年にアレクシス・オハニアンと共同でredditを始めたハフマンは、「イェス、“fuck u/spez”を書き直した。コメントの“spez”を“r/the_donald mods”と直し〔てドナルド・トランプ支持派のスレッドのモデレーターにリダイレクト〕した」と書いている。

この問題は#pizzagate事件に関連している。 これはワシントンを本拠とするピザ・チェーンが児童売買のネットワークの中心で、ヒラリー・クリントンと選対委員長のジョン・ポデスタが運営者だったというフェイク・ニュースだ。もちろんこのストーリーは捏造だがソーシャルメディアでは注目を集め、New York Timesが記事を書くほどだった。

それほど話題になれば当然だが、この噂はRedditにも投稿された。しかしredditではPizzagate関連のスレッドを特定の個人に関する情報であり利用約款違反だとして次々に閉鎖した。

ハフマンはredditの共同創業者だが、2010年に旅行サイトのHipmunkを立ち上げるためにredditを去った。しかし昨年 エレン・パオの失脚でCEOに復帰していた。ハフマンの主張によれば、コメントを書き換えたのはスレッドの閉鎖に伴ってハフマンに対する暴言が書き込まれたことに対処したのだという。

コメントを編集したことを公けに認めた文章でハフマンは謝罪はしていないが、印象はそれに近い。

「ユーザーとは良好な関係を保っていきたいが、ペドファイルと罵られ続ければ頭に来る。CEOとしてこういうことはすべきでなかったかもしれない。ともかく全部修復した。コミュニティー・チームにはひどく怒られてしまった。もうこういうことはしないと約束する」とハフマンは書いている。

ハフマンは別のユーザーのコメントへの返事に「トロルに少しばかりトロルし返してやったのだが」 と 書いている

昨年エレン・パオがredditを去った事情も不透明だった。 これにはスレッドの閉鎖やユーザーに人気があったコミュニティー・マネージャー、ビクトリア・テイラーの解雇という問題も関連していた。エレン・パオに反対するユーザーの一部は人種差別的、性差別的投稿をするまでになっていた。

パオ事件は過去のものかもしれないが、ハフマンの率直なメッセージ書き直しの自認は再び多くのユーザーの注目を集めている。現経営陣に不満なユーザーははどんな理由であれ密かに投稿を書き直すのはサイトの信頼性を破壊するものだと感じるかもしれない。

画像: Robert Galbraith/REUTERS

〔日本版〕エレン・パオは有力ベンチャーキャピタル、KPCBの元パートナーだったがredditのCEOに就任後、KPCBをセクハラと性差別的昇進の妨害などで訴え、敗訴している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、フェイク記事追放には人力よりも機械学習アルゴリズムを重視する方針

2016-11-15-facebook-human-algorithm-news-scan

Facebookにはフェイク・ニュースを拡散してドナルド・トランプの大統領当選を助けたという非難が殺到している。Gizmodoの記事によるとFacebookは右派メディア多数に対する影響が大きすぎるという理由でフェイク・ニュースを探知するアップデートを延期したという。

Facebookはこの報道を直接に否定し、TechCrunchに対して「記事の主張は真実ではない。われわれは特定の政治的立場への影響を考慮してニュースフィードへの変更を行ったり、延期したりしたことはない」と語った。

TechCrunchはコンテンツの中立性に関してFacebookから直接詳しいアップデートを得る機会があった。

news-feed-machine-screengrab

2015年の1月にFacebookは捏造ニュース記事を追放するためのアップデートを発表した。これはユーザーによって多数の「報告」フラグが付けられた記事の表示ランクを下げるものだった。こうして降格された記事の多くは後で投稿者自身が削除している。このシステムは現在も作動中だ。

その後2016年8月にFacebookはさらにニュースフィードのアップデートを行った。 これは クリックベイトと呼ばれる記事を抑止することを目的としたもので、 Facebookは人間が選んだ典型的なクリックベイト的記事タイトルを資料として機械学習システムに学習させた。機械学習はクリックベイト的タイトルを認識し、そのような記事の表示ランクを自動的に下げることが期待された。

Facebookによると、 今年のクリックベイト対策アップデートで、開発チームは2種類のオプションを用意した。一つは2015年のユーザー報告にもとづくフェイク検出システムで、他方はもっぱら機械学習のアルゴリズムに頼るコンピューター・システムだった。

Facebookによれば、機械学習を利用したクリックベイト探知システムは間違った陽性反応(クリックベイトでないものをクリックベイトと判定すること)もその逆のエラーも人間の場合より少なく良好な実績だったという。そこでFacebookはこのシステムをリリースした。もちろん開発過程でリリースされなかったバージョンをGizmodoが取り上げている可能性はある。Facebookの担当者に対するインタビューでは、「右派の言論の降格が適切であるかどうかはクリックベイト抑止策を実際に選択するにあたって全く考慮されなかった」ということだ。しか政治的バイアスの有無はやはり懸念事項だろう。

