新型コロナで映画産業が低迷する中、AMCが貸切上映サービスを約1万円から提供

エンターテインメント業界のあらゆる分野と同じく、世界的なパンデミックが映画館に与えた打撃の影響は終わる気配がない。当初の閉館は数カ月にわたり、配給会社は最大のヒット作品を遅らせたり、中間業者を飛び越してビデオ・オン・デマンドサービスへの直接販売まで行っている。

一部の州では映画館が再開しているものの、感染力が強いウイルスが蔓延する中で映画ファンを座席に呼び戻すことは口でいうほど簡単ではない。期間限定のドライブインからポップコーンのデリバリーサービスまで、継続する都市封鎖の中でなんとか立ちまわる方法を見つける賢い人々もいる。そして、いくつかの地域ではプライベートシアターのレンタルを提供し始めた。映画ファンに、赤の他人に囲まれることなく映画鑑賞体験に戻る機会を提供する暫定的アプローチだ。

CNNによると、映画館チェーン最大手のAMCは、シアター貸し切りサービスを系列館で開始する(AMCリリース)。価格は99ドル(約1万400円)からという驚きの安さだ(ただしニューヨーク州、アラスカ州、ハワイ州を除く)。友達10人で分け合えばもう通常の映画チケットより安い。

利用者は最大20名を上映に招待できる。作品は「ジュラシックパーク」などの名作やハロウィンに向けた「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」など。そこから先は価格は上がり、「TENET テネット」や「ニュー・ミュータンツ」などの新作では1回の上映が349ドル(3万6800円)に跳ね上がる。前者は大ヒット映画監督のChristopher Nolan(クリストファー・ノーラン)がメガホンをとった作品で、映画ファンの劇場に戻る意志を確認する一種のリトマス試験紙という位置づけだった。

しかし数カ月におよんだ遅れの後、ワーナー・ブラザースは、未だに新型コロナウイルスとの戦いが続く米国より早く、同作品を海外でまず公開するという比較的稀な方法を選んだ。止まらない米国の苦闘は、興行成績世界最大の座を中国に明け渡す(The Hollywood Reporter記事)という最近の結果にもつながった。2020年の夏、AMCはパンデミックを乗り切れる可能性について「大いなる疑問」を持っていると語った。

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ブリティッシュ・エアウェイズの個人情報漏洩に対する制裁金が252億円から27億円に減額、新型コロナの影響で

英国の企業史上最大のデータ漏えいの1つが、規制当局によって大々的にではなく尻すぼみで幕が閉じられた。英国時間10月16日、英国の情報保護当局であるInformation Commissioner’s Office(ICO、情報コミッショナー事務局)はBritish Airways(BA、ブリテッィシュ・エアウェイズ)に対しデータ侵害(ICOリリース)にともなう個人情報漏洩に関して2000万ポンド(約27億円)の罰金を科したと発表した同社は2カ月間にわたりサイバー攻撃を受けた後(未訳記事)、40万人以上の顧客の個人情報が漏洩した件で、サイバー攻撃を検出し防ぐためのセキュリティが十分ではなかったとされた。当初、BAに対し1億8400万ポンド(約252億円)近くの制裁金を科す予定だったが減額した。新型コロナウイルスの結果、BAが(他の航空会社と同様に)経済的な影響を受けていること、BAが問題に対処してきたこと、ICOがさらなる調査で攻撃の性質について知見を深めたことが理由だ。

制裁金の規模は縮小されたものの、ICOは当初の結論を固持した。

「人々は自分の個人情報をBAに託しましたが、BAはその詳細を安全に保つために適切な措置を講じることができませんでした」とICOのElizabeth Denham(エリザベス・デナム)氏は声明で述べた。「同社行動の失敗は容認できません。何十万人もの人々に影響を及ぼし、結果として不安や苦痛を与えた可能性があります。そのため、これまでで最大の2000万ポンド(約27億円)の制裁金をBAに科しました。組織が人々の個人データに関して不適切な判断をすると、人々の生活に大きな影響を与える可能性があります。法は現在、最新のセキュリティへの投資を含め、企業がデータに関してより良い意思決定を行うことを促すためのツールを提供しています」。

BAは声明の中で回答し、調査に従ったこと、制裁金軽減を認識したことを指摘した。

「2018年にシステムへの攻撃犯罪を認識後ただちに顧客に警告しましたが、顧客の期待を下回ったことを残念に思います」と広報担当者はTechCrunchに語った。「攻撃以来システムのセキュリティが大幅に改善されたこと、調査に全面的に協力したことをICOが認識していることを嬉しく思います」。

TechCrunchの理解によると、ICOが攻撃につながった事象を分解した結果、BAの責任は当初よりも小さいと認定したため、約1億5000万ポンド(約206億円)が削減された。BAの対応に基づきさらに600万ポンド(約8億円)が減額され、新型コロナウイルスのパンデミックがBAの事業に与えた影響を反映して、ICOの新型コロナポリシーの一環としてさらに400万ポンド(約5億円)が差し引かれた。

この減額は、新型コロナのパンデミックが規制に与える影響を象徴している。規制当局は事業の成長に影響が出る可能性のある問題を迅速に処理するため、場合によっては事案への対応をスピードアップし(未訳記事)、eスクーターのケースのように事業活動にゴーサインを出すために従前の判断留保を脇に置くことがある。

しかしBAに対する制裁金の場合、新型コロナの影響の別の側面が浮き彫りになった。規制当局は問題となった会社がすでに苦しんでいる場合、制裁金に関してそれほど厳しくない方針を選択した。これにより影響額が変わる可能性があり、将来セキュリティとデータ保護を怠ったと判断されるケースでの規制当局の対応の先例となる可能性がある。

1億8400万ポンド(約252億円)の制裁金を科すという当初の提案は2019年に設定されたもので、2018年のBAの売上高の1.5%だった。もちろんそれは新型コロナのパンデミック発生前、すなわち世界中で旅行がなくなり、多くの航空会社が膝をついてしまう前の話だ。皮肉なことに、当初の命令には多くの古典的な官僚的形式主義が適用されていた。このケースでは、BAの主張に耳を傾けたことに加え、現在の市場における会社の状態に対する評価も含まれていたため、BAに有利に働いた。

「ICOは2019年6月、制裁金の意向通知をBAに発行しました」とICOは制裁金の減額に関する声明の中で述べた。「ICOは規制プロセスの一環として、最終的に制裁金を決める前に、BAからの表明と新型コロナの事業への経済的影響の両方を考慮しました」。

制裁金は小さくなったものの、調査結果の中の重要な事実は同じだった。ICOの判断は、BAには当時利用可能だったセキュリティシステム(手順とソフトウェア)で防ぐことができた「セキュリティの弱点」があるというものだった。

その結果、「名前、住所、クレジットカード番号、BAの24万4000人の顧客のCVV番号(クレジットカードのセキュリティコード)」など、42万9612人の顧客とスタッフのデータが漏洩したとICOは述べた。顧客のカードとCVVの両方が漏洩したのは7万7000人で、カード番号のみの顧客は10万8000人だと付け加えた。BAの従業員アカウントと管理者アカウントのユーザー名とパスワード、また最大612件のBAエグゼクティブクラブアカウントのユーザー名とPIN(暗証番号)も含まれていた(最後の2つは完全には検証されていないが、そのようだ)。

その上、BA自身が攻撃を検出したわけではなく第三者から侵害について知らされたとBAは述べた。

ICOは、同局の措置がEUの他の情報保護当局によって承認されたと述べた。英国がまだEU内にいる間に攻撃が発生したため、調査はEU当局に代わってICOによって実施されたということだ。

BAの側ではシステムセキュリティへの再投資に取り組んでいる。同社は巨大な統合によって形成されたInternational Airlines Group(インターナショナル・エアラインズ・グループ)の一員であり、他にはIberia(イベリア航空)、Aer Lingus(エアリンガス)、Vueling(ブエリング航空)、その他のブランドやオペレーターも含まれている。また同社は「懸念を持つ顧客」に対し12カ月のクレジットチェックや管理サービスが使えるメンバーシップを提供した。

近年、旅行およびホスピタリティーセクターで、影響が他の航空会社にとどまらないデータ侵害が数多くあった。例えば、easyJet(イージージェット)の件では900万件の記録(未訳記事)が2020年5月に影響を受けた。Cathay Pacific(キャセイパシフィック)航空は世界中で950万人の顧客に影響を与えた侵害(英国では約11万1000人)で2020年初めにわずか50万ポンド(約6850万円)の制裁金を科された。ホテルで最大のものはMarriott(マリオット)へのフィッシング攻撃(未訳記事)で、約5億人に影響を与えたと推定されている。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:British Airways新型コロナウイルスICO

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(翻訳:Mizoguchi

5分以内に終わるオックスフォード大学の機械学習ベースの高精度新型コロナ検出技術

オックスフォード大学の物理学科の科学者たちが、SARS-CoV-2を高精度で検出できる新しいタイプの新型コロナウイルス試験法を開発した。患者から採取した検体から直接検査し、機械学習ベースのアプローチを用いて、試験供給の限界を回避に役立つ可能性がある。またこの検査は、抗体やウイルスの存在の兆候ではなく、実際のウイルス粒子を検出する場合にも利点がある。これらの兆候は必ずしも、活動的な感染性のある症状と相関しない。

オックスフォードの研究者たちが作り出した試験はまた、スピードの点でも大きな利点があり、検体の前処理を必要とせず5分以内に結果を出すことができる。これは、現在の新型コロナウイルスパンデミックに対処するためだけでなく、将来の世界的なウイルス感染の可能性に対処するためにも必要不可欠なものであり、大量検査を可能にする技術のひとつになり得ることを意味している。オックスフォード大学の手法は、多くのウイルスの脅威を検出するために比較的簡単に構成することができるため、実際にはそのためにも十分に設計されている。

これを可能にした技術は、採取したサンプルに含まれるウイルス粒子を、マーカーとなる短い蛍光色のDNA鎖で標識づけすることで実現している。顕微鏡でサンプルとラベル付けされたウイルスを画像化した後、チームが開発したアルゴリズム解析を用いて機械学習ソフトウェアが自動的にウイルスを識別し、物理的な表面構造、大きさ、個々の化学組成の違いにより、それぞれのウイルスが発する蛍光光の違いを利用してウイルスを識別する。

研究者らによると、この技術は検体収集装置、顕微鏡画像、蛍光体挿入ツール、コンピューターシステムを含めて、企業や音楽ホール、空港など、あらゆる場所で使用できるほど小型化できるという。現在の焦点は、すべてのコンポーネントを統合したデバイスの商業化を目的としたスピンアウト会社を設立することだ。

研究者は、起業し来年初めまでの製品開発をスタートを目指している。デバイスの実用認可と流通の整備にその後約半年かかるだろう。新しい診断デバイスの開発としてはタイトなスケジュールだが、パンデミックに直面してすでにスケジュールは変更されており、新型コロナウイルスは近い将来に消え去るとは考えづらいため今後続けられるだろう。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:オックスフォード大学新型コロナウイルス機械学習

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

第3四半期のアプリ消費額は過去最多の3兆円、コロナ禍で利用増

新型コロナウイルスパンデミック下でも、モバイルの使用は変わらず多い。新型コロナによりソーシャルディスタンス維持やロックダウンが導入され、消費者は仕事、学校、社会交流のためにオンラインに移行した。これは過去最高のアプリ支出額につながり、使用時間も急増した。App Annieの新たなレポートによると、消費者は第3四半期に世界で330億ものアプリを新たにダウンロードし、アプリで280億ドル(約3兆円)使った。この額は前年同期比20%増だ。消費者はまた、2020年7月から9月にかけて計1800億時間超をアプリで費やし、これは前年同期比25%増だ。

App Annieはこれより前に、新型コロナパンデミックが消費者のモバイル行動に長期的な影響を与えるかもしれないとの分析を示していた(App Annieレポート)。少なくとも新型コロナでモバイルの使用が2、3年先に進んだ。この傾向は第3四半期でもみられ、モバイルの使用は主要アスペクトで増えている。

画像クレジット:App Annie

画像クレジット:App Annie

第3四半期に330億回のアプリダウンロードがあり、うちGoogle Playのダウンロードは250億回で前年同期比10%増だった。一方、iOSは90億回で前年同期比20%増だった。Google Playでのアプリダウンロードの55%は非ゲームアプリで、iOSではもう少し多い70%だった。

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ダウンロードが多かったマーケットは、Google Playではインドとブラジル、iOSでは米国と中国だった。インドとブラジル、メキシコがGoogle Playのダウンロード回数を押し上げ、iOSではインドと韓国が成長要因となった。

ダウンロード回数の増加は、部分的にはパンデミックと直接結びついている。

例えばメキシコでは学生がリモート学習を余儀なくされ、教育アプリのダウンロード回数は25%増え、ライブラリー&デモのアプリは270%増となった。米国の消費者はロックダウンや事業閉鎖の期間中にアクティビティを求めてアウトドアに目を向け、旅行アプリのダウンロードが50%増え、ナビゲーションアプリは25%、天気アプリは15%増えた。

全体をみると、最もダウンロードが多いゲームを除くとゲーム、ツール、エンターテインメントのカテゴリーで増加がみられた。そしてiOSのゲーム、写真・ビデオ、エンターテインメントが5四半期連続で上位を占めた。

消費者は第3四半期に過去最多の280億ドル(約3兆円)をつぎこみ、これは四半期としてこれまでで最も大きな額でもある。

支出額はiOSで前年同期比20%増の180億ドル(約1兆9000億円)、Google Playでは35%増の100億ドル(約1兆600億円)だった。支出額に占める非ゲームアプリの割合はiOSでは35%、Google Playでは20%で、これは主にサブスクリプションのおかげだ。

画像クレジット:App Annie

iOSとGoogle Playの両方で消費者の支出額が最も多かったマーケットは米国と日本で、Google Playだけみると韓国の支出額も多かった。

アプリでの消費者支出額の増大はパンデミックとその影響に密接に結びついているとみることができる。例えばゲーム、ソーシャル、エンターテインメントが消費者がGoogle Playで最も金を使ったカテゴリーだった。エンターテインメントの中では、Disney+、Twitch、Globo Play、HBO Maxなど消費者が家にいながらして楽しめるストリーミングアプリが支出額を押し上げた。

iOSではゲーム、エンターテインメント、写真・ビデオでの支出額が最も多かった。米国ではスポーツがテレビに戻り、スポーツアプリでの支出額は前四半期から55%増えた。一方、TikTokはゲーム以外のカテゴリーで消費者支出額が2番目に多かった。しかしゲーム以外のカテゴリーで過去最多の支出額増加に貢献したのは、コミックアプリのpiccoma、YouTube、Tinder、AbemaTVだった。

画像クレジット:App Annie

Tinderは第3四半期に回復力を見せた。パンデミックにもかかわらず、Tinderは消費者支出額で第1位の座を獲得した。Disney+も第4位へと躍進した。

しかし月間アクティブユーザーの点では、Facebook(フェイスブック)がまだ上位を牛耳っている。第1位から第4位までがフェイスブック、WhatsApp、Messenger、Instagramの順だった。次いでAmazon(アマゾン)、Twitter、Netflix、Spotify、TikTokそしてTelegramがくる。Telegramは第2四半期からランクを2つ上げて今回初めてトップ10入りした。

ゲーム部門はパンデミックの影響で引き続き利用が多い。ロックダウン中の消費者がエンターテインメントを求め、週間ダウンロード回数は約10億回を維持し、これは前年同期よりも15%多い。

画像クレジット:App Annie

消費者はまた、第3四半期に過去最多の200億ドル(約2兆1000億円)をゲームに費やした。年末までにモバイルゲーミングはデスクトップの2.8倍、コンソールゲームの3.1倍になるとApp Annieは予想している。

第3四半期のゲームのダウンロード回数は140億回に達し、うち110億回がGoogle Playでのもので、これは前年同期比20%増だ。iOSでは26億回のダウンロードがあった。このダウンロード回数を反映して、ダウンロードが最も多かったゲームの45%がGoogle Playのもので、iOSは30%だった。

今回のApp Annieのレポート内容は、2020年10月初めに発表された調査会社Sensor Towerの第3四半期レポートとほぼ同じ傾向を示している。Sensor Towerはアプリの売上高が第3四半期に290億ドル(約3兆600億円)を超え、アプリのダウンロードは365億回だったと推定した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:新型コロナウイルスiOSApp StoreAndroidGoogle Playアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(本訳:Mizoguchi

オンデマンド型シャトルサービスを展開のNearMeが5億円を調達、今後は空港シャトルなどの新規路線開拓を進める

同名のタクシー相乗りサービスから事業を開始し、現在は空港からオンデマンド型シャトルサービス「スマートシャトル」を中心に事業を展開してるNearMe(ニアミー)が総額5億円の資金調達を発表した。

第三者割当増資による調達で、引受先はニッセイ・キャピタル、JA三井リース、DBJキャピタルなど。同社はこれにより、シリーズAの資金調達を完了。約1年前のプレシリーズAラウンドで調達した3億円と合わせると調達総額は8億円ととなる。なお、同社はニッセイ・キャピタルのアクセラレーションプログラムの1期採択企業でもある。また、今回の調達で新規投資家として加わるJA三井リースは、今後ファイナンス機能や営業ネットワークの提供などで同社と連携を進めていきたいとしている。

今回調達した資金は、新型コロナウイルスの感染蔓延によって密を避ける需要が高まっている中、スマートシャトル事業の新規路線立ち上げや人材採用、事業基盤の整備、事業会社との連携、提供サービスの認知向上などに充てられる。

同社が昨年からサービスを開始している空港版のオンデマンド型シャトルサービスnearMe.Airportは現在、羽田空港、成田空港と都内15区内、那覇空港と那覇市内の指定区域内のオンデマンド配送を実施ている。今後は、新型コロナウイルスの感染蔓延のwithコロナ時代に、既存の公共交通機関を補完する新たな移動サービスとして、他空港への展開を含めてスマートシャトル事業を拡大する計画だ。すでに通勤者を対象にしたnearMe.Commuteのほか、貸し切り送迎シャトルのnearMe.Limo、ゴルフシャトルのnearMe.Golfなどのサービスも展開中だ。

シャトルサービスのメリットは、相乗りながらも事前に同乗者を特定できるほか、10人未満の特定多数なので換気や消毒などの対策がきめ細かく実施できる点。決済は事前で利用者に支払いの手間はなく、企業側や依頼側では同じ方面から会社やゴルフ場を目指して来る利用者をまとめてピックアップ・移送できるため、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症の発生をいち早く共有でき、感染対策を施せる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:NearMe、新型コロナウィルス、オンデマンド交通

UCバークレー校のダウドナ教授がノーベル化学賞を受賞、CRISPR遺伝子編集が新型コロナなど感染拡大抑止に貢献

米国カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)のJennifer Doudna(ジェニファー・ダウドナ)教授が、CRISPRテクノロジーの共同開発者であるEmmanuelle Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)教授とともにノーベル化学賞を受賞した。 TechCrunchは9月に開催したTechCrunch Disrupt 2020で、ダウドナ教授にCRISPRテクノロジーと新型コロナウイルス対策への応用について詳しく話を聞く機会があった。またダウドナ教授はこのテクノロジーが医学全般、ことに将来のパンデミック対策として役立つ可能性についても強調した。

ダウドナ教授は以下のように説明している。

CRISPRテクノロジーで最も興味あるのは、現在の新型コロナウイルスだけでなく、将来現れるかもしれない別のウイルスも容易に検出ターゲットとすることができる点です。

私たちはすでに新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に検出できるようにする戦略で研究を進めています。 これ自身重要な意味を持つのは明らかですが、CRISPRはプログラムを書き換えて別のウイルスをターゲットとするよう素早くピボットすることができます。

これは多くの人が留意しなければならない点だと思いますが、ウイルス性のパンデミックがまったく消え去るということはありません。現在の新型コロナウィルスは将来のパンデミックに対する警告と考えるべきでしょう。私たちは将来の新たなウイルスによる攻撃に対する防衛体制を科学的に整えておくことが必要です。

最近の応用について考えると、CRISPRは新型コロナウイルスの検査体制を飛躍的に拡充できる可能性がある。このテクノロジーはスピードや信頼性を含め、検査の本質を根本的に変えるかもしれない。第一線で活動する医療専門家、医療機関の能力を大きく拡大するだけでなく、パンデミックへの対処体制にも革命をもたらす可能性がある。

ダウドナ教授は以下のようにも述べている。

私の経験からいって今年中にCRISPRを応用した新型コロナウイルスの検査方法が提供できると思います。当初、このテストには病院等の検査室で行われるでしょうが、医療の第一線におけるCRISPRの検査を実現すべく、カリフォルニア大学バークレー校のInnovative Genomics Institute、サンフランシスコ校のGladstone医療センターなどと共同して開発を続けています。 これは病院だけでなく介護施設や寮などあらゆる場所で検査に利用できる小型のデバイスとなるはずです。唾液や綿棒で拭ったサンプルを使った迅速なテストができるようにしたいと考えています。

ダウドナ教授へのインタビューの詳しい記事はこちら。教授はCRISPRについて感染蔓延に対する応用面だけでなく。開発の背景や意義について詳しく解説している。

カテゴリー:バイオテック
タグ:新型コロナウィルス、COVVID-19、ノーベル賞、CRISPR

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Envoyが従業員が安全にオフィスに戻って働けるようにするためのプロダクト「Protect」をリリース

業界を問わず、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって我々の働き方はすっかり変わった。在宅勤務が新しい標準になっている。しかし多くの人がオフィスに戻りたいと望み、スタートアップはできるだけ安全なオフィスへの移行を支援したいと考えている、

そうしたスタートアップの1つが、2013年にオフィス向けの来客受付プラットフォームをリリースしたEnvoyだ。Envoyは米国時間10月6日、Envoy Protectという新しいプロダクトスイートをリリースした。これは従業員が安全にオフィスに戻れるように支援するプロダクトだ。

このプラットフォームはここ数カ月間ベータ版として公開されていたため、すでに5000社以上が登録している。10月第2週の時点で、Envoyを利用して100万人が安全に職場に戻った。

Envoy Protectは従業員が安心してオフィスを利用することに特化して作られていて、健康アンケートや室内の人数管理ツール、健康で承認を受けている人のみがオフィスに入れるようにする入室制限プロバイダとの統合、QRコードによる非接触のサインイン、接触追跡、検温との統合などの機能がある。管理者は各地の健康と安全に関する要件に基づいて地域によって入室登録をカスタマイズしたり、登録手順をカスタマイズしたり、オフィスの人の流れを分析したりすることもできる。

画像クレジット:Envoy

またEnvoyは「Desks」も発表した。これはオフィスにいる従業員のソーシャルディスタンスを適切に確保し、従業員を迎えるにあたって清潔で安全な職場にするためのプロダクトだ。Desksはクローズドベータとして今後公開され、Envoyはテストを継続する。

Envoy ProtectはEnvoy Visitorsのサービスに含まれ、企業は追加費用なしでEnvoy Protectを利用できる。

ワークスペースの未来に向けての動きは山ほどある。2020年8月にはEdenがオフィスの安全な再開を支援する同様の製品を発表した(未訳記事)。

EnvoyはAndreessen Horowitz、Menlo Ventures、Initialized Capitalなどの投資家から6000万ドル(約63億4000万円)近くの資金を調達しており、この分野では有利な立場にある。

創業者でCEOのLarry Gadea(ラリー・ガデア)氏は、前四半期は新型コロナウイルス感染拡大による変化があったにもかかわらず、売上の面ではこれまでで最高の四半期だったと述べている。

同社の従業員数は約150人で、そのうち40%が女性、20%がマイノリティーだ。

ガデア氏は、Envoyにとっての現在の最大の課題の1つはProtectという製品名を広めることだと語る。Envoy Visitorsは来客がオフィスに入れるようにするプロダクトで、口コミで広がりやすい性格がある。Envoyを使っているオフィスを訪れた人は、自分のオフィスにも同じシステムを入れたいと考える。

「職場では多くのことが起きていて、私たちのプロダクトで多くのことを支援できると伝えるのが最大の課題です。人々は家のことばかり考えていますが、職場に戻るとなったら、その職場はきちんと考え一緒に働くのに適した場所だと思い出さなくてはなりません。我々の課題は、人々がそれを安全に実現できるようにすること、よく考えずに慌てて実行しないようにすることです」とガデア氏は語る。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Envoy新型コロナウイルス

画像クレジット:Envoy

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(翻訳:Kaori Koyama)

コロナ禍に大麻吸入器メーカーの売上が急増、全米での合法化を見据え転換期を迎える大麻業界

世界的なパンデミックで大麻に興味を持つ人が急増しており、吸入器メーカーは記録的な売上を達成している。TechCrunchの取材に対し、スタートアップから大手メーカーまで複数の主要メーカーが、「コロナ危機が始まって以来、売上が増加している」と語った。供給量が制限されていることもあって、一部の上位モデルの吸入器は品薄となっており、各メーカーは増産対応に追われている。

一部のメーカーのCEOらは、パンデミックによって大麻が消費者に広く受け入れられるようになり、全米での合法化を求める声が高まっている状況を目の当たりにしている。合法化されれば、新たな消費者が市場に入ってくるため、Canopy Growth(キャノピー・グロース)、PAX(パックス)、Grenco Science(グレンコ・サイエンス)などの企業は市場トップ水準の大麻吸入器メーカーとして利益を享受することになるだろうが、肝心の製品が品薄ではそれもかなわない。

こうした品薄の原因の一部はサプライチェーンにあるが、品薄に苦しんでいる大麻関連製品だけではない。米国市場では現在、自転車からカヤックまで、多くの製品が品薄になっている。そうした製品は、もともと供給量が少なかったが、需要が増大したため、品薄に拍車がかかっている状態だ。

2012年に創業されたグレンコ・サイエンスは、ドライハーブの吸入器市場では早期参入組である。同社は2019年、シリーズAで資金を調達し(金額は非公開)、革新的な製品を開発、リリースした。さらに、安価な水ろ過式携帯型コンセントレート吸入器DashとRoamを2020年の初めに市場に投入する準備を整えていた。

ちょうどそのタイミングで新型コロナウイルスのパンデミックが発生した。

CEO兼共同創業者のChris Folkerts(クリス・フォルカーツ)氏によると、RoamとDashのリリースは延期されたが、製品を市場に投入する余力はまだ残っていたという。

フォルカーツ氏は次のように語る。「(パンデミック発生後も)引き続き成長を維持し、製品パイプラインを大幅に拡張できたと思っている。今年の後半にいくつか製品をリリースする予定になっており、買収後に新しいデザインのStundenglassを投入できると思う」。

実際、グレンコは、パンデミックの最中でも2つの製品のリリースや他メーカーの買収で大忙しだった。そして、その忙しさはまだ続くようだ。消費者のドライハーブへの興味が急速に高まっている一因は、同社がリリースしたDash吸入器ではないかとフォルカーツ氏は言う。グレンコは、さらに3つのドライハーブ吸入器をリリースする予定だ。

フォルカーツ氏は、現在に至るまでに、特に顧客サポートや製品出荷に関して問題に直面してきたことを認めている。オンラインショップや代理店経由で注文が殺到したが、それに対応する準備が整っていなかったのだ。そこで、かなりの人数の社員を再教育して、製品・出荷サポート担当として直接、顧客対応を行わせた、と同氏は語る。

キャノピー・グロース傘下の有名な吸入器販売会社Storz & Bickel(ストーズ・アンド・ビッケル)も顧客サポートの問題に頭を悩ませている。どのユーザーフォーラムを見ても、同社の顧客対応が追いついていないことは明らかだ。出荷が遅いとか、顧客対応が悪いといったクレームが購入者から寄せられている。同社のウェブサイトstorz-bickel.comに掲載されている商品の大半には、正規代理店には在庫があるにもかかわらず、「残りわずか」の警告が表示されている。

キャノピー・グロースのグローバル吸入器部門担当副社長Andy Lytwynec(アンディ・リトイネック)氏によると、ストーズ・アンド・ビッケルは予想を越えて急速に成長し、急ピッチで生産拡大が行われ、「ドイツの工場では、高まる切迫感の中で30人の社員が追加採用された」という。

2000年、 ストーズ・アンド・ビッケルは、世界初のデスクトップ型ドライハーブ吸入器と言われているVolcanoをリリースした。同社は現在、2種類のVolcano、およびVolcanoと同じ技術を用いた数種類の携帯型吸入器(いずれも医療用として認可済)を販売している。2018年、キャノピー・グロースはストーズ・アンド・ビッケルを買収し、他の吸入器ブランドをストーズ・アンド・ビッケルに統合した。

リトイネック氏は、ストーズ・アンド・ビッケルは新型コロナウイルスの影響度を判断するためのある種のバロメーターだ、と指摘する。キャノピー・グロースの最新の四半期報告によると、売上は増加しており、第1四半期が終了する6月末までに71%の売上増を記録した。財務報告書によると、この売上増の主な要因は、ストーズ・アンド・ビッケルの売上増と代理店販路の拡大であるという。

パンデミックの最中、消費者が購入したのはドライハーブだけではない。濃縮大麻吸入器のメーカーの売上も増加している。

Puffco Peak e-rigという優れた吸入器を製造するPuffco(パフコ)も売上が急増した。パフコの創業者Roger Volodarsky(ロジャー・ボロダスキー)氏はTechCrunchに次のように語った。「パンデミック発生以降、多くの新規嗜好者が大麻市場に入ってきたようだ。パフコでは、この期間、創業以来最大の売上を記録した。さまざまな課題に直面している中で、継続的に成長できていることに感謝している」。

パフコの製品は、粉ではなく、濃縮大麻で使用するように設計されている。濃縮大麻というカテゴリーは、大麻の吸入器市場でこれから大きく伸びることが予想される。乾燥粉末と、いわゆる携帯用ペン型吸入器との中間にあたるカテゴリーだ。

Jupiter Research(ジュピター・リサーチ)は、CCELL吸入ハードウェア販売の最大手で、米国を含む世界の規制された大麻市場でビジネスを展開している。事前にパッケージングされた自給型THCカートリッジであるCCELL市場で、ジュピター・リサーチは新型コロナウイルスの影響をほとんど受けなかった。

ジュピターの最高執行責任者兼社長のTim Conder(ティム・コンダー)氏は次のように述べている。「少なくともデータを見る限りでは、吸入器市場全体で新型コロナウイルスの影響による大きな変化はなかった。実際、当社は吸入器カテゴリー全体で市場シェアを伸ばし続けている。吸入器(ベイブ)は、大麻ヘナ粉末で2番目に大きなカテゴリーで、3番目は食用だ」。

コンダー氏は、新型コロナウイルスがきっかけとなって、大麻に対する政府の姿勢が変化する可能性があると見ている。「大麻合法化の動きが連邦レベルで勢いを増しているように感じる」と語る同氏は、各州政府にも連邦政府にも、全米の合法大麻市場によってもたらされる財政上のメリットに注目してほしい、と考えている。

他の大麻関連機器メーカー企業も、新型コロナウイルスによって米政府が大麻をさまざまな角度から見るようになった、という見方に同意している。

ウィスコンシン州に本社を置くDynaVap(ダイナバップ)によると、大麻に対する一般大衆の認識は、社会的な受容に向けた機運の継続的な高まりと同調する形で拡大してきたという。DynaVapの創業者兼CFOのEric Olson(エリック・オルセン)氏は、「大麻草にはプラスの効能さえあり、新型コロナウイルスの影響を軽減するのではないかと思う」と指摘する。さらに同氏は、

「業界が州および国レベルでの合法化を推進し続けることができれば、パンデミック後、大麻草をめぐる動きは肯定的で影響力のある住民運動となるだろう」と語った。

ウィスコンシン州を拠点とする従業員50人のダイナバップは、5月に人員を増強し始め、最近、「Orion」と呼ばれる誘導加熱器など、いくつか新しい製品をリリースした。

世界的なパンデミックの発生から6か月が経過した今、前述の各メーカーは需要増に対応すべく増産と人員増を図っており、大麻市場は勢いよく拡大しているようだ。

キャノピー・グロースのリトイネック氏は、ここ数か月間が大麻業界のターニングポイントになったと考えている。それは、大麻の合法化(および課税)による経済的影響のみを指しているのではない。消費者が大麻に対して洗練された感覚を持つようになっている、と同氏は言う。

「消費者は違法の雑草にではなく、より高級な商品にお金を使うようになっている。パンデミックの最中にカテゴリーが成熟していくのは良い傾向だ。吸入器や高品質の消耗品が売れるようになっている。これは大麻が受け入れられている証だ。今後業界が追い風に乗って、この暗黒の時期を可能な限り早く脱出できることを祈るばかりだ」とリトイネック氏は語った。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:新型コロナウイルス 大麻

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(翻訳:Dragonfly)

新型コロナ研究データを集めた「COVID-19データポータルJAPAN」が公開、国立情報学研究所と国立遺伝学研究所が管理

国内外に散在する新型コロナウイルスに関する研究データを集約した「COVID-19 データポータルJAPAN」が公開された。大学共同利用機関法人・情報・システム研究機構(ROIS)に属する、国立情報学研究所(NII)のオープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)、国立遺伝学研究所(NIG)の生命情報・DDBJセンターが管理するサイトで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する研究データへ研究者が迅速にアクセスできるように、各種オープンデータを参照できるようになっている。

このサイトでは、遺伝子配列やタンパク質、疾患などの生命科学系の研究データだけでなく、画像や文献、データ投稿のツールも含めたリソースを、分野横断的にチェックできるのが特徴だ。研究者がこの基盤を活用して研究データを発見し、創出したデータをさらにオープンに共有していくことことで、コロナ禍の解決を目指すのがこのサイトの狙いだ。

国立の研究機関のほか、京都大学や大阪大学、いま人選で話題の日本学術会議から提供された情報も参照できる。海外のデータとしては、米国国立衛生研究所、米国、英国、スイスの研究データを集めたUniProt Consortium、世界中の信頼できる情報源からのライフサイエンスの出版物や世界的なコレクションへのアクセスを可能にするオープンサイエンスプラットフォームであるEurope PMCなどの情報も含まれる。

本ポータルサイトは、すでに欧州で公開されている「COVID-19 Data Portal」の枠組みに賛同するかたちでスタート。日本の新型コロナウイルスの研究推進と、データ共有の円滑化に貢献する基盤として、今後も国内の多数の機関の協力を受けて情報を更新していくという。

COVID-19 データポータルJAPANから参照できる情報は以下のとおり(2020年10月5日10時時点)。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:新型コロナウイルスCOVID-19

コロナ禍を原動力にビデオ教育プラットフォームのKajabiが年間経常収益約63億円を達成

Kajabi(カジャビ)は米国ではおなじみの名前ではないかもしれないが、すでに多くの家庭でウェブホスティングとビデオ技術プラットフォームを利用している。

同社は創業以来黒字を続け、資金調達なしでやってきた。2019年11月にSpectrum Equity Partners(スペクトラム・エクイティ・パートナーズ)からマイノリティ投資を受け入れたが、ユーザーが急増しているKajabiにとっては付け足しにすぎなかった。

「新型コロナウイルスのパンデミックによりユーザーがこれまで以上に増えました。在宅勤務の労働者が仕事以外に何かやろうと思い始め、オンライン教育やトレーニングに参加するようになったようです」と同社は述べた。

BuzzFeed(バズフィード)とParamount Pictures(パラマウントピクチャーズ)でマーケティングエグゼクティブを務めたことがあり、現在はKajabiの最高マーケティング責任者であるOrlando Baeza(オーランド・ベザ)氏によると、過去1年間だけで同社の年間経常収益は8月に6000万ドル(約63億円)を超え、3月には顧客の売上高ベースで節目の10億ドル(約1050億円)を超えている。

同社は昨年11月に、Spectrum Equity Partnersからマイノリティ投資を受け入れた。10年以上前に創業して以来、同社にとって最初の外部資金調達となった。

商品トレーダーだったKenny Rueter(ケニー・ルーター)氏が設立したKajabiはThinkificやPatreonのような企業で、主にオンライン学習やビデオベースで活動する起業家向けのコンテンツを扱う。

「Kajabiではコンテンツを売れるだけではありません」とKajabiの社長であるJonathan Cronstedt(ジョナサン・クロンシュテット)氏はいう。「ウェブページ、ブログ、電子メールマーケティング、マーケティング・オートメーション、デジタル配信ができます。ウェビナーや見込み客のリストを作成するために必要なマーケティングも可能です。オンラインビジネスを行うために必要な一から十までを揃えるプラットフォームなのです」。

ゴールドラッシュで金を稼ぐ一番の方法がつるはしとシャベルを売ることだとするなら、Kajabiはセルフヘルプ、スタートアップガイド、貴重なアドバイスのセット、つまり現代のつるはしとシャベルを提供していると考えられる。

同社はセルフヘルプのレジェンドとしてBrendon Burchard(ブレンドン・バーチャード)氏、Danielle Leslie(ダニエル・レスリー)氏、Amy Porterfield(エイミー・ポーターフィールド)氏、最近では2020年8月にプラットフォームに加わったSophia Amoruso(ソフィア・アモルーソ)氏などが利用可能だと宣伝している。

「当社はビジネスに真剣に取り組む起業家、専門家、インフルエンサーのオンラインでの成功に力を貸したいと考えています」とクロンシュテット氏は11月、Spectrum Equityからマイノリティ投資を受けたときに筆者に語っている。

基本的に同社のツールキットは、企業が軌道に乗るのに必要なさまざまなソフトウェアが統合されてバンドルで機能する。Shopify(ショッピファイ)やWix(ウィックス)などのプラットフォームを統合してフルスタックのツールを用意する代わりを、Kajabiは企業のために行ってくれる。

「ダクトテープとワイヤーを使って、こうしたすべてのソリューションをまとめる方法は無限にあります」とクロンシュテット氏は語る。「企業はプラットフォームインテグレーターになろうと忙しすぎて、結局実現できていません。彼らは何も創り出せていないのです」。

100人以上の従業員を抱える同社はパンデミックが原動力となった軌道に乗っており、大規模な成長に向けた準備が整ったと言える。

実際、オンライン学習は現在2200億ドル(約23兆円)の世界市場であり、セルフヘルプ市場だけでも110億ドル(約1兆1600億円)だ(人々は多くの助けを必要としている)。同社はまた統計を引用して、副業を考えている米国人の割合は約35%、米国の労働市場に存在する「ソロプレナー(1人で事業を営む人)」は推定4000万人だとしている。

「創業以来、4100万人のユーザーに優れた教育コンテンツへのアクセスを提供し、顧客は10億ドル(約1050億円)を超える売上を生み出しました」とルーター氏は11月の声明で述べている。「当社は専門知識を世界に向けて共有する素晴らしい起業家と提携できること、そしてさらに多くの人々を支援できることを幸せを感じています」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Kajabi新型コロナウイルスオンライン学習

画像クレジット:emrVectors / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

トランプ米大統領の新型コロナ感染を受けて米株価が下落

トランプ大統領とその家族、主要スタッフのメンバーが新型コロナウイルスの陽性反応を受けたことを受け、米国株が売られている。このニュースは一夜にして出てきたもので、すべての主要な米国kの指数に重くのしかかっており、テック株も例外ではない。この記事を書いている時点で、この混乱の状況は以下のとおりだ。

  • ダウ工業株平均:先物は1.5%下落
  • S&P 500:先物は1.63%下落
  • ナスダック総合指数:先物は2.32%下落

ベッセマー・クラウド・インデックスのような小規模でより特定のバスケットの株式は市場前に同様の数字を発表しないため、このニュースとそれがもたらす可能性のある政治的不安定化が、最も高く飛んだハイテク産業の株式に与える正確な影響を見ることはできない。

周辺の関連情報を集めると、Datadogはマイナス2.9%。Salesforce(セールスフォース)はマイナス1.8%。Zoomはマイナス1.7%。Crowdstrikeはマイナス3.2%など。要するに、SaaSやクラウド株はテック株に比べてあまりいい結果にはなっていないようだ。

最近の直接上場銘柄であるPalantirはマイナス3.8%、Aasanaはマイナス3.4%となっている。そのほか最近のIPO銘柄も同様に下落しており、その中ではJFrogは取引開始前にマイナス5.8%、Snowflakeは市場前取引にマイナス4.6%だ。

トランプ大統領の診断を受けて株式市場が苦しんでいる理由は想像に難くない。すでに不安定な選挙が間近に迫っており、複雑な要因が投資家の信頼に悪影響を与えている。それは株にとって悪いことだ。完全に健康な大統領が 景気刺激策を実行に移すには絶好の機会となる。景気刺激策は、現在の混乱によって弱体化する可能性があるし、まだまだ続くかもしれない。

TechCrunchは日が続くにつれて市場に目を光らせるが、あなたの個人口座が日の初めよりも日の終わりのほうが良く見えることを期待しないでほしい。

カテゴリー:パブリック・ダイバーシティ
タグ:株式市場新型コロナウイルスドナルド・トランプ

画像クレジット:MarsYu / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ユナイテッド航空がSF-ハワイ線の乗客に15分で結果がわかる新型コロナ検査を提供、陰性なら隔離不要に

新型コロナウイルスの感染蔓延が続く中、「普段通りのビジネス」への道のりはまだ全く見えない。しかしUnited Airlines(ユナイテッド航空)は搭乗直前の新型コロナ検査を簡単に利用できるようにすることが移動の規制緩和に役立つかを確かめる新たな試みに乗り出す。同航空は新型コロナ検査(空港での迅速検査、あるいは郵送されてくる検査キットで旅行前に自宅で行う)をサンフランシスコ国際空港からハワイに向かう乗客向けに10月15日から提供する。

ユナイテッド航空はハワイ州の検疫対策の要件を満たすために州政府ならびに衛生当局と直接協業した。そのため、旅行前に受けた検査の結果が陰性だった乗客はハワイ到着後、義務化されている隔離をスキップできる。当然のことながら、一定期間の隔離はハワイのような人気観光地に旅行する際の大きな障壁だ。2週間という期間は、米国本土から訪れる人の典型的な滞在期間のほとんどにあたる。

ユナイテッド航空は検査の提供にあたって2社と提携した。在宅検査ではColorを利用する。医師によって指示され、サンプル到着後2日以内に結果を案内する。空港での検査はGoHealth(ゴーヘルス)のUrgent Careが行う。わずか15分で結果がわかるAbbot ID NOWを活用する。

もし乗客がColorを選択する場合、テストキットを少なくとも搭乗10日前にリクエストするようアドバイスされる。そして搭乗前72時間以内にサンプルを提出する。サンプルキットを期日内に受け取り、またフライト前に新型コロナウイルスに接触した可能性を極めて低くするべく結果を最新のものにするのが目的だ。Colorの検査を選択した乗客はサンプルをサンフランシスコ空港に設置するドロップボックス経由で提出することもできる。結果は離陸後に判明するが、陰性の場合は隔離期間を短縮できる。

空港で検査を受ける場合は、あらかじめサンフランシスコ国際空港の国際線ターミナルにあるテスト施設に予約を入れる必要がある。検査は太平洋時間午前9時から午後6時の間、毎日利用可能だ。

今回は試験プログラムにすぎないが、いい取り組みだ。というのもこの結果どうなるのか、隔離期間をスキップできるかを確かめるのは重要だからだ。移動後の2週間隔離はこのパンデミックで世界的にかなり広く導入されているが、ほとんどのところで検査結果や、検査をどのような手法でどれくらい最近受けたかにかかわらず意図的に隔離が求められている。

それは、現時点では検査の結果が必ずしも確実ではないからだ。たとえば無症状の人の感染を検知するのに、検出に十分なウイルス量がない場合は検査の有効性が低い可能性もある。そうすると偽陰性という結果になり、14日間の隔離義務が適用されない。

旅行、特に米国内の観光はハワイのような州にとっては経済を保つのに不可欠だ。広範での検査は米国、そして国際的にもこの手の経済活動を再開させるためのレバーとなりえる。しかしこうした手法が本格導入される前に綿密で入念な調査、衛生・健康専門家による精査、診断の精度と一貫性の改善が必要だろう。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ベルリン拠点のオンライン語学学習のBabbelはサブスク加入者1000万人達成と発表

ドイツ・ベルリンを本拠とするオンライン外国語学習サービスのBabbelは現地時間9月21日、サブスクリプションの登録者が1000万人になったと発表した。語学学習サービスの有料ユーザー数としては驚くべき数字だ。 Babbelは無料プランを提供していないのでなおさらだ。1000万人達成への道のりは新型コロナウイルスの感染拡大が加速した面もあるが、それ以前から登録者の伸びは著しいものがあった。大きな要因の1つは米国における積極的な拡大策だろう。ここではBabbelのサブスクリプション数も売り上げも対前年比で3倍になっている。

実はパンデミックかでさらに成長が続いたことはBabbelにとっても驚きだったという。外国語を学ぼうという動機は。、少なくとも米国の場合は夏休みなどを利用して外国旅行を計画することが大きな割合を占めていたからだ。

米国BabbelでCEOを務めるJulie Hansen(ジュリー・ハンセン)氏は私の取材に対して 「私たちは米国では外国語を学ぼうとする大きな動機は外国旅行であることが多かったのに気づいていました。外国旅行でその国の言葉を学習しておきたいのは納得できる理由です。事実、昨年は米国からヨーロッパへの旅行者数が新記録を作りました。しかし、今回の新型コロナウイルスの感染蔓延そのものについてはもちろんだが、Babbelのビジネスに与える悪影響についても心配しました」と述べた。

しかし多少の遅れはあったものの、米国を含む世界の各地で新型コロナウイルスによるロックダウンが実施された後、Babbelのサブスクリプション数は増え始めた。ロックダウンの期間を自己改善に利用することにした人々が多かったようだ。Babbleでは、高校生、大学生向けに無料の語学コースを開設して大人気となった。ハンセン氏によれば、この試みだけで「数十万のダウンロードがあった」という。この影響もあって同社のユーザーベースは年齢がやや若い層に振れた。なおハンセン氏は、ソーシャルメディア、特にTikTokでの広告も大きかったと考えている。

BabbelのCEOであるArne Schepker(アルネ・シェプカー)氏は「各国におけるサブスクリプション数のグラフを描けば 学校が閉鎖された日、ロックダウンがが実施された日、それにもしかするとNetflixで新しいドラマのシリーズが始まった日などをそれぞれ指摘できます(未訳記事)。そうした出来事からわずかに遅れてサブスクリプション数が増加しているのがわかります」と述べていた。

Babbelにとって今後の課題の1つはB2B分野だ。ここではBabbelもライバルは明瞭な減速を経験している。しかしハンセン氏が「新型コロナウイルスの感染蔓延に対応して社員研修のデジタル化を一層強化している企業もある」と述べているとおり、現実の教室におけるプログラムをBabbleのようなオンラインサービスに置き換えている会社も多い。市場全体として成長は減速しているものの、 BabbelはB2B分野の売上を対前年比で2倍に伸ばしている。またベルリンを本拠とするフードデリバリーのスタートアップであるDelivery Heroをユーザーに増やしている。

 Babbelは新型コロナウイルスの感染蔓延以前、2018年にLingoVenturaを買収したのを手始めとして旅行会話の分野に大型投資をしていた。シェプカー氏も「今のところ誰も外国旅行には出かけられずにいるためビジネスは低調だ」と認めている。しかし同社は近い将来この分野も回復するものと信じている。

Babbelでは近くハンセン氏が「別の学習メソッド」と呼ぶサービスをスタートさせる。ただし「学習者がいる場所に対応して多様な学習体験を提供する」という以外に具体的な内容はまだ明らかにされていない。

画像: Babbel

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

2021年MWCは新型コロナ影響で6月に延期、現地開催にはこだわりを見せる

過去数カ月、新型コロナウイルスによって物事を2021年に先送りすることは問題ではないということが驚くほどクリアになった。やや言いにくそうにしていたが、全米民生技術協会(CTA)は最終的に1月のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)をオンラインでのみ開催するという決断を下した。他のテックショーも同様で、良くてもまだ決まっていないだけのことだ。また、このほどベルリンで開催されたIFAのような例もあるが、それでもかなり収容人数を減らしての実施だった。

例年2月下旬から3月上旬にかけて開催されるMobile World Congress(MWC、モバイル見本市)はパンデミックのためにキャンセルされた最初の主要テックショーだ。それは当然のことながら土壇場での苦渋の決断だった。しかし今となっては主催者のGSMAが正しい判断を下したことは明らかだ。

今週、MWCの主催団体はフラッグシップイブニングはバルセロナで開催されるが、催しは数カ月後に延期されることを発表した。現在のところ、6月28日〜7月1日を予定している。もちろんそれまでに多くのことが起こり得る。新規患者の数は少なくなるかもしれないし、ワクチンの接種が始まるかもしれない。しかし現状では、MWCのような規模のショーを開催するというのはあまりにも楽観的のように思える。

スケジュール調整した結果、GSMAはMWC上海イベントを2月にもってくる。こちらは比較的小さいイベントだ。どちらのイベントもしっかりとしたオンライン開催の計画を準備することになる。たとえ物事がまったく計画どおりにいったとしても、参加する可能性のある人の多くが移動や人混みを敬遠するのはもっともなことだ。MWCのようなイベントはその後に開催される計画中のイベントをどのように扱うかにも影響を及ぼす。

ハードウェアのショーの扱いは確かに難しい。というのも、ハードウェアショーは直接デバイスを手にしていじれるというのが魅力だからだ。それは2020年にオンラインでのみの開催となったハードウェアのイベントに共通する欠点だった。そうしたショーはコンピュータースクリーンを通じて開催されるとなると存在感をかなり失ってしまう。

画像クレジット: Josep Lago / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Googleマップが近日中に新型コロナ感染者レイヤー表示を追加

Google(グーグル)は米国時間9月23日、Googleマップのアップデートを発表(Googleプレスリリース)した。新型コロナウイルスの感染は多くの国で広がり続けており、多くの人々が第2の波を恐れているが、Googleマップのユーザーは新しい機能を有効することで、人口10万人あたりの症例数に基づいて色分けされたマップを見ることができる。

  1. Google COVID19 Map

  2. Google COVID19 Map

  3. Google COVID19 Map

  4. Google COVID19 Map

このデータは、Googleマップが現在サポートしている220の国と地域のすべてで利用できるようになる。可能な場合は、データは都市レベルにまで粒状で参照できる。精度については、あくまでもグーグルが参照するデータに依存する。同社は現在、これらのデータを、新型コロナウイルス感染者の世界的な統計情報を収集しているJohns Hopkins(ジョンズ・ホプキンス)大学のは、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)とWikipedia(ウィキペディア)などのソースを元にしたもので、それらの情報は地方自治体や政府間組織から入手したものだという。つまり、グーグルが検索結果ページに新型コロナウイルス関連の情報を表示する際に利用している情報源と同じものだ。

この新しいレイヤーは今週から順次、AndroidとiOSのGoogleマップで展開されているので、表示されるまでには数日かかるかもしれない。一方、Googleマップのデスクトップですぐに利用できるようにする計画はなさそうだ。

画像クレジット:Kanawa_Studio / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

2020年米国の有料テレビ契約が過去最大の減少、新型コロナで消費者離れが加速

新型コロナウイルスによるパンデミックは、オンライングローサリーからマルチプラットフォームゲーミング、ストリーミングサービスに至るまで数多くのテクノロジーの浸透を加速させた。しかし恩恵を受けなかった部門が、従来型の有料テレビだ。eMarketerの新たな調査によると、ケーブル・衛星・電話回線テレビ業界はこれまでで最も多くの契約を失った。2020年に米国の600万世帯が有料テレビを解約し、コードカッター(有料テレビの契約をやめる)数は累計3120万世帯となる。

eMarketerは、この数字はさらに大きくなり、2024年までに4660万世帯に達するという。米国の3分の1の世帯が有料テレビを利用しないことになる。

こうした大幅な減少にも関わらず、有料テレビのサービスを利用している世帯の方が利用していない世帯よりもまだ多い。米国では現在7760万世帯がケーブル・衛星・電話回線テレビいずれかのサービスを利用している。しかしこの数字は前年比7.5%減で、過去最大の減少幅となった。2014年のピーク時よりも減っている、とアナリストは述べた。

画像クレジット:eMarketer

想像はつくかと思うが、有料テレビの利用者減はストリーミングサービスの普及によるものだ。しかし何よりも、パンデミックがコードカッティングの動きを押し進めた。健康危機により経済は停滞し、また2020年上半期はスポーツ生中継も減った。こうした傾向は、より多くの人にそうした状況に陥らなければ選択しなかったかもしれないコードカッティングを促した。

「消費者は、高い料金のために有料テレビの契約解除を選んでいる。特にストリーミングのサービスに比べて高価だからだ」とeMarketerの予測アナリストEric Haggstrom(エリック・ハガストロム)氏は話した。「2020年上半期にスポーツ生中継が減ったのがさらなる減少を招いた。スポーツは戻りつつあるが、人々はケーブルや衛星の古いサービスプランに戻らないだろう」と付け加えた。

有料テレビプロダイバーは、より利益が出るインターネットパッケージ商品に注力することで減少を食い止めようと試みてきた。インターネットパッケージは消費者が向かっているNetflix(ネットフリックス)やHulu(フールー)のようなサービスをサポートする。

有料テレビの契約減少に関連し、テレビ視聴の減少は広告業界にも影響を及ぼしている。

画像クレジット:eMarketer

テレビ広告に費やされた額は、2020年に15%減少し600億ドル(約6兆3000億円)に落ち込む見通しだ。これは2011年以来最も少ない。

ただ、この減少は部分的にはパンデミックによるもので、テレビ視聴と広告は2021年には回復することが予想されている。しかし、テレビ広告費は少なくとも2024年まではパンデミック以前の水準を下回るだろう、とアナリストは述べた。

もしかすると今後「普通」レベルに戻ることはないかもしれない。

「テレビ広告支出は経済の復活にともなって2021年にリバウンドするだろうが、パンデミック以前の水準には戻らないだろう。コードカッティングの傾向、ストリーミングビデオへの視聴者の流出、ストリーミングの成長を考えると、広告費は将来テレビからデジタルビデオにシフトする」とハガストロム氏は述べた。

カテゴリー:ニュース

タグ:新型コロナウイルス

画像クレジット;Erik Von Weber / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナでテック製造拠点の多様化、プロセス自動化が進む

世界のあらゆる業界同様に、製造部門も新型コロナウイルスに不意を突かれた。エレクトロニクス製造の大半を担っている中国は新型コロナの最初のグローバルエピセンターだった。そして当然のことながら業界は、世界が1世紀以上経験したことがなかったスケールのパンデミックの影響から逃れることはできなかった。

「いい対応ができた人はいない」とAnker(アンカー)の創業者でCEOのSteven Yang(スティーブン・ヤン)氏はDisruptのインタビューで語った。「みな不意を突かれたと思う。当社の中国オフィスでは、従業員は旧正月休暇の準備をしていた。最初の対応はというと、休暇が1週間延長され、その後さらにもう数日延長された。人々はただ仕事を休んでいた。いつ仕事に戻れるかは決められていなかった。その時期は最も憂慮するものだった。というのも、見通しが立っていなかったからだ。確実性を模索する必要があった。人々は自宅から働き、必需品を揃えたりしなければならなかった。最初の3〜4週間が一番カオスだった」

パンデミック初期のインパクトは、世界の隅々のハードウェア産業に衝撃を送るという連鎖反応を引き起こし続けた。2020年初め、世界中の誰もが新型コロナの新たな感染拡大はいくつかのエリアでのもので、そう遠くに及ばないだろうと高ををくくっていた。しかし最終的には世界の大部分が急停止することになった。

特に製造が業務停止で最初に苦しんだ。すぐに需要減という影響が供給面にも及んだ。経済停滞と失業の急増はさまざまなエレクトロニクスに対する消費者需要を直撃した。PCのような一部の部門はライフスタイルのシフトで恩恵を受けたが、全体的には可処分所得の減少は業界に大きな打撃を与えた。

製造面では、新型コロナはそれまでのトレンドを推進させる方向に作用した。「新型コロナがこの脱分極をある程度加速させたと思う」とArevo(アレボ)のCEO、Sonny Vu(ソニー・ブー)氏は説明する。「さまざまなソフト製品、ハードウェアを目にしている」。大半の時間をベトナム・ホーチミン市で過ごす同氏は、新型コロナの出現により中国以外のところで製造拠点が増加することになったと指摘する。製造拠点を置く場所として人気がある東南アジアやインドなどは、将来似たような問題が発生したときに備えようと製造拠点の多様化を検討している企業にとってこれまでにも増して魅力的になっている。

ロボティクスや自動化は、今後加速すると思われるもう1つの鍵を握る要素だ。メーカーは、病気になったりウイルスの感染の増加を心配する必要がない合理的なプロセスに目を向けている。

「自動化は効率的であるだけでなく、効果的だと信じている。当社はロボティック自動化にかなり投資した」とヤン氏は話す。「ワイヤを穴に挿し込むとする。この作業を行うロボットのコストは一定で、はっきりとはしないが労働者1人の給料20年分くらいだろう。全ての組み立てラインをロボットにするのはかなり困難だがやりがいがある」。

画像クレジット: Prasit photo / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

相乗りサービスは新型コロナで大打撃、東南アジア大手のGrabがその適応方法を語る

世界中の相乗り(ライド・ハイリング)サービスが新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けているが、Grabも例外ではなかった。同社は東南アジアで最も評価の高いテック系スタートアップの1つで8カ国で事業を展開している。同社の輸送事業は、3月と4月に移動制限令が発令されたことで急減した。

しかし、同社はすでにいくつかのオンデマンド物流サービスを運営しているという強みを持っていた。Disrupt 2020では、Grabのグループ・マネージング・ディレクターを務めるRussell Cohen(ラッセル・コーエン)氏が、前例のない危機に同社がどのようにしてテクノロジーを適応させたかについて聞いた。

同氏によると「危機が始まったときに、私たちはリーダーシップグループとして席を立ち、特に東南アジアでは、課題の規模が非常に巨大であることがわかりました」と振り返る。

Grabのドライバーアプリでは、すでに相乗りとオンデマンド配送のリクエストを切り替えられるようになっている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、14万9000人以上のドライバーが初めてオンデマンド配送を開始したそうだ。この数には、感染拡大中に失われた収益を補うためにプラットフォームに参加した数万人の新規ドライバーも含まれている。

課題は、消費者の劇的な需要増加に対応するための配送サービスのスケールアップであり、顧客にリーチするための新たな方法を必要としていた加盟店にも対応することでした。コーエン氏によると「3月と4月には8万社弱の中小企業が同社のプラットフォームに参加した」という。その多くはこれまでオンラインデリバリーを手掛けたことがなかったため、Grabはセルフサービス機能のリリースを迅速に進め、加盟店が簡単にサービスに登録できるようにした。

コーエン氏は「これは東南アジア経済の大規模な分野で、数週間のうちに効果的にデジタル化されました」と語る。

新規加盟店の多くは、以前は現金決済しか利用していなかったため、Grabはデジタル決済に対応させる必要があったが、このプロセスは同社の金融部門であるGrab Financialがキャッシュレス決済、モバイルウォレット、送金サービスのためのGrab Payなどのサービスをすでに提供していたため、スムーズに移行できたという。

Grabは「Grab Merchant」と呼ばれる新しいツールパッケージもリリースした。これは加盟店がオンラインでライセンスと認証を提出することで、オンラインビジネスを立ち上げることを可能にするだけでなく、データ分析などの機能を備えている。

ニューノーマル、不確実性のためのモデリング

新型コロナウイルス対策の戦略の一環として、Grabは各国の自治体や政府と協力して配送を効率化することに取り組んでいる。例えば、シンガポール政府と協力して9月に開始した「GrabExpress Car」(Grabプレスリリース)と呼ばれる試験的プログラムを拡大し、より多くのGrabの相乗り車を食料品や食料品の配達に利用できるようにした。従来、これらの配達の多くはバイクが使われていた。

シンガポール、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムなど、Grabの各市場の状況はまだ変化している。ロックダウン命令を解除した市場もあれば、新たな感染拡大に対処し続けている市場もある。

コーエン氏は、相乗りはGrabの多くの市場で徐々に回復していると述べた。しかし、同社はさまざまなシナリオをモデル化し、再閉鎖の可能性や、消費者と加盟店の両方の行動の長期的な変化を考慮に入れて不確実な将来に備えているという。

「予測不可能性というのは、私たちがよく考えていることです」と同氏。同社のビジネスモデルは、配送が大きな部分を占めているが、移動制限が解除された国でも、顧客はまだオンラインでの買い物を好むからだ。

新型コロナウイルスはまた、Grabのいくつかの市場でデジタル決済の採用を加速させた。例えば、Grabは3カ月前にフィリピンでGrabPayカードを発売(Grabプレスリリース)したが、これは新型コロナウイルスの懸念を受けて非接触決済を利用する人が増えてきたからだ。

オンデマンド配送については、同社は即日配送サービスであるGrabExpressを拡張し、もともとは相乗り用に開発された技術を応用して、ドライバーが集荷と配送をより効率的に計画できるようにしている。これは新型コロナウイルスの感染拡大の経済的影響によって、消費者の価格意識が依然として高いため、配送サービスのコストを下げることに役立つ。

「消費者の購買行動が変化したので、私たちは供給側、つまりドライバー側ついてを考えるとき、柔軟性を持つようにしなければならないということです」と同氏は締めくくった。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

新型コロナワクチン研究を狙う海外のハッカーと米国家安全保障局はどのように戦っているのか

諜報機関である米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)の活動は、ほぼ完全に秘密裡に行われており、NSAに対する報道は、多くの場合あまり好意的なものではない。だが同局は1年前に、新しいサイバーセキュリティ総局(Cybersecurity Directorate)を立ち上げた。この組織は昨年、同機関の最も目立つ部門の1つとして登場した。

サイバーセキュリティ総局はその活動の中心を、政府が高度な機密情報の通信に使用する、重要な国家安全保障システムの防御と保護に重点を置いている。だが同総局は、増えつつある海外のハッカーからのより新しく大規模なサイバー脅威との戦いでよく知られるようになった。昨年、ほとんどの最新コンピューターに備わるセキュアブート機能を狙った攻撃(NSAレポート)に対して警告を発し、ロシアの諜報機関にリンクされたマルウェア運用(NSAレポート)を暴露した。それらを公開することでNSAは、自宅の重要なシステムを守ることを支援しつつ、海外のハッカーがツールやテクニックを再利用することを困難にすることを狙っている。

しかし、サイバーセキュリティ総局がその仕事を始めてから6カ月後、新型コロナウィルスの世界的大流行が宣言され、世界の広範な地域ならびに米国はロックダウンされることとなった。このことはハッカーたちにギアチェンジと戦術の変更を促した。

NSAのサイバーセキュリティ担当ディレクターであるAnne Neuberger(アン・ノイバーガー)氏は、Disrupt 2020でTechCrunchに対して「脅威の状況は変わりました」と語った。「私たちはテレワークに移行し、新しいインフラストラクチャに移行しました。そしてサイバー攻撃者がそれを利用しようとするのを目撃してきました」と同氏は説明する。

公には、NSAはロックダウンの開始後に使用が急増したビデオ会議およびコラボレーションソフトウェアの安全性について助言を行い(NSAレポート)、仮想プライベートネットワーク(VPN)に関連したリスクについても警告(CBS記事)した。

しかし舞台裏では、NSAは連邦パートナーと、新型コロナウイルスワクチンの製造および配布の取り組みを保護するために協力している。これは、米国政府がOperation Warp Speed(ワープ速度作戦)と呼んでいるものだ。同作戦へのNSAの関与のニュースを最初に報じたのは、ウェブメディアののCyberscoopだ。世界中が、専門家が新型コロナウイルスの感染蔓延を終わらせる唯一の長期的な方法であると説明する、有効なワクチンの開発をめぐって競争をしている中で、NSAと英国ならびにカナダのパートナーは、新型コロナウイルス研究を標的とする、また別のロシアの諜報活動を公表した。

「私たちは米国政府全体を横断するパートナーシップの一部であり、それぞれが異なる役割を担っています」とノイバーガー氏は語る。「Team America for Cyberの一部として私たちが果たす役割は、 新型コロナウイルスワクチン情報を盗もうとする。さらにワクチンの情報を混乱させたり、特定のワクチンに対する信頼を揺るがせようとする、外国勢力の正体を理解することです」と続ける。

ノイバーガー氏は「ワクチンを開発している製薬会社を保護することは、何百万人もの米国人にワクチンを提供することになる、大規模なサプライチェーン事業のほんの一部に過ぎない」と語った。ワクチンの承認を任された、政府機関のサイバーセキュリティを確保することも最優先事項だ。

以下にセッションの要点をまとめる。インタビュー全体は記事最後のビデオで見ることができる。

TikTokが国家安全保障上の脅威である理由

TikTokが、アプリストアから排除される日が数日後に迫っている。米トランプ政権が今年初めに、中国資本のその所有企業が国家安全保障に脅威を与えているとして非難したためだ。しかし、政府はこのビデオ共有アプリがもたらす特定のリスクについて積極的に発表することはせず(未訳記事)、アプリが中国によるスパイ行為に利用される可能性があると主張しただけだ。北京政府は長年にわたり、米国に対するサイバー攻撃で非難されてきた。たとえば、2014年に発生した人事管理局からの機密の公務員名簿の大規模な漏洩(CNN記事)などが挙げられる。

ノイバーガー氏は、TikTokアプリのデータ収集の「範囲と規模」は、中国のスパイたちに、米国国民に関する「あらゆる種類の諜報活動の質問」の答を得やすくさせるという。同氏は、FacebookやGoogleなどの米国のテクノロジー企業も大量のユーザーデータを収集していることは認めている。しかし「特に中国が、自国以外の人びとから収集されたすべての情報を、どのように使用するのかについて、より大きな懸念があるのです」と指摘する。

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NSAは企業に対してセキュリティバグを非公開で開示

ノイバーガー氏によれば、NSAは発見して開示した脆弱性についてよりオープンにしようとしているという。同氏はTechCrunchに対して、サイバーセキュリティ総局は今年に入って民間企業と「多数」の脆弱性を共有してきたが、「それらの企業は自社名を明らかにすることを望んでいませんでした」と語った。

例外の1つは今年の初めに、NSAがWindows 10に重大な暗号化の欠陥を発見し、非公開で報告したことをマイクロソフトが認めたことだ。その欠陥を悪用することで、ハッカーがマルウェアをあたかも安全なファイルのように見せかけることが可能になっていた。このバグは非常に危険だったため、NSAは脆弱性をマイクロソフトに報告し、同社はバグを修正した。

わずか2年前にNSAは、発見したWindowsの脆弱性を、マイクロソフトに警告するのではなく監視目的に利用していたことを非難された。しかしこの攻撃手段はのちに流出し、多数のコンピューターにWannaCryランサムウェアを感染させるために利用(未訳記事)され、数百万ドル(数億円)単位の損害をもたらした。

スパイ機関としてのNSAは、ソフトウェアの欠陥や脆弱性を悪用して敵の情報を収集する。そのためには同機関は、政府がスパイ行為に利用できるバグを保持することを認めるVulnerabilities Equities Process(脆弱性公正手続き)と呼ばれる手続きを通過する必要がある(Wired記事)。

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カテゴリー:セキュリティ

タグ:Disrupt 2020 米国家安全保障局 新型コロナウイルス TikTok


画像クレジット:Brooks Kraft / Getty Images

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(翻訳:sako)

「遺伝子編集技術CRISPRは新型コロナ治療に欠かせない」とダウドナ教授は語る

最新の遺伝子編集技術、CRISPRの共同開発者であるJennifer Doudna(ジェニファー・ダウドナ)教授がDisrupt 2020に登場し「(CRISPRは)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以降のパンデミックに対する戦いで最も有効なツールの1つになる」と述べた。CRISPRはコンピューターソフトウェアと同様、目的に応じて柔軟にプログラムの組み替えが可能であり、やがて無数の治療法と検査法に応用されるだろうという。

ダウドナ教授はバーチャルカンファレンスにおけるインタビューで「CRISPRはすでにいくつかの分野で確実な成果を上げている」として明るい見通しを述べた。

「このテクノロジーが独特な存在である理由の1つは極めて柔軟性が高く、遺伝子編集において多様な目的のために利用できる万能ツールだという点だ。またウイルスを構成する要素を、的確に検知をするためにも利用できる。CRISPRはワクチンを作るために必須のものとなる」という。

これらの可能性は、CRISPRの本質による。このテクノロジーは、ウイルス中の特定の遺伝子配列ないし構造を極めて精密に探し出して操作することができる。特徴的な配列を発見し、切断することによってウイルスを不活性化できるのと同時に、ごく微量の検体からウイルスを発見するために用いることができる。

「これは、バクテリアがウイルスを探知する方法を利用するテクノロジーだ。我々はこのメカニズムをパンデミックの原因となるウイルスの検知に役立てることができる」という。

ダウドナ教授によれば、CRISPRの利点は3つある。第1は特定の遺伝子配列の検知だ。現在のウイルス検査の手法は、酵素とタンパク質の反応を利用している。しかしこの手法は間接的な証拠に過ぎず、特定のウイルスの存在を直接示すものではない。そのため信頼性とスピードは著しく制限される。ウイルスが細胞に侵入していても、特定の酵素と反応するようなタンパク質を生成し始めるまで検知できない。これに対してCRISPRはそのウイルスに特有な遺伝子配列そのものを検知するため、はるかに確実な発見ができる。「ウイルスの検知を、従来よりスピーディーかつ確実に行うことができる。ウイルスの存在を示す証拠が直接的であり、ウイルスの濃度との相関度も高いからだ」という。

第2にCRISPRタンパク質を利用したシークエンシングは、検索対象とするターゲットを容易に変更できる。「我々はCRISPRシステムのプログラムを簡単に書き換えることができる。新型コロナウイルスが突然変異しても、変異しない部分を検知の対象にすることができる。我々はすでにインフルエンザと新型コロナのウイルスを同時に検知する実験を進めている。これ自身もちろん非常に重要なテクノロジーだが、同時に将来現れるかもしれない別のウイルスに対しても簡単にピボットして検出ターゲットとすることができるはずだ。

 

上は非常に長いGIF画像。CRISPR CAS-9タンパク質がウイルスのDNAを探索し、特定の場所を発見して切断する様子を示している。(画像クレジット:UC Berkeley)

「今後もウイルス性パンデミックが、完全になくなることはないだろう。今回のパンデミックはいわば警告だと思う。次の新しいウイルスによる攻撃に対処する科学的な体制を整えておくことが重要だ」。

第3のメリットは、CRISPRベースの薬剤は製造にあたって用意すべき素材が、他のテクノロジーの場合よりもはるかに容易に入手できることだ。ワクチンにせよ、治療薬にせよ、多くの人々に迅速に供給するするためにはこの点が極めて重要になる。

CRISPRの実用化にあたって壁は、理論的なものではなく実際的なものだ。現在はまだ研究室における実験段階であり、人間の現実の疾病予防や治療に用いるためには、まだ長い審査過程が残っている。一部では人間に対する治験が始まっているし、新型コロナウイルス関連で審査がファーストトラックに載せられたものも多い。しかしコストの問題を別としても、まったく新しいテクノロジーであるだけに、実際に治療に利用できるようになるまでにはまだ時間がかかる見込みだ。

「これらの点が、バイオテクノロジーの進歩にあたって最も重要な課題になる。CRISPRを経済的な価格で、できるだけ多数の人々に提供できるようにすることが必要だ。将来、CRISPRが標準的な医療となって症例の少ない遺伝的疾病の治療ができるようになることを期待している。そのためには本格的な研究開発が必須となる」。

このテクノロジーを進歩させる最も有望な方向は、CRISPR Cas-Φ(ファイ)だ。基本的な仕組みは同様だが、Cas-Φの酵素は、はるかにコンパクトだ。もともとCas-Φはバクテリアなどの単細胞生物がウイルスやプラスミドから自己を防衛するためのメカニズムだからだという。「バクテリアが、独自のCRISPRを持ち歩いているとは誰も想像していなかった。しかし(我々が発見したところによれば)それは事実だ。興味深いのは、オリジナルのCRISPRよりはるかにサイズが小さいタンパク質である点だ。巨大タンパク質はターゲット細胞に導入することが難しい。CRISPR Cas-Φを利用して、コンパクトで効率が高い遺伝子編集ツールを作成できる可能性がある」。

ダウドナ教授のチームはCRISPRだけでなくCRISPR Cas-Φの共同発見者の1つであり、応用の可能性についてさらに詳しく説明してくれた。下にDisrupt 2020におけるインタビュー全体をエンベッドしておいたのでぜひご覧いただきたい。

カテゴリー:バイオテック

タグ:Disrupt 2020 CRISPR DNA COVID-19 新型コロナウイルス

画像クレジット:Alexander Heinl/picture alliance / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook