Uberが買収したOttoが自動運転トラックによる長距離輸送業を2017年に開始予定

Yellow truck on the road. Santa Barbara county, California

Uberはこの夏、自動運転トラックを使って運送業を営むOttoを6億800万ドルで買収し、その実稼働を来年と予定している。

Ottoの協同ファウンダーLior Ronがロイター通信に、同社が2017年に長距離運送業を開始する、と述べている。以前の本誌記事にも書かれているように、Ottoは既存のトラックを自動運転車に改造し、アメリカのハイウェイを走れるようにする。ただし完全自動運転ではなく、同乗する人間ドライバーがときおり手を出す必要がある。しかし将来的には、人間ドライバーはますますひまになり、また配送の速度は向上するだろう。

それはまだ開発途上の技術だが、今後はUberの強力な支援のもとに、倉庫業や商店などの輸送業務に同社の部分的自動運転技術を提供し、輸送の効率化に寄与していくつもりだ。

Ronはロイターにこう語っている: “Uberでは、ボタンを押せば3分で車が来る。しかし運送業界では、あっちこっち電話をして空いてる車を見つけるのに5時間かかるのが普通だ。今のトラック運送業界の効率なんて、そんなものさ”。

Uberは今、その輸送ビジネスを多様化しようとしている。たとえば食べ物を配達するUber Eatsは、今後少なくとも22か国で展開して、グローバルな成長を目指すつもりだ。でもロイターが意見を聞いた専門家たちは、Uberの運送業進出に関しては懐疑的だ。しかし、今やLiorと彼のチームは、積極的に将来のパートナーと話を進めている。最初は6台のトラックでスタートするが、早期に倍増したい意向だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

日産、行列に並ぶのが楽になる自動運転チェアの貸与先募集中―ProPilotテクノロジーに新しい応用

日産のProPILOTは主として自動運転機能を実現するために開発されたテクノロジーだが、 この新しいプロジェクトでは椅子の自動運転のために用いられている。いや、間違いではない。人間が座る、あの椅子だ。

ProPilotチェアは電動で自ら動く。その際、あらかじめ定められた運転経路に従い、他のProPilotチェアから一定の間隔をあけて追随する。映画、ウォーリーに出てくる椅子ほど万能ではないが、(われわれのMegan Rose Dickey記者が類似に気付いた)、行列に並ぶという古来からの習慣に伴う苦痛を大いに軽減してくれそうだ。

この椅子は 最新のiPhoneの販売であれ、人気レストランのテーブルであれ、何かを待つことを助けるためにデザインされている。この椅子の話を聞いたときどうせマーケティングのための人寄せだと思ったので、現実に使われると知ってたいへん驚いた。

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日産では今日から12月27日まで、このシステムの利用を希望する日本のレストランを募集している。システムは並んでいる客を座らせ、テーブルが空くのに応じて自動的に前方に移動させる。応募者の中から日産にテスト先として選ばれたレストランには来年このシステムが設置される。またProPilotチェアは横浜市の日産グローバル本社で10月2日まで一般公開中だ。システムは6脚の椅子からなり、実際の行列をシミュレートした動作をデモする。

このプロジェクトは全体として、なんというか、多少ばかばかしい気がしないでもない。だからといって無視するのは間違いだろう。日産も、トヨタを含む他の自動車メーカーも移動の自動化を非常に広い範囲で実現しようと努力中だ。これには自動車の自動化だけでなく、高齢者にとっては重要な問題である敷地内、家庭内での移動も含まれる。私としては家の仕事用デスクからゲーム機を置いたコーナーまでこの椅子で自動的に運んでもらえると非常にありがたい。

〔日本版〕日産ProPILOTのウェブサイトで設置店舗を募集中。Twitterからでも応募できるという。なお記事トップのビデオは再生時に標準で音声オン。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleの自動運転車が地元マウンテンビューで衝突事故、人が運転していた?

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警察によると、金曜日(米国時間9/23)の午後、Googleの自動運転車Lexus RX 450hがバンと衝突した。幸運にも、負傷者は出なかった。

TechCrunchは現在、Googleに情報を求めている。

地元テレビ局のKRONKPIXの報道では、Googleの自動運転車は“コントロールされていた”、つまり衝突時には自動運転モードだった。

しかしながら、一部の伝聞情報によれば、その自動運転車はGoogleの社員が手動で運転しており、バンの運転者が、おそらく自方向の赤信号を無視して、交差点を横切るように入ってきたとき、ブレーキをかけた。

この衝突事故は、本誌TechCrunchも報じたように、合衆国運輸省が今週、自動運転車に関する重要なポリシーを発表した直後に発生した。

とりわけ運輸省は、自動運転車のメーカーや関連技術の企業に対して、安全性の最優先と、常識の範囲内でデータを業界内部および政府と共有することを求めている

一般的に運輸省の職員たちは、自動運転車に関してアメリカが、人間の保護を重視すると同時に、技術的には後追いになるよりもむしろリーダーになることを求めている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Appleがマクラーレンと買収交渉中か

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ファイナンシャル・タイムズによれば、テクノロジー企業のAppleが、自動車製造業のマクラーレンと交渉をしている。読んだ通りだ、間違いではない。これらの交渉は数ヶ月に渡って継続されており、買収か少なくとも戦略的投資につながる可能性があるようだ。

より正確に言えば、Appleが交渉しているのはマクラーレン・テクノロジー・グループである。これはマクラーレン・オートモーティブなどを含む、すべてのマクラーレン関連企業の親会社だ。

マクラーレンはスーパーカーやフォーミュラワンの世界では有名な名前だが、巨大な自動車製造会社ではない。同社の2015年全体の収入は、6億1700万ドル(4億7500万ポンド、626.7億円)と報告されていて、純利益2700万ドル(2080万ポンド、27.4億円)を計上している。

ファイナンシャル・タイムズは、この買収が13億ドルから20億ドルの間(10億ポンドから15億ポンド、1320.4億円から2031.5億円)になると考えている。これは、Appleにとって大きな買い物のように見えるが、同社は、過去にBeatsというもっと大きな買収をしている。

特に自動車の話となると、Appleは何年も秘密の自動車プロジェクトに取り組んでいるという噂がある。

Bob Mansfieldが最近Appleの自動車部門を引き継いだ。同社はまた、最近Didi Chuxing(滴滴出行)に10億ドル(1015.7億円)の投資を行っている。

Appleのエンジニアたちが自動運転テクノロジーに心血を注いでいる一方、自動車製造そのものは同社にとってはまだ未開のエリアである。マクラーレンの買収は、車、エンジン、シャシーその他を作る方法を知る、多くのエンジニアを雇うための方法となり得るだろう。

これはまだ初期のレポートであり、買収交渉も物別れに終わる可能性がまだある。いずれにせよ、Appleが車の世界で真剣なプレイヤーになりたがっていることを見ることはとても興味深い。

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(翻訳:Sako)

合衆国における自動運転車開発ガイドライン全文

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アメリカ合衆国連邦政府は、自動運転車について、ドライバーレス自動車の安全な開発を行いつつ、イノベーションを阻害しないことを目的とするガイドラインを公開する旨をアナウンスしていた。そのガイドラインの全文が公開されたのでこちらでも掲載しておこうと思う。このページで読むことができるものと同じだが、もちろんTransportation.govのオフィシャルサイトでも読むことができる。

アメリが合衆国運輸省およびオバマ大統領は、事前に本文書の骨子について言及していた。その発言内容にもあった通り、本文書には現行の道路交通法をどのように適用していくのかとか、新たなルール作りについても記されている。また行政側が安全性を確認するために自動運転車の制作者に対して求めている15ポイントのチェックリストなども掲載されている。

AV Policy Guidance PDF by TechCrunch on Scribd

アメリカ合衆国運輸長官のAnthony R. Foxxによると100ページほど(に加えて注釈ページ)におよぶ本文書は、業界の関係者、法的なエキスパート、さまざまな安全管理者たちとの議論の末にできあがったものであるとのこと。

今のところ、この新しいガイドラインに対する業界の反応はポジティブなものであるようだ。自動車メーカー、セキュリティプロバイダーなど企業側の関係者たちも概ね好意的に受け取っている様子。ただしドキュメントは公開されたばかりであり、自動運転車の将来にどのような影響を及ぼすものであるかについては、さらなる検討が求められるところだ。