Facebookの決断は ユーザーの「報告」に基づく人間のキュレーションより機械学習アルゴリズムに重きを置くというものだった。これは「人間の介入によるバイアスの可能性を減らす」というFacebookの最近の方針にも一致する。ただしこの立場自体がさまざまな問題を含んでいる。

fb-clickbait1

今年に入ってGizmodoに掲載された記事には「Facebookのトレンドをチェックする人間のキュレーターは編集権の一環として主観によって保守派の傾向の記事を排除している」という主張が紹介されていた。Facebookはこの主張を否定したが、同時にキュレーション・チームを解雇し、人力に頼らずアルゴリズムによってトレンドを設定する方向に舵を切った。すると今度はFacebookはフェイク記事をトレンドとして表示したとして非難された。New York Timesの記事は「トレンドの記事選定方法はFacebookの客観性を麻痺させるもの」と激しく攻撃した。

仮に Facebookが保留されているクリックベイト対策版をリリースしていたとするなら、フェイク記事の選択はユーザーからの報告を検討する担当スタッフの主観に依存することになっていただろう。しかしクリックベイトを選び出すにあたって、あからさまなデタラメと巧妙なトリックとの間の線引は非常に難しい。一方、政治活動家やトロルはFacebookの記事報告機能を乱用して、自分たちに不利であれば正確な記事に対しても組織的に報告フラグを立てるという攻撃をしかけるだろう。

この難しい状況はソーシャル・フィードの掲載ランク付けにあたってユーザー・エンゲージメントをベースとしていること必然的な結果だ。国民を2分するような政治的状況における選挙活動やどんな記事であろうと閲覧されれば広告収入が得られるということがフェイク記事の氾濫の大きな動機となっている。

facebook-news-feed-algorithm

誰が真実の審判者となるのか?

Facebookとともに大きなニュースのチャンネルであるTwitter、Googleも前途に難関が予想される。事実によって簡単にそれと見分けられるフェイクは問題の一部に過ぎず、対処も比較的簡単だろう。誇張が極端な記事、あからさまなテクニックを用いた釣り(クリックベイト)記事への対応はもっと難しい。

というのも、Facebookなどのプラットフォームはユーザー・エンゲージメントに比例する報酬システムを用いているため、ニュース媒体にはセンセーショナリズムによってページビューを稼ごうとする動機が存在するかだらだ。政治的立場が明らかな伝統あるニュース媒体の場合、不当な誇張がないよう責任を持つことが求められる。しかしFacebookのようなネットワーク上である目的のために特別に設定され、口コミのパワーだけ頼ろうとするニュースサイトの責任を問うのは難しい。こうした媒体はその場限りのトラフィックと収入を目的としているので、読者が誇張やフェイクにうんざりしても、単にそのサイトを閉鎖して新しい名前で別のサイトを立ち上げればすむ。

誇張ないしフェイク記事を報告する手順をシンプルにする、実否が疑わしい記事にはファクトチェック・サイトへのリンクを追加する、正確性が立証されていないサイトの記事の拡散を保留する、などはそれぞれ有効だろう。しかしフェイク記事がマネタイズに有効だという構造そのものを再検討するのがフェイクの追放にあたって最優先されるべき事項だ。

facebook-news-feed-equation

しかしFacebookのようなネットワークに真実の警察となるよう求めるのは危険過ぎる。どのニュースを削除しろという圧力は現在よりはるかに増え、それに伴って非難のボルテージが上がるのは必然的だ。少なくともテクノロジー・プラットホームがユーザー・エンゲージメントによって記事のランキングを行うならば、仮にフェイク・ニュースの検出で誤りがあったとしても、それは個々のユーザーが誇張やフェイクであるかどうかを判断すればよいことだ。FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグはこの立場を強調し、「われわれ自身が真理の審判者であるかのような立場に立つことにはこの上なく慎重でなければならない」と書いている。

現在 Facebookは難しい立場に置かれている。ユーザーの判断を信頼するとしてフェイク・ニュースが拡散するに任されば非難されるだろう。しかしフェイク・ニュースを発見して削除する立場を取れば、それは検閲と同じでありユーザーから選択の自由を奪うことなるとして非難されるはずだ。世界最大のソーシャル・ネットワークは次の行動を慎重に選ばねばならないだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

VCのCRVがTrump反対キャンペーンを開始、移民の国で移民を締め出す矛盾を突く

screen-shot-2016-08-24-at-10-06-10-am

アメリカの大統領選挙が急速に近づきつつある。そして今回は、誰を支援するかを明言しないことが常であったVC業界においても、ツイート記者たちへの談話ブログなどで、支持する候補とその理由を公表する者が、ますます多くなっている。初期段階のスタートアップを対象とするベンチャー企業CRV(元Charles River Ventures)は、それをさらに一歩進めて、共和党候補Donald Trumpの“反移民声明”に対する同社の拒絶の姿勢を明らかにするための、穏やかで短いブログ記事“F*ck Trump”をポストした。

なぜそこまでするのか、CRVのゼネラルパートナーGeorge Zacharyに今朝(米国時間8/24)インタビューしてみた。

TC: 世論調査では民主党候補のHillary ClintonがTrumpを大きくリードしている。なぜ今さら、こんな声明を発表するのか?

