日本のDeNAがEasyMile製自動運転電気バスの運行開始へ

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単なるFOMO(fear of missing out 取り残されるのが怖い)かもしれないが、最近あらゆるインターネット企業が自動車・交通ビジネスに参入を図っている。日本のDeNAも例外ではなかった。ソフトウェア・メーカーとして有名なDeNAは東京でイベントを開催し、運輸事業を展開することを発表した(Reuters記事)。これには12人乗りの自動運転電気バスが用いられ、まず千葉の幕張地域のショッピングモールで来月から営業を開始する。

DeNAの名前はTechCrunch読者にはおなじみだろう。同社がTechCrunchでもっとも注目を集めたのはモバイルで人気の同社のゲーム・キャラクターとブランドが任天堂にパートナーとして選定されたことだったかもしれない。しかしDeNAはしばらく前からオートモーディブ事業部をスタートさせており、今回フランスの自動運転電気自動車メーカー、EasyMileのバスを使って営業を開始する運びとなった。投入されるのはEZ10ロボット・シャトルと呼ばれるコミュニティー・バスで、世界各地でテスト・プロジェクトが進められている。

EasyMile EZ10は最高時速40kmで、カメラ、GPS始め各種のセンサーを搭載している。ただし制約なしに公道を走るようにはデザインされていない。EasyMileの自動車は限定された私有地構内での運行を前提としており、大量の歩行者や他の交通などが引き起こす困難を避けている。.

DeNAの今回のプロジェクトの目的は主としてフランス製自動運転車が既存システムおよび現行の各種規制の範囲内で正常に運行できることを地元規制当局と協力しつつ確認することにある。また損害保険や自動運転電気自動車を購入したユーザーのための保守契約の提供も手掛ける。

AlibabaLGと同様、DeNAも自動車関連ビジネス参入にあたってスクラッチでハードウェアを製造する道を選ばず、経験豊富なサードパーティーと提携することとした。自動車製造がきわめて複雑であり膨大な資金を要する作業であることを考えれると賢明な選択だろう。

音楽が止まったときに空いている椅子を奪い合うゲーム同様、自動車ビジネスへの参入は非常に大きな賭けだ。ただしサードパーティーとの提携であれば、初期投資は少なくてすむし、賭けに失敗したと判明したときの撤退でも大きな損害を被らずにすむ。各種要素の正しい組み合わせを早期に発見した企業は大きな利益を得られるだろう。DeNAとEasymileが賭けに勝つことになるのか注目だ。

〔日本版〕国内のメディアの記事では自動車事業におけるDeNAとDoCoMoとの提携も報道されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Teslaの自動ブレーキシステムはその死亡事故の状況には対応していなかった、とMobileyeが説明

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Tesla Model Sの死亡事故に対する、昨日のNHTSA(道路交通安全局)の調査を受けて、Tesla社の自動操縦機能の開発に関わっているイスラエルのMobileyeが、事故に関する声明を本誌に送ってきた。

“この事件で起きたことに関する説明をわれわれは読んだ”、MobileyeのChief Communications Officer Dan Galvesが書いたとされるテキストには、こう書かれている。“今日の衝突回避技術、いわゆるAutomatic Emergency Braking(AEB)〔緊急時自動ブレーキ〕 は、後部への追突の回避として定義されており、具体的にそのために設計されている”。

この声明文のトーンは、昨日のTeslaの声明とかなり違っている。後者は、ドライバー(その後オハイオ州のテクノロジー起業家Joshua Brownと判明)の死を悼み、同社の安全対策を、このように強調している: “自動操縦は絶えず進歩しているがしかし完全ではなく、今なお運転者による十分な注意の維持を要する”。

同様にGalvesも、現行世代の技術が5月7日の衝突で展開されたようなシナリオを取り扱えるようには装備されていない、と説明している。ただしそのような機能の導入は計画されている、と。“この事故には車両の横方向からの進入が関与しており、現行世代のAEBシステムはそれに反応できるように設計されていない”、と声明は述べている。Mobileyeのシステムには2018年からLateral Turn Across Path(LTAP)〔行路を横切る横方向のターン〕検知能力が含まれ、2020年からEuro NCAP〔自動車安全性能評価〕の格付けにこれが含まれる。

その技術はまだ、車両がレーンを横切ってターンする、という特別なケースに反応できるようには、装備されていないようだ。Teslaの昨日の説明では、“好天時の太陽が向こうから照りつける中で、自動操縦も運転者もともに、トレーラートラックの白い側面が視界に現れたことに気づかず、そのためブレーキが適用されなかった”、となっている。

Mobileyeは今朝(米国時間7/1)、もう一度ニュースに登場した。そこでは、同社がIntelと協働して、BMWが同社初の完全自己運転車を2021年に発売できるようにする、との公式発表があった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleが自己運転車のバイク〜自転車検出アルゴリズムを説明

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今日(米国時間7/1)は、自律車両の歴史の中で、もっと重要な理由で目立つ日になると思うが、またひと月が経ってGoogleが6月の自己運転車リポートを発表した日でもある。この号には、サイクリストを検知して避けるシステムの能力が、かなり詳しく書かれていておもしろい。

“サイクリストは動きが敏捷で速く、ときには自動車と同じぐらい速く動く”、とリポートは述べている。“われわれの自動車はサイクリストを道路のユニークな〔他と混同しない〕 ユーザーとして認識し、彼らの近くでは控えめな運転をするよう、教えられている”。

車両上のLIDAR(レーザー光レーダー)やそのほかのセンサーが、あらゆる方向にあるバイクや自転車を、下図に示すように、一度に検知する。

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上図は、停止している自己運転車のまわりを、100台あまりの自転車が走り回っているところを示す。Mountain View(Google本社)では、100名以上の社員が一日中、これをやってるんだろうな。ひとつひとつの自転車を個別に追跡し、それらの行路をを予測する。車のAIが、パニック発作を起こしそうだ。

サイクリストを検知したらより大きな車間を取り、またバイクや自転車がレーンを占領していたら、それを追い越さないようにする。それはドライバーにとって不便だが、往々にして必要であり、サイクリストは賛成するだろう。

手信号も認識し、その手がハンドルに戻ったら、サイクリストのその後の行路を予測して行動する。

6月には軽度の事故が2度起きたが、どちらもGoogleの車の落ち度ではなく、被害はバンパーをちょっとかすった程度だった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ヒトが車の運転をやめる日

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【編集部注:本稿の執筆者、Mario Hergerはコンサルティング会社Enterprise GarageのCEO】

この子はLiam, 最近ちょうど1歳の誕生日をお祝いしたばかりだ。可愛いだけじゃなくて、彼で人が運転免許を取るは最後になるんだ。

それはないって?我々が生きているうちはまだ無理?

そうだね。Liamが運転免許を取る最後の人になるかは実際分からない。SophiaかもしれないしEthanかもしれない。その人はあなたの近所の曲がり角に住んでいるかもしれない。しかし確かなことがひとつある。最後の運転免許を受け取る人は既に生まれている。テクノロジーの発展速度と最近の幾つかの発表からその点は確実だ。

デジタル系企業からの参入

カリフォルニアのDMVだけでも自律走行技術の実走試験のライセンスを既に13社に発行した。グーグルのみで全米に渡り58台の試験車を保有しており、それは全登録車両の80%になる。グーグルの自律走行試験車はこれまでになんと通算160万マイルの走行距離をこなしており、その距離は毎週1万から1万5000マイルずつ上積みされている。全てを合わせると、この数字はカリフォルニアにおける総テストマイルの90%にもなる。グーグルの1月のレポートによれば、その数字にはさらに毎日のシミュレーション走行でこなす3万マイルが加わるということだ。

一方でテスラは、昨年10月の自動操縦モード発表以来自社の乗用車が延べ1億マイルもの距離を自動で走行したことを明らかにした。そしてイーロン・マスクが最近発表したところによるとテスラは2年以内に完全な自律走行車を完成させるらしい。さらにデジタル系企業からはUberBaiduが自律走行車の開発を手がけている。

そして、テクノロジー自体も急速に進歩している。これまでの総走行距離と事故総数から判断すると自律走行車は既に人間の運転する車と同等の安全性を達成している。グーグルに関して言えば、これまでの160万マイルの路上試験走行で発生した事故は12件で、そのうち自律走行車側に非があるものはたったの2件だけだ。つまり事故の頻度は13万3000マイルに1件で、これは報告と非報告分を合わた、物損を伴う人的事故の発生頻度と同率である。

自動車会社の挑戦

従来型自動車会社は暫くの間自律走行車開発への歩みを止めていたかのようであったが、ここに来てデジタル系企業の送り出す新型車に追いつくべく本腰をいれつつある。ホンダ、メルセデス、アウディ、フォード、GMは全て試験車を開発し、必死になってテクノロジーを習得し、GMフィアットのように協力関係を結んでいる。供給会社であるボッシュでさえテストライセンスを取得しているほどだ。さらにBMWの発表によれば、同社のiシリーズはその重点を自律走行車にシフトしていく予定で、一般販売は2021年を見込んでいる。

シンギュラリティ効果

Ray Kurzweilのシンギュラリティに関する発言によれば、自律走行車のAIにおいて必要となるデジタルパワーと知性の発展は指数関数的にもたらされるという。保守的アプローチに則り過去の経験から線形的に将来を予想したとすれば、実際の変化はその指数的要素により予想を上回る速さでもたらされるといったことになりかねない。

その他の参入者

AUTOSARは車載電気制御ユニット標準化のためのシステムアーキテクチャーだが、2018年にはバージョン4.4のリリースが予定されており、そこでは自律走行に必要なものすべてが盛り込まれるはずだ。このシステムはパートナー企業の開発する車に2020年までに標準装備されることになっており、そこにはBMW、フォード、GM、ダイムラー、フォルクスワーゲン、ボルボなどが名を連ねる。

センサーテクノロジーも急速な進化を遂げており、その価格は急速に下落している。現在の車には何百ものセンサーが搭載されており、その中にはレーダー、カメラ、GPS、加速度計などが含まれる。さらに必要となるLidarなども今後数年内に数百ドル位で手に入るようになると考えられる。

技術調査会社であるVision Systems Intelligenceが自律走行へのソリューションや技術の推進に関わる全ての企業のリストを作成したが、その数は注目に値する。なんと200以上の企業が自律走行テクノロジーの開発に取り組んでおり、他のホットな業界の例になぞらえれば、さらに多くの企業が参入してくるだろう。

人が運転する車は法律で禁止されるか囲われたサーキット内のみに限定されるかもしれない

安全な自律走行車の実現を可能にする技術的側面は重要だが、保険会社と規制機関が迅速な普及を推進する可能性がある。94%の事故が人的過失によるという事実を鑑みて、自律走行車の事故発生率は低くなることが予想される。結果として人の運転する車に対する保険料は法外なものになる可能性がある。今日、自動車を運転している人の大半はまだ機械に車のコントロールを明け渡すということについて懐疑的だが、実際に自分自身で自律走行車を体験し、人間の運転する車に対する保険料の上昇を目の当たりにすれば、その考えは急速に改まるだろう。次に来るのが法的規制だ。人が運転する車は法律で禁止されるか囲われたサーキット内のみに限定されるかもしれない。

最後のドライバー

このように有力な企業が共同で労力と資産をつぎ込んだ取り組みを見せている中、Liam、あるいはSophiaかEthanかもしれないが、この子たちが2031年に16歳の誕生日を迎えた際、運転免許を取る必要はないし、場合によっては免許の取得は許されないかもしれない。特にその年代の子供の運転履歴の悪さを考慮すれば尚更だ。彼らの方でも取り立てて免許を欲しいとは思わないかもしれない。運輸省によれば10代の間で免許取得者の割合は減少傾向にあり、これは他の国でも見られる傾向だ。

これらの技術的進展を前にして我々は再び問うことになる。車の本当の役割とはなんだろうか?車メーカーの言っているような「運転することの喜び」とか「自由」とかではなく、移動や交通問題を解決するわけでもない。車はいわばコネクターだ。車は我々が他の人や場所、物と結びつく手助けをしてくれる。しかしながら、そのコネクターとしての役割において車と競合関係にあるものがポケットの中に存在する。そう、スマートフォンだ。

昔の10代の子供は競って車の運転をしたがったが、今では運転を人に押し付けたがる。同乗者はスマホを使って他のみんなと繋がっているが、運転に集中しなくてはいけないドライバーだとそうはいかない。自律走行車ならば、現実、仮想を問わず皆があらゆるモードで繋がっていられる。

そして、これがLiam(もしくはSophiaやEthan)が運転免許にそれほど魅力を感じず、DMVでテストを受ける最後の人になる理由だ。

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(翻訳:Tsubouchi)