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(翻訳:Maeda, H

Uberの自動運転車がピッツバーグで走行開始、早速乗ってみた

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今日から、ピッツバーグのUberユーザーの中には、配車を依頼する時、自動運転車に乗る選択肢が登場するので驚くかもしれない。

Uberがカーネギーメロン大学のロボティクスセンターから何十人もの研究者を採用し、技術開発を進めてから1年半経ってからの発表だった。

Uberは火曜日、レーダー、カメラを始めとするセンサー機器を搭載した14台のFord Fusionの一部を少数の記者に公開した。これらの車は、ピッツバーグのダウンタウンから北東に位置するUberのAdvanced Technologies Campus (ATC)に並んでいた。

私は街中を45分かけてこの車を試乗した。これは、Uberの初となる完成形自動運転車のローンチではない。まだ走行検証の一環だ。Uberは、自動運転車が現実世界にどのように反応しているかを学び、技術を高めたいと考えている。車が歩行者にどのように反応するか、そして歩行者が車にどのように反応するかを確認する。

「自動運転車の隣を走行するドライバーはこの車を見てどのように反応するでしょうか?乗客が初めて自動運転車に乗り、Uberのハードウェアとソフトウェアの完成形を体験する時、何を感じるでしょうか?そしてそれは何を意味するでしょうか?」とUber ATCのディレクターを務めるRaffi Krikorianは調査内容を説明する。

彼らが私と同じようなら、まずはそれに魅了され、続いて退屈さを感じることになるだろう。

自動運転車に乗る

私はUber社員からスマホを受け取り、そのスマホのUberアプリから自動運転車を呼んだ。数分すると、Ford Fusionが現れた。Uberのエンジニアが前の2席に座っていたので、私はドライバーの後ろに座った。

乗車してから、私は座席に設置されたタブレットのボタンを押した。出発の準備が整ったという合図だ。タブレットには、車が見ている景色が映し出される。道路の部分は青く、他の物体は赤く表示される。このドライブでは、ピッツバーグのローレンスビル地区にあるATCのビルからダウンタウンに行き、9th Street橋を通ってノース・ショアに向かう。まるで幽霊が操っているかのように、ハンドルが勝手に動いて車が発進した。

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ドライバー席に座るエンジニアはドライブの間、ずっと道路を注視していた。ハンドルに手をかざし、足もペダルをいつでも踏めるように準備していた。車線を他の車が完全に塞ぎ、自動運転車が停止した場合は、ドライバーはマニュアルモードに切り替え、車線変更を行ってそこを回避する必要がある。Uberの自動運転車はまだこの操作を行うことができないからだ。もう一人のエンジニアは、助手席に座ってラップトップを開いていた。通常の運転時には、ドライブの様子をメモしているのだという。

初めて自動運転車が障害物に直面した時、相当な緊張感があった。1台のSUVがバックしながら道路に入ろうとしていた。車のハンドルをロボットに預けるまで、普通のドライブでも予期せぬことがこんなに起きているなんて気づきもしないだろう。自動運転車にとっては、そもそも橋の上でどこを走行するかを決めるのが難しいタスクだが、橋を渡っていた時、走行していた車線に大型トラックが停車していた。ドライバーはマニュアルに切り替えて車線変更したが、その時、市の職員がトラックの前から飛び出し、私たちが乗っている車の前に垂れ幕が落ちた。

車のハンドルをロボットに預けるまで、普通のドライブでも予期せぬことがこんなに起きているなんて気づきもしないだろう。

もし、その時自動運転モードだったのなら、この車がどのように通行人や垂れ幕に反応していたかは分からない。これ以外では、自動運転車が周囲の状況に反応している様子が見て取れた。乗客の乗り降りのために停止しているバスの後ろに止まり、バスが右に曲がろうとしている時も止まった。信号を読み取った。1回だけ黄色信号で止まったが、他の黄色信号では走行を続けた。交通ルールも守った。あまりに普通のドライブだったので、少し退屈になるほどだった。緊張感は早々になくなっていた。

目的地に到着し、エンジニアは、今度は私がUberのキャンパスまで「運転」してみることを勧めた。ダッシュボードに青い光が付いて、コンソールにある銀色のボタンを押すと車は自動運転に入る。ブレーキを踏んだり、加速したり、あるいは赤いボタンを押すとドライバーが自分で運転を行うことができる。道中、車線にバンが停車していたので、その時だけ自分で運転を行った。

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自動運転中は何もしなくて良いのだが、周囲の状況を注視しなければならない。これは奇妙な感覚だった。他のことを考えたいという誘惑があり、ハンドルに手を添えなくともいいかなとさえ思ってしまう。自動停車や駐車と完全な自動運転にするかどうかという線引きが曖昧になってしまうのは分かる話だ。

私はもう一人のエンジニアと席を交代し、もう一度街中の周回した。今回はピッツバーグで交通量の多いStrip Districtを通る。道には多くの車が駐車していた。道に並ぶ商店やレストランに配達をするため、バンがひっきりなしに停車したり、発車したりしている。自動運転車は、駐車スペースから飛び出して停車している車に気が付くと、少しだけ左に避けた。大抵の場合は、滞りなく道を進んだ。途中で、特徴的なLidarを屋根に乗せたUberの自動運転車がもう1台すぐ近くを走行していた。白いSUVが2台の自動運転車に挟まれる状況だったが、白いSUVがそれを気にしている様子は特になかった。

そのあと、別の橋で渋滞につかまった。数十メートルづつ進んでは止まりを繰り返した。自動運転車は緩やかに止まる時もあれば、急停車することもあった。Uberの地図は目的に到着したと告げるまで、ドライブはほとんど人が運転している車に乗っているのと同じ感覚だった。

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予期せぬ事態に備えて

Uberが乗客に配車する自動運転のFord Fusionは、ほとんどの部分で通常車と同じだ。一見して分かる違いは、屋根の乗っているいくつものセンサーを搭載した器具だ。他にもセンサーは車の側面に内蔵されている。

Lidarユニットは、1秒間に140万の地図ポイントを収集し、車の周り360度分のイメージを生成する。カメラとGPSシステムが、それにさらに情報を加えている。

試乗を終えて、私はこのテクノロジーに安心感を覚えた。自動運転車は周りの物、人、さらに道路のくぼみまで検出し、賢く対応することができた。予期できることは、すでに対応できる。Uberにとってより大きな課題は予期せぬ事態にどう対応するかだ。

Uberはピッツバークのいくつかの地区で自動運転車の配車サービスの提供を開始する。数週間内には、空港と北部の地区にも展開するという。ゆっくりと展開するのは、Uberは車が走行する道を予め地図に落とし込む必要があるからだ。カーネギーメロン大学の研究者 Aaron Steinfeld(Uberとは関係していない)によると、これは普通の工程だという。自動運転車が事前に速度制限や汎用的な情報などを収集した地図データを受け取ることで、車はリアルタイムに変化する、例えば通行人といった要素を検知することに注力することができる。

Uberは全てのロードテストのログを残し、そのデータを元に、車が特定の状況下ではどのように反応すべきかを調整しているという。例えば、車が十字路に差し掛かった際は、十字路に到着した順に車が走行するルールだ。しかし、他の車がその順番に従わなかった場合はどうだろうか?車が飛び出してきたら自動運転車は止まることを知っているが、もし別の車が渡るのに時間がかかり過ぎるようなら走行するという判断を覚えておく必要がある。

人は運転する時、様々な社会的サインを感覚的に読み取っている。他のドライバーとアイコンタクトをするし、ジョギングしている人の細かなボディーランゲージを読み取って、道を渡ろうとしているかどうかが分かる。Uberの車も通行人が道を渡ろうとしているかどうかを予測することができるが、こうした社会的サインを読み取ることに関してはまだ目標のままだ。

次の半年内に、Uberはエンジニア1名が共に乗車するプランに切り替える予定だ。最終的にそのエンジニアもリモートのヘルプセンターにする計画でいる。車が未知の状況に直面した時、乗客はヘルプセンターの人と連絡することができる。Uberはまた、渋滞などで身動きが取れなくなるなどの突発的な状況に陥るのを防ぐ方法、そして道に多くの歩行者がいる場合にどのように対応すべきかを検証している。

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ピッツバークから開かれる可能性

Uberはエンジニア人材に惹かれてピッツバーグにやってきた。カーネギーメロン大学には高名なロボティクス教科があり、アメリカ中の自動運転開発チームのメンバーを輩出している。

この都市は支援にも積極的だ。市長のWilliam Pedutoは、Uberを利用していて、都市に新しいサービスや雇用を生み出す革新的な会社を迎い入れると話す。

「ピッツバーグ、特にカーネギーメロン大学は何十年にも渡って自動運転車の研究を牽引してきました。そのため、これは合理的なステップなのです」とPedutoは言う。「州法により、免許を持つドライバーがハンドルの前に座っていれば自動運転車はペンシルベニア州の公道を走行することができます。Uberのサービス展開時にもドライバーはいます」。

私たちを会場まで送ったUberのドライバーでさえ、関心を寄せているようだった。彼女は、自動運転車の検証期間中に自分も自動運転車の付き添い運転手となる機会があるか気になると言っていた。

Uber社員は、ピッツバーグで自動運転車を検証するのは気候的にも有利と話す。Googleは自動運転車をシリコンバレーで試運転をしているが、そこではあまり雨は降らない。ピッツバーグには四季があり、いびつな格子状に道が走る古い都市には橋もあり、道には多くのくぼみもある。

「ピッツバーグは運転におけるアルペンスキーのような難しさと言っています」とATCのKrikorianは言う。「ピッツバーグでの運転を完全に攻略できれば、世界中の他の都市でも同じように攻略できると自信を持って言えるでしょう」。

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自動運転車のリトマス試験紙

今回の発表でUberは、現在のテクノロジーがマス向け展開できるとは一切示唆しなかった。Googleと同じように、カーネギーメロンや他の研究所でも自動運転テクノロジーの開発を行っていて、何時間ものロードテストを丁寧に記録している。Uberのチームも、自動運転車を公道に解き放った時に直面するだろう膨大なシナリオを少しづつ検証している。

「シミュレーションをどれだけしようと、全てを掌握することはできません。だから実際の道をたくさん走行することが重要なのです。Googleの車も道路のデータを大量に集めています」とSteinfeldは言う。「実世界の現場で研究を行うこの重労働の検証はこの世界の伝統なのです。ロボティクス学術協会で見るものは全てこういった検証を元にしています」。

人々が自動運転車にどのような反応を示すかは近い内に分かるだろう。Uberの自動運転車の一部である、14台のFord Fusionsを公道でみかけたドライバーは、ロボットの隣を走行することにオプトインしたわけではない。Uberのユーザーは自動運転車に乗車することに対してオプトインすることはできるが、彼らにとっても新しい体験だ。また、Uberの既存ドライバーがどのように思うかも分からない。自動運転車の付き添いエンジニアになるかもしれないし、自動運転車に仕事を奪われることになるかもしれない。

世界は初めて、1つの都市にこれだけ多くの自動運転車の連帯が登場したのを目撃することになるとSteinfeldは話す。人々の関心と興味が十分に高まり、それは人々が持つ自動運転車に対する見方を変える力になるだろうという。

「自動運転に対して、多くの人は少し落ち着かない気持ちでいるでしょう」とSteinfeldは言う。「しかし、一度体験すれば親しみを持ち、徐々に許容されるようになるでしょう。ピッツバーグでの検証は、アメリカ中で自動運転に対する人々の許容を得られるかどうか、社会全体がどのように捉えるかを理解することにつながります」。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Nvidiaの自動運転車用AIコンピューターPX 2がさらに小型化省エネ化

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Nvidiaが、同社の自動運転コンピューティングのための車載プラットホームDRIVE PX 2の、新しい構成を今日(米国時間9/13)披露した。電力効率が大幅に改善され、サイズも今年初めのCESで紹介された最初の製品より小さい。この新しいシングルコアの構成を、Baiduが同社の自動運転車に使う。NvidiaとBaiduはこの前パートナーシップを発表し、完全な“クラウドから車への”自動運転車を作ることになっている。

AIコンピューターPX 2はDRIVE PXの第二世代で、こちらはNvidiaによるとすでに多くのOEMや研究機関などのパートナーが使っている。このコンピューターは、自動運転車のモニタリングシステムからの視覚データとセンサーデータを自分自身でリアルタイムに処理できる。強力なリモートサーバーに接続していない自動運転車では、このような計算の自律性がきわめて重要だ。

PX 2は、車のメーカーや研究者のニーズに応じて、手のひらサイズのシングルコアから、マルチコア/マルチGPUの構成までスケールでき、複数のPX 2が一台の車の上で協働することもできる。単体のPX 2が、車載のカメラとセンサーからの入力を使ってAutoCruiseやHDの地図表示などの機能を提供できる。

この新しいSoCは、クライアント間におけるPX 2に対する期待をさらに大きく拡大するだろう。物理サイズと電力消費量の削減は、電気自動車のメーカーにもアピールするものと思われる。エネルギー効率の高いゼロエミッションカーを作ることは、車重の削減や電力の低消費化と表裏一体だ。個々のパーツの節約量が微々たるものでも、一台の車におけるその累積効果は無視できない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

自動運転技術の普及に伴う新たな自動車保険のかたち

Long exposure photograph captured with a front-mounted camera. Streaking reflections in the car's surface and streaking city-background.

【編集部注】執筆者のKevin Wangは、世界最大級のテクノロジーイノベーションプラットフォームPlug and Play Tech Centerの保険テック下部組織であるPlug and Play Insuranceに所属している。Plug and Play Insuranceは、業界トップの保険イノベーションプラットフォームで、Munich Re、USAA、State Farm、SOMPO Digital Lab、Farmers、Nationwide、Deloitte、Travelers、Aviva、AIGといった世界的な保険機関とのパートナシップによって最近誕生した。Kevin自身は、Case Western Reserve Universityでファイナンスを学び、製造や流通、戦略コンサルティングの世界で経験を積んだシリアルアントレプレナー(連続起業家)。

モビリティ業界での技術革新によって、より安全に、より早く、そしてより便利に移動ができるようになった。様々な調査からもその功績が見て取れる。Insurance Information Instituteによれば、過去三年間で自動車関連の死亡事故は33%減少し、9つのモデルに関して100万台単位で見たときの1台あたりの死亡者数は0だった。さらに、UberやLyftといった配車アプリの登場がモビリティサービスの裾野を広げ、今では60ヶ国以上で一日あたり合計100万回以上も利用されている

このようなポジティブな面が存在する一方、イノベーションには犠牲が伴う。今年の5月7日、あるドライバーがTeslaのオートパイロット機能を利用中に命を落としたのだ。彼の車は後方から迫ってくる白いトラックと空の景色を識別できず、トラックに衝突してしまった。この事故で自動運転技術に関する論調や世論が変わってくるかもしれない。また、この事件が、自動車の未来と現在が実際どのくらい離れているかや、社会が今後そのような未来を完全に受け入れるのかどうかということを見直すきっかけとなった。

そもそも自動運転車は事故の減少に繋がると考えられている。昨年アメリカでは3万5000件の交通死亡事故が報告されており、これはアメリカの人口の0.01%にあたる。この数字は大したことがないように映るが、全て人間が原因で起きた事故であり、ソースコードに人の命がかかったアルゴリズムによるものではない。ここから、プログラマーや彼らの書いたコードに与えられることになる、自動運転車を購入した消費者の生死を決める力に関する問題が浮上してくる。そして究極的には、自動運転車関連の事故や命に関わる事象が起きた際に誰がその責任を負うのだろうか?

その次の重要なステップが、自動運転技術の拡散といかに安全にその技術を私たちが住む社会のフレームワークに埋め込んでいくかという課題の解決だ。これらの問題を念頭におきながら、企業や政府関連組織が自動運転車の普及を目指したステップを踏もうとしている。Googleは自動運転技術のテストを進めており、彼らの自動運転車隊はこれまでに150万マイルの路上走行テストを行ってきた。

2014年にアメリカ合衆国運輸省は、自動車の衝突に繋がることの多いヒューマンエラーを防ぐべく、自動車同士が「会話」できるよう自動車間の通信テクノロジーの利用を認可した。そして今年の3月、General MotorsはCruise Automationと呼ばれるスタートアップを10億ドルで買収した。当時同社は既に、Cadillac CT6のラインに高速道路での走行に特化したスマートクルーズ制御システムを導入しようとしていた。ここから自動運転車の技術・制度的インフラは既に成熟しようとしているのがわかる。

自動運転技術が人間のドライバーを完全に代替することはないかもしれないが、事故の減少には貢献する可能性が高い。

しかし、未だに自動運転技術が実際に広く普及するかどうかを決定づける課題の多くが未解決のまま残されている。消費者の受容がそのひとつだ。必ずしも全ての消費者が自動運転車を必要としているかどうかはわからない。そもそもアメリカ人は車好きで、Experian Automotiveの調査によれば平均で2.28台の車が各家庭に存在する。もしも自動運転車が本当に普及していくとすれば、エンドユーザーはそのうち車の所有権と移動を分けて考えなければならず、このコンセプトはElon Muskのマスタープランでも強調されている。

Deloitteによれば、モビリティ業界の未来には4つのステージが存在する。漸進的な変化、カーシェアリング、ドライバーレス革命そして自動運転技術の普及の4つだ。現在私たちが進んでいる道はドライバーレス革命のステージに向けられたものだと考えられ、そのステージに到達する頃には消費者の中に未だ車を所有している人もいるかもしれないが、その車には自動運転を可能にする技術が備わっていることになる。4ステージ全てが同時期に存在する可能性もあるが、全人口の各セグメントが平等に全てのステージに到達するとも限らない。また、ドライバーレス革命に向けてGMのCadillacに備えられる予定の新たな自動運転技術のように、今私たちのいる地点から漸進的な変化が起きるかもしれない。

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そして自動運転技術の普及ステージに到達する頃には自動車保険にとてつもなく大きな変化が起きることになるだろう。まず、事故の件数が減ることで保険金請求の数が減り、それが保険会社の払い出し額の減少に繋がる。Insurance Institute for Highway Safetyのエグゼクティブヴァイスプレジデント兼チーフリサーチオフィサーのDavid Zubyは、「前面衝突防止テクノロジーを備えた自動車の場合、対物賠償保険の請求頻度が7〜15%低いことが分かっています」と語っている。つまり、テクノロジーの力で事故の件数が減るだけでなく、保険会社の払い出し額も減るというWin-Winな状況が生まれるのだ。

さらに保険会社は自動運転車が広く普及する前に新しく革新的な商品を生み出す必要が出てくるだろう。ドライバーレス革命のステージにおいて、衝突防止テクノロジーは保険料の低減に関して大きな役割を担うことが予想されるが、保険会社はそれに合わせて新たな商品の開発を行わなければならない。カーシェアリングステージでは、保険会社がUberやLyftのような企業に対してギャップ保険やライドシェアリングポリシーを販売することができた。ドライバーが車にお客をのせる際の保険を必要としていたのだ。

しかし新たなポリシー下では保険料が増加することになる。Geicoを例にとると、シカゴに住む男性ドライバー向けの個人保険の料金は1140ドルである一方、同じ人がライドシェアリング用の保険に加入するとその金額は3743ドルに増加する。自動運転車用のポリシーにも同じような値上げ戦略が適用される可能性があるのだ。

Tesla車の事故によって、大衆が自動運転車を完全に受け入れる道が遠のいただけでなく、社会が自動運転技術の普及ステージに到達せずに自動運転が拡張機能として導入されるだけになるかもしれない。また、ドライバーは自動運転車を利用していても事故の責任を問われることになる可能性が高い。つまり自動車保険のニーズが無くなることはないだろう。結局のところ、自動運転技術が人間のドライバーを完全に代替することはないかもしれないが、事故の減少には貢献する可能性が高いのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

UberとVolvo、2021年の自動運転車発売に向け3億ドルを投資

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Volvoとの提携で、Uberが2016年末までにピッツバーグの公道で自動運転車によるオンデマンド配車サービスを提供する。さらに、この提携はVolvoが2021年に市場投入を目指す自家用またはタクシー用の自動運転車の開発に弾みをつけるとWall Street Journalは報じている。両社は総額3億ドルをほぼ折半で投資する見通しで、今後はVolvo社のSUV「XC90」プラットフォームをベースとした自動運転車の生産を目指す。

今回の提携は、ドライバーを必要としない配車サービスの提供開始を目指すライバル企業のGoogleやFordに対してUberが優勢になるのを助けることになるが、この計画に投資し、参加することでVolvoが手に入れるものも明らかだ。Uberの自動運転車チームは、Googleの自動運転車プロジェクトの前リーダーTwitterのエンジニアリング部門の前VP、さらにはカーネギーメロン大学ロボット工学部の多くの研究者から成り、そこで蓄積されたノウハウはVolvoにとって非常に有用になる。

Volvoの自動運転車の展望は、ドライバーが同乗しながらも完全な自動運転機能を備えた車だ。投資される資金は、障害物検出や衝突回避のためのセンサーを含むハードウェアの開発、さらなる研究とソフトウェアの開発に使われる。また、Volvoはこの提携の成果である自動運転車の公道テストを中国、イギリスおよびスウェーデンで実施したい考えだ。

今回の提携は、両社が自動運転技術を追求していく上で、他の企業とのパートナーシップを締結する余地を残している。また社員はそれぞれの会社での業務を継続、両社が社員を共有する予定はないとReutersは報じている。

今週初めに、Fordはタクシー向けの自動運転車を2021年までに発売すると発表したばかりだ。どうやら2021年は、自動運転車にとって重要な一年になりそうだ。

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(翻訳:Maki Itoi)

Uber、今月末に自動運転車で営業開始―元Google社員らが設立したOttoのテクノロジーを利用

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2015年にUberが自動運転車を開発しているという記事が出た。今年に入ってUberはピッツバーグで自動運転車をテスト中だと公表した。しかしここ1年半でわれわれがUberの自動運転車について得た情報は他にはほとんどなかった。

この分野のリーダー、 Googleは遅い歩みながらも着実に進歩を続けている。これに対して自動運転車という敵味方が混沌としたフレネミーの世界でUberの出遅れはひどいものだと人が思ったとしても責められない状況だった。

しかし事実はそうではなかった。

自動運転でUberは驚くべき進歩を遂げていた。Uberは100万人以上のドライバーをかかえているが、将来これをコンピューターに置き換えようと真剣に考えている。Uberのドライバーには悪いニュースだ。

Bloombergの取材に対して、UBerのファウンダー、CEO、Travis Kalanickは「今月、ピッツバーグで自動運転車を実際の営業車両に加える」と述べた。

Uberが使用するのは自動運転用にカスタマイズされた100台前後のVolvo XC90で、 それぞれの車両には必要があれば即座に運転を代わることができるドライバー・エンジニアと詳細な記録を取るナビゲーター役の2名が乗車する。また車のトランクには運行の記録とマップデータの取得を行う液冷コンピューターが鎮座するという。

ピッツバーグでたびたびUberを利用する乗客は自動運転車を体験するチャンスが十分にあるわけだ。自動運転車に乗った場合、料金は無料だという。

Uberの自動運転車計画の詳細についてはまったくといっていいほど情報がないが、Bloombergの取材で明らかになったのはGoogleのように自動運転車をゼロから開発するのではなく、既存の車に自動運転キットを後付けする道を選んだことだ。

この目的のためにUberは密かにOttoを買収していた。同社はトラックの自動運転化を目標として今年設立された有望なスタートアップだ。Ottoのテクノロジーは既存のトラックに適用されるもので、Bloombergによれば、lidar(レーザーによる目標検知)システムを用いるという。Uberの自動運転車にはOttoのlidarが使われる。

Ottoの買収は単に期待の高いスタートアップの買収というに留まらず、人材獲得の面で影響がきわめて大きい。

Ottoの共同ファウンダーは元Google社員のAnthony LevandowsとLior Ron、それにDon Burnette、Claire Delaunayだ。 LevandowskiはGoogleの自動運転車のリーダーだった。RonはGoogleマップとMotorola事業の幹部で、他の共同ファウンダーもApple、Teslaなど自動運転車の開発で有名な企業に勤務していた。

買収は早ければ今月中にも完了する。その後、LevandowskiはUberの自動運転車チームの責任者となる。自動運転のテクノロジー開発を加速するためにUberでは新たなR&Dセンターを2箇所オープンするという。

Bloombergのインタビューに対してLevandowskiは「プロダクトをいち早くローンチできるチャンス〔を得たからだ〕」とGoogleを去った理由を説明している。

LevandowskiはKalanickを「異母兄弟のようだ」と評しているが、これはGoogleの自動運転車開発が慎重に過ぎてスピードが遅いことに不満があったことを示すものかもしれない。Uberの自動運転への動きははるかに速く、大胆なようだ。

Uberの自動運転プロジェクトの成否については今後に待つしかないが、少なくとも結果の一部はすぐに分かりそうだ。

画像: Uber/Bloomberg

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Fordは自動運転実用化のための戦略的投資を強化中

Ford is expanding its Silicon Valley operations, creating a dedicated campus in Palo Alto. Adding two new buildings and 150,000 square feet of work and lab space adjacent to the current Research and Innovation Center, the expanded campus grows the company’s local footprint and supports plans to double the size of the Palo Alto team by the end of 2017.

フォードは2021までに自動運転車を目指す方針を発表したが、その計画の一部にはいくつかの買収が含まれている。CEOのMark Fieldsが今日パロアルトのプレスイベントで発表したのは、機械学習とコンピュータービジョンに焦点を当てたイスラエルの企業SAIPSの買収である。また、無人車システムの機械学習コンポーネントに、より「人間らしい知性」をもたらすために、Nirenberg Neuroscienceとも独占提携を行った。

SAIPSの技術は画像およびビデオ処理アルゴリズムと同時に、入力信号の処理と分類に特化した深層学習テクノロジーを持ち込む。これらはすべて。自動運転車技術の特別ソースに欠かせない材料である。フォードの自動運転車上のセンサーによって取り込まれたデータは、SAIPSの技術によって車上での解釈を助けられ、データは車の仮想ドライバーシステムが利用可能な形式に変換される。SAIPSが提供するものには、異常検出やセンサーによって検出されたオブジェクトの継続的追跡、その他沢山のものが含まれている。同社の過去のクライアントにはHPとTraxが含まれるが、そちらのグループの方で運転に特化した応用が進められているようには見えない。

フォードは本日の発表イベントの中で、2013年にイスラエルで始めたハイテクスカウト作戦を経て、有望なターゲットとしてSAIPSが選ばれ、同社の機械学習の専門技術がフォード自身の取り組みの下支えになるだろうという結論が迅速に出されたと言及した。

Nirenbergとのパートナーシップは、完全な自動運転の別の課題分野に向けての、応用研究を同様に行うためのものだ。Sheila Nirenberg博士の研究は、網膜変性疾患の患者の視力回復に焦点を当てているが、フォードはこのテクノロジーを仮想ドライバーの視覚システムを大幅に改善し、人間のドライバーのように情報を処理することを助けるために使うことができると考えている。

フォードはまた、3Dマッピング機能を強化するためのCivil Mapsへの投資(既報)についても触れた。高解像度の3Dマップは、いかなる本格的自動運転への取り組みにおいても重要な要素である。

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(翻訳:Sako)

Comma.ai、高速道路自動走行のデータをオープンソースで公開―低価格の自動運転車に道

2016-08-04-commaai-selfsteer

George Hotz(Geohotz)が創立したスタートアップ、comma.aiは既存の自動車に既存のパーツを組み合わせることによって比較的低価格で自動運転車を製作できることを実証した。そのcomma.aiが7時間25分にわたる高速道路での自動運転で収集した全データをオープンソースで公開した。

地味なニュースに思えるかもしれないがそうではない。すくなくとも現在までに公開された高速道路の自動運転のデータと比べれば画期的だ。

comma.aiは最初の走行デモを成功させたときにBloombergで大きな記事になった。公開されたのは記事で紹介された自動走行システムを作るために機械学習システムを訓練したデータそのものだという。

Hotzはインタビューに答えて「このプロジェクトを始めたときは自動運転車は考えていなかった。単に機械学習をいろいろ試そうとしただけだった。ところがあたりを見回しても機械学習の実験に適した手頃なデータがなかった」と説明している。

HotzはKITTIのデータセットや最近発表されたさらに詳細なOxford RobotCarデータセットなどいくつかのデータを調べた。しかしこうしたデータ・セットは都市部の交通の実験で、Hotzが必要としていたのは高速道路での自動運転のデータだった。

「現在BloombergやNvidiaの実験を再現するのに適したデータは公開されていない。そこでそういうデータが世界に公開されてもいい時期だと考えた」とHotzは説明する。

もちろんcomma.aiのデータが利用できるからといって、誰でも1998年モデルのFord Tempoを自動運転車に変えることができるわけではない。しかしこのデータは有力なスタート地点を提供する。comma.aiが公開したのは現在取り組んでいる自動運転車のデータではなく、約半年前に行ったテストに関する全データだ。comma.aiのテクノロジーがその後さらに進歩しているのは間違いない。

Hotzは私の取材に対して「公開主のビジネスを危険にさらさずにオープンソース化はできるはずだと信じている。オープンソースでさらに情報を公開するためにも会社が生き延びることが重要だ。こうしたデータが得られるまでには数多くの失敗がある。誰もそういう失敗を繰り返す必要はない」とcomma.aiのデータ公開に関するアプローチを説明した。

Hotzによれば、comma.aiがデータをオープンソース化するのは、ホビイストのコミュニティーがさらに多くの貢献をできるようにするためだという。しかし機械学習システムの訓練に必要な基礎的な運転データの収集に膨大なは時間と資源を必要とする。Hotzはオープンソース・データの例としてDeepDriveを挙げた。これはGrand Theft Auto Vのプラットフォームを用いてリアルな自動運転シミュレーションを行うためのニューラルネットワーク・システムだ。

ホビイストを助けるというのは、才能ある人材を獲得するためのパイプラインを築くことでもある。comma.aiはオープンソース化したデータを用いて誰がどのようにさらなるオープンソース化をしているかモニターできる。comma.aiはもっとも輝かしい人材が誰なのかいち早く知ることができる。

Hotzによればcomma.aiのビジョンはシンプルだ。「われわれは今何をしているのかできるかぎり正確な情報を公開する。それでもスタートアップは〔大組織よりも〕速く、スマートかつ安価に機能できるということを確信している」のだという。

〔日本版〕ジョージ・ホッツは17歳で個人として初めてiPhoneのジェイルブレイクに成功するなど著名なハッカー。オープンソース化された自動運転データは圧縮で40GB(解凍後80GB)のサイズで、Anaconda、TensorFlowなどを必要とするという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FordとMITが学生用のオンデマンド電気シャトルバスプロジェクトで連携

Graduate student Justin Miller and undergrad Wally Wibowo of the Aerospace Controls Lab working on vehicles outfitted with sensors that match those of self-driving cars. This work is part of the Ford-MIT Alliance and aims to predict pedestrian behaviors on short time-scales while also providing data to support a mobility-on-demand system for the MIT campus."

Fordは現在マサチューセッツ工科大学(MIT)と共同で、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるMITのキャンパスにて、学生がキャンパス上そして街中でクラス間の移動に使える、オンデマンドの電気シャトルバスを配置するという研究プロジェクトに取り組んでいる。3台準備予定のシャトルバスを学生がスマートフォン上のアプリで呼び寄せることで、ドライバーがすぐにピックアップに向かう。この研究プロジェクトは、歩行者の移動パターンを明らかにすることを目的としており、気象情報や授業のスケジュールといったデータとLiDARやその他のセンサーを利用しながら、オンデマンドサービスの最適化が行われる予定だ。

Fordにとって今回のMITとのコラボレーションは、ミシガン州にあるFordのディアボーンキャンパスで、現在従業員の移動に使われているシャトルバスの運営を行っているDynamic Shuttleプロジェクトの進展のためだけではなく、Ford Smart Mobilityの下で行われている、様々な種類の未来の移動手段を模索する動きにも役に立つと考えられている。具体的には、Fordはプロジェクトの現在のフェーズで、今公道を走っている車に取り付けられたLiDARよりも低画質の画像を利用したLiDARシステムで、歩行者を検知する機能を向上できないかという検証を行うつもりだ。

「現在利用されている自動運転車にはLiDARが使われており、将来的にも引き続きLiDARが使われる可能性が高いです」とFordの自動運転車分析部門のマネージャー兼テクニカルリーダーであり、今回のMITが参加するプロジェクトのリーダーでもあるBryan Goodmanはインタビューの中で説明した。「このプログラムでは、様々な方法を用いて既存のLiDARユニットよりも低画質の画像を使ったLiDARで歩行者を検知する実験を行いながら、十分な情報収集を行おうとしています」

Graduate student Justin Miller and undergrad Wally Wibowo of the Aerospace Controls Lab working on vehicles outfitted with sensors that match those of self-driving cars. This work is part of the Ford-MIT Alliance and aims to predict pedestrian behaviors on short time-scales while also providing data to support a mobility-on-demand system for the MIT campus.

自動運転車に利用されているセンサーを装備した車両の整備を行っている、MIT Aerospace Controls Laboratory所属の大学院生Justin Millerと学部生のWally Wibowo。これはFordとMITの共同研究の一部で、短時間での歩行者の行動予測と、MITキャンパスでのオンデマンド移動システムをサポートするデータ収集を目的としている。William Litant/MIT

低画質のLiDARシステムが上手く機能すれば、たくさんの可能性が開けてくる。例えば、ハイブリッド自動運転技術におけるカメラからの情報への依存度が低下することで、自動運転車の生産コストが下がる可能性が高く、結果的に自動車メーカーが大量生産を行えるようになるだけでなく、車の所有者やシェアリングサービスの利用者にとってのコストも下がることになる。この研究プロジェクトでは、車両にドライバーが常駐する他、街中よりも管理された環境の下で実験が行われるため、現実に即した実験場としての利点を利用しつつも、低画質のハードウェアを使用した実験を安全に行うことができる。

また、本プロジェクトでは、実際にシャトルサービスを利用する学生に対して良質なカーシェアリングサービスを提供できるよう、利用可能なリソースを最大限活用しようとしている。例えば、研究チームが移動に関するデータを収集後に分析し、その結果が乗り降り地点や移動ルートの最適化に利用される。

Goodmanは、データ分析を通して移動に関する需要予測が行われ、さらにアルゴリズムが、予測内容を処理することでカスタマーサービスを最大化するためのシャトルバスの位置を割り出すことができるようになっていると言う。そして、この情報がドライバーへと送り返されることで彼らの運転パターンが決まる。このプロセスが繰り返されることで、時間や天気などの条件に関係なく、可能な限り最高のサービスを提供することができるのだ。

Goodmanによれば、プロジェクトの今のフェーズが今年の終わりまで続く予定で、MITとFordは既にそれ以降のフェーズについても考え始めている。さらに彼は、次のステップのひとつとしては、ドライバーのいる電気シャトルバス(Ford用語でmobility-on-demandまたはMOD車と呼ばれている)を、完全な自動運転車に切り替えるということが挙げられ、現在のフェーズでの学びや収集されたデータが、そのゴールを達成するにあたって重要になってくるだろうと語る。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

オンライン学習のUdacityで自動運転車のエンジニアになろう

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自分で学習する自動運転車の製作者であるGeohotが今年のDisruptイベントに来ると発表したばかりなので、ちょうどいいタイミングだ。Udacityは新しく発表したナノ学位で読者も1年で自動運転車のエンジニアになれるようになった(情報提供:Recode)。

Udacityはオンラインの教育スタートアップで、元GoogleのSebastian Thrunが設立した。彼は、自分の事業を立ち上げる前、Googleで自動運転車のプログラムのキックオフに携わった人物でもある。Thrunの専門性があれば、Udacityのプログラムは盤石な教育要素が詰まっていることが保証できるだろう。Udacityのナノ学位(濃縮された、独学卒業証書)は、いくつかのプログラムで提携しているGoogleといった企業から概ね良い評価を受けている。

この自動運転車プログラムは、通常数ヶ月かかる平均的なナノ学位よりは学習の期間が長い。自動運転車のエンジニアになるには、自分で初歩的な「Hello World!」のiOSやAndroidアプリを作るより時間がかかるのは当然だろう。

Thrunは上記の動画でこのプログラムの紹介を行っている。現在、多くの企業が人材を探しているとし、今後確実に様々な企業が自動運転テクノロジーに関心を寄せるようになるという。例えば、つい昨日発表されたばかりのElon Muskの「マスタープラン第2章」では、最終的にTeslaの連隊が自律走行をし、どこにでも移動でき、乗車料金で車の所有者が行った投資が回収できるシステムの構想を例にあげた。

需要が伸びる確率は高いが、私たちが本当に気になっているのは、このプログラムの最初の卒業生がどんな自動運転車を制作することができるようになるかだ。Udacityの生徒には、この課題が待ち受けている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

TeslaとUberの意外に多い共通点

WASHINGTON, USA - MARCH 16: Heavy traffic along Interstate 395 during the morning commute in Washington, USA on March 16, 2016. On Tuesday afternoon WMATA announced that it would suspend all of it's Metro Rail service for 29 hours starting at midnight in order to conduct emergency repairs to the system after multiple fires caused by faulty connections. On average 700,000 people use the Metro on any given work day to get to and from work and they had to scramble to find alternate ways to work. (Photo by Samuel Corum/Anadolu Agency/Getty Images)

Elon Muskの新たなマスタープランにもとづいて、Teslaは新たにカーシェアリング市場へと乗り込んでいく。

Teslaのカーシェアリングというアイディアは新鮮に聞こえるが、自動運転の技術と相まって、Tesla車がシェアリングエコノミーに関する議論の中に登場するのは初めてではない。

2015年のあるイベントにて、Uberの投資家であるDFJでパートナーを務めるSteve Jurvetsonは、UberのTravis Kalanickが、Teslaの自動運転車が2020年までに実現すれば、Tesla製の車を全部買うと話していたことを伝えている

以前、UberとTeslaのパートナーシップが地平線上に見えていた時期があった。Musk自身も、業績発表会でパートナーシップの可能性に関する話題が上がったときに、怪しまれるくらい長いあいだ黙りこんでいた

最近では、Uberは自分たちで自動運転車を開発しようとしているようだ。そして、本日のMuskの発表によると、Teslaも同じことをしようとしている。

「Teslaの携帯アプリのボタンを押せば、自分のTesla車をカーシェアリング用に貸し出すことができます。そうすることで、仕事中や休暇中にも収入が発生し、月々のローンやリース費用を相殺できる、もしくはそれを上回るくらいの金額になる可能性があります」とMuskは自身のポストにつづった。

UberやLyftのような企業は、第一印象よりもTeslaと多くの共通点を持っている。特にUberは、以前から長期的なビジョンと自動運転車の必要性について熱く語っていた。

UberとTeslaは、最初の製品やサービスを、参入障壁がとても高い市場に入り込むのに使っていた。Uberでいえば、ライドシェアリングサービスには、多大な人的資本と規制への強固な影響力が必要だ。Teslaも、何もないところから量産品の車を製造しなければならなかった。

Uberは未だに中国で資金を垂れ流しており、Teslaもコストのかかるギガファクトリーを引き続き稼働させる必要があるものの、両社が設立当初にやろうとしていたことの大部分はうまくいっている。そして2社とも運転手不要の車に対して、強い(そして高くつく)こだわりを持っている。Uberは現在、カーネギーメロン大学をはじめとした有名大学から才能あふれる学生を採用し、自動運転技術の開発やテストにあたろうとしている。

このまま行くと、UberがTeslaと衝突することになってしまうが、これは別に新しいことではない。Teslaは、自動車の稼働率を上げるための方法としてカーシェアリングを利用することで、パズルを完成させようとしているだけだ。両社とも、自動運転車の導入が交通費の減少につながると考えている。

Uberが、現在の市場の外にいるグループにもサービスを利用してもらうためには、コストを低く抑える必要がある。しかし、新たな人たちにサービスを利用してもらうためには、人口密度の低い郊外でもサービスを普及させ、最終的には普通のアメリカ人が車を手放すよう仕向けなければならない。一方Teslaは、電気自動車を普及させ、最終的には必要な電気の量を減らして全面的な二酸化炭素の排出量を減少させるため、運転に関するコストを減らす必要がある。

Uber/Tesla

シェアリングエコノミーの最大のメリットはまだ誰も享受することができていない。表面上は、Uberのような企業が、中産階級のうち以前は仕事のなかった人々に対して収入源を供給している。将来的にカーシェアリングが自動化されれば、移動にかかる費用が減少し、市場の効率性は最大化する。Kalanick自身も過去に、Uberの料金を構成している要素のうち運転手のコストが一番高いと語っていた。ライドシェアリングが車所有の文化を代替するためには、さらなる価格低下が必須条件なのだ。

Uberにとっての自動運転車の必要性は、中国でのマーケットシェアの必要性とは性質が違い、自動運転車はUberに長期的な持続性をもたらす。同様にTeslaは、今の道を進んでも事業継続はできると思われるが、自動運転車への参入で長期的な適合性を保つことができる。つまり、両社にとって自動運転技術は新たな高成長のチャンスであり、それがトップレベルの人材をひきつけ続けることにもつながるのだ。

UberとTeslaにとってカギとなるのは、将来の投資に集中するあまりコアビジネスがおろそかにならないようにするということだ。Muskはマスタープランの中で、短期的に見れば公共交通機関や貨物自動車の開発にチャンスを見出しており、それに取り組むことがTeslaの長期的なゴールへの前進に繋がると明言している。

両社の衝突は当分先のことだが、UberとTeslaが同じ流れに乗っているからといって、それがゼロサムゲームになるということにはならない。Googleや他企業が自動運転技術への投資を行っていくことが、エコシステム全体にとってのメリットとなるのだ。全般的な研究開発費に注視することが、自動運転の業界にいる各社の戦略の内省に繋がる。

Teslaは他社に立ち向かうことはできる。一方他社に勝つかどうかは、未来の交通手段の姿について正しい方向性を選択できるかにかかっている。これから20年先に私たちが、電気自動車を即金で買ったり、燃費の悪いガソリン車での移動に高い料金を払ったりする気持ちになるとは考えづらい。

UberとLyftに現在コメントを求めているので、返答を受け取り次第、本記事をアップデートしたいと思う。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

イーロン・マスクがマスタープランの第2章を公表、実現までの7ステップまとめ

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なぜTeslaはSolarCityを買収したのか?それは、屋根に取り付けたソーラーパネルの電力で、自動運転する電気ピックアップトラックを充電するためだ。Elon Muskはさきほど彼の掲げる「マスタープラン」の第2部を公表した。ここに要点をまとめたので、読者も未来の世界を覗いてみよう。

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1. ソーラーパネルとバッテリーの組み合わせ

Teslaはすでに巨大なバッテリーである「パワーウォール」を作り、Muskのソーラー電力会社SolarCityを買収した。一括で発電と電力の保管を行うために、両者を組み合わせる計画だ。

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2. プロダクトとしての工場

Teslaは工場の自動化を進め、2022年には5倍から10倍効率化することでTesla自動車の価格を抑えることができるとMuskは考えている。

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3. オートパイロットは普通に運転するより10倍安全に

レーダー、ソナー、AIや他の技術を駆使し、Teslaは人が運転するよりオートパイロットによる運転を10倍安全にしようと取り組んでいる。それを実現し、世界から認められるためには、オートパイロットで60億マイル(約100億km)の走行が必要とMuskは見込んでいる。現在のペースだと5.5年かかる計算だ。

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4. Teslaのピックアップトラック

Teslaはあらゆる種類の車両を再発明する。それはスポーツカー、セダン、SUVにとどまらない。次に来るのはピックアップトラックだ。この画像はTeslaのユーザーがフォーラムに投稿した完成予想図。

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5. TeslaのSemiトラック

Teslaは18ホイール車両も電気自動車にしたい考えだ。輸送コストを大幅に削減することで、大変革を起こることが予想される。電気トラックを開発する競合に「Nikola Motor Company」がある。

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6. Teslaバス

Teslaは都市部で運用するための電気バスを開発している。このバスは自動で周辺の通行車両と速度を合わせることで揺れを避け、 車両の中央に通路がある従来の形式を廃止して座席を多く設置するという。残念ながら、まだプロトタイプの写真はない。この写真はデザイナーSong YouzhouによるTransit Elevated Busだ。

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7. Teslaのカーシェアリング

Teslaはユーザーに車を負担してもらい、使っていない時に他の人がその車で移動できるようにする計画だ。Uberは厳重警戒だ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Teslaの次のステップ、貨物トラックとバスの自動運転車両を開発へ

PALO ALTO, CA - NOVEMBER 05:  A sign is posted at a Tesla showroom on November 5, 2013 in Palo Alto, California. Tesla will report third quarter earnings today after the closing bell.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

TeslaのファウンダーでCEOのElon Muskは 「マスタープラン」の第2部を本日発表した。プランの2つの大きなニュースは新型車の発表だが、コンシューマーモデルではない。Teslaは大型セミトラックと、都市部でバスの役割を果たすために運用する「多くの乗客に対応する都市交通手段」だという。

今では有名になったマスタープランの次のステージについての記事では、MuskはModel Xとは別のコンパクトSUVと、「新種のピックアップトラック」を含むコンシューマー向け車両を手がけることについて触れた。どちらもMuskが以前からほのめかしていた内容だ。しかし、これらのコンシューマー向け車両とは別に2つのタイプの電気自動車が「必要」という。セミトラックと都市交通手段と銘打つ車両は、どちらも早ければ来年の早い段階に公開する準備が整うとMuskは言う。

TeslaのSemi(このトラックに付けたマスクの呼び名)が必要なのは、貨物輸送にかかるコストを劇的に削減する助けになるためという(燃料がトラック輸送のコストの大部分を占め、そのコストは最終的にコンシューマーが担っている)。また、Teslaによる輸送は安全性を高めるのと同時に、車両のオペレーターが「楽しく運転」できるようになるためとMusk。

複数人が乗車可能な車両について、マスクは電気バス以上に野心的な目標を描いているようだ。彼は最終的にバスの運転手を車両の連隊を管理するマネージャーに変えることを目論んでいる。自動化を持って、1人の人が1台を管理するのではなく、複数の車両を管理することができるようにする。この設計により、乗客は固定の停留所ではなく、任意の目的地に直接移動することができるという。そして、車両を呼ぶにはスマホ(アプリ経由の可能性が高い)を使うか、従来のバス停に設置されたボタンを使うようになる。

もちろんこれを実現するためには、都市における公的交通機関で現在可能な技術より、高いレベルの自律走行が求められる。Muskのビジョンでは、自動運転Tesla車の連隊を成立させるために、自動運転車のカーシェアリングサービスに必要な車両の確保においてオーナーが一部を負担することも視野に入れている。複数の乗客のための都市交通機関はそのビジョンより近い未来に実現できそうではあるものの、どちらも現実のものにするためには多くのステップを踏まなければならないだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

自動運転車に重要な新記録―メルセデス・ベンツのバスが20kmの公道ルートを走行

Weltpremiere: Mercedes-Benz Future Bus mit CityPilot – Meilenstein auf dem Weg zum autonom fahrenden Stadtbus

CityPilotテクノロジーは完全自動運転の都市交通というビジョンに向けて大きく一歩前進した。メルセデス・ベンツは自動運転のFuture Busに20kmの公道を走らせることに成功した。舞台はオランダで、アムステルダムのスキポール空港と付近のハーレム市を結ぶ幹線道路の走行だった。このルートには信号のある交差点やトンネルがあり、バスは歩行者を避けて走る必要があった。

メルセデス・ベンツは、2年前に、CityPilotに先立ってHighway Pilotプログラムをスタートさせていた。先行プログラムは高速道路におけるトラック輸送がテーマであり、今回のCityPilotのように複雑な都市交通の環境を対象としていなかった。それだけに今回の成功はFuture Busにとって重要な達成といえるだろう。

Future Busは単なる功利主義的な技術の実験ではない。メルセデス・ベンツは将来の都市交通のあるべき姿に適合したテクノロジーを開発しようとしている。そのため、バスのインテリアも時間をかけて注意深くデザインされている。プレスリリースによれば、この未来的バスには乗客がバス内で過ごす時間に応じて3種類のデザインが設定されているという。座席には映画やテレビなどのエンタテインメントや各種情報を提供するモニターが装備され、バスの天井は森の中のような雰囲気を作っている。

Look at that swank interior.

しゃれたインテリアに注目

CityPilotプログラムの重要な要素のひとつは、バスの走行ルートと都市インフラとの密接な協調だ。Future Bus Iは完全にネットワーク化されている。つまり走行ルート上の交通信号とも通信しており、信号が切り替わるタイミングを事前に把握できる。バスに装備されたカメラは近距離まで路面の詳細な「指紋」(アスファルトの微細な形状)を取得し、前回の走行で撮影されたデータと比較して安全な走行に役立てるという。

自動運転機能はバスを最高70km/hで走らせることが可能だ。ルート沿いに設けられたバス停にスムーズに減速して接近し、歩道から5cm以内という精度で停車して乗客を乗降させる。

短距離での自動運転バスは世界各地で実用化されているが、そのほとんどは最近われわれが紹介したDeNAの例のように運行ルートはショッピングモールなとの限定された環境の私有地に限られている。メルセデス・ベンツの実験は一般道路における大型バスの実用走行であり、その成功は自動運転バスが将来の公共交通機関の主役のひとつとなる可能性をみせたものといえる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自動車の未来に関する議論に欠けているもの

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【編集部注】執筆者のNed Ryan氏は、週単位での車のリースサービスを提供するBreezeの共同設立者兼CEO。

これまで、世界最大規模である自動車業界で、これほどまでに変化の兆しがハッキリと見えたことはなかっただろう。自動車の所有の仕方が変わろうとしているのだ。そして本当に変化が訪れたとき、世界経済でこれまで起きたことがない程、とてつもない規模での富の移転が起きると予想されている。

しかし、世の中にはたくさんの対立する意見や情報が蔓延している。自動車の専門家やニュースの見出しによれば、Teslaが世界を征服し、自動車メーカーは将来的に交通会社になり、UberLyftの登場が、私たちの知るこれまでの車の所有という概念が終わろうとしている。さらに、BeepiCarvanaVroomShiftといったオンラインの自動車販売サービスによって、自動車ディーラーという存在も無くなってしまうと言われている。対照的に、その他のニュースの見出しよれば、自動車の販売台数が過去最高を記録し、トラックが新車販売のカテゴリーを牽引している他、これまでの同世代に比べ、ミレニアル世代の車の購入台数は最も多い。

さらに、自動運転技術にはボンヤリとした疑問が残っている。UberやLyftは、できるだけ早くドライバーを要する既存の車を自動運転車に代えたいと考えおり、AppleGMは理論上の自動運転業界での成功のために多額の資金を投入している。しかし、2009年から自動運転技術の開発に取り組んでいるGoogleでさえ、この先30年で完全に自動で走行する車が誕生するかどうか分からないでいる。

はっきりと言えるのは、自動車業界の将来の姿について様々な噂が飛び交っているということだ。シリコンバレーに住んでいる人のように、私は変化が起きると信じており、現状の自動車の所有方法は、破壊的イノベーションが起きるべき段階に達していると考えている。しかし、個人向け自動車販売台数が過去最高を記録する中、いつ、そしてどのように変化が起きるのだろうか?改革の担い手としては、Tesla、Uber、Google、Apple、Fordといった企業が想定されるが、どの予測も自動車業界全体の要となっている部分に言及していない。それが、地味ながら莫大な規模の自動車金融だ。この巨大金融市場が自動車業界全体を動かしている。

金融サービスが自動車業界全体を下支えしているのだ。

わかりやすい例として、アメリカの自動車ローン残高合計は現在1兆600億ドル以上に達している。この数字には、同様に巨大なリース市場が含まれていない。そしてアメリカで自動車ローンを提供する大手企業には、AllyWells Fargo、ChaseそしてCapital Oneといった銀行の他、トヨタやGM、Fordといった自動車メーカーの金融子会社など、馴染みのある名前が並ぶ。資産区分を考慮すると、自動車ローンは、アメリカの住宅ローンや奨学金に続く残高を誇っている。

このように自動車ローンが大きな市場を形成しているのは明らかだが、そもそも何の関係があるのだろうか?それは、アメリカの自動車販売台数が、強大な自動車金融市場と表裏一体となっていることにある。アメリカの新車販売台数の実に86%に対して借り金が用いられているため、個人向けの金融商品無しに自動車は売れない。つまり金融サービスが自動車業界全体を下支えしているのだ。実際のところ、アメリカは他国に比べて自動車金融への依存度が圧倒的に高い。アメリカの新車販売台数を現在勢いで抜く中国では、新車購入者の内26%しか金融サービスを利用していない。

これが自動車業界の将来にどのような意味をもつのだろうか?

Teslaのモデル3やシボレー・ボルトのような新しいタイプの車が今後も登場し続け、そのような車に備え付けられた目新しい機能は、自動車の未来の到来を告げるものとして歓迎されるだろう。しかし、このような革新的な自動車も、大部分は昔からの方法で購入されることになる。つまり個人向け金融サービスが利用されるのだ。

これが未来の車の所有方法であるわけがない。UberやLyftのような企業の成功で、将来の自動車業界を支えるためにも、新たな所有の形が誕生する必要があるのは明らかだ。実際に、Uberは新しい車体のリース資金のため、最近ゴールドマン・サックスをアレンジャーとする10億ドルの貸出枠の契約にサインした。Uber(そしてウォール街)も、特にアメリカ人の月々の自動車ローン支払額が過去最大となり、自動車ローン残高も記録的な額に達する中、本契約についてもっと柔軟性が必要だということは理解している。

柔軟に自動車が利用できる他のサービスとしては、FordのCredit Link(自動車リース契約を複数人でシェアできるプログラム)やGMのMaven(オンデマンドのレンタカー)が挙げられ、未来の車の所有方法について示唆を得ることができる。このような新興サービスの成功には、強力な技術インフラが欠かせないが、これは今日の自動車金融市場を左右する要因からは大きくかけ離れている。

もしも自動車の個人所有からのシフトが起き、各家庭に平均2.06台あるとされる車が必要なくなるとすれば、自動車金融インフラの刷新が必要になる。最終的には、Googleの自動運転車が普及するかもしれないが、そこに至るためには、総額1兆ドルにおよぶ今日の自動車金融市場にいる多くのビッグネームのすげ替えが必要となるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Googleの自己運転車プロジェクトが独立企業へ一歩近づく…ベテラン法務部長を招聘

PARIS, FRANCE - JUNE 30:  A Google self-driving car project is displayed during the Viva Technology show on June 30, 2016 in Paris, France. Viva Technology Startup Connect, the new international event brings together 5,000 startups with top investors, companies to grow businesses and all players in the digital transformation who shape the future of the internet.  (Photo by Chesnot/Getty Images)

[筆者: Mark Lelinwalla]
Googleの自己運転車プロジェクトが、同社の独立した事業になりつつある。Recodeの記事によると、その自律運転企業はGoogleではなくAlphabetの直傘下となり、The Climate Corporationの最高法務責任者(chief legal officer, CLO) Kevin Vosenを同社の初の法務部長として迎えた。予定では彼は今月晩終わりごろに着任する。

現在Googleの自己運転部門は同社の実験的なラボ、Xの下にあり、しかしVosenが来たことによって企業としての独立に一歩近づいたようだ。しかも、そのタイミングが興味深い。今は自動運転車ではライバルのTeslaが、5月7日の、Model Sの自動操縦モードにおける死亡事故に関して、国の調査を受けている最中なのだ。

Googleにかぎらず、自律運転技術を開発している企業は必ず、国や州の法律の問題をクリアしなければならないから、法務の経験豊富なVosenを招いたのもそのためだろう。VosenはThe Climate Corporationでコンプライアンスと対政府関係(Government Relations)を担当した。ClimateのCEOで協同ファウンダーのDavid Friedbergは前にGoogleで、企業開発と製品管理を担当した。Googleとのご縁が深い。しかもFriedbergが会長を務めているMetromileは、走行距離に応じて保険料を払う自動車保険の会社だから、それは表面的なご縁ではなさそうだ。

Googleの自律部門が弁護士を雇ったというこのニュースの前には、Google XによるTim Papandreouのスカウトがあった。Papandreouはサンフランシスコ市交通局のイノベーション部門にいた人物だから、Googleの自己運転開発チームを、より一層、堅牢にしてくれるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))