デジタル映画コレクションのMovies AnywhereがAI利用のライブラリー整理機能を追加

Movies Anywhere(ムービーズ・エニウェア)は複数サービスを横断してデジタル映画のコレクションを管理できるアプリだ。このほど、同アプリは膨張するライブラリーを整理しやすくする機能を追加した。

米国時間8月24日、Movies AnywhereはAIを利用した新機能「My Lists」を公開している。ライブラリーの映画をジャンル、俳優、シリーズ、テーマなどさまざまな要素に基づいて自動的にグループ分けする。

巨大なライブラリーを持つデジタル映画コレクターも、この機能を使えば、作品探しはNetflix(ネットフリックス)などの最新ストリーミングサービスと同じように推奨作品をスクロールしていくだけでよくなる。つまり、これまでのように購入順やアルファベット順に並んだ購入済み作品の無限に続くページをスクロールしていく代わりに、コンテンツが見つけやすいように整理されたリストをざっと見るだけでライブラリーに入っているもの簡単に見つけられる。

例えばあるシリーズの全作品を購入している場合、専用の列にまとめて表示される。これまで同じシリーズの作品の間に別の作品が挟まれた状態で探さなくてはならなかったのと比べて大きな改善だ。

「アクションスリラー」などの特定のカテゴリーや「強い女性の友情」などといった中心テーマの作品をたくさん持っていることに気づくこともあるだろう。映画の他の上映作品を絞り込むのに役立つかもしれない。

こうしてアルゴリズムが生成したリストは、編集することも可能で、タイトルを追加、削除したり、リスト全体を削除することもできる。

画像クレジット:Movies Anywhere

自分でリストを作ることもできる。お気に入りや家族と見たい映画のリストなど、好きなようにコレクションを編成できる。この機能は、買ったけれどもまだ見る時間を作れていない映画の「今度見る」リストを作るのにも使える。

Movie Anywhereアプリは何年も前からあるが、2017年の新プラットフォーム移行後、現在はDIsney(ディズニー)、Universal(ユニバーサル)、WB(ワーナー・ブラザーズ)、Sony Pictures(ソニー・ピクチャーズ)、および20th Century Fox(20世紀センチュリー・フォックス)が共同運営している。デジタル映画コレクターに向けた最大のセールスポイントは、さまざまなサービスから購入した映画をすべて一か所で管理できることだ。たとえばiTunes(アイチューンズ)、Vudu(ヴードゥー)、Prime Video(プライム・ビデオ)、YouTube(ユーチューブ)、Xfinity(エックスフィニティー)などが提供するデジタル・ダウンロードもそうだ。これまでは、あるタイトルを買ったかどうかを知るために、アプリからアプリへと切り替えなくてはならなかった。

My Listsは、アプリを最新であると感じさせるために同社が追加してきた数多くの機能の1つだ。たとえば2020年は、Screen Pass(スクリーンパス)というデジタル映画貸し借り機能を導入しており、その前にはユーザーが最大9人の友だちと鑑賞できる Watch Togetherという共同鑑賞機能を公開した。

新しいMy Listsは、Movies Anywhereのモバイルアプリ、デスクトプ版、およびストリーミングデバイスのナビゲーションバーで本日から利用できる。

関連記事:友人に映画を貸し出す「Screen Pass」機能をMovies Anywhereが正式公開
画像クレジット:Movies Anywhere

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

女優スカーレット・ヨハンソンがディズニーを訴訟、映画「ブラック・ウィドウ」の公開方法で

アベンジャーとしてのScarlett Johansson(スカーレット・ヨハンソン)の最盛期がバックミラーの中で遠ざかっていくような今日この頃、「Black Widow(ブラック・ウィドウ)」のスターは、契約違反でMarvel(マーベル)のオーナーであるDisney(ディズニー)を訴えた。訴状は今週、ロサンゼルスの高等裁判所に提出され、スタジオがスターとの合意に反して、映画を劇場公開と同時にDisney+でも公開したと申し立てている。

訴状は感情を混じえず次のように述べている。「ヨハンソン氏、ディズニー、マーベルそしてハリウッドの誰もが知ってるように、『劇場公開』は映画館に限定された封切のことである。ディズニーもこの約束をよく知っていたはずだが、その誓約への違反をマーベルに指示し、同作をそれが映画館で封切られたまさに同じ日にDisney+のストリーミングサービスで公開した」。

パンデミックは少なくとも短期間、映画が公開、消費される方法を抜本的に変えた。2020年、ディズニーとその他のスタジオは、映画をいきなりストリーミングで公開する方法を選んだ。映画館は必須のビジネスではないとして閉館され、映画館で観ることができる場合でも、遅れることが多く、観客数に減少が生じた。それを補う方法として、ストリーミングが選ばれた。最近では両者の違いが確定的なものとなり、映画館が再開しても同日ストリーミングが提供されている。

TechCrunchが入手した訴状のコピーによると、ストリーミングサービスに関するヨハンソン氏の懸念はパンデミック以前のものだ。訴状によると、ディズニーがストリーミングサービスであるDisney+を立ち上げたとき、ヨハンソン氏の代理人たちは、「ブラック・ウィドウが単独で劇場公開されることの確約をディズニー / マーベルに求めた。しかしそのときディズニーは、Disney+の会員数を増やすことに躍起になっていた。

訴状は2021年5月のマーベル主任弁護士からのメールを引用している。

映画の公開に関するスカーレットの前向きの意思を、私たちは完全に理解します。そして彼女の要求のすべては、映画が、私たちのその他の映画と同じく、広く劇場で封切られるという前提に基づいています。私たちは、それが計画の変更であることを理解し、これについて議論し、理解に到達する必要があります。その要求は、一連の(非常に巨額の)興行収入に基づいています。

(訳注:劇場公開への固執は「ストリーミングでの公開は、映画館の来館者そして興行収入を減らす」という前提に基づいている)

一方、ヨハンソン氏の弁護士であるJohn Berlinski(ジョン・ベルリンスキー)氏は、TechCrunch宛の声明で次のように述べている。「ディズニーが『ブラック・ウィドウ』のような映画をDisney+に直接公開して会員を増やし株価を上げようとしていることは公然の秘密だ。同社は新型コロナウイルスを口実に、その後ろに隠れてそれを行っているが、映画の成功の主因であるアーティストとの契約を無視し、その近視眼的な戦略を推し進めることは、彼らの人権を犯すことでもあり、それを法廷で証明しなければなりませんn。ハリウッドの才能がディズニーに対して立ち上がり、契約を尊重する法的義務があることを明らかにする行為は、ディズニーに対する最後のケースではないだけでなく、他のどんな企業に対しても行われるべきことです」。