GZ: 世論調査の結果は彼を変えない。この問題(移民問題)はとても重要だ、とわれわれは感じている。数週間前のオフサイトで、Trump対策を話し合い、選挙について議論した。集まった者の誰もが、Trumpに立腹しており、とくに彼が移民について言っていることに怒っていた。あなた(Connie Loizos)の祖父母はギリシア人だし、私の父もギリシア出身だ。この国を創ったのは移民たちだ。今、そのことを声を大にして言うべきだ。

TC: 彼の言うことはころころ変わりますね。

GZ: これからも変わるだろう。しかしわれわれは一貫した姿勢を持つべきであり、この国に来てこの国を創った人たちのために言葉を発するべきだ。うちが投資したスタートアップの半分はファウンダーが移民だ。うちは今パートナーが9人いるが、彼らは7つの国からの移民たちだ。

TC: この前、クリーヴランドへ行ったんですけど、あそこはベイエリアと違ってTrumpの支持者が多いですね。企業の経営者として、敵を作るのは損ではありませんか?

GZ: 今の主な問題は、それではないし、気にもならない。元々難民の国であるこの国にやってくる移民を脅すことは、たいへんおそろしいことだ。それは結果的に、新しい経済や産業を作り出す能力を遮断することにつながる。Trumpが何を言おうと彼の自由だが、いやしくも大統領候補が彼のようなことを言うのは、前代未聞だ。

TC: あなたが今回記事をポストしたMediumは、エリートのためのメディアだと思われていますが、移民のファウンダーたちをもっと積極的にヘルプするために、ほかに何かしていますか?

GZ: ビザの費用など、移民たちの渡航費用を出してあげる事業がある。始まったばかりだから、まだ対象者は一人だが、ここからもっと、手を広げていきたい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

大統領候補に指名されたヒラリー・クリントンの「消えたメール」を見つけ出すようトランプがロシアに要請

Republican presidential nominee Donald Trump speaks at a campaign event at Trump Doral golf course in Miami, Florida, U.S., July 27, 2016.  REUTERS/Carlo Allegri

民主党大会でヒラリー・クリントンが正式に大統領候補に指名されたことがトップ・ニュースとなっているが、そのスポットライトのいくぶんかを奪おうとしたのか、共和党の大統領候補、ドナルド・トランプが奇妙な発言をしている。

今日(米国時間7/27)、フロリダで開かれたプレス・カンファレンスでトランプ候補はロシア(そうロシアだ)がクリントン候補の私用サーバーから消えたとされる「3万通のメールを回復するよう」求めた。

これはなんとしても無責任な発言だと思う。

クリントン候補の自宅サーバーから消えたとされるメールに国家機密が含まれているなら、それを外国勢力に解読させようとするのはアメリカの利益とならない。しかしトランプ候補には選挙に勝つという目的以外は眼中にないようだ。

トランプ候補は「ロシアの皆さん、これを聞いているのであれば消えた3万通のメールを発見する力があることを期待します。成功すればわが国のメディアに大々的に取り上げられるでしょう。そうなることを期待しています」と述べた。

トランプ候補は同趣旨の発言をツイッターに投稿している。クリントン候補は国務長官時代に私用のメールサーバーを利用しており、このサーバーに保管されていた3万通の公用メールを安全保障上の調査に協力するため国務省に引き渡した。サーバーには別に3万通の私用メールが保存されていたが、調査では安全保障に無関係とされた。トランプ候補が公開を求めているのはこの私用メールだ。

トランプのコメントは民主党全国委員会のメールがハックされウィキリークスに公開された直後に行われた。民主党全国委員会のメールの暴露にはロシアのハッカーが関与しているという疑いが持たれている。Washington Postの記事によればロシア政府に関連があるハッカーが1年前から民主党の秘密ファイルにアクセスしていたということだ。【略】

2015年12月にトランプはプーチン大統領をリーダーに相応しい人物だと称賛し、アメリカは「プーチンともっとうまくやっていく道を探らねばならない」と主張した。これに対してプーチンはトランプを「聡明で才能がある」と評した

現在トランプはプーチンについての無条件の称賛をトーンダウンさせており、「私はプーチンに会ったことはない。〔だから〕プーチンがどんな人物であるか知らない」と述べた。トランプ候補によれば「プーチンは一度私について良いことを言ってくれた。プーチンは私は天才だと言った。そこで私は新聞に『どうもありがとう』と言った。それだけの話だ」だそうだ。

〔民主党全国委員長を辞任に追い込んだ〕メールのリークの背後にロシア政府がいるのかどうかはともかく、トランプは重要な政治的課題が議論された民主党大会への関心を多少でも奪おうとしてこういう発言をしているのだろう。しかし仮にFBIがロシア政府が大統領選挙に不当な関与をしている証拠を発見するなら苦境に立つのはトランプ候補の方になるだろう。

〔日本版〕TechCrunchにはシリコンバレーを中心とするテクノロジー界には「反トランプ派が多い」という記事も掲載されてる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Penceのような副大統領はアメリカのイノベーションの文化の構築にとって害になるだろう

WESTFIELD, IN - JULY 12:   Republican presidential candidate Donald Trump greets Indiana Gov. Mike Pence at the Grand Park Events Center on July 12, 2016 in Westfield, Indiana. Trump is campaigning amid speculation he may select Indiana Gov. Mike Pence as his running mate. (Photo by Aaron P. Bernstein/Getty Images)

【抄訳】〔長い記事なので、いちばんメインの問題(==差別)だけを訳出します。〕
Donald本人のツイートによって、インディアナ州知事Mike PenceがDonald Trumpの副大統領候補になることが公式に決まった。しかしPence知事のテクノロジー産業に関するこれまでの政策は、なるべくおだやかな言い方を心がけても、拙劣だ。

自分のテクノロジー政策をかさ上げする必要性を知っていると思われる知事は、彼が選ばれる直前まで、インディアナ州のための彼の“新しい”イノベーションと起業家育成プランを声高に宣伝してきた。それらのイニシアチブは今週スポットライトを浴びたが、でもそれは、多様なコミュニティの安全を保証することを当の知事がプライオリティとして掲げないことと、著しい対照を成しているように見える。その保証を求める闘争が深刻化して、SalesforceやAngie’s Listなどのテク企業も巻き込まれ、インディアナ州はこれまでの数百万ドルの投資の成果を失ったのだ。それらの投資が戻ってくる保証も、今のところはない。

【中略】

知事は、Salesforceは自分が誘致した、州の雇用に貢献した、と自慢する。しかしPenceの在任期間中にSalesforceのCEO Marc BenioffがIndiana州の社員に払った 給与額はわずか5万ドル程度であり、その後社員たちは州外への転勤を望んだ。彼は、社員がインディアナ州に出張しなければならない業務を、すべてキャンセルした。

なぜ企業のCEOがそんなことをするのか? Pence知事はReligious Freedom Restoration Act(RFRA)(宗教の自由回復法)を支持し、そして署名した。この法律は、自分の宗教的自由がLGBTQの安全と受容のために脅(おびや)かされている、と信ずる個人の権利を保護する。下のビデオは昨日(米国時間7/14)SalesforceのBenioffがリツイートしたものだが、その法の意図がLGBTQのコミュニティを差別することにあるのかという主旨の質問に、知事が回答を拒否している。

Marc Benioffのツイート: [ゲイに反対で差別を支持するMike Pence。彼は1年前、全国的にLGBT差別をプッシュした。]

SalesforceやAngie’s Listなどのテク企業は、RFRAに強力に反対している。Salesforceが同州では事業を今後拡大しない、と脅(おど)したためPence知事は、LGBTQのコミュニティに対する差別を擁護するためにこの法を利用することを防ぐ、という“修正”に署名した

この問題がとくに厄介なのは、Pence知事が自分を、テクノロジーの味方、Salesforceの味方として売り込んでいることだ。Salesforceは、シリコンバレーに対抗してシリコンプレーリー(prairie, 大草原)をインディアナ州に作るという、Pence知事の促成栽培のような進歩的政策に惹かれたわけではない。Salesforceは2013年にインディアナ州のメールマーケティングソフトの企業ExactTargetを、その優れた製品とスケーラビリティに惹かれて買収したのだ〔州の企業誘致で来たのではない〕。その結果同社はインディアナ州に大きな支社を置くことになり、3000名の社員を求めた。州政府は同社の雇用創出への報酬として税を優遇したが、友好的関係はそこまでだった。

しかし小さな企業はもっとまずい。Salesforceなどと違って、できたてほやほやのスタートアップには、Salesforceがやったような、大企業の威力で社員たちを守る力がない。インディアナ州は、起業家を育成するだけでなく、高成長のハイテク企業が州から逃げ出さないための政策を必要とする。300万ドルのインキュベーション資金で新進のファウンダーを惹きつけるのは簡単だが、それだけでは今後の州間競争に勝てる保証はない。彼らの資金調達額が大きくなり、口コミが広がると、競争力のなかった若い企業が、強い競争力を持つようになり、資金・政策等の環境次第では、インディアナ州に固執しないようになる。そこに、シリコンバレーの投資家たちが、その鷹のような目をつけるに決まっている。

インディアナ州に必要なのは、スタートアップが州に長期的にとどまりたいと思うような、環境と政策だ。

【中略】

インディアナポリスのビジネスコンサルタント企業Visit Indyによると、州ではなく当市だけでも、RFRAによる企業投資の損失は6000万ドルを超える。Angie’s Listはインディアナ州における4000万ドルの事業拡張計画を凍結した。インディアナ州も、州知事がPenceでさえなければ、すばらしいテク企業を何社でも誘致できたかもしれないのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

テクノロジー世界がついに反Donald Trumpをカミングアウト、一部の大企業CEOは沈黙を守る

5001161361

予備選が行われているとき、テクノロジー産業のリーダーたちは、大統領選という話題と、そのもっともお騒がせな候補者Donald Trumpについて、比較的静観してきた。一部の投資家たちはTwitter上で彼を酷評し、また彼の選挙戦はシリコンバレーからごくわずかな寄付しか稼げなかった。しかし今や、多くのCEOたちがこの指名候補を公開書簡で糾弾している。

書簡はこう述べる:

“これまでの一年間Donald Trumpの言葉を聞いてきたわれわれは、次のように結論した: Trumpはイノベーションにとって災害である。彼のビジョンは、アイデアのオープンな交換や、人びとの自由な移動、そして、アメリカの経済にとってきわめて重要で、イノベーションと成長の基盤を提供する外部世界との、緊密な生産的関係に反している”。

書簡には、Slack, Twilio, Yelp, Reddit, Twitter, などなど多くの著名な企業の役員重役たちが署名している。

書簡は、彼の移民および自由でオープンなインターネットに対する姿勢を非難し、彼が提案する政策はテクノロジー産業に負の効果をもたらす、と述べている。書簡に名を連ねるCEOや投資家、政策アドバイザーたちのグループは、移民が起業家精神の原動力だ、と主張している。その主張によると、Fortune 500社の40%は移民や移民の子孫によって創業された。そこで書簡は言う:

アメリカの多様性がアメリカの強さだとわれわれは信ずる。

テクノロジー産業のリーダーたちは、インターネットを閉鎖せよというTrumpの意見にも噛み付いている。昨年秋の共和党のディベートでTrumpは、アメリカと戦争状態になった国にはインターネットアクセスを閉鎖することを検討する、と述べた。“われわれを殺し、われわれの国を殺そうとする人びとに、われわれのインターネットを使わせたくない”、とそのときTrumpは言った。書簡はこれに対して、それは“テクノロジーの実態に関するお粗末な判断と無知の両方を表している”、と反論し、検閲に対するTrumpの偏好の表れだ、とも述べている。

書簡には150名近くが署名しているが、Facebook, Apple, Googleなど大企業の社員の署名はきわめて少ない。GoogleのVint Cerfも署名者だが、彼は“インターネットの先駆的開拓者”、となっているだけで、Googleの社員にはなっていない。Trumpをおおっぴらに批判してきたAppleの協同ファウンダー、Steve Wozniakの名前もある。ただ一人の現在のFacebook社員、プロダクトデザイン担当VPのMargaret Stewartが署名しているが、Mark Zuckerbergの名は見当たらない。FacebookのF8カンファレンスで Zuckerbergは、この書簡と同様の主旨でTrumpをそれとなく批判したが、しかし彼自身も、Facebookが保守的メディアの投稿を検閲したとのクレームにさらされている。

GoogleとFacebookのリーダーがこの書簡に不在であることは、政治的イベントに対して中立的でありたいとする両社の欲求の結果だ。ZuckerbergのTrumpに対する不鮮明な批判にもかかわらず、Facebookは今なお、共和党と民主党両党の全国大会のスポンサーであり、GoogleにいたってはRNC(共和党全国委員会)にスポンサーとして寄付をしている

しかしZuckerbergやApple CEO Tim Cookの名が見られなくても、この書簡のサポーターたちの顔ぶれはなにしろすごいし、多様だ。MITの教授もいれば、FCCの元委員長もいるし、メジャーなCEOや投資家たちも並んでいる。コーディネートしたのはどうやらYelpのようで、書簡はYelpの公共ポリシー担当VP Luther LoweのMediumアカウント宛てになっており、CEO Jeremy Stoppelmanとエンジニアリング担当SVP Michael Stoppelmanの署名がある。今Yelpにコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

書簡には、シリコンバレーのもっとも先鋒的なHillary Clinton支持者たちの署名もある。JoyusのCEO Sukhinder Singh CassidyとHyperloop Oneの常勤会長Shervin Pishevarはそれぞれ、Clintonのための大規模な資金集めパーティーを主催し、書簡にも署名している。歯に衣着せぬClinton支持者で寄付者のChris Saccaも、やはり署名している。

ただし書簡はClintonをエンドースしているわけではなくて、もっぱら、大統領選候補者としてのTrump攻撃に徹している。

最後に再び、書簡から引用しよう:

われわれはDonald Trumpの、国を分裂させるような立候補姿勢に反対する。そして、アメリカのテクノロジー産業を築いてきた理念を前向きに理解する候補者を望む。その理念とは、表現の自由、新来者に対する開放的姿勢、機会の平等、研究とインフラストラクチャへの公共的投資、そして法の支配の尊重だ。われわれは、
差別のないより包括的な国を目指す楽観的なビジョンを歓迎する。そのような国でこそアメリカのイノベーションは継続的に機会を活性化し、繁栄とリーダーシップを維持し続けることができる”。

以下は、署名者の完全なリストだ:

Marvin Ammori, General Counsel, Hyperloop One
Adrian Aoun, Founder/CEO, Forward
Greg Badros, Founder, Prepared Mind Innovations; Former Engineering VP, Facebook
Clayton Banks, Co-Founder, Silicon Harlem
Phin Barnes, Partner, First Round Capital
Niti Bashambu, Chief Analytics Officer, IAC Applications
John Battelle, Founder/CEO, NewCo, Inc。
Ayah Bdeir, Founder/CEO, Little Bits
Piraye Beim, Founder/CEO, Celmatix
Marc Bodnick, Co-Founder, Elevation Partners
John Borthwick, Founder/CEO, Betaworks
Matt Brezina, Co-Founder, Sincerely and Xobni
Stacy Brown-Philpot, CEO, TaskRabbit
Brad Burnham, Managing Partner, Union Square Ventures
Stewart Butterfield, Co-Founder/CEO, Slack
Troy Carter, Founder/CEO, Atom Factory
Sukhinder Singh Cassidy, Founder/CEO, Joyus
Vint Cerf, Internet Pioneer
Amy Chang, Founder/CEO, Accompany
Aneesh Chopra, President, NavHealth; Former US CTO
Patrick Chung, General Partner, Xfund
Tod Cohen, General Counsel, StubHub
Stephen DeBerry, Founder/Managing Partner, Bronze Investments
Peter Diamandis, Entrepreneur; Author, Abundance and BOLD
Barry Diller, Chairman, Expedia and IAC
Esther Dyson, Executive Founder, Way to Wellville; Investor
Amy Errett, Founder/CEO, Madison Reed
Caterina Fake, Founder/CEO, Findery; Co-Founder, Flickr
Christopher Farmer, Founder/CEO, SignalFire
Brad Feld, Managing Director, Foundry Group; Co-Founder, Techstars
Josh Felser, Co-Founder, Freestyle Capital & ClimateX
Hajj Flemings, Founder/CEO, Brand Camp University
Natalie Foster, Co-Founder, Peers
David Grain, Founder/Managing Partner, Grain Management, LLC
Brad Hargreaves, Founder/CEO, Common
Donna Harris, Co-Founder/Co-CEO, 1776
Scott Heiferman, Co-Founder/CEO, Meetup
David Hornik, General Partner, August Capital
Terry Howerton, CEO, TechNexus
Reed Hundt, Former Chair, FCC
Minnie Ingersoll, COO, Shift Technologies
Sami Inkinen, Founder/CEO, Virta Health; Co-Founder, Trulia
Craig Isakow, Head of Revenue, Shift Technologies
Rev. Jesse L. Jackson Sr., President and Founder, Rainbow PUSH Coalition
Irwin Jacobs, Founding Chairman/CEO Emeritus, Qualcomm Inc
Paul Jacobs, Executive Chairman, Qualcomm Inc
Leila Janah, Founder/CEO, Sama & Laxmi
Sujay Jaswa, Former CFO, Dropbox; Founder, Witt Capital Partners
Mark Josephson, CEO, Bitly
Sep Kamvar, Professor, MIT
David Karp, Founder/CEO, Tumblr
Jed Katz, Managing Director, Javelin Venture Partners
Kim Keenan, President/CEO, Multicultural Media, Telecom & Internet Council
Ben Keighran, Entrepreneur; Former Design Lead, Apple
William Kennard, Former Chair, FCC
Vinod Khosla, Founder, Khosla Ventures; Co-Founder, SUN Microsystems
Ron Klain, Executive Vice President, Revolution LLC
Walter Kortschak, Former Managing Partner and Senior Advisor, Summit Partners
Jared Kopf, Founder AdRoll, HomeRun, Worldly
Joseph Kopser, Co-Founder, Ridescout
Karen Kornbluh, Former US Ambassador, OECD
Othman Laraki, Co-Founder/President, Color Genomics
Miles Lasater, Serial Entrepreneur
Jeff Lawson, CEO, Twilio
Aileen Lee, Founder/Managing Partner, Cowboy Ventures
Bobby Lent, Managing Partner, Hillsven Capital
Aaron Levie, Co-Founder/CEO, Box
John Lilly, Partner, Greylock Partners
Bruce Lincoln, Co-Founder, Silicon Harlem
Ruth Livier, President, Livier Productions, Inc。
Mark Lloyd, Professor of Communication, University of Southern California — Annenberg School
Luther Lowe, VP of Public Policy, Yelp
Nancy Lublin, Founder/CEO, Crisis Text Line
Kanyi Maqubela, Partner, Collaborative Fund
Jonathan Matus, Founder/CEO, Zendrive
Josh McFarland, Vice President of Product, Twitter
Andrew McLaughlin, Head of New Business, Medium; Venture Partner, betaworks
Shishir Mehrotra, Entrepreneur & former VP of Product & Engineering, YouTube
Apoorva Mehta, Founder/CEO, Instacart
Doug Merritt, CEO, Splunk
Dinesh Moorjani, Founder/CEO, Hatch Labs; Co-Founder, Tinder
Brit Morin, Founder/CEO, Brit + Co
Dave Morin, Entrepreneur; Partner, Slow Ventures
Dustin Moskovitz, Co-Founder, Asana; Co-Founder, Facebook
Amanda Moskowitz, Founder/CEO, Stacklist
Alex Nogales, President/CEO, National Hispanic Media Coalition
Alexis Ohanian, Co-Founder, Reddit
Mike Olson, Founder/Chairman/CSO, Cloudera
Pierre Omidyar, Founder, eBay
Felix W. Ortiz III, Founder/Chairman/CEO, Viridis; Board Member of The NYC Technology Development Corporation
Jen Pahlka, Founder/Executive Director, Code for America
Barney Pell, Founder Powerset, MoonExpress, Locomobi; Founding Trustee, Singularity University
Mark Pincus, Executive Chairman and Founder, Zynga
Shervin Pishevar, Co-Founder/Managing Director, Sherpa Capital and Co-Founder/Executive Chairman of Hyperloop One
Brandon Pollack, Director of Global Affairs, 1776
Amy Rao, Founder/CEO, Integrated Archive Systems, Inc。
Eric Ries, Entrepreneur & Author, The Lean Startup
Justin Rosenstein, Co-Founder, Asana
Alec Ross, Author, The Industries of the Future
Javier Saade, Venture Capitalist; Former Associate Administrator, SBA
Chris Sacca, Founder/Chairman, Lowercase Capital
Dave Samuel, Co-Founder, Freestyle Capital
Julie Samuels, Executive Director, Tech:NYC
Reshma Saujani, Founder, Girls Who Code
Chris Schroeder, Venture Investor; Author, Startup Rising
Jake Schwartz, Co-Founder/CEO, General Assembly
Robert Scoble, Entrepreneur in Residence and Futurist, Upload VR
Kim Malone Scott, CEO, Candor, Inc; Former Director, Google
Tina Sharkey, Partner, Sherpa Foundry & Sherpa Capital
Clara Shih, Co-Founder/CEO, Hearsay Social
Shivani Siroya, Founder/CEO, InVenture
Steve Smith, Executive Director, Public Policy Institute, Government Relations & Telecommunications Project, Rainbow PUSH Coalition
Jonathan Spalter, Chair, Mobile Future
DeShuna Spencer, CEO, kweliTV
Katie Stanton, CMO, Color Genomics; Former VP of Global Media, Twitter
Jenny Stefanotti, Co-Founder, OneProject; Board of Directors, Ushahidi
Debby Sterling, Founder/CEO, Goldiblox
Seth Sternberg, Co-Founder/CEO, Honor
Margaret Stewart, Vice President of Product Design, Facebook
Jeremy Stoppelman, CEO, Yelp
Michael Stoppelman, SVP, Engineering, Yelp
Baratunde Thurston, Former supervising producer, The Daily Show with Trevor Noah; Co-Founder, Cultivated Wit
Stephanie Tilenius, Founder/CEO, Vida Health; Board of Directors, Seagate Technology
Richard D. Titus, Entrepreneur; SVP, Samsung
Anne Toth, VP of Policy & Compliance, Slack
Bill Trenchard, Partner, First Round Capital
April Underwood, VP of Product, Slack
Max Ventilla, Founder/CEO, AltSchool
Tabreez Verjee, Co-Founder/Partner Uprising; Board Director Kiva.org
Jimmy Wales, Founder of Wikipedia
Hunter Walk, Partner, Homebrew VC; Former Director of Product Management, Google
Tristan Walker, Founder/CEO, Walker & Company Brands, Inc.; Founder/Chairman, Code 2040
Ari Wallach, CEO, Synthesis Corp。
Padmasree Warrior, CEO, NextEV USA; Former CTSO, Cisco
Laura Weidman Powers, Co-Founder/CEO, Code2040
Kevin Weil, Head of Product, Instagram
Phil Weiser, Hatfield Professor of Law, University of Colorado and Executive Director of the Silicon Flatirons Center
Daniel J. Weitzner, Principal Research Scientist, Computer Science and Artificial Intelligence Lab, Massachusetts Institute of Technology
Emily White, Entrepreneur; Former COO, Snapchat
Ev Williams, Founder/CEO, Medium; Co-Founder Twitter, Blogger
Monique Woodward, Venture Partner, 500 Startups
Steve Wozniak, Co-Founder, Apple
Tim Wu, Professor of Law, Columbia University
Andrew Yang, Founder/CEO, Venture for America
Arielle Zuckerberg, Partner, Kleiner Perkins Caufield & Byers

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アメリカの第三の政党「自由党」の大統領候補Johnson曰く、“あらゆるものをUber化する必要がある”

[筆者: Andrew Keen](著書(3冊): Cult of the Amateur, Digital Vertigo, The Internet Is Not The Answer。 Futurecastをプロデュース。本誌インタビューシリーズKeen Onのホスト。)

Hillary ClintonとDonald Trumpの、最終指名候補にしては前例のないほどの不人気を見ると、2016年がサードパーティ(third party, 第三の党)候補者の年になることもありそうだ。

彼のイデオロギーの是非はともかくとして、自由党(Libertarian Party)の候補Gary Johnsonこそが、シリコンバレー待望の、イノベーション積極支持派候補かもしれない。

Johnsonはこの記事のためのインタビューを担当したCALinnovatesのKish Rajanに向かって、“われわれはあらゆるものをUber化する必要がある”、と語った。

彼の信念では、共有経済こそが“未来のモデル”であり、抑止的に規制するのでなく、積極的に奨励すべきである。彼自身も、自分の不動産を貸し出そうとして問題に遭遇した。だからAirbnbを違法扱いする地方行政は“あまりにも近視眼的だ”、と彼は強調する。大統領候補としての公約に、“その規制を廃止する”を含める、と彼は言う。

政府による通信の監視や移民問題についても、Johnsonはやはりシリコンバレー寄りのようだ。彼の主張では、政府による個人データの大量収集は、無意味だった。また移民問題について彼は、歯に衣着せずにこう言う: “アメリカは移民の国だ”、だから、政府は上限を設けたりせずに、“移民を受け入れるべきだ”。

Gary Johnsonにとっては、壁というものがない。このラジカルなイノベーション支持メッセージに、今年果たして、どれだけの票が集まるだろうか。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

FBI、ヒラリー・クリントン候補が秘密メールを私用サーバーで処理した件で「訴追せず」と勧告

2016-07-06-hillary-clinton-shutterstock

〔この記事の執筆者は Lucia Maffei

事実上の民主党大統領候補であるヒラリー・クリントンが国務長官時代に私用サーバーで秘密メールを処理したことについて、FBIは司法省への勧告の中でクリントンとスタッフは「著しく軽率」だったが、「正式な訴追は必要ない」と結論した。このことはジェームズ・コミーFBI長官が記者会見で明らかにした

長期にわたった捜査の過程でFBIはクリントン候補を訴追するに足る証拠を収集できなかった。コミー長官は訴追を勧告しなかった理由について「訴追された類似のケースでは秘密情報の誤った処理に加えて合衆国への忠誠の欠如、司法妨害が加わっていた」と説明した。

コミー長官はクリントン候補が国務長官として私用サーバーで秘密メールを受信、保存していたことについて、「こうした〔不利な付加的〕状況はなかった」と述べた。

簡単にいえば、FBIはクリントとスタッフが故意に法令に違反したという証拠を得ることができなかった点が訴追を勧告しなかった理由の核心だ。ただしFBI長官は「こうした〔秘密メールの不適切な処理という〕行動を取った人物が、決して訴追されないことを意味するものではない。逆にこうした対象者の多くはセキュリティー違反による組織管理上の処分を受けている」と述べた。

コミー長官によれば、FBIと司法省は3万通に及ぶ国務省の保管するメールを精査し、52件のメール・スレッド中の110通が「送信、受信された時点における秘密情報(classified information)に当たる」と判断した。52のメール・スレッドのうち、8つのスレッドは当時「最高機密(Top Secret)」だった。36のスレッドは「機密(Secret)」、8スレッドは「部外秘(Confidential)」だったと判断された。

当然ながら、共和党の事実上の大統領候補、ドナルド・トランプはコミー長官の声明を強く非難するツイートを投稿し、元CIA長官のデビッド・ペトレイアス大将が「はるかにささいな」な罪で起訴され有罪を認めたことを指摘した。

このシステムはインチキだ。ペトレイアス大将ははるかにささいな件でトラブルに巻き込まれた。非常に不公平だ! 誤った判断でもある。

FBI長官はろくでなしヒラリーが「わが国の安全保障に脅威を与えた」と言った。それが訴追なしだそうだ。ワオ!

画像:: a katz/Shutterstock

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+