この声明では、ディズニーが「新型コロナウイルスの後ろに隠れて」と述べているが、2020年に公開方式を考え直さなくてはならなくなったのはディズニーだけではない。残る疑問は、パンデミックは映画公開の意思決定において情状酌量の余地のあるものなのか、ということだ。本裁判の結果は、パンデミック後の大作の公開方法に対して、スタジオに大きな影響を与えるだろう。

更新:ディズニーは訴訟に対して次のようにコメントしている。

本件には、訴訟としての利害実体が何もありません。この訴訟は、新型コロナウイルスによるパンデミックの、恐ろしくまた長期にわたるグローバルな影響に対する思いやりのない無視であり、そのために特別に悲しくまた痛ましいものであります。私たちはヨハンソン氏の契約を完全に遵守しており、さらにまた「Black Widow」をPremier Access(Disney+プレミアアクセス)でDisney+上に公開することは、彼女がこれまでに受領した2000万ドル(約22億円)に加えて、さらなる報酬獲得を大きく強化するものであり、訴訟に値する被害は何1つありません。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Disney+Disney映画新型コロナウイルス裁判動画ストリーミング

画像クレジット:Amy Sussman/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アンソニー・ボーディン氏の最新ドキュメンタリー「Roadrunner」にはディープフェイク音声が使われている

米国時間7月16日、Anthony Bourdain(アンソニー・ボーディン)氏を描いたドキュメンタリー映画「Roadrunner」が米国の劇場で公開される。多くのドキュメンタリーと同様に、本作はインタビューや未公開シーンを含む数多くの記録映像から作られており、主人公の物語を自身の言葉で語らせようとしている。作品ではボーディン氏が2018年に自殺する前にカメラの前で話したことのなかった言葉も、彼の声で聞くことができる。

The New Yorker(ニューヨーカー)のインタビューに答えて、同作品の監督であるMorgan Neville(モーガン・ネヴィル)氏は、ボーディン氏に話して欲しかった発言が3つあったが、録音がなかったので代わりにソフトウェアを使って再現した、と語った。「彼の声のAIモデルを作りました」と同監督がNew Yorkerに語った。

それは簡単な仕事ではなかったようだ。別のGQのインタビューでネヴィル氏は、プロジェクトについて4つの会社と話をして一番良いところに決めたと語った。その会社は約10時間の音声をAIモデルに読み込ませた。ネヴィル氏が望むソフトウェアで再現するボーディン氏の正確な口調を決めるのには多大な労力が必要だった。作家で旅行家だった彼が文章を口述するやり方は長年のTV出演の間に大きく変わったからだ。

これまでに見たことのあるAIディープフェイクで人を騙すやり方と比べて、出来は悪くないが、倫理的にはやはり疑問が残る。私が知る限り、この映画にボーディン氏の声をAIで再現したことを示す情報開示はない。「この映画を見たら、わかっているもの以外、どのセリフをAIがしゃべっているのかは、たぶんわからないでしょう」とネヴィル氏はThe New Yorkerに話した「後日ドキュメンタリー倫理委員会を開くかもしれません」。GQのインタビューでは、ボーディン氏の遺族が彼に「トニーが生きていれば喜んだことでしょう」と言ったことを話し「私は彼の言葉を生き返らせようとしただけ」と付け加えた。

【編集部注】本稿(原文記事)はEngadgetで掲載された。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:映画合成音声ディープフェイク

画像クレジット:CNN / Focus Features

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nob Takahashi / facebook

スピルバーグ監督の映画会社AmblinがNetflixと契約、年間複数の新作映画を制作・配信へ

180度転換したかのような動きで、Steven Spielberg(スティーブン・スピルバーグ)監督が長年率いる映画製作会社Amblin Partners(アンブリン・パートナーズ)は、Netflix(ネットフリックス)向けに年に数本の新作映画を製作する契約を結んだと発表した。この契約はNetflixの躍進を反映したものであり、議論の余地はあるかもしれないが、伝説的な映画監督が、家庭での視聴を第一級市民とする映画界の新秩序を受け入れたことを意味する。

今回の契約はプレスリリースで発表されたが、AmblinとNetflixの幹部が語った社交辞令以外の詳細は明らかにされなかった。確かなことは、AmblinがNetflix向けに「年間複数の新作長編映画」を制作するということだけだ。

スピルバーグ監督はプレスリリースの中で「テッド(Netflixの共同CEO兼コンテンツ最高責任者であるTed Sarandos、テッド・サランドス氏)と私がパートナーシップについて話し合い始めた時から、新たな物語を新たな方法で観客に届けるすばらしい機会だということがはっきりしていました」と述べている。

数年前、Netflix作品をアカデミー賞から除外することを推し進めていると報じられたスピルバーグ氏にとって、それらの新たな方法はそれほどすばらしいものではなかった。

「テレビフォーマットにコミットした途端、テレビ映画になってしまう」と同氏は2019年3月にITVに語っている。「私は、いくつかの劇場で1週間に満たない期間(上映され)、形だけの資格を与えられた映画が、アカデミー賞のノミネート資格を得るべきではないと考えています」とも。

しかし、最終的にはその意見を推すことはなかった。スピルバーグ監督は誤解されていたのか、考えを変えたのか、あるいは空気を読んだのか、その後、自分の立場を改めた。彼はむしろ「劇場体験」を大切にし、守りたいのだと語っているが、これは現代のブロックバスターの先駆者の1人として理解できる。

Netflixにとっては、スピルバーグ作品を得られるという保証はないが、Amblinの作品を安定的に入手できるという点で当然ながら大きなメリットがある。一方のAmblinは、より伝統的な映画製作と配給を担うUniversal(ユニバーサル)との長年のパートナーシップを継続していくとのこと。Amblinは以前にもNetflixなどのストリーミングサービス向けに番組や映画を制作・配信しているが、今回の提携はこれまでで最も重要なものだ。

おそらくスピルバーグ監督とAmblinに、ストリーミングプラットフォームは消滅するどころかさまざまな意味で業界の未来であることを示唆したのは、新型コロナだったのではないだろうか。「劇場体験」が潜在的なスーパースプレッダーイベントであり、人々が自宅で「プレミア」を見る(そしてそのためにお金を払う)ことに完全に満足している世界では、柔軟に対応して物事が立ち直ることを願った方がいいのかもしれない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:NetflixSteven Spielberg映画Amblin Partners動画配信

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Aya Nakazato)

データ活用で映画の多様性を促進するJumpcutがAtomicから資金調達

Jumpcut(ジャンプカット)の創業者であるKartik Hosanagar(カーティク・ホザナガー)氏は、ウォートンスクールの教授だが、10年ほど前、変わった方法で夏休みを過ごした。脚本を書いたのだ。インドを舞台にした同氏の脚本は、プロデューサーの関心を集めたが、初めて監督を務めるインド人の映画へ資金を提供しようとする人はいなかった。

今では、多様なキャストを起用した映画が注目を集めている。2021年、Chloé Zhao(クロエ・ジャオ)氏が有色人種女性として初めて、また女性としては史上2人目にアカデミー賞監督賞を受賞した。また、前回の授賞式では、Bong Joon-ho(ポン・ジュノ)氏の「Parasite(パラサイト 半地下の家族)」が、英語以外の言語の映画として初めてアカデミー作品賞を受賞した。それでも、マッキンゼー・アンド・カンパニーの最新レポートによると、ハリウッドは業界の多様性の欠如により、毎年100億ドル(約1兆1000億円)を逸している

「少数派の声、少数派のストーリーにどのように賭けるのか」。ホザナガー氏は問う。「意識はあっても行動がともなわない。誰もその方法を知らないからです。私がJumpcutを興したのはそのためです。この会社は、私が20年間取り組んできたデータサイエンスと起業家精神が、仕事以外の場で私という人間と出会うことができる珍しい会社なのです」。

ウォートンでホザナガー氏は「AI for Business」プログラムのファカルティリーダーを務めている。同氏は、2016年にweb.comに3億4千万ドル(約374億円)で買収されたYodleの創業者だ。しかし、その次のベンチャーでは、データサイエンスの経験を生かし、表現力の乏しいクリエイターが携わるメディアプロジェクトのリスクを取り除くことで、ハリウッドの同質性に挑戦したいと考えた。

「ビジョンは、グローバルなコンテンツ制作において、よりインクルーシブな時代を築くことです」とTechCrunchに話した。

ホザナガー氏は2019年にJumpcutに取り組み始めたが、米国時間6月10日、Atomicが投資するこの会社はステルスモードから抜け出し、映画における少数派の声を高めるために活動する初のデータサイエンス主導のスタジオとしてスタートする。すでにこのスタジオでは、合計36回アカデミー賞にノミネートされたLawrence Bender(ローレンス・ベンダー)氏(「Pulp Fiction(パルプ・フィクション)」「Good Will Hunting(グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち)」)、エミー賞受賞プロデューサーのShelby Stone(シェルビー・ストーン)氏(「Bessie(ブルースの女王)」「The Chi」)、ショーランナーのScott Rosenbaum(スコット・ローゼンバウム)氏(「CHUCK(チャック)」「The Shield(ザ・シールド ルール無用の警察バッジ)」)などのパートナーを得て、12のテレビや映画のプロジェクトが進行中だ。

Jumpcutは、Y Combinatorをモデルとしたアプローチで、新しい才能をバイヤーやプロデューサーとペアリングする。まずアルゴリズムを使い、YouTube、Reddit、Wattpadなどのプラットフォームから何十万ものビデオをスキャンし、有望な才能を探し出す。このアルゴリズムは、幅広い分野から絞り込みをかけ、常に新しい視聴者を獲得しエンゲージメントを高めるクリエーターを見つけ出す。そして、Netflix、BuzzFeed、CBS、ソニー、WarnerMediaのアドバイザーや出身者を含むJumpcutチームが、誰とつなげるべきか見極める。

ホザナガー氏は、このアルゴリズムの成功例として「The Expanse(エクスパンス)」や「Shadowhunters(シャドウハンター)」などの番組に出演している女優のAnna Hopkins(アナ・ホプキンス)氏を挙げた。ホプキンス氏はカメラの前で成功を収めているが、執筆活動もしたいと考えている。

「私たちは彼女の短編映画をいくつか発掘しました。アルゴリズムがそれらを割り出した理由は、人々がコメントで『心温まる。良い意味で』とか『ティッシュをちょうだい』などの強い感情的な反応を示したからです」とホザナガー氏は説明する。ホプキンス氏は作家として広く知られているわけではないため、脚本を売り込んだテレビネットワークを通じてJumpcutが見出したのだと同氏は思っていたが、そうではなかった。「私たちは『いえ、私たちのアルゴリズムがあなたを見つけたのです』と話しました」。

Jumpcutがクリエイターを見つけた後は、10万人以上の潜在的な視聴者を対象にアイデアのA/Bテストを行う。その過程で、データサイエンスにより、そのアイデアが売れることを出資者に証明することができる。

「構想としては、クリエイターが従来のハリウッドエージェンシーに見い出されるのを待つのではないということです。クリエイターがトップエージェントにアクセスする必要があるなら、また旧来のボーイズクラブに戻ってしまうからです」とホザナガーは話す。「私たちは、そうしたプロセスの多くを自動化し、ハリウッドのエージェンシーが見つけてくれるのを待つのではなく、視聴者の心に響くすばらしいストーリーを作っている人たちを発掘しています」。

クリエイターは、幅広い視聴者に受け入れられるアイデアを思いついたら、インキュベータープログラムであるJumpcut Collectiveに招待される。このプログラムで、アーティストは6週間かけてコンセプトからピッチまでアイデアを発展させる。次に、Jumpcutがプロジェクトを制作パートナーやバイヤーとマッチングする。

これまでに、Jumpcutは3つのインキュベータープログラムを開催した。ホザナガー氏によると、現在進行中の12のJumpcutプロジェクトのうち、9、10のプロジェクトがインキュベーターから生まれたものだ。例えば、あるプロジェクトでは現在、ディズニーのアジア太平洋部門と提携して制作を進めている。

Jumpcutは、今回のシードラウンドでの調達額を公表していないが、Atomicが唯一の投資家であることは認めた。

ホザナガー氏のこのプロジェクトには、かつての教え子であり、BuzzFeedの元プロダクトマネージャーであるDilip Rajan(ディリップ・ラジャン)氏と、Super Deluxeのオリジナル担当SVPを努め、CBSにも在籍したWinnie Kemp(ウィニー・ケンプ)氏が加わった。ケンプ氏は、ネイティブアメリカンが主役の初の番組「Chambers」や、耳の不自由なクリエイターとキャストを起用した初の番組「This Close」の制作総指揮を担当した。調達した資金のほとんどは、インキュベーターを運営するプロダクト側のエンジニア、データサイエンティスト、プロダクトマネージャー、クリエイティブ側の制作幹部などの給与に充てられる。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:映画資金調達Jumpcut多様性

画像クレジット:Jumpcut

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンが老舗映画製作会社MGMを約9210億円で買収、ストリーミング競争にさらなる勢い

大型のメディア統合が続いている。Amazon(アマゾン)によるMGM買収の噂が駆け巡った翌米国時間5月26日、オンライン小売大手Amazonは100年近い歴史を持つ映画製作会社を84億5000万ドル(約9210億円)で買収すると発表した

買収はAmazonがストリーミング分野における競争を勝ち抜くための、映画4000本をともなう新たな策となる。MGMの作品リストには「James Bond(ジェームズ・ボンド)」や「Rocky(ロッキー)」シリーズ、そして「Fargo(ファーゴ)」「Robocop(ロボコップ)」から「Silence of the Lambs(羊たちの沈黙)」に至るまでのクラシック作品などがある。また1万7000超のテレビ番組も含まれる。取引が完了すれば、すぐさまAmazonのプライムビデオプラットフォームはそうした作品へのアクセスが自由になり、これによりAmazonはNetflixやHulu、HBO Maxといったライバルに対抗できる。

Disney+のような映画製作会社のストリーミングプラットフォームの立ち上げで目にしたように、買収取引は既存の契約が終了し次第、競合サービスからコンテンツが消えるという結果になりそうだ。「取引の真の資産価値は膨大なカタログにあるIPの宝の箱です。当社はこれをMGMの才能あるチームと一緒に再考し、開発する計画です」と Amazon Studios/Prime VideoのシニアバイスプレジデントであるMike Hopkins(マイク・ホプキンス)氏はリリースで述べた。「非常にエキサイティングで、高品質のストーリーテリングの多くの機会を提供します」。

Amazonはまた、古い映画を保存する取り組みも行うと話す。発表資料には、高齢の人と若い人の結婚で聞くような一般的な文言が並んでいる。MGMの取締役会会長Kevin Ulrich(ケビン・ウルリヒ)氏は次のように述べた。「ハリウッドの黄金時代を生み出してきたMGMのライオンが名高い歴史を継続させ、United Artistsの創設で生まれたアイデアが才能ある人と彼らのビジョンによって創業者が当初意図した方法で生き続けることをとても誇りに思います。MGMの名高い歴史をAmazonに合流させるというのは刺激的な組み合わせです」。

もちろんAmazonは、自前の製作会社と配給会社を通じてオリジナルコンテンツをすでに積極的に展開している。映画に関していうと、同社はアカデミー脚本賞を獲得した有名作品「Manchester By the Sea(マンチェスター・バイ・ザ・シー)」を制作し、その他の作品には「Transparent(トランスペアレント)」がある。Amazonは「Lord of Rings(ロード・オブ・ザ・リング)」を元にした大規模(そしてかなり費用がかかる)シリーズにも乗り出している。

Amazonが潤沢な資金で成長してきた一方で、MGMにとって21世紀はかなり厳しいものだった。MGMは何度か所有が変わったのちに米連邦破産法11条の適用を申請した。同社は再建され、債権者が主導権を握った。

AmazonによるMGM買収は、DisneyとFox、ViacomとCBS、AT&TとTime Warnerなどを含む相次ぐメディア統合の最新事例だ。これらの巨大な取引と同様、MGM買収も当局の審査次第となる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazon買収MGM映画

画像クレジット:MGM / MGM

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ネットフリックスが「ガンダム」を実写映画化、「キングコング:髑髏島の巨神」のロバーツ監督がメガホン

ネットフリックスが「ガンダム」を実写映画化、「キングコング:髑髏島の巨神」のロバーツ監督がメガホン

Gundam Factory Yokohama

Netflix が『ガンダム』シリーズの実写映画を独占配信します。ガンダムが長編映画として実写化されるのはこれが初めて。

制作はレジェンダリーが手掛け、監督は『キングコング:髑髏島の巨神』のジョーダン・ヴォート=ロバーツが担当します。実写映画版『ガンダム』はネットフリックス配信に加えて、中国ではレジェンダリーが劇場公開する計画。

ネットフリックスが「ガンダム」を実写映画化、「キングコング:髑髏島の巨神」のロバーツ監督がメガホン

Jordan Vogt-Roberts

脚本はブライアン・K・ヴォーン。マーベルやDCほかアメリカンコミックスのストーリー執筆で受賞多数のほか、オリジナルの『Saga』ではヒューゴー賞も獲得したライターで、Lost などテレビシリーズの脚本も手掛けています。ヴォーンは映画プロデューサー ケール・ボイターとともに製作総指揮にも名を連ねます。

ネトフリ / レジェンダリー実写ガンダム映画のストーリーやキャスト、舞台設定等はまだ非公開。「ガンダムユニバース」の実写長編映画になるとされているのみで、オリジナルのガンダムを含む多くのシリーズが含まれる「宇宙世紀」ものになるのか、独自の世界観になるのか、あるいは西暦なのか正暦なのか未来世紀なのかAC、AW、CE等々なのかも分かりません。

(仮に本流の宇宙世紀だったところで、テレビ向け実写作品の『G-SAVIOUR』(ジーセイバー)も宇宙世紀なのでどうなるか分かりませんが)。

ネットフリックスが「ガンダム」を実写映画化、「キングコング:髑髏島の巨神」のロバーツ監督がメガホン

©創通・サンライズ

映画の配信・公開時期についても現時点では発表なし。

まだまだ分からないことばかりですが、ネトフリにとっては世界市場に向けてガンダムシリーズを拡大させる役割の作品であること、レジェンダリーにとっては当然中国国内で失敗しないのが重要であることを考えると、日本人のガンダムファンにとっての共有知識を前提とした作品や、年表のスキマに押し込むような作品になる可能性は低そうです。

動く実物大ガンダムは夜も素敵

ガンダム仕様のPepper君が接客するコラボカフェに行ってみた

About Netflix – Jordan Vogt-Roberts To Direct Live-Action Film Adaptation Based On Iconic Gundam Universe

(Source:NetflixEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:映画(用語)エンターテインメント(用語)ガンダム(製品・サービス)Netflix / ネットフリックス(企業・サービス)Legendary Pictures(企業)

インディーズ映画制作者にAIを活用したVFXを提供するWonder Dynamicsが2.7億円を調達

最近の映画作品には必ずと言っていいほど視覚効果が必要とされているが、インディペンデントクリエイターには、最高のCGを手に入れるための資金やノウハウが不足していることが多い。VFXエンジニアのNikola Todorovic(ニコラ・トドロヴィッチ)氏と俳優のTye Sheridan(タイ・シェリダン)氏が設立したWonder Dynamics(ワンダー・ダイナミクス)は、AIを活用することで、予算の少ない映画制作者でもそうしたプロセスを利用できるようにすることを目指している。このたび同社が、その実現のために250万ドル(約2億7000万円)を調達した。

同社の設立は、2017年にシェリダン氏とトドロヴィッチ氏がRodrigo Garcia(ロドリゴ・ガルシア)監督の映画「Last Days in the Desert」の撮影現場で出会ったことがきっかけとなった。彼らは、大規模なスタジオ映画で利用されていたツールを、誰でも使えるようにすることにチャンスがあると考えたようだ。

Wonder Dynamicsは、そのツールが正確には何をするものなのかについては、とても口が堅い。Deadline(デッドライン)ニュースでMike Fleming Jr(マイク・フレミング・ジュニア)氏は、その限定的なデモを見た上で「ほどほどの予算で世界を創造する分野の、どのような部分で価値を発揮できるかがわかります。対象のプロセスを、すばやくしかも従来のコスト構造の何分の1かで、行うことができるようになるでしょう」と語った。だがそのコメントを読んでも何かが詳しくわかったよう気はあまりしない。

シェリダン氏とトドロヴィッチ氏はWallace Pro(ウォーレス・プロ)という名のこのシステムについて、仕上げや特定の効果ではなく、ある種のVFXの煩雑な作業を代行してくれるものだと説明した(彼らは私が送った質問に2人で答えてくれた)。

「私たちは、CGキャラクターやデジタルワールドを含むコンテンツのプロダクションとポストプロダクションの両方のプロセスを、大幅に高速化するAIプラットフォームを構築しています。プラットフォームの目的は、プロセスの『客観的』な部分を自動化して、アーティストに創造的な『主観的』作業を任せることで、こうしたプロダクションに関連するコストを削減することです」と彼らは語っている。「こうすることで、予算を上回るビジョンを持つ映像制作者に、より多くの機会を与え、力を与えることができればと考えています。多くは説明しませんが、このシステムはアーティストの具体的なニーズに応じて、映画制作の3つのステージ(プリプロダクション、プロダクション、ポストプロダクション)すべてに適用することができます」。

こうしたことから、彼らのシステムはワークフローを改善するものだと思われる。それを使うことで広く使われているエフェクトを実現するための時間が短縮され、そのために必要な費用が削減されるのだ。はっきりさせておきたいのは、これはWonder Dynamicsが別途開発中の、映画プロダクションの過程でバーチャル・インタラクティブ・キャラクターを作成するための、特定目的の製品(間違いなく同社の初期アプリケーションではあるが)とは違うものだということだ。

この技術は小規模なテストが行われているが、2021年の後半にはプロダクションに投入できる機能を備える予定だ。「この技術を一般に公開する前に、この技術を使用する最初の映画制作者を厳選して、高いレベルの映画が制作できるかどうかを確認したいのです」と彼らはいう。第一印象は大切だからだ。

今回の250万ドル(約2億7000万円)のシードラウンドにはFounders Fund、Cyan Banister、Realize Tech Fund、Capital Factory、MaC Venture Capital、Robert Schwab(ロバート・シュワブ)氏が参加した。シェリダン氏とトドロヴィッチ氏は「テクノロジーと映画の交差点にいる私たちは、この2つの産業が将来的にどれだけお互いに依存するかを理解している投資パートナーを得たいと思っていました」と語る。「Founders Fundと並んで、MaC Venture CapitalやRealize Tech Fundにも協力してもらえたことは幸運でした。両ファンドのおかげで、シリコンバレーとハリウッドのベテランを組み合わせたユニークなファンドを得ることができました」。

ご想像のとおり、Wonder Dynamicsはこの資金を、エンジニアリングとVFXチームの規模を拡大し、製品のさらなる開発と拡張を行う……それがどういう製品であるにせよ。

まあ彼らのアドバイザリーボードがきちんと機能していれば、間違いを犯すことは難しいだろう。彼らは「私たちは、非常に幸運なことに、AIと映画の両方の分野から最も優秀な人材を迎えることができました」と彼らは語っているが、それは決して誇張ではない。現在のアドバイザリーボードに含まれているのは、Steven Spielberg(スティーブン・スピルバーグ)氏とJoe Russo (ジョー・ルッソ)氏(映画制作とイノベーションに関する明らかな天才)、UCバークレー校ならびにGoogleのAngjoo Kanazawa(アンジュ・カナザワ)氏とMITのAntonio Torralba(アントニオ・トラルバ)氏(ロボットと自律性に関する長年のAI研究者)、そして「会社をどのように前進させるかを考えているときに、豊富な知識を提供してくれる」映画界や金融界の数多くの人たちだ。

AIは多くのハイテク企業や企業の内部に深く組み込まれて、その業界ではしっかりとした収益源となっているが、クリエイター主導の映画やテレビの世界では、まだ縁遠い概念のままだ。それでも、「The Mandalorian(マンダロリアン)」の撮影に使用されたILMのStageCraft(ステージクラフト)のようなハイブリッド制作技術は、従来の3Dモデリングやゲーム制作に使用されていた技術が、映画制作にも十分適用できることを示している、それどころか場合によってはライブ配信さえも可能なのだ。NVIDIA(エヌビディア)やAdobe(アドビ)といった先駆者たちが示しているように、AIはますます世界の一部になってきていて、それが映画に取り込まれるのは必然のように思える。たとえそれが正確にはどのような形になるかを今いうのは難しいとしても。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:映画VFX動画撮影 / 動画編集Wonder Dynamics資金調達エンターテインメント

画像クレジット:Wonder Dynamics

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

ネットフリックスとソニー・ピクチャーズが映画の公開後独占配信契約を発表、2022年以降作品対象

ネットフリックスとソニー・ピクチャーズが映画の公開後独占配信契約を発表、2022年以降作品対象

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Netflixがソニー・ピクチャーズの劇場公開後作品に関する独占配信権を獲得したことを明らかにしました。これにより、Netflixは2022年以降の作品について公開終了後18か月間は独占で配信できることになります。この権利は複数の配信サービスが争っていましたが4年間で10億ドル(約1093億円)のオファーをしたNetflixの手に渡ったとのこと。

まだまだ長引くパンデミックの影響を考えると、ソニーの映画が公開終了後どれぐらいの期間をおいてNetflixで観られるようになるのかはまだはっきりとはしていません。それでも年間数十のメジャーな作品が公開後ソフト発売された後とはいえ、単一のストリーミングサービスでのみ配信されるとなれば、Netflixにとって潜在的顧客にさらなる加入の動機を与える可能性はありそうです。Netflixはマーベル作品やピクサー作品がDisney+に引き戻され『フレンズ』や『The Office』など人気ドラマもHBOやPeacockに奪われてコンテンツ力の弱体化が株主に懸念されていました。

この契約では、ソニーが劇場をスルーしてダイレクトに配信に回すことを決めた作品についても独占権が与えられます。知られた例としては、トム・ハンクスの主演・監督作『グレイハウンド』がApple TV+で独占配信された例があります。現在は上映を再開する劇場も増えたこともあり、作品が行き場をなくす可能性は減っているかもしれないものの、それでも6月にNetflixで配信される『Fatherhood』のように劇場をスルーし配信で初公開になる事例は、今後も出てくるでしょう。

また、独自のストリーミングサービスを持たないソニーにとっても、この契約は公開終了後の作品の次の収益源としてNetflixの集金能力を活用する良い契約と言えそうです。

ちなみにUniversalやFoxもまた、現在のHBOなどとの独占契約終了時期が近づいており、劇場公開終了作品の行先となるストリーミングサービスを検討しているとされています。

(Source:Sony PicturesEngadget日本版より転載)

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中央大学とスクエニが「特殊講義(ゲームプランニング)」を国際情報学部で開講

 

  1. 中央大学とスクエニが「特殊講義(ゲームプランニング)」を国際情報学部で開講

スクウェア・エニックス中央大学は4月8日、「特殊講義(ゲームプランニング)スクウェア・エニックス協力講座」を開講すると発表した。同講座は、2021年9月より国際情報学部の開講科目として実施する。教養豊かな国際的人材育成を目的として2018年に締結した、人的・知的資源の交流と活用を図る連携協定に基づくものという。

プログラミングやグラフィックスといったゲーム開発固有の専門知識だけでなく、ローカライズ(翻訳と異文化対応)や人工知能、映画制作の視点からみる映像ディレクションなど、バラエティに富んだ講義をスクウェア・エニックスの現役社員が13回にわたり展開する。

中央大学 国際情報学部は、「『情報の仕組み』と『情報の法学』の融合」を理念に掲げ、2019年4月に開設された学部。国際社会が抱える情報の諸課題を多角的に分析・解明した上で、その問題の解決策を論理的に構築し、国際社会に受容される情報サービス・政策を実現できる人材の養成を目的としている。

同講座は、ITや映像制作・AIなどのコンテンツ開発技術という「情報の仕組み」と、世界市場での事業展開に不可欠な法規制・文化慣習への対応という「情報の法学」の両側面において、スクウェア・エニックスの知見を盛り込んだ実務的かつ多面的な内容としているという。

スクウェア・エニックスと中央大学は、今後も教育・研究分野において協定に基づいた相互協力を推進し、社会の発展と教養豊かな国際的人材育成に貢献する。

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「マンダロリアン」シーズン2撮影用のリアル空間を創り出す巨大な高解像度LEDディスプレイをILMが公開

2020年の「The Mandalorian(マンダロリアン)」シーズン1は、すばらしいテレビドラマであっただけでなく、映画およびテレビ制作のまったく新しいパラダイムの成果でもあった。ILMが「マンダロリアン」シーズン1の撮影に使用した巨大なLEDウォールStagecraft(ステージクラフト)は、その後、サイズが大きくなり、アップデートされ、より良く、より早く、より簡単に使えるようになった。

メイキング動画では、ILMの監督やその他のスタッフが、それによって何もかもが楽になったと語り、バージョン2.0の改良点を数え上げている。

Stagecraftで最も目につくのは、その「大きさ」だ。それは2階建ての高さの壁と天上を構成する高解像度LEDディスプレイだ。それに囲まれた中に実際のセットが組まれるのだが、そこに生み出される大きな空間は実にリアルだ。正しい方法で撮影を行えば、その仮想背景と本物の景色との見分けはつかなくなる。

とにかく巨大なため、ロケと精密なセットをかけ合わせた撮影が可能になる(しかも天候や移動スケジュールを気にせずに済む)のだが、何よりも数十年間、役者がその前に立たされ続けてきた音響スタジオや移動式のグリーンバックよりもずっと優雅だ。それだけではない。制作上の性質が異なる数多くの作業工程を、1本にまとめてくれる。

「みんなが同じページに立てるようになったことが、このシステムのすばらしいところです」と、ILMで「マンダロリアン」のエピソードを(それに映画も)数多く制作した監督Robert Rodriguez(ロバート・ロドリゲス)氏は話す。「それは役者をインスパイヤーし、制作スタッフをインスパイヤーし、さらに今何を撮っているのかが、わかるようになりました。まあ、ついにライトを点けて絵を描けるようになったという感じです」。

Stagecraftは大成功という以外にないように思われるが、それでもまだまだ開発の途上にある。エンド・ツー・エンドのシステムとして、それには何十ものレンダラー、カラーコレクション・システム、カメラ、プリプロダクションおよびポストプロダクション用ソフトウェア、そしてもちろんLEDウォールそのものが必要となり、それらは常に進化している。

画像クレジット:ILM

「シーズン2までに、ILMはこの技術とこのハードウェアの機能のための専用ソフトウェアをいくつも開発しました」と、同番組のエグゼクティブプロデューサーであり、映画制作用新技術の不屈の後援者であるJon Favreau(ジョン・ファヴロー)氏はいう。

制作チームからは、具体的な要望が数多く寄せられていた。加えて通常のバグ修正と性能向上の作業が、ワークフォローの改善につながっていった。さらに、ディスプレイのサイズも大きくなり、画質も向上した。

「より効率的なワークフロー作りにも力を入れるよう促されました。プリプロダクション、ポストプロダクション、メインの制作を1本のパイプラインにつなげたのです」とファブロー氏は話す。通常のロケやグリーンバック技術よりも自然で美しい上に、1日に消化できる台本のページ数が30〜50パーセント多くなった。これはどのプロデューサーに聞いても、信じられないと驚くだだろう。

ILM、Disney(ディズニー)、Unreal(アンリアル)その他の企業が力を合わせて実現したこの技術とパイプラインの改良の様子は、さらに深く追いかけていく。それまでは、下のメイキング動画を楽しんでいただきたい。

 

カテゴリー:ハードウェア
タグ:ILMThe Mandalorianディスプレイ映画Disney+

画像クレジット:ILM

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(文:Devin Coldewey、翻訳:金井哲夫)

ネットフリックスが東宝スタジオの2棟を複数年貸借、国内実写作品の制作能力を強化

ネットフリックスが東宝スタジオの2棟を複数年貸借、国内実写作品の制作能力を強化

Netflix / TOHO

Netflixは日本を代表する撮影所のひとつ『東宝スタジオ』と、ステージ2棟および関連施設を2021年より複数年にわたって貸借する契約を結んだことを明らかにしました。

世田谷の東宝スタジオは1932年の竣工から今日に至るまで、『ゴジラ』シリーズをはじめ多数の映画が撮影された日本最大級のスタジオ。約2万4000坪の敷地に撮影ステージ10棟を含む関連施設を備えます。

うちネトフリが利用するのは、

・No.7ステージ(957㎡)
国内最大級のキャットウォークまでの高さ約11メートルを誇り、広さは約300坪と東宝スタジオの中で最も体積が大きいステージ。
・No.10ステージ(658㎡)
有効面積200坪の「使いやすさ」を追求した最新鋭の撮影用ステージ。
・アクターズセンター 2室
・プロダクションセンター 1室

ネットフリックスが東宝スタジオの2棟を複数年貸借、国内実写作品の制作能力を強化

TOHO

TOHOスタジオ株式会社 代表取締役社長 島田充 氏コメント

「東宝スタジオは1932年の開業から今日まで、世界に開かれたスタジオとして、映画・配信コンテンツ・CMなどのあらゆる才能を応援して参りました。今回このような連携を通して、Netflix様に東宝スタジオの仲間に加わって頂けることを心より歓迎します。これからも私たちは、世界中のお客様に心揺さぶるエンタテインメントをお届けします。」

Netflix プロダクション・マネジメント部門 小沢禎二 氏コメント

「東宝スタジオ様の世界水準のステージを舞台に生み出される作品を、世界中のメンバーにお届けできることを大変嬉しく思います。今回の取り組みは、数年前、Netflixがグローバルスタジオとしての機能を強化しはじめた頃には想像し難かった夢の実現であり、国内での作品づくりを大きく前進させるものだと感じています。昨年から先の見えづらい状況が続いておりますが、今回の取り組みが弊社作品の関係者及び広く映像業界にさらなる活気をもたらすものと期待します。」

ネトフリは世界2億人を超える有料会員数を背景に、国内アニメスタジオとのパートナーシップ締結など、世界各国で映像制作の環境を大きく変えてきました。日本発の実写ネトフリ作品はすでに多数が作られていますが、ネトフリが日本国内でみずから制作スタジオを貸借し長期的な拠点を設けるのは今回が初めてです。

About Netflix – Netflix、東宝スタジオを舞台に、国内発の実写作品の更なる拡充に前進

(Source:Netflix東宝Engadget日本版より転載)

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タグ:映画(用語)エンターテインメント(用語)東宝(企業)Netflix / ネットフリックス(企業・サービス)日本(国・地域)

Disney+が今後数年以内にスター・ウォーズシリーズ10作品とマーベル・シリーズ10作品の独占配信を発表

Disney(ディズニー)は米国時間12月10日、Disney+、Hulu、ESPN+、Hotstar / Starなど、消費者に直接配信するストリーミング事業の計画について投資家向け説明会で発表した。

この説明会ではまず、同社のストリーミング事業全体で1億3700万人を超える加入者を獲得していることが発表された。その内訳は、Disney+が8680万人(そのうち約30%はインドの既存ストリーミングサービスを活用[未訳記事]したDisney+ Hotstarの加入者)、Huluが3880万人、ESPN+が1150万人だ。

メディア&エンターテイメント配信部門のKareem Daniel(カリーム・ダニエル)会長は、説明会の最初の段階で、すでに「数年後」に向けた大きな計画をほのめかした。

2019年11月よりサービスが始まったDisney+の初年度は、注目度の高いオリジナル作品は「The Mandalorian(マンダロリアン)」と「Hamilton(ハミルトン)」にほぼ限られていたが、ダニエルズ氏によると、マーベル・シリーズ10作品、スター・ウォーズシリーズ10作品、ディズニーアニメーション / ディズニー実写/ ピクサーシリーズ15作品、ディズニーアニメーション / ディズニー実写 / ピクサーの長編映画15作品を、Disney+で独占配信する計画があるとのこと。

同時にダニエル氏は、ディズニーは今後も様々な配給戦略、特に「メジャーフランチャイズを確立するための劇場興行」に力を入れていくと述べた。

また、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作の映画「Raya and the Dragon(ラーヤと龍の王国)」が、今秋の「Mulan(ムーラン)」と同様の配給戦略を採用することも発表された。同作品は劇場と同時にDisney+で追加料金が必要なプレミアアクセス作品として公開される予定だ。

今回の説明会では、Hotstar / Starブランドがディズニーの国際的な成長計画の鍵となる(未訳記事)ことも明らかにされた。中南米では、独立したStar+サービスの開始が計画されており、ヨーロッパなどの他の市場では、Disney+アプリ内の新しいStarセクションが「一般的なエンターテインメント」コンテンツ(基本的には米国の視聴者がHuluで見るようなコンテンツ)のホームになるとのことだ。

Starセクションの追加は、これまで家族向けコンテンツに限定されていたDisney+に大人向けコンテンツを導入することを意味する。そのため、ディズニーは加入者が大人向けコンテンツへのアクセスをオン / オフできるようにする新しいペアレンタルコントロールの簡単なデモンストレーションを披露した。この機能によって、たとえばマーベルのセクションにR指定の映画「LOGAN(ローガン)」を追加するなど、Disney+の他のセクションでも新たなコンテンツの公開が可能になるはずだ。

ディズニーの異なるストリーミングサービス間の統合も期待できる。たとえばStar+にはESPNのコンテンツが含まれ、HuluにはESPN+のコンテンツを直接アプリ内で定額視聴できる機能が導入される予定だ。

またDisney+、Hulu、ESPN+を組み合わせた月額12.99ドル(約1350円)のDisneyバンドルに加入している場合は、広告なしのHuluを月額6ドル(約624円)追加で利用できる新プランの導入も1月に計画されている。

【更新】さらに新しい作品についての情報が明らかになった。スター・ウォーズに関しては、「マンダロリアン」のエグゼクティブプロデューサーを務めたJon Favreau (ジョン・ファヴロー)とDave Filoni(デイブ・フィローニ)による2つのシリーズが含まれる。「Rangers of the New Republic」と、最近「マンダロリアン」で実写化された「クローン・ウォーズ」で人気が高いキャラクター、Ahsoka Tano(アソーカ・タノ)に焦点を当てたスピンオフ作品だ。ルーカスフィルムのKathleen Kenned(キャスリーン・ケネディ)氏は、3つの作品が「最高潮の物語的イベント」になると述べている。

また、すでに発表されている「Rogue One: A Star Wars Story(ローグ・ワン)」のキャラクターであるCassian Andor(カシアン・アンドール)と Obi-Wan Kenobi(オビ=ワン・ケノービ)に(未訳記事)焦点を当てた作品も準備されている。後者ではEwan McGregor(ユアン・マクレガー)だけでなく、前日譚の3部作でAnakin Skywalker(アナキン・スカイウォーカー)を演じたHayden Christiansen(ヘイデン・クリステンセン)も復帰することになっている。さらに、Lando Calrissian(ランド・カルリジアン)のシリーズや、「Russian Doll(ロシアン・ドール:謎のタイムループ)」のLeslye Headland(レスリー・ヘッドランド)が手がける「The Acolyte」も予定されている。

ケネディ氏はまた、スター・ウォーズの次の劇場公開作品は、「Wonder Woman(ワンダーウーマン)」の Patty Jenkins(パティ・ジェンキンス)監督による「Rogue Squadron」で、2023年のクリスマスに公開予定であることも発表した。

スター・ウォーズ以外にも、ルーカスフィルムはJon M. Chu(ジョン・M・チュウ)との「Willow(ウィロー)」シリーズや、Tomi Adeyemi(トミ・アデイェミ)原作の「Childen of Blood and Bone」の映画化も進めている。来春には James Mangold(ジェームズ・マンゴールド)が監督を務め、Harrison Ford(ハリソン・フォード)が復帰する「Indiana Jones(インディ・ジョーンズ)」第5作の撮影も開始する計画だ。この映画の製作は長らく遅れていたが、2022年7月の公開が予定されている。

マーベルでもスター・ウォーズでもないDisney+の実写作品も計画されている。Emilio Estevez(エミリオ・エステベス)とLauren Graham(ローレン・グレアム)が出演する「Mighty Ducks(飛べないアヒル)」の続編、「Turner and Hooch(ターナー&フーチ / すてきな相棒)」のリメイク、そして「Battlestar Galactica(宇宙空母ギャラクティカ)」のリメイクで高評価を得たRon Moore(ロナルド・D・ムーア)とチュウによる「Swiss Family Robinson(スイスファミリーロビンソン)」のリメイクなどだ。

HuluとFXも同様に、「The Handmaid’s Tale(ハンドメイズ・テイル / 侍女の物語)」の第5シーズンや、Noah Hawley(ノア・ホーリー)による「Alien(エイリアン)」シリーズなど、いくつかの発表を行った。

ディズニーはまた、名作アニメの復活も継続する。Disney+ Originalsでは、Robert Zemeckis(ロバート・ゼメキス)監督、Tom Hanks(トム・ハンクス)主演の「Pinocchio(ピノキオ)」の新バージョン、「Peter Pan and Wendy(ピーターパンとウェンディ)」の新バージョン、Whoopi Goldberg(ウーピー・ゴールドバーグ)主演の「Sister Act 3(天使にラブ・ソングを 3)」などが含まれる。

ピクサーは3つのシリーズをDisney+に提供している。まずは2021年秋に「Up(カールじいさんの空飛ぶ家)」のスピンオフ作品「Dug Days」から始まり、「Car(カーズ)」シリーズや「Win or Lose」と呼ばれるオリジナル作品が続く。

そしてマーベル系では、2021年1月15日に「WandaVision(ワンダヴィジョン)」がスタートし、3月には「The Falcon and the Winter Soldier(ファルコン&ウィンター・ソルジャー)」の公開を予定。この作品について、マーベルのKevin Feige(ケヴィン・ファイギ)氏は「6つのエピソードで構成されたマーベル・スタジオの映画」と表現している。そして5月には「Loki(ロキ)」、来年には「Ms. Marvel(ミズ・マーベル)」(このキャラクターは「Captain Marvel 2[キャプテン・マーベル2]」にも登場する。ファイギ氏がテレビ番組と映画の「相互接続性」と呼んでいるものの例証だ)、来年末には「Hawkeye(ホークアイ)」が公開になる予定だ。また、Tatiana Maslany(タチアナ・マスラニー)が出演し、Mark Ruffalo(マーク・ラファロ)がハルク役で復帰する「She-Hulk(シー・ハルク)」と「Moon Knight(ムーンナイト)」も予定されている。

ファイギ氏はまた、Disney+シリーズの「Secret Invasion」(人気クロスオーバーストーリーをベースに、Samuel L. Jackson[サミュエル・L・ジャクソン]がニック・フューリー役で復帰)、「Ironheart(アイアンハート)」と、 Don Cheadle(ドン・チードル)が手がける「Iron Man(アイアンマン)」関連作品の「Armor Wars(アーマー・ウォーズ)」も発表。また、2022年のクリスマスには、James Gunn(ジェームズ・ガン)が脚本・監督を務める「Guardians of the Galaxy(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)」のホリデー・スペシャルも予定されているという。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

新型コロナで映画産業が低迷する中、AMCが貸切上映サービスを約1万円から提供

エンターテインメント業界のあらゆる分野と同じく、世界的なパンデミックが映画館に与えた打撃の影響は終わる気配がない。当初の閉館は数カ月にわたり、配給会社は最大のヒット作品を遅らせたり、中間業者を飛び越してビデオ・オン・デマンドサービスへの直接販売まで行っている。

一部の州では映画館が再開しているものの、感染力が強いウイルスが蔓延する中で映画ファンを座席に呼び戻すことは口でいうほど簡単ではない。期間限定のドライブインからポップコーンのデリバリーサービスまで、継続する都市封鎖の中でなんとか立ちまわる方法を見つける賢い人々もいる。そして、いくつかの地域ではプライベートシアターのレンタルを提供し始めた。映画ファンに、赤の他人に囲まれることなく映画鑑賞体験に戻る機会を提供する暫定的アプローチだ。

CNNによると、映画館チェーン最大手のAMCは、シアター貸し切りサービスを系列館で開始する(AMCリリース)。価格は99ドル(約1万400円)からという驚きの安さだ(ただしニューヨーク州、アラスカ州、ハワイ州を除く)。友達10人で分け合えばもう通常の映画チケットより安い。

利用者は最大20名を上映に招待できる。作品は「ジュラシックパーク」などの名作やハロウィンに向けた「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」など。そこから先は価格は上がり、「TENET テネット」や「ニュー・ミュータンツ」などの新作では1回の上映が349ドル(3万6800円)に跳ね上がる。前者は大ヒット映画監督のChristopher Nolan(クリストファー・ノーラン)がメガホンをとった作品で、映画ファンの劇場に戻る意志を確認する一種のリトマス試験紙という位置づけだった。

しかし数カ月におよんだ遅れの後、ワーナー・ブラザースは、未だに新型コロナウイルスとの戦いが続く米国より早く、同作品を海外でまず公開するという比較的稀な方法を選んだ。止まらない米国の苦闘は、興行成績世界最大の座を中国に明け渡す(The Hollywood Reporter記事)という最近の結果にもつながった。2020年の夏、AMCはパンデミックを乗り切れる可能性について「大いなる疑問」を持っていると語った。

関連記事:AMCが8月20日に全米約100カ所で映画館を再開、1日限りでチケット価格1920年時の15セントに戻す

カテゴリー:その他
タグ:映画AMC新型コロナウイルス

画像クレジット:Sunil Ghosh / Hindustan Times / